マスキングおよびマッピング・プロファイル

クライアント・ホストのマッピングとマスキングを行うことにより、どのクライアント・ホストがストレージ・ボリュームを見ることができ、アクセスできるのかを制御できます。Storage Networking Industry Association (SNIA) Storage Management Initiative Specification (SMI-S) 仕様は、この機能をサポートするマッピングおよびマスキング・プロファイルを定義しています。

LUN マスキング (LUN masking)
エクスポートされたドライブ (ボリューム) にどのホストがアクセスできるかを決めるために、SAN ノード内にソフトウェアを構成するプロセス。
IBM FlashSystem® A9000 および A9000R システム の LUN マスキングは、ストレージ・ベースのポート・マッピングです。
LUN マッピング
ディスク・リソースを作成し、LUN を使用してその外部アクセス・パスを定義するプロセス。その後、LUN は外部 ID 記述子へマップされる。例えば、SCSI ポートまたはターゲット ID。中断のないデータ可用性を確保するためには、複数のポートかターゲット ID、またはその両方からアクセスできるように、論理ボリュームをマップします。
マスキングおよびマッピングのための IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム・アーキテクチャーには、2 種類の装置上に以下のオブジェクトが必要になります。
  • IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム上のオブジェクト:
    • ストレージ・デバイス入出力ポート (FC ポートおよび iSCSI ポート)
    • ストレージ・ボリューム
  • ホスト・システム上のオブジェクト
    • ホスト・ポート (HBA)
    • ホスト (ホスト・システム)
    • クラスター

図 1 は、IBM FlashSystem A9000 および A9000R システムでのマスキングおよびマッピングの使用法の例を示しています。

図 1. IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム でのマスキングとマッピングの物理モデル
IBM FlashSystem A9000 システムまたは IBM FlashSystem A9000R システムへマップされた 2 つのホスト・システムの図

次のリストは、図 1 に示した各オブジェクトの定義です。

ストレージ・デバイス入出力ポート
ホスト入出力操作に使用されるファイバー・チャネル・ポートまたは iSCSI ポートを表す、IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム 上のポート。ストレージ・デバイス入出力ポートは、ターゲット・ポートと呼ばれることもあります。
ボリューム
ホストまたはクラスターへマップされる IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム 上のオブジェクト。1 つのボリュームを同じクラスターに属さない複数のホストにマップすることはできません。
ホスト・ポート
ホスト・システム上の単一のファイバー・チャネル・ポートまたは iSCSI ポートを表すオブジェクト。アーキテクチャーは、ホスト・システムを追跡しません。 ホスト・システムに複数のホスト・ポートがある場合は、ポートごとにホスト・ポート・オブジェクトを作成する必要があります。
ホスト
装置上のストレージにアクセスするために使用される一連のイニシエーター・ポートを備えたシステム。ホスト・システムごとにホスト・オブジェクトを作成でき、ホスト・ポート・オブジェクトを追加した後、IBM® Hyper-Scale Manager GUI、コマンド・ライン・インターフェース (CLI) (Command line interface (CLI))、または 共通情報モデル (CIM) エージェント を通じて、ホストをボリュームにマップすることができます。
クラスター
ホストのグループ。IBM FlashSystem A9000 および A9000R システム の場合、複数のホストが同じボリューム・セットを認識することができます。ホスト・システム・クラスターの場合、クラスター・オブジェクトを作成し、それにホスト・オブジェクトを追加した後、IBM Hyper-Scale Manager GUI、CLI、または CIM エージェントを通じて、クラスター・オブジェクトを複数のボリュームにマップすることができます。複数のホストが同じボリュームにアクセスできる場合は、クラスターが必要です。

物理ネットワークをセットアップし、ホスト・オブジェクトを作成した後、そのホストにファイバー・チャネル・ポートまたは iSCSI ポートを追加します。ボリュームを入出力操作に使用できるよう、ホストにボリュームをマップします。

ボリュームへのホストのマッピング

ホストをボリュームにマップできます。ホストは、ファイバー・チャネル・ポートおよび iSCSI ポートを含め、複数のイニシエーター・ポートを含むことができます。その場合、ホストを作成し、イニシエーター・ポートを追加した後、ホストをボリュームにマップします。このマッピングにより、ホスト・システムは含まれているイニシエーター・ポートを通じて、マップされたボリュームにアクセスできます。

ボリュームへのクラスターのマッピング

複数のホストを同じボリュームにマップする必要がある場合は、クラスターをボリュームにマップすることができます。この場合は、クラスターを作成し、ホストを追加した後、クラスターをボリュームにマップします。このマッピングにより、ボリュームはクラスターに含まれているすべてのホストにマップされます。ホストがクラスターに含まれている場合、別のボリュームに個別にマップすることはできません。

IBM FlashSystem A9000 および A9000R システムのアーキテクチャーについて詳しくは、「IBM FlashSystem A9000 and A9000R: Architecture, Implementation, and Usage」および「IBM FlashSystem A9000 Product Overview」または「IBM FlashSystem A9000R Product Overview」を参照してください。