モジュールおよびライブラリー

WebSphere® Integration Developer を 使用して統合ビジネス・ソリューションをビルドするときには、リソースとコードを含めるためのモジュール、メディエーション・モジュール、またはライブラリーを作成します。

WebSphere Integration Developer は シンプルなリソース編成を提供し、生成された成果物の詳細を気にすることなく、統合ビジネス・ソリューションを 即時にビルドおよびテストすることができるようにします。 モジュール (ビジネス・インテグレーション・モジュールと呼ばれることもあります) またはメディエーション・モジュールを作成し、 ビジネス・オブジェクトやインターフェースなどのリソースを含むビジネス・インテグレーション・アプリケーションの作成を即時に開始することができます。 生成されたコードはデフォルト・ロケーションに自動的に置かれ、 アプリケーションの作成時に取り扱う必要のないサポート成果物はビューで非表示になります。 このトピックでは、モジュールとライブラリーの目的およびその操作方法を簡単に説明します。

ビジネス・サービスに関するモジュール

モジュール とは、開発、バージョン管理、ビジネス・サービス・リソースの編成、 および WebSphere Process Server へのデプロイのために使用される、WebSphere Business Integration プロジェクトの 1 つです。 ビジネス・サービスには、プロセス、ヒューマン・タスク、ステート・マシン、ビジネス・ルール、および Java™ サービスが含まれます。 実際、モジュールはこのランタイム環境へのデプロイメントの基本単位です。 依存ライブラリー、Java プロジェクト、および J2EE プロジェクトをモジュールに追加し、 そのモジュールと共にそれらをデプロイすることを選択することができます。

このモジュールは、モジュール・アセンブリーに一緒ワイヤリングされる Service Components Architecture (SCA) コンポーネントとしてモデル化される、 ビジネス・サービスを提供します。 このモジュールは、サービスで使用されるすべてのリソースを含むことができますが、 これらのリソースはモジュール内 でのみ使用可能な専用のリソースです。 あるモジュール内のロジックを他のモジュールから再利用するために、 コンポーネントのインターフェースをエクスポートできます。 コンポーネントについて詳しくは、このトピックの終わりにリストされている関連概念を参照してください。

ライブラリー

多くの場合、 複数のモジュール内のリソースがインターフェース、ビジネス・オブジェクト、 ビジネス・オブジェクト・マップ、ロール、関係、および Web サービス・ポートを使用できるように、それらを共用する必要があります。 ライブラリー は、これらのリソースを保管するために使用されるプロジェクトです。 このプロジェクトの内容は共用できます。

モジュールまたはメディエーション・モジュールがライブラリーからリソースを使用するためには、 ライブラリーを、モジュールに依存するものとして追加する必要があります。 ライブラリーを単独でデプロイすることはできません。 ただし、ライブラリーをモジュールに追加して、 そのモジュールと共にライブラリーをデプロイすることを選択できます。 また、ライブラリー依存関係をライブラリーに追加できます。 例えば、あるライブラリーが別のライブラリー内のリソースを使用する場合、 ライブラリー依存関係を追加する必要があります。 依存関係について詳しくは、このトピックの終わりにリストされている関連概念を参照してください。

例: ビジネス・サービスに関するモジュールおよびライブラリー

ビジネス・サービスに関するモジュールおよびライブラリーの使用を示す場合には、 以下のカスタマー問い合わせアプリケーションのサンプルを参考にしてください。 カスタマー ID が指定されると、カスタマーのポートフォリオ情報が戻されます。 この問い合わせを処理するには追加サービスが 2 つ必要です。 1 つはカスタマーの会計情報にアクセスするためのサービスで、もう 1 つは現在の株価を調べるためのサービスです。 以下の図は、このアプリケーションを示したものです。
必要なアプリケーションを示す図

カスタマー問い合わせサンプルを使用すると、 次の「ビジネス・インテグレーション」ビューに示されるように 3 つのモジュールと 1 つのライブラリーが作成されます。

3 つのモジュールとライブラリーが「ビジネス・インテグレーション」ビューに表示されています

この統合アプリケーションには以下の 3 つのモジュールと 1 つのライブラリーがあります。
  • CustomerQuery モジュールには、モジュール・アセンブリー内に統合カスタマー照会アプリケーションが含まれています。
  • CustomerInfo モジュールは CustomerInfo サービスのリソースを保管します。 CustomerInfo コンポーネントのエクスポート済みインターフェースは、CustomerQuery モジュールのアセンブリーでサービスを使用可能にします。
  • StockQuote モジュールは StockQuote サービスのリソースを保管します。 StockQuote コンポーネントのエクスポート済みインターフェースは、CustomerQuery モジュール・アセンブリーでサービスを使用可能にします。
  • SharedLib ライブラリーは、モジュールによって使用される共通のビジネス・オブジェクトおよびインターフェース (例えば、StockQuoteInterface や CustomerInfoInterface) を保管します。

コンポーネントおよびモジュールについて詳しくは、関連概念を参照してください。

メディエーション・モジュール

メディエーション・モジュール は、開発、バージョン管理、リソースの編成、および WebSphere Enterprise Service Bus または WebSphere Process Server へのデプロイのために使用される WebSphere Business Integration プロジェクトの 1 つです。 メディエーション・サービスは、サービス・コンシューマー (エクスポート) とサービス・プロバイダー (インポート) との間のメッセージを代行受信および変更するフローで構成されます。 依存ライブラリー、Java プロジェクト、および J2EE プロジェクトをメディエーション・モジュールに追加し、 そのモジュールと共にそれらをデプロイすることを選択できます。

メディエーション・モジュールは、モジュール・アセンブリーに一緒にワイヤリングされる Service Components Architecture (SCA) コンポーネントとしてモデル化される、 メディエーション・サービスを提供します。 このモジュールは、サービスで使用されるすべてのリソースを含むことができますが、 これらのリソースはモジュール内 でのみ使用可能な専用のリソースです。 あるモジュール内のロジックを他のモジュールから再利用するために、 コンポーネントのインターフェースをエクスポートできます。 コンポーネントについて詳しくは、このトピックの終わりにリストされている関連概念を参照してください。

メディエーション・モジュールには、 以下の実装タイプがあります。
  • メディエーション・フロー
  • Java
: メディエーション・モジュールには、1 つのメディエーション・フロー・コンポーネントしか格納できません。

例: メディエーション・モジュールおよびライブラリー

メディエーション・モジュールとライブラリーの使用を示すために、 株価情報サービス・アプリケーションの単純な例を使用します。 カスタマー ID と銘柄シンボルが指定されると、メディエーション・フローによって照会が処理されます。 カスタマーのサブスクリプション・レベルが判別され、サブスクリプションのタイプに応じて、 該当するサービス・プロバイダーに照会が送付され、 株価情報がクライアント・アプリケーションに戻されます。 以下の図は、このアプリケーションを示したものです。
サンプル・アプリケーションを示す図

株価情報の例を使用して、「ビジネス・インテグレーション」ビューに示すように、メディエーション・モジュールとライブラリーが作成されます。

メディエーション・モジュールとライブラリーには、 以下のリソースが含まれています。
  • StockQuote メディエーション・モジュールは、 株価情報メディエーション・サービスに関するモジュール・アセンブリーとメディエーション・ロジックを保管します。 エクスポートされたインターフェース StockQuoteService によって、 メディエーション・モジュールがクライアント・アプリケーションで使用可能になります。 インポートされたインターフェース DelayedServicePortType および RealtimeServicePortType によって、 プロバイダーからのサービスがメディエーション・モジュールで使用可能になります。 メディエーション・フロー・コンポーネント StockQuote_MediationFlow には、 ログ記録、フィルター操作、経路指定、および変換のためのロジックがあります。 XML マップは、受信サービスと互換性がある形式にメッセージを変換する XSL スタイル・シートを生成するために使用されます。
  • Resources ライブラリーには、メディエーション・モジュールによって使用されるビジネス・オブジェクト、 インターフェース、およびバインディングが保管されます。

その他のプロジェクトでの作業

JSP ファイル、JAR ファイル、 Web プロジェクト、Java プロジェクト、および J2EE プロジェクトを操作する必要がある場合、 詳しくは関連参照の『ベスト・プラクティス: モジュールおよびパッケージ化』を参照してください。

関連概念
モジュールとライブラリーの依存関係
ビジネス・インテグレーションのケイパビリティーおよびロール
ビジネス・インテグレーションの虎の巻
ビジネス・サービス: コンポーネントおよびモジュール
メディエーション・サービス: コンポーネントおよびメディエーション・モジュール
関連タスク
ビジネス・サービスに関するモジュールの作成
メディエーション・モジュールの作成
デフォルト名前空間の変更
ツール・ケイパビリティーを使用可能にする
モジュールおよびライブラリーへの依存関係の追加
ライブラリーの作成
エクスポートの作成
関連資料
ベスト・プラクティス: ビジネス・サービスに関するモジュールおよびパッケージ化
ベスト・プラクティス: メディエーション・モジュールおよびパッケージ化
ビジネス・インテグレーション・パースペクティブおよびビュー
リソースのドキュメンテーション
WSDL と Java インターフェースおよび参照

関連情報

チュートリアル: モジュールおよびライブラリーの操作

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