メトロ・ミラーおよびグローバル・ミラー

メトロ・ミラーおよびグローバル・ミラーは 2 つのタイプのリモート・コピー操作です。これらの機能を使用して、2 つのボリューム間の関係をセットアップすることができます。この関係では、一方のボリュームに対する更新が他方のボリュームにミラーリングされます。 メトロ・ミラーおよびグローバル・ミラーの操作の場合、ボリュームは 2 つの異なるシステム上 (システム間) に配置できます。メトロ・ミラーでは、同じシステム上 (システム内) にあるボリュームもサポートできます。 メトロ・ミラー機能およびグローバル・ミラー機能を使用するには、システム上にリモート・コピー・ライセンス・キーがインストールされている必要があります。この機能では、試用ライセンスを使用することができます。メトロ・ミラー機能およびグローバル・ミラー機能を使用するには、これらの機能を使用する予定の各エンクロージャーにリモート・コピー・ライセンスをインストールしておく必要があります。

データが書き込まれるボリュームは 1 つだけですが、システムにはそのデータのコピーが 2 つ維持されます。 2 つのコピーを隔てている距離が相当に大きい場合、メトロ・ミラー・コピーおよびグローバル・ミラー・コピーを災害時回復用のバックアップとして使用できます。 ファイバー・チャネルを介してシステム間で実行されるメトロ・ミラー操作およびグローバル・ミラー操作の前提条件は、これらのシステムが接続されている SAN ファブリックが、システム間に十分な帯域幅を提供していることです。SAN ファブリックは、IP のみの接続には必要ありません。

メトロ・ミラー・コピー・タイプとグローバル・ミラー・コピー・タイプのいずれにおいても、一方のボリュームは 1 次として指定され、もう一方のボリュームは 2 次として指定されます。 ホスト・アプリケーションは 1 次ボリュームにデータを書き込み、1 次ボリュームに対する更新は 2 次ボリュームにコピーされます。通常、ホスト・アプリケーションは、2 次ボリュームへの入出力操作を実行しません。

メトロ・ミラーとは、1 次ボリュームから 2 次ボリュームにデータの同期 コピーを作成する、リモート・コピーの一種です。 2 次ボリュームは、同じシステム上でも別のシステム上でも、どちらにも配置できます。同期コピーでは、ホスト・アプリケーションは、1 次ボリュームに書き込みますが、データが 2 次ボリュームに書き込まれるまで書き込み操作が完了したという確認を受信しません。これにより、コピー操作完了時に確実に両方のボリュームのデータが同一になります。初期コピー操作が完了した後、メトロ・ミラー機能は、ソース・データの完全に同期化されたコピーをターゲット・サイトで常に維持します。

グローバル・ミラー機能には、非同期 コピー処理があります。ホストが 1 次ボリュームに書き込みを行うと、2 次ボリュームでのコピーの書き込み操作が完了する前に、入出力完了の確認を受け取ります。

グローバル・ミラーがサイクルなしで動作している場合、書き込み操作は、1 次ボリュームに適用された後、できるだけ早く 2 次ボリュームに適用されます。 2 次ボリュームの 1 次ボリュームに対する遅延は、通常は 1 秒未満です。このため、フェイルオーバーが発生した場合にリカバリーしなければならないデータの量は最小限です。ただし、2 つのサイト間で高帯域幅リンクがプロビジョンされている必要があります。

システムは、以下のタイプの関係と整合性グループをサポートします。
  • メトロ・ミラー
  • グローバル・ミラー、変更ボリュームなし (サイクル・モードは「なし」に設定)
  • 変更ボリュームを使用するグローバル・ミラー (サイクル・モードを「複数」に設定)
必要に応じて、メトロ・ミラーまたはグローバル・ミラーのリモート・コピー関係または整合性グループを別のタイプで再作成することなく、その関係または整合性グループのコピー・タイプを変更することができます。例えば、長距離リンクの待ち時間がホストのパフォーマンスに影響を与える場合は、コピー・タイプをグローバル・ミラーに変更すると、待ち時間の長いリンク上でホストのパフォーマンスを向上させることができます。マルチサイクル・モードを持つグローバル・ミラー関係では、変更は追跡され、中間変更ボリュームにコピーされます。帯域幅の所要量を減らすために、変更は定期的に 2 次サイトに送信されます。メトロ・ミラー関係またはグローバル・ミラー関係、あるいは整合性グループを変更ボリュームのあるグローバル・ミラーを持つグローバル・ミラー (「Multiple」に設定されたサイクル・モード) に変更する場合は、関係または整合性グループで使用されるマスター・ボリュームと補助ボリュームの両方で変更ボリュームを作成する必要があります。
注: HyperSwap® (アクティブ - アクティブ) 関係や整合性グループのタイプは変更できません。
メトロ・ミラー機能およびグローバル・ミラー機能では、以下の操作がサポートされます。
  • ボリュームのシステム間コピー (一方のボリュームがあるシステムに属し、他方のボリュームが別のシステムに属する)。
    注: システムは、そのシステム自体および最大 3 つの他のシステムとの間で、アクティブなメトロ・ミラー関係およびグローバル・ミラー関係に参加できます。
  • システム間およびシステム内のメトロ・ミラー 関係は、同じシステム上で同時に使用できます。
  • システム間関係には双方向リンクがサポートされます。 すなわち、あるボリュームのペアでシステム A からシステム B にデータをコピーすると同時に、別のボリュームのペアでシステム B からシステム A にデータをコピーすることが可能です。
  • 整合した関係では、逆方向のコピーが可能です。
  • 関係および整合性グループのコピー・タイプは、メトロ・ミラーとグローバル・ミラー (変更ボリュームあり、またはなし) のうち、いずれかに変更できます。
  • 整合性グループは、同じアプリケーションについて同期を保つ必要のある一群の関係を管理するためにサポートされます。また、整合性グループに対して発行されたコマンドは、そのグループ内のすべての関係に適用されるので、管理が容易になります。
  • システムは、システム当たり最大 2048 個のメトロ・ミラーおよびグローバル・ミラーの関係をサポートします。