IBM は、注文、販売、交換、返品、または修理できるすべてのものを品目と定義します。 この広い定義により、エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) アプリケーション、カスタマー・インタラクション・マネージメント (CIM) アプリケーション、およびサプライ・チェーン (SC) アプリケーションで ItemPlanning ビジネス・オブジェクトを使用できるようになります。 ERP および SC アプリケーションでは、「品目」の概念を組織が調達 (未加工の材料)、製造、および販売 (完成品) するすべてのものとして解釈します。 CIM アプリケーションでは、「品目」を「固定製品」として概念的に解釈します。
品目の定義はそのライフ・サイクルの中で、新しい製品として、または新規か改良された品目のコンポーネントとして作成される段階から、成熟し、最終的に老朽化する段階まで展開されます。 したがって、ある会社内の複数の組織が品目マスター・レコードの保守をサポートします。
図 1 は、複数の組織によって品目情報がライフ・サイクルを通して定義され、複数の運用で使用される仕組みを示しています。 IBM は、これらの運用を複数のビジネス・オブジェクトに分離します。
図 1. 品目のライフ・サイクル
ItemPlanning ビジネス・オブジェクトには、品目の将来の必要量および補充の計画に関連するデータ属性が含まれます。このオブジェクトには、品目の計画を担当する人物、品目の調達方法、リード・タイム要件、許容注文数量、安全在庫しきい値、およびさまざまな計画期間タイム・フェンスなどの情報を含む属性が含まれます。
タイム・フェンス
タイム・フェンスとは、マスター・スケジューリング処理の計画範囲における異なる期間の間の境界です。 計画期間は次の 3 つの領域に分けられます。
タイム・フェンスを使用して、品目の計画に組み込む必要がある要件タイプを定義できます。 例えば、近い将来では、おそらく実際の顧客オーダーが最も的確に需要を示します。短期から長期では、顧客オーダーと予測の組み合わせが需要を表すこともありますが、その一方で、さらに純然たる予測が需要を動かすために使用されます。 これらの 3 つの領域は、現在日付、需要タイム・フェンス、および計画タイム・フェンスによってバインドされています。
さらに一般的に、いくつかのタイム・フェンスは、要求が計画期間内に収まることを基準にして計画を制御するよう定義されます。 例えば、現在の計画実施日後 3、4 日以内に要求される変更には対応できないことがあります。 そのため、プランナーはこうした 3 日から 4 日以内に収まる計画注文については、変更もしませんし、変更するよう提言もしません。 多くの場合、この領域 (または時間枠) は凍結期間と表されます。これは、計画タイム・フェンス内の変更はマスター・スケジューラーによって手動で変更する必要があるためです。
計画で使用できる最終のタイム・フェンスは、リリース・タイム・フェンスです。 これは、この計画期間内に収まる注文の自動リリースを許可するために使用できます。 例えば、要求が現在日付から 1 日か 2 日以内に収まる場合、プランナーは特定の品目について自動的にリリース済み注文を作成できます。
図 2 は、計画タイム・フェンスが決定される仕組みを示しています。
図 2. 計画タイム・フェンス
一般にタイム・フェンスは、現在日付からの日数に基づきます。 例えば、現在日付が 1999 年 1 月 1 日で、凍結フェンス日数が 2 に設定されている場合、凍結フェンスは 1999 年 1 月 3 日に設定されます。IBM では、それぞれのタイム・フェンスを決定するために使用する期間 (日数) の ERP および SC アプリケーションへの送信をサポートします。 ERP および SC アプリケーションでは、例えば計画工程が実行されている時期に基づいて、それぞれの日付を計算する必要があります。
品目ごとに異なるリード・タイムを指定して、その品目の生産または購入に必要な時間枠を定義できます。 これらの時間は、作業オーダーの開始が必要な時期、および品目の生産要件を満たすために購入注文の発行が必要な時期を的確に判断するため、計画およびスケジューリングで使用されます。
図 3 は、品目のリード・タイムが決定される仕組みを示しています。
CumLeadTime は、材料の入手から完成品に至るまでの、製品を完成させるために必要な日数です。 CumLeadTime には、1 つの製品にその任意の品目の最長累積リード・タイムを加えた期間を表す MfgLeadTime が含まれます。
CumMfgLeadTime (図にはありません) は、最低レベルの品目から最終の品目に至るまで、1 つの製品を完成させるために必要な合計労働日数です。なお、購入済み品目はすべて組織内にあるものと想定しています。 調達リード・タイムは、CumMfgLeadTime の計算時には考慮されませんが、CumLeadTime の計算時には考慮されます。
図 3 に示すリード・タイムに加えて、IBM では以下の区分への MfgLeadTime 細分化をサポートします。
これらの時間は、時間単位で表されます。
注: 汎用 ItemBasic、ItemOrder、および ItemPlanning を処理するコラボレーション・テンプレートにアダプターをバインドするには、これらのビジネス・オブジェクトは汎用 Item と同様、リポジトリーにすべてインストールする必要があります。アダプターはこれらのオブジェクトをサポートするよう構成する必要があります。汎用 Item を直接使用しないインストールであっても、このオブジェクトはリポジトリー内に置き、すべての関連アダプターでサポートする必要があります。
ItemPlanning は、品目に関して次のような主要な情報を含むフラット・ビジネス・オブジェクトです。
注: IBM コラボレーション・テンプレートは起動された品目およびその前提品目の同期中に ItemBasic、ItemOrder、および ItemPlanning ビジネス・オブジェクトを処理できるため、これらのビジネス・オブジェクトでキー属性の一貫性を保つことが重要です。ItemId、SalesArea、および Plant は、ItemBasic、ItemOrder、および ItemPlanning のデフォルト・キー属性です。 これらのいずれかを変更してキー解除する場合、または追加の属性をキーに指定する場合は、3 つすべてのビジネス・オブジェクトで同じ変更を加える必要があります。
ItemPlanning には、品目の説明、標準コスト、計画および購入を担当する人物、計画コードおよびグループ、調達方法、注文ポリシー・コード、予測方法、注文ポイントと注文数量 (製造済みおよび購入済み品目に最適な推奨数量の決定に使用)、リード・タイム (推奨開始日および終了日の決定に使用)、タイム・フェンス境界など、品目に関する情報も含まれます。
さらに、ItemPlanning には計画の戦略、発注コスト、保管場所、安全在庫データなどの情報が含まれます。
汎用 ItemPlanning ビジネス・オブジェクトは、次の動詞をサポートします。
汎用 ItemPlanning ビジネス・オブジェクトの属性を調べるには、System Manager または Process Designer Express を使用してください。