メディエーション・モジュール

メディエーション・モジュールは、サービス要求のフォーマット、内容、またはターゲットの変更が可能な Service Component Architecture (SCA) モジュールです。

メディエーション・モジュールは、サービス要求元とサービス・プロバイダーの間の送信途中にあるメッセージを操作します。 これにより、メッセージをさまざまなサービス・プロバイダーに送付できます。メッセージを変換することもできるので、メッセージの内容または書式を変更できます。さらにメディエーション・モジュールは、メッセージ・ロギングなどの機能や、ユーザーの要件に合うように調整されたエラー処理を提供します。

メディエーション・モジュールの一部を、モジュールを再デプロイすることなく WebSphere Process Server 管理コンソールから動的に変更することができます。

メディエーション・モジュールのコンポーネント

メディエーション・モジュールに含まれる項目には、以下のものがあります。
  • インポート
    • インポートは、SCA モジュールとサービス・プロバイダーの間の対話を定義します。
    • インポートによって、SCA モジュールは外部サービスをローカルのように呼び出すことができます。
    • メディエーション・モジュールのインポートは、 WebSphere Process Server から表示できます。インポート・バインディングが Web サービスまたは SCA バインディングの場合は、変更することができます。
  • エクスポート
    • エクスポートは、SCA モジュールとサービス要求元の間の対話を定義します。
    • エクスポートによって、SCA モジュールはサービスを提供することができます。エクスポートは、SCA モジュールの外部インターフェース (アクセス・ポイント) を定義します。
    • メディエーション・モジュールのエクスポートは WebSphere Process Server から表示できます。
  • SCA コンポーネント
    • SCA コンポーネント、またはサービス・コンポーネントは SCA ビルディング・ブロックです。SCA コンポーネントを使用して、メディエーション・モジュールなどの SCA モジュールを作成します。WebSphere Integration Developer を使用すれば、SCA モジュールおよびコンポーネントをグラフィカルに作成しカスタマイズすることができます。 また、SCA モジュール の一部のプロパティーを、モジュールを再デプロイすることなく WebSphere Process Server 管理コンソールから動的にカスタマイズすることができます。
    • 一般に、メディエーション・モジュールには、メディエーション・フロー・コンポーネントと呼ばれる特定のタイプの SCA コンポーネントが含まれています。メディエーション・フロー・コンポーネントは、メディエーション・フローを定義します。メディエーション・モジュールに含めることができるメディエーション・フロー・コンポーネントは 1 つまでです。
    • メディエーション・フロー・コンポーネントは、1 つまたは複数のメディエーション・プリミティブを含めることも、メディエーション・プリミティブをまったく含まないようにすることもできます。WebSphere Process Server は、メッセージ・ルーティングおよび変換の機能を実現する、提供されたメディエーション・プリミティブ・セットをサポートします。WebSphere Process Server がサポートするメディエーション・プリミティブの 1 つを使用すれば、カスタム・ロジックを呼び出すことができます。
    • メディエーション・モジュールには、メディエーション・フロー・コンポーネントが含まれている必要はありません。メディエーション・フロー・コンポーネントが含まれていないメディエーション・モジュールの目的は、サービス要求のプロトコルを別のプロトコルに変換することです。例えば、サービス要求は SOAP/JMS を使用して作成されたが、送信前に SOAP/HTTP に変換する必要がある場合があります。
    注: メディエーション・モジュールWebSphere Process Server から表示できます。 WebSphere Process Serverから、メディエーション・モジュール に一部の変更を加えることもできます。ただし、WebSphere Process Server モジュール内から SCA コンポーネントを表示または変更することはできません。 SCA コンポーネントをカスタマイズするには、WebSphere Integration Developer を使用してください。
    図 1. メディエーション・モジュールの簡単な例. メディエーション・モジュールには 1 つのメディエーション・フロー・コンポーネントが含まれます。メディエーション・フロー・コンポーネントにはメディエーション・プリミティブが含まれます。
    メディエーション・モジュールには 1 つのメディエーション・フロー・コンポーネントが含まれます。メディエーション・フロー・コンポーネントにはメディエーション・プリミティブが含まれます。
  • プロパティー
    • メディエーション・プリミティブ にはプロパティーがあり、その一部を SCA モジュール の追加プロパティーとして管理コンソールに表示できます。
    • メディエーション・プリミティブ のプロパティーを WebSphere Process Server 管理コンソールから表示できるようにするには、統合開発者がプロパティーにプロモートされたというフラグを立てる必要があります。一部のプロパティーは管理上の構成に適しています。これらのプロパティーは統合サイクルから管理サイクルへプロモートすることが可能であるため、 WebSphere Integration Developer はこれらのプロパティーをプロモート可能なプロパティーとして記述します。プロパティーの中には、一般に、プロパティーを変更すると、メディエーション・モジュールの再デプロイが必要になるような影響をメディエーション・フローに与えるといった理由で、管理構成に不向きなものもあります。WebSphere Integration Developer は、 メディエーション・プリミティブプロモートされるプロパティーの下に、プロモートを選択できるプロパティーを示します。
    • WebSphere Process Server 管理コンソールを使用して、メディエーション・モジュール を再デプロイしたり、サーバーやモジュールを再始動することなく、プロモートされるプロパティーの値を変更することができます。プロパティーの変更がデプロイメント・マネージャー・セルで行われた場合を除き、メディエーション・フローが新たに呼び出されると、プロパティーの変更内容がただちに使用されます。 デプロイメント・マネージャー・セル内で行われた変更は、セル内のすべてのノードが同期化された後に有効になります。処理中のメディエーション・フローの呼び出しでは、前の値が引き続き使用されます。
      注: プロパティー値ではなく、メディエーション・プリミティブ のプロパティー名およびタイプを変更する場合は、WebSphere Integration Developer を使用してください。

メディエーション・モジュールのデプロイ

メディエーション・モジュール は、WebSphere Integration Developer を使用して作成され、一般に EAR (エンタープライズ・アーカイブ) ファイル内で WebSphere Process Server にデプロイされます。

プロモートされたプロパティーの値は、デプロイメント時に変更できます。

メディエーション・モジュール は、WebSphere Integration Developer からエクスポートして、WebSphere Integration Developer が、JAR (Java アーカイブ) ファイル内に メディエーション・モジュール をパッケージ化し、EAR ファイル内に JAR ファイルをパッケージ化できるようにすることができます。この後、管理コンソールから新規アプリケーションをインストールして、EAR ファイルをデプロイすることができます。

メディエーション・モジュール は 1 つのエンティティーと考えられます。ただし、SCA モジュール は、1 つの JAR ファイルに保管されたいくつかの XML ファイルによって定義されます。

図 2. メディエーション・モジュールが含まれる EAR ファイルの簡単な例. EAR ファイルには JAR が含まれます。ユーティリティー JAR ファイルにはメディエーション・モジュールが含まれます。
EAR ファイルには JAR が含まれます。ユーティリティー JAR ファイルにはメディエーション・モジュールが含まれます。

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