WebSphere InterChange Server と一緒にインストールされる SNMP Agent により、内部の SNMP Manager を使用し、MIB (Management Information Base) を基にして、InterChange Server、コラボレーション、およびコネクターをモニターし、部分的な管理タスクを実行することができます。
SNMP Agent を使用すると、企業内の複数の InterChange Server を 1 つのエージェントから管理できます。逆に、複数の SNMP Agent が 1 つの InterChange Server を管理できます。
このセクションの内容は次のとおりです。
SNMP Agent と SNMP Manager の通信方法
"SNMP Agent Configuration Manager の使用"
このセクションでは、SNMP アーキテクチャーの基本的な概要、および WebSphere InterChange Server SNMP Agent がこのアーキテクチャーにどのように組み込まれているかについて説明します。 次のトピックを取り上げます。
Management Information Base (MIB)
Simple Network Management Protocol (SNMP) は、デバイスおよびプロセス管理のための アプリケーション層プロトコルです。SNMP アーキテクチャーは、次の 3 つのコンポーネントから成ります。
SNMP Manager は、管理対象デバイスのモニターおよび制御を行う アプリケーションを実行します。SNMP Manager は、管理対象デバイスと直接ではなく、SNMP Agent を通じて 通信します。SNMP Manager は、InterChange Server インストールの一部としては提供されません。
SNMP Agent は、管理対象デバイスと直接通信するエンティティーです。このツールの機能は、SNMP Manager から要求を受け取り、その要求を処理するために管理対象デバイスと通信することです。SNMP Agent は、WebSphere InterChange Server インストールのオプション・コンポー ネントとして提供されます。SNMP Agent は、手動で、または Windows サービスとして始動できます。
SNMP Agent を使用して管理できるシステム・デバイスは、InterChange Server、コラボレーション、およびコネクターです。これらの各管理対象デバイス上で SNMP Manager が実行できるタスクの種類については、"SNMP 管理の内容"を参照してください。
SNMP Agent は、Management Information Base (MIB) を使用して管理対象デバイスの情報を取得します。MIB とは 管理対象デバイスの情報を階層型に編成したものであり、管理対象デバイスのインデックスのように機能します。 オブジェクト ID とは、MIB 階層内の管理対象オブジェクトを一意的に識別する ID です。 例えば、WebSphere InterChange Server MIB には、コネクターの状況を得るためのオブジェクト ID があります。SNMP を使用して 管理されるのは、こうしたオブジェクト ID です。
WebSphere InterChange Server 製品には、MIB 定義として wbi_snmpagent_v2.mib と wbi_snmpagent_v1.mib が用意されています。これらのファイルは、<WebSphere_Business_Integration_Install_Dir>¥snmp ディレクトリーに 格納されています。ここで、<WebSphere_Business_Integration_Install_Dir> は WebSphere InterChange Server 製品のインストール先ディレクトリーです。
SNMP Agent をインストールおよび構成した後で、wbi_snmpagent_v2.mib (SNMP Manager が SNMP バージョン 2 をサポートする場合) または wbi_snmpagent_v1.mib (SNMP Manager が SNMP バージョン 1 をサポートする場合) を SNMP Manager にインポートします。
SNMP Agent のインストールと構成については、「システム・インストール・ガイド(UNIX 版)」または「システム・インストール・ガイド (Windows 版)」を参照してください。
SNMP Manager に MIB ファイルを インポートするための手順については、SNMP 管理ソフトウェアに付属している資料を参照してください。
SNMP バージョン 2 のアクセス制御は、SNMP コミュニティー名を通じてサポートされます。コミュニティー名には、パスワードのような働きがあります。そのため、コミュニティー名を使用すると、さまざまなユーザーが SNMP Agent にアクセスしてシステム・コンポーネントを管理できます。 コミュニティー名の構成については、コミュニティー名の構成手順を参照してください。
SNMP Agent と SNMP Manager は、Simple Network Management Protocol
を使用して通信します。表 5 に、SNMP Agent と SNMP Manager が
交換する要求および通知を示します。
表 5. SNMP Agent と SNMP Manager 間の通信
要求または通知 | 説明 |
---|---|
Get | SNMP Manager は、この要求を SNMP Agent に送信し、デバイスまたは 1 つの管理対象コンポーネントについての情報を取得します。 |
GetNext | SNMP Manager は、この要求を SNMP Agent に送信し、直前に要求したコンポーネントの次のコンポーネントについて情報を取得します。これはコンポーネント・テーブル内で繰り返し実行するときに使用さ れます。 |
GetBulk | SNMP Manager は、この要求を SNMP Agent に送信し、データ・テーブル全体を取得します。 |
Set | SNMP Manager は、この要求を SNMP Agent に送信し、管理対象デバイスの構成可能パラメーターを設定します。これは、コンポーネントを開始および停止する際にも使用されます。 |
Trap | トラップは、SNMP Agent が SNMP Manager に送信する非同期通知です。管理対象デバイスのコンポーネントの 状況が変化し、SNMP Manager がその状況の変化を通知するように要求したときに送信されます。 |
以下のセクションでは、SNMP Manager によって管理対象デバイスで 実行できる SNMP 操作を示します。最新の操作については、最新の MIB ファイル wbi_snmpagent_v2.mib (SNMP バージョン 2 の場合) また は wbi_snmpagent_v1.mib (SNMP バージョン 1 の場合) を参照してください。これらのファイルは <WebSphere_Business_Integration_Install_Dir>¥snmp ディレクトリーにあります。このセクションの内容は次のとおりです。
"InterChange Server の SNMP 管理"
SNMP Manager は、InterChange Server に対する以下の操作を SNMP Agent を通じて実行できます。
SNMP Manager は、コラボレーション・オブジェクトに対する以下の操作を SNMP Agent を通じて実行できます。
SNMP Manager は、コネクターに対する以下の操作を SNMP Agent を通じて実行できます。
このセクションでは、SNMP Agent を使用して InterChange Server システムをモニターする方法について説明します。SNMP Agent を使用するには、以下を行う必要があります。
このセクションの内容は次のとおりです。
SNMP Agent を始動するには、以下のステップを実行します。
UNIX |
---|
UNIX 上で SNMP Agent を始動、停止、または状況を取得するには、snmpagent_manager スクリプトを実行します。 UNIX オペレーティング・システムで SNMP Agent を実行し、デフォルト・ポート (1161) または 1024 未満のいずれかのポート番号に SNMP Agent が構成されている場合は、ポートが使用されておらず、SNMP 始動スクリプトを実行するために root ユーザーとしてログインする必要があります。SNMP Agent が 1024 以上のポート番号に構成されている場合は、root ユーザー以外のユーザーもこのスクリプトを実行できます。 |
SNMP Agent を停止するには、以下のステップを実行します。
UNIX |
---|
snmpagent_manager スクリプトを使用します。 |
SNMP Agent の構成情報は、<WebSphere Business Integration Install Dir>¥snmp¥config ディレクトリーの wbi_snmpagent.cfg という構成ファイルに格納されています。
デフォルト値の変更が必要な場合は、このファイルを編集します。
このファイル内の値は以下のように指定します。
ParameterName: value
表 6 は、SNMP Agent の操作に使用されるパラメーターのリストです。
パラメーター | 説明 | 値 | デフォルト |
---|---|---|---|
TraceLevel | トレース情報の冗長度を定義します。 | 0 から 5 | 0 |
LogFile | ログ・ファイルのパスです。 |
| wbi_snmpagent.log、<WebSphere Business Integration Install Dir>¥snmp¥log ディレクトリーに配置 |
AgentStateFile | エージェントの状態が含まれるファイルのパスです。 |
| wbi_snmpagent.sts、<WebSphere Business Integration Install Dir>¥snmp¥state ディレクトリーに配置 |
PollInterval | SNMP Agent に必要な情報のすべてをコールバックによって取得できるわけではありません。特定の情報は、定期的なポーリングによって取得する必要があります。このパラメーターにより、ポーリング間隔を秒単位で指定します。 | 0 (ポーリングなし) またはそれ以上 | 30 |
Port | SNMP Agent が SNMP Manager からの要求を listen するポートです。 | 有効なポート番号 | 1161 (UNIX の場合のデフォルトの SNMP ポート番号)
161 (Windows の場合のデフォルトの SNMP ポート番号) |
SNMP 構成を変更する必要がある場合、「SNMP 構成」ウィザードには、表 6 に説明したフィールドが表示されます。このウィザードを使用すると、各フィールドの値に基づいて wbi_snmpagent.cfg ファイルが作成 (または変更) されます。
構成ファイルを変更したら、SNMP Agent をシャットダウンしてから再始動します。
SNMP Agent Configuration Manager を使用すると、SNMP Agent に関係付けられた MIB テーブルを構成できます。MIB テーブルについては、Management Information Base (MIB)を参照してください。これらのテーブルには、「コミュニティー」テーブル、「トラップ転送」テーブル、および「サーバー・アクセス」テーブルがあります。
サード・パーティー製の SNMP Manager が SNMP Agent の新規 MIB テーブル項目を作成できない場合は、このツールが必要です。 通常、SNMP Manager にはこうした機能が既に組み込まれていますが、組み込まれていないものもあります。MIB テーブルを 構成できない SNMP Manager を使用する場合は、SNMP Agent Configuration Manager を 使用して SNMP Agent に関連付けられた MIB テーブルを 構成する必要があります。SNMP Manager に MIB テーブル構成機能がある場合でも、このツールを使用して WebSphere InterChange Server SNMP Agent を構成することをお勧めします。
このセクションの内容は次のとおりです。
SNMP Agent Configuration Manager のインストール
SNMP Agent Configuration Manager の始動手順
SNMP Agent をインストールするときに、インストーラーは SNMP Agent Configuration Manager を 自動的にインストールします。SNMP Agent のインストール方法については、「システム・インストール・ガイド (UNIX 版)」または「システム・インストール・ガイド (Windows 版)」を参照してください。
SNMP Agent Configuration Manager を始動するには、ご使用のオペレーティング・システムに応じて、以下のステップを実行します。
UNIX |
---|
ProductDir/bin ディレクトリー にある start_snmpconfig.bat スクリプトを実行します。 |
SNMP Agent Configuration Manager が表示されます。
MIB テーブルの編集を開始するには、SNMP Agent に接続する必要があります。手順については、SNMP Agent への接続手順を参照してください。
SNMP Agent Configuration Manager を実行中の SNMP Agent に接続するには、以下のステップを実行します。
「コミュニティー」タブには、接続されている SNMP Agent に 存在するコミュニティーが表示されます。この表には次の 3 つの項目があります。
新規ユーザーにシステム・コンポーネントを管理する許可を付与する場合は、コミュニティー名を MIB テーブルに追加します。
コミュニティー名を追加するには、以下のステップを実行します。
登録済みコミュニティー名のアクセスのタイプまたは行状況を変更する場合は、コミュニティー名を編集します。
コミュニティー名を編集するには、以下のステップを実行します。
MIB テーブルからコミュニティー名を完全に削除する場合は、コミュニティー名を除去します。
コミュニティー名を除去するには、以下のステップを実行します。
トラップは、SNMP Agent が SNMP Manager に送信する非同期通知であり、管理対象デバイスのコンポーネントの状況が変化し、SNMP Manager が その状況の変化を通知するように要求したときに送信されます。
トラップが送信されると、SNMP Agent は「トラップ転送」テーブルで指定された指定ホスト:ポートに通知し、トラップ名 (例えば、collabTrapEventsLongTime など)、およびコネクター・アプリケーション名、コネクター・サーバー名、コネクター・アプリケーションの状況をログに記録します。モニターしているネットワーク・マネージャーがトラップを受信すると応答が起動され、例えばシステム管理者に E メールが送信されます。
「トラップ転送」テーブルには 以下の 4 つの項目があります。
表 7 は、InterChange Server に存在する SNMP トラップのリストです。
トラップ・タイプ | 変数 | 説明 | トラップ ID |
---|---|---|---|
serverTrapStatus | serverName、
serverStatus | サーバーが始動または停止するときに生成 | 1 |
collabTrapStatus | collabName、 collabServerName、 collabStatus | コラボレーションが始動または停止するときに生成 | 2 |
collabTrapEventsFailed | collabName、 collabServerName、 collabEventsTrgdFlwFailed | コラボレーションでイベントに障害が発生するときに生成 | 3 |
collabTrapEventsLongTime | collabName、 collabServerName | コラボレーションで、指定された時間よりイベントに長い時間がかかるときに生成 | 4 |
connTrapAgentStatus | connName、
connServerName、 connAgentStatus | コネクター・エージェントの状況が変更されたときに生成 | 5 |
connTrapStatus | connName、
connServerName、 connStatus | コネクターの状況が変更されたときに生成 | 6 |
connTrapAppStatus | connName、
connServerName、 connAppStatus | コネクター・アプリケーションの状況が変更されたときに生成 | 7 |
SNMP Agent によって収集された情報の受信側としてサーバーを登録する場合は、トラップ転送項目を MIB テーブルに追加します。
トラップ転送項目を MIB テーブルに追加するには、以下のステップを実行します。
登録済みのトラップ転送項目の「マネージャー・ホスト」、「トラップ・ポート」、または「行状況」情報を変更する場合は、トラップ転送項目を編集します。
既存のトラップ転送項目を編集するには、以下のステップを実行します。
MIB テーブルからトラップ転送項目を完全に除去する場合は、トラップ転送項目を除去します。
トラップ転送項目を除去するには、以下のステップを実行します。
サーバー・アクセス記入項目により、特定の SNMP Manager と 特定の管理対象 InterChange Server をリンクできます。この表には次の 3 つの項目があります。
新しいサーバー・アクセスを作成するには、以下のステップを実行します。
サーバー・アクセス記入項目の行状況を変更する場合は、MIB テーブルのサーバー・アクセス記入項目を編集します。
サーバー・アクセス記入項目を編集するには、以下のステップを実行します。
MIB テーブルからサーバー・アクセス記入項目を完全に削除する場合は、サーバー・アクセス記入項目を除去します。
サーバー・アクセス記入項目を除去するには、以下のステップを実行します。
役割ベースのアクセス制御 (RBAC) は、複数ユーザーおよび役割をベースにした拡張セキュリティー機能をサポートします。役割は、共通の機能を共用するユーザーの集合です。役割に機能を割り当てると、許可の割り当て時に管理者の負担が軽減されるので、管理者の作業効率を高めることができます。
RBAC 機能が追加された結果、SNMP Agent でユーザー名とパスワードを入力することができるようになり、これらの役割の管理が容易になりました。RBAC セキュリティーが InterChange Server で使用可能になっている場合は、ユーザー名とパスワードを指定して InterChange Server に接続する必要があります。
「RBAC セキュリティー」テーブルには、以下の 4 つの項目があります。
RBAC セキュリティー項目を MIB テーブルに追加して、RBAC セキュリティーが使用可能な場合に、SNMP Agent を InterChange Server に接続します。
RBAC セキュリティー項目を MIB テーブルに追加するには、以下のステップを実行します。
登録済みの RBAC セキュリティー項目の「ユーザー名」、「パスワード」、または「行状況」情報を変更する場合は、RBAC セキュリティー項目を編集します。
既存の RBAC セキュリティー項目を編集するには、以下のステップを実行します。
MIB テーブルから RBAC セキュリティー項目を完全に除去する場合は、RBAC セキュリティー項目を除去します。
RBAC セキュリティー項目を除去するには、以下のステップを実行します。