コネクター・エージェントは、ビジネス・オブジェクト を構築および破棄することによって、イベント通知タスクや要求処理タスクを完了 します。
コネクターによる、アプリケーション・イベントからビジネス・オブジェクトへの変換および ビジネス・オブジェクトからアプリケーション要求への変換は、ビジネス・オブジェクトの設計時に定義されるデータ定義 (メタデータ) によって駆動されます。
コネクター・エージェントとビジネス・オブジェクト・メタデータは、協働するように設計されます。コネクター・エージェントとそのビジネス・オブジェクトの設計は、特定の機能をソフトウェアとハードウェアのどちらを使用しても実装できる、コンピューター・デバイスの設計に類似しています。開発者は、主要な機能をどこに実装するかを決定するために、パフォーマンス、拡張性、およびその他の問題を考慮します。
同様に、コネクター・エージェントとそのビジネス・オブジェクト間の作業分配は、コネクター開発者の設計判断によって決定します。IBM WebSphere InterChange Server 設計原則では、ビジネス・オブジェクト・メタデータを使用して、コネクター・エージェントのハードコーディングされたロジックではなくコネクター・ロジックを駆動することを推奨します。
属性のタイプ、サイズ、およびデフォルト値を指定するプロパティーに加えて、ビジネス・オブジェクト定義はアプリケーション固有フィールドを使用して、ビジネス・オブジェクトの処理方法について特定の指示をコネクター・エージェントに与えます。
例えば、ビジネス・オブジェクトで提示した、顧客を表す
ビジネス・オブジェクトの属性に関するアプリケーション固有情報の例を思い出してください。表 7 に、これらの例をいくつか示します。
属性 | アプリケーション固有情報 |
---|---|
Customer ID | CUST1:CID |
Customer name | CUST1:CNAM |
Status | CUST1:CSTAT |
ビジネス・オブジェクトを処理するとき、コネクター・エージェントはその定義を読み取り、アプリケーション固有情報を使用してアプリケーション要求を作成します。
ビジネス・オブジェクト定義内のアプリケーション固有情報およびその他のメタデータは、コネクター・エージェントのアクションを決定するので、コネクター・エージェントの動作はメタデータ主導型であるといえます。
メタデータ主導型コネクター・エージェントは、サポートするビジネス・オブジェクト・タイプの処理方法についてのハードコーディングされた指示を持たないので、柔軟性があります。コネクターの仕様に一致するかぎり、コネクター・エージェントは新規ビジネス・オブジェクト定義を再コーディングや再コンパイルせずに、自動的にサポートします。
メタデータ主導型コネクター・エージェントは、ビジネス・オブジェクト定義内の新規または変更された属性もサポートします。コネクター・エージェントは、ビジネス・オブジェクト定義の属性をループしながら、属性を自動的に処理します。
コネクター・エージェントがビジネス・オブジェクト定義からビジネス・オブジェクトを作成する方法は、次のとおりです。
図 35 には、ビジネス・オブジェクト定義からビジネス・オブジェクトを作成しているコネクター・エージェントの例を示します。コネクター・エージェントは、キー値である品目番号 123 を含むアプリケーション・イベントを取得しました。コネクター・エージェントは、Group、Description、Price、および ItemNum という 4 つの属性を含むビジネス・オブジェクト定義から、Item ビジネス・オブジェクトを作成する必要があります。
品目番号 123 を使用して品目を識別することにより、コネクター・エージェントは残りの属性値を検索します。アプリケーション固有情報は、必要なデータの形式およびフィールドを提供します。
例えば、FormXFieldB は Group データを識別します。コネクター・エージェントは、品目 ID 123 に対する、Form X 内の Field B の値を要求します。次にコネクター・エージェントは戻された値「hardware」を使用して、ビジネス・オブジェクトの Group 属性にその値を挿入します。
破棄のプロセスは、この逆の方法です。コネクター・エージェントはビジネス・オブジェクト定義を使用して、受信したビジネス・オブジェクトに含まれるデータからアプリケーション要求を作成する方法を決定します。