Inbound 処理

アダプターは、指定された間隔でメール・サーバーをポーリングし、指定されたメール・サーバー・フォルダーから新しいメッセージを取得して、各メッセージをビジネス・オブジェクトに変換した後、そのビジネス・オブジェクトをアプリケーション・サーバーに送信します。

Inbound 通信に必要なフォルダー

ポーリング・ロケーションごとに、以下のフォルダーが存在していることが必要です。 アダプターを複数のロケーションでポーリングするように設定した場合、そのロケーションごとに以下のフォルダーを用意する必要があります。

必要なフォルダー :
  • 進行中フォルダー。ローカル・ドライブ上に配置され、イベント・テーブルで進行中としてマークが付けられた電子メールを格納します。
  • ポーリング・フォルダー。アダプターが新しい電子メールを求めてポーリングするメール・サーバー上の 1 つ以上のフォルダー。

サポートされる Inbound プロトコル

メール・サーバーによっては、使用する Inbound 電子メール・プロトコルを選別できる場合があります。 プロトコル間の相違点、およびアダプターによる各プロトコルの処理方法の説明を、以下の表とその後のセクションに記載します。

表 1. IMAP プロトコルと POP3 プロトコルの相違点
IMAP POP3
メールボックスで複数のメール・フォルダーの存在をサポートする。 1 人のユーザーにつき (「Inbox」という名前の) 1 つのメールボックスのみをサポートする。
クライアントが電子メールを受信した後に、電子メールのコピーをメール・サーバー上に残すことができるようにする。 サーバーで「一度だけ表示 (View-once-only)」機能をサポートする。メールは、クライアントがメールのコピーを受信すると、メール・サーバーから削除されます。

IMAP での Inbound

Inbound 通信に IMAP プロトコルを使用する場合、アダプターは以下の手順を実行します。
  1. アダプターは、メール・フォルダーを定期的にポーリングして、未読の電子メールがあればそれをイベントとしてイベント・テーブル内に記録します。 アクティベーション・スペック・プロパティー PollFolders を使用して、検索対象とするフォルダーのリストをカスタマイズすることができます。
  2. PollFolders プロパティーでメール・サーバー・アカウントに複数のメール・サーバー・フォルダーを指定した場合、アダプターはすべてのメール・サーバー・フォルダーを順次にポーリングします。
  3. 検索条件によって、メール・サーバーから取り出すメールが決まります。 アダプターは、条件に一致したすべての電子メールを取り出します。
  4. アダプターは、ポーリングしたすべての電子メールを RFC822 形式で InProgress フォルダーに書き込みます。ポーリングした電子メールの Message-ID をファイル名として使用します。電子メールは、InProgress フォルダーに書き込まれた後、メール・サーバーから削除されます。
  5. アダプターは、各電子メール・メッセージをビジネス・オブジェクト・インスタンスに変換し、それをエンタープライズ・アプリケーションに送信します。
  6. アダプターは、処理された電子メールを InProgress フォルダーから削除します。アーカイブが選択されている場合は、電子メールを保存します。

POP3 での Inbound

Inbound 通信に POP3 プロトコルを使用する場合、アダプターは以下の手順を実行します。
  1. アダプターは、Inbox メール・フォルダーを定期的にポーリングして、未読の電子メールがあればそれをイベントとしてイベント・テーブル内に記録します。
  2. 検索条件を指定した場合、未読の電子メールのうち、検索条件に合うものすべてがポーリングのために取り出されます。
    注: 検索条件が指定されていない場合は、デフォルトですべての未読メールが取り出されます。
  3. アダプターは、ポーリングしたすべての電子メールを RFC822 形式で InProgress フォルダーに書き込みます。ポーリングした電子メールの Message-ID をファイル名として使用します。
  4. 電子メールはアダプターに読み取られた後、削除されます。
  5. アダプターは、各電子メール・メッセージをビジネス・オブジェクト・インスタンスに変換し、それをエンタープライズ・アプリケーションに送信します。
  6. アダプターは、処理されたすべての電子メールを InProgress フォルダーから削除します。アーカイブが選択されている場合は、電子メールを保存します。

アーカイブ

正常に処理された電子メールと処理に失敗した電子メールの両方を保存するようにアダプターを構成することができます。 これを行うには、以下に示すフォルダーが存在していることが必要です。
  • アーカイブ・フォルダー。アダプターが成功したイベントを保存するファイル・システム・フォルダー。
  • 失敗イベント・フォルダー。アダプターが失敗したイベントを保存するファイル・システム・フォルダー。

ArchiveFolder プロパティーが指定されている場合、正常に処理されたすべてのメールは、進行中フォルダーからアーカイブ・フォルダーに移されます。このプロパティーをブランクにした場合、正常に処理されたすべてのメールは InProgress フォルダーから削除されます。

FailedEventsFolder が指定されている場合、正常に処理されなかったすべてのメールは、進行中フォルダーから失敗イベント・フォルダーに移されます。このプロパティーをブランクにした場合、失敗したすべてのメールは進行中フォルダーから削除されます。


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