メトロ・ミラー関係およびグローバル・ミラー 関係
メトロ・ミラー関係およびグローバル・ミラー関係は、マスター・ボリュームと補助ボリュームの 2 つのボリューム間の関係を定義します。
標準的には、マスター・ボリュームはデータの実動コピーを格納しており、 アプリケーションは、通常このボリュームにアクセスします。 補助ボリュームは、通常はデータのバックアップ・コピーを格納し、災害時回復に使用されます。
サイクルを使用するグローバル・ミラーは、変更ボリュームも使用します。変更ボリュームは、変更が行われたときに、以前の整合したデータの改訂を保持します。変更ボリュームは、関係のマスター・ボリュームおよび補助ボリュームの両方に対して作成することができます。
マスター・ボリュームおよび補助ボリュームは関係が作成された時点で定義され、これらの属性は変わりません。ただし、どちらのボリュームも、必要に応じて 1 次役割または 2 次役割で作動します。1 次ボリュームは、アプリケーション・データの有効なコピーを格納し、ホスト・アプリケーションから更新を受け取るので、ソース・ボリュームに類似しています。2 次ボリュームは、1 次ボリュームへの更新のコピーをすべて受信します。これらの更新はすべて、ミラー・リンク全体で伝送されるためです。したがって、2 次ボリュームは、絶えず更新されるターゲット・ボリュームと似ています。関係が作成されるときに、マスター・ボリュームには 1 次ボリュームの役割が割り当てられ、 補助ボリュームには 2 次ボリュームの役割が割り当てられます。したがって、初期コピー方向はマスターから補助への方向になります。関係が整合した状態であれば、コピー方向を逆にすることができます。
関係のある 2 つのボリュームのサイズは同じでなければなりません。2 つのボリュームが同じシステムにある場合、これらは同じ入出力グループに含まれている必要があります。
変更ボリュームを定義する場合、関連するマスター・ボリュームまたは補助ボリュームと同じサイズで、同じ入出力グループ内になければなりません。
アプリケーションを容易に管理できるように、整合性グループに関係を追加できます。
コピー・タイプ
メトロ・ミラー・コピーでは、入出力完了の確認がホスト・アプリケーションへ送信される前に、必ず 1 次ボリューム と 2 次ボリュームの両方に更新がコミットされます。この動作により、フェイルオーバー操作が実行される際に、2 次ボリュームは 1 次ボリュームと同期化されます。
グローバル・ミラー・コピーでは、更新が 2 次ボリュームにコミットされる前に、入出力完了の確認をホスト・アプリケーションが受け取れるようになります。 フェイルオーバー操作を実行する際には、ホスト・アプリケーションは 2 次ボリュームにコミットされていない更新をリカバリーして適用する必要があります。
マルチサイクル・グローバル・ミラー・コピーでは、ピーク時ではなく平均のスループットにのみ対応するため、帯域幅の要件が低下します。マルチサイクル・グローバル・ミラーのコピー・プロセスは、メトロ・ミラーおよび非サイクル・グローバル・ミラーと同様です。 2 次ボリュームの変更ボリュームは、バックグラウンド・コピー・プロセスがアクティブである間に 2 次ボリュームの整合したイメージを維持するために使用できます。 マルチサイクル・グローバル・ミラー関係のリカバリー・ポイント目標 (RPO) は、非サイクル・グローバル・ミラー関係より高くなります。
状態
別々のシステムにある 2 つのボリュームを使用してメトロ・ミラー関係またはグローバル・ミラー関係を作成する場合は、 接続状態と切断状態の区別が重要です。これらの状態は、システム、関係、および整合性グループに適用されます。
- 1 次ボリュームは、読み取り/書き込みの入出力操作についてアクセス可能ですが、2 次ボリュームは、どちらの操作についてもアクセスできません。コピー・プロセスを開始して、2 次ボリュームを整合させる必要があります。
- 1 次ボリュームは、読み取り/書き込みの入出力操作についてアクセス可能ですが、2 次ボリュームは、どちらの操作についてもアクセスできません。この状態になるのは、不整合停止済み (InconsistentStopped) 状態の整合性グループに startrcrelationship コマンドが発行された後です。この状態は、アイドリング (Idling) または整合停止済み (ConsistentStopped) 状態の整合性グループに対して startrcrelationship -force コマンドが発行されたときにも発生します。
- 2 次ボリュームには整合したイメージが入っていますが、1 次ボリュームよりも古くなっている可能性があります。関係が整合同期化済み (ConsistentSynchronized) 状態にあるときに、整合性グループのフリーズを強制するエラーが起こると、この状態が発生することがあります。 この状態は、整合作成フラグ (CreateConsistentFlag) パラメーターが TRUE に設定された状態で関係が作成された場合にも発生する可能性があります。
- 1 次ボリュームは読み取りおよび書き込み入出力操作についてアクセス可能です。2 次ボリュームは、 読み取り専用入出力操作を行うためにのみアクセスできます。
- 1 次ボリュームは、読み取り/書き込みの入出力操作についてアクセス可能です。2 次ボリュームに整合したイメージが入っていますが、このイメージは 1 次ボリュームよりも古くなっている可能性があり、読み取り専用入出力操作についてのみアクセス可能です。関係がマルチサイクル・グローバル・ミラー関係である場合は、2 次ボリュームは最新の整合したイメージを使用して定期的にリフレッシュされます。
- マスター・ボリュームおよび補助ボリュームは、1 次役割で作動します。 両方のボリュームに読み取り/書き込み入出力操作でアクセス可能です。この状態は、関係が停止されたときに発生し、それによって 2 次ボリュームに対する書き込みアクセスが許可されます。
- 整合性グループ内でこの状態にある側のボリュームはすべて、1 次役割で作動しており、読み取りまたは書き込み入出力操作を受け入れることができます。
- 整合性グループ内でこの状態にある側のボリュームはすべて、2 次役割で作動しており、読み取りまたは書き込み入出力操作を受け入れることはできません。
- 整合性グループ内でこの状態にある側のボリュームはすべて、2 次役割で作動しており、読み取り入出力操作は受け入れますが、書き込み入出力操作は受け入れることができません。
状況
システムは、ボリューム関係の状況に関する追加情報も提供します。状況を表示するには、lsrcconsistgrp コマンドまたは lsrcrelationship コマンドを発行します。
- 関係のすべてのボリュームがオンラインでアクセス可能です。関係の状態が ConsistentSynchronized、ConsistentCopying、または InconsistentCopying である場合、ボリュームは、1 次ボリュームが受信するホスト入出力書き込み操作を複製できます。
- 関係の 1 次ボリュームはオフラインです。この状態では、ホスト入出力操作をこれ以上実行できません。1 次ボリュームが再びオンラインになるまで、同期は一時停止します。
- 関係の 2 次ボリュームがオフラインです。ConsistentSynchronized 状態の通常のグローバル・ミラー関係 (つまり、変更ボリュームを使用しないグローバル・ミラー)、およびメトロ・ミラー関係の場合、1 次ボリュームへの入出力書き込み操作をこれ以上実行すると、関係が停止します。
- リモート・システムがアクセス可能ではありません。 ConsistentSynchronized 状態の通常のグローバル・ミラー関係 (つまり、変更ボリュームを使用しないグローバル・ミラー)、およびメトロ・ミラー関係の場合、1 次ボリュームへの入出力書き込み操作をこれ以上実行すると、関係が停止します。
- 関係の 1 次変更ボリュームがオフラインです。変更ボリュームを使用するグローバル・ミラー関係の場合、現行の入出力サイクルは終了して、1 次変更ボリュームが再びオンラインになると、新規の入出力サイクルが開始されます。
- 関係の 2 次変更ボリュームがオフラインです。変更ボリュームを使用するグローバル・ミラー関係の場合、現行の入出力サイクルは一時停止して、2 次変更ボリュームが再びオンラインになると、入出力サイクルが再開されます。
- 変更ボリュームを使用するグローバル・ミラー関係の場合、少なくとも 1 つの変更ボリュームがまだ構成されていません。この状況では、複製を実行できません。