WebSphere Business Integration システムには、ビジネス・オブジェクトを定義するためのユーティリティーと、それらのビジネス・オブジェクトの SAP アプリケーションでの処理をサポートするために必要なメタデータを定義するユーティリティーの 2 つが用意されています。
SAPODA は、Hierarchical Dynamic Retrieve Module の個別ビジネス・オブジェクト定義を生成します。このユーティリティーを使用して階層型ビジネス・オブジェクト定義を作成する場合は、生成された親ビジネス・オブジェクト定義と子ビジネス・オブジェクト定義の間の関係を手作業で指定する必要があります。
SAPODA を使用してこのモジュールのビジネス・オブジェクト定義を生成するには、以下のステップを実行します。
SAPODA の詳細については、付録 C, SAPODA を使用したビジネス・オブジェクト定義の生成を参照してください。Business Object Designer Express の起動および Business Object Designer を使用したビジネス・オブジェクト定義の手動での変更については、「ビジネス・オブジェクト開発ガイド」を参照してください。
SAPODA は、指定されたすべてのテーブルのビジネス・オブジェクト定義を生成します。生成が完了した後で、Business Object Designer Express ですべてのテーブルを開いて編集することができます。
SAPODA が生成した複数の個別ビジネス・オブジェクト定義から 1 つの階層型ビジネス・オブジェクト定義を作成するには、以下のステップを実行します。
例えば、トップレベル・ビジネス・オブジェクトが SAP_Customer であるとします。このビジネス・オブジェクトは、Customer_KUNNR という単一のキーを持っています。SAPODA では、この属性に対して次に示すアプリケーション固有の情報が指定されています。
TN=KNA1:CN=KUNNR
例えば、SAP_Customer の直接の子であるビジネス・オブジェクトには、多くの場合に Customer_KUNNR 属性が含まれています。Customer_KUNNR のアプリケーション固有の情報内で、次の行を指定します。
TN=KNVI:CN=KUNNR:FK=..Customer_KUNNR
外部キーの指定の詳細については、表 46 を参照してください。
例えば、SAP_Customer_ADRC は親と同じ非キーを持つ 2 次レベル・ビジネス・オブジェクトです。SAPODA は、SAP_Customer 内の非キー・フィールドである Address_number_ADDRNUMBER 属性を使用して、このビジネス・オブジェクト定義を生成します。
この属性のアプリケーション固有の情報内で、外部キー関係を次のように指定します。
TN=ADRC:CN=ADDRNUMBER:FK=..Address_ADRNR
WebSphere Business Integration システムでは、ユーザーはビジネス・オブジェクトと、それらのビジネス・オブジェクトの SAP アプリケーションでの処理をサポートするために必要なメタデータを定義できます。Advanced Outbound Wizard は、SAP Display Transaction をステップごとにたどっていく間に、ユーザーが行ったアクションを記録および解釈します。
このウィザードでは、Retrieve 動詞を使用する、フラットなビジネス・オブジェクトおよび階層型ビジネス・オブジェクトの定義をサポートします。
Advanced Outbound Wizard を使用してこのモジュールのビジネス・オブジェクト定義を生成するには、以下のステップを実行します。
「CW Hierarchical Outbound Wizard」画面が表示されます。ビジネス・オブジェクトが、画面上部に閉じた状態で表示されます。
このウィザードでは、各フィールドの長さがフィールド名の右側に表示されます。フィールド長の右側には、累積フィールド長が表示されます。累積の長さが 512 バイトを超えると、フィールドには赤い X マークが付けられ、フィールドの表示が黄色から赤に変わります。デフォルトでは、この長さが 512 バイトを超えると、このウィザードはビジネス・オブジェクトへの属性の追加を停止します。必要な属性がデフォルトで除去される場合、この属性を組み込むには、以下の方法があります。
「Download Object Definition」画面が表示されます。
このウィザードで作成されるビジネス・オブジェクト名および属性名の詳細については、ビジネス・オブジェクト名を参照してください。
Advanced Outbound Wizard は、ビジネス・オブジェクト定義を生成する際に、SAP トランザクションに関係するすべてのテーブルのリストを作成します。テーブルのリストを表示するには、ウィザード画面の最上部にある「Show Tables」ボタンをクリックします。 表 48 に、SAP_Customer の生成に使用されたテーブルを示します。
表 48. SAP_Customer の生成に使用されるテーブルの例
名前 | テーブルの説明 |
---|---|
TFDIR | 機能モジュール |
KNA1 | カスタマー・マスターの一般データ |
T001 | 会社コード |
KNB1 | カスタマー・マスター(会社コード) |
KNVV | カスタマー・マスター売上データ |
TOBJ_OFF | 使用禁止されたオブジェクト |
ADRC | アドレス (セントラル・アドレス管理) |
ADRCT | アドレス・テキスト (セントラル・アドレス管理) |
ADRG | 他のアドレス・グループへのアドレスの割り当て (セントラル・アドレス) |
ADRV | リストを使用したアドレス (セントラル・アドレス管理) |
T002 | 言語キー |
TBE01 | ビジネス・トランザクション・イベント: パブリッシュ & インターフェースのサブスクライブ |
TBE31 | アプリケーション・コンポーネント (パブリッシュ & サブスクライブ・インターフェース別) |
TBE32 | パートナー機能モジュール (パブリッシュ & サブスクライブ・インターフェース別) |
TBE34 | カスタマー機能モジュール (パブリッシュ & サブスクライブ・インターフェース別) |
T100 | メッセージ |
DOKIL | ドキュメンテーション・テーブル DOKH のインデックス |
KNVI | カスタマー・マスター税指標 |
TVKWZ | 組織の単位: 使用可能なプラント (販売組織別) |
T001W | プラント/支店 |
KNVL | カスタマー・マスター・ライセンス |
TSADVC | インターナショナル・アドレス・バージョンのカスタマイズ |
TMODU | 相互参照フィールド名 - MODIF1 |
TCONV_ADR | 旧アドレス・フィールドの CAM アドレス・フィールドへの変換 |
TSAD7 | アドレス・グループ (セントラル・アドレス管理) |
T005T | 国名 |
T005U | 税: 地域キー: テキスト |
TZONT | カスタマー: 地域ゾーン・テキスト |
TSAD7T | アドレス・グループの記述 (セントラル・アドレス管理) |
TOJTD | オブジェクト・タイプのカスタマイズ |
TOJTB | ビジネス・オブジェクト・リポジトリー:基本データ |
このウィザードでは、複数のテーブルの階層や、これらのテーブル間の関係を判断するために、これらのテーブルを 3 回パススルーします。それにより得られた情報は、ビジネス・オブジェクト属性のアプリケーション固有情報で外部キー関係を指定するために使用されます。属性には、SAP のデータ・ディクショナリー内のフィールドの記述に基づいて、ユーザーの言語で名前が付けられます。
ウィザードは、3 回のパススルーで以下の動作を実行します。
通常このテーブルは、キー・フィールドを 1 つのみ持つ、ウィザードが最初に見つけたテーブルです。
通常、いくつかのテーブルが、その他の複数のキーのほかに、親のキー・フィールドを格納しています。孫テーブルは、通常、その親よりも多くのキーを格納しています。同一のキーを持つ複数のテーブルは、同じ親を持つ兄弟 (ピア) です。
ウィザードは、子の基本キーに一致する親の非キー・フィールドを見つけ出すことで、関係を確立します。
表 48 には、Display-Customer テーブルのリストを上記のように 3 回パススルーした結果が、次のように示されています。
これは、Customer_KUNNR という単一のキーを持っています。この属性に対しては、次に示すアプリケーション固有の情報が指定されています。
TN=KNA1:CN=KUNNR
次に示す 3 つのキー・フィールドが識別され、そのうち 1 つは親のキー・フィールドとして識別されています。
Customer_KUNNR 属性のアプリケーション固有情報では、親のキー・フィールドに対する外部キー関係が、次のように指定されています。
TN=KNVI:CN=KUNNR:FK=..Customer_KUNNR
外部キーの指定の詳細については、表 46 を参照してください。
次に示す 3 つのキー・フィールドが識別され、そのうち 1 つは親の非キー・フィールドとして識別されています。
Address_number_ADDRNUMBER 属性のアプリケーション固有情報では、親の非キー・フィールドに対する外部キー関係が、次のように指定されています。
TN=ADRC:CN=ADDRNUMBER:FK=..Address_ADRNR
重要: このウィザードで生成された定義に対しては、検査を行ってください。ウィザードの作業のほとんどはビジネス・オブジェクト定義を作成する際に実行されますが、生成された定義は、使用する実装でのニーズを正確に満たすことはできません。テーブル関係には変則的な点が多いため、ウィザードが誤った判断をする場合もあります。例えば、2 つのテーブルが同じキーのセットを持っており、ある子テーブルが同じキーのセットと、その他に 1 つのキーを持っていた場合、ウィザードはこの子を最初のテーブルに割り当てます。