Application Deployment Manager - リリース情報

本書の対象読者
カスタマイズ
   ADM ワークステーションのセットアップとカスタマイズ
      ADM 設定
      システム・レジストリーのエクスポート/インポート
      CICS 1 次接続領域の定義
      CICSPlex 名の指定
   z/OS サーバーのカスタマイズ
      ADM PIPELINE 定義の変更
      CRD クライアント API Web サービスのセキュリティー
CICS リソース定義エディター
   サポートされる環境
   CICS リソース定義言語の制限事項
   CICS 領域デプロイメントの有効範囲
   CRD エディターでサポートされる CICS リソース定義
   CICS リソース定義エディターの起動
   CRD エディターの使用
   システム・プログラマーの CRD エディター機能
   アプリケーション開発者の CRD エディター機能

本書の対象読者

ADM は、Developer for System z または生成された成果物の z/OS へのデプロイメントを担当する Rational Developer for System z 開発者を対象としています。また、CICS リソース定義を定義する開発者、および Developer for System z を使用して CICS リソース定義のデフォルト設定を提供する z/OS システム・プログラマーも対象としています。

カスタマイズ

このセクションでは、ADM ワークステーションおよび z/OS サーバーのカスタマイズについて説明します。

ADM ワークステーションのセットアップとカスタマイズ

ADM には、ワークステーションのセットアップとカスタマイズの 2 つのレベルがあります。ADM 設定はシステム値で、ターゲット・システム定義はターゲット・システムの接続情報を定義および提供します。このセクションでは、必要なワークステーションのカスタマイズについて説明します。

ADM 設定

ADM 設定ウィンドウを使用して、次の操作を行います。

図 1. ADM 設定
image009 のアートワーク

システム・レジストリーのエクスポート/インポート

現行システム・レジストリーは外部ファイルへエクスポートでき、外部システム・レジストリー・ファイルはインポートして、現行システム・レジストリーとマージできます。現行システム・レジストリーをエクスポートするには、以下を行います。

  1. 「ファイル」->「エクスポート」->「ADM エクスポート・システム・レジストリー (ADM Export Systems Registry)」をクリックします。
  2. 「次へ」をクリックします。
  3. エクスポートするファイル・パスを選択します。
  4. 「完了」をクリックします。

図 2. 「エクスポート」ウィンドウ
image010 のアートワーク

現行システム・レジストリーに外部レジストリーをインポートするプロセスもエクスポートのプロセスと似ています。「ファイル」->「インポート」->「ADM インポート・システム・レジストリー (ADM Import Systems Registry)」をクリックし、既存のレジストリー・ファイルを選択して、「完了」をクリックします。

CICS 1 次接続領域の定義

ADM CRD クライアントは、Web サービス接続を CICS 1 次接続領域へインプリメントします。CICS 1 次接続領域は、ADM を使用して構成する必要があります。まず、サービス・フロー・プロジェクトのルート・フォルダーを右クリックすることにより、CICS リソース定義エディターを起動します (詳しくは、『CICS リソース定義エディターの起動』を参照してください)。 CICS 1 次接続領域を追加または編集するには、「システム/領域」タブを使用します。ユーザー・エラーは、該当するフィールドの横に赤色の「X」によって示され、エラーを記述するツールチップが表示されます。必須情報は次のとおりです。

図 3. CICS 1 次接続領域の定義

CICSPlex 名の指定

CICSPlex 名を指定するには、「CICS 対話式 (CICS Interactive)」タブを使用して、次の操作を行います。

  1. リソース・タイプ」プルダウンから「CICSPlex」を選択します。
  2. アクション」プルダウンから「CICSPlex 名の指定 (Provide CICSPlex name)」を選択します。
  3. リソース名 (ResourceName)」フィールドに CICSPlex 名を入力します。

z/OS サーバーのカスタマイズ

ADM ホスト・コンポーネントは、CRD サーバー、関連付けられた CICS リソース定義、Web サービス・バインド・ファイル、およびサンプル・パイプライン・メッセージ・ハンドラーで構成されます。Developer for System z プログラム・ディレクトリーには、ADM ホスト・コンポーネントをインストールするための指示が含まれています。ただし、特定のカスタマイズが必要な場合があります。このセクションでは、そのようなカスタマイズについて説明します。

ADM PIPELINE 定義の変更

Web サービス・バインディング・ディレクトリーには、パイプラインに関連付けられた Web サービス・バインディング (WSBind) ファイルが含まれています。WSBind ファイルは、CICS パイプライン・スキャン・メカニズムによって自動的にインストールされます。

実行時には、CICS は Web サービス・バインディング・ファイル内の情報を使用して、アプリケーション・データ構造と SOAP メッセージ間のマッピングを提供します。

ADM は、各 Web サービスごとに WSBind ファイルを提供します。Developer for System z プログラム・ディレクトリー内で記述されているインストール・プロセスでは、提供されたこれらの WSBind ファイルを、Web サービス・バインディング・ディレクトリー (ピックアップ・ディレクトリーとも呼ばれる) 内の UNIX システム・サービス HFS にインストールします。

提供された ADM パイプライン定義で指定されているディレクトリー・パスが、使用している命名規則に従っていない場合は、CICS CEDA トランザクションを使用して、提供された PIPELINE 定義を変更する必要があります。この定義には WSDIR 属性が含まれています。この属性は、ADM WSBind ファイルが含まれている Web サービス・ピックアップ・ディレクトリーの名前を指定します。次の図は、サンプルの PIPELINE 定義です。

PIpeline       : ADMPIPE1                                       
Group          : ADMGROUP                                       
Description    :                                                
STatus         : Enabled            Enabled | Disabled          
Configfile     : /u/adm/pipeline/wssecurityprovider.xml
(Mixed Case)   :                                                
               :                                                
               :                                                
               :                                                
SHelf          : /u/adm/wsshelf                          
(Mixed Case)   :                                                
               :                                                
               :                                                
               :                                                
Wsdir          : /u/adm/wspickup                         

CRD クライアント API Web サービスのセキュリティー

これらの要求の一部またはすべてを保護する必要があります。少なくとも、CRD クライアント更新の API コマンド (デフォルト Web サービス・パラメーターの更新、デフォルト記述子パラメーターの更新、およびファイル名からデータ・セット名へのバインディングの更新) を保護して、グローバル・リソースのデフォルト設定に使用するこれらのコマンドを、CICS システム・プログラマー以外が発行するのを防ぎます。

CRD サーバー・リポジトリー・ファイルは、更新権限を必要とするリソース・レベル・セキュリティーでインストールする必要があります。適切なレベルの更新権限を持つ CICS ユーザー ID を定義するには、外部セキュリティー・マネージャー (例えば、RACF など) を使用してください。

CICS が SOAP メッセージを受け取ると、それがパイプラインによって処理されます。パイプラインは、順序どおりに実行されるメッセージ・ハンドラーのセットです。CICS は、パイプライン構成ファイルを読み取って、パイプラインで呼び出すメッセージ・ハンドラーを決定します。

メッセージ・ハンドラーは、Web サービス要求および応答の特殊処理を実行できるプログラムです。

ADM は、メッセージ・ハンドラーおよび SOAP ヘッダー処理プログラムの呼び出しを指定するサンプル・パイプライン構成ファイルを提供します。

CPIH は、パイプラインによって呼び出されたアプリケーションを実行するときに使用されるデフォルトのトランザクション ID です。一般的に CPIH は、最小レベルの権限に設定されます。ADNSMSGH は、次のような新しい CICS トランザクション ID を設定するために使用するサンプル・メッセージ・ハンドラーです。

トランザクションが接続されたら、CICS リソース・セキュリティー検査によって、ユーザー ID がトランザクション ID を実行できる権限を持っているかどうかが確認されます。

リソース検査は、実行中のトランザクション内の RESSEC オプション、RESSEC システム初期化パラメーター、および CRD サーバーの場合は XPCT システム初期化パラメーターによって制御されます。

リソース検査は、XPCT システム初期化システムの初期化パラメーターの値が NO 以外であり、かつ TRANSACTION 定義内の RESSEC オプションが YES であるか、または RESSEC システム初期化パラメーターが ALWAYS である場合にのみ、実行されます。

ADNSMSGH は変更可能で、カスタマーがコンパイルする必要があります。 コンパイル・ジョブでは、リンク・エディット・ステップでモジュール ADNTMSGH を指定する必要があります。

さらに、TCPIPSERVICE 定義はオプションで、SOAP メッセージ全体の暗号化を提供するように HTTPS 接続を指定できます。

CICS リソース定義エディター

Developer for System z CICS リソース定義エディターは、CICS リソースの定義に関するサポートを提供します。これは Developer for System z コンポーネントで、定義済み CICS リソースのデプロイメント用の ADM デプロイメント・サービスのコンシューマーです。

従来は、CICS にリソースを定義する役割は、CICS システム・プログラマーの領域でした。次の理由から、アプリケーション開発者が CICS リソースを定義できるようにすることには不都合がありました。

Developer for System z CRD エディターでは、これらの問題に対処するために、CICS システム・プログラマーが、CICS リソース定義のデフォルト設定を制御でき、CICS リソース定義パラメーターの表示プロパティーを制御できます。 例えば、CICS システム・プログラマーは、アプリケーション開発者が更新できない特定の CICS リソース定義パラメーターを提供できます。他の CICS リソース定義パラメーターは、デフォルト設定の提供の有無に関係なく、更新できる可能性があります。また、必要以上に複雑になることを避けるため、CICS リソース定義パラメーターを非表示にすることができます。

サポートされる環境

CRD エディターは、CPSM の有無に関係なく、CICS TS 3.1 システムで CICS リソースの定義をサポートします。

CPSM がインストールされていない場合は、CRD サーバーが CICS CREATE SPI コマンドを使用して、CICS リソースを定義およびインストール (さらに使用可能に設定) します。この場合は、CSD が更新されません。したがって、リソース定義を表示するために、CEDA を使用することはできません。ただし、CEMT INQUIRE は使用できます (この場合、すべての定義パラメーターが表示されるわけではありません)。

CPSM がインストールされたら、CICS リソースを定義およびインストールするために、CPSM ビジネス・アプリケーション・サービス (BAS) インターフェースが使用されます。この場合は、CSD が更新されません。したがって、リソース定義を表示するために、CEDA を使用することはできません。ただし、CICS リソースを表示するために、CEMT INQUIRE と CPSM BAS インターフェースの両方を使用できます。CPSM BAS インターフェースでは、すべての定義パラメーターがリストされます。

CICS リソース定義言語の制限事項

CICS リソース名およびその他の英数字リソース属性は通常、EBCDIC のすべてのバリアントに共通の文字のみに制限されます。 これには、双方向文字または DBCS 文字は含まれません。各リソース・タイプおよび属性の有効な文字について詳しくは、「CICS TS Resource Definition Guide」(SC34-6430) を参照してください。

CICS 領域デプロイメントの有効範囲

Developer for System z ADM は、Web サービスを使用して、CRD サーバーを実行中の CICS TS 3.1 領域へ接続します。CICS リソースは、次のシナリオに従って、CRD サーバー領域および他の領域にインストールできます。

CRD エディターでサポートされる CICS リソース定義

次の CICS リソース定義は、CRD エディターによってサポートされます。

CICS リソース定義エディターの起動

以下のステップを実行して、CICS リソース定義エディターを起動します。 既にサービス・フロー・プロジェクトがある場合は、ステップ 4 にスキップしてください。

  1. エンタープライズ・サービス・ツール・パースペクティブを開きます。
  2. 「エンタープライズ・サービス・ツール」メニュー・アイコンをクリックし、「サービス・フロー・プロジェクト」を選択します。
  3. 「新規サービス・フロー・プロジェクト」ウィザードで、以下の手順を実行します。
  4. ルート・プロジェクト・フォルダーを右クリックし、「CICS リソース定義 (CICS Resource Definition)」を選択します。

CRD エディターの使用

CRD エディター機能は、Developer for System z コンポーネントとしてインプリメントします。これは、アプリケーション開発者とシステム・プログラマーの両方が担当できます。

システム・プログラマーは、CRD エディターを使用して、すべての CRD エディターでサポートされる CICS リソース定義の z/OS ベース・パラメーター・デフォルト、CICS リソース定義パラメーターの表示プロパティーを提供し、VSAM ファイルのバインディング情報を提供し、CPSM のインストール時には CICSPlex 名を提供します。

アプリケーション開発者は、CRD エディターを使用して、既存のリソース定義 (モデルとして使用可能) を、デプロイメントに使用できる CICS 領域 ID (SYSID) のリストとともに取り出し、CICS リソース定義を定義およびデプロイします。

図 4 に、既存のプログラム定義を取り出すために使用される CRD エディターを示します。

図 4. CICS リソース定義エディター

システム・プログラマーの CRD エディター機能

CRD エディターは、CICS システム・プログラマーによって使用されることを目的として、次の機能をインプリメントします。

CICS リソース定義のデフォルト設定を取り出す/更新する
ユーザーは、特定の CICS リソース・タイプを選択します。このリソース・タイプのデフォルト・パラメーターは、CRD サーバーによって z/OS から取り出されます。特定のリソース・タイプの初期設定の場合は、CRD サーバーが、推奨されるリソース・パラメーターのデフォルト設定を提供します。

リソースは、このタイプの新規リソース定義の作成時に一般的に表示されるときと同様に表示されます。パラメーター・フィールドの項目は、z/OS 上の CRD サーバー・リポジトリー・ファイルでデフォルト設定を更新するために使用されます。 これらのデフォルト設定は、それ以降に同じタイプのリソース定義が作成されるときに使用されます。

さらに、ほとんどのリソース・パラメーターの表示プロパティーを設定できます。有効な表示プロパティーは更新可能で、保護されて非表示になります。

サポートされる各リソース・タイプには、CRD エディターによってリソース・タイプを定義できるかどうかを指定するための設定もあります。

CICS VSAM ファイルの論理から物理へのバインディングを取り出す/更新する
論理 VSAM ファイル名は、ユーザーによって提供されます。バインディングが以前に提供されていた場合は、物理データ・セット名が表示されます。

物理データ・セット名は、最初から提供するか、または更新できます。

論理から物理へのバインディングに関する情報は、z/OS 上の CRD サーバー・リポジトリーに保管されます。

論理から物理 VSAM ファイルへのバインディングは、それ以降、論理ファイル名を使用して VSAM ファイル定義を作成するときに使用されます。

アプリケーション開発者の CRD エディター機能

CRD エディターは、CICS アプリケーション開発者によって使用されることを目的として、次の機能をインプリメントします。

CICS リソース定義を取り出す/作成する
ユーザーは、特定の CICS リソース・タイプを選択します。このリソース・タイプのデフォルト・パラメーターは、CRD サーバーによって z/OS から取り出されます。このリソース・タイプのデフォルト・パラメーターが CRD サーバー・リポジトリーで見つからない場合は、CRD サーバーが推奨されるリソース・パラメーターのデフォルト設定を提供します。

CRD サーバー・リポジトリーのリソースのデフォルト設定である表示値に従って、特定のリソース・タイプのリソース・パラメーターが表示されます。リソース・パラメーターは、更新可能値として表示されるか、保護されるか、または非表示になります。

デフォルトでは、作成されたリソースは、CRD サーバーが実行される CICS TS 3.1 領域にインストールされます。ただし、ユーザーは、リソースを別のターゲット CICS 領域にインストールするように指示できます。 これは、インストール済み環境に応じて行われます。

CICSPlex SM がインストールされていない場合は、1 次接続領域に対する MRO 接続がアクティブであるターゲットにリソースをインストールできます。これは、次のいずれかの方法で行います。

CICSPLex SM がインストールされている場合は、リソースを、1 次接続領域と同じ CICSPlex 内の CICS 領域にインストールできます。これは、次の 3 つの方法のうちいずれかで行います。

  1. DestinationInfo セクションの Sysid フィールドに 4 文字の CICS SYSID を指定する。
  2. ターゲット領域が VTAM に認識されるときに使用される VTAM アプリケーション ID (APPLID) を、DestinationInfo セクションの Applid フィールドに指定する。
  3. ターゲット領域が CICSPlex SM に認識されるときに使用される CICS 領域名を、DestinationInfo セクションの Applid フィールドに指定する。

CICSPlex SM 環境での運用には、さらに次のような 2 つの利点があります。

  1. 一部の CICS リソースは、単一のリソース定義をローカルとリモートの両方の定義に使用できる場合に作成できます。これは、プログラム、トランザクション、ファイル、および TDQ 定義に適用されます。これらのタイプの定義では、ローカルとリモートの両方の属性が、同じ定義内に定義されます。 定義がインストールされるときには、リモート定義属性が、上記のようなターゲット領域にインストールされます。ローカル定義属性は、DestinationInfo セクションの Related Applid フィールドに指定された領域にインストールされます。Related Applid フィールドには、VTAM Applid または CICSPlex SM CICS 領域名のいずれかが格納されます。
  2. リソース・グループを作成できます。リソース・グループが作成された後、DestinationInfo セクションの「リソース・グループ」フィールドにリソース・グループ名を指定することにより、他のリソース定義を作成するときに、作成したリソース・グループを指定することができます。 これで、リソース・グループが指定されたグループに関連付けられます。

CICS リソース・パラメーター値は、「CICS Resource Definition Guide」(SC34-6430) に記載されている規則に従います。

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