遷移リンクは、アクティビティー・ダイアグラムの制御フローを示します。遷移リンクは、アクティビティーが発生するノード (アクション、決定、サブダイアグラム、イテレーターなど) を接続し、これらのノードを開始シンボルと完了シンボルに接続します。遷移リンクには、ビジネス・オブジェクト・インスタンス値をモニターするビジネス・オブジェクト・プローブを組み込むことができます。
1 つのノードが変数を設定し、別のノードがこの変数にアクセスすると、データがノード間で渡されます。アクティビティー・ダイアグラムのデータ・フロー・メカニズムは、他のコードが使用する変数がコードによって設定されるという点で、クラスやプログラムのメカニズムに似ています。このモデルは、リンクに沿ったデータの移動を示す、イベント渡しモデリング・ツールによって使用されるモデルとは異なります。
Process Designer Express には、直交リンクとフリー・フォーム・リンクの両方があります。
直交リンクは、可能ならいつでも使用できます。フリー・フォーム・リンクを使用するのは、直交リンクから目的の形状が得られない場合にしてください。リンクを右マウス・ボタンでクリックし、リンクの直交に関するコンテキスト・メニューを表示します。このコンテキスト・メニューを使用して、リンクの直交とフリー・フォームを切り替えます。
表 36 に、異なるノードが使用できる入力および出力リンクの数を示します。
表 36. ノード・タイプ別に使用できる入力および出力リンク
ノード・タイプ | 入力リンク | 出力リンク |
---|---|---|
アクション | 無制限 | 1 |
決定 | 1 | 7 |
サブダイアグラムまたはイテレーター | 無制限 | 1 |
遷移リンクを作成するには、接続する 2 つのシンボルがワークスペース上で使用可能である必要があります。
遷移リンクをアクティビティー・ダイアグラムに追加する手順は、以下のとおりです。
Process Designer Express では、シンボル間で有効なリンクを設定できます。リンクが無効な 2 つのシンボルを接続することはできません。Process Designer Express では、無効な遷移リンクを作成することはできません。この場合、エラー・メッセージは表示されません。
Process Designer Express では、シンボルに遷移リンクを設定しようとすると、この試みが有効かどうか示されます。
シンボルの端にマウス・ポインターを (リンクを使用して) 置くと、この接続が有効であれば、マウス・ポインターが丸で囲まれた正符号 (+) に変わります。これをクリックすると、シンボルにリンクを設定できます。この接続が無効な場合は、マウス・ポインターは正符号には変わらず、リンクを設定することはできません。
遷移リンクは、Escape (ESC) キーを押すことにより、打ち切る (取り消す) ことができます。ESC キーを押すたびに、接続線の最後の線分が元に戻されます。アクティビティー・ダイアグラムに有効なシンボルがない接続を取り消す場合、ESC キーを使用するのが唯一の方法です。
例えば、ダイアグラムに開始シンボルと終了シンボルの 2 つのシンボルを設定するとします。次に、遷移リンクを選択し、開始シンボルをクリックします。これにより、開始シンボルに接続された遷移リンク線分が表示されます。ただし、この遷移リンク線を接続できるシンボルまたはポートはありません。この場合、接続アクティビティーを取り消して編集セッションを続ける唯一の方法は、ESC キーを押す方法です。
遷移リンクがアクティビティー・ダイアグラムに表示されたら、「Link Properties」ダイアログでそのプロパティーを定義できます (図 34 を参照)。
図 34. 遷移リンクの「Link Properties」ダイアログ・ボックス
「Link Properties」ダイアログでは、ダイアログの上部に次のフォーマットで名前が表示された状態で遷移リンクが表示されます。
LinkTransition_UID
ここで、UID はリンクの固有 ID です。
遷移リンクのプロパティーには、ラベル、定義、およびビジネス・オブジェクト・プローブの有無が含まれます。
遷移リンク・プロパティーを定義する手順は、以下のとおりです。
このダイアログは、以下のいずれかの方法で表示できます。
「Link Properties」ダイアログが表示されます。図 34 に、「Link Properties」ダイアログのサンプルが示されています。
リンク・ラベルの詳細については、"リンクのラベル付け"を参照してください。
リンク・ラベルを使用することで、アクティビティー・ダイアグラムを読みやすくすることができます。フローチャートで決定ノードにラベルを付けるときと同じ方法で決定ロジックを使用するようにしてください。リンク・ラベルに名前を論理的に付けることにより、シナリオ・フローを説明できます。以下に例を示します。
遷移リンクにラベルを付けるには、「Link Properties」ダイアログの「ラベル」ボックスにリンク・ラベルのテキストを入力します。このラベルは、テキスト・ボックスとまったく同じようにアクティビティー・ダイアグラムに表示されます。ラベルが他のリンクに重ならないようにラベルを複数の行に分割するには、テキスト・ボックスで改行を使用します。
ビジネス・オブジェクト・プローブは、実行時にビジネス・オブジェクト・インスタンスの値をモニターします。プローブはアクティビティー・ダイアグラム作成時に遷移リンクに配置され、実行時に System Manager の「コラボレーション・プロパティー」ダイアログ・ボックスで活動化または非活動化されます。
デフォルトでは、ビジネス・オブジェクト・プローブは赤い四角としてアクティビティー・ダイアグラムの遷移リンク上に表示されます。図 35 では、デフォルトの分岐リンクにビジネス・オブジェクト・プローブが含まれています。
図 35. ビジネス・オブジェクト・プローブのある遷移リンク
ビジネス・オブジェクト・プローブを使用すれば、「テンプレート定義」ウィンドウの「ポートおよびトリガー・イベント」タブで指定されたビジネス・オブジェクトをモニターできます。ただし、以下の例外があります。
ビジネス・オブジェクトごとにモニターしたい特定の属性を選択できます。これらの属性のインスタンス値はすべて、System Monitor により作成されるレポートに記述されます。
ビジネス・オブジェクト・プローブを追加するタスクは、以下のとおりです。
遷移リンクを切断または再接続したり、遷移線分の外観を変更できます。
切断または再接続により、遷移リンクを移動できるようになります。