データ・マイグレーションの各ステージ
図 1 は、前のストレージ・システムから新規ストレージ・システムにボリュームをマイグレーションするプロセスを示したものです。この図は、新規ストレージ・システムがそのデータを前のストレージ・システムと同期化する方法と、同期化のこれらすべての段階でホストのデータ要求を処理する方法も示しています。

初期構成
データ・マイグレーションを開始する前に、以下の前提条件の処置を実行する必要があります。
- ターゲットの IBM FlashSystem® A9000 または A9000R 上のボリュームをフォーマットします。
- 実際のホストを元のストレージ・システムから切断します (詳細は、データ・マイグレーション構成のテストを参照)。
- IBM FlashSystem A9000 または A9000R を、提供予定のデータを保持している元のストレージ・システムに接続します。元のストレージ・システムは IBM FlashSystem A9000 または A9000R をホストとして認識するため、IBM FlashSystem A9000 または A9000R を元のストレージ・システムに SCSI イニシエーターとして接続する必要があります。
- 元のストレージ・システムおよび IBM FlashSystem A9000 または A9000R のボリューム上の 512 バイト・ブロックの数が等しいことを確認します。これは、データ・マイグレーション・プロセスのアクティブ化の際に検証されます。
次に、データ・マイグレーションを開始し、IBM FlashSystem A9000 または A9000R と直接かつ単独で連動するようにすべてのホストを構成することができます。
データ・マイグレーション構成のテスト
ホストを IBM FlashSystem A9000 または A9000R に接続する前に、データ・マイグレーション定義をテストして、IBM FlashSystem A9000 または A9000R が元のストレージ・システムにアクセスできることを確認します。
この段階の必須の前提条件として、実際のホストを IBM FlashSystem A9000 または A9000R から切断する必要があります (初期構成を参照)。あるいは、ホストがまだ接続されている間に 1 つのテストを実行して、ホストを切断した後でもう 1 つのテストを実行することができます。こうすると、お客様は、元のボリューム・サイズが変わっていないことを確認できます。
データ・マイグレーションのアクティブ化
IBM FlashSystem A9000 または A9000R と元のストレージ・システムの間の接続をテストした後、データ・マイグレーションをアクティブ化し、ホストを IBM FlashSystem A9000 または A9000R に接続します。この時点から、ホストは、IBM FlashSystem A9000 または A9000R との間でデータの読み取りおよび書き込みを行います。さらに、IBM FlashSystem A9000 または A9000R はデータを読み取り、オプションで元のストレージ・システムに書き込みます。
データ・マイグレーションをアクティブ化した後、非アクティブ化すると、ホストの入出力が失敗します。非アクティブ化は、障害発生後にデータ・マイグレーション構成をリカバリーできない場合のリカバリーのためにのみ使用してください。
バックグラウンド・コピーおよび入出力操作の提供
データ・マイグレーションは、開始されると、元のストレージ・システムから IBM FlashSystem A9000 または A9000R にすべてのデータを順次にコピーするバックグラウンド・プロセスを開始します。
同期達成
ボリュームのデータのすべてをコピーした後で、データ・マイグレーションは同期を達成します。同期が達成された後で、すべての読み取り要求は IBM FlashSystem A9000 または A9000R から実施されます。
ソース更新が有効になっている場合、IBM FlashSystem A9000 または A9000R は、データ・マイグレーション設定が削除されるまで、それ自体と元のストレージ・システムの両方への新規データの書き込みを続行します (ソース更新の詳細については、書き込み要求のサービス提供を参照)。
データ・マイグレーションの削除
FlashSystem A9000 または A9000R が元のストレージ・システムと同期されている場合は、データ・マイグレーション・プロセスを非アクティブ化しても問題がなく、ソース・ボリュームと共に削除できます。
データ・マイグレーション構成が誤っている場合 (例えば、誤ったソース・ボリュームが選択されている場合や、定義済みのデータ・ブロック・サイズが不適切である場合)、またはデータ・マイグレーションが PoC (概念検証) のためにのみアクティブ化されている場合、このプロセスの終了、非アクティブ化、削除を強制的に行うことができます。この場合は、ターゲット・ボリュームが冗長であるように見えても、削除する前に、書き込まれたデータが保持されていることを確認してください。これは、特にデータ・マイグレーション中にソース更新がアクティブ化されていなかった場合に重要です。ターゲット・ボリュームに、ソース・ボリュームで欠落しているデータが含まれている可能性があるためです。
データ・マイグレーション中にソース更新がアクティブ化されていた場合は、書き込まれたデータはすべてソース・ボリューム上に残されます。