このセクションでは、以降のセクションで使用する統合概念の一部を定義します。
IBM WebSphere InterChange Server Business Integration システムには、構成可能なモジュラー統合コンポーネントの開発および実行を サポートする、コア・インフラストラクチャー (InterChange Server および Toolset) が 含まれます。統合コンポーネントはさまざまな役割を果たすので、ユーザーはそれらが ともに機能するよう開発します。例えば、アプリケーションと通信するコネクター、データを保持するビジネス・オブジェクト、ビジネス・ プロセス・ロジックを定義するコラボレーション・テンプレートなどです。
通常、ユーザーはインターフェースのコンテキスト内で 統合コンポーネントを開発します。インターフェースとは、ビジネス・プロセスを 自動化するためにともに機能する、統合コンポーネントの集合です。例えば、ある インターフェースは、PeopleSoft と SAP 間の従業員レコードを同期します。別の インターフェースは、Siebel と Oracle 間の注文処理を自動化します。さらに、別のインターフェースは、Siebel と SAP 間の顧客レコードを同期します。通常、インターフェースは、コラボレーション・テンプレートのインスタンスである コラボレーション・オブジェクトを中心として置かれます。このとき、コラボレーション・ オブジェクトのポートは、そのインターフェースに対応するコンポーネントに バインドされます。
ユーザーは、ソリューションのコンテキスト内で 統合コンポーネントを開発する場合もあります。ソリューションとは、通常は 業界全体 (小売業や自動車業など) にわたる、ビジネス・プロセスの広範なニーズに 応えるよう設計されているコンポーネントの集合であり、インターフェースの 集合であることもあります。
インターフェースとソリューションは、統合コンポーネントの概念的なグループ化 です。つまり、コンポーネントは、インターフェースまたはソリューションの コンテキスト内で特定の目的のために機能するという意味でグループ化されます。
一方、統合コンポーネント・ライブラリーは、ユーザーの 開発環境におけるコンポーネントのグループ化です。System Manager でライブラリーを 定義すると、ライブラリーを表すファイル・システム内にディレクトリーが作成 されます。ライブラリー・ディレクトリー内には、統合コンポーネントのタイプごとの 多数のサブディレクトリーがあります。統合コンポーネントを作成する場合、それは ファイルまたはファイルのグループとして作成され、ライブラリー・ディレクトリー内の適切な サブディレクトリーに格納されます。
ライブラリーには、機能的に作業中のインターフェースに属さないコンポーネントが 含まれることがありますが、それらはビジネス・インテグレーション・システム内で別の開発者が 作業中のインターフェースに属しています。ライブラリーによって、お客様のサイトで 開発中のすべてのインターフェースに含まれるすべてのコンポーネント定義を、ビジネス・ インテグレーション・システムの一部として保管できます。作業することのないサイトの システムに対応するライブラリーを所有することもできます。ライブラリーの作成方法 に制約事項はありませんが、統合コンポーネント・ライブラリーと InterChange Server インスタンス が 1 対 1 で相関するようにすることをお勧めします。
ユーザー・プロジェクトとは、WebSphere InterChange Server Toolset のインターフェースおよびソリューションをサポートする、ソフトウェア実装です。インターフェース は概念的な構造です。ユーザーは自身の設計に合わせて、ビジネス・プロセスを自動化 するために関連するコンポーネントが必要なため、コンポーネントをインターフェースの 概念にグループ化します。統合コンポーネント・ライブラリーは概念的な構造では ありません (Toolset 内で作成および作業します) が、特に規則正しくなくても 構いません。つまり、統合コンポーネント・ライブラリーで説明したように、ライブラリーには、ユーザーが作業しているインターフェースに属さないコンポーネントの 定義を含めることができます。
ユーザー・プロジェクトは、複数の統合コンポーネントをまとめて編成するニーズを サポートするよう設計されているので、それらが 1 つのインターフェースに属している ように表示されます。ユーザー・プロジェクトは、1 つ以上のライブラリー内の統合コンポーネントへの ショートカットの集合なので、各インターフェースごとに 1 つのユーザー・プロジェクトを 作成できます。インターフェースはコンポーネントを共用することが多いので、各ユーザー・プロジェクトでは、1 つのライブラリー内の同一コンポーネントへの複数の ショートカットが含まれる場合があります。例えば、SAP アプリケーションに関連する顧客同期インターフェースと注文処理インターフェース には、どちらも SAP 用アダプターが必要なため、これらのインターフェースに対応する ユーザー・プロジェクトには、それぞれ SAP コネクターの定義へのショートカットが含まれます。
インターフェースとソリューションは、それ自体でもビジネス要件を満たすことが できますが、一般的にはビジネス・インテグレーション・システムの コンテキスト内で開発されます。ビジネス・インテグレーション・システムは、お客様のサイトのビジネス・インテグレーションおよび自動化の要件を満たすために必要な、インターフェースとソリューションの集合です。ビジネス・インテグレーション・システムの開発が発生するのは、より差し迫った要件を満たすように、インターフェースが優先順位別にグループ化されたり 優先順位に沿って開発および生産されると同時に、実際の目標やスケジュールを維持する 場合です。
WebSphere InterChange Server は、ビジネス・プロセスの統合および自動化を 実現するソフトウェア・インフラストラクチャーです。コンピューターに InterChange Server を インストールしてサーバーを始動する場合、サーバー・インスタンスを 開始することになります。サーバー・インスタンスは、お客様の統合要件を満たす インターフェースすべてから構成されるビジネス・インテグレーション・システム をホストします。WebSphere InterChange Server 開発モデルで説明するように、プロジェクトに かかわる開発者は、自身の InterChange Server のローカル・インスタンスを保持する 必要があります。また、少なくとも、ビジネス・インテグレーション・システム全体を テストしたり、システムの生産リリースをホスティングしたりする専用の InterChange Server の インスタンスを持つ必要があります。