開発作業の順序

インターフェース内の多くの統合コンポーネントは、別の統合コンポーネントに依存し、参照するので、各コンポーネントを開発する作業は相互に関連し、反復性があります。

統合コンポーネントを開発する際は、次の順序で行うことをお勧めします。

  1. コネクターの取得
  2. アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの開発または変更
  3. コネクターの構成
  4. 接続性およびアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトのテスト
  5. 汎用ビジネス・オブジェクトの開発または変更
  6. データベース接続プールの構成
  7. マップと関係の開発およびテスト
  8. コラボレーション・テンプレートの開発およびテスト
  9. ビジネス・オブジェクト・サポート用コネクターおよび関連するマップの構成
  10. コラボレーション・オブジェクトの作成および構成
  11. インターフェースの配置

コネクターの取得

使用するコネクターを確認し、インストールします。コネクターは、統合されるアプリケーションまたはテクノロジーと直接通信するため、それらの要件を満たす必要があります。同様に、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトなど、他の統合コンポーネントも、コネクターの設計に依存します。このことが、コネクターの設計の論理的な開始点となります。

コネクターは、アダプターをインストールすると、システムにインストールされます。コネクターはアダプターの一部です。(多くのアダプターには、コネクターが対話するアプリケーションに固有のビジネス・オブジェクトの生成に役立つ Object Discovery Agent も組み込まれています。)

特定のテクノロジー用に設計されているアダプターが、インストールする WebSphere Business Integration Server Express および Express Plus に添付されています。Express Plus を使用している場合は、Adapter Capacity Pack に含まれている追加のアプリケーション固有のコネクターの取得を検討する必要もあります。Capacity Pack は、IBM WebSphere Business Integration Server Express Plus に対する追加オプションとして、別途提供されています。

製品に同梱されているコネクターおよび Adapter Capacity Pack に含まれているコネクターの詳細については、ご使用のプラットフォームの「IBM WebSphere Business Integration Server Express インストール・ガイド」を参照してください。

コネクター自体にはカスタマイズを行うことはありませんが、コネクターが対話する統合コンポーネントの一部を変更する必要がある場合があります。その場合、コネクターの構成が必要になります。その作業を、以下のトピックで説明します。

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの開発または変更

コネクター用のファイルを選択してインストールし、コネクター用のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを作成します。次のトピックで、その作業の概要を簡単に説明します。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクト定義 の処理の詳細については、「WebSphere InterChange Server: ビジネス・オブジェクト開発ガイド」を参照してください。

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトは、コネクターの後に開発する必要が あります。これは、コネクター用のビジネス・オブジェクトを開発するためにコネクターを 理解する必要があるからです。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトは、汎用ビジネス・オブジェクトの後に開発する必要があります。これは、汎用ビジネス・オブジェクト は通常、あるインターフェースのアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの スーパーセットを表すからです。

多くのアダプターには、コネクターと連動するアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの生成に役立つ Object Discovery Agent (ODA) が組み込まれています。アダプター用のガイドを参照して、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの 生成に使用できる Object Discovery Agent (ODA) がアダプターに備わっているか 判別します。ODA によって、この開発段階は非常に効率的になります。

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを個別に設計、作成することが必要になる場合もあります。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトは、反復して作成することを お勧めします。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトは、まず比較的単純な 構造で作成してからそれをテストして、コネクターがそのビジネス・オブジェクト構造を使用して アプリケーションと正常にデータを交換できることを確認します。次に複雑なレイヤーを 追加し、再度ビジネス・オブジェクトをテストして、変更してもインターフェースが 動作することを確認します。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトがインターフェースの要件を満たす くらい大規模および複雑になるまで、このプロセスを繰り返します。

ビジネス・オブジェクト定義を作成するときには、ソース・アプリケーション・トリガー やその他のイベント検出機構も必要に応じて作成する必要があります。

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクト定義の設計および開発の詳細については、「WebSphere InterChange Server: ビジネス・オブジェクト開発ガイド」を参照してください。

コネクターの構成

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの単体テストを行う目的で コネクターを構成する際、そのコネクターが実装において役割を果たすために必要な ビジネス・オブジェクト定義およびマップを、まだすべては開発していない 場合があります。しかし、これらのコンポーネントがなくても、テストに必要なビジネス・オブジェクト定義 のサポートを追加したり、正常にテストしたりすることはできます。他のコンポーネントの 開発が終了したら、コネクター定義を再構成して、ビジネス・オブジェクト定義のサポート を追加し、必要なマップを関連付ける必要があります。

アダプターのアプリケーション固有のプロパティーの詳細については、アダプターの ガイドを参照してください。コネクター標準プロパティーおよび Connector Configurator Express の使用方法の詳細については、コネクターの構成を参照してください。

接続性およびアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトのテスト

アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを開発して、そのサポートを コネクター定義に追加したら、そのビジネス・オブジェクトを単体テストして、コネクターがそれを使用してアプリケーションと正常にデータを交換できることを 確認する必要があります。このテストの実行には、インターフェースで最終的に 使用される汎用オブジェクト、マップ、コラボレーション・テンプレートは 必要ありません。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを単体テストするには、以下の手順を実行します。

  1. 以下の設計を使用して、パススルー・コラボレーション・テンプレートを作成します (「コラボレーション開発ガイド」を参照してください)。
  2. コネクター定義のプロパティーを構成し、ビジネス・オブジェクト定義のサポート を追加し、そのビジネス・オブジェクト定義の「エージェント・サポート」チェック・ボックス にチェックマークを付けます。
  3. アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトのサポートを、別の「ダミー」コネクター定義 に追加します。このコネクター定義はテスト・ツールを使用してエミュレートするのみなので、完全に構成する必要はありません。ビジネス・オブジェクト定義の「エージェント・サポート」チェック・ボックス が使用可能になっているか確認します。
  4. コネクターがイベント通知機能を担う場合は、以下の手順を実行します。
  5. コネクターが要求処理機能を担う場合は、以下の手順を実行します。

汎用ビジネス・オブジェクトの開発または変更

インターフェースに必要なアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトをすべて 開発した場合、汎用ビジネス・オブジェクトを開発またはカスタマイズする必要があります。

ビジネス・プロセス用に適切で、ユーザーが使用できる既存の汎用ビジネス・オブジェクトが存在するかを判断します。存在する場合は、汎用ビジネス・オブジェクトを調べ、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの特性を反映するように、必要に応じてカスタマイズし、現在の設計のインターフェースを確実に満足するようにします。新規の汎用ビジネス・オブジェクトを作成することが必要な場合もあります。

Collaboration Capacity Pack から 1 つ以上のコラボレーションを取得して、インストールした場合は、既に一部の汎用ビジネス・オブジェクトが使用可能な状態になっています。Collaboration Capacity Pack のほとんどのコラボレーションには、デフォルトの汎用ビジネス・オブジェクトのセットが付属しています。デフォルトの汎用ビジネス・オブジェクトには、カスタマイズなしに使用できるものと、カスタマイズする必要のあるものがあります。(注: Collaboration Capacity Pack は、IBM WebSphere Business Integration Server Express Plus に対する追加オプションとして、別途提供されています。)

利用できる既存の汎用ビジネス・オブジェクトが存在しない場合、既存の汎用ビジネス・オブジェクトを拡張するかまたは、新規の汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。新規ビジネス・オブジェクトの作成、または既存のビジネス・オブジェクトのカスタマイズの詳細については、「WebSphere InterChange Server: ビジネス・オブジェクト開発ガイド」を参照してください。

データベース接続プールの構成

これは、オプションの作業です。事前にデータベース接続プールを構成することによって、マップを開発するときに それらの使用をマップにコーディングすることができます。ただし、その反対に、データベース接続プールの構成前にマップの開発を開始するように選択することも可能です。

データベース接続プールを使用する場合とその時期を決定するには、データベース接続プールの構成を参照してください。

マップと関係の開発およびテスト

インターフェース用のビジネス・オブジェクトを識別または開発した場合、アプリケーション固有の オブジェクトを汎用オブジェクトに、汎用オブジェクトをアプリケーション固有のオブジェクトに 変換するマップと関係を開発できます。

Map Designer Express を使用してマップを 作成し、変換規則を定義し、汎用ビジネス・オブジェクトまたはアプリケーション固有の ビジネス・オブジェクトをサンプルとして入力してマップの単体テストを行います。

マップを開発している過程で、マップが、複雑な変換を実行するために使用する関係定義を作成することが必要な場合があります。また、データベース接続プールの作成が有効であることがわかる場合もあります。

マップを開発するときには、Map Designer Express のデバッグ機能を使用してマップを 単体テストします。次の時点でマップを単体テストします。

マップと関係の開発の詳細については、「WebSphere InterChange Server: マップ開発ガイド」を参照してください。

コラボレーション・テンプレートの開発およびテスト

コラボレーション・テンプレートは、インターフェースのビジネス・ロジックを定義します。最も単純なコラボレーションは、コネクター間でビジネス・オブジェクトを経路指定 するだけです。その他のコラボレーションには、他のコラボレーション・オブジェクトへの処理の委任などの 複雑な対話も含まれる場合があります。いずれ場合も、コラボレーションは、インターフェース 内のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトのスーパーセットを表す、汎用ビジネス・オブジェクト を中心として置かれます。

Express Plus を使用している場合は、Collaboration Capacity Pack に含まれているコラボレーション・テンプレートの取得を検討する必要もあります。Capacity Pack は、IBM WebSphere Business Integration Server Express Plus に対する追加オプションとして、別途提供されています。使用を検討している特定の各コラボレーションについては、InfoCenter for WebSphere Business Integration Server Express で入手できる資料を参照してください。コラボレーション・テンプレートの特性を調べ、ニーズに合っているかを判断します。

ユーザーの特定のニーズによっては、Process Designer Express を使用して、開発済みのコラボレーション・テンプレートをカスタマイズするか、追加のコラボレーション・テンプレートを作成する必要があります。コラボレーション・テンプレートのカスタマイズまたは作成、およびコラボレーションの構造一般については、「WebSphere InterChange Server: コラボレーション開発ガイド」を参照してください。

コラボレーション・テンプレートおよびそれに付随するすべてのコンポーネントを 開発したら、そのテンプレートに基づいてコラボレーション・オブジェクトを作成する必要があります。

コラボレーション・オブジェクトの単体テストを行うときには、コネクター・エージェント を実行せずに、統合テスト環境または Test Connector を使用します。これに より、インターフェースの保全性をテストするときに、接続性の問題を考慮したり マップやコラボレーション・ロジックに関連するエラーを除外したりせずにすみます。その後、コネクター・エージェントを実行した状態でインターフェース全体をテストします。

コラボレーション・テンプレートの単体テストは、マップ、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクト、またはインターフェース用に開発しているコネクターを使用せずに行うことができます。コラボレーション・テンプレートを単体テストするには、以下の手順を実行します。

  1. コラボレーション・テンプレートによって処理される汎用ビジネス・オブジェクトの サポートを、PortConnector 定義に追加します。
  2. コラボレーション・テンプレートに基づいてコラボレーション・オブジェクトを作成し、コラボレーションのポートを PortConnector にバインドします。

    コラボレーション・オブジェクトの作成の詳細については、右クリックによる InterChange Server Express プロパティーの構成を参照してください。

  3. PortConnector、コラボレーション・テンプレート、コラボレーション・ オブジェクト、およびビジネス・オブジェクト定義をサーバーに配置します。

    コンポーネントの配置の詳細については、System Manager を使用したパッケージへのコンポーネントのエクスポートを参照してください。

  4. Test Connector を開始し、PortConnector 定義を 開いて、Test Connector をエージェントに接続します。

    Test Connector の詳細については、Test Connector の使用を参照してください。

  5. データを含んだ汎用ビジネス・オブジェクトのインスタンスを作成し、Test Connector から 要求としてイベントを送信します。

    コラボレーションはイベントを受け取って処理し、各サービス呼び出しは汎用ビジネス・オブジェクト を Test Connector に送信します。このとき、その汎用ビジネス・オブジェクトを 編集して、データの変更を調べることができます。

  6. InterChange Server Express ロギング出力を調べて、コラボレーション・ロジックが 期待どおりに実行されたかどうか確認します。

ビジネス・オブジェクト・サポート用コネクターおよび関連するマップの構成

開発済みのすべてのコンポーネントを一緒にテストするには、コネクター定義を再構成 して、インターフェースに加わるために必要な、アプリケーション固有のオブジェクト および汎用オブジェクトのサポートを追加する必要があります。システムによって マップは自動的に関連付けられますが、オブジェクトを変換するマップが複数ある場合は、明示的にマップを関連付ける必要があります。詳細については、コネクターの構成を参照してください。

コラボレーション・オブジェクトの作成および構成

必要なビジネス・オブジェクト定義のサポートをコネクターに追加したら、テンプレート に基づいてコラボレーション・オブジェクトを作成し、そのポートを適切なコンポーネント にバインドできます。

コラボレーション・オブジェクトの処理の詳細については、右クリックによる InterChange Server Express プロパティーの構成を参照してください。

インターフェースの配置

インターフェースに必要なすべてのコンポーネントを作成したら、ローカル InterChange Server Express に 配置してインターフェースをテストする必要があります。配置の詳細については、System Manager を使用したパッケージへのコンポーネントのエクスポートを参照してください。

インターフェースのテスト

インターフェースをローカルの InterChange Server Express インスタンスに配置したら、インターフェース全体をテストして、コンポーネントが一緒に動作するときに ビジネス要件を満たすかどうか確認する必要があります。インターフェースをテストするには、以下の手順を実行します。

  1. 必要なすべてのコンポーネントがアクティブであるか確認します。
  2. ソース・システムでイベントを起動します。
  3. InterChange Server Express のロギング出力を調べて、インターフェースのコンポーネント が正しく実行されているか確認します。
  4. 宛先システムを調べて、エンティティーが正常に処理されたかどうか、および データが正しく表示されているかを確認します。

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