汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトは、汎用 Customer ビジネス・オブジェクトと関係を持つアプリケーション・エンティティーを表します。Customer ビジネス・オブジェクトは、会社の顧客階層の最高位にあるエンティティーを表します (多くの場合、「SoldTo」顧客として表されます)。 CustomerPartner は従属エンティティーを表します。別の顧客オブジェクト (BillTo や ShipTo など) または関連する住所 (Billing や Shipping など) が設定できます。
例えば、アプリケーション A で顧客情報を SoldTo 顧客レコードに保管し、その顧客の請求先および出荷先住所を別の住所レコードに保管することを想定します。 住所には、バウンドされる親顧客から切り離してアクセスすることができません。 別の SoldTo 顧客が再利用することもできません。 IBM では、各住所レコードを 1 つの CustomerPartner ビジネス・オブジェクトとして表します。
アプリケーション B で最上部が SoldTo の顧客オブジェクト階層に顧客情報を保管することを想定します。 SoldTo 顧客は、ほかの顧客タイプ (ShipTo や BillTo など) にリンクします。 従属オブジェクトは親とは無関係に存在し、複数の SoldTo から使用できます。 IBM では、これらの各従属顧客オブジェクトを 1 つの CustomerPartner ビジネス・オブジェクトとして表します。
SoldTo とその関連住所または顧客との関係は、Customer ビジネス・オブジェクトに保管されます。ここには、関連する各 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトへの参照が含まれます。 CustomerSync コラボレーション・テンプレートはこの参照を使用して、ビジネス・オブジェクト間の関係を同期します。
注: 宛先アプリケーション側でリンクが親でなく子の方に必要な場合もあるため、親 Customer ビジネス・オブジェクトへの参照を含む CustomerPartner に属性 (ParentCustomerId) を置くことにより、IBM ではコラボレーション・テンプレートを容易にカスタマイズできるようにしています。
販売注文は SoldTo 顧客を参照する必要があり、請求書類は BillTo 役割を果たす顧客のみに送付されるため、IBM ではすべての Customer および CustomerPartner ビジネス・オブジェクトをタイプ別にカテゴリー化します。 タイプは、アプリケーション内で顧客または住所を定義する方法を表します。
販売注文は SoldTo 顧客を参照する必要があり、請求書類は BillTo 役割を果たす顧客のみに送付されるため、IBM ではすべての Customer および CustomerPartner ビジネス・オブジェクトをタイプ別にカテゴリー化します。 タイプは、アプリケーション内で顧客または住所を定義する方法を表します。
各アプリケーションが各顧客タイプをそれぞれの方法で処理できるようにするため、汎用 Customer および CustomerPartner ビジネス・オブジェクトでは、各 Customer および CustomerPartner ビジネス・オブジェクトにタイプを 1 つだけ許可します。 このタイプは属性 (CustomerType または PartnerType) として保管されます。
IBM が顧客を定義する方法の関係で、一般に Customer ビジネス・オブジェクト上の CustomerType 値は SoldTo となり、CustomerPartner オブジェクト上の PartnerType 値はほかの任意のタイプ (ShipTo、BillTo、Payer、Postal、Delivery など) に設定できます。 したがって、取引先のタイプは ShipTo 顧客または BillTo 顧客にできますが、両方を設定することはできません。
注: CustomerType または PartnerType 属性の値は、宛先アプリケーションで顧客データが作成されたあとには変更できません。ただし、役割機能をサポートするアプリケーションの場合、顧客オブジェクトは Customer および CustomerPartner によって追加の役割 (SoldTo 以外) を担えるようになります。
アプリケーションの中には、「RoleFunction」として知られる機能を使用することで、顧客オブジェクトが複数タイプとして働くものもあります。 例えば、BillTo 顧客が ShipTo および Payer 顧客にもなることができます。 このようなアプリケーションの場合、ShipTo および Payer として自身を参照する BillTo 顧客としてオブジェクトを作成します。
この例の場合、PartnerType は BillTo となり、CustomerPartner ビジネス・オブジェクトは ShipTo および Payer という 2 つの RoleFunction を持つことになります。 役割機能は CustomerPartner の RoleUsage 子ビジネス・オブジェクトに保管されます。Customer には、SoldTo 顧客が複数の機能を持てるようになる RoleUsage 子ビジネス・オブジェクトも含まれます。
要約すると、Type は顧客を定義している方法を示し、Function は顧客が担う追加の役割を示すことになります。
顧客階層、タイプ、および役割についての詳細は、汎用 Customer ビジネス・オブジェクトの資料を参照してください。
アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトについての詳細は、それぞれのアプリケーション・ビジネス・オブジェクトの解説ページを参照してください。
汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトは階層型ビジネス・オブジェクトです。 図 1 は、その子ビジネス・オブジェクトを示しています。
図 1. 子ビジネス・オブジェクト
CustomerPartner には、顧客または住所に関する情報が含まれます。 CustomerPartner には、以下の子ビジネス・オブジェクトが含まれます。
子ビジネス・オブジェクト | 説明 | カーディナリティー |
---|---|---|
CustomerAddress | CustomerPartner の住所情報を含みます。 CustomerAddress は PhoneInfo および RoleUsage を含みます。 | 1 |
PhoneInfo | CustomerPartner の電話情報を含みます。 | n |
RoleUsage | CustomerAddress の子として、CustomerPartner の住所の Role 機能を含みます。例えば、BillTo が ShipTo としても機能する場合、RoleUsage はこの役割を含みます。 | n |
CustomerInformation |
CustomerPartner 情報を示す次のすべての子ビジネス・オブジェクトを含みます。
|
1 |
CreditAreaCreditData | CustomerCreditData の子は、特定クレジット・エリアの CustomerPartner に関するクレジット・データを含みます (欧州のクレジット・エリアに米国のクレジット・エリアと異なる情報がある場合など)。属性は、クレジット制御エリア (CustomerPartner の信用を調査する組織)、貸付限度額、貸付限度額の通貨コード、信用調査のリスク・カテゴリー、信用管理の信用担当グループ、信用関連業務を担当する従業員、信用保険データ (信用保険をかけている限度額および信用保険会社など)、CustomerPartner がクレジット・ホールドまたはクレジット・ブロックの適用対象外かどうかを示すフラグ、Dun、Bradstreet および TRW による評価を含みます。 | n |
CustomerAccountingData | CustomerInformation の子は、CustomerPartner の Accounts Receivable データを含みます。 | 1 |
CustomerBankData | CustomerInformation の子は、銀行の国と番号、銀行口座番号と種別、回収権限の有無を示すフラグなど、CustomerPartner に関する銀行用データを含みます。 | n |
CustomerBillingData | CustomerInformation の子は、輸送条件、支払い条件と方法、および請求スケジュールなど、CustomerPartner に関する請求データを含みます。 | 1 |
CustomerCreditData | CustomerInformation の子は、貸付限度額、任意のクレジット制御エリアにおける貸付限度額の上限、および貸付限度額の通貨コードなど、CustomerPartner に関するクレジット・データを含みます。CustomerCreditData は CreditAreaCreditData を含みます。 | 1 |
CustomerForeignTradeData | CustomerInformation の子は、CustomerPartner が Table of Denials リストまたは Specially Designated Nationals リスト (米国が取引を禁止している国のリスト) の対象かどうかを示すフラグと CustomerPartner がこれらのリストで調査された最終日付、および CustomerPartner がお客様の会社のボイコット・リストに記載されているかどうかを示すフラグと CustomerPartner がこのリストの基準で調査された最終日付など、CustomerPartner に関する輸出制御管理情報を含みます。 | n |
CustomerProfileData | CustomerInformation の子は、総収入、従業員数、銘柄記号、標準機構、Web サイト・アドレス、所有権のタイプ (例えば、Public または Private)、および産業など、CustomerPartner に関するマーケティング・データを含みます。 | 1 |
CustomerSalesOrderData | CustomerInformation の子は、営業所と販売グループ、CustomerPartner の営業担当員 ID、CustomerPartner グループ (一般にビジネス・ルールまたは将来の処理で使用)、価格グループと価格リストの ID、通貨コード、CustomerPartner に許可された最小および最大の注文値など、CustomerPartner に関する販売および価格設定データを含みます。このデータは販売注文についてのデフォルト情報としてよく使用されます。 | 1 |
CustomerShippingData | CustomerInformation の子は、運送会社、希望する配達オプション、1 細目に許可される配達数、および注文細目を複数の出荷に分割可能かどうかを示すフラグ、CustomerPartner による後積み注文の許可有無を示すフラグ、不完全な注文の出荷可否を示すフラグなど、CustomerPartner に関する出荷データを含みます。 | 1 |
CustomerTaxData | CustomerInformation の子は、税 ID、コード、管轄権、および CustomerPartner に 1099 フォームが必要かどうかを示すフラグなど、CustomerPartner に関する税データを含みます。CustomerTaxData は CustomerTaxExemptLicenseData を含みます。 | 1 |
CustomerTaxExemptLicenseData | CustomerTaxData の子は、CustomerPartner の控除ライセンスを含みます。 | n |
Notes | CustomerInformation の子は、CustomerPartner に関するメモを含みます。例えば、配送や請求に関する説明などです。 | n |
汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトは、次の動詞をサポートします。
汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトの属性をリストするには、System Manager または Process Designer Express を使用してください。