ボリューム
ボリュームは、システムが接続ホストに対して提示する論理ディスクです。
アプリケーション・サーバーは、MDisk またはドライブではなく、ボリュームにアクセスします。 ボリュームが従属する MDisk が使用不可になった場合であっても、そのボリュームをアクセス可能に保つために、選択したボリュームにミラーリングされたコピーを追加できます。各ボリュームに対して、最大 2 つのコピーを作成できます。それぞれのボリューム・コピーは、プール内の一連のエクステントから作成されます。
基本ボリューム、ミラーリングされたボリューム、またはカスタム・ボリュームを作成できます。これらのボリューム・タイプごとに、ボリュームの容量節約方法などの詳細を指定することができます。システムは、ボリューム上のスペースを節約するために圧縮およびシン・プロビジョニングをサポートします。圧縮ボリュームを使用すると、データはボリュームへの書き込み時に圧縮されるため、ボリュームの容量を節約できます。シン・プロビジョニングは、実容量より大きい仮想容量でボリュームを作成します。これにより、必要に応じて容量を増やすことができます。
タイプ
- ストライプ
- ストライピングされたボリューム・コピーは、エクステント・レベルにあります。ストレージ・プールにある各 MDisk から、1 つずつ順次にエクステントが割り振られます。 例えば、10 の MDisk をもつストレージ・プールは、
それぞれの MDisk から、エクステントを 1 つずつとります。
11 番目のエクステントは最初の MDisk から割り振られ、以下も同様です。 この手順はラウンドロビンとして知られており、RAID-0 ストライピングに似ています。
ストライプ・セットとして使用する MDisk のリストを指定することもできます。 このリストには、ストレージ・プールからの複数の MDisk を入れることができます。 指定されたストライプ・セットにわたって、ラウンドロビン手順が使用されます。
重要: デフォルトでは、ストライピングされたボリューム・コピーは、 ストレージ・プール内のすべての MDisk にわたってストライピングされています。 ある MDisk が他のものより小さい場合、より小さい MDisk 上のエクステントは、 より大きい MDisk のエクステントがすべて使われる前に使い尽くされてしまいます。 この場合、手動でストライプ・セットを指定すると、 結果として、ボリューム・コピーが作成されない可能性があります。ストライプ・ボリューム・コピーを作成するのに十分なフリー・スペースがあるかどうかが不確かな場合には、 以下のオプションのうちいずれか 1 つを選択してください。- lsfreeextents コマンドを使用して、ストレージ・プール内の各 MDisk 上のフリー・スペースをチェックしてください。
- 特定のストライプ・セットを指定しないことによって、 システムに自動的にボリューム・コピーを作成させます。
図 1 は、3 つの MDisk を持つストレージ・プールの例です。 この図はまた、ストレージ・プール内で使用可能なエクステントから作成された、ストライプ・ボリューム・コピーを示しています。
図 1. ストレージ・プール および ボリューム - 順次
- エクステントが選択されると、 選択された MDisk に連続するフリー・エクステントが十分にあれば、 ボリューム・コピーを作成するために、1 つの MDisk 上に順次にエクステントが割り振られます。
- イメージ
- イメージ・モードのボリュームは、1
つの MDisk と直接的な関係をもつ特別なボリュームです。 クラスター化システム にマージしたいデータが入っている MDisk がある場合は、イメージ・モードのボリュームを作成することができます。 イメージ・モードのボリュームを作成するときは、MDisk 上にあるエクステントと、ボリューム上にあるエクステントの間に直接マッピングが行われます。
MDisk は仮想化されません。 MDisk 上の論理ブロック・アドレス (LBA) x は、ボリューム上の LBA x と同じです。
イメージ・モードのボリューム・コピーを作成するときに、 それをストレージ・プールに割り当てる必要があります。 イメージ・モードのボリューム・コピーは、サイズが少なくとも 1 エクステントでなければなりません。 イメージ・モード・ボリューム・コピーの最小のサイズは、 それが割り当てられているストレージ・プールのエクステント・サイズです。
エクステントは、他のボリューム・コピーの場合と同じ方法で管理されます。 エクステントが既に作成されている場合は、ボリューム・ミラーリングを使用することで、データへのアクセスを失うことなくストレージ・プール内にある他の MDisk にデータを移動することができます。
既存データが入っている MDisk の初期モードは非管理であるので、クラスター化システムは、そこに区画またはデータが入っているかどうか判別できません。
ボリューム・コピーの作成のために、より高度なエクステントの割り振りポリシーを使用することができます。 ストライプ・ボリュームを作成すると、 ストライプ・セットとして使用される MDisk のリストに同じ MDisk を 2 回以上指定することができます。 すべての MDisk が同じ容量ではないストレージ・プールがある場合に、この方法は有用です。 例えば、18 GB の MDisk が 2 つと、36 GB MDisk が 2 つあるストレージ・プールがある場合、 ユーザーは、ストレージの 3 分の 2 が 36 GB ディスクから割り振られるようにするために、 それぞれの 36 GB MDisk をストライプ・セットで 2 回指定して、ストライピングされたボリューム・コピーを作成することができます。
ボリュームを削除すると、ボリューム上のデータへのアクセスは破棄されます。 ボリューム内で使用済みになったエクステントは、ストレージ・プールにあるフリー・エクステントのプールに戻されます。 ボリュームがまだホストにマップされている場合は、 削除は失敗します。 また、ボリュームがまだ FlashCopy®、 メトロ・ミラー、またはグローバル・ミラーのマッピングの一部である場合でも、削除が失敗することがあります。 削除に失敗した場合は、強制削除フラグを指定して、ボリュームおよび関連したホストへのマッピングの両方を削除することができます。 強制削除をすると、コピー・サービスの関係とマッピングが削除されます。
状態
ボリュームの状態は、オンライン、オフライン、または劣化のいずれかです。 表 1 に、ボリュームのさまざまな状態の説明を示します。状態 | 説明 |
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オンライン | 入出力グループの両方のノードがボリュームにアクセスできる場合、 ボリュームの少なくとも 1 つの同期コピーがオンラインであり、使用可能です。 単一のノードがボリュームと関連付けられたストレージ・プール内のすべての MDisk にアクセスできる場合は、その単一ノードは、1 つのボリュームだけにアクセスできます。 |
オフライン | 入出力グループの両方のノードが欠落している場合、または入出力グループ内の存在するノードがどれもボリュームの同期コピーにアクセスできない場合は、ボリュームはオフラインであり、使用不能です。 同期化されていないメトロ・ミラー関係またはグローバル・ミラー関係の 2 次ボリュームの場合、そのボリュームもオフラインになることがあります。 ユーザーが、使用可能なディスク・スペースを超える量のデータを書き込もうとした場合、シン・プロビジョニング・ボリュームはオフラインになります。 |
劣化 | 入出力グループ内の一方のノードがオンラインで、
他方のノードが欠落しているか、ボリュームの同期コピーにアクセスできない場合、ボリュームの状況は劣化です。 注: 劣化しているボリュームがあるときに、関連したノードと MDisk がすべてオンラインである場合は、IBM® サポートに連絡して支援を受けてください。
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キャッシュ・モード
キャッシュ・モードを指定して、読み取り/書き込み操作をキャッシュに保管するかどうかを選択できます。 ボリュームを作成する場合はキャッシュ・モードを指定することができます。 ボリュームを作成した後で、キャッシュ・モードを変更できます。
表 2 は、ボリュームの 2 つのタイプのキャッシュ・モードを説明しています。
キャッシュ・モード | 説明 |
---|---|
読み取り/書き込み | ボリュームで実行されるすべての読み取り/書き込み入出力操作は、キャッシュに保管されます。 これはすべてのボリュームで、デフォルトのキャッシュ・モードです。 |
readonly | ボリュームで実行されるすべての読み取り入出力操作は、キャッシュに保管されます。 |
なし | ボリュームで実行されるすべての読み取り/書き込み入出力操作は、キャッシュに保管されません。 |