システム構成の復元

この手順は、リカバリー手順が失敗した場合、あるいは、ボリューム上に保管されているデータが必要ではない場合にのみ、システム構成を復元するために使用します。

始める前に

この構成の復元手順は、ボリューム、ローカル・メトロ・ミラー情報、ストレージ・プール、およびノードなどの、構成に関する情報を復元することを目的としています。 ボリュームに書き込んだデータはリストアされません。ボリューム上のデータをリストアするには、クラスター化システム上のボリュームをストレージとして使用するすべてのアプリケーションから個別にアプリケーション・データをリストアする必要があります。 そのため、構成のリカバリー・プロセスを実行する前に、このデータのバックアップを用意する必要があります。

システムのバックアップ時にシステム上で USB 暗号化が有効であった場合、構成のリストアを機能させるためには、ノード・キャニスターの USB ポートに少なくとも 3 つの USB フラッシュ・ドライブが存在する必要があります。USB フラッシュ・ドライブに鍵が含まれている必要はありません。それらは、リストア・プロセスの一環として新しい鍵を生成するために使用されます。

このタスクについて

データ損失を避けるには、 構成データおよびアプリケーション・データを定期的にバックアップする必要があります。 重大な障害が発生してシステムが失われると、システムの構成とアプリケーションの両方のデータが失われます。システムを正確に障害発生前の状態に復元してから、 アプリケーション・データをリカバリーする必要があります。

復元処理中、ノードとストレージ・エンクロージャーがシステムに復元されてから、MDisk とアレイが再作成され、構成されます。関与するストレージ・エンクロージャーが複数ある場合、アレイおよび MDisk はエンクロージャー ID に基づいて適切なエンクロージャーで復元されます。

重要:
  • iSCSI によって仮想化された外部コントローラーに接続されるノードを含む Storwize® V3700 システムでは、ご使用のデータをリストアする前に、すべてのノードをシステム内に追加する必要があります。さらに、ご使用のデータをリストアする前に、システムの cfgportip 設定および iSCSI ストレージ・ポートを手動で再適用する必要もあります。ステップ 10 を参照してください。
  • VMware vSphere 仮想ボリューム (VVol と呼ばれることもある) 環境では、T4 回復の後、仮想ボリューム 構成ステップの一部は既に完了しています。つまり、metadatavdisk が作成され、ユーザーグループとユーザーが作成され、adminlun ホストが作成されています。 ただし、ユーザーはその後最後の 2 つの構成ステップを手動で実行する必要があります。それらのステップは、IBM® Spectrum Control Base Edition 上でのストレージ・コンテナーの作成と、VMware vCenter 上での仮想計算機の作成です。仮想ボリュームの構成を参照してください。

CLI コマンドを実行するための説明を理解できない場合、コマンド・ライン・インターフェースの参照情報を参照してください。

構成データを復元するには、以下のステップを実行します。

手順

  1. このリカバリー手順を実行する前に、すべてのノードが候補ノードとして使用可能であることを確認します。ノードを候補状態にするには、エラー 550 またはエラー 578 を除去する必要があります。
  2. USB フラッシュ・ドライブで使用可能な 初期化ツール を使用して、IP アドレスを指定してシステムを初期化します。
  3. システム CLI への ssh アクセスを許可するために SSH 公開鍵ファイルをアップロードします。デフォルトのスーパーユーザー・パスワード (passw0rd) を使用します。デスクトップ上で次の CLI コマンドを使用します。
    pscp -pw passw0rd ssh_public_key_file superuser@cluster_ip:/tmp/
    ここで、cluster_ip は、構成の復元対象となるシステムの IP アドレスまたは DNS 名です。
  4. コマンド・ライン・インターフェースを使用し、次のコマンドを発行してシステムにログオンします。
    plink -pw passw0rd superuser@cluster_ip
  5. 次の CLI コマンドを発行して、スーパーユーザー用の SSH 公開鍵を構成します。
    chuser -keyfile /tmp/ssh_public_key_file superuser
    これで、SSH を使用してシステムに接続する際にデフォルトのスーパーユーザー・パスワードを使用する代わりに、秘密 SSH 鍵ファイルを使用できるようになります。
    注: RSA ホスト鍵が変更されているため、次に SSH を使用してシステムに接続する際に、警告メッセージが表示される場合があります。
  6. デフォルトで、新規に初期化されたシステムがストレージ層に作成されます。 システムの層は、構成バックアップ XML ファイルから自動的には復元されません。復元するシステムが以前にレプリカ生成層で構成された場合は、この時点で、手動によって層を変更する必要があります。 レプリカ生成層およびストレージ層について詳しくは、ページの終わりにある「関連概念」セクションの『システム層』トピックを参照してください。
  7. クラスター化システムを以前にレプリカ生成層として構成していた場合、chsystem コマンドを使用して層の設定を変更します。
  8. リストア元の構成バックアップ・ファイルを特定します。 このファイルは、構成のバックアップ時に保存した構成バックアップ XML ファイルのローカル・コピーでも、いずれかのノード上の最新のファイルでも、どちらでもかまいません。構成データは、毎日、システム時刻 01:00 に構成ノードに自動的にバックアップされます。
    重要: 続行する前に、バックアップ・ファイルを別のコンピューターにコピーする必要があります。最初に、CLI コマンド sainfo lsservicenodes を発行して、各ノードのパネル名を判別します。
    データのコピーを保存するには、以下のステップを実行して、両方のノードでバックアップ・ファイルの有無を確認します。
    1. 次のコマンドを使用して、ノード上の /dumps ディレクトリー内のファイルをリストします。
      sainfo lsfiles panel_name
      ここで、panel_name は、ノードのパネル名です。
    2. svc.config.cron.xml で始まりパネル名で終わるファイル名を見つけます。
    3. 次のコマンドを使用して、ファイルを構成ノードにコピーします。
      satask cpfiles -prefix /dumps/filename -source panel_name
      ここで、filename はファイル名です。 sainfo lscmdstatus が表示されてコピーが完了します。表示される cpfiles_status が、
      cpfiles_status Active
      cpfiles_status_data Copying 1 of 1
      から次のように変わります。
      cpfiles_status complete
      cpfiles_status_data Copied 1 of 1
      に変わります。
    4. ファイルをご使用のコンピューターにダウンロードします。 デスクトップから、以下のコマンドを発行します。
      pscp -i ssh_private_key_file superuser@cluster_ip:/dumps/filename full_path_to_desktop_copy_location
      ここで、filename はシステム上の svc.config.cron.xml で始まるファイル名、full_path_to_desktop_copy_location はこのファイルのコピー先のデスクトップ上のロケーションです。
  9. リストアしたい XML バックアップ・ファイルをシステムにコピーします。
    pscp full_path_to_identified_svc.config.file 
    superuser@cluster_ip:/tmp/svc.config.backup.xml
  10. システムに iSCSI ストレージ・コントローラーが含まれている場合、それらのコントローラーをここで手動で検出する必要があります。データを復元するためには、その前に、それらのコントローラーに接続されているノード、iSCSI ポート IP アドレス、および iSCSI ストレージ・ポートをシステムに追加しておく必要があります。
    1. これらのノードを追加するには、該当するノードすべてのパネル名、ノード名、および入出力グループを構成バックアップ・ファイルから判別してください。ノードをシステムに追加するには、次のコマンドを実行します。
      svctask addnode -panelname panel_name -iogrp iogrp_name_or_id -name node_name

      ここで、panel_name はパネルに表示される名前、iogrp_name_or_id はこのノードを追加する先の入出力グループの名前または ID、node_name はノードの名前です。

    2. iSCSI ポート IP アドレスを復元するには、cfgportip コマンドを使用します。
      1. IPv4 アドレスを復元するには、構成バックアップ・ファイルから id (port_id)、 node_id、 node_name、 IP_address、 mask、 gateway、 host (0/1 は no/yes を表す)、 remote_copy (0/1 は no/yes を表す)、および storage (0/1 は no/yes を表す) を判別して、以下のコマンドを実行します。
        svctask cfgportip -node node_name_or_id -ip ipv4_address -gw ipv4_gw 
        -host yes | no -remotecopy yes | no -storage yes | no port_id

        ここで、node_name_or_id はノードの名前または ID、ipv4_address はポートの IP v4 バージョン・プロトコル・アドレス、ipv4_gw はポートの IPv4 ゲートウェイ・アドレスです。

      2. IPv6 アドレスを復元するには、構成バックアップ・ファイルから id (port_id)、 node_id、 node_name、 IP_address_6、 mask、 gateway_6、 prefix_6、 host_6 (0/1 は no/yes を表す)、 remote_copy_6 (0/1 は no/yes を表す)、 storage_6 (0/1 は no/yes を表す) を判別して、以下のコマンドを実行します。
        svctask cfgportip -node node_name_or_id -ip_6 ipv6_address -gw_6 ipv6_gw 
        -prefix_6 prefix -host_6 yes | no -remotecopy_6 yes | no -storage_6 yes | no port_id

        ここで、node_name_or_id はノードの名前または ID、ipv6_address はポートの IP v6 バージョン・プロトコル・アドレス、ipv6_gw はポートの IPv6 ゲートウェイ・アドレス、prefix は IPv6 接頭部です。

      ステップ b.i および b.ii を、バックアップ構成ファイルの node_ethernet_portip_ip セクションのすべての (以前に構成済みの) IP ポートに対して実行してください。

    3. 次に、detectiscsistorageportcandidate コマンドとaddiscsistorageport コマンドを使用して、iSCSI ストレージ・ポートの候補を検出して追加します。必ず、これらの iSCSI ストレージ・ポートを検出し、構成バックアップ・ファイルに示されるのと同じ順序でそれらを追加してください。正しい順序に従わないと、T4 障害が発生する場合があります。ステップ c.i に続き、ステップの c.ii および c.iii を実行する必要があります。バックアップ構成ファイルにリストされているすべての iSCSI セッションに対して、これらのステップをまったく同じ順序で繰り返す必要があります。
      1. iSCSI ストレージ・ポートを検出するために、構成バックアップ・ファイルから src_port_id、IO_group_id (オプション。値が 255 の場合は不要)、target_ipv4/target_ipv6 (ブランクでないターゲット ip は必須)、iscsi_user_name (ブランクの場合は不要)、iscsi_chap_secret (ブランクの場合は不要)、および site (ブランクの場合は不要) を判別して、以下のコマンドを実行します。
        svctask detectiscsistorageportcandidate -srcportid src_port_id -iogrp IO_group_id 
        -targetip/targetip6 target_ipv4/target_ipv6 -username iscsi_user_name -chapsecret iscsi_chap_secret -site site_id_or_name

        ここで、src_port_id は構成ポートのソース・イーサネット・ポート ID、IO_group_id は検出される入出力グループの ID または名前、target_ipv4/target_ipv6 は IPv4/IPv6 ターゲット iSCSI コントローラー IPv4/IPv6 アドレス、iscsi_user_name は検出されるターゲット・コントローラー・ユーザー名、iscsi_chap_secret は検出されるターゲット・コントローラー CHAP シークレット、site_id_or_name は検出されるサイトの指定された ID または名前です。

      2. lsiscsistorageportcandidate コマンドを実行して、検出された target_iscsiname をバックアップ構成ファイル内のこの特定のセッションの target_iscsiname と突き合わせ、一致する索引を使用してステップ c.iii で iSCSI ポートを追加します。

        svcinfo lsiscsistorageportcandidate コマンドを実行し、構成バックアップ・ファイルから、target_iscsinametarget_iscsiname に一致する行の ID フィールドを判別します。これが、ステップ c.iii でお客様が使用する candidate_id です。

      3. iSCSI ストレージ・ポートを追加するために、構成バックアップ・ファイルから、IO_group_id (オプション。値が 255 の場合は不要)、site (ブランクの場合は不要)、iscsi_user_name (バックアップ・ファイルでブランクの場合は不要)、iscsi_chap_secret (ブランクの場合は不要) を判別し、ステップ c.ii で一致した target_iscsiname_index を提供してから、以下のコマンドを実行します。
        addiscsistorageport -iogrp iogrp_id -username iscsi_user_name -chapsecret iscsi_chap_secret -site site_id_or_name candidate_id

        ここで、iogrp_id は追加される入出力グループの ID または名前、iscsi_user_name は追加されるターゲット・コントローラー・ユーザー名、iscsi_chap_secret は追加されるターゲット・コントローラー CHAP シークレット、site_id_or_name は追加されるサイトの指定された ID または名前です。

      4. 構成がHyperSwap®または拡張クラスターの場合、コントローラー名およびサイトを復元する必要があります。コントローラー名およびサイトを復元するには、inter_WWPN フィールドを新規追加された iSCSI コントローラーと突き合わせることによって、バックアップ xml ファイルから controller_name およびコントローラーの site_id を判別してから、以下のコマンドを実行します。
        chcontroller -name controller_name -site site_id/name controller_id/name

        ここで、controller_name はバックアップ xml ファイルからのコントローラーの名前、site_id/name はバックアップ xml ファイルからの iSCSI コントローラーの サイトの ID/名前、controller_id/name はコントローラーの ID または現行名です。

  11. 次の CLI コマンドを発行して、現行構成とバックアップ構成データ・ファイルを比較します。
    svcconfig restore -prepare
    この CLI コマンドで、 構成ノードの /tmp ディレクトリーにログ・ファイルが作成されます。 ログ・ファイルの名前は svc.config.restore.prepare.log です。
    注: 各 256-MDisk バッチをディスカバーするには、最大 1 分かかる場合があります。このコマンドの入力後に MDisk に関するエラー・メッセージ CMMVC6200W を受け取った場合は、まだすべての管理対象ディスク (MDisk) がディスカバーされていない可能性があります。適当な時間が経過するのを待ってから、svcconfig restore -prepare コマンドを再試行してください。
  12. 次のコマンドを発行して、ログ・ファイルをシステムにアクセス可能な別のサーバーにコピーします。
    pscp superuser@cluster_ip:/tmp/svc.config.restore.prepare.log 
    full_path_for_where_to_copy_log_files
  13. 現在コピーが保管されているサーバーからログ・ファイルを開きます。
  14. ログ・ファイルのエラーを検査します。
    • エラーが検出された場合は、エラーの原因となっている状態を修正して、コマンドを再発行します。 ステップ 15 に進むには、 すべてエラーを訂正しておく必要があります。
    • 支援が必要な場合は、IBM サポートにご連絡ください。
  15. 次の CLI コマンドを発行して、構成を復元します。
    svcconfig restore -execute

    この CLI コマンドで、 構成ノードの /tmp ディレクトリーにログ・ファイルが作成されます。 ログ・ファイルの名前は svc.config.restore.execute.log です。

  16. 次のコマンドを発行して、ログ・ファイルをシステムにアクセス可能な別のサーバーにコピーします。
    pscp superuser@cluster_ip:/tmp/svc.config.restore.execute.log 
    full_path_for_where_to_copy_log_files
  17. 現在コピーが保管されているサーバーからログ・ファイルを開きます。
  18. このログ・ファイルを調べて、エラーまたは警告が発生していないことを確認します。
    注: ライセンス機能が使用不可であることを知らせる警告を受け取ることがあります。 つまり、このメッセージは、リカバリー処理後に現行ライセンス設定値が 前のライセンス設定値と一致していないことを意味します。 通常、リカバリー処理は続行され、正しいライセンス設定値を後で 管理 GUIに入力できます。

    SSH を使用して CLI に再ログインすると、以下のような出力が表示されます。

    IBM_Storwize:your_cluster_name:superuser>

次のタスク

次の CLI コマンドを発行して、不必要なバックアップとリストア構成ファイルを構成ノードの /tmp ディレクトリーから除去することができます。
svcconfig clear -all