WebSphere Business Integration 製品での双方向スクリプトの使用可能化は、さまざまなレベルおよびさまざまなコンポーネント構成で 行われます。双方向使用可能化は、3 つのレベルで 実現されています。
双方向スクリプト・データを処理できる WebSphere Business Integration 製品は、Toolset、Adapter Framework、ICS broker、9 種のアダプター (JText、JDBC、 Email、XML、WebSphere MQ、SAP、PeopleSoft、Web services、Lotus Domino)、および該当する ODA (JDBC、XML、WSDL) です。
上記のコンポーネントのうち、第 1 レベルに属するものは WebSphere Business Integration Toolset です。これらは、System manager などの Java ベースのツール、Business Object Designer や Connector Configurator などの C++ ベースのツール、Dashboard などの Web ベースの ツールです。第 2 レベルに属するコンポーネントは 双方向対応アダプターです。第 3 レベルに属するコンポーネントは、双方向対応アダプターおよび Adapter Framework です。
次のセクションでは、次の各コンポーネントを使用可能にするための概要について説明します。
コネクターは、1 つのアプリケーション (または Web サーバーなどのプログラマチック・エンティティー) と 1 つ以上のコラボレーションを媒介します。コネクターは、SAP R/3 バージョン 4 などのアプリケーションや、データ・フォーマットまたはプロトコル (XML や EDI) などのテクノロジーに固有の場合もあります。コネクターは、次の 2 つの形式でコラボレーションと通信します。
(詳しくは、コネクターを参照してください。)
コネクターは、Connector Configurator などの WebSphere Tool によって 定義されるメタおよび構成データを使用して データ・ソース (アプリケーションまたはプログラミング・エンティティー) からの コンテンツ・データを処理します。WebSphere 製品環境では、メタおよび構成データは標準の Windows 双方向形式で 表現および格納されます。外部アプリケーションは、同じメタおよび構成データを、WebSphere Business Integration 製品で使用する Windows 双方向形式と 異なる双方向形式で保持できるため、WebSphere Business Integration 環境と外部アプリケーションの間で正しく通信するためには 変換が必要です。双方向言語に対応したコネクターを コネクターの BiDi.Metadata 標準プロパティーで構成すると、外部アプリケーションに固有の メタおよび構成データの双方向形式が適用されます。
Adapter Framework は、InterChange Server および WebSphere Business Integration Adapters に コネクターをリンクし、アプリケーションまたはプログラミング・エンティティーと 1 つ以上のコラボレーションの 間でコンテンツを流せるようにします。コネクターが メタおよび構成データを処理するのに対し、Adapter Framework はビジネス・オブジェクト属性の値などの 実際のデータ内容を処理します。これは、Adapter Runtime コンポーネントが 全コネクターに共通であるためです。
Adapter Framework の役割は、WebSphere Business Integration 環境での表現 (Windows の双方向形式でデータを表現します) と、外部アプリケーションでの表現 (別の双方向形式を使用する場合があります) の間で データの整合性を確保することです。したがって、WebSphere Business Integration 環境から 外部アプリケーションにデータが流れる場合は、Adapter Framework が必要に応じて Windows の 双方向形式から外部の双方向形式への変換を 実行します。逆に、外部の双方向形式が WebSphere Business Integration 環境で 使用する Windows の双方向形式と異なる場合は、Adapter Framework が Windows の双方向形式への 必要な変換を実行します。
Adapter Framework は、WebSphere Business Integration ブローカー以外のブローカーを使用する 場合にもデータの整合性を確保できます。ブローカーが Windows と異なる 双方向形式を使用する場合は、デフォルトの双方向形式をそのブローカーが使用する形式に 変更することもできます。
WebSphere 製品の実装では、コラボレーションという用語は、コードと複数のアプリケーション間の対話を促進するビジネス・プロセス・ロジックを含む ソフトウェア・モジュールを指します。単純なコラボレーションはいくつかのステップのみから構成され、複雑なコラボレーションはいくつかのステップと他のコラボレーションから構成されます。
コラボレーションは、複数のアプリケーションにわたって分散させることができ、同期および非同期のサービス呼び出しの処理を行います。また、コラボレーションは、長期存続ビジネス・プロセスを サポート可能です。
WebSphere 製品の双方向スクリプト・サポートは コラボレーションも対象としています。コラボレーションは、WebSphere 環境 (コネクターや アクセス・インターフェース、他のコラボレーション) または Web サービスなどの外部ソースのいずれかから 送信されたデータを受信します。双方向データ・フォーマットは、使用可能ないずれかのコネクターによって暗黙的に適用されるか、双方向言語サポートまたは API によって明示的に適用されます。双方向言語に対応していない コネクターや Web サービスなどの双方向言語サポートを適用しない コンポーネントからデータが送信されている場合は、形式が整合せず、コラボレーションのビジネス・ロジックが失敗する可能性や、正しい結果を生成できない可能性があります。このようなエラーは、次のようにして回避できます。
WebSphere Business Integration 製品は、双方向スクリプトを持つマップを サポートします。マップは、コネクターまたは外部ソースのいずれかから データを受信します。したがって、双方向言語に対応した コネクターから WebSphere Business Integration 製品環境に送信されるデータは、一様な双方向言語形式 (標準の Windows の双方向形式) であることが 保証されます。しかし、Web サービス経由で エクスポートされるデータなど、不明な外部ソースからマップに データが導入される場合もあります。Web サービスが Windows の双方向形式でない 双方向データを操作する場合は、2 とおりの結果が考えられます。最初の結果として、サービスなどの接続が失敗する可能性があります。2 番目の結果として、双方向データが Windows の双方向形式と異なる形式であると、そのデータが Windows の双方向形式のデータと比較されるため、データ処理で予測不能な結果となってしまいます (「マップ開発ガイド」の Activity Editor での双方向機能の使用のについてのセクションを参照してください)。これらのエラーは、コラボレーションでの双方向スクリプトの使用可能化で説明している ステップと同じステップを使用して回避できます。