グローバリゼーションおよび双方向変換

アダプターは、1 バイト文字セットとマルチバイト文字セットをサポートし、メッセージ・テキストを 指定された言語で配信できるようにグローバル化されています。アダプターは双方向変換も実行します。 双方向変換とは、1 つのファイルに左から右 (ヘブライ語や アラビア語など) と右から左 (URL やファイル・パスなど) の 両方の意味内容を含むデータを処理する タスクを指します。

グローバリゼーション

Java 仮想マシン (JVM) 内の Java™ ランタイム環境は、 Unicode 文字コード・セットでデータを表現します。Unicode には、最もよく知られた文字コード・セット (単一バイト とマルチバイトの両方) の文字エンコードが含まれています。WebSphere® Business Integration システムのコンポーネントは Java で記述されています。そのため、WebSphere Business Integration のシステム・コンポーネント間でデータを転送するときに文字を変換する 必要はありません。

エラー・メッセージや通知メッセージを 適切な言語や個々の国や地域に合った形でログに記録するために、アダプターは 稼働先システムのロケールを使用します。

双方向変換

アラビア語やヘブライ語などの言語は 右から左に書きますが、テキストには左から右に書かれる部分も埋め込まれるため、 双方向スクリプトになります。 ソフトウェア・アプリケーションで双方向スクリプトを扱う場合は、その表示と処理のためにさまざまな規格を使用します。WebSphere Process Server および WebSphere Enterprise Service Bus は Windows® 標準形式を使用しますが、WebSphere Process Server または WebSphere Enterprise Service Bus とデータを交換するエンタープライズ情報システムは別の形式を使用できます。WebSphere Adapters は、2 つのシステム間でやり取りされる双方向スクリプト・データの変換を行うことによって、トランザクションの両側でデータが正確に処理および表示されるようにします。

双方向形式

WebSphere Process Server および WebSphere Enterprise Service Bus は、ILYNN (暗黙、左から右、オン、オフ、公称) の双方向形式を使用します。これは Windows によって使用される形式です。エンタープライズ情報システムが 別の形式を使用する場合、アダプターは、データを WebSphere Process Server または WebSphere Enterprise Service Bus に導入する前に形式を変換します。

双方向形式は 5 つの属性から 構成されます。双方向プロパティーを設定する場合は、これらの各属性に 値を割り当ててください。属性および設定値を 以下の表に示します。

表 1. 双方向形式の属性
文字の位置 目的 説明 デフォルト設定
1 スキーマの配列 I または V 暗黙 (Implicit) (論理 (Logical))、または表示 (Visual) I
2 方向

L

R

C

D

左から右

右から左

コンテキスト LTR

コンテキスト RTL

L
3 対称スワッピング Y または N 対称スワッピングがオンまたはオフ Y
4 シェーピング

S

N

I

M

F

B

テキストの形状を指定する
(Text is shaped)

テキストの形状を
指定しない
(Text is not shaped)

語頭形 (Initial shaping)

語中形 (Middle shaping)

語尾形 (Final shaping)

独立形 (Isolated shaping)

N
5 数字シェーピング

H

C

N

ヒンディ語

コンテキスト

公称

N

アダプターは、データを左から右の論理形式に 変換してから WebSphere Process Server または WebSphere Enterprise Service Bus に送信します。

双方向プロパティーの使用

複数の双方向プロパティーを使用して、コンテンツ・データとメタデータの 両方の変換を制御できます。特別な双方向プロパティーを設定して コンテンツ・データまたはメタデータのいずれかを双方向変換から除外するか、 変換中に特別な処理が必要なデータを 識別できます。

以下の表で、4 種類の双方向プロパティーについて 説明します。

表 2. 双方向プロパティーのタイプ
プロパティー・タイプ データ変換
EIS コンテンツ・データ (エンタープライズ情報システムによって送信される データ) の形式を制御します。
メタデータ メタデータ (コンテンツ・データに関する情報を提供するデータ) の 形式を制御します。
スキップ 変換から除外するコンテンツまたはメタデータを識別します。
特殊形式 変換処理中に異なる処理を必要とするファイル・パスまたは URL などの特定のテキストを識別する。コンテンツ・データまたはメタデータのいずれかに設定できる。

3 つの領域で双方向変換を制御する プロパティーを設定できます。

ビジネス・オブジェクトの注釈

一部のアダプターでは、ビジネス・オブジェクト内部の双方向プロパティーに注釈を付けることができます。特にビジネス・オブジェクト またはビジネス・オブジェクトの一部の変換を制御する情報を追加するには、 これを行います。以下のレベルで注釈を追加するには、Business Object Editor (WebSphere Integration Developer 内のツール) を使用します。

  • ビジネス・オブジェクト
  • ビジネス・オブジェクトのアプリケーション固有の属性
  • ビジネス・オブジェクト属性
  • ビジネス・オブジェクト属性のアプリケーション固有の属性

プロパティーのスコープと検索機構

アダプター用の双方向プロパティーに値を設定して、該当する場合にビジネス・オブジェクトに注釈を付けると、アダプターは双方向変換を実行します。実行時には、プロパティー設定の階層の継承と、検索機構に依存するロジックを使用します。

リソース・アダプター内で 定義されたプロパティーは階層のトップにありますが、他の領域で定義されたプロパティーまたは ビジネス・オブジェクト内で注釈が付けられたプロパティーは下位の階層にあります。 このため、例えば、リソース・アダプターの EIS タイプの双方向プロパティーのみに 値を設定すると、Inbound (アクティベーション・スペック) トランザクションと Outbound (管理接続ファクトリー) トランザクションのいずれで発生するかにかかわらず、 定義された EIS タイプの双方向プロパティーを必要とする変換によって それらの値が継承および使用されます。

しかし、リソース・アダプターと アクティベーション・スペックの両方の EIS タイプの双方向プロパティーに値を 設定した場合、Inbound トランザクションから発生した変換は、アクティベーション・スペックに 設定された値を使用します。

処理ロジックでは、変換時に使用する双方向プロパティーの値を、検索機構を使用して検索します。検索機構は、変換が生じるレベルから検索を開始し、適切なプロパティー・タイプを持つ定義済みの値を対象に、階層の上位に向かって検索を進めます。検出された最初の有効値が使用されます。階層の検索は、子から親の方向にのみ進行します。兄弟は検索の対象になりません。

関連資料
双方向変換の制御の設定

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