バックグラウンド・コピー率と消去率

FlashCopy® マッピング・コピー は、1 から 100 までの値にすることができ、FlashCopy マッピングがどのような状態にあるときでも変更できます。

NOCOPY が指定された場合、バックグラウンド・コピーは使用不可です。 例えば、バックアップの場合のみに使用される、一時的な FlashCopy マッピングには NOCOPY を指定できます。 ソース・データ・セットは、FlashCopy マッピングの存続期間中に大幅に変わることはないと予想されるため、管理対象ディスク (MDisk) の入出力に関してはバックグラウンド・コピーを行わない方がより効率的です。
注: コマンド・ライン・インターフェース (CLI) の場合、NOCOPY という値は、コピー率を 0 (ゼロ) に設定するのと同じです。

コピーされるデータ/秒およびグレーン/秒の数値は、システムが達成を試みる標準を表します。システムは、フォアグラウンド入出力の要件を考慮した後、ノードから管理対象ディスクを構成する物理ディスクまでに使用可能な帯域幅が十分でない場合、これらの標準を達成できません。このような状況が生ずると、バックグラウンド・コピー入出力はホストからの入出力と対等にリソースを争います。帯域幅が制限されていなかった場合、この状況では、どちらの入出力でも待ち時間が増大し、結果的にスループットが減少する傾向にあります。 バックグラウンド・コピー、停止中コピー、およびフォアグラウンド入出力は順方向に進行し続け、ノードが停止またはハングしたり、 ノードで障害が発生したりすることはありません。

注: FlashCopy 操作は、多数の小さいコピー操作に分解され、それぞれがグレーン 単位で実行されます。グレーンは、グレーン・サイズのビットによって表されるデータの単位です。各グレーン・コピー操作は、ソース・ボリュームからグレーン・サイズ・ビットを読み取り、ターゲット・ボリュームにグレーン・サイズ・ビットを書き込みます。 システムがコピー同期を管理する細分度は、そのグレーンによって測定されます。システムは、オーバーラップしない一連のデータ・シーケンス、またはグレーンとしてボリュームをモデル化します。 最初のグレーンはボリュームの先頭にあります。グレーン間にギャップはありません。同じグレーン・サイズのグレーンは、すべて同じ長さです。 1 つのグレーンの境界内にある変更をホストが書き込むと、そのグレーン全体がそのボリュームの他のコピーに書き込まれます。書き込み操作がグレーンより大きいか、グレーン境界にオーバーラップする場合、少なくとも 2 つのグレーンのデータがコピーされます。

バックグラウンド・コピーは、 ソース・ボリュームがある入出力グループに属するいずれかのノードによって行われます。 バックグラウンド・コピーおよび停止中コピーを実行するノードで障害が発生した場合、コピーを実行する責任は入出力グループのもう一方のノードに移ります。

バックグラウンド・コピーは、最小の論理ブロック番号 (LBA)、すなわち LBA 0 が含まれているグレーンで開始されます。その後、コピーは最大の LBA が含まれているグレーンに向かって順方向に進行します。

停止中コピー操作では、停止中マップ上で分割されたそれぞれのグレーンが、そのグレーンに従属する次のマップ (存在する場合) にコピーされます。操作は、最高の LBA が含まれているグレーンの探索で開始され、LBA 0 が含まれているグレーンに向かって逆方向に進行します。他のマップが従属しているグレーンだけがコピーされます。

クリーニング・モード

FlashCopy マッピングを作成または変更するときは、バックグラウンドのコピー率から独立して、FlashCopy マッピングの消去率を指定できます。 表 1 に示されている消去率は、クリーニング処理が作動する際の速度を制御します。 クリーニング処理では、マッピングのターゲット・ボリュームから、このデータに従属する他のマッピングのターゲット・ボリュームにデータがコピーされます。FlashCopy マッピングが停止状態に進むには、クリーニング処理が完了している必要があります。

クリーニング・モードでは、FlashCopy マッピングがコピー状態にあるときに、クリーニング処理をアクティブにできます。 これにより、クリーニング処理の稼働中、ターゲット・ボリュームはアクセス可能に維持されます。 このモードで作動するときは、入出力操作がターゲット・ボリュームに新規データをコピーし続ける場合は、ホスト入出力操作によってクリーニング処理が 100% に達しない可能性があります。 しかし、マッピングが停止中にクリーニングを必要とするデータ量を最小限に抑えることが可能です。

バックグラウンド・コピーの進行が 100% に到達し、マッピングがコピー中状態にあるか、あるいはバックグラウンド・コピー率が 0 に設定されている場合は、クリーニング・モードはアクティブです。

表 1 は、コピーおよびクリーニングの速度 値と、1 秒あたりに分割されるグレーンの目標数との関係を示しています。 グレーンは、グレーン・サイズのビットによって表されるデータの単位です。
表 1. クリーニングレート、データ・レート、および 1 秒当たりのグレーン数の値の関係
ユーザー指定のクリーニングの属性値 コピーされるデータ/秒 256 KB グレーン/秒 64 KB グレーン/秒
1 から 10 128 KB 0.5 2
11 から 20 256 KB 1 4
21 から 30 512 KB 2 8
31 から 40 1 MB 4 16
41 から 50 2 MB 8 32
51 から 60 4 MB 16 64
61 から 70 8 MB 32 128
71 から 80 16 MB 64 256
81 から 90 32 MB 128 512
91 から 100 64 MB 256 1024