メトロ・ミラー協力関係およびグローバル・ミラー 協力関係

協力関係は、ローカル・システムとパートナー・システム間の関連を定義します。

メトロ・ミラー関係 または整合性グループ、またはグローバル・ミラー 関係 または整合性グループをリモート・システムを使用して作成できるようにするには、 2 つのシステムの間の協力関係を確立する必要があります。 グローバル・ミラー 関係または整合性グループ、 またはメトロ・ミラー関係または整合性グループ が、2 つのリモート・システムの間に存在する場合、これらのシステムは協力関係を維持する必要があります。 それぞれのシステムは最大 3 つの協力関係を維持することができ、それぞれの協力関係を単一のパートナー・システムとの間で確立することができます。最大 4 つのシステムが、相互に直接関連付けることができます。

また、システムは、 協力関係を介して相互に間接的に関連付けられます。2 つのシステムのそれぞれが、3 番目のシステムと協力関係をもっている場合、これらの 2 つのシステムは間接的に関連付けられます。 最大 4 つのシステムを直接的にまたは間接的に関連付けることができます。

システム内のノードは、2 つのボリューム間の関係だけでなく、システム間の関連についても認識する必要があります。

次の例に、Storwize® V3700クラスター化システム間に確立できる、考えられるファイバー・チャネル協力関係を示します。

図 1 は、協力関係にない 2 つのシステムを示します。
図 1. 協力関係がない 2 つのシステム
この図は、協力関係にない 2 つのシステムを示します。
図 2 は、1 つのファイバー・チャネル協力関係がある 2 つのシステムを示します。
図 2. 1 つのファイバー・チャネル協力関係がある 2 つのシステム
この図は、1 つのファイバー・チャネル協力関係がある 2 つのシステムを示します。
図 3 は、1 つのファイバー・チャネル協力関係内にある 4 つのシステムを示します。システム A は、災害復旧サイトである場合があります。
図 3. 1 つのファイバー・チャネル協力関係内にある 4 つのシステム
この図は、1 つのファイバー・チャネル協力関係にある 4 つのシステムを示します。
図 4 はマイグレーション状態にある 3 つのシステムを示します。データ・センター B は C にマイグレーションしています。システム A はホスト・プロダクションで、システム B およびシステム C は災害復旧です。
図 4. マイグレーション状態内の 3 つのシステム
この図は、マイグレーション状態にある 3 つのシステムを示します。
図 5 は、完全接続メッシュ構成内にあるシステムを示します。各システムは、他の 3 つのシステムのそれぞれに協力関係をもっています。
図 5. 完全接続メッシュ構成内のシステム
この図は、完全接続メッシュ構成内にあるシステムを示します。
図 6 は、3 つのファイバー・チャネル協力関係内にある 4 つのシステムを示します。
図 6. 3 つのファイバー・チャネル協力関係にある 4 つのシステム。
この図は、3 つのファイバー・チャネル協力関係にある 4 つのシステムを示します。
図 7 は、サポートされていないシステム構成を示します。2 つを超えるファイバー・チャネル協力関係内に個々のシステムがないのに、接続されている集合内に 5 つのシステムがあります。
図 7. サポートされていないシステム構成
この図は、サポートされていないシステム構成を示します。 接続された集合内に 5 つのシステムがあります。

次の例に、Storwize V3700クラスター化システムで確立できる、ファイバー・チャネルと IP の協力関係を示します。IP 協力関係があるシステムの構成と導入については、IP 協力関係の構成を参照してください。

図 8 は、協力関係がない 2 つのシステムを示します。
図 8. 協力関係がない 2 つのシステム
この図は、協力関係にない 2 つのシステムを示します。
図 9 は、1 つのファイバー・チャネルまたは IP の協力関係がある 2 つのシステムを示します。
図 9. 1 つのファイバー・チャネルまたは IP の協力関係がある 2 つのシステム
この図は、1 つのファイバー・チャネルまたは IP 協力関係がある 2 つのシステムを示します。
図 10 は、1 つ協力関係にある 4 つのシステムを示します。システム D は、災害復旧サイトである場合があります。
図 10. 1 つのファイバー・チャネル協力関係または 1 つの IP 協力関係がある 4 つのシステム
この図は、1 つの協力関係にある 4 つのシステムを示します。
図 11 は、3 つのシステムと 3 つの協力関係を示しています。
図 11. 2 つのファイバー・チャネル協力関係および 1 つの IP 協力関係がある 3 つのシステム
この図は、3 つの協力関係がある 3 つのシステムを示します。
図 12 は、完全接続メッシュ構成内にあるシステムを示します。各システムは、他の 3 つのシステムのそれぞれにファイバー・チャネルまたは IP 協力関係をもっています。
図 12. 完全接続メッシュ構成内の 4 つのシステム。
この図は、完全接続メッシュ構成内にあるシステムを示します。
図 13 は、3 つの協力関係内にある 4 つのシステムを示します。
図 13. 1 つのファイバー・チャネル協力関係と 2 つの IP 協力関係がある 4 つのシステム
この図は、3 つの協力関係内にある 4 つのシステムを示します。
図 14 は、サポートされていないシステム構成を示します。 2 つを超えるファイバー・チャネルまたは IP 協力関係内に個々のシステムがないのに、接続されている集合内に 5 つのシステムがあります。
図 14. サポートされていないシステム構成
この図は、サポートされていないシステム構成を示します。 接続された集合内に 5 つのシステムがあります。

ファイバー・チャネル接続を介して接続された 2 つのシステム間にメトロ・ミラー協力関係およびグローバル・ミラー協力関係を確立するには、両方のシステムから mkfcpartnership コマンドを実行する必要があります。例えば、システム A とシステム B の間で協力関係を確立するには、システム B をリモート・システムとして指定して、システム A から mkfcpartnership コマンドを実行する必要があります。この時点で、協力関係は部分的に構成済みとなり、これは片方向通信と呼ばれることがあります。次に、システム B から mkfcpartnership コマンドを実行し、システム A をリモート・システムとして指定する必要があります。このコマンドが完了すると、システム間の両方向通信についての協力関係が完全に構成されます。 ローカル・システムおよびリモート・システムが IP 接続を使用する場合、ローカル・システムとリモート・システムの両方で mkippartnership コマンドを実行して、協力関係を完全に構成する必要があります。また、管理 GUI を使用して、メトロ・ミラー協力関係および グローバル・ミラー協力関係を構築できます。

協力関係の状態は、協力関係が、期待したように作動しているかを判別するのに役立ちます。 システム協力関係は、完全構成状態のほかに、以下の状態を持てます。
partially_configured_local
ローカル・システムでのみ、協力関係が定義されていることを示します。表示されているシステムを完全構成済みにして、協力関係を完成させるには、表示されているシステムから、このシステムに対するシステム協力関係を定義する必要があります。これを行うには、ファイバー・チャネル接続の場合は mkfcpartnership コマンドを発行するか、IP 接続の場合は mkippartnership コマンドを発行するか、またはリモート・システム上の管理 GUI を使用します。
fully_configured
協力関係がローカル・システムおよびリモート・システムでアクティブであり、開始されていることを示します。
not_present
リモート・システムが認識されないことを示します。これは、ローカル・システムとリモート・システム間の接続性に問題があるか、リモート・システムが非アクティブであることが、原因になっている場合があります。
partially_configured_local_stopped
ローカル・システムでのみ、協力関係が定義されており、ローカル・システムで協力関係が停止していることを示します。
注: 停止しているのは、協力関係であり、システムではありません。
fully_configured_stopped
ローカル・システムとリモート・システムの両方で、協力関係が定義されており、ローカル・システムで協力関係が停止していることを示します。
注: 停止しているのは協力関係であり、システムではありません。
fully_configured_remote_stopped
ローカル・システムとリモート・システムの両方で、協力関係が定義されており、リモート・システムで協力関係が停止していることを示します。
注: 停止しているのは協力関係であり、システムではありません。
fully_configured_local_excluded
ローカル・システムとリモート・システムの両方で協力関係が定義されているものの、ローカル・システムは現在、リモート・システムへのリンクを除外していることを示します。この状態は、通常、エラーが非常に多いことや協力関係の応答時間が遅いことが原因となって、2 つのシステム間のリンクに障害が起きている場合に発生します。
fully_configured_remote_excluded
ローカル・システムとリモート・システムの両方で協力関係が定義されているものの、リモート・システムは現在、ローカル・システムへのリンクを除外していることを示します。この状態は、通常、エラーが非常に多いことや協力関係の応答時間が遅いことが原因となって、2 つのシステム間のリンクに障害が起きている場合に発生します。
fully_configured_exceeded
ローカル・システムとリモート・システムの両方で協力関係が定義されているものの、システムのネットワークが協力関係で許可されているシステム数を超過したため、協力関係が使用不可に設定されたことを示します。 このエラーを解決するには、このネットワーク内で協力関係にあるシステムの数を減らしてください。協力関係は、1 つのネットワーク内で最大 4 つのシステム間で定義できます。

ファイバー・チャネル接続と Fibre Channel over Ethernet (FCoE) 接続に加えて、イーサネット・ポートに関連した IPv4 アドレスと IPv6 アドレスを使用するイーサネット・リンク上で、メトロ・ミラーおよびグローバル・ミラーの協力関係を確立できます。これらの IP 協力関係は、イーサネット・スイッチを介した接続、またはローカル・システムとパートナー・システム間の直接接続にすることができます。協力関係は、IPv4 または IPv6 のいずれかの協力関係として作成されなければなりません。また、データ圧縮は、IPv4 または IPv6 の協力関係でもサポートされています。データ圧縮を有効にするには、IP 協力関係にある両方のシステムで、IP 協力関係の圧縮をサポートするソフトウェア・レベルが実行されていなければなりません。 IP 協力関係全体で圧縮を有効にするには、各システムで圧縮を有効にする必要があります。 ローカル・システムで圧縮を有効にすると、リモート・システムに送信されるデータが圧縮されます。圧縮されたデータをローカル・システムに送信するには、IP 協力関係のリモート・システムでも圧縮を有効にする必要があります。

リモート・コピー・グループは IP 協力関係に固有で、IP 協力関係を経由して相互にアクセス可能なローカルおよびリモートの IP アドレスからなります。リモート・コピー・グループには、ローカル・システムの IP アドレス、およびリモート・システムの IP アドレスが、それぞれ少なくとも 1 つずつ含まれている必要があります。リモート・コピー・グループは、IP 協力関係を確立する前に作成する必要があります。

各イーサネット・ポートは 2 つの IP アドレスに関連付けることができます。1 つは IPv4 アドレッシングを使用する IP アドレス、もう 1 つは IPv6 を使用する IP アドレスです。IP 協力関係には、IPv4 または IPv6 のいずれかを使用します。ローカル・システムまたはパートナー・システムにノードまたはポートの障害が発生した場合の IP 接続フェイルオーバーを可能にするように、リモート・コピー・グループの 1 つのシステム内に IP アドレスを 3 つ以上構成するべきです。

メトロ・ミラー協力関係およびグローバル・ミラー協力関係を変更するには、chpartnership コマンドを使用します。メトロ・ミラー協力関係およびグローバル・ミラー協力関係を削除するには、rmpartnership コマンドを使用します。

重要: rmpartnership コマンドを実行する前に、2 つのシステム間で定義されているすべての関係とグループを除去しておく必要があります。システムの関係とグループを表示するには、lsrcrelationship および lsrcconsistgrp コマンドを実行します。 2 つのシステム間で定義されている関係とグループを除去するには、rmrcrelationship および rmrcconsistgrp コマンドを実行します。

バックグラウンド・コピー管理

マルチサイクル グローバル・ミラー コピーでは、 mkfcpartnership コマンドと mkippartnership コマンドの linkbandwidthmbits パラメーターによって、リモート・システムに更新を伝搬させる速度をコントロールします。 リモート・コピーを確実にローカル・コピーと同様に使用できるようにするために、帯域幅パラメーターは、この協力関係の間でマルチサイクル・グローバル・ミラーを使用して複製されるすべてのボリュームに対する書き込み操作の平均速度以上である必要があります。 最適な是正プロセスの最適化 (RPO) のためには、帯域幅パラメーターを実際に使用可能な帯域幅より小さく維持することで、確実にマルチサイクル・グローバル・ミラー関係によってファブリックが過密状態にならないようにします。 また、メトロ・ミラー関係および非サイクル・グローバル・ミラー関係用に十分な帯域幅を残すことで、複製中の入出力をサポートします。

IP 協力関係で CHAP を使用 (オプション)

ローカル・システムとパートナー・システムとの IP 接続を介したデータ交換は、チャレンジ・ハンドシェーク認証プロトコル (CHAP) を通じて保護することができます。この場合、要求を送信する際に、共有秘密鍵を使用してシステムが相互に認証します。
注: iSCSI 接続のホストを認証するために、CHAP シークレットを使用することもできます。システム全体の CHAP シークレットは、ローカル・システムからパートナー・システム、およびローカル・システムから ISCSI 接続のホストへのすべての認証に使用されます。
IP 協力関係に対して CHAP を構成するには、各システムの「CHAP 構成の変更 (Modify CHAP Configuration)」ダイアログを使用してシステム全体の CHAP シークレットを指定し、次に「IP 協力関係に使用」を選択します。管理 GUI のこのダイアログには、以下の 2 つのパスがあります。
  • 「コピー・サービス」 > 「協力関係」を選択してから「アクション」 > 「CHAP 構成の変更 (Modify CHAP Configuration)」を選択する。
  • 「設定」 > 「ネットワーク」 > 「iSCSI」 > 「CHAP 構成の変更 (Modify CHAP Configuration)」を選択する。

IP 協力関係を構築する前に、各システムに対して CHAP シークレットを定義してから、各システムの IP 協力関係に使用する CHAP を構成します。

例えば、システム A とシステム B の間に、CHAP を使用する IP 協力関係を構築する場合は、最初に、各システム上に CHAP シークレットを定義します。システム A 上の CHAP シークレットとシステム B 上の CHAP シークレットは同じでなくても構いません。システム A で、「協力関係の作成」ダイアログまたは「協力関係の属性 (Partnership Properties)」ダイアログにシステム B の CHAP シークレットを指定します。次に、システム B で、これらのダイアログのうち 1 つを使用してシステム A の CHAP シークレットを指定します。

CHAP を使用してローカル・システムに IP 協力関係を構築するときに、パートナー・システムのシステム全体の CHAP シークレットを指定しないと、ローカル・システムは CHAP 認証の失敗メッセージを表示します。CHAP を使用する IP 協力関係がアクティブの場合は、CHAP 構成を変更する前にこの協力関係を停止しなければなりません。

SAN ボリューム・コントローラーと他の Storwize ファミリー・システムの間のメトロ・ミラーおよびグローバル・ミラー

SAN ボリューム・コントローラーと他の Storwize ファミリー・システムとの協力関係を構築することで、メトロ・ミラーおよびグローバル・ミラーを 2 つのシステム間で操作できるようになります。これらの協力関係を構築するには、クラスター化システムがバージョン 6.3.0 以降でなければなりません。

クラスター化システムは、2 つの層 (レプリカ生成層またはストレージ層) のどちらかにあります。 SAN ボリューム・コントローラー・システムは、常にレプリカ生成層にあります。 SAN ボリューム・コントローラーとの協力関係を構築するには、システムがレプリカ生成層になければなりません。

Storwize ファミリー・システムは、デフォルトではシステム層にありますが、レプリカ生成層にあるようにシステムを構成することも可能です。

図 15 は、SAN ボリューム・コントローラーStorwize V7000 システム間の協力関係の例を示しています。
図 15. SAN ボリューム・コントローラーStorwize V7000 システムの間の複製の構成例
この図は、システム層の概要を示しています