このセクションでは、RosettaNet 文書の概要、および文書フロー定義やこれらの文書の対話をセットアップする方法について説明します。
RosettaNet は、取引先間でのビジネス・メッセージの交換をサポートするためのオープン・スタンダードを規定する組織です。RosettaNet について詳しくは、http://www.rosettanet.org を参照してください。この標準には、RosettaNet Implementation Framework (RNIF) および Partner Interface Process (PIP) 仕様が含まれます。 RNIF はメッセージ・パッケージ化、転送プロトコル、およびセキュリティーのフレームワークを提供することにより、取引先のメッセージ交換方法を定義します。公開されているバージョンは 1.1 と 2.0 の 2 つがあります。PIP は、パブリック・ビジネス・プロセス、およびこのプロセスをサポートするための XML ベースのメッセージ・フォーマットを定義します。
WebSphere Partner Gateway では、RNIF 1.1 および 2.0 を使用する RosettaNet メッセージングをサポートします。PIP メッセージを受信すると、ハブはメッセージを検証し、変換して、適切なバックエンド・システムに送信します。 WebSphere Partner Gateway には、変換されたメッセージをバックエンド・システムが処理可能な RosettaNet Service Content (RNSC) メッセージにパッケージ化するためのプロトコルが備わっています。 ルーティング情報を提供するためにこれらのメッセージで使用されるパッケージ化については、「エンタープライズ統合ガイド」を参照してください。
ハブはバックエンド・システムから RNSC メッセージを受信し、適切な PIP メッセージを作成して、適切な取引先 (参加者) にメッセージを送信することもできます。使用する RNIF のバージョンおよび PIP 用の文書フロー定義を準備してください。
WebSphere Partner Gateway は RosettaNet メッセージのルーティング機能を提供するだけでなく、処理する各メッセージの状態を維持します。これにより、試行回数が指定されたしきい値に到達するまで、失敗したメッセージを再送信できます。PIP メッセージを配信できない場合は、イベント通知メカニズムによってバックエンド・システムにアラートが送信されます。 また、ハブはバックエンド・システムから特定のイベント通知メッセージを受信した場合に、自動的に 0A1 PIP を生成して、適切な参加者に送信できます。イベント通知については、「エンタープライズ統合ガイド」を参照して ください。
RosettaNet メッセージングをサポートするために、WebSphere Partner Gateway にはパッケージと呼ばれる 2 組の ZIP ファイルが用意されています。RNIF パッケージは、RNIF プロトコルをサポートするために必要な文書フロー定義で構成されます。 これらのパッケージは B2BIntegrate ディレクトリーに格納されています。
RNIF V1.1 の場合、パッケージは以下のとおりです。
RNIF V02.00 の場合、パッケージは以下のとおりです。
各ペアの最初のパッケージは、参加者との RosettaNet 通信をサポートするために必要な文書フロー定義を提供し、2 番目のパッケージは、バックエンド・システムとの RosettaNet 通信をサポートするために必要な文書フロー定義を提供します。
2 組目のパッケージ・セットは、PIP 文書フロー・パッケージで構成されています。各 PIP 文書フロー・パッケージには、XML ファイルが格納された Packages ディレクトリー、および XSD ファイルが格納された GuidelineMaps ディレクトリーが含まれます。XML ファイルでは、WebSphere Partner Gateway が PIP を処理する方法、および交換されるメッセージや信号を定義する文書フロー定義を指定します。XSD ファイルでは、PIP メッセージのフォーマットを指定し、メッセージ内の XML エレメントの許容値を定義します。0A1 PIP の ZIP ファイルには、0A1 文書を作成するためのテンプレートとしてハブが使用する XML ファイルも含まれています。
WebSphere Partner Gateway が PIP 文書フロー・パッケージを提供している PIP は、次のとおりです。
PIP ごとに 4 つの PIP 文書フロー・パッケージがあります。
パッケージが WebSphere Partner Gateway と参加者間のメッセージに対応しているのか、それとも WebSphere Partner Gateway とバックエンド・システム間のメッセージに対応しているかを識別する場合に使用できる特定の命名規則に、各 PIP 文書フロー・パッケージは従っています。この命名規則により、RNIF のバージョン、PIP、およびパッケージがサポートする PIP のバージョンも識別されます。WebSphere Partner Gateway と参加者間のメッセージングに使用される PIP 文書フロー・パッケージのフォーマットは、次のとおりです。
BCG_Package_RNIF<RNIF_version>_<PIP><PIP_version>.zip
WebSphere Partner Gateway とバックエンド・システム間のメッセージングに使用される PIP 文書フロー・パッケージのフォーマットは、次のとおりです。
BCG_Package_RNSC<Backend_Integration_version>_RNIF<RNIF_version>_ <PIP><PIP_version>.zip
例えば、BCG_Package_RNIF1.1_3A4V02.02.zip は、RNIF 1.1 プロトコルを使用して参加者と WebSphere Partner Gateway 間で送信される、バージョン 02.02 の 3A4 PIP について文書を検証します。バックエンド・システムとの通信に関する PIP 文書フロー・パッケージの場合は、RosettaNet の内容をバックエンド・システムに送信するためのプロトコルも、パッケージ名で指定する必要があります。これらのメッセージで使用されるパッケージ化については、「エンタープライズ統合ガイド」を参照してください。
WebSphere Partner Gateway で RosettaNet メッセージングを処理するには、メッセージの送信に使用される RNIF のバージョンに対応する RNIF パッケージが必要です。WebSphere Partner Gateway がサポートする PIP ごとに、RNIF のバージョンに対応する 2 つの PIP 文書フロー・パッケージが必要です。例えば、RNIF 2.0 で 3A4 PIP をサポートするには、WebSphere Partner Gateway に次のパッケージが必要です。
最初のパッケージは参加者との RosettaNet メッセージングを、2 番目のパッケージはバックエンド・システムとの RosettaNet メッセージングをサポートします。3 番目と 4 番目のパッケージは、WebSphere Partner Gateway に、RNIF 2.0 を使用して参加者とバックエンド・システム間で 3A4 メッセージの受け渡しを行うための機能を提供します。
RosettaNet パッケージをアップロードするには、以下のステップを実行します。
RNIF パッケージは、デフォルトで、インストール・メディアの B2BIntegrate/Rosettanet ディレクトリー内にあります。例えば、RNIF バージョン 2.00 パッケージをアップロードする場合は、B2BIntegrate/Rosettanet ディレクトリーをブラウズして、Package_RNIF_V0200.zip を選択します。
例えば、RNIF バージョン 2.00 パッケージをアップロードする場合は、B2BIntegrate/Rosettanet ディレクトリーをブラウズして、Package_RNSC_1.0_RNIF_V02.00.zip を選択します。
参加者またはバックエンド・システムと通信するために必要なパッケージは、システムにインストールされました。「文書定義の管理 (Manage Document Definitions)」ページを調べる場合は、参加者との通信用のパッケージ化を表す 「パッケージ: RNIF/プロトコル: RosettaNet (Package: RNIF/Protocol: RosettaNet)」、およびバックエンド・アプリケーションとの通信用のパッケージ化を表す「パッケージ: バックエンド統合/プロトコル: RNSC (Package: Backend Integration/Protocol: RNSC)」 の項目を参照します。
3C6V02.02 PIP が、「文書定義の管理 (Manage Document Definitions)」ページの「パッケージ: RNIF/プロトコル: RosettaNet (Package: RNIF/Protocol: RosettaNet)」 の下に文書フローとして表示されます。アクティビティー、アクション、および 2 つのシグナルも表示されます。これらは PIP のアップロードに含まれます。
3A6 PIP をアップロードしてバックエンド・アプリケーションに送信するには、以下のステップを実行します。
3C6V02.02 PIP が、「文書フロー定義の管理」ページの 「パッケージ: バックエンド統合/プロトコル: RNSC (Package: Backend Integration/Protocol: RNSC)」 の下に文書フローとして表示されます。
使用する PIP または PIP のバージョンに対応するパッケージが WebSphere Partner Gateway に用意されていない場合は、独自のパッケージを作成して、アップロードできます。詳細については、PIP 文書フロー・パッケージの作成を参照してください。PIP 文書フロー定義の場合、ほとんどの属性値はすでに設定されているため、設定する必要はありません。ただし、以下の属性を設定する必要があります。
RNIF (1.0) パッケージ
RNIF (V02.00) パッケージ
WebSphere Partner Gateway が PIP 文書フロー・パッケージを提供している PIP は、同期されないことに注意してください。したがって、これらの PIP の「同期応答が必要」および「同期サポートあり」属性を変更する必要はありません。
2 方向 PIP の場合は、着信文書に関するエラー・メッセージが表示されます。ただし、1 方向 PIP の場合は、コンソールに着信文書が表示され、0KB 200 が参加者に戻されます。
属性を設定するには、以下のステップを実行します。
次のプロセスでは、バックエンド・システムと参加者との間の対話を作成する方法について説明します。送信する PIP および受信する PIP ごとに、対話を 1 つ作成する必要があることに注意してください。
開始する前に、適切な RNIF 文書フロー定義がアップロードされ、使用する PIP に対応したパッケージがアップロードされていることを確認してください。0A1 PIP (Notification of Failure) を生成する機能が必要な場合は、その PIP がステップ 9 の説明に従ってアップロードされていることを確認してください。
特定の PIP の対話を作成するには、以下のステップを実行します。
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: RNIF (V02.00) | パッケージ: バックエンド統合 (1.0) |
プロトコル: RosettaNet (V02.00) | プロトコル: RNSC (1.0) |
文書フロー: 3C6 (V01.00) | 文書フロー: 3C6 (V01.00) |
アクティビティー: 送金通知の通知 | アクティビティー: 送金通知の通知 |
アクション: 送金通知の通知アクション | アクション: 送金通知の通知アクション |
バックエンド・システムが 3C6 PIP を開始する場合は、次の文書フロー定義を選択します。
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: バックエンド統合 (1.0) | パッケージ: RNIF (V02.00) |
プロトコル: RNSC (1.0) | プロトコル: RosettaNet (V02.00) |
文書フロー: 3C6 (V01.00) | 文書フロー: 3C6 (V01.00) |
アクティビティー: 送金通知の通知 | アクティビティー: 送金通知の通知 |
アクション: 送金通知の通知アクション | アクション: 送金通知の通知アクション |
参加者が 3A4 などの 2 アクション PIP を開始する場合は、最初のアクションに次の文書フロー定義を選択します。
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: RNIF (V02.00) | パッケージ: バックエンド統合 (1.0) |
プロトコル: RosettaNet (V02.00) | プロトコル: RNSC (1.0) |
文書フロー: 3A4 (V02.02) | 文書フロー: 3A4 (V02.02) |
アクティビティー: 仕入れ注文の要求 | アクティビティー: 仕入れ注文の要求 |
アクション: 仕入れ注文の要求アクション | アクション: 仕入れ注文の要求アクション |
バックエンド・システムが 2 アクション 3A4 PIP を開始する場合は、最初のアクションに次の文書フロー定義を選択します。
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: バックエンド統合 (1.0) | パッケージ: RNIF (V02.00) |
プロトコル: RNSC (1.0) | プロトコル: RosettaNet (V02.00) |
文書フロー: 3A4 (V02.02) | 文書フロー: 3A4 (V02.02) |
アクティビティー: 仕入れ注文の要求 | アクティビティー: 仕入れ注文の要求 |
アクション: 仕入れ注文の要求アクション | アクション: 仕入れ注文の要求アクション |
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: バックエンド統合 (1.0) | パッケージ: RNIF (V02.00) |
プロトコル: RNSC (1.0) | プロトコル: RosettaNet (V02.00) |
文書フロー: 3A4 (V02.02) | 文書フロー: 3A4 (V02.02) |
アクティビティー: 仕入れ注文の要求 | アクティビティー: 仕入れ注文の要求 |
アクション: 仕入れ注文の確認アクション | アクション: 仕入れ注文の確認アクション |
バックエンド・システムが開始する 3A4 PIP の 2 番目のアクションに対して、次の文書フロー定義を選択します。
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: RNIF (V02.00) | パッケージ: バックエンド統合 (1.0) |
プロトコル: RosettaNet (V02.00) | プロトコル: RNSC (1.0) |
文書フロー: 3A4 (V02.02) | 文書フロー: 3A4 (V02.02) |
アクティビティー: 仕入れ注文の要求 | アクティビティー: 仕入れ注文の要求 |
アクション: 仕入れ注文の確認アクション | アクション: 仕入れ注文の確認アクション |
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: バックエンド統合 (1.0) | パッケージ: バックエンド統合 (1.0) |
プロトコル: XMLEvent (1.0) | プロトコル: XMLEvent (1.0) |
文書フロー: XMLEvent (1.0) | 文書フロー: XMLEvent (1.0) |
ソース | ターゲット |
---|---|
パッケージ: バックエンド統合 (1.0) | パッケージ: バックエンド統合 (1.0) |
プロトコル: XMLEvent (1.0) | プロトコル: RNSC (1.0) |
文書フロー: XMLEvent (1.0) | 文書フロー: 0A1 (V02.00) |
アクティビティー: 障害通知の配布 |