InterChange Server 環境のモジュラー・アーキテクチャーは、多様なサイト構成に適応する分散システムを構成します。InterChange Server 環境のアーキテクチャーによって、ネットワーク上の複数のマシンとの分散対話、およびインターネット・ファイアウォールを越えた分散対話が可能になります。
ネットワーク上の分散 InterChange Server コンポーネント間の対話は、Common Object Request Broker Architecture (CORBA) およびメッセージング・テクノロジー (ネイティブ WebSphere MQ メッセージングや Java Message Service (JMS) など) により可能になります。
さまざまな構成が考えられます。CORBA は、コネクター・エージェントと ICS 間の要求/応答対話や管理通信に使用できます。ネイティブ WebSphere MQ は、パブリッシュ・アンド・サブスクライブ操作におけるイベントのデリバリーを実行します。一方、Java Message Service は、コネクター・エージェントと ICS 間のすべての通信および対話に使用できます。
Common Object Request Broker Architecture (CORBA) は、ネットワーク上の分散オブジェクトのための規格およびインターフェースを定義します。 オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) はライブラリーのセットであり、クライアント・アプリケーションとオブジェクト・サーバーが通信に使用するコンポーネントでもあります。 InterChange Server は IBM Java ORB 製品を使用します。
ORB によって、InterChange Server からクライアント、コネクター・エージェント、および System Manager にアクセスできるようになります。InterChange Server は ORB のネーム・サービスに登録し、そこからクライアントがサーバーとの対話を検出および開始するのに必要な情報を取得します。クライアントとサーバーは、ORB のインターフェース定義言語 (IDL) によってオブジェクト対オブジェクトの対話を実行します。 トランスポート・レベルでは、クライアントとサーバーは Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) を使用して通信します。 ORB ベースの通信は、通常、次の目的で使用します。
IIOP 要求/応答プロトコルでは、通信が即時に成功または失敗するので、コンポーネントが通信するために両方のプログラムが実行されている必要があります。一方、InterChange Server 環境における要求/応答対話では、コネクター・プロパティーを使用してストア・アンド・フォーワード・モードの設定を行えるため、コネクター・エージェントが使用できないときに コネクター・コントローラーがコラボレーションの要求に対してどのように応答するかを指定できます。
図 16 は、InterChange Server 用として IBM Java ORB を構成するコンポーネントを示します。InterChange Server コンポーネントが ORB ドライバーにアドレッシングするさまざまな言語には、それぞれ異なるコンポーネントが存在しますが、C++ および Java のコンポーネントは単一システムのように互いに通信します。IBM Transient Naming Server はネーミング・サービスを提供します。
図 16. WebSphere InterChange Server システムの ORB コンポーネント
これらの ORB コンポーネントは分離する必要がありません。サイトによっては、すべての ORB コンポーネントが同一マシン上に存在する場合があります。
メッセージングは、プログラムが非同期に離散的データ単位を交換する通信スタイルを形成します。メッセージング・トランスポートを使用するプログラムは、接続を確立したりメッセージを待つ必要がありません。それぞれのプログラムがメッセージング・サービスと対話することによって、メッセージを非同期に送受信します。メッセージング・サービスは、宛先プログラムが使用不可の場合にメッセージを保管して、使用可能になるまで再試行することにより、デリバリーを保証します。
InterChange Server 環境でサポートされているメッセージング・システムには、ネイティブ IBM WebSphere MQ メッセージングと Java Messaging Service (JMS) ソフトウェアの両方が含まれます。 一般的に、メッセージング・システムはパブリッシュ・アンド・サブスクライブ対話 でのイベント・デリバリーに使用され、ORB は要求/応答対話に使用されます。ただし、JMS を両方のタイプの対話に使用する場合もあります。
JMS がデリバリー・トランスポート機構である場合は、長期存続ビジネス・プロセス機能 によってデータの永続性が与えられます。この機能が使用されているときは、コラボレーションの要求によって開始されたプロセスは タイムアウト値とともに待ち状態で置かれるため、指定されたデータ応答を受信した時点でこのプロセスが再開されます。この機能を使用するには、コラボレーション・テンプレートの作成時にこの機能を 使用可能にしておく必要があります。
InterChange Server システムは、コネクター・コントローラー/コネクター・ エージェント対話をインターネット・ファイアウォールを越えて分散させるためにセキュア・ソケット・レイヤー (SSL) 通信をサポートしています。
実装はハブ・アンド・スポーク関係をとります。ハブとは IBM WebSphere InterChange Server システムを完全インストールしたサイトであり、スポークとはファイアウォールを越えてハブとデータを交換するリモート・サイトです。スポーク・サイトは、リモート・コネクター・エージェントを必要としますが、IBM WebSphere InterChange Server システム全体を 必要とはしません。
次の 2 つの代替構成を使用します。