iSCSI ターゲット・ポートのオブジェクト・モデル

共通情報モデル (CIM) エージェントは、抽象化の各レイヤーに関する情報を取り出せるように設計されています。

IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム用の iSCSI ターゲット・ポート Storage Management Initiative Specification (SMI-S) モデルについては、図 1 を参照してください。

図 1. IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム用の iSCSI ターゲット・ポート SMI-S モデル
iSCSI ターゲット・ポートの UML
以下の表は、iSCSI 標準からの用語と前出の UML 図にある CIM クラス名のマップを示します。iSCSI SessionConnection、および Portal Group は、IBM FlashSystem A9000 および A9000R SMI-S ではサポートされません。
表 1. iSCSI 用語と CIM クラス名
iSCSI 用語 CIM クラス名 説明
ネットワーク・エンティティー ComputerSystem ネットワーク・エンティティーは、IP ネットワークからアクセス可能な装置を表します。1 つのネットワーク・エンティティーは、1 つ以上のネットワーク・ポータルを持ちます。各ネットワーク・ポータルは、ネットワーク・エンティティー内の一部の iSCSI ノードから IP ネットワークへアクセスするために使用できます。
ノード SCSIProtocolController iSCSI ノードは、単一の iSCSI ターゲットを表します。 ネットワーク・エンティティー内には、1 つ以上の iSCSI ノードが存在します。iSCSI ノードには、1 つ以上のネットワーク・ポータルを介してアクセスできます。iSCSI ノードは、その iSCSI 名によって識別されます。iSCSI 名をそのアドレスから分離することにより、複数の iSCSI ノードが同じアドレスを使用でき、同じ iSCSI ノードが複数のアドレスを使用できます。
SCSI ポート iSCSIProtocolEndpoint iSCSI サービス配信サブシステムを使用する SCSI ポート。まとまって 1 つの SCSI ターゲットまたは単なるターゲットとして機能するネットワーク・ポータルのコレクション。
ネットワーク・ポータル TCPProtocolEndpoint、
IPProtocolEndpoint、
EthernetPort
TCP/IP ネットワーク・アドレスを持つネットワーク・エンティティーのコンポーネントの 1 つ。ネットワーク・エンティティー内の iSCSI ノードによって、いずれかの iSCSI セッション内で接続に使用される場合があります。ターゲット内のネットワーク・ポータルは、その IP アドレスによって識別されます。
ネットワーク・エンティティー
IBMTSDS_StorageSystem インスタンスは、CIM_ElementCapabilities 関連を介して CIM_iSCSICapabilities のインスタンスに関連付けられている、別個のネットワーク・エンティティーと見なされます。これは、iSCSI ネットワーク上で可視の iSCSI ネットワーク・エンティティーです。
CIM_iSCSICapabilities のインスタンスは、ネットワーク・エンティティーによってサポートされる iSCSI 仕様のバージョンと認証メカニズムを含んでおり、それを使用してストレージ・アレイの機能を判別できます。
iSCSI ノード
iSCSI Node インスタンスは、CIM_SCSIProtocolController のインスタンスによって表されます。このクラスは、多数のサブクラスを持つことができます。Name プロパティーおよび NameFormat プロパティーを使用して、CIM_SCSIProtocolController インスタンスが iSCSI Node インスタンスであるかどうかを判別できます。
iSCSI Node インスタンスを表すすべての CIM_SCSIProtocolController インスタンスは、値が iSCSI Name 値である Name プロパティーを持っている必要があります。したがって、NameFormat プロパティーの値は 3 (iSCSI 名にマップされる) でなければなりません。
IBM FlashSystem A9000 および A9000R アレイでは、iSCSI Node インスタンスは、IBMTSDS_iSCSIProtocolController のインスタンスによって表されます。 IBMTSDS_iSCSIProtocolController は、CIM_SystemDevice によって最上レベルのシステム (IBMTSDS_StorageSystem) に関連付けられた CIM_SCSIProtocolController のサブクラスです。
IBM FlashSystem A9000 および A9000R アレイの場合、各 IBMTSDS_StorageSystem 項目に、IP Interface パラメーターごとに Node 項目が 1つあります。それらのノードの iSCSI Name 値は、IQN (iSCSI 修飾名) フォーマットに従います。 IBMTSDS_iSCSIProtocolController インスタンスの NameFormat および Name プロパティーは、下記の例で太字で示されています。
IBMTSDS_iSCSIProtocolController { SystemCreationClassName =
"IBMTSDS_StorageSystem"; SystemName = "IBM.2810-6000095";
CreationClassName = "IBMTSDS_iSCSIProtocolController"; Name =
"iqn.2005-10.com.xivstorage:000095.M_7_1"; NameFormat = 3; ElementName =
"M_7_1"; DeviceID = "IBM.2810-6000095-100955"; Caption
= "iSCSI Node of IP Interface M_7_1"; HealthState = 0; }; のインスタンス
iSCSI ポート
IBM FlashSystem A9000 および A9000R アレイ上の各 iSCSI Node インスタンスは、単一の CIM_iSCSIProtocolEndpoint インスタンスを通じてアクセスされます。CIM_iSCSIProtocolEndpoint インスタンスをディスカバーするには、すべての iSCSI ノードを検出した後、CIM_SAPAvailableForElement 関連を iSCSI ノード (IBMTSDS_iSCSIProtocolController) から CIM_iSCSIProtocolEndpoint までたどります。
ネットワーク・エンティティーのすべての CIM_iSCSIProtocolEndpoint インスタンスを検出するには、CIM_HostedAccessPoint 関連を IBMTSDS_StorageSystem インスタンスから CIM_iSCSIProtocolEndpoint インスタンスまでたどります。
ネットワーク・ポータル
IBM FlashSystem A9000 and A9000R アレイ上には、IP インターフェースごとに 1 つの iSCSI ノードと iSCSI ポートが存在するのと同様に、IP インターフェースごとにネットワーク・ポータルが 1 つ存在します。
ネットワーク・ポータルは CIM_TCPProtocolEndpointCIM_IPProtocolEndpoint、および CIM_EthernetPort クラスを使用して表され、CIM_BindsTo 関連によって関連付けられます。
  • CIM_IPProtocolEndpoint インスタンスは、ネットワーク・ポータルの IP アドレスを IPv4Address プロパティーの中に含んでいます。IPv6Address プロパティーは現在サポートされていません。
  • CIM_TCPProtocolEndpoint インスタンスは、ネットワーク・ポータルの TCP ポートを PortNumber プロパティーの中に含んでいます。
  • CIM_EthernetPort インスタンスは、ネットワーク・ポータルの物理プロパティーを PermanentAddressDeviceIDFullDuplexSpeedOtherIdentifyingInfo の各プロパティーの中に含んでいます。