IP 協力関係を構築および構成する際は、以下の要件と制約について考慮してください。
- 2 システム間にのみ IP 協力関係を構築できます。
- 1 つのシステムは 1 つの IP 協力関係にのみ属することができます。
- 同じ層にある任意の 2 つの Storwize® 製品間に IP 協力関係を構築できます。つまり、両方のシステムがストレージ層または複製層にあることが必要です。
- リンク・ローカル・アドレッシングを使用できません。
- IPv4 アドレッシングを使用する場合、両方のシステムの管理 IP アドレスは IPv4 準拠であり、相互に接続性があることが必要です。
- IPv6 アドレッシングを使用する場合、両方のシステムの管理 IP アドレスは IPv6 準拠であり、相互に接続性があることが必要です。
- ご使用のシステムで、ポート上に IPv4 アドレッシングおよび IPv6 アドレッシングの両方がある場合、どちらか一方のアドレスでローカル・サイトとリモート・サイトの間のすべてのリモート・コピー・リンクを構成する必要があります。
- IP 協力関係には、各システムから最大 2 つの入出力グループからのポートを構成できます。
- ご使用のシステムで、10 Gbps イーサネット・ポートおよび 1 Gbps イーサネット・ポートの両方がある場合、どちらかの一方の速度でローカル・サイトとリモート・サイトの間のすべてのリモート・コピー・リンクを構成する必要があります。
- 1 つのシステムで、 ファイバー・チャネル経由と IP 経由の協力関係を同時に持つことができますが、それぞれ別個のシステムを使用する必要があります。
- IP パートナー・システムは、ファイバー・チャネルまたは Fibre Channel over Ethernet (FCoE) 接続を介して相互に認識されてはなりません。どちらのシステムのファイバー・チャネル/FCoE ポートも、svcinfo lsfabric コマンドへのパラメーターとして指定されてはなりません。
- アクティブな IP 協力関係の中で構成されたクラスター同士は、ファイバー・チャネル/FCoE では相互にゾーニングされてはなりません。
- iSCSI ホストは、IP 協力関係に参加している IP ポートを介してボリュームにアクセスできますが、このアクセスによってパフォーマンスに影響が及ぶ可能性があります。
- リモート・コピー用に構成された IP アドレスの VLAN タグ付けは、サポートされます。VLAN が構成される場合、同じリモート・コピー・グループ内のポートは両方のシステム上の同じ VLAN になければなりません。
- IP 協力関係でネットワーク・アドレス変換 (NAT) を使用しようとしないでください。IP 協力関係を確立できなくなります。
- 2 つのサイト間リンクを構成する場合は、それぞれのリンクに 1 つずつ、別個のリモート・コピー・グループを構成する必要があります。
- 1 つのサイト間リンクがある場合は、そのリンクに対して 1 つのリモート・コピー・ポート・グループを構成する必要があります。
- サイト間リンク/リモート・コピー・ポート・グループは 2 つまでサポートされています。
- リモート・コピー・ポート・グループが 1 つある場合、そのリモート・コピー・ポート・グループ内の 1 つの入出力グループの各ノードからポートを 1 つ構成します。
- 複数の入出力グループを持つシステムの場合、2 番目の入出力グループから、リモート・コピー・ポート・グループにポートを追加できます。
- 2 つのリモート・コピー・ポート・グループと 1 つの入出力グループがある場合、各システムで、1 つ目のリモート・コピー・ポート・グループ内の一方のノードから 1 つのポートを構成します。次に 2 つ目のリモート・コピー・ポート・グループ内の他方のノードから 1 つのポートを構成します。
- 複数の入出力グループを持つシステムの場合、2 番目の入出力グループから、2 つのリモート・コピー・ポート・グループそれぞれにポートを追加することができます。
- IP 協力関係では、1 つのノードの 1 つのポートのみを構成できます。
- スイッチを使用しない直接接続でシステムを接続する場合は、必ず直接接続リンクを 2 つのみ作成してください。直接接続リンクは両方とも同じ入出力グループ上に配置する必要があります。ポート・グループは 2 つ使用する必要があり、1 つのポート・グループには直接リンクされた 2 つのポートのみが含まれます。
- データ圧縮は IPv4 または IPv6 の協力関係でサポートされます。データ圧縮を有効にするには、IP 協力関係にある両方のシステムで、IP 協力関係の圧縮をサポートするソフトウェア・レベルが実行されていなければなりません。
- IP 協力関係全体で圧縮を有効にするには、各システムで圧縮を有効にする必要があります。
mkippartnership コマンドまたは chpartnership コマンドを使用してローカル・システムで圧縮を有効にすると、リモート・システムに送信されるデータが圧縮されます。
圧縮されたデータをローカル・システムに送信するには、IP 協力関係のリモート・システムでも圧縮を有効にする必要があります。
サポートされる IP 協力関係の構成
以下の一般的な構成がサポートされますが、各サイトで構成する入出力グループの数はそれぞれ異なっていてもかまいません。
構成 1: この構成では、単一のサイト間リンクのみ使用可能です。したがって、各ノード上で構成されるのは 1 つのリモート・コピー・ポート・グループのみです。
図 1. システムごとに、1 つのサイト間リンク、1 つの入出力グループ
各システム内のいずれかのノードから 1 つのポートのみが IP 協力関係にアクティブに参加します。他のポートはフェイルオーバー・ポートとして機能します。サイト H1 のノード H1 で重大な障害が検出された場合、IP 協力関係は、ノード H2 にフェイルオーバーして続行します。リモート・コピー関係は、フェイルオーバー中に一時的に停止することがあります。
構成 2: この構成では、1 つのサイト間リンクのみが使用可能です。各システム内の両方の入出力グループで、各ノード上に単一のリモート・コピー・ポート・グループが構成されています。ただし、すべての使用可能なポートの中から、各システム内のどちらかのノードからの 1 つだけのポートが、IP 協力関係にアクティブに参加します。
他のポートはフェイルオーバー・ポートとして機能します。
図 2. システムごとに、1 つのサイト間リンク、2 つの入出力グループ
サイト H のノード H1 で重大な障害が検出された場合、IP 協力関係は、ノード H2、H3、または H4 にフェイルオーバーして続行します。リモート・コピー関係は、フェイルオーバー中に一時的に停止することがあります。
構成 3: この構成では、8 ノードのシステムが使用可能です。しかし、IP 協力関係には、2 つの入出力グループのみサポートされます。
各システム内の両方の入出力グループで、各ノード上に単一のリモート・コピー・ポート・グループが構成されています。ただし、使用可能なすべてのポートのうち、各システムのいずれかのノードからの 1 つのポートのみが、実際に IP 協力関係に参加します。その他のポートはフェイルオーバー・ポートとして機能します。
注: 構成 3 は、4 つの入出力グループを持つシステムにも適用されます。IP 協力関係には、1 つのシステム内の 2 つの入出力グループのみを使用できます。
図 3. システムごとに、1 つのサイト間リンク、3 つの入出力グループ
サイト 1 のノード H1 で重大な障害が検出された場合、IP 協力関係は、ノード H2、H3、または H4 にフェイルオーバーして続行します。リモート・コピー関係は、フェイルオーバー中に一時的に停止することがあります。
構成 4: この構成では、2 つのサイト間リンクが使用可能です。そのため、2 つのリモート・コピー・ポート・グループが構成されます。各システム内の各ノードの 1 つのポートが、実際に IP 協力関係に参加します。サイト H のノード H1 で重大な障害が検出された場合、IP 協力関係は、ノード H2 上の他方のポートを介して操作を続行します。
このシナリオでは障害が発生しませんが、有効帯域幅は半分に減ります。IP 協力関係トラフィックを可能にする 2 つのリンクのうち、1 つしか使用できません。
障害が修正されると、ポートはフェイルバックし、IP 協力関係は両方のリンクを介して操作を続行します。
図 4. システムごとに、2 つのサイト間リンク、1 つの入出力グループ
構成 5: このマルチノード構成では、2 つのサイト間リンクが使用可能です。2 つのリモート・コピー・ポート・グループが構成されます。リモート・コピー・ポート・グループ「1」と「2」に 4 つのポート (ノードごとに 1 つ) が構成されます。
4 つのポートのうち 2 つのポートのみが、実際に IP 協力関係を可能にするために利用されます。このポートとパスの選択は、内部アルゴリズムによって維持されます。その他のポートはフェイルオーバー・ポートとして機能します。
図 5. システムごとに、2 つのサイト間リンク、2 つの入出力グループ
サイト H のノード H1 で重大な障害が発生した場合、IP 協力関係は、ノード H3 にフェイルオーバーして続行します。フェイルオーバーが即時に実施され、IP 協力関係トラフィックがノード H2 から続行している間に素早く完了するため、リンク帯域幅には影響がありません。
構成 6: この構成では、8 ノードのシステムが使用可能です。ただし、IP 協力関係で現在サポートされるのは入出力グループ 2 つのみです。
各システムの両方の入出力グループで、リモート・コピー・ポート・グループの「1」と「2」に 4 つのポート (ノードごとに 1 つ) が構成されています。
4 つのポートのうち 2 つのポートのみが実際に、IP 協力関係を可能にするために利用されます。このポートとパスの選択は、内部アルゴリズムによって管理されます。他のポートはフェイルオーバー・ポートとして機能します。
注: 構成 6 は、4 つの入出力グループを持つシステムにも適用されます。IP 協力関係には、1 つのシステム内の 2 つの入出力グループのみを使用できます。
図 6. システムごとに、2 つのサイト間リンク、3 つの入出力グループ
サイト H のノード H1 で重大な障害が検出された場合、IP 協力関係は、ノード H3 にフェイルオーバーして続行します。フェイルオーバーが即時に実施され、IP 協力関係トラフィックがノード H2 から続行している間に素早く完了するため、リンク帯域幅には影響がありません。その他の入出力グループ、またはすべての入出力グループは、ファイバー・チャネル協力関係を介して別のシステムに接続できます。