Dell EqualLogic ストレージ・システムからのデータのマイグレーション

iSCSI 接続を使用して、Dell EqualLogic 外部ストレージ・システムから Storwize® V3700 ・システムにデータをマイグレーションできます。

始める前に

  1. iSCSI イニシエーター・システムが、iSCSI マイグレーションをサポートできるレベルのソフトウェアを実行していることを確認します。Storwize V3700 システムには、 ソフトウェアのバージョン 7.7.0 が必要です。
  2. iSCSI ターゲット・ストレージ・システムにインストールされているファームウェアが、製造メーカー推奨のレベルのものであることを確認します。詳しくは、ストレージ・システムに付属の製品資料を参照してください。
  3. 各システムでイーサネット・ポートが使用可能であり、それらがサポートされていることを確認します。
    • 使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用して、Storwize V3700 ・システムと iSCSI ターゲット・ストレージ・コントローラーの間の iSCSI 接続を確立できます。
    • パフォーマンス・ボトルネックを回避するために、iSCSI イニシエーター・システムとターゲット・システムで同じ速度のイーサネット・ポートを使用する必要があります。 異なる速度で動作するイーサネット・リンクを組み合わせて使用しないでください。
  4. 各システムのイーサネット・ポートに接続するために適切な数のイーサネット・ケーブルおよびスイッチがあることを確認します。
  5. 各システムの適切なイーサネット・ポートが適切なイーサネット・スイッチに接続されていることを確認します。 完全な冗長性とスループットの向上を実現するには、2 つ以上のイーサネット・スイッチを使用してください。同様に、各システムの各ノードにある番号付きイーサネット・ポートは、同じスイッチに接続する必要があります。これらは、必ず同じサブネットまたは VLAN 上で構成してください。

    例えば、図 1 は、Storwize V3700 ・システム (iSCSI イニシエーター) と Dell EqualLogic システム (iSCSI ターゲット) の間の iSCSI 接続を示しています。Storwize V3700 システムは、 2 つの入出力グループで構成されています。Dell システムがサポートする iSCSI セッション数は制限されているため、1 つの入出力グループ内の 2 つのノードのみが Dell EqualLogic ストレージ・システムに接続できます。Storwize V3700 システムの各イニシエーター・ノードに、4 ポート・イーサネット・カードが取り付けられます。 ただし、スイッチに接続されるのは、イニシエーター・ノード 1 およびイニシエーター・ノード 2 の 2 つのポートのみです。各ノード (IPA および IPE) の最初のイーサネット・ポートは、イーサネット・スイッチ 1 に接続する必要があり、各ノード (IPB および IPF) の 2 番目のイーサネット・ポートは、イーサネット・スイッチ 2 に接続する必要があります。

    図 1. Dell EqualLogic iSCSI ターゲットへの iSCSI 接続の例
    Dell EqualLogic システムへの iSCSI 接続の例

Dell EqualLogic システムでのサポートの構成について詳しくは、Dell EqualLogic ストレージ・システムの構成を参照してください。

手順

ケーブル接続とシステムの構成

  1. イーサネット・ケーブルを、Storwize V3700 システム (iSCSI イニシエーター) 上のポートから適切なイーサネット・スイッチに接続します。使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用してください。
  2. イーサネット・ケーブルを、Dell EqualLogic システム (iSCSI ターゲット) 上のポートから適切なイーサネット・スイッチに接続します。使用可能な任意のイーサネット・ポートを使用してください。
  3. すべてのホスト入出力操作を停止します。
  4. Dell EqualLogic システムで、ホストからマイグレーションするデータを含む論理ドライブをマップ解除します。
  5. Dell EqualLogicシステムで、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムにマイグレーションしたいボリュームのサイズを取得します。これを行うには、以下のコマンドを入力します。ここで、volume_name は特定のボリュームの名前です。
    volume show volume_name 
  6. Storwize V3700 ・システムがレプリカ生成層として構成されていることを確認します。これを行うには、次のコマンドを入力します。
    svcinfo lssystem
    1. Storwize V3700 ・システムが正しく構成されていない場合は、次のコマンドを入力します。
      svctask chsystem -layer replication

iSCSI 接続の確立

  1. Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムで、以下のコマンドを入力して、システムの IP アドレスまたは iSCSI 修飾名 (IQN) を取得します。
    • IP アドレスを表示するには、次のコマンドを入力します。
      svcinfo lsportip
    • IQN 名を表示するには、次のコマンドを入力します。
      svcinfo lsnodecanister
  2. Storwize V3700 ・システムで、次の cfgportip コマンドを入力して、ターゲット・ストレージ・システムへの iSCSI 接続に使用するポートを 1 つ以上構成します。
    svctask cfgportip –node nodename -storage yes port_id
    注: IPv6 アドレスを使用してポートを構成する場合は、コマンドに -storage-6 パラメーターを指定します。
  3. Dell EqualLogic システムで、Storwize V3700 システムにマイグレーションしたいデータが含まれているボリュームをマップします。これを行うには、以下のいずれかのコマンドを入力します。
    • iSCSI イニシエーター・システムの IPv4 アドレスを使用してボリュームをマップするには、以下のコマンドを入力します。
      select volume_name access create ipaddress ip_address
    • iSCSI イニシエーター・システムの iSCSI 修飾名 (IQN) を使用してボリュームをマップするには、以下のコマンドを入力します。
      select volume_name access create initiator iqn_name
    volume_name
    データのマイグレーション元にするボリュームの名前 (ステップ 4 を参照)。
    ip_address
    ステップ 7 で表示された、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムの IPv4 アドレス。
    iqn_name
    ステップ 7 で表示された、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムの IQN。
  4. Storwize V3700 ・システムで、次のコマンドを入力して、iSCSI ターゲット・システム上の使用可能なポートをディスカバーします。 source_port_id は、ディスカバリーを行う際に使用する、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システム上のイーサネット・ポートです。dell_group_ip は、Dell EqualLogic iSCSI ターゲット・システムのグループ IP アドレスです。
    svctask detectiscsistorageportcandidate –srcportid source_port_id -targetip dell_group_ip
    注:
    • iSCSI ターゲット・システム上のポートを IPv6 アドレスを使用して構成する場合は、コマンドに -targetip6 パラメーターを指定します。
    • 要求を認証するために、iSCSI ターゲット・システムでもユーザー名と CHAP 情報が必要になる場合があります。以下の例に示すように、必ず、正しい tgt_user_name値と target_chap 値をコマンドに指定してください。
      svctask detectiscsistorageportcandidate –srcportid source_port_id -targetip dell_group_ip -username tgt_user_name -chapsecret target_chap
  5. Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムでディスカバーされた iSCSI ポートに関する情報を表示します。以下のコマンドは、iSCSI 修飾名 (IQN) とインターネット・プロトコル (IP) の固有の組み合わせに関する情報を返します。
    svcinfo lsiscsistorageportcandidate
  6. 構成するポートの候補を 1 つ以上選択します。最大 64 個の候補 ID を指定できます。各 ID はコロンで区切ってください。 candidate_id は、lsiscsistorageportcandidate コマンドによって表示された出力の ID 列にある値です。
    svctask addiscsistorageport candidate_id
    注: ステップ 10detectiscsistorageportcandidate コマンドに認証を入力した場合、このコマンドにもその情報を指定する必要があります。以下の例に示すように、必ず、正しい tgt_user_name値と target_chap 値をコマンドに指定してください。
    svctask addiscsistorageport candidate_id -username tgt_user_name -chapsecret target_chap

データのマイグレーション

  1. Storwize V3700 システムでは、論理装置を管理するために以下のステップを実行します。
    1. 空のストレージ・プールを 1 つ作成するには、次のコマンドを入力します。extent_size は、iSCSI ターゲット・システムからマイグレーションするボリュームのサイズ (ステップ 5 で表示される) です。
      svctask mkmdiskgrp -ext extent_size
      iSCSI ターゲット・システムからマップされた論理装置は、Storwize V3700 システムには非管理モードの MDisk として認識されます。
    2. 非管理モードの MDisk をリストするには、次のコマンドを入力します。
      svcinfo lsmdisk
    3. 新規の非管理モードの MDisk がリストされない場合、ファブリック・レベルのディスカバリーを実行します。ネットワークをスキャンして非管理モードの MDisk があるか確認するには、次のコマンドを入力します。
      svctask detectmdisk
    4. 非管理モードの MDisk をイメージ・モードのボリューム・ディスクに変換するには、次のコマンドを実行します。
      svctask mkvdisk -vtype image -iogrp iogrp_name -mdiskgrp mdiskgrp_name -mdisk mdisk_name -mirrorwritepriority redundancy
      iogrp_name
      入出力グループの名前または ID。
      mdiskgrp_name
      ステップ 13.a で作成したストレージ・プールの名前または ID。
      mdisk_name
      非管理モードの MDisk の名前または ID。
    5. 現在 MDisk に含まれるデータを以前に使用していたホストをリストするには、次のコマンドを入力します。
      svcinfo lssasportcandidate
    6. Storwize V3700 ・システム上にホストが存在しない場合は、新規の iSCSI ホストまたはファイバー・チャネル (または Fibre Channel over Ethernet) ホストを作成できます。
      • 新規の iSCSI ホストを作成するには、次のコマンドを入力します。
        svctask mkhost -iscsiname host_iqn
      • 新規のファイバー・チャネルまたは FCoE ホストを作成するには、次のコマンドを入力します。
        svctask mkhost -fcwwpn host_wwpn
    7. 新規ボリュームをホストにマップするには、次のコマンドを入力します。イメージ・モード・ボリュームがマップされると、ホストが入出力操作を行うためにそのボリュームにアクセスできるようになります。
      svctask mkvdiskhostmap -host hostname diskname
      hostname
      ステップ 13.f で作成したホストの名前または ID。
      diskname
      ステップ 13.d で作成した仮想ディスクの名前または ID。
  2. 次のコマンドを入力して、Storwize V3700 ・システムが認識しているストレージ・プールに関する情報を表示します。
    svcinfo lsmdiskgrp
    1. ステップ 13.a で作成したストレージ・プールをマイグレーションするためのストレージ・プールが Storwize V3700 ・システム上にない場合は、次のコマンドを入力して新規ストレージ・プールを作成します。 extent_size は、iSCSI ターゲット・システムからマイグレーションするボリュームのサイズ (ステップ 5 で表示される) です。
      svctask mkmdiskgrp -ext extent_size -name pool_name
  3. Dell EqualLogic iSCSI ターゲット・システムから Storwize V3700 ・システム上のストレージ・プールにデータをマイグレーションします。ボリュームへのデータのマイグレーションについては、ボリュームの管理を参照してください。
    • ボリューム全体のデータをマイグレーションするには、次のコマンドを入力します。
      svctask migratevdisk -mdiskgrp mdisk_group -vdisk vdisk_id
    • 選択したエクステントのデータをマイグレーションするには、次のコマンドを入力します。
      svctask migrateexts -source mdisk_name -exts num_extents -target new_mdisk -threads 4 -vdisk vdisk_id
  4. データ・マイグレーションの進行状況をモニターするには、次のコマンドを入力します。
    svcinfo lsmigrate

タスクの結果

Dell EqualLogic iSCSI ターゲット・システムの論理ドライブ上のデータが、Storwize V3700 システムへマイグレーションされます。ホストの入出力操作も Storwize V3700 ・システムに切り替えられます。

次のタスク

  1. Storwize V3700 ・システムで、次のコマンドを入力して iSCSI ターゲット・システム上の構成済みポートを表示します。
    svcinfo lsiscsistorageport
  2. 構成済みの iSCSI ターゲット・ポートを削除します。lsiscsistorageport の出力内の行番号を指定して、削除するセッションを識別します。
    svctask rmiscsistorageport lsiscsistorageport_row_id
  3. Dell EqualLogic iSCSI ターゲット・システムで、以下のコマンドを入力して、Storwize V3700 iSCSI イニシエーター・システムにマイグレーションしたボリュームを削除します。
    delete volume_name
  4. 各システムをイーサネット・スイッチに接続しているイーサネット・ケーブルを切り離します。