WebSphere Process Server の完全 (デフォルト) インストールを選択すると、シングル・サーバーのバス環境が設定されます。これがご使用のサービス・アプリケーションに適合しない場合は、デプロイメント・マネージャー・セル内の複数サーバー・バス、異なるサーバーを使用する複数のシングル・サーバー・バス、アプリケーション用のバス、WebSphere MQ にリンクするバスなど、バス・トポロジーの選択項目をインクルードするバス環境を作成できます。
このタスクを実行する理由と実行時期
WebSphere Process Server の完全 (デフォルト) インストールを選択すると、固有の管理可能ドメイン内にセルとして知られるスタンドアロン・ノードが作成されます。
このノードは、SCA モジュールをデプロイするためにセル用の SCA.SYSTEM バスに割り当てられた 1 つのサーバーをホストします。
SCA モジュールに必要なサーバーが 1 つだけの場合は、完全 (デフォルト) インストールの SCA.SYSTEM バスを使用できます。サービス・アプリケーションに複数のサーバーが必要な場合は、さまざまなバス・トポロジーからいずれかを選択する必要があります。
SCA モジュールをデプロイする前に、
エンタープライズ・サービス・バスに必要なバス環境を選択してください。これは、SCA モジュールのデプロイによって、どの
WebSphere Process Server プロファイルを作成する必要があるか、メッセージング・エンジンでどのデータベースを使用するかなどといった、インストール関連のアクションが影響を受けるためです。
- デフォルトのスタンドアロン・サーバー・プロファイルで WebSphere Process Server をインストールし、提供された SCA.SYSTEM バスで開始した後、必要に応じてデプロイメント・マネージャー・プロファイルおよび管理対象ノードのプロファイルを作成し、より高度なバス環境を実現できます。
- バス環境において複数のサーバーを使用するには、デプロイメント・マネージャー・セル内の管理対象ノードのプロファイルを使用する必要があります。
- WebSphere Process Server をインストールする前にバス環境を選択し、選択したバス環境への最適なサポートを得るために必要なプロファイルをインストールできます。
SCA モジュールに提供されている SCA.SYSTEM バスを使用する以外にも、別のアプリケーション・サーバーおよびサービス統合バスを作成して別のアプリケーションやモジュールをサポートしたり、WebSphere MQ ネットワークに接続したりできます。この一連のトピックは主に、SCA モジュールをサポートするための SCA.SYSTEM バスの使用に重点を置いています。
別のサービス統合バスを WebSphere Application Server Network Deployment バージョン 6 などで使用する場合についての説明は、WebSphere Application Server トピックへのリンクにより参照できます。
バス環境を選択するには、以下の点および以下に示すサブトピックで説明されているバス・トポロジーの記述を考慮します。
このタスクのためのステップ
- バスに配置されたモジュールに必要なクライアント接続数およびスループットを考慮します。
その目的は、クライアントで認識される、モジュールのパフォーマンスが低下し始めるポイントを識別することです。
- それ以上の新たなクライアント接続が行われるとパフォーマンスが低下し始める、バスへのクライアントの同時接続数。
- それ以上の新たな要求がメッセージング・エンジンを介して送信されるとパフォーマンスが低下し始める、メッセージング・エンジンを通過する要求および応答の数。
サーバーが実行しているホストの特性や配置するモジュールの特質、その他の要因によって方式は異なるため、すべての環境に適用できる 1 つの特定の方式はありません。
シングル・サーバー・バスを使用している場合に、クライアント接続数に起因してパフォーマンスが低下したり、またはスループットが低下し始めたときは、いくつかの方法によりバス環境の容量を増大できます。
- スタンドアロン・プロファイルで、同じサーバーを使用する複数のシングル・サーバー・バスを作成します。こうすることで、クライアント接続は複数のバスに分散されますが、要求のスループットは 1 つのサーバーに依存したままです。
- さらにクライアント接続および要求のスループットの容量を増大させるには、複数のバスに分散された複数のサーバーを使用します。(1 つ以上のバスに分散された複数のサーバーを使用するには、デプロイメント・マネージャー・セル内の管理対象ノードに関するサーバー・プロファイルが必要です。)
- メッセージング・エンジンを通過する要求のサイズを考慮します。
各メッセージング・エンジンは、要求および要求関連データを含む 2 つのメモリー・バッファーを管理します。十分なスペースがない場合、メッセージング・エンジンはバッファーにデータを追加するときに、バッファーに含まれる既存のデータを廃棄してスペースを確保することがあります。
実行中のメッセージング・エンジンが許容されている以上にバッファーからデータを廃棄する場合があります。その場合は、別のサーバーをバスに追加して、別のメッセージング・エンジンを提供します。または、異なるサーバーをそれぞれのバス・メンバーとして使用する複数のシングル・サーバー・バスを作成することもできます。各サーバー内のメッセージング・エンジンは個別のメモリー・バッファー・セットおよび個別のデータ・ストアを使用します。(1 つ以上のバスに分散された複数のサーバーを使用するには、デプロイメント・マネージャー・セル内のノードに関するサーバー・プロファイルが必要です。)
- ご使用の各サービス・アプリケーションに異なるサービス品質を適用するかどうかを考慮します。
各バスは、サービス品質およびその他のプロパティーの固有の構成を持っています。複数のバスを作成して、それぞれ異なるサービス品質で構成し、各モジュールを適切な構成のバスにデプロイできます。
- バス内で複数のサーバーを使用するその他の理由を考慮します。
アプリケーションによっては、1 つのサーバーのみで構成される
サービス統合バスが適切な場合もあります。しかし、バス内で複数のサーバーを使用する (各サーバーがメッセージング・エンジンを提供する) ことで、次のような利点が得られます。
- メッセージング・ワークロードを複数のサーバーに分散します。
- 要求処理をリクエスター・アプリケーションに近い場所に配置して、ネットワーク・トラフィックを削減します。例えば、送信アプリケーションと受信アプリケーションが同じサーバー・プロセス内で実行している場合は、それらのアプリケーション間を移動するすべての要求を、リモート・サーバー内で実行しているメッセージング・エンジンに発送する方法は非効率です。
- システム障害やリンク障害時の可用性が向上します。これにより、Single Point of Failure を除去し、必要な場合には、2 つのサーバー間のストア・アンド・フォワードが可能になります。
- スケーラビリティーが向上します。
- すべて単一のメッセージング・エンジンに接続するネットワーク・ホストの能力を制限するファイアウォールまたはその他のネットワーク制限に対応できます。
- 複数の SCA.SYSTEM バス環境を使用するその他の理由を考慮します。
各サービス統合バスは個別の構成を持つため、それぞれのバスを個別のモジュールに適切な異なる構成にできます。例えば、いくつかのバスをセキュリティーのある実稼働環境用に構成し、それ以外のバスをセキュリティーなしのテスト用に構成できます。
また、複数のバスを作成してモジュール管理を分離できます。例えば、個別の管理セルとその SCA.SYSTEM バスを組織内の異なる部門で使用したり、テスト機能と実動機能に分けて使用したりすることもできます。
SCA.SYSTEM バスに加えて、別のバスを他のアプリケーションで使用するように作成したり、バスを接続してバス間のメッセージングを可能にしたりできます。異なる組織内のバスも接続できます。バスを相互に接続すると、アプリケーションから別のバスに存在するアプリケーションへのメッセージ送信や、他のバスに提供されているリソースの使用が可能になります。バス間リンクの構成により許可されていれば、公開されたメッセージを複数のバスに送信することもできます。
- SCA 以外のサービス統合バスを使用する理由を考慮します。
SCA モジュールに使用される SCA.SYSTEM バスのほかに、別のサービス統合バスを作成し、それを使用して、モジュールが提供するサービス統合ロジックをサポートすることもできます。
例えば SCA.APPLICATION.cell_name.Bus は、JMS バインディングでデプロイされたモジュールの JMS キュー宛先やその他の JMS リソースを定義するために提供および使用されます。
他のバスを作成して、WebSphere Application Server の場合と同様に、WebSphere Process Server 内でサービス要求元やプロバイダーとして動作するアプリケーション用に使用したり、 WebSphere MQ にリンクしたりできます。WebSphere Process Server デプロイメント・マネージャーを使用して、WebSphere Application Server 上にデプロイされたアプリケーションおよびモジュール用の個々のアプリケーション・サーバーを管理することもできます。
- SCA モジュールをサポートしないアプリケーション・サーバーを使用するかどうかを考慮します。
WebSphere Process Server のデプロイメント・マネージャー・セルは、WebSphere Application Server サーバーを実行するアプリケーション・サーバー・ノードをインクルードできます。これらのアプリケーション・サーバーを、WebSphere Application Server によりサポートされるアプリケーションおよびモジュールに使用できます。WebSphere Application Server のサービス統合テクノロジーを活用しない場合は、アプリケーション・サーバーをサービス統合バスに追加する必要はありません。