ABAP Handler のアップグレードは、2 段階のステップで行います。
このセクションでは、最初のステップでの処理の詳細について説明します。例えば、ビジネス・オブジェクトの ABAP Handler のパッケージ化や、コンパイルで発生する可能性のある競合ポイントについてのガイドラインを示します。第 2 のステップについては、このセクションでは取り上げません。オブジェクトの機能の拡張方法の詳細については、ABAP Extension Module のビジネス・オブジェクトの開発を参照してください。
重要: ビジネス・オブジェクトをアップグレードすると、そのオブジェクトが元は IBM で開発されたものであっても、カスタム作業と見なされます。
ABAP Handler のアップグレードは、次のような場合に行います。
アップグレード手順は、基本的には同じです。唯一の違いは、以前に実装したビジネス・オブジェクトをアップグレードする場合には、次の手順として、そのビジネス・オブジェクトをトランスポート・ファイルにパッケージする必要がある点です。
アダプター提供の ABAP Handler を、SAP R/3 のあるバージョンから別のバージョンにアップグレードするには、以下の手順を行います。
各ビジネス・オブジェクトについて何を組み込む必要があるかについては、アダプター提供のトランスポート・ファイルをテンプレートとして使用してください。組み込む必要があるものとしては、機能グループ、IDoc 定義、Dynamic Retrieve および Dynamic Transaction データなどがあります。
コネクターの ABAP コンポーネントで行ったカスタム作業は、コネクターの新しい SAP R/3 ABAP コンポーネントに、手動で適用する必要があります。例えば、IDoc Handler や Dynamic Transaction などのアダプター提供の ABAP Handler に対して、すべての変更を手動で適用する必要があります。
変更が行われている場合は、カスタム作業をリファレンスとして使用するために、トランスポート・ファイルとしてではなく、テキスト・ファイルとしてダウンロードすることで、競合を回避できます。
SAP R/3 バージョン 3.x 環境や IDoc を使用していない場合は、このステップをスキップしてください。
BASIS 管理者は、トランスポートのために利用できるすべてのオーバーライド・コードを使用する必要があります。これにより、ビジネス・オブジェクトはコンパイル・エラーが発生した場合でも環境内にインポートされます。ビジネス・オブジェクトをインポートする前に、BASIS 管理者はインポート処理の間にアップグレード担当者が不整合に遭遇する可能性があることに注意する必要があります。
構文エラーを見つけ出す最も簡単な方法は、各ビジネス・オブジェクトに関連付けられた各機能グループを生成し、一度に 1 つずつエラーを修正していくことです。すべての機能グループが正常にコンパイルされるまで、このプロセスを繰り返します。トリガー・プログラムなどのような、機能グループに関連付けられていないその他のプログラムも必ず生成してください。
SAP R/3 バージョン 4.x にアップグレードする場合は、4.x の ABAP Handler が IBM 製品のネーム・スペース /CWLD/ を使用することに注意してください。SAP R/3 バージョン 4.x をサポートするコネクターにアップグレードする場合の特別な考慮事項については、Connector for SAP R/3を参照してください。
ユーザー出口の正確な位置が以前とは異なっている場合があります。コードのキー SAP 行を検索することで、最も近い値を推定することができます。
アップグレードに関するすべての問題を解決するには、完全なシステム・テストを行う必要があります。適切なトランザクションやプログラムを実行し、ビジネス・オブジェクトを SAP システムに送信して、イベント検出機構をテストします。その他の問題を識別するには、SAP システム内のコネクターのログが利用できます。
ビジネス・オブジェクトのテストの詳細については、ABAP Extension Module のビジネス・オブジェクトのテストを参照してください。