初期データベース設定の指定

このタスクを使用して、初期 DB2® データベース設定を指定します。この情報は、例を示す目的で提供しています。

このタスクを実行する理由と実行時期

重要: 以下に示すのは、Business Process Choreographer データベースに関する情報です。WebSphere® のデフォルトのメッセージング・データベースのチューニングについて詳しくは、WebSphere Application Server Network Deployment インフォメーション・センターの『メッセージング・エンジンのデータ・ストアのチューニングと問題解決』を参照してください。

データベースを良好に運用するには、データベースの初期設定値を指定します。設定値の細密チューニングは、後述の データベースの細密チューニングで行います。

このタスクのステップ

  1. ログ・ファイルをデータ・ファイルから分離します。

    データから分離されたディスク・ドライブにデータベースのログ・ファイルを配置すると、十分な数のディスク・ドライブが使用可能であれば、パフォーマンスが向上する傾向があります。使用可能なディスク・ドライブがほとんどない場合は、前のセクションで説明したようにテーブル・スペースを分散するほうが、データベースのログ・ファイルを別々のドライブに配置するよりも一般に利点があります。

    例えば、Windows® システムで DB2 を使用する場合は、次のコマンドを入力することによって、BPEDB という名前のデータベースのログ・ファイルの場所を F:¥db2logs ディレクトリーに変更することができます。
    db2 UPDATE DB CFG FOR BPEDB USING NEWLOGPATH F:¥db2logs
  2. テーブル・スペースを作成します。
    データベースを作成したら、テーブル・スペースを明示的に作成します。テーブル・スペースを作成するためのサンプル・スクリプトは、Business Process Choreographer により、WebSphere Application Serverインストール・サブディレクトリーの ProcessChoreographer に準備されています。それらのスクリプトをカスタマイズして、特定のシナリオのニーズに対処します。テーブル・スペースを作成する場合の目標は、DB2 で使用可能なできるだけ多くのディスク・ドライブ全体に入出力操作を分散させることです。 デフォルトでは、これらのスクリプトにより次のテーブル・スペースが作成されます。
    AUDITLOG
    プロセスおよびタスクの監査証跡テーブルを格納します。使用される監査の程度に応じて、このテーブル・スペース内のテーブルへのアクセス数が多くなる可能性があります。監査をオフにすると、このテーブル・スペース内のテーブルにアクセスできなくなります。
    COMP
    Business Process Choreographer バージョン 5 のビジネス・プロセス用の補正テーブルを格納します。補正可能なプロセスとアクティビティーの割合によっては、このテーブル・スペース内のテーブルでディスク高帯域幅が必要になる場合があります。ビジネス・プロセス内で補正が使用されない場合は、このテーブル・スペース内のテーブルは使用されません。
    INSTANCE
    プロセス・インスタンスおよびタスク・テーブルを格納します。実行される長期実行プロセスの種類に関係なく、常時集中的に使用されます。可能であれば、このテーブル・スペースを数台のディスク・ドライブに広げます。
    SCHEDTS
    WebSphere スケジューリング・コンポーネントが使用するテーブルを格納します。スケジューラー・テーブル・スペース内のテーブルへのアクセスは、スケジューラーで使用されるキャッシング機構のために通常低速で行われます。
    STAFFQRY
    Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) のような社員レジストリーから入手される社員照会結果を一時的に保管するために使用するテーブルを含みます。ビジネス・プロセスに数多くの person アクティビティーが含まれている場合は、このテーブル・スペース内のテーブルへのアクセスが頻繁に行われます。
    TEMPLATE
    プロセスおよびタスクのテンプレート情報を保管するテーブルを格納します。アプリケーションのデプロイメント中に、テーブルにデータが取り込まれます。 実行時には、アクセス速度が低下します。デプロイメント中は、データは更新されず、新規データのみが挿入されます。
    WORKITEM
    作業項目の処理に必要なテーブルを保持します。作業項目は、ヒューマン・タスクの対話に使用されます。ビジネス・プロセス内のヒューマン・タスクの数に応じて、このテーブル・スペースのテーブルへのアクセス速度が、低速からかなりの高速まで変わる場合があります。使用されている明示的なヒューマン・タスクがない場合でも、アクセス速度はゼロになりません。これは、長期実行プロセスの管理をサポートするために、作業項目も生成されるからです。

    ハイパフォーマンスを生み出すデータベースを作成するには、以下のアクションを実行します。

    1. データベースを作成します。
      Windowsでは、宛先ドライブを指定することができます。コマンドにより、宛先ドライブ上で、 サーバーのデフォルトの DB2 インスタンスと同じ名前のディレクトリー内にデータベースが作成されます。例えば、ドライブ D: 上にデータベースを作成する場合、 ローカルのデフォルト・インスタンスが DB2 であれば、データベース・データは D:¥DB2 に格納されます。 したがって、D: ディレクトリーに Business Process Choreographer 用の DB2 データベースを作成するには、次のコマンドを入力します。
      CREATE DATABASE BPEDB ON D: USING CODESET UTF-8 TERRITORY en-us;
      UNIX® および Linux® の場合は、以下のコマンドを入力します。
      CREATE DATABASE BPEDB ON /wasdbfs USING CODESET UTF-8 TERRITORY en-us;
      ここで、/wasdbfs はディレクトリーを示します。
    2. 希望するディスクにテーブル・スペースを作成します。
      例えば、以下のスクリプトは、WebSphere Application Server インストール・サブディレクトリーの ProcessChoreographer にある createTablespaceDb2.ddl ファイルを基にしています。Windows システムで異なる 3 つのディスク・ドライブを使用してテーブル・スペースを作成します。
      -- Scriptfile to create tablespaces for DB2 UDB
      -- Replace occurence or @location@ in this file with the location
      -- where you want the tablespace containers to be stored, then run:
      -- db2 connect to BPEDB
      -- db2 -tf createTablespaceDb2.ddl
      
      
      
      CREATE TABLESPACE TEMPLATE MANAGED BY SYSTEM USING( 'D:/BPE/TEMPLATE' );
      
      CREATE TABLESPACE STAFFQRY MANAGED BY SYSTEM USING( 'D:/BPE/STAFFQRY' );
      
      CREATE TABLESPACE AUDITLOG MANAGED BY SYSTEM USING( 'E:/BPE/AUDITLOG' );
      
      CREATE TABLESPACE COMP MANAGED BY SYSTEM USING( 'D:/BPE/COMP' );
      
      CREATE TABLESPACE INSTANCE MANAGED BY SYSTEM USING( 'D:/BPE/INSTANCE', 'E:/BPE/INSTANCE');
      
      CREATE TABLESPACE WORKITEM MANAGED BY SYSTEM USING( 'F:/BPE/WORKITEM' );
      
      CREATE TABLESPACE SCHEDTS MANAGED BY SYSTEM USING( ' F:/BPE/SCHEDTS' );

      INSTANCE テーブル・スペースが 2 つのドライブに分散されることに注意してください。

    3. テーブルを作成します。

      個々のデータベース用に提供されたスクリプトを実行して、Business Process Choreographer テーブルを作成します。例えば DB2 の場合、ProcessChoreographer ディレクトリーの createSchemaDb2.ddl ファイルを使用します。

  3. データベースを調整します。

    キャパシティー・プランニング・ツールを使用して、データベースの初期設定を行います。

    DB2 を使用している場合は、Business Process Choreographer データベースのポップアップ・メニューから 「DB2 configuration advisor」 を選択して、DB2 コントロール・センターから DB2 Configuration Advisor を始動します。以下のアクションを実行します。

    1. メモリーを DB2 割り振ります。

      「サーバー」では、スワッピングしないで物理的に使用可能な最大限のメモリーのみを DB2 に割り振ります。

    2. ワークロードのタイプを指定します。

      「ワークロード (Workload)」では、「混合 (Mixed)」 (照会とトランザクション) を選択します。

    3. 「トランザクション」では、トランザクションの長さと、毎分処理されるトランザクションの推定数を指定します。

      「10 より大きい (More than 10)」を選択し、長いトランザクションが使用されることを示します。

      次に、「毎分のトランザクション (Transactions per minute)」フィールドで、毎分処理されるトランザクションの推定数を選択します。この数値を判別するには、プロセスの各アクティビティーにトランザクションが 1 つあると想定します。このとき、1 分間に実行されるトランザクション数は次のようになります。

      毎分実行されるトランザクション数 = 毎分完了するプロセス数 * 各プロセス内のアクティビティー数

    4. データベースを調整して、トランザクション・パフォーマンスがより高速になり、リカバリーが遅くなるようにします。

      「優先順位」では、「高速トランザクション・パフォーマンス (Faster transaction performance)」を選択します。

    5. 可能な場合、実動中の標準的な量のデータを取り込んだデータベースを調整します。 「データ取り込み済み (Populated)」では、「はい」を選択します。 それ以外の場合は、「いいえ」を選択します。
    6. 並列接続設定を調整します。
      「接続」では、アプリケーション・サーバーに対して確立可能な並列接続の最大数を指定します。この値を決定する場合は、以下の点を指針にしてください。
      • 必要なデータベース接続数は、WebSphere Application Server への JDBC (Java™ DataBase Connectivity) の数によって決まります。JDBC 接続は、WebSphere Application Server にある JDBC 接続プールによって準備されます。p JDBC 接続では、p * 1.1 本のデータベース接続が必要です。p の現実的な値の見積もり方法については、アプリケーション・サーバーのチューニングで説明します。
      • Business Process Choreographer とデータベースが同じ物理サーバーにインストールされている場合、Business Process Choreographer ではリモート・データベース接続が不要です。ただし、リモート・データベース管理でリモート接続が必要になる可能性があるので、ゼロではなく低い値を指定します。
      • Business Process Choreographer と DB2 が別々のサーバーにインストールされている場合は、ローカル接続に関して前に説明した規則に従って、リモート・アプリケーションの数を設定します。
    7. 「分離 (Isolation)」では、「読み取り固定」を選択します。 Business Process Choreographer では、この分離レベルが必要です。

    構成アドバイザーに提案される変更点が表示されます。すぐに変更点を適用することも、ファイルに保管して後で適用することもできます。

結果

ユーザーの長期間にわたって実行するプロセスは、現在の環境とロード条件において可能な限り高速実行されます。

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