リモート・コピー・ポート・グループ

リモート・コピー・ポート・グループは IP 協力関係に固有で、IP 協力関係を経由して相互にアクセス可能なローカルおよびリモートの IP アドレスからなります。リモート・コピー・ポート・グループには、ローカル・システムの IP アドレス、およびリモート・システムの IP アドレスが、それぞれ少なくとも 1 つずつ含まれている必要があります。IP 協力関係を確立するには、ポートを構成して、それらをリモート・コピー・ポート・グループ番号に割り当てる必要があります。

リモート・コピー・ポート・グループは、1 組の IP アドレスを識別する 0 から 2 までの番号で指定されます。これらのポート・グループは、次のように定義されています。

  • グループ 0 – これらのポートはリモート・コピー用には構成されません (デフォルトで iSCSI ホスト接続をサポートします)
  • グループ 1 – リモート・コピー・ポート・グループ 1 に属するポート
  • グループ 2 – リモート・コピー・ポート・グループ 2 に属するポート

システムは、ポート・グループ 1 および 2 の中から、1 つの IP アドレス・ペア (システムごとに 1 つ) を選択し、それらの間にリモート・コピー接続を開きます。

注: 各 IP アドレスは、iSCSI ホスト接続とリモート・コピー機能で共有される可能性があります。そのため、各 IP アドレスには適切な設定を適用する必要があります。

リモート・コピー用に構成された IP アドレスの VLAN タグ付けは、サポートされます。VLAN を構成する場合、同じリモート・コピー・グループ内のポートは両方のシステム上の同じ VLAN 上に存在しなければなりません。

使用されるポートと使用されないポートの判別

IP 協力関係が作成されると、コマンド・ラインから svcinfo lsportip コマンドを入力して、リモート・コピー操作に実際に使用されているポートのサブセットを判別できます。 この情報が役立つのは、システム間リンクが 1 つだけ存在し、同じリモート・コピー・ポート・グループ内に別の IP ポートを構成してある場合です。この情報は、リモート・システムとの IP 協力関係内に 2 つの入出力グループが構成されている場合にも役立ちます。この情報によりユーザーは、どのポートが IP 協力関係にアクティブに参加しているか、どのポートがフェイルオーバー・ポートとして作動できるかについて認識できます。

lsportip の出力で、remote_copy_status フィールド (または IPv6 ポートの場合は remote_copy_status6) はポートの状況を示します。
used
このポートは、IP 協力関係で使用するように構成されており、リモート・コピー・データの送受信用にシステムによって選択されています。
unused
このポートは、IP 協力関係で使用するように構成されていますが、現在、リモート・コピー・データの送受信用に選択されていません。
ブランク
このポートは、IP 協力関係で使用するように構成されていません。

次の例は、lsportip コマンドの出力を示しています。

lsportip
id	node_id node_name IP_address mask gateway IP_address_6 prefix_6 gateway_6 MAC duplex state speed failover link_state host remote_copy host_6 remote_copy_6
remote_copy_status remote_copy_status_6
1	1 node1 9.71.48.64 255.255.254.0 9.71.48.1 e4:1f:13:75:8d:d8 Full configured 100Mb/s no active yes 0 0
1	1 node1 e4:1f:13:75:8d:d8 Full configured 100Mb/s yes active 0 0
2	1 node1 10.10.12.12 255.255.255.0 10.10.12.1 e4:1f:13:75:8d:d7 Full configured 1Gb/s no active no 0 0
2	1 node1 e4:1f:13:75:8d:d7 Full configured 1Gb/s yes active 0 0
3	1 node1 10.10.13.12 255.255.255.0 10.10.13.1 00:00:c9:cd:0b:8e Full configured 10Gb/s no active no 1 0 used
3	1 node1 00:00:c9:cd:0b:8e Full unconfigured 10Gb/s yes active 0 0
4	1 node1 00:00:c9:cd:0b:90 unconfigured no inactive 0 0
4	1 node1 00:00:c9:cd:0b:90 configured yes inactive 0 0
1	2 node2 9.71.48.122 255.255.254.0 9.71.48.1 e4:1f:13:75:5d:24 Full configured 100Mb/s no active yes 0 0
1	2 node2 e4:1f:13:75:5d:24 Full configured 100Mb/s yes active 0 0
2	2 node2 10.10.22.12 255.255.255.0 10.10.22.1 e4:1f:13:75:5d:23 Full configured 1Gb/s no active no 0 0
2	2 node2 e4:1f:13:75:5d:23 Full configured 1Gb/s yes active 0 0
3	2 node2 00:00:c9:d2:66:f2 unconfigured no inactive 0 0
3	2 node2 00:00:c9:d2:66:f2 configured yes inactive 0 0
4	2 node2 10.10.24.12 255.255.255.0 10.10.24.1 00:00:c9:d2:66:f4 Full configured 10Gb/s no active no 0 0
4	2 node2 00:00:c9:d2:66:f4 Full unconfigured 10Gb/s yes active 0 0

この情報は、管理 GUI「設定」>「ネットワーク」>「イーサネット・ポート」を選択しても、取得できます。リモート・コピー・ポート・グループの構成方法については、IP 協力関係の構成を参照してください。

ポート・グループ内、およびポート・グループ間のフェイルオーバー操作

1 つのリモート・コピー・ポート・グループ内では、1 度にリモート・コピー・データの送受信用に各システムから選択されるポートは 1 つのみです。そのため、各システムでは、各リモート・コピー・ポート・グループごとに「used」と報告されるポートは多くても 1 つです。

IP 協力関係が IP ポートを介して続行できなくなる場合、システムはそのリモート・コピー・ポート・グループ内の別のポートにフェイルオーバーします。これが発生する理由はいくつか考えられます。そのポートが接続されているスイッチに障害が発生した、ノード・キャニスター がオフラインになった、またはポートが接続されているケーブルのプラグが抜かれたなどです。

フェイルオーバー中に IP 協力関係を続行するためには、リモート・コピー・ポート・グループ内に複数のポートを構成する必要があります。2 つのシステム間にリンクが 1 つのみ構成されている場合は、リモート・コピー・ポート・グループ内で 2 つのポート (ノードごとに 1 つずつ) 構成する必要があります。これら 2 つのポートは、同じ入出力グループ内または個別の入出力グループ内の 2 つのノード上に構成できます。IP 協力関係の要件 の構成 4、 5、および 6 は、サポートされる二重リンク構成です。

フェイルオーバーの進行中、短い時間、IP 協力関係にある 2 つのシステム間でリモート・コピー・ポート・グループ内の接続がなくなります。通常、フェイルオーバーは 30 秒から 1 分以内に完了するはずです。2 つのリモート・コピー・ポート・グループを持つシステムが構成されている場合、各ポート・グループ内のフェイルオーバー・プロセスは互いに独立して続けられます。

注: このシナリオでは、どちらのシステムのノード でも多くとも 1 つのポートが IP 協力関係用に構成されていることを確認してください。

2 つのシステム間にリンクが 1 つしか構成されていない場合の欠点は、フェイルオーバー中にディスカバリーが開始されることです。ディスカバリーが成功すると、IP 協力関係が再確立されます。その結果、その関係が停止する可能性が生じ、手動での再開が必要になる場合があります。 2 つのシステム間リンクを構成するには、2 つのリモート・コピー・ポート・グループを構成する必要があります。

このシナリオでは、ノード に障害が起こった場合、IP 協力関係は、ノードの障害が修正されるまで他のリンクを介して続行することできます。。 いずれのリンクも再びアクティブになり、IP 協力関係によって使用できるようになると、フェイルバックが実施されます。ディスカバリーが起動され、アクティブな IP 協力関係データ・パスが、新規 IP アドレスから利用可能になります。 2 ノードのシステムの場合、あるいは複数の入出力グループがあり、別の入出力グループ内のノードには、リモート・コピー・ポート・グループ内に事前に定義されている IP ポートがある場合、ディスカバリーが起動され、アクティブな IP 協力関係データ・パスが、新規 IP アドレスから利用可能になります。