クラスター環境での WebSphere Adapters

WebSphere® アダプター・エンタープライズ・アーカイブ (EAR) モジュールをクラスター化されたサーバー環境にデプロイすることで、アダプターのパフォーマンスおよび可用性を向上させることができます。EAR モジュール内のアダプター・インスタンスは、統合されているすべてのサーバーで複製されます。

WebSphere Process Server および WebSphere Application Server Network Deployment は、クラスター化された環境をサポートしています。クラスターとは、ワークロードの平衡を取り、高可用性とスケーラビリティーを提供するために、一緒に管理されるサーバー・グループのことです。サーバー・クラスターをセットアップするときには、デプロイメント・マネージャー・プロファイルを作成してください。デプロイメント・マネージャーのサブコンポーネントである HAManager により、アダプター・インスタンスを活動状態にするよう JCA コンテナーに通知されます。JCA コンテナーにより、アダプター・インスタンスのランタイム環境が提供されます。 クラスター環境の詳細については、http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/wasinfo/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.websphere.nd.doc/info/ae/ae/trun_wlm_cluster_v61.html をご覧ください。

クラスター化された環境では、アダプター・インスタンスにて、Inbound 操作および Outbound 操作の両方を処理することができます。

Inbound 操作の高可用性

Inbound 操作は、エンタープライズ情報システム (EIS) アプリケーションのデータを更新した結果、起動するイベントに基づいています。アダプターは、イベント・リスナーを介して、またはイベント・テーブルをポーリングすることで更新を検出するよう構成されます。その後、アダプターはイベントをそのエンドポイントにパブリッシュします。

クラスター化された環境では、複数のアダプター・インスタンスが同じイベントを検出する場合があります。このシナリオでは、イベント処理の重複またはデータ不信の可能性が高まります。例えば、2 つのアダプター・インスタンスが同一のイベント・タイプ・フィルターを使用して同一のイベント・テーブルを同時にポーリングした場合、片方のアダプター・インスタンスにより、もう片方のアダプター・インスタンスが依存しているデータが変更されたり、アダプター・インスタンスが失敗することがあります。クラスター化された環境では、イベント・リスニング・アダプター・アーキテクチャーのリスクが並行して存在します。

この状態を避けるため、Inbound アダプター・インスタンスの HAManager により、singleton の振る舞いが強制されます。すべてのアダプター・インスタンスが開始していたとしても、それらのインスタンスのいずれかにより、イベントが検出され、EIS アプリケーションのタイプごとにエンドポイントにパブリッシュされます。

アダプター・モジュールをクラスターにデプロイすると、JCA コンテナーにより ResourceAdapter Bean の enableHASupport プロパティーが検査されます。enableHASupport プロパティーの値が真である場合、JCA コンテナーにより、すべてのアダプター・インスタンスがポリシー 1 of N を持つ HAManager に登録されます。このポリシーとは、クラスター化されたサーバーのいずれかのみが、このアダプター・インスタンスに対しイベントのポーリング (またはリスニング) を開始することを意味します。 クラスター内のその他のアダプター・インスタンスが開始していても、それらのインスタンスは、アクティブなアダプター・インスタンスがイベントの処理を完了するまで、アクティブ・イベントに関して休止のままとなります。ポーリング・スレッドが開始しているサーバーが何らかの理由でシャットダウンした場合は、バックアップ・サーバーのいずれかで稼働しているアダプター・インスタンスが活動状態になります。

Outbound 操作の高可用性

クラスター化された環境では、Outbound 要求の実行に、複数のアダプター・インスタンスが使用可能です。そのため、ご使用の環境に Outbound 要求のために同一の WebSphere Adapter と対話するアプリケーションが複数ある場合、アダプター・モジュールをクラスター化された環境にデプロイすることで、パフォーマンスが向上することがあります。

WebSphere Application Server Network Deployment には、Outbound 処理をアダプター・インスタンス間に分散するワークロード管理機能があります。そのため、クラスター化された環境での Outbound 操作は、単一サーバー環境での Outbound 操作と類似します。つまり、1 つのアダプター・インスタンスにより、一度に 1 つの Outbound 要求のみが処理されます。ワークロード管理について詳しくは、http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/wasinfo/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.websphere.nd.doc/info/ae/ae/trun_wlm.htmlを参照してください。

注: アダプター・インスタンスは、クラスター化されたサーバー環境に複製されます。 enableHASupport プロパティーが true に設定されている場合は (デフォルト設定)、 複製されたアダプター・インスタンスの一つのみがイベントをアクティブにポーリングし、その他のインスタンスは待機モードをとります。 enableHASupport プロパティーが false に設定されている場合は、クラスター・メンバー上の 複製されたすべてのアダプター・インスタンスがイベントをアクティブにポーリングします。 これにより、イベントが重複する場合があります。 単一サーバー環境では、enableHASupport の値を false に変更しないでください。 このプロパティーの値の変更については、 本書のリソース・アダプター・プロパティーに関するセクションを参照してください。 クラスター環境でアダプターの複製がサポートされるかどうかを確認するには、 本書のソフトウェア/ハードウェア要件に関するセクションを参照してください。

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