シン・プロビジョニング・ボリューム
ボリュームを作成するときに、ボリュームの容量を節約するためにシン・プロビジョニングとしてボリュームを指定できます。シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) には、さまざまな仮想容量と実容量があります。
シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) の仮想容量は、一般的にその実容量よりかなり大きくなります。 各システムは、実容量を使用して、ボリュームに書き込まれたデータ、およびボリュームのシン・プロビジョニング構成を記述するメタデータを保管します。ボリュームに書き込まれる情報が増えると、使用される実容量が増えます。 システムは、仮想容量の書き込まれていない部分への読み取り操作を識別し、実容量を全く使用しないでサーバーにゼロを戻します。
システムは、シン・プロビジョニング・ボリューム の内容を記述する特別なメタデータを維持する必要があります。 結果として、シン・プロビジョニング・ボリュームから得られる入出力速度は、同じ MDisk 上に割り振られた完全割り振りボリュームから得られる速度より遅くなります。
また、シン・プロビジョニング・ボリュームを使用すれば、サーバー管理を容易にするのにも役立つ場合があります。ある容量を持つボリュームをアプリケーションに割り当て、アプリケーションのニーズの変化に応じてその容量を増やすのではなく、アプリケーション用に大きな仮想容量を持つボリュームを構成することができます。その上で、アプリケーションまたはサーバーの処理を中断することなく、アプリケーションのニーズの変化に応じて実容量を増加または縮小することができます。
シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を構成するとき、 警告レベル属性を使用して、 使用した実容量が、仮想容量の全体のうちの指定した量またはパーセントを超えたときに警告イベントを生成できます。 また、警告イベントを使用して、 他の処置を起動する (低い優先度のアプリケーションをオフラインにする、データを他のストレージ・プールに移行するなど) ようにできます。
シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) が書き込み操作用に 十分な実容量を持っていない場合、ボリュームはオフラインにされ、 エラーがログに記録されます (エラー・コード 1865、イベント ID 060001)。 シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume)へのアクセスを復旧するには、ボリュームの実容量を大きくするか、ボリュームが割り振られているストレージ・プールのサイズを大きくします。
シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を作成するときに、32 KB、64 KB、128 KB、または 256 KB チャンクでスペースを割り振るためのグレーン・サイズを選択できます。 選択するグレーン・サイズは、シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) の最大仮想容量に影響を与えます。 デフォルトのグレーン・サイズは 256 KB で、このオプションを強くお勧めします。 グレーン・サイズに 32 KB を選択した場合、ボリュームは 260,000 GB を超えることはできません。 シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) の作成後はグレーン・サイズを変更できません。一般に、グレーン・サイズが小さいほどスペースが節約されますが、アクセスが必要なメタデータが増え、これがパフォーマンスに望ましくない影響を与える可能性があります。 シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を FlashCopy® ソースまたはターゲット・ボリュームとして使用しない場合、 パフォーマンスを最大化するために 256 KB を使用します。 シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を FlashCopy ソースまたはターゲット・ボリュームとして使用する場合は、ボリュームと FlashCopy 機能に同じグレーン・サイズを指定します。
シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を作成するとき、 パフォーマンスを最大化するために、キャッシュ・モードを readwrite に設定します。 キャッシュ・モードが none に設定されている場合、 システムはシン・プロビジョニング・メタデータをキャッシュに入れることができず、そのためにパフォーマンスが低下します。
自動拡張機能を使用することにより、シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) が その容量を使い過ぎてオフラインになることが防げます。 シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) が容量を 使用すると、自動拡張機能が使用スペースの急増対応を考慮した容量 と呼ばれる未使用の実容量の固定量を維持します。 自動拡張機能を指定して構成されていないシン・プロビジョニング・ボリュームの場合、使用スペースの急増対応を考慮した容量が使用し尽くされる可能性があり、ボリュームがオフラインになる原因になります。アプリケーションが、自動拡張機能を持った シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を 必要としているかどうかを判別するには、自動拡張機能をオフにした シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を作成します。 アプリケーションが原因でボリュームが容量を使い尽くしてオフラインになる場合は、 自動拡張機能をオンにした シン・プロビジョニング・ボリューム (thin-provisioned volume) を作成することができます。