共通データベースの仕様

WebSphere Process Server プロファイルの作成時に、オプションで共通データベースを作成できます。このデータベースは、各種コンポーネントのリポジトリーとして機能します。必要に応じて、プロファイルの作成前にデータベースを作成したり、プロファイルの作成後までデータベースの作成を遅らせることができます。

WebSphere Process Server の共通データベース (CommonDB) は、以下の製品コンポーネントで使用します。 共通データベースは、WebSphere Process Server のプロファイル作成前、作成中、または作成後に作成できます。 製品のインストール時に作成したスクリプトを使用して、共通データベースを作成できます。これらのスクリプトは、データベース管理者からの情報で編集する必要があります。あるいは、プロファイル・ウィザードを使用するか、プロファイル作成中に生成されたスクリプトを使用して、データベースを作成することができます。このスクリプトの 2 番目のセットには、プロファイル作成中に提供したデータベース情報が含まれています。

サポートされているデータベース・タイプ

共通データベースとして使用できるのは、以下のデータベースです。
  • Cloudscape™ - Cloudscape は、スタンドアロン・プロファイルのデフォルトのデータベース・タイプです。Network Deployment 環境では、Cloudscape は使用不可になります。Cloudscape を選択した場合、セレクターとビジネス・ルール・グループのコンポーネントは共通データベースを使用しません。
  • DB2 Universal Database™ - DB2 Universal Database™ は、Network Deployment 環境のデフォルトのデータベース・タイプです。
  • DB2 Universal Database for z/OS and OS/390 V7.1
  • DB2 Universal Database for z/OS V8.1
  • DB2® Call Level Interface (DB2_CLI)
  • Informix® Dynamic Server
  • Microsoft® SQL Server Embedded
  • Microsoft SQL Server DataDirect
  • Oracle OCI クライアント
  • Oracle Thin

データベース管理サービス (DBMS) インスタンス

セルごとに 1 つの DBMS インスタンスが存在します。

プロファイル作成時の構成操作

プロファイル作成時に、プロファイル操作スクリプトを使用して、共通データベースを作成することも可能です。プロファイル操作スクリプトはサンプル・スクリプトです。これらを使用してデータベース・テーブルを手動で作成する場合、固有のデータベース情報で編集する必要があります。プロファイルの作成前にスクリプトを使用してデータベース・テーブルを手動で作成すると、既存のデータベースをプロファイル・ウィザード内で使用するオプションが選択できます。

プロファイル作成スクリプトを使用して WebSphere Process Server のプロファイルを作成する場合は、パラメーター -dbDelayConfig {true|false} を正しく設定する必要があります。true に設定すると、データベース構成はプロファイルの作成時に実行されません。用意されているスクリプトを使用して、後からデータベースを構成する必要があります。

データベースの作成をプロファイルの作成後に先送りすることにした場合は、プロファイルの作成時に収集されたパラメーターを含んだデフォルトのスクリプトが以下の場所に作成されます。

install_root/profiles/profileName/dbscripts/feature/dbType/dbName
注: プロファイルの作成と同時にデータベースも作成する場合に、指定するデータベース・パラメーターに誤りがあると、プロファイル作成プロセス全体でエラーが生成されます。一方、データベースの作成を先送りすれば、プロファイルはエラーなしで作成されますが、生成されたデータベース・スクリプトにはエラーが含まれているため、データベースを作成する前にスクリプトを編集する必要があります。

スクリプトの命名規則を表 1 にまとめます。

表 1. 共通データベース・スクリプトの命名規則
スクリプトのタイプ スクリプト名
コンポーネント固有のスクリプト scriptName_componentName.sql
コンポーネントに依存しないスクリプト scriptName.sql

スタンドアロン・プロファイル

WebSphere Process Server のインストール後に、プロファイル操作スクリプトは以下のディレクトリーに配置されます。

install_root/dbscripts/CommonDB/dbType

データベースの作成をプロファイルの作成後に先送りする場合は、以下の場所にスクリプトが格納されます。

install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName

スクリプトは、そのままでも実行できますが、特定の要件を組み込むために編集することも可能です。データベースを作成する前に WebSphere Process Server を開始しようとすると、エラー・メッセージが生成されます。

これらのスクリプトが実行するステップは、以下のとおりです。
  • プロファイル・ウィザードの「データベースの構成」パネルでの選択内容に応じて、新規データベースを作成します (ローカル・データベースの場合にのみ有効)。 プロファイル・ウィザードでサポートされないデータベース・コマンドについて詳しくは、制約事項を参照してください。
    注: データベースの作成をプロファイル作成の完了後に先送りすることもできますが、その場合でも、プロファイル・ウィザードの「データベースの構成」パネルに有効な情報を入力する必要があります。その情報に基づいて、WebSphere Process Server のデータ・ソースが作成されます。
  • JDBC プロバイダーでデータ・ソースを作成します。

デプロイメント・マネージャー・プロファイル

WebSphere Process Server のインストール後に、プロファイル操作スクリプトは以下のディレクトリーに配置されます。

install_root/dbscripts/CommonDB/dbType

データベースの作成をプロファイルの作成後に先送りする場合は、以下の場所にスクリプトが格納されます。

install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName

スクリプトは、そのままでも実行できますが、特定の要件を組み込むために編集することも可能です。データベースを作成する前に WebSphere Process Server を開始しようとすると、エラー・メッセージが生成されます。

これらのスクリプトが実行するステップは、以下のとおりです。
  • プロファイル・ウィザードの「データベースの構成」パネルでの選択内容に応じて、新規データベースを作成します (ローカル・データベースの場合にのみ有効)。 プロファイル・ウィザードでサポートされないデータベース・コマンドについて詳しくは、制約事項を参照してください。
  • JDBC プロバイダーでデータ・ソースを (セル・レベルで) 作成します。

カスタム (管理対象) プロファイル

WebSphere Process Server のインストール後に、プロファイル操作スクリプトは以下のディレクトリーに配置されます。

install_root/dbscripts/CommonDB/dbType

データベースの作成をプロファイルの作成後に先送りする場合は、以下の場所にスクリプトが格納されます。

install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName

注: デプロイメント・マネージャー・プロファイルと同じデータベース・タイプを選択する必要があります。データ・ソースは、セル・レベルでのみ維持されます。

SQL スクリプト

プロファイルの作成後に、SQL スクリプトを使用してデータベースを構成できます。テーブルは、デプロイメント・マネージャー・プロファイルで作成されるため、管理対象ノードの作成時に SQL スクリプトが実行されることはありません。

各共通データベース・クライアントの SQL スクリプトは、以下の場所にあります。

install_root/dbscripts/CommonDB/dbType

データベースの作成をプロファイルの作成後に先送りする場合は、以下の場所にスクリプトが格納されます。

install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName

SQL スクリプト命名規則
  • コンポーネント固有のスクリプトの場合: createTable_componentName.sql。 例えば、createTable_Recovery.sql などです。
  • コンポーネントに依存しないスクリプトの場合: createTable.sql

JDBC プロバイダー

適切な JDBC プロバイダーが存在しない場合、これが作成されます。

データ・ソースは、jdbc/WPSDB という JNDI 名で作成されます。

制約事項

プロファイルの作成時にユーザーが使用できるデータベース・コマンドに関して、いくつかの制約事項があります。

以下のデータベース・タイプでは、「新規データベースの作成」が使用不可になります。
  • DB2 Universal Database for z/OS および OS/390® V7.1
  • DB2 Universal Database for z/OS V8.1
  • Oracle OCI クライアント
  • Oracle Thin

テーブル

共通データベース・スクリプトは、プロファイルの作成時に静的テーブルのみを作成します。各コンポーネントによって作成されるすべてのテーブルを以下の表にまとめます。
表 2. WebSphere Process Server の各コンポーネントによって作成されるテーブル
コンポーネント テーブル名 スクリプト
リカバリー FAILEDEVENTS FAILEDEVENTBOTYPES FAILEDEVENTMESSAGE createTable_Recovery.sql
メディエーション MEDIATION_TICKETS createTable_mediation.sql
リレーションシップ 実行時に作成される動的テーブル createTable_Relationship.sql
Application Scheduler WSCH_LMGR WSCH_LMPR WSCH_TASK WSCH_TREG createTable_AppScheduler.sql
カスタマイズ (セレクター/ビジネス・ルール・グループ) BYTESTORE BYTESTOREOVERFLOW APPTIMESTAMP createTable_customization.sql
共通データベース SchemaVersionInfo createTable_CommonDB.sql
上記の SQL スクリプトはいずれも、各コンポーネントのスクリプトから commonDBUtility.ant を経由して実行されます (configRecovery >commonDBUtility>execute createTable_Recovery.sql など)。

スクリプトのエクスポート

データベース・スクリプトは、以下のフォルダーにエクスポートされます。
install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName

スクリプトは、共通データベースを構成するためのプロファイル・ウィザード・パネルで選択されたオプション用に作成されます (「新規 (ローカル) データベースの作成」「既存のデータベースの使用」、および「新規または既存のデータベースのセットアップを別個に実行 (Set up a new or existing database separately)」)。これらのスクリプトには、データベース、テーブル、および索引の基本的な作成ステートメントのみが含まれています。データベース管理者は、これらのスクリプトを実行するために、データベースのネイティブ・コマンドを使用する必要があります。

「新規または既存のデータベースのセットアップを別個に実行 (Set up a new or existing database separately)」オプションを選択した場合、提供されたバッチ・ファイルまたはシェル・ファイルを使用してデータベース・テーブルを作成することもできます。ファイルは、スクリプトの呼び出しに必要なネイティブのデータベース・コマンドを含めて、必要なすべてのスクリプトを呼び出します。ファイルは Windows オペレーティング・システムの場合は configCommonDB.bat、UNIX ベースのオペレーティング・システムでは、configCommonDB.sh という名前です。ファイルはスクリプトと同じディレクトリー install_root/profiles/profilename/dbscripts/CommonDB/dbType/dbName に作成されます。

ユーザー ID の特権

プロファイル・ウィザードで指定するユーザー信任状には、テーブル・スペース、テーブル、索引、およびストアード・プロシージャーを作成するのに十分な権限が必要です。「新規 (ローカル) データベースの作成 (Create new (local) database)」オプションを使用する場合は、新規データベースを作成するために必要な特権がユーザー ID に与えられていなければなりません。


(c) Copyright IBM Corporation 2005, 2006.
このインフォメーション・センターには Eclipse テクノロジー (http://www.eclipse.org) が採用されています。