サーバーへのコンポーネントの展開

インターフェースのライフ・サイクルで説明しているように、統合コンポーネントはローカル・ファイル・システムのライブラリーに作成し、InterChange Server インスタンスに展開して実行可能にします。サーバーにコンポーネントが配置されると、サーバーのランタイムが更新されて、これらのコンポーネントが直ちに使用できるようになります。

System Manager のグラフィカル・インターフェースまたは repos_copy コマンド行インターフェースのいずれかを使用して、 統合コンポーネントのパッケージを配置できます。System Manager の使用については、配置ウィザードを使用するコンポーネントの展開を参照してください。 この作業に repos_copy コマンド行インターフェースを使用するには、 最初にパッケージ・ファイルを作成する必要があります。 パッケージ・ファイルの作成の詳細については、System Manager を使用したパッケージへのコンポーネントのエクスポート を参照してください。 各インターフェースの利点および欠点については、System Manager を使用した展開または repos_copy を使用した展開の決定を参照してください。

System Manager を使用した展開または repos_copy を使用した展開の決定

表 5 に、展開に System Manager を使用する場合と repos_copy を使用する場合の 利点および欠点を示します。2 つのインターフェースを評価し、ニーズに適したインターフェースを使用してください。

表 5. 展開における System Manager および repos_copy の利点および欠点
インターフェース 利点 欠点
System Manager
  • System Manager はグラフィカル・インターフェースを使用します。
  • 展開するユーザー・プロジェクトのコンポーネントを選択できます。
  • 展開時にサーバー・リポジトリーに関係スキーマを作成するか 作成しないかを選択できます。
  • 同時に複数のユーザー・プロジェクトを展開できます。
  • ドラッグ・アンド・ドロップ展開方法を使用すると、ユーザー・プロジェクト、統合コンポーネント・ライブラリー、または個々のコンポーネントも簡単に展開できます。

  • System Manager は Windows でのみ動作します。

repos_copy
  • コンポーネントをグループ化する必要がありません (System Manager で展開する場合はユーザー・プロジェクトに入れる必要があります)。
  • repos_copy はプラットフォームに依存しません。

  • repos_copy はコマンド行インターフェースを使用します。
  • 最初に System Manager と repos_copy のいずれかを使用して、展開するコンポーネントをパッケージ・ファイルに エクスポートしておく必要があります。
  • パッケージ・ファイルのコンポーネントを選択して展開することはできません。
  • 一度に展開できるパッケージ・ファイルは 1 つのみです。

展開用のコンポーネントの初期状態の設定

状態を持つコンポーネント (コネクター、コラボレーション・オブジェクト、マップ、関係、データベース接続プールなど) の場合、展開した後に、サーバーのリブート時にコンポーネントが初期化される状態を設定できます。コンポーネントの展開後の初期状態を設定するには、以下の手順を実行します。

  1. ユーザー・プロジェクトに設定する初期状態を持つコンポーネントのショートカットを選択します。

    複数のコンポーネントを選択する場合、以下のような Windows の標準的な選択方法を使用できます。

  2. ステップで選択した項目を右マウス・ボタンでクリックし、以下のいずれかを実行します。

配置時プロパティーの構成

配置時プロパティーは、設計時ではなく、配置時に構成される、成果物のプロパティーです。System Manager を使用すると、サーバーに対して固有の配置時プロパティーを指定できます。

サーバーに成果物が配置されると、System Manager では、配置する前にその成果物の配置時プロパティーを適用します。 成果物のプロパティーを複数のサーバーにコピーすることもできます。 これにより、複数の異なるサーバーの複数の異なるコンポーネントのすべてのプロパティーを追跡して記録する必要がなくなります。 複数の異なるサーバーに対して異なる値を持つプロパティーを識別し、これらのプロパティーを配置構成の一部として追加することができます。その後、サーバーに応じて、これらのプロパティーの値を構成できます。

サーバーにオブジェクトが配置されると、System Manager では、配置する前にそれぞれのサーバー用に構成された値を自動的に適用します。 配置時のプロパティーを構成するには、統合コンポーネント・ライブラリー・プロジェクトを右マウス・ボタンでクリックし、「配置記述子の編集」を選択します。 図 17 が表示されます。

図 17. 「配置構成」ウィンドウ


「配置構成」ウィンドウで、以下を実行することができます。

  1. サーバーの追加。サーバーを追加するには「サーバーの追加」をクリックします。 ダイアログが表示されます。ここで、宛先サーバーの名前を入力します。「OK」をクリックします。
    注:
    「構成」ダイアログですでにコンポーネントおよびプロパティーを構成してある場合、これらの値は、構成に追加されるすべてのサーバーに適用されます。
  2. サーバーの削除。サーバーを削除するにはリストから削除するサーバーを選択して、 「サーバーを削除」をクリックします。
  3. プロパティーの構成。「プロパティーの選択」リストでは、以下を実行することができます。

サーバー間でのプロパティーのコピー

構成管理の利点の 1 つは、サーバー間でプロパティーをコピーできることです。プロパティーをコピーするには、プロパティーを右クリックし、コンテキスト・メニューから「コピー」を選択します。プロパティーを貼り付けるには、コンポーネントを右クリックし、「貼り付け」を選択します。1 つのサーバーから複数のプロパティーをコピーして、別のサーバーで貼り付けることができます。プロパティーをコピーすると、そのプロパティーに関連付けられている値もコピーされます。

注:
貼り付けようとしているプロパティーがすでにサーバー構成に存在する場合、貼り付け操作によって既存の値が上書きされます。

配置時プロパティーのインポートとエクスポート

「配置構成」ダイアログでは、配置構成をファイルにエクスポートしたり、ファイルからインポートすることができます。プロパティーをエクスポートするには、プロパティーを右クリックして、メニューから「エクスポート」を選択します。 「プロパティー記述子のエクスポート」ダイアログが表示されます。 ここで、「選択済みプロパティー」または「すべてのプロパティー」を選択します。 プロパティーをエクスポートするファイルの名前を入力するか、「参照」を選択してファイルを探し出します。「OK」をクリックします。

プロパティーをインポートするには、プロパティーを右クリックし、コンテキスト・メニューから「インポート」を選択します。「プロパティーのインポート」ダイアログが表示されます。ご使用のプロパティーを上書きするか、マージするかを選択できます。「プロパティー記述子ファイルを選択してください」フィールドにファイルの名前を入力するか、「ブラウズ」を選択します。「OK」をクリックします。

repos_copy による配置プロパティーの構成

System Manager から repos_copy ファイルを作成した場合、このファイルには、配置時プロパティーが自動的に組み込まれます。これらのプロパティーは、サーバーに送信する前に成果物に適用されます。repos_copy およびコマンド行オプションの使用については、repos_copy の使用を参照してください。

System Manager を使用したパッケージの検証

展開を実行する前に、展開するコンポーネントから構成されるパッケージ を検証して、展開を確実に成功させることができます。コンポーネントのパッケージを検証するには、以下の手順を実行します。

  1. 検証する対象のコンポーネントのショートカットをユーザー・プロジェクトに追加します。

    ユーザー・プロジェクトの作成については、ユーザー・プロジェクトの作成を参照してください。ユーザー・プロジェクトへのショートカットの追加については、ユーザー・プロジェクトへのショートカットの追加を参照してください。

    注:
    一度に複数のユーザー・プロジェクトを検証できるため、必要なすべてのコンポーネントのショートカットを 適切なユーザー・プロジェクトに追加します。
  2. WebSphere Business Integration System Manager ビューで、検証する対象のユーザー・プロジェクトを選択し、選択したユーザー・プロジェクトのいずれかを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「Validate user project」を選択します。

    System Manager によって、図 18 に示すような「プロジェクトを検証」ウィザードが表示されます。

    図 18. 検証するコンポーネントの選択


  3. 「検証するサーバーを選択してください。」ドロップダウン・メニューから、コンポーネントを検証する比較相手のサーバーを選択します。
  4. 以下の方法で、検証するコンポーネントを選択します。

    注:
    複数のユーザー・プロジェクトに同じ名前で存在するコンポーネントを 選択した場合は、ウィザードの次の画面で重複するコンポーネントからいずれか 1 つを 選択するよう要求されます。

    重複するコンポーネントを選択しなかった場合は、ステップ 6 に進みます。

    重複するコンポーネントを選択した場合は、ステップ 5 に進みます。

  5. 「次へ」をクリックします。

    System Manager によって、図 19 に示すような「ローカル複写」画面が表示されます。

    図 19. 検証するユーザー・プロジェクトからの個別のコンポーネントの選択


    重複するコンポーネントから個別のコンポーネントを選択します。

  6. 「完了」をクリックします。

    System Manager は、選択されたコンポーネントを含むパッケージを作成し、それをサーバー・リポジトリーに 対して検証します。検証が成功したかどうかを示すメッセージが表示されます。

System Manager を使用するコンポーネントの展開

コンポーネントは、以下のセクションで説明されている 2 つの方法のいずれかで、InterChange Server インスタンスに展開できます。

配置ウィザードを使用するコンポーネントの展開

配置ウィザードを使用して、InterChange Server インスタンスにコンポーネントのパッケージを展開するには、以下の手順を実行します。

  1. 配置するコンポーネントがサーバー・リポジトリーに存在する場合は (マップでない場合)、配置前にコンポーネントを停止する必要があります。

    パッケージを展開する前に、InterChange Server コンポーネント管理ビューまたは System Monitor を使用し、サーバー内の重複するコンポーネントを停止します。詳細については、リポジトリー内のコンポーネントの状態の管理 を参照してください。

  2. 展開するコンポーネントの初期状態を設定することをお勧めします。詳細については、展開用のコンポーネントの初期状態の設定を参照してください。
  3. 展開するコンポーネントのショートカットを ユーザー・プロジェクトに追加します。

    ユーザー・プロジェクトの作成については、ユーザー・プロジェクトの作成を参照してください。ユーザー・プロジェクトへのショートカットの追加については、ユーザー・プロジェクトへのショートカットの追加を参照してください。

    注:
    一度に複数のユーザー・プロジェクトを展開できるため、必要なすべてのコンポーネントのショートカットを 適切なユーザー・プロジェクトに追加します。
  4. 「WebSphere Business Integration System Manager」ビューで、サーバー・インスタンスに展開する各ユーザー・プロジェクトを選択します。例えば、展開する複数のユーザー・プロジェクトを一度に選択するには、以下のように、Windows の標準的な選択方法を使用できます。
  5. 選択したユーザー・プロジェクトを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「ユーザー・プロジェクトを配置」を選択します。

    System Manager によって、図 20 に示すような「配置ウィザード (1 ページ)」画面が表示されます。

    図 20. 展開可能コンポーネントおよび展開オプションの選択


  6. 「配置可能なコンポーネント (Deployable Components)」画面で、以下の手順を実行します。
    1. コンポーネントを配置する先のサーバー・インスタンスを、「宛先サーバーを選択してください」ドロップダウン・メニューから選択します。
    2. 以下の方法を使用して、配置するコンポーネントを選択します。
      • プロジェクト内のすべてのコンポーネントを配置するには、ユーザー・プロジェクトの横のチェック・ボックスを有効にします。
      • ユーザー・プロジェクト・ノードを展開して、コンポーネント・グループ全体の横のチェック・ボックスを有効にして、そのタイプのコンポーネントをすべて配置します。
      • ユーザー・プロジェクト・ノード、次に、コンポーネント・グループ・ノードを展開して、個々のコンポーネントの横のチェック・ボックスを有効にして、有効にしたコンポーネントのみを配置します。

      注:
      別のユーザー・プロジェクトに同じ名前で存在するコンポーネントを選択した場合は、ウィザードの次の画面にプロンプトが表示され、重複しているコンポーネントのうちどのコンポーネントを配置するかを選択するように要求されます。
    3. 配置処理中に、データベース接続プールと関係スキーマを作成する場合は、「スキーマを作成」チェック・ボックスを有効にします。

      関係スキーマとデータベース接続プールは、それらに参照することで機能するインターフェースに対して作成する必要があります。実行する目的でインターフェースを展開する場合は、インターフェースが使用するコンポーネントすべてに対して、このオプションを使用可能にする必要があります。

      注:
      このオプションを有効にするのは、データベース接続プールおよび関係の設定がコンポーネントの展開先サーバーの 適切な接続情報を参照する場合に限定してください。データベース設定が正しい環境から データベース設定が無効になった環境にコンポーネントを移行する場合は、展開中にこれらのコンポーネントのスキーマを作成しないでください。
    4. InterChange Server にコンポーネントをコンパイルする場合は、「InterChange Server マシン上でコンパイルを実行 (Perform compilation on InterChange Server machine)」チェック・ボックスを有効にします。
    5. 使用すべきでないメソッドなど、コンパイル中に生成される警告に関するプロンプトを表示させないようにする場合は、「コンパイル警告を無視」チェック・ボックスを有効にします。
    6. 配置するオブジェクトすでに検証済みの場合は、「配置中の検証をスキップ」チェック・ボックスを有効にします。 配置するオブジェクトを検証しようとしているため、通常このチェック・ボックスは選択しません。
    7. 選択内容に応じて、以下のいずれかを実行します。
      • 選択したユーザー・プロジェクト全体にわたって重複するコンポーネントも、サーバー・リポジトリーの既存のコンポーネントも選択しなかった場合は、この時点で展開を開始することが可能なので、ステップ 9 に進んでください。
      • 選択したユーザー・プロジェクト全体にわたって重複するコンポーネントを選択しなかったが、サーバー・リポジトリーの既存のコンポーネントを選択した場合は、「サーバー重複オブジェクト 」画面が表示されます。ステップ 8 に進んでください。
      • ユーザー・プロジェクト内で重複するコンポーネントを選択した場合は、ステップ 7 に進みます。
  7. 「次へ」をクリックします。

    ユーザー・プロジェクト内で重複するコンポーネントを選択した場合は、図 21 に示すように、「配置ウィザード (2 ページ)」画面が表示されます。

    図 21. 展開時のローカルな重複の選択


    表示されたユーザー・プロジェクトのフォルダーを展開し、重複しているローカル・コンポーネントのうち、配置する方のコンポーネントのチェック・ボックスを有効にします。

    選択内容に応じて、以下のいずれかを実行します。

  8. 「次へ」をクリックします。

    サーバー上の既存のコンポーネントを配置するように選択した場合は、図 22 に示すような「サーバー重複オブジェクト」画面が表示されます。

    図 22. サーバーで上書きする重複オブジェクトの選択


    表示されたユーザー・プロジェクトのフォルダーを展開し、サーバー・リポジトリーで上書きする重複コンポーネントのチェック・ボックスを有効にします。

  9. 「完了」をクリックします。

    System Manager が選択されたコンポーネントを サーバー・リポジトリーに展開します。サーバー・ロギング出力を参照すると、展開セッションが開始され、コンポーネントがリポジトリーに追加されたときに 記録されたメッセージが表示されます。

    展開セッションが完了すると、System Manager に、展開の正常終了を示す情報プロンプトが表示されるか、展開の失敗を示すエラー・プロンプトが表示されます。

  10. プロンプトで表示された情報で重要なものをすべてメモに取ります。例えば、プロンプトによって、一部の配置されたコンポーネントをアクティブにするため、サーバーをリブートするように要求される場合、アクティブなコンポーネントの上書きができないため、配置が正常終了しなかったことが通知される場合もあります。「OK」をクリックして、プロンプトで指定された操作をすべて行います。

ドラッグ・アンド・ドロップを使用するコンポーネントの配置

System Manager ビューで、ドラッグ・アンド・ドロップ操作を使用して、コンポーネントを配置するには、以下の手順を実行します。

  1. 配置するコンポーネントがサーバー・リポジトリーに存在する場合は、配置前にコンポーネントを停止する必要があります。

    パッケージを展開する前に、InterChange Server コンポーネント管理ビューまたは System Monitor を使用し、サーバー内の重複するコンポーネントを停止します。詳細については、リポジトリー内のコンポーネントの状態の管理 を参照してください。

  2. WebSphere Business Integration System Manager ビューで、以下の操作を行って、配置するコンポーネントを選択します。
  3. InterChange Server コンポーネント管理ビューで、コンポーネントを配置する先の InterChange Server インスタンス上に選択したリソースをドラッグ・アンド・ドロップします。

    System Manager が、指定した InterChange Server インスタンスにコンポーネントを配置しようとします。メッセージとエラーは、コンソール・ビューに表示されます。

    注:
    WebSphere Business Integration System Manager ビューで、重複したコンポーネントを選択した場合は、コンポーネントの配置を試みるときに、System Manager によりエラーが表示されます。選択を絞り込み、固有のコンポーネントのみが含まれるようにし、再度配置を試みます。

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