コンポーネントのアップグレードの完了

一部の InterChange Server コンポーネントは、アップグレードを完了するための追加作業を行う必要があります。以下のセクションでは、これらのアップグレードを完了する方法について説明します。

ICL のインポート

重要:
このセクションで説明する手順を実行する必要があるかどうかは、現行の InterChange Server のバージョンによって異なります。

バージョン 4.2.x より、ICS コンポーネントの作成は、(4.1.1 の場合のように) ICS インスタンス内で実行されるのではなく、ローカルで行われるようになりました。したがって、4.1.1 バージョンからアップグレードしている場合は、System Manager 内で統合コンポーネント・ライブラリー (ICL) を 作成する必要があります。ICL には、InterChange Server のコンポーネントが保持されています。ICL の作成方法については、「System Integration Guide」を参照してください。ICL を作成すると、InterChange Server リポジトリーから コンポーネントをインポートできます。

注:
大量のデータを一括してインポートすると、処理速度が低下して System Manager にメモリー・エラーが発生する場合があるため、ICS コンポーネントは分割してインポートすることをお勧めします。コンポーネントの数が著しく大量の場合は、インポート処理をさらに細分化することもできます。コンポーネントの推奨インポート順序を表 17 に示します。

表 17. ICS コンポーネントのインポート順序
順序 ICS コンポーネント インポートの手順
1 ビジネス・オブジェクト

既存のビジネス・オブジェクト定義を ICS リポジトリーから System Manager 内部の ICL にインポートします。System Manager の「Import components wizard」を使用してコンポーネントをインポートする方法の詳細については、「WebSphere InterChange Server システム・インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

2 マップ コラボレーション・テンプレートおよびマップのアップグレードの完了
3 コラボレーション・テンプレートとコラボレーション・オブジェクト コラボレーション・テンプレートおよびマップのアップグレードの完了
4 コネクター コネクターのアップグレードの完了
5 関係

既存の関係定義を ICS リポジトリーから System Manager 内部の ICL にインポートします。System Manager の「Import components wizard」を使用してコンポーネントをインポートする方法の詳細については、「WebSphere InterChange Server システム・インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

コラボレーション・テンプレートおよびマップのアップグレードの完了

ICS リポジトリーをアップグレードすると、既存のマップおよびコラボレーション・テンプレートのアップグレードを 完了できます。このアップグレードには、以下の手順が必要です。

コンポーネントのクラス・ファイルのアップグレード

コードが新規バージョンと互換であることを確認するには、マップとコラボレーション・テンプレートの既存の Java クラス (.class) ファイルを調べることが重要です。

注:
次に示す新規バージョンの適切なディレクトリーにクラス・ファイルが存在することを確認してください。

既存の Java クラス・ファイルに次のコードが存在するかどうか確認してください。

Java クラス・ファイルを変更した場合は、コードを再コンパイルして関連のコンポーネントを ICS リポジトリーに再展開する必要があります。マップのコンパイル方法については、「マップ開発ガイド」を参照してください。コラボレーション・テンプレートのコンパイル方法については、「コラボレーション開発ガイド」を参照してください。

コネクターのアップグレードの完了

このセクションでは、次に示すように、コネクターを InterChange Server の 4.3 バージョンにアップグレードするための手順を説明します。

  1. 関係のあるアダプターをインストールします。
  2. 次の手順により、コネクターを統合ブローカーにアップグレードします。
  3. コネクター始動スクリプトをカスタマイズしてある場合は、これらのアップグレードも必要な場合があります。詳しくは、コネクター始動スクリプトのアップグレードを参照してください。
  4. コネクターのアップグレードを確認します。詳しくは、コネクター構成の確認を参照してください。

新規 ICS へのコネクターのアップグレード

WebSphere Business Integration Adapter を InterChange Server と連動させるには、WebSphere Business Integration Adapter のバージョン 2.4 をインストールする必要があります。ただし、新規にインストールするために、既存のアダプター・ディレクトリー (ProductDir¥connectors ディレクトリーのサブディレクトリーに存在) をそのままコピーすることはできません。それらは、WebSphere Business Integration Adapter のインストーラーによって提供される共用コンポーネントであるからです。すべてのアダプターに共通の単一インストーラーは存在しなくなったため、関連の アダプターに固有のインストーラーを使用してアダプターをインストールする必要があります。

注:
InterChange Server がご使用の統合ブローカーである場合は、Adapter Framework 製品をインストールする必要があります。

アダプターをインストールする方法の詳細については、個々のアダプター・ガイドを参照してください。

ICS 構成ファイル (InterchangeSystem.cfg) にコネクター・エージェント情報が含まれる場合は、登録されているコネクターごとに個別のコネクター固有構成ファイルが作成されます。

  1. 以下のように、特定のコネクターのために更新したローカル構成ファイルを指定します。
    1. 「スタート」>「プログラム」>「IBM WebSphere Integration Adapters」> 「Adapters」>「Connectors」>「コネクター名」にナビゲートします。
    2. 「コネクター名」を右マウス・ボタンでクリックして「プロパティー」を選択します。
    3. 「ターゲット」フィールドのパスの 最後に -c filename コマンドを挿入します。ここで、filename は、当該コネクターに対する項目を持つ ローカル構成ファイルの完全修飾パスです。
  2. アップグレードしたコネクター定義をリポジトリーに取り込むには、Connector Configurator を使用し、コネクターとともに提供される新規コネクター定義ファイルを開きます (通常、提供されるファイルの名前は connectorName.txt です)。

    Connector Configurator で開いたファイルで、コネクター・プロパティーを設定し、「Save A Project」を選択し、構成を System Manager に保管します。System Manager では、新規コネクター構成を InterChange Server に展開できます。詳細については、「WebSphere InterChange Server システム・インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

    注:
    アップグレードしたコネクターのプロパティーが最新であることを確認するには、該当するアダプター・ガイドを参照してください。

WebSphere Business Integration Adapters をアップグレードする場合、ICS を 統合ブローカーとして使用しているときは、アダプターのショートカットに対して行った すべてのカスタマイズを再適用する必要があります。ショートカットは、アダプターのアップグレード中に上書きされます。

WebSphere Message Broker から ICS へのマイグレーション

WebSphere Message Broker (MQ Integrator、MQ Integrator Broker、Business Integration Message Broker のいずれか) から InterChange Server システムへコネクターをマイグレーションするには、次の手順に従います。

  1. コネクター固有の構成およびビジネス・オブジェクト定義 (.xsd) ファイル を WebSphere Message Broker ディレクトリーから InterChange Server ディレクトリーにコピーします。
  2. ローカル構成で指定されたすべてのキューが InterChange Server に対して有効であることを確認します。
  3. Connector Configurator ツールを使用し、DeliveryTransport コネクター・プロパティー を WebSphere Message Broker-JMS から JMS に変更します。
  4. Connector Configurator ツールを使用し、RepositoryDirectory プロパティーを REMOTE に変更します。
  5. 以下のようにコネクター・プロパティーをアップグレードします。
  6. Business Object Designer ツールを使用してビジネス・オブジェクト定義 (.xsd) ファイルをアップグレードし、ロケール情報を格納します。
  7. System Manager ツールを使用し、コネクター固有の構成およびビジネス・オブジェクト定義ファイルを含む プロジェクトを作成します。
  8. プロジェクトを ICS リポジトリーに展開します。プロジェクトの展開については、「WebSphere InterChange Server インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

コネクター始動スクリプトのアップグレード

すべての InterChange Server 始動スクリプトは、VisiBroker ORB から IBM Java ORB へのマイグレーションに対応するために変更されました。4.3 以前のコネクター始動 スクリプトを変更した場合は、新規の始動スクリプトにも同様の変更を加えてください。

このリリースでは、次に示す主な変更点を含む始動スクリプト構造が導入されます。

注:
既存の IBM 提供アダプターの大半では、その始動スクリプトにこの新構造を採用していません。これらの IBM 提供アダプターの始動スクリプトを変更する必要はありません。カスタム・アダプターの始動スクリプトのみ変更してください。

以前のリリースでコネクター始動スクリプトをカスタマイズした場合は、スクリプトを再度吟味して、カスタマイズの内容がこの新規始動スクリプト構造の正しいファイルに存在することを確認してください。

注:
コネクター始動スクリプトでは、コネクターが使用するすべてのカスタマイズ済みデータ・ハンドラーの CLASSPATH (または JCLASSES) 変数に .jar ファイルを必ず指定してください。特に、CLASSPATH に登録されているデータ・ハンドラーの順序を確認してください。例えば、XML データ・ハンドラーを使用する場合は、CwXMLDataHandler.jar ファイルが CwDataHandler.jar ファイルの前にあることを確認してください。xml.class ファイルはこれら 2 つの .jar ファイルの両方に存在するので、CwXMLDataHandler.jar に存在する方が実行されるようにします。

コネクター構成の確認

コネクターのアップグレードまたは変更が完了したら、そのコネクターが新しい環境に合わせて適切に構成されているかを確認します。それには以下の手順を行います。

アクセス・クライアントのアップグレード

4.2.2 以降、VisiBroker は IBM ORB に置き換わっているので、VisiBroker はバージョン 4.3.0 の InterChange Server では提示されません。4.3.0 インストールに付属する IBM ORB が、唯一のサポートされるアクセス・クライアントです。旧アクセス・クライアントをバージョン 4.3 で動作させるためには、いくつか変更を行う必要があります。コード変更は以下のとおりです。

...
 Properties orbProperties=new java.util.Properties();
 orbProperties.setProperty("org.omg.CORBA.ORBClass", "com.inprise.vbroker.orb.ORB");
 orbProperties.setProperty("org.omg.CORBA.ORBSingletonClass", 
 "com.inprise.vbroker.orb.ORBSingleton");
 org.omg.CORBA.ORB orb = org.omg.CORBA.ORB.init((String[])null, orbProperties);
 ...
 

VisiBroker クラス (com.inprise.vborker.org.*) を参照する setProperty() メソッド呼び出しを含む 2 つの行を除去して、フレームワークが VisiBroker ではなく JDK のデフォルトの ORB インプリメンテーションを使用できるようにします。

アクセス・クライアントは、CORBA 2.3 準拠のどの標準 ORB でも動作します。IBM 以外の ORB の場合、起こりうる互換性問題については、当該 ORB ベンダーに問い合わせください。

アクセス・クライアントは、依然として IgetInterchangeAccessSession() メソッドを使用して、次に示すようにそのアクセス・セッションを取得できます。

accessSession = accessEngine.IgetInterchangeAccessSession(userName, passWord);
 

バージョン 4.3 で導入された新規のセキュリティー・メカニズムでは、代わりに SecureLoginUtility を使用して、次に示すようにアクセス・セッションを取得することをお勧めします。

Properties props = new Properties();
 props.put("username", "admin");
 props.put("password", "admin");
 accessSession = SecureLoginUtility.login(accessEngine , props);
 

このようにして、ユーザー名とパスワードが暗号化されます。これにより、機密情報が伝送中に盗聴されないようにします。

他のコンポーネントのアップグレード

カスタムの .jar ファイル (データ・ハンドラーなど) を持つその他のコンポーネントを作成した場合は、カスタムの .jar ファイルを新規ディレクトリーの適切な場所にコピーする必要があります。通常、カスタムの .jar ファイルは、製品ディレクトリーの lib サブディレクトリーにあります。

注:
これらのカスタム .jar ファイルが、適切な始動スクリプトに記述されていることも確認してください。詳しくは、サーバー始動スクリプトのアップグレードを参照してください。

ユーザー・プロジェクトの処理

重要:
このセクションで説明する手順を実行する必要があるかどうかは、現行の InterChange Server のバージョンによって異なります。

既存のユーザー・プロジェクトのインポート

既存のユーザー・プロジェクトをエクスポートした場合は、ICS が実行してからインポートできます。System Manager を ICS インスタンスに接続し、以下のステップを行います。

  1. 「ユーザー・プロジェクト」フォルダーを展開し、右マウス・ボタンで「InterChange Server プロジェクト」をクリックして、「ソリューションのインポート」を選択します。
  2. 4.3 以前のバージョンからエクスポートしたときに作成したフォルダーの場所を選択します。
  3. すべてのユーザー・プロジェクトが正常にインポートされたことを確認します。

プロジェクトの作成

インターフェースごとにプロジェクトを作成し、共通のコンポーネント (メタオブジェクトやコネクターなど) に対して個別にプロジェクトを作成することをお勧めします。System Manager を ICS インスタンスに接続し、以下のステップを行います。

  1. 「ユーザー・プロジェクト」を右マウス・ボタンでクリックし、「新規ユーザー・プロジェクト」を選択します。
  2. ユーザー・プロジェクトに名前を付けます。この名前は、インターフェースを一意的に識別するものにします。
    注:
    ユーザー・プロジェクトの名前を既存のユーザー・プロジェクトや既存の ICL プロジェクトと同じにすることはできません。
  3. ユーザー・プロジェクトのコンポーネントを選択します。この手順では、必要な各コンポーネントへのショートカットを作成します。コンポーネント自体はその ICL に格納されたままです。

プロジェクトを作成する方法については、「WebSphere InterChange Server インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

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