Event Listener に必要な構成タスク
Event Listener コンポーネントは、COM+ コンポーネントとして Exchange Server にインストールされるイベント・シンクです。
Exchange Server が稼働するマシンで、以下の構成タスクを実行する必要があります。
- イベント・シンクの実行に必要なユーザー・アカウントを作成し、作成したアカウントに適切な権限を割り当てます。イベント・シンクのユーザー・アカウントおよび権限の設定を参照してください。通常の環境では、コネクターのユーザー・アカウントも作成します。
- Event Listener 実行可能ファイル (BIA_Exchange.dll) を
Exchange Server マシンに登録します。Event Listener の登録を参照してください。
- Exchange Server 用の COM+ アプリケーションを作成し、作成したアプリケーションに Event Listener コンポーネントを追加します。COM+ アプリケーションの作成を参照してください。
- Event Listener 構成ファイルを変更します。構成ファイルの変更を参照してください。
- Windows イベント・ビューアーで、Event Listener のメッセージを表示させるようにします。Event Listener で使用する Windows イベント・ビューアーの構成を参照してください。
イベント・シンクのユーザー・アカウントおよび権限の設定
Event Listener などの Exchange 2003 イベント・シンクはプロセス不足になるため、実行するには何らかの形式での認証が必要です。したがって、イベント・シンクを実行する権限を持つユーザー・アカウントを作成する必要があります。
本書では、このアカウントに一般名 Exchange_User を使用します。ほとんどの場合、このアカウントはコネクターのユーザー・アカウントとしても機能します。
- Windows システム管理ツールを使用してユーザー・アカウントを作成します。ユーザーがドメインの一部になる場合は (通常)、ユーザー・アカウントは Microsoft Active Directory を使用して追加する必要があります。その他の場合は、ユーザー・アカウントはコンピューターの「ローカル ユーザーとグループ」プログラムを使用して作成する必要があります。
- Exchange System Manager を開きます。これは、新規アカウントの権限を設定するために使用します。
- 使用するサーバーに達するまでサーバー・ツリーをナビゲートします。例えば、管理グループとサーバー・グループをクリックして行く必要がある場合があります。
- サーバーを右クリックします。ポップアップ・メニューが表示されます。
- 「プロパティ」をクリックします。
- 「セキュリティ」タブをクリックします。
- 「名前」ダイアログ・ボックスで「追加」をクリックして、表示されたリストからユーザーを選択します。
- 権限レベルについて「フル コントロール」を選択します。
- 「OK」をクリックします。
詳細については、Microsoft Knowledge Base の記事 262054 (XADM: How to Get Service Account Access to All Mailboxes in Exchange 2003) を参照してください。
注:
変更が有効になるまで数時間かかることがあります。変更を即時に有効にするには、Exchange Server をリブートします。
Event Listener の登録
以下の手順に従って、Regsvr32 ユーティリティーを用いて Event Listener コンポーネントを Exchange Server マシンに登録する必要があります。
- 「スタート」-->「ファイル名を指定して実行」を選択します。「ファイル名を指定して実行」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「名前」フィールドに次のように入力します。
regsvr32 installation_directory¥BIA_Exchange.dll
この場合の installation_directory は、BIA_Exchange.dll ファイルをインストールしたロケーション (例えば、C:¥Program Files¥Exchsrvr¥bin) を指します。
Event Listener ファイルが正常に登録されたことを確認するためのダイアログ・ボックスが表示されます。
COM+ アプリケーションの作成
以下のステップを実行して、Exchange Server マシンに COM+ アプリケーションを作成します。
この COM+ アプリケーションは、Event Listener のイベント・シンクを実行するために必要です。
- 「スタート」-->「プログラム」-->「管理ツール」-->「コンポーネント サービス」を選択します。「コンポーネント サービス」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「コンポーネント サービス」ツリーの横にある正符号 (+) をクリックして、ツリーを拡張します。
- 「コンポーネント サービス」の下にある「COM+ アプリケーション」フォルダーを右マウス・ボタンでクリックし、「新規作成」-->「アプリケーション」を選択します。「COM アプリケーション インストール ウィザードへようこそ」が起動します。
- 「ようこそ」ダイアログ・ボックスの「次へ」をクリックします。「新しいアプリケーションのインストールまたは作成」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「空のアプリケーションを作成する」をクリックします。「空のアプリケーションを作成」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「新しいアプリケーション名の入力」フィールドに「BIA_Exchange」と入力します。
- 「アクティブ化の種類」ボックスで「サーバー アプリケーション」を選択して、「次へ」をクリックします。「アプリケーション ID の設定」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「アカウント」ボックスで「このユーザー」を選択して、「参照」をクリックします。「ユーザーまたはグループの選択」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- イベント・シンクのユーザー・アカウントおよび権限の設定で設定した Exchange ユーザー名を選択して、「OK」をクリックします。選択したユーザー名が「ユーザー」フィールドに挿入されます。
- 「パスワード」フィールドに Exchange_User のパスワードを入力します。
- 「パスワードの確認入力」フィールドにパスワードを再入力して、「次へ」をクリックします。
- 「完了」をクリックすると、アプリケーションが作成され、ウィザードが終了します。これにより、「COM+ アプリケーション」フォルダーの下に、対応する「コンポーネント」および「ロール」サブディレクトリーが含まれた BIA_Exchange アプリケーション・フォルダーが追加されます。
COM+ アプリケーションへの Event Listener の追加
新しい COM+ アプリケーションの作成が完了したら、以下の手順に従って、作成したアプリケーションに Event Listener コンポーネントを追加する必要があります。
- 「コンポーネント サービス」ダイアログ・ボックスの BIA_Exchange アプリケーション・フォルダーにナビゲートします。
- 「コンポーネント」フォルダーを右マウス・ボタンでクリックして、「新規作成」を選択します。「COM アプリケーション インストール ウィザードへようこそ」が起動します。
- 「ようこそ」ダイアログ・ボックスの「次へ」をクリックします。「新しいアプリケーションのインストールまたは作成」ダイアログ・ボックスが表示されます。
- 「新しいコンポーネントをインストールする」を選択して、「次へ」をクリックします。「新しいコンポーネントのインストール」ダイアログ・ボックスが開きます。
- 「インストールするファイル」ウィンドウの「追加」をクリックします。
- マシンにインストール済みの BIA_Exchange.dll ファイルを参照して、「OK」をクリックします。ウィザードによってファイルが分析され、「見つかったコンポーネント」ウィンドウに Events コンポーネントがリストされます。
- 「次へ」をクリックしてから、「完了」をクリックしてウィザードを終了します。BIA_Exchange.Events.1 コンポーネントが、BIA_Exchange アプリケーションの「コンポーネント」フォルダーに配置されます。
構成ファイルの変更
Event Listener には、BIA_Exchange.ini と呼ばれる構成ファイルが必要です。このファイルには、Event Listener で使用する構成プロパティーが含まれています。表 5 に、編集または設定する必要のあるプロパティーを示します。ここにユーザー名が指定されているので、Event Listener がそれ自体の原因で発生したイベントをフィルターで排除し、「ピンポン」現象を避けることができます。
表 5. Event Listener 構成プロパティー
プロパティー |
説明 |
デフォルト値 |
CwEventID |
前回使用したイベント ID。 |
ゼロ (0) |
CWEventUser |
Exchange_User アカウントについてのユーザーのログオン名を指定します。Event Listener はこのアカウントのメールボックスに通知を送信します。 |
CwEvent |
CwAgentUsername |
コネクターのアカウントのフルネームを指定します。ほとんどの場合は Exchange_User と同じですが、別個のアカウントを 2 つ持つことができます。ただし、両アカウントの権限は、すべてのメールボックスにアクセスできるように設定されている必要があります。 |
CwAgent |
CwAgentUserGUID |
コネクターのアカウントの GUID を指定します。ほとんどの場合、このアカウントは Exchange_User と同じです。 |
N/A |
CwEventUsername |
Exchange_User アカウントのフルネームを指定します。 |
CwEvent |
EventsTraceLevel |
Event Listener のトレース・メッセージのレベルを指定します。 |
0 (トレースなし) |
ファイルを以下のように変更してください。
- CwEventUser のエントリーを変更して、イベント・シンクのユーザー・アカウントおよび権限の設定で設定した Exchange_User アカウントの名前を指定します。Event Listener はイベントの通知を受け取ると、このユーザー・アカウントにイベント情報を記載した E メール・メッセージを送信します。
- CwAgentUserGUID のエントリーに、コネクターに関連したユーザー・アカウントの GUID を指定します。
注:
この値を取得するには、Event Listener を起動して、そのイベント・ログ項目を調べると便利です。例えば、次のようにします。
- EventsTraceLevel を 5 に設定します。
- イベント登録を Tasks フォルダーに作成します (イベントの登録を参照してください)。
- Outlook を使用して新規タスクを作成します。これにより、Event Listener が起動されます。
- イベント・ビューアーを使用して、このトリガーに対応するアプリケーション・ログのエントリーを調べ、CwAgentUserGUID の値を探します。
- さらにフィルタリングする場合は、CwEventUsername エントリーおよび CWAgentUserName エントリーを変更して、フィルタリングする Exchange ユーザー・アカウントの表示名を指定してください。
Event Listener で使用する Windows イベント・ビューアーの構成
Event Listener は、エラー・メッセージおよびトレース・メッセージを Windows イベント・ビューアーに記録します。Windows イベント・ビューアーが Event Listener のメッセージを検出して正しく表示できるようにするためには、Windows レジストリーを手動で編集する必要があります。
注意
Windows レジストリーを誤って編集すると、ご使用のマシンに問題が生じることがあります。レジストリーの編集は慎重に行ってください。レジストリーに精通していない場合は、Windows システム管理者に援助を求めてください。
Windows レジストリーを更新するには、以下のステップを実行します。
- Windows イベント・ビューアーが開いている場合、閉じておきます。
- 「スタート」-->「ファイル名を指定して実行」をクリックし、「ファイル名を指定して実行」ダイアログ・ボックスに regedit と入力します。Windows レジストリーが開きます。
- キー HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Services¥Eventlog
¥Application に移動し、そのキーを強調表示します。
- 右マウス・ボタンでクリックしてコンテキスト・メニューを表示させてから、「新規」-->「キー」 をクリックします。新規のキーがレジストリーの Application キーの下に追加されます。
- キーに BIA_Exchange という名前を付けます。
- Windows レジストリーの右ペインを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューを表示させます。「新規」-->「文字列値」をクリックします。新規の記入項目が追加されます。
- 新規記入項目に EventMessageFile という名前を付けます。
- EventMessageFile 記入項目をダブルクリックし、「文字列の編集」ダイアログ・ボックスを開きます。
- 「値のデータ」フィールドで、BIA_Exchange.dll ファイルの絶対パス名 (例えば、ProductDir¥connectors¥Exchange¥dependencies¥eventListener
¥BIA_Exchange.dll) を指定してから、「OK」をクリックします。
- Windows レジストリーの右ペインを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューを表示させます。「新規」-->「DWORD 値」をクリックします。新規の記入項目がキーに追加されます。
- 新規記入項目に TypesSupported という名前を付けます。
- TypesSupported 記入項目をダブルクリックし、「DWORD 値の編集」ダイアログ・ボックスを開きます。
- 「値のデータ」フィールドで 7 と入力し、デフォルト基数 (16 進数) が選択された状態のままにしておきます。「OK」をクリックします。
- 「レジストリ」-->「レジストリ エディタの終了」をクリックして、Windows レジストリーを閉じます。
