別々のセルにある Service Component Architecture (SCA) の各モジュール間で通信できるようにするには、2 つのセル間の通信リンクを構成する必要があります。
このトピックでは、別のセルにある SCA サービスを非同期に呼び出すモジュールからの通信を可能にする、使用側セルでの構成作業について説明します。
始める前に
このタスクは、以下のことを前提としています。
- 使用側のセル上で管理コンソールを使用している。
- 関連する SCA の各モジュールは既にインストールされているが、使用するモジュールは開始されていない。
- 提供側のモジュールを実行するセルを別の管理者が担当している。
このタスクを実行する理由と実行時期
別のセルにインストールされている SCA モジュールのサービスを必要とする SCA モジュールを開始する前に、両方のセルを構成して、各セルが要求をやり取りできるようにする必要があります。
非同期呼び出しを使用する SCA モジュールの場合、このプロセスには、外部バスとサービス統合バス (SIBus) のリンクが必要になります。
注: このタスクの目的から、サービス使用側のモジュールはセル A で実行され、サービス提供側のモジュールはセル B で実行されます。
この構成で使用される情報は、
図 1 にあります。
図 1. 別のセルにある SCA モジュールの呼び出し
このタスクのためのステップ
- サーバーまたはクラスター・メンバーを作成し、それを SCA システム・バスのメンバーに含めます。
結果のメッセージング・エンジンが、使用側セルへの接続に使用されます。
- サービスを提供するセルを識別する情報を、そのセルの管理者から取得します。 提供する情報には、以下が含まれます。
- ホスト IP アドレス
- ポート番号
- バス名
- メッセージング・エンジン
- 障害イベント・キュー名
- ユーザーのモジュールが呼び出す、サービスを提供するセルの管理者に、ユーザーのセルについての情報を伝えます。 提供する情報には、以下が含まれます。
- ホスト IP アドレス
- ポート番号 - これは、「サーバー」>「アプリケーション・サーバー」>「server_name」>「通信 (Communications)」>「+ ポート (+ Ports)」により BOOTSTRAP_ADDRESS の値を表示して検索します。
- バス名 - これは、「サービス統合」>「バス」をクリックし、SCA.SYSTEM バスの絶対パス名を見つけて検索します。
- メッセージング・エンジン - これは、「サービス統合」>「バス」>「SCA_SystemBusName」>「メッセージング・エンジン」をクリックし、使用側のセルに提供されるサービスで使用されるメッセージング・エンジンを見つけて検索します。
- 失敗イベント・キュー名 - これは、「サービス統合」>「バス」> 「SCA_SystemBusName」>「moduleDest」を表示し、
「例外宛先 (Exception destination)」の属性を調べて検索します。
この属性を選択した場合は、以下を実行します。
- 「指定 (Specify)」、テキスト・フィールドの値を使用します。
- 「システム (System)」、「サービス統合」>「バス」>「SCA_SystemBusName」> 「宛先」をクリックし、システム例外宛先の値を使用します。
- ステップ 2 の情報を使用し、この提供側セルのバスを表す外部バスを作成して、ルーティング定義タイプを Direct, service integration bus link に設定します。
複数の提供側セルが必要な場合は、提供側セルごとにこのステップを繰り返します。
詳細については、WebSphere® Application Server Network Deployment バージョン 6 のインフォメーション・センターの『外部バスの追加 (Adding a foreign bus)』を参照してください。
この例では、セル A の外部バスは、SCA.SYSTEM.SRIKANTHCNode01Cell.Bus になります。セル B の外部バスは、SCA.SYSTEM.WBIDev-BGMNode01Cell.Bus になります。
- ステップ 1 で作成されたメッセージング・エンジンにおいて、ステップ 2 の情報を使用して SIB リンクを設定します。
詳細については、WebSphere Application Server Network Deployment バージョン 6 のインフォメーション・センターの『サービス統合バス・リンクの追加 (Adding a service integration bus link)』を参照してください。
この例では、セル A の SIB メディエーション・リンクは、以下のようになります。
SIB Link: TestCrossCell
Remote ME: SRIKANTHCNode01.server1-SCA.SYSTEM.SRIKANTHCNode01Cell.Bus
Bootstrap: 9.26.237.144:7277:BootstrapBasicMessaging
重要: ブートストラップのポート番号は、SIB エンドポイント・アドレス・ポートです。セキュリティーが使用可能になっている場合は、セキュア SIB エンドポイント・アドレス・ポートを使用する必要があります。
- 各 SCA モジュールの宛先を表示します。
- 使用側のサービス・モジュール (提供側システムのターゲットに接続する必要がある) の発信宛先の転送パスを変更します。
接続する宛先の宛先名には、
importlink が入ります。例えば、セル A の宛先は、
sca/SimpleBoCrsmA/importlink/test/sca/cros/simple/custinfo/CustomerInfo になります。
宛先名のプレフィックスとして外部バス名を追加して、パスを変更してください。
この例では、2 番目のセルの外部バス名は、
SCA.SYSTEM.SRIKANTHCNode01Cell.Bus です。
結果は、以下のようになります。
SCA.SYSTEM.SRIKANTHCNode01Cell.Bus:sca/SimpleBoCrsmA/importlink/
test/sca/cros/simple/custinfo/CustomerInfo
- オプション: システムでセキュリティーが使用可能になっている場合は、外部バスに送信側の役割を追加します。 オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトから、両方のシステムで各アプリケーションが使用するユーザーを必ず定義してください。 役割を追加するコマンドは、以下のとおりです。
wsadmin $AdminTask addUserToForeignBusRole -bus busName
-foreignBus foreignBusName -role roleName -user userName
各部の意味は、次のとおりです。
- busName
- コマンドを入力するシステムのバスの名前です。
- foreignBusName
- ユーザーを追加する外部バスです。
- userName
- 外部バスに追加するユーザー ID です。
- 接続を検証します。
使用側の管理者と調整し、接続に関連する各サーバーを再始動してそのサーバーをリサイクルします。
以下のようなメッセージが表示されます。
[8/24/05 11:00:09:741 PDT] 00000086 SibMessage I
[SCA.SYSTEM.WBIDev-BGMNode01Cell.Bus:WPSNode.server1-SCA.SYSTEM.WBIDev-BGMNode01Cell.Bus]
CWSIP0382I: メッセージング・エンジン 2D7333574B0CD70B がサブスクリプション要求に応答しました。
パブリッシュ・サブスクライブ・トポロジーは整合状態になっています。
(messaging engine 2D7333574B0CD70B responded to subscription request,
Publish Subscribe topology now consistent.)
次の作業
アプリケーションを開始します。