コピー・サービス、ボリューム・ミラーリング、または RAID 用のビットマップ・スペースの構成

コピー・サービス機能および RAID では、機能を作動させるために、少量のボリューム・キャッシュをキャッシュ・メモリーからビットマップ・メモリーに変換する必要があります。いずれかの機能を使用しようとしたときに十分なビットマップ・スペースが割り振られていないと、構成を完了することができません。

始める前に

これらの機能に専用にすることができる合計メモリーは、システム内の物理メモリーによって定義されません。メモリーは、メモリーを使用するソフトウェア機能によって制約されます。

システムの取り付けの計画時に、拡張機能についての今後の要件を検討してください。次の表を確認してメモリー所要量を計算し、ご使用のシステムが全体の設置サイズに対応できることを確認してください。

表 1 で、システムにおけるビットマップ・スペースの構成を説明します。

表 1. ビットマップ・スペースのデフォルト構成
コピー・
サービス
最小割り振りのビットマップ・スペース デフォルト割り振りの
ビットマップ・
スペース
最大割り振りのビットマップ・スペース デフォルト値を使用した場合の最小1 機能
リモート・コピー2 0 20 MiB 512 MiB 40 TiB の リモート・ミラーリング容量
FlashCopy® 3 0 20 MiB 512 MiB 10 TiB の FlashCopy ソース・ボリューム容量

5 TiB の差分 FlashCopy ソース・ボリューム容量

ボリューム・ミラーリング 0 20 MiB 512 MiB 40 TiB のミラーリングされたボリューム
RAID 0 40 MiB 512 MiB RAID 0、1、または 10 を使用する 80 TiB のアレイ容量

3 ディスク構成の RAID 5 アレイの 80 TiB のアレイ容量

5 ディスク構成の RAID 6 アレイの 120 TiB よりやや小さいアレイ容量

1 つの入出力グループに対するすべてのビットマップ・メモリー割り振りの合計は、552 MiB を超えてはなりません。

1 実際の機能量は、グレーン・サイズやストリップ・サイズなどの設定に基づいて増加する場合があります。 RAID では、15% のエラー・マージンを含むことが前提です。 詳しくは、表 3 を参照してください。

2 リモート・コピーには、メトロ・ミラーグローバル・ミラーが含まれます。

3 FlashCopy には、FlashCopy 機能と、変更ボリュームを使用するグローバル・ミラーが含まれます。

以下の表に、さまざまなコピー・サービス機能および RAID の構成に必要なビットマップ・スペースの量を示します。

この表は、リモート・ミラーリング機能、FlashCopy 機能、およびボリューム・ミラーリングに必要なメモリー量の例を示しています。

表 2. 必要なメモリーの例
機能 グレーン・サイズ 1 MiB のメモリーでは、指定された入出力グループに対して以下のボリューム容量を提供します
リモート・コピー 256 KiB 2 TiB のメトロ・ミラーまたはグローバル・ミラーの合計ボリューム容量
FlashCopy 256 KiB 2 TiB の FlashCopy ソース・ボリュームの合計容量
FlashCopy 64 KiB 512 GiB の FlashCopy ソース・ボリュームの合計容量
差分 FlashCopy 256 KiB 1 TiB の差分 FlashCopy ソース・ボリュームの合計容量
差分 FlashCopy 64 KiB 256 GiB の差分 FlashCopy ソース・ボリュームの合計容量
ボリューム・ミラーリング 256 KiB 2 TiB のミラーリングされたボリューム容量
注:
  1. FlashCopy ターゲットが複数の場合は、マッピング数を考慮する必要があります。 例えば、グレーン・サイズが 256 KiB のマッピングの場合は、8 KiB のメモリーにより、16 GiB のソース・ボリュームと 16 GiB のターゲット・ボリューム間で 1 つのマッピングが可能です。あるいは、グレーン・サイズが 256 KiB のマッピングの場合は、8 KiB のメモリーにより、8 GiB の 1 つのソース・ボリュームと 8 GiB の 2 つのターゲット・ボリューム間で 2 つのマッピングが可能です。
  2. FlashCopy マッピングを作成する際に、ソース・ボリュームの入出力グループ以外の入出力グループを指定すると、メモリー・アカウンティングは、ソース・ボリュームの入出力グループではなく、指定された入出力グループに向けて行われます。
  3. ボリューム・ミラーリングの場合、512 MiB のメモリー・スペース全体で、合計 1 PiB のボリューム・ミラーリング容量が可能になります。
  4. 新規の FlashCopy 関係またはミラーリングされたボリュームを作成する際に、必要に応じて、追加のビットマップ・スペースがシステムで自動的に割り振られます。
構成変更を指定する前に、次の要因を考慮してください。
  • FlashCopy マッピングの場合、1 つの入出力グループのみがビットマップ・スペースを消費します。 デフォルトでは、ソース・ボリュームの入出力グループが使用されます。
  • ビットマップは最小で 4 KiB であるため、512 バイトのボリュームには 4 KiB のビットマップ・スペースが必要です。
既存のシステムでは、以下の要因も検討してください。
  • FlashCopy マッピングおよびミラーリング・ボリューム、またはフォーマットされた完全割り振りボリュームを作成する場合、システムは、使用可能なビットマップ・スペースを自動的に増やそうとします。このスペースを手動で増やす必要はありません。
  • メトロ・ミラー関係およびグローバル・ミラー関係は、使用可能なビットマップ・スペースを自動的に増やしません。chiogrp コマンドを使用して、マスター・システムと補助システムの一方または両方のスペースを手動で増やすことが必要になる場合があります。
  • これらのオブジェクトの多数を作成してから削除する場合、chiogrp コマンドを使用して、これらの機能のために予約されているメモリーを減らして、そのメモリーを別の用途のために解放することを検討してください

この表は、ビットマップ・メモリーの RAID 要件を示しています。

表 3. RAID 要件
RAID レベル ストリップ・サイズ 必要なビットマップ・
メモリーの概算
RAID 0、1、または 10 適用されません 2 TiB のアレイ容量ごとに、1 MB のビットマップ・スペース。
RAID 5 および RAID 6 128 KiB アレイの最小ドライブ上の 1 TiB の容量ごとに、1 MiB のビットマップ・スペース。
256 KiB アレイの最小ドライブ上の 2 TiB の容量ごとに、1 MiB のビットマップ・スペース。
256 KiB アレイの最小ドライブ上の 2 TiB の容量ごとに、1 MiB のビットマップ・スペース。
注: 概算ビットマップ・メモリー使用量では、約 15% の誤差範囲があります。例えば、256 KiB RAID 5 アレイの使用量は、最初の 2 TiB のドライブ容量に対して約 1.15 MiB になります。

また、lsiogrp および chiogrp コマンド・ライン・インターフェース (CLI) コマンドを使用して、設定を変更することもできます。