ストレージ・プール
一般に、プールまたはストレージ・プールは、指定されたボリューム・セットのすべてのデータが一緒に入っている割り振り済み容量です。システムは、2 つのタイプのプール (親プールと子プール) をサポートします。
親プール
親プールは、その容量を MDisk から受け取ります。プール内のすべての MDisk は、同じサイズのエクステントに分割されます。 ボリュームは、プール内で使用可能なエクステントから作成されます。いつでも MDisk をプールに追加して、新規ボリューム・コピーに使用できるエクステントの数を増やしたり、既存のボリューム・コピーを拡張することができます。システムは、ボリュームの最良のパフォーマンスを実現するために、自動的に MDisk 間のボリューム・エクステントのバランスを取ります。
MDisk で使用可能なスペースをトラッキングするために、システムはそれぞれの MDisk を等しいサイズのチャンクに分割します。 これらのチャンクはエクステント と呼ばれ、 内部的に索引が付けられます。 エクステント・サイズは 16、32、64、128、256、 512、1024、2048、4096、または 8192 MB にすることができます。 エクステント・サイズの選択は、システムが管理するストレージの総量に影響します。
新規の親プールを作成するときは、 エクステント・サイズを指定します。エクステント・サイズを後で変更することはできません。このサイズは、親プールの存続期間全体を通じて一定でなければなりません。
データ・マイグレーション機能は、エクステント・サイズが異なる親プールのボリュームのマイグレーションには使用できません。ただし、ボリューム・ミラーリングを使用して、エクステント・サイズが異なる親プールにデータを移動することができます。
ボリューム・ミラーリングを使用して、宛先プールからディスクのコピーを追加する。コピーが同期化した後、ソース・プール内のデータのコピーを削除することによってエクステントを解放することができます。FlashCopy® 機能を使用して、異なるプールにボリュームのコピーを作成することもできます。
1 つのシステムは、2^22 個のエクステントを管理できます。 例えば、エクステント・サイズが 16 MB である場合、システムは 16 MB x 16 MB = 64 TB のストレージを管理できます。
エクステント・サイズを選択する際、将来のニーズについて検討してください。 例えば、現在 40 TB のストレージがある場合、すべての親プールに対してエクステント・サイズを 16 MB に指定すると、将来のシステムの容量は 64 TB のストレージに制限されます。すべての親プールに対して 64 MB のエクステント・サイズを選択すると、システムの容量は 256 TB に増加します。
エクステント・サイズを大きく指定すると、ストレージが無駄になります。 ボリュームが作成される際、ボリュームのストレージ容量は整数個のエクステントに切り上げられます。多数の小さなボリュームでシステムを構成し、大きなエクステント・サイズを使用すると、それぞれのボリュームの最後でストレージが無駄になることがあります。
ボリューム・コピーに 700,000 を超えるエクステントがある場合、Easy Tier® とプール・バランシングには、システムの各ノードに少なくとも 8 GB の RAM が必要です。 現行のデフォルトの 1 GB エクステント・サイズと RAID-5 ストレージを前提とすると、これは、約 700 TB の管理対象ストレージと約 800 TB の未加工容量になります。 7.1 より前のデフォルトの 256 MB エクステント・サイズと RAID-5 ストレージを前提とすると、これは、約 180 TB の管理対象ストレージと約 200 TB の未加工容量になります。
これらのメモリー制限を超えると、Easy Tier およびプール・バランシングは使用不可になり、020008 アラート・イベントがイベント・ログに書き込まれます。 これを解決できる方法は、RAM 更新 をインストールするか、ボリュームを削除するか、または CLI を使用して一部のボリュームに対してプール・バランシングおよび Easy Tier を使用するかのいずれかの方法のみです。
親プールを作成または管理する際には、以下の一般ガイドラインを考慮してください。
子プール
子プールは、MDisk から直接作成されるのではなく、親プールに割り振られている既存の容量から作成されます。親プールと同様に、子プールに割り振られた容量を特に使用するボリュームを作成することができます。 子プールは、同様の属性を持つ親プールとほぼ同じであり、ボリューム・コピー操作に使用することができます。
子プールは、完全に割り振られた物理容量を使用して作成されます。 子プールの容量は、親プールが使用できる空き容量より小さくなければなりません。子プールに割り振られた容量は、その親プールのフリー・スペースとして報告されなくなります。
プールの状態
状態 | 説明 |
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オンライン | プールはオンラインになっており、使用可能です。プール内のすべての MDisk が使用可能です。 |
劣化パス | この状態は、システム内の 1 つ以上のノードがプール内の一部の MDisk にアクセスできないことを示します。劣化パス状態は、ストレージ・システムまたはファイバー・チャネル・ファブリックの誤った構成の結果である可能性が最も高い。 ただし、ストレージ・システム、ファイバー・チャネル・ファブリック、またはノードのハードウェア障害がこの状態の原因となっている場合もあります。 この状態からリカバリーするには、以下のステップを実行します。 |
劣化ポート | この状態は、プール内の MDisk に対して 1 つ以上の 1220 エラーが記録されたことを示します。 1220 エラーは、リモート・ファイバー・チャネル・ポートが MDisk から除外されたことを示します。このエラーによってストレージ・システムのパフォーマンスが悪くなり、通常、ストレージ・システムにハードウェア障害があることを示します。 この問題を修正するには、ストレージ・システムにハードウェア障害があればこれを解決し、イベント・ログの 1220 エラーを修正します。 ログ内のこれらのエラーを解決するには、管理 GUI で、 をクリックします。 このアクションによって、現在イベント・ログにある未修正エラーのリストが表示されます。 これらの未修正エラーについては、エラー名を選択し、指針付き保守手順を開始して、エラーを解決します。 エラーは降順でリストされ、最も優先順位が高いエラーが最初にリストされます。 最初に、最も優先順位が高いエラーを解決してください。 |
オフライン | プールはオフラインになっており、使用できません。システムにあるどのノードも MDisk にアクセスできません。 原因として最も可能性の高いのは、1 つ以上の MDisk がオフラインになっているか、
除外されていることです。
重要: プールにある 1 つのアレイ MDisk がオフラインになり、システム内のどのオンライン・ノードからも見えなくなると、この MDisk がメンバーになっているプールはオフラインになります。その結果、このプールによって提示されているすべてのボリューム・コピーがオフラインになります。プールを作成するときは、最適の構成になるように注意してください。
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