InterChange Server システムのアップグレードには、次の手順が必要です。
InterChange Server
システムのバックアップを作成すると、新規バージョンのインストール時に不注意でファイルを上書きしても、そのファイルを回復できます。アップグレード手順を実行する前に、静的データと動的データ
(アップグレードにかかわらず定期的にバックアップされる変更可能データ)
の両方のバックアップを作成します。静的データおよび動的データの例については、表 31 を参照してください。
システムのバックアップを作成するには、以下の手順を行います。
- repos_copy ユーティリティーを使用し、現在の ICS
リポジトリーをバックアップします。例えば、InterChange Server インスタンスには
WICS という名前があり、ログイン名が admin、パスワードが
passwd とします。次の repos_copy
コマンドを実行すると、Repository411.txt
というファイルにバックアップ・リポジトリー・オブジェクトが作成されます。
repos_copy -sWICS -o repos_copy.in -uadmin -ppasswd
- 注:
- バージョン 4.2.0、4.2.1、または
4.2.2 からアップグレードする場合は、バージョン
4.1.1 に固有の .in
ファイル拡張子ではなく、.jar
拡張子を使用してバックアップを作成してください。
- 製品ディレクトリーをバックアップします。このバックアップに組み込まれる重要な項目は、次のようなすべてのカスタマイズ項目です。
- カスタムの .jar ファイル
(カスタム・データ・ハンドラーなど) および Java
パッケージ。これらは、通常、製品ディレクトリーの lib
サブディレクトリーにあります。
- すべての始動スクリプト。製品ディレクトリーの bin
サブディレクトリーにあります。
- 次のパスにある WebSphere MQ の構成ファイル。
ProductDir/mqseries/crossworlds_mq.tst
- DLM およびコラボレーション用のすべての
.class、.java、およびメッセージ・ファイル。これには、以下のディレクトリーにあるすべてのファイルが含まれます。
ProductDir/DLMs/classes
ProductDir/DLMs/messages
ProductDir/collaborations/classes
ProductDir/collaborations/messages
IBM では、InterChange Server 製品ディレクトリー全体
のシステム・バックアップをとることをお勧めします。
- システム管理者に依頼して、ファイル構造のバックアップを作成します。環境設定およびその他のファイルをコピーする必要があります。開発サーバーまたはテスト・サーバーに、複写システムを作成することもお勧めします。
- システム管理者に依頼して、IBM WebSphere MQ のバックアップを作成します。
- データベース管理者 (DBA)
に依頼して、データベースのバックアップを作成します。
これは、ランタイム・テーブル、スキーマ情報、およびストアード・プロシージャーを含む完全なバックアップにしてください。ICS
リポジトリー・データベースだけでなく、その他のデータベースも使用するために
InterChange Server
システムを構成した場合は、その他のデータベースのバックアップも同様に作成します。
- 注:
- このステップを実行するには、適切なデータベース・ユーティリティーを使用します。例えば、DB2
および Oracle
ではエクスポート・ユーティリティーが用意されています。手順については、データベース・サーバーの資料を参照してください。
- 失敗したフローとイベントを管理できるように、API
セットが準備されています。失敗したイベントをアップグレードしようとする場合に
ICS で WebSphere MQ トランスポートを使用しているときは、WebSphere MQ
のキューもバックアップしてください。キューのバックアップ方法については、WebSphere
MQ のマニュアルを参照してください。
表 31 に、各 ICS
コンポーネントのバックアップ方法の概要を示します。
表 31. InterChange Server データのバックアップ方法
データのタイプ
| バックアップ方法
|
静的データ
|
|
リポジトリー
| repos_copy ユーティリティーを使用し、カスタマイズした
InterChange Server コンポーネントの一部またはすべてを保管します。
詳細については、「システム管理ガイド」に 記載されている
InterChange Server コンポーネントのバックアップ方法を参照してください。
|
| カスタムのコラボレーション Java クラス・ファイル
(.class)、およびメッセージ・ファイル
(.msg)
| ProductDir ディレクトリーの
collaborations
サブディレクトリーをシステム・バックアップに組み込みます。
ProductDir/collaborations
|
|
カスタムのマップ Java クラス・ファイル (.class)
| これらのファイルをシステム・バックアップに組み込むため、システム・バックアップに下記のディレクトリーがあることを確認してください。
ProductDir/DLMs
|
| カスタムのコネクター
| システム・バックアップにディレクトリー
ProductDir/connectors/connector_name
を含めます。ここで、「connector_name」はカスタム・コネクターの名前です。
|
| カスタマイズされた始動スクリプト
| 始動スクリプトをカスタマイズしてある場合は、これらがシステム・バックアップに組み込まれていることを確認してください。
|
| ICS 構成ファイル (InterchangeSystem.cfg)
| ProductDir ディレクトリーにある ICS
構成ファイルをシステム・バックアップに組み込みます。
|
動的データ
|
| 相互参照表、失敗したイベントの表、および関係表
| データベースにはデータベース・バックアップ・ユーティリティーを使用します。詳細については、「システム管理ガイド」に
記載されている InterChange Server
コンポーネントのバックアップ方法を参照してください。
|
| コネクター・イベント・アーカイブ表
| これらの表を含むデータベースには、データベース・バックアップ・ユーティリティーを使用します。
|
| ログ・ファイル
| 下記のディレクトリーをシステム・バックアップに組み込みます。
ProductDir/logs
|
InterChange Server システムをバージョン 4.3
にアップグレードするには、その前にシステムが静止状態であることを確認する必要があります。つまり、環境をバックアップしてアップグレード手順を実行する前に、進行中のイベントをすべて完了し、未確定のトランザクションをすべて解決します。
以下の手順は、InterChange Server
システムを静止状態にする方法について説明します。
- 失敗したイベントを再実行依頼するか、そのイベントを破棄します
(このステップはオプションです)。4.3
リリースの拡張された失敗イベント管理 API
により、失敗したイベントをアップグレードし、システムのアップグレード後にそれらを処理することができます。
- すべてのアダプターについてイベント表のポーリングを停止するため、アダプターの
PollFrequency プロパティーを No に設定して
アダプターを再始動します。
- 進行中のイベントを含め、システムですべてのイベントを実行します。必ず未確定トランザクションをすべて解決してください。
- コラボレーションを停止します。これによって、アップグレード時に InterChange
Server で稼働するイベントはなくなります。
- キューから以前のイベントをすべて除去することにより、キューをクリアします。
- 注:
- 手順 5
は、失敗したイベントを処理せずにアプリケーションから
再実行依頼する場合のみ行ってください。それ以外の場合、キューは空になっているはずですが、念のため再確認してください。失敗したイベントのアップグレードを選択する場合に、WebSphere
MQ
トランスポートを使用しているときは、キューを消去しないでください。代わりに、キューのバックアップを作成し、アップグレード後に復元します。詳細については、WebSphere
MQ の資料を参照してください。
実行中のシステムを正常に停止する方法については、「システム管理ガイド」を参照してください。
バックアップが完了したら、次の手順で InterChange Server
システムをシャットダウンできます。
- InterChange Server とその関連コンポーネントをシャットダウンします。
- データベース・サーバーをシャットダウンします。
- オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB)
をシャットダウンします。バージョン 4.2.2
からアップグレードする場合、ORB は IBM Java ORB です。 4.2.2
より前のバージョンからアップグレードする場合、ORB は VisiBroker
バージョンです。
- WebSphere MQ をシャットダウンします。
- 注:
- InterChange Server のバージョン 4.1.1 では、WebSphere MQ 製品は
IBM MQSeries と呼ばれていました。
システムのシャットダウンの詳細については、「システム管理ガイド」を参照してください。
接続先の Windows マシンでサービスとして稼働している InterChange Server
コンポーネントがある場合は、先に
これらのサービスをアンインストールしてから、Windows マシンの WebSphere
Business Integration Tools
のアップグレードを実行してください。新規リリースは別の場所に置かれるため、既存のサービス定義は誤りになります。アップグレードが完了したら、InterChange
Server コンポーネントを
サービスとして構成する手順について、「システム・インストール・ガイド
(Windows 版) 」を参照してください。
