IBM Spectrum Accelerate ストレージ・システムからのデータのマイグレーション
iSCSI 接続を使用して、外部 IBM Spectrum Accelerate™ システムから Storwize® V3700 ・システムにデータをマイグレーションできます。
始める前に
- iSCSI イニシエーターおよびターゲット・システムが、iSCSI マイグレーションをサポートできるレベルのソフトウェアを実行していることを確認します。Storwize V3700 システムには、ソフトウェアのバージョン 7.7.1 以降が必要です。
- iSCSI ターゲット・ストレージ・システムにインストールされているファームウェアが、製造メーカー推奨のレベルのものであることを確認します。詳しくは、ストレージ・システムに付属の製品資料を参照してください。
- 各システムでイーサネット・ポートが使用可能であり、それらがサポートされていることを確認します。
- 使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用して、Storwize V3700 ・システムと iSCSI ターゲット・ストレージ・コントローラーの間の iSCSI 接続を確立できます。
- パフォーマンス・ボトルネックを回避するために、iSCSI イニシエーター・システムとターゲット・システムで同じ速度のイーサネット・ポートを使用する必要があります。 異なる速度で動作するイーサネット・リンクを組み合わせて使用しないでください。
- 各システムのイーサネット・ポートに接続するために適切な数のイーサネット・ケーブルおよびスイッチがあることを確認します。
- 各システムの適切なイーサネット・ポートが適切なイーサネット・スイッチに接続されていることを確認します。
完全な冗長性とスループットの向上を実現するには、2 つ以上のイーサネット・スイッチを使用してください。同様に、各システムの各ノードにある番号付きイーサネット・ポートは、同じスイッチに接続する必要があります。これらは、必ず同じサブネットまたは VLAN 上で構成してください。
IBM Spectrum Accelerate ストレージ・システムでは水平方向のスケールアウト機能がサポートされます。つまり、単一のシステムで 3 個から 15 個のノードをターゲットとして使用できます。 ただし、すべてのノードでは、すべての接続を処理する単一の共通した IQN が使用されます。フォールト・トレランスを実現するために、2 つ以上のソース・ポートに対して少なくとも 2 つのターゲット・ノードを構成してください。 ストレージ接続に使用できるソース・ポートの可用性に応じて、ソース・システムとターゲットの間に追加の接続を構成できます。
例えば、図 1 は、Storwize V3700 ・システム (iSCSI イニシエーター) と IBM Spectrum Accelerate システム (iSCSI ターゲット) の間の iSCSI 接続を示しています。
この図は、システムと IBM Spectrum Accelerate 外部ストレージ・システムとの間の接続を説明しています。この図で、システムは 2 つのノードを含む 2 つの入出力グループで構成されています。 各ノードには最大で 4 つのイニシエーター・ポートがあり、うち 2 つは、2 つのスイッチを介してストレージ・システム上のターゲット・ポートに接続するように構成されています。 各ノードの他の 2 つのポートは構成されていません。各イニシエーター上の最初のポート (オレンジ色) とターゲット・ノードはイーサネット・スイッチ 1 を介して接続されます。各イニシエーター上の 2 番目のポート (青色) とターゲット・ノードはイーサネット・スイッチ 2 を介して接続されます。IBM Spectrum Accelerate ストレージ・システム上のすべてのターゲット・ノードは単一の共通した iSCSI ターゲット IQN を使用し、すべてのボリュームにはすべてのターゲット・ノードを通じてアクセスできます。 イニシエーター・システムからの接続は 2 つ以上のターゲット・ノードに対して確立する必要があります。 システム上の使用可能なソース・ポートは、外部ストレージへの接続用に構成する必要があります。 ノードが外部ストレージ用に使用可能でない場合、そのノード上のポートは接続用のソース・ポートとして使用できません。 ノードをストレージ用に使用可能にするには、「設定」 > 「ネットワーク」 > 「イーサネット・ポート」を選択します。ポートを右クリックし、「ストレージ・ポートの変更」を選択して、そのポートをストレージ・システムへの iSCSI 接続に使用できるようにします。
図 1. IBM Spectrum Accelerate (iSCSI ターゲット) への iSCSI 接続の例
IBM Spectrum Accelerate システムでのサポートの構成については、IBM Spectrum Accelerate ストレージ・システムの構成を参照してください。
手順
ケーブル接続とシステムの構成
- イーサネット・ケーブルを、Storwize V3700 システム (iSCSI イニシエーター) 上のポートから適切なイーサネット・スイッチに接続します。使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用してください。
- イーサネット・ケーブルを、IBM Spectrum Accelerate システム (iSCSI ターゲット) 上のポートから適切なイーサネット・スイッチに接続します。使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用してください。
- すべてのホスト入出力操作を停止します。
- IBM Spectrum Accelerate システムで、ホストからマイグレーションするデータを含む論理ドライブをマップ解除します。
- IBM Spectrum Accelerateシステムで、Storwize V3700
iSCSI イニシエーター・システムにマイグレーションしたいボリュームのサイズを取得します。これを行うには、以下のコマンドを入力します。ここで、volume_name は特定のボリュームの名前です。
volume show volume_name
- Storwize V3700
・システムがレプリカ生成層として構成されていることを確認します。これを行うには、次の lssystem コマンドを入力します。
svcinfo lssystem
- Storwize V3700
・システムが正しく構成されていない場合は、次の chsystem コマンドを入力します。
svctask chsystem -layer replication
- Storwize V3700
・システムが正しく構成されていない場合は、次の chsystem コマンドを入力します。
iSCSI 接続の確立
- Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムで、以下のコマンドを入力して、システムの IP アドレスまたは iSCSI 修飾名 (IQN) を取得します。
- IP アドレスを表示するには、lsportip コマンドを入力します。
svcinfo lsportip
- IQN 名を表示するには、lsnodecanister コマンドを入力します。
svcinfo lsnodecanister
- IP アドレスを表示するには、lsportip コマンドを入力します。
- Storwize V3700
・システムで、次の cfgportip コマンドを入力して、ターゲット・ストレージ・システムへの iSCSI 接続に使用できるポートを 1 つ以上構成します。
svctask cfgportip –node nodename -storage yes port_id
注: IPv6 アドレスを使用してポートを構成する場合は、コマンドに -storage-6 パラメーターを指定します。 - IBM Spectrum Accelerate システムで、Storwize V3700
システムにマイグレーションしたいデータが含まれているボリュームをマップします。これを行うには、以下のいずれかのコマンドを入力します。
- iSCSI イニシエーター・システムの IPv4 アドレスを使用してボリュームをマップするには、以下のコマンドを入力します。
select volume_name access create ipaddress ip_address
- iSCSI イニシエーター・システムの iSCSI 修飾名 (IQN) を使用してボリュームをマップするには、以下のコマンドを入力します。
select volume_name access create initiator iqn_name
- iSCSI イニシエーター・システムの IPv4 アドレスを使用してボリュームをマップするには、以下のコマンドを入力します。
- Storwize V3700
・システムで、detectiscsistorageportcandidate コマンドを入力して、iSCSI ターゲット・システム上の使用可能なポートをディスカバーします。source_port_id は、ディスカバリーを行う際に使用する、Storwize V3700
iSCSI イニシエーター・システム上のイーサネット・ポートです。ipv4_addr は IBM Spectrum Accelerate システム (iSCSI ターゲット) の IP アドレスです。
svctask detectiscsistorageportcandidate –srcportid source_port_id -targetip ipv4_addr
注:- iSCSI ターゲット・システム上のポートを IPv6 アドレスを使用して構成する場合は、コマンドに -targetip6 パラメーターを指定します。
- 要求を認証するために、iSCSI ターゲット・システムでもユーザー名と CHAP 情報が必要になる場合があります。以下の例に示すように、必ず、正しい tgt_user_name値と target_chap 値をコマンドに指定してください。
svctask detectiscsistorageportcandidate –srcportid source_port_id -targetip ipv4_addr -username tgt_user_name -chapsecret target_chap
- Storwize V3700
iSCSI イニシエーター・システムでディスカバーされた iSCSI ポートに関する情報を表示します。lsiscsistorageportcandidate コマンドは、iSCSI 修飾名 (IQN) とインターネット・プロトコル (IP) の固有の組み合わせに関する情報を返します。
svcinfo lsiscsistorageportcandidate
- addiscsistorageport コマンドを発行して、構成するポートの候補を 1 つ以上選択してください。最大 64 個の候補 ID を指定できます。各 ID はコロンで区切ってください。
candidate_id は、lsiscsistorageportcandidate コマンドによって表示された出力の ID 列にある値です。
svctask addiscsistorageport candidate_id
注: ステップ 10 で detectiscsistorageportcandidate コマンドに認証を入力した場合、このコマンドにもその情報を指定する必要があります。以下の例に示すように、必ず、正しい tgt_user_name値と target_chap 値をコマンドに指定してください。svctask addiscsistorageport candidate_id -username tgt_user_name -chapsecret target_chap
データのマイグレーション
- Storwize V3700
システムでは、論理装置を管理するために以下のステップを実行します。
- 空のストレージ・プールを 1 つ作成するには、mkmdiskgrp コマンドを入力します。extent_size は、iSCSI ターゲット・システムからマイグレーションするボリュームのサイズ (ステップ 5 で表示される) です。
iSCSI ターゲット・システムからマップされた論理装置は、Storwize V3700 システムには非管理モードの MDisk として認識されます。svctask mkmdiskgrp -ext extent_size
- 非管理モードの MDisk をリストするには、lsmdisk コマンドを入力します。
svcinfo lsmdisk
- 新規の非管理モードの MDisk がリストされない場合、ファブリック・レベルのディスカバリーを実行します。ネットワークで非管理モード MDisk をスキャンするには、detectmdisk コマンドを入力します。
svctask detectmdisk
- 非管理モードの MDisk をイメージ・モードのボリューム・ディスクに変換するには、mkvdisk コマンドを実行します。
svctask mkvdisk -vtype image -iogrp iogrp_name -mdiskgrp mdiskgrp_name -mdisk mdisk_name -mirrorwritepriority redundancy
- iogrp_name
- 入出力グループの名前または ID。
- mdiskgrp_name
- ステップ 13.a で作成したストレージ・プールの名前または ID。
- mdisk_name
- 非管理モードの MDisk の名前または ID。
- 現在 MDisk に含まれるデータを以前に使用していたホストをリストするには、lssasportcandidate コマンドを入力します。
svcinfo lssasportcandidate
- Storwize V3700・システム上にホストが存在しない場合は、mkhost コマンドを入力して新規の iSCSI ホストまたはファイバー・チャネル (または Fibre Channel over Ethernet) ホストを作成してください。
- 新規の iSCSI ホストを作成するには、次のコマンドを入力します。
svctask mkhost -iscsiname host_iqn
- 新規のファイバー・チャネルまたは FCoE ホストを作成するには、次のコマンドを入力します。
svctask mkhost -fcwwpn host_wwpn
- 新規の iSCSI ホストを作成するには、次のコマンドを入力します。
- 新規ボリュームをホストにマップするには、mkvdiskhostmap コマンドを入力します。イメージ・モード・ボリュームがマップされると、ホストが入出力操作を行うためにそのボリュームにアクセスできるようになります。
svctask mkvdiskhostmap -host hostname diskname
- 空のストレージ・プールを 1 つ作成するには、mkmdiskgrp コマンドを入力します。extent_size は、iSCSI ターゲット・システムからマイグレーションするボリュームのサイズ (ステップ 5 で表示される) です。
- lsmdiskgrp コマンドを入力して、Storwize V3700
・システムが認識しているストレージ・プールに関する情報を表示します。
svcinfo lsmdiskgrp
- iSCSI ターゲットの IBM Spectrum Accelerate システムから Storwize V3700
・システム上のストレージ・プールにデータをマイグレーションします。ボリュームへのデータのマイグレーションについては、ボリュームの管理を参照してください。
- ボリューム全体のデータをマイグレーションするには、次の migratevdisk コマンドを入力します。
svctask migratevdisk -mdiskgrp mdisk_group -vdisk vdisk_id
- 選択したエクステントのデータをマイグレーションするには、migrateexts コマンドを入力します。
svctask migrateexts -source mdisk_name -exts num_extents -target new_mdisk -threads 4 -vdisk vdisk_id
- ボリューム全体のデータをマイグレーションするには、次の migratevdisk コマンドを入力します。
- データ・マイグレーションの進行状況をモニターするには、lsmigrate コマンドを入力します。
svcinfo lsmigrate
タスクの結果
IBM Spectrum Accelerate システムの論理ドライブ上のデータが、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムへマイグレーションされます。ホストの入出力操作も Storwize V3700 ・システムに切り替えられます。
次のタスク
- Storwize V3700
・システムで、lsiscsistorageport コマンドを入力して iSCSI ターゲット・システム上の構成済みポートを表示します。
svcinfo lsiscsistorageport
- rmiscsistorageport コマンドを入力して、構成済みの iSCSI ターゲット・ポートを削除します。lsiscsistorageport の出力内の行番号を指定して、削除するセッションを識別します。
svctask rmiscsistorageport lsiscsistorageport_row_id
- IBM Spectrum Accelerate システムで、以下のコマンドを入力して、Storwize V3700
iSCSI イニシエーター・システムにマイグレーションしたボリュームを削除します。
delete volume_name
- 各システムをイーサネット・スイッチに接続しているイーサネット・ケーブルを切り離します。