ビジネス・オブジェクトの処理

ビジネス・プロセス・インターフェースが正しく開発されているかどうかを調べるには、ビジネス・オブジェクトを正常に交換および処理できることを確認する必要があります。このセクションでは、以下の作業の方法について説明します。

要求ビジネス・オブジェクトの処理

要求ビジネス・オブジェクトは、インターフェースを起動するイベントのソースであるコネクターを Test Connector がエミュレートしているときに Test Connector から送信する ビジネス・オブジェクトです。要求ビジネス・オブジェクトの処理は、ビジネス・オブジェクト・インスタンスの作成、データの取り込み、要求の送信から構成されます。

要求ビジネス・オブジェクトの作成

Test Connector に新規ビジネス・オブジェクトを作成するには、以下の手順を実行します。

  1. 「サポートされているビジネス・オブジェクト」ペインで、「BO タイプ」ドロップダウン・メニューから 作成するビジネス・オブジェクトの名前を選択します。
  2. 「BO インスタンス」フィールドの横にある 「作成」をクリックします。
  3. 「新規インスタンス」ダイアログが表示されたら、「名前を入力してください」フィールドにインスタンスの名前を入力します。
  4. 「動詞」ドロップダウン・メニューから適切な動詞を選択します。
  5. 「BO ロケール」ドロップダウン・メニューから 適切なロケールを選択します。
  6. トップレベル・オブジェクト内の 単純属性および子ビジネス・オブジェクトの値を指定します。詳細については、ビジネス・オブジェクト属性の値の設定を参照してください。

    図 57 に、ビジネス・オブジェクト Caesar_Customer を示します。このビジネス・オブジェクトは Create 動詞を持ち、ロケールは en_US であり、各単純属性に値が指定されており、Caesar_Address 子ビジネス・オブジェクトの単一のインスタンスがあります。

    図 57. ビジネス・オブジェクトへのデータの取り込み
  7. 「OK」をクリックします。

要求ビジネス・オブジェクトの送信

ビジネス・オブジェクトを作成またはロードし、属性の値を指定すると、いくつかの方法でそのビジネス・オブジェクトを要求として InterChange Server Express に送信できます。

要求ビジネス・オブジェクトの非同期送信

ソース・コネクターが非同期モードで要求ビジネス・オブジェクトを送信する場合は、応答ビジネス・オブジェクトの取得を予期していません。要求ビジネス・オブジェクトがディスパッチされると、トランザクションにおけるソース・コネクターの役割は終了します。通常、応答ビジネス・オブジェクトは InterChange Server Express によって処理されます。Test Connector のデフォルトのモードは非同期モードです。

ビジネス・オブジェクトを非同期的に送信するには、以下の手順を実行します。

  1. メニュー・バーから「要求」>「モード」>「非同期」を選択します。
    注:
    Test Connector はデフォルトでは「非同期」モードで動作するため、このステップは、以前にコネクターから同期要求を送信している場合にのみ 実行する必要があります。また、各要求を送信する前にモードを設定する必要はありません。
  2. メニュー・バーから「要求」>「送信」を選択します。

コネクター定義で指定したブローカーが InterChange Server Express の場合は、ビジネス・オブジェクト要求がサーバーに送信され、処理されます。

コネクター定義で指定したブローカーが、サポートされるメッセージ・ブローカーか WebSphere Application Server の場合には、ビジネス・オブジェクトは RequestQueue 標準プロパティーで指定しているキューに置かれます。

要求ビジネス・オブジェクトの同期送信

ソース・コネクターが要求ビジネス・オブジェクトを同期的に送信する場合は、宛先アプリケーションが要求を処理した後、統合ブローカーから応答ビジネス・オブジェクトを取得することを予期しています。同期モードでは、Test Connector は、ソース・コネクターの Synchronous Request Queue プロパティーによって指定されたキューに 応答ビジネス・オブジェクトを入れます。Test Connector のデフォルトのモードは非同期モードです。

  1. メニュー・バーから「要求」>「モード」>「同期」を選択し、Test Connector を同期モードに設定します。
  2. メニュー・バーから「要求」>「送信」を選択します。
  3. コネクター定義で指定したブローカーが InterChange Server Express の場合は、「コラボレーションの選択」ダイアログが表示されます。ビジネス・オブジェクトの送信先コラボレーションを 「コラボレーション」ドロップダウン・メニューから選択し、「OK」をクリックします。

処理を選択したコラボレーション・オブジェクトの構成済みポートに ビジネス・オブジェクト要求が送信されます。

バッチ・モードでの要求ビジネス・オブジェクトの送信

バッチ・モードでは、送信する特定のビジネス・オブジェクトの インスタンスの数を Test Connector で指定できます。また、インスタンスごとに固有値に設定する トップレベル・オブジェクトの 1 つの属性 (基本キー属性など) も指定できます。Test Connector は、指定した単一属性の値を増分しながら、指定した回数だけビジネス・オブジェクトをコピーし、各ビジネス・オブジェクトを送信します。このオプションにより、多数のビジネス・オブジェクトを素早く簡単に作成できます。

選択した属性が一致関係の一部として動的相互参照に参加する キー・フィールドである場合は、初期値およびそれに従う値はすべて 固有でなければなりません。さもなければ、相互参照ロジックが失敗し、要求ビジネス・オブジェクトも失敗します。

値が固有であることを確認するには、Relationship Manager を使用するか、以下のように関係参加者の表に対して SQL ステートメントを実行します。

バッチ・モードでビジネス・オブジェクトを送信するには、以下の手順を実行します。

  1. 「BO タイプ」ドロップダウン・メニューから、送信するビジネス・オブジェクトの名前を選択します。
  2. メニュー・バーから「要求」>「バッチを送信」を選択します。
  3. 「バッチ・モード」ウィンドウで、「動詞」ドロップダウン・メニューから、必要な動詞を選択する。
  4. 「BO ロケール」ドロップダウン・メニューから 適切なロケールを選択します。
  5. バッチの各ビジネス・オブジェクト要求で増分する トップレベル・ビジネス・オブジェクトの属性を「属性」リストから選択します。

    通常、選択する属性は、ビジネス・オブジェクトを一意的に 識別する属性 (基本キーなど) にしてください。

  6. 「初期値」フィールドに、増分する属性の開始値を入力します。
  7. 「ビジネス・オブジェクト数」フィールドに、生成および送信するビジネス・オブジェクトの数を入力します。
  8. 「OK」をクリックします。

    Test Connector が、指定した数のビジネス・オブジェクトを生成します。これらのビジネス・オブジェクトでは指定の属性の値がインスタンスごとに増分され、それ以外はすべて同一です。

    処理を選択した InterChange Server Express にビジネス・オブジェクト要求が送信されます。

図 58 では、以下のようなバッチ・モード構成を示しています。

図 58. 「バッチ・モード」ウィンドウ

ビジネス・オブジェクト属性の値の設定

以下のセクションでは、ビジネス・オブジェクト・インスタンスの 単純属性および複合属性の値を設定するためのさまざまな方法について説明します。

単純属性の値の設定

単純属性の値を指定するには、「値」列で 該当するセルをクリックし、値を入力します。

子ビジネス・オブジェクトの追加

子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを追加するには、子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「インスタンスを追加」を選択します。

子ビジネス・オブジェクトを表す属性の横に正符号 (+) が追加され、少なくとも 1 つの子ビジネス・オブジェクト・インスタンスが 存在することが示されます。子オブジェクト属性を展開すると、インスタンスごとに番号付きのエントリーが表示されます。個々のインスタンスの横にも正符号 (+) があるため、個々のインスタンスを展開したり属性の値を設定したりすることができます。

さらに子ビジネス・オブジェクト・インスタンスを追加するには、子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「インスタンスを追加」を選択します。

注:
子ビジネス・オブジェクトを参照する属性の「カード」プロパティーが 値 1 (単一カーディナリティー) に設定されている場合は、子オブジェクトに追加できるインスタンスは 1 つのみです。

子ビジネス・オブジェクトの削除

子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを削除するには、インスタンスを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから 「インスタンスを削除」を選択します。

子ビジネス・オブジェクトのすべてのインスタンスを削除するには、子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「全インスタンスを削除」を選択します。

子ビジネス・オブジェクトの動詞の設定

子ビジネス・オブジェクトの動詞を設定すると、値がビジネス・プロセスに及ぼす影響をテストできます。これは、子オブジェクトの相互参照用を含むロジックの トラブルシューティングを行う場合に役立ちます。

子ビジネス・オブジェクト・インスタンスの動詞を設定するには、その子ビジネス・オブジェクトを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「動詞を設定」を選択します。「動詞の選択」プロンプトが表示されたら、適切な動詞を選択し、「OK」をクリックします。

「応答ビジネス・オブジェクト」ツールバーの使用

宛先コネクターによって受信されたビジネス・オブジェクトの属性は、応答として送信する前に編集できます。この場合には 「応答ビジネス・オブジェクト」ダイアログのツールバーを使用します。このツールバーにあるツールバー・ボタンを使用すると、ビジネス・オブジェクトの値を設定できます。詳細については、応答ビジネス・オブジェクトの編集を参照してください。

ビジネス・オブジェクトの保管

Test Connector でビジネス・オブジェクトを保存すると、将来のテストに使用したり、テクニカル・サポートと共用して問題のトラブルシューティングに使用したり、応答データとして使用したりすることができます。作成したビジネス・オブジェクトや 宛先コネクターの「Test Connector」ウィンドウに 要求として表示されるビジネス・オブジェクトを含め、任意のビジネス・オブジェクトを保管できます。デフォルトでは、ビジネス・オブジェクトは ビジネス・オブジェクト拡張子 (.bo) が付いたファイルに保管されます。

(特にテスト・データ・ファイルの場合は) 各インターフェースまたは各コネクターに専用の サブディレクトリーを持つディレクトリーまたはディレクトリー構造を 作成することをお勧めします。この編成により、必要なファイルを探しやすくなり、テストが効率的になります。さらに、ビジネス・オブジェクトの テスト・データ・ファイルにはそのビジネス・オブジェクト定義と 同じ名前を付けることをお勧めします。

要求ビジネス・オブジェクトの保管

要求として作成したビジネス・オブジェクト・インスタンスを保管するには、以下の手順を実行します。

  1. 保管するビジネス・オブジェクトを選択してください。
  2. メニュー・バーから「編集」>「ビジネス・オブジェクトを保管」を選択します。
  3. 適切なディレクトリーにナビゲートし、「ファイル名」フィールドにファイルの名前を指定します。
  4. 「保管」をクリックします。

応答ビジネス・オブジェクトの保管

Test Connector の宛先インスタンスによって受信され、応答として送信されるビジネス・オブジェクト・インスタンスを保管するには、以下の手順を実行します。

  1. 「ビジネス・オブジェクト要求リスト」ペインで ビジネス・オブジェクト・インスタンスを選択します。
  2. メニュー・バーから「要求」>「応答を編集」を選択します。
  3. 「ビジネス・オブジェクトを保管」をクリックします。
  4. 適切なディレクトリーにナビゲートし、「ファイル名」フィールドにファイルの名前を指定します。
  5. 「保管」をクリックします。

ビジネス・オブジェクトのロード

ファイルに保管したビジネス・オブジェクトをロードするには、以下の手順を実行します。

  1. Test Connector のメニュー・バーから 「編集」>「ビジネス・オブジェクトをロード」を選択します。
  2. ビジネス・オブジェクトのテスト・データ・ファイルにナビゲートして開きます。
  3. 「新規インスタンス」ダイアログが表示されたら、「名前を入力してください」 フィールドにインスタンスの名前を入力します。
  4. 「OK」をクリックします。

ビジネス・オブジェクトの削除

Test Connector からビジネス・オブジェクトを削除するには、メニュー・バーから「編集」>「ビジネス・オブジェクトを削除」を選択します。

注:
このアクションでは Test Connector から ビジネス・オブジェクトが削除されるのみです。ビジネス・オブジェクト定義に対する コネクターのサポートは削除されません。

要求ビジネス・オブジェクトの受け入れ

要求としてビジネス・オブジェクトを送信すると、トランザクションが失敗しなかった場合は、インターフェースの宛先コネクターをエミュレートしている Test Connector インスタンスの 「ビジネス・オブジェクト要求リスト」ペインに ビジネス・オブジェクトが表示されます。

要求ビジネス・オブジェクトを受け入れると、必要に応じて編集できます。詳細については、応答ビジネス・オブジェクトの編集を参照してください。

応答ビジネス・オブジェクトの処理

応答ビジネス・オブジェクトは、インターフェースでビジネス・オブジェクト要求の宛先となる コネクターをエミュレートしているときに Test Connector から送信する ビジネス・オブジェクトです。要求ビジネス・オブジェクトの処理は、ビジネス・オブジェクト・インスタンスの編集 およびブローカーへの応答の送信から構成されます。

応答ビジネス・オブジェクトの編集

Test Connector の宛先インスタンスで ビジネス・オブジェクト要求を受信したときには、一般に属性の値を編集します。例えば、関係に参加する基本キー属性の固有値を指定したり、他の属性の値を変更してビジネス・オブジェクトの実際の値に応じて応答を変える マップまたはコラボレーション・ロジックをテストしたりすることができます。ビジネス・オブジェクト属性の値を設定するには、以下の手順を実行します。

  1. 「ビジネス・オブジェクト要求リスト」ペインで ビジネス・オブジェクト・インスタンスを選択します。
  2. メニュー・バーから「要求」>「応答を編集」を選択します。
  3. 以下の操作を実行し、ビジネス・オブジェクトの属性を編集します。

応答ビジネス・オブジェクトの送信

要求ビジネス・オブジェクトを受け入れたら、必要に応じてビジネス・オブジェクトを編集し、応答として送信します。

表 27 に、Test Connector の応答オプション、および C++ コネクターと Java コネクターの両方における対応するコネクター戻りコードを示します。

表 27. Test Connector の応答タイプおよびコネクター戻りコード
Test Connector の応答タイプ C++ コネクターの戻りコード Java コネクターの戻りコード
成功 BON_SUCCESS SUCCESS
失敗 BON_FAIL FAIL
複数のヒット BON_MULTIPLE_HITS MULTIPLE_HITS
内容による検索に失敗 BON_FAIL_RETRIEVE_BY_CONTENT RETRIEVEBYCONTENT_FAILED
検出なし BON_BO_DOES_NOT_EXIST BO_DOES_NOT_EXIST
重複する値 BON_VALDUPES VALDUPES

要求ビジネス・オブジェクトに応答するには、以下の手順を実行します。

  1. 「ビジネス・オブジェクト要求リスト」ペインでビジネス・オブジェクトを選択します。
  2. メニュー・バーから「要求」>「応答」を選択します。
  3. 「応答」サブメニューから項目を選択します。

ビジネス・オブジェクト・インスタンスの比較

Test Connector は、同じタイプの 2 つのビジネス・オブジェクトを比較し、値が異なる属性を表示できます。この機能を使用すると、トランザクション実行の異なる時点におけるビジネス・オブジェクトに対する変更を 表示させることができます (例えば、統合ブローカーに送信されたビジネス・オブジェクトを、統合ブローカーが更新する前と後で比較できます)。2 つのビジネス・オブジェクトを比較するには、以下の手順を実行します。

  1. 要求ビジネス・オブジェクトの作成または ビジネス・オブジェクトのロードの 手順に従い、要求ビジネス・オブジェクト・インスタンスを作成します。
  2. 「ビジネス・オブジェクト要求リスト」ペインで 要求ビジネス・オブジェクト・インスタンスと比較する 応答ビジネス・オブジェクト・インスタンスを選択します。
  3. メニュー・バーから「編集」>「ビジネス・オブジェクトを比較」を選択します。

    Test Connector によって「ビジネス・オブジェクトの比較」ウィンドウが開かれ、2 つのビジネス・オブジェクトで値が異なる属性が表に表示されます。図 59 に、2 つのビジネス・オブジェクト・インスタンスの比較を示します。

    図 59. 「ビジネス・オブジェクトの比較」ウィンドウ
  4. 「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。

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