IBM WebSphere InterChange Server の概要 では、ビジネス・オブジェクトのコンポーネントをタイプ、属性値、動詞のように簡単な用語で説明しました。このセクションでは、ビジネス・オブジェクト定義の主要なコンポーネントについて詳細に説明します。
全般的に、ビジネス・オブジェクト定義は名前で識別されます。名前は Customer、 VantiveCase、Invoice など、ビジネス・オブジェクト定義のタイプを表します。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトには、コネクター・エージェントが処理するときに役立つアプリケーション固有情報も含まれます。また、すべてのビジネス・オブジェクトには、次のセクションで説明する属性や動詞も含まれます。
ビジネス・オブジェクト定義の属性は、Last Name、Employee ID、Case Number、 Amount、Date Initiated などのエンティティーに結びついた値を表します。実行時に、属性に実際のデータが入ります。
例えば、Employee ビジネス・オブジェクト定義には、従業員の名前、住所、従業員 ID、その他の関連情報の属性が含まれます。ビジネス・オブジェクトの属性は、フォームのフィールドまたはデータベース表の列に類似しています。
また属性は、契約の項目の配列や送り状の部品参照など、子ビジネス・オブジェクトまたは子ビジネス・オブジェクトの配列を参照する場合もあります。
ObjectEventId 属性は必須属性であり、すべてのビジネス・オブジェクト内で最後の属性です。コネクターがイベントをパブリッシュするとき、ビジネス・オブジェクト定義の ObjectEventId 属性を使用し、作成中の特定のビジネス・オブジェクト・インスタンスを識別する一意の値を保管します。
ObjectEventId 属性の値はシステムによって生成および処理されます。システムはこの値を使用して、システム全体における特定のイベントのフローを識別および追跡します。開発者は、コネクター・エージェントまたはデータ・ハンドラーを使用して ObjectEventId 属性をマップしたり取り込んだりすることはできません。
属性タイプが String、Boolean、Double、Float、Integer などの基本データ型の場合、属性値はデータベースのフィールド値のような離散的なデータ項目です。このような属性は、単純属性と呼ばれます。 例えば、LastName、CustomerID、PartNumber、 AssignedTo、Price などです。
属性タイプが別のビジネス・オブジェクト定義名 (複合タイプ) である場合、属性値は子ビジネス・オブジェクトまたは子ビジネス・オブジェクトの配列です。このような属性は、複合属性と呼ばれます。 例えば、Customer、Contract、Oracle_Contact などです。
いくつかのプロパティーは、属性が表す値を定義します。 ここでは可能性のあるプロパティーをすべては示していないが、図 26 にビジネス・オブジェクト定義内の属性プロパティーの位置を示します。
特定の属性に対するプロパティーのセットは、属性タイプが基本か複合かに依存します。つまり属性のプロパティーは、属性が単一ユニットのデータと子ビジネス・オブジェクトのどちらを参照するかによって異なります。
動詞は、ビジネス・オブジェクトのデータに対して行うアクションを示します。ビジネス・オブジェクト定義には動詞のリストが含まれます。1 つのビジネス・オブジェクトに含まれる動詞は 1 つのみです。ビジネス・オブジェクト定義に関連した最も一般的な動詞は、Create、Retrieve、Update、Delete です。動詞の意味は、ビジネス・オブジェクトの役割によって異なります。動詞は、アプリケーション・イベントの記述、呼び出しの作成、要求の作成、直前の要求結果の確認などを実行できます。