アレイ構成の計画

ネットワークを計画する場合、使用する RAID 構成のタイプを考慮する必要があります。Storwize® V3700は、非分散アレイ構成または分散アレイ構成のいずれかをサポートします。

アレイ

1 つの非分散アレイには 2 個から 16 個のドライブを格納できます。いくつかのアレイによって 1 つのプールの容量が作成されます。冗長性のために、他のドライブに障害が起きた場合に読み取り/書き込み操作を引き継げるように、スペア・ドライブ (「ホット・スペア」) が割り振られます。障害の発生時以外の時間は、スペア・ドライブはアイドル状態であり、システムに対する要求を処理していません。アレイ内のメンバー・ドライブに障害が起きた場合、スペアへのデータのリカバリーは、そのドライブがデータを書き込める速度でしか行えません。このボトルネックにより、システムはホストのためと再作成のためのワークロードのバランスを取ろうとするため、データの再作成に何時間もかかることがあります。その結果、残りのメンバー・ドライブへの負荷が相当に大きくなります。この間ずっと、再作成中のアレイへの入出力待ち時間が影響を受けます。ボリューム・データは、MDisk 全体にストライピングされているため、ドライブの再作成にかかる時間の間、すべてのボリュームが影響を受けます。

分散アレイ

分散 RAID アレイでは、再作成領域がアレイ内のすべてのドライブに分散されるので、そのような問題が解決されます。再作成書き込みワークロードは、単一のスペア・ドライブよりもむしろ、すべてのドライブにわたって分散され、アレイでの再作成にかかる時間が短縮されます。 分散アレイ構成には 4 個から 128 個のドライブを含めることができます。分散アレイでは、障害が発生するまで分離ドライブがアイドルでいる必要性がなくなります。1 つ以上のドライブをスペアとして割り振る代わりに、すべてのメンバー・ドライブの特定の再作成エリアにスペア容量が分散されます。 データをより高速に再作成領域にコピーすることができ、冗長性がはるかに短時間で復元されます。また、再作成の進行中、使用可能なすべてのドライブがあらゆるボリューム・エクステントに使用されるため、プールのパフォーマンスがより一様なものとなります。障害ドライブが取り替えられると、分散されたスペア容量からドライブにデータがコピーされて戻されます。「ホット・スペア」ドライブとは異なり、読み取り/書き込み要求は、再作成領域として使用されていない、ドライブの他の部分で処理されます。再作成領域の数は、アレイの幅に基づきます。再作成領域のサイズにより、劣化状態になる危険を冒さずに障害ドライブを分散アレイで何回リカバリーできるかが決まります。例えば、RAID 6 ドライブを使用する分散アレイでは、同時に 2 件の障害に対処できます。障害が起きたドライブが再作成された後、アレイは別の 2 件のドライブ障害に耐えることができます。すべての再作成領域がデータのリカバリーに使用された場合、次にドライブ障害が発生すると、アレイの機能は低下します。

分散 RAID の概念は、幅が W のアレイを X 個のドライブからなるセットの全体に分散することです。例えば、2+P RAID-5 アレイがあり、40 個のドライブからなるセット全体に分散されているとします。アレイのタイプと幅によって、冗長レベルが定義されます。上記の例では、パリティー用に 33% の容量オーバーヘッドがあります。アレイ・ストライドを再作成する必要がある場合は、3 番目のコンポーネントのデータを再作成するために、2 つのコンポーネントのストリップを読み取る必要があります。セット・サイズは、分散アレイによって使用されるドライブの数を定義します。言うまでもなく、セット内のドライブ数に応じてパフォーマンスと使用可能容量が拡大/縮小することは要件の 1 つです。それ以外の分散アレイの主要な機能は、このセットがホット・スペアを持つ代わりにスペア・ストリップを含んでいることであり、それらのストリップもドライブ・セット全体に分散されます。データおよびスペアは、セット内の 1 つのドライブで冗長性に障害が起きても、単一コンポーネントの速度をはるかに上回る速度でスペアのストリップ上にデータを再作成することによって冗長性を復元できるように分散されます。

分散アレイは、大規模な内部管理対象ディスクを作成するために使用されます。分散 RAID アレイは 4 個から 128 個のドライブを管理でき、ドライブの障害時にエラー・リカバリーを実現するために、独自の再作成スペースを格納することができます。その結果、再作成時間が大幅に短縮されるため、ボリュームが冗長性リカバリーの余分な負荷にさらされる機会が少なくなります。 これらの管理対象ディスクの容量は非常に大きくなる可能性があるので、それらのディスクをシステム内に構成すると、それらを仮想化できるようにするために、全体的な限度が変わります。どのような分散アレイでも、16 個の MDisk エクステント割り振りのためのスペースが予約され、したがって、他の 15 個の MDisk ID が全部で 4096 個のプールから削除されます。 分散アレイは、均一なパフォーマンス・レベルを提供することも目的としています。このパフォーマンスを実現するためにドライブが類似している (例えば、ドライブは同じ属性を持つが、容量が大きくなっている) 場合、分散アレイは複数のドライブ・クラスを含むことができます。分散アレイ内のすべてのドライブは、単純な構成モデルを維持するために、同じ入出力グループに由来する必要があります。

分散アレイの主な利点は、以下のとおりです。
  • 再作成時間の短縮とホスト入出力への影響の軽減。
  • アレイに使用するドライブの数を定義する際のユーザーに対する柔軟性の向上 (例えば、ユーザーは24 個のドライブで、4 個のドライブを未使用のままにせずに、9+P のアレイを作成できます)。
  • エリアの再作成はシステム内にアイドル状態のスピンドルがないことを意味し、これにより、パフォーマンスがわずかながら向上します。

分散アレイの 1 つの欠点は、アレイ冗長性が、より多くの数のコンポーネントを対象としていることです。このため、平均故障間隔 (MTBF) が短くなります。再作成時間の短縮によって MTBF は改善されます。しかし、MTBF の許容範囲を超えずにアレイをどれほど広く分散できるかについては、依然として限度があります。