システム・コンポーネントのバックアップ

IBM WebSphere InterChange Server システムのバックアップは、IBM WebSphere システムの管理者タスクの中でも特に重要です。標準化されたバックアップ手順を使用すると、システム障害の場合にも環境を容易に復元することができます。また、ハードウェアやソフトウェアの障害によって、組み込みアプリケーションと IBM WebSphere InterChange Server の間でデータが矛盾した状態になることがあるため、IBM WebSphere InterChange Server システムのバックアップは重要です。

注:
両方向 (BiDi) が使用可能なリリースでは CWBF 形式の適用が保証されていないので、前のバージョンからバックアップしたリポジトリーは現在のバージョンで復元しないでください。これには、新規リリースや後続の BiDi サポートとは関係のないいくつかの理由があります。例えば、CWBF 形式ではないシステム・コンポーネントに関連付けられた非 BiDi 使用可能アダプターやカスタム・コードなどが挙げられます。BiDi の詳細については、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」および「Business Object Development Guide」を参照してください。

このセクションの内容は次のとおりです。

"バックアップ・スケジュールの計画"

"コンポーネントのバックアップ"

バックアップ・スケジュールの計画

IBM WebSphere InterChange Server システムの定期的なバックアップ・スケジュールの手順を計画して実行することは重要です。バックアップを頻繁に実行するほど、データが失われたときに回復する必要のあるデータが少なくてすみます。

IBM WebSphere InterChange Server システムには、バックアップする必要のあるデータとして静的データと動的データの 2 種類があります。

バックアップ・スケジュールは、システム環境が静止状態のときに行うようにするか、またはイベント処理量が最小の状態のときに行うように計画してください。IBM WebSphere InterChange Server は、以下の条件がすべて満たされているときに静止状態となります。

コンポーネントのバックアップ

IBM WebSphere InterChange Server 環境では、コンポーネントが異なるとバックアップ手順も異なります。このセクションでは、以下のトピックについて説明します。

"関係表のバックアップ"

"リポジトリーのバックアップ"

"システム・インストール・ファイルのバックアップ"

"コラボレーション・クラス・ファイルのバックアップ"

"アーカイブ・テーブルのバックアップ"

重要:
IBM WebSphere InterChange Server コンポーネントをバックアップするとき、WebSphere MQ キューはバックアップしないでください。WebSphere MQ キューはシステム内の進行中のトランザクションを表します。これらのキューは動的であるため、絶対にバックアップしないでください。IBM WebSphere InterChange Server では、WebSphere MQ キューをフェイルオーバー対策の中でミラーリングすることを推奨しています。

関係表のバックアップ

関係表のバックアップには、これらの表が格納されるデータベース用の標準バックアップ・ユーティリティーを使用します。このバックアップのスケジュールは、対応するアプリケーションのバックアップと一致させてください。アプリケーションを別のタイミングでバックアップする場合は、アプリケーションのバックアップ時に関係表も必ずバックアップしてください。関係データベースの中に静的な関係表が含まれていることがあります。このデータは静的ですが、すべての 関係表をまとめてバックアップすることを推奨します。関係表をバックアップするときは、IBM WebSphere InterChange Server システムが静止状態であることを確認してください。システムを静止状態にする方法についての詳細は、"InterChange Server のシャットダウン手順"を参照してください。

リカバリー時に役立つように関係データベース・ログを ミラーリングすることを推奨します。ハードウェアまたはソフトウェアのコストが問題ではない場合は、関係の実行時データをミラーリングすることもできます。

1 つの関係に関する関係表の集合は密接に関連しているため、これらはすべて同時にバックアップする必要があります。

関係情報は、これらの表が含まれる DBMS (データベース管理システム) の標準バックアップ・ユーティリティーを使用してバックアップしてください。

注:
データが失われないようにするには、表に反映されるアプリケーションに対してバックアップを実行するのと同時に関係のバックアップを実行してください。

リポジトリーのバックアップ

リポジトリー・テーブルをバックアップするには、repos_copy コマンドを使用します。このコマンドについての詳細は、"repos_copy の使用"を参照してください。リポジトリーのバックアップは、リポジトリーの変更時、再インストールの実行前と実行後、そして IBM WebSphere InterChange Server ソフトウェアのアップグレード前とアップグレード後に行ってください。リポジトリーは、IBM WebSphere InterChange Server システムが静止状態でなくてもバックアップすることができます。

リポジトリーのバックアップに使用する方法は、データベースが区分化されているかどうかに応じて異なります。

区分化されたデータベース・バックアップ

データベースが区分化されている場合、DBMS の標準データベース・バックアップ・ユーティリティーを使用して、リポジトリー、イベント管理、およびトランザクションの各データベースをバックアップできます。

注:
リカバリー時に役立つように、リポジトリー、イベント管理、およびトランザクション・データベースのログをミラーリングすることを推奨します。

パーティション化されていない (単一) データベースのバックアップ

IBM WebSphere InterChange Server データベースがパーティション化されていない (つまり単一データベースに含まれる) 場合、これらのデータベースは通常のデータベース・バックアップ・ルーチンの一部としてバックアップしないでください。IBM WebSphere InterChange Server データベースには、リカバリーを行うとシステムの不整合の原因となる一時データが含まれています。このため、代わりに、repos_copy ユーティリティーを使用して IBM WebSphere InterChange Server リポジトリー内のオブジェクトをバックアップしてください。

システム・インストール・ファイルのバックアップ

システム・インストール・ファイルは、以下の段階でバックアップする必要があります。

コラボレーション・クラス・ファイルのバックアップ

コラボレーション・クラス・ファイルは、IBM WebSphere InterChange Server 以外のシステム・ファイルと一緒にバックアップしてください。リポジトリーのバックアップは、コラボレーション・クラス・ファイルのバックアップに基づいて調整してください。

アーカイブ・テーブルのバックアップ

アプリケーションによっては、アーカイブ・テーブルを持つものもあります。アーカイブ・テーブルは、それらが格納されるデータベース用の標準データベース・ユーティリティーを使用してバックアップしてください。アーカイブ・テーブルは IBM WebSphere InterChange Server システムの一部ですが、一般にはアプリケーションのデータベースに格納されます。アーカイブ・テーブルは定期的にバックアップしてください。アーカイブ・テーブル内のデータは、アプリケーションから IBM WebSphere InterChange Server システムに渡されたすべてのイベントを表します。これらのイベントを使用して、アプリケーションと IBM WebSphere InterChange Server の相互参照テーブルを「再同期」させることができます。

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