コネクター・ログ・ファイルの管理

SAP アプリケーションのコネクター・ログには、Create または Update 操作などの、コネクターに関連するすべてのイベントおよびエラーや、あるいはイベント・キューに到着したイベントが、発生日時の新しいものから順に表示されます。ログ・ファイルの各ログ・エントリーには、日付、時刻、およびイベントがリストされます。ログ・ファイルは、問題のトラブルシューティングに取り掛かるための、良い手掛かりになります。

ログ・オプションの設定

グローバル設定およびユーザー設定は、表示するエントリーの数およびデータのタイプや、コネクター・ログ・ファイルに記録する詳細レベルに応じて設定できます。IBM CrossWorlds Station を使用してコネクターのロギング・レベルを設定するには、「Configuration」タブをクリックし、「Logging Level」から 0 から 3 のレベルを選択します。

ロギングには、次の 4 つのレベルがあります。

注:
ロギング・レベル 0 はお勧めできません。実動システムでは、ロギング・レベル 1 を推奨します。開発システムまたはデバッグ・システムでは、ロギング・レベル 3 を推奨します。

ログの表示

最近に処理したオブジェクトと、それに関連する詳細を表示するには、コネクター・ログを表示します。SAP アプリケーションでコネクター・ログを表示するには、以下の手順を行います。

  1. IBM CrossWorlds Station に移動します (トランザクション /n/CWLD/HOME)。
  2. 「Management」タブをクリックし、次に「Log」ボタンをクリックします。

ログ・エントリーには、日付、時刻、およびイベントが表示されます。各エントリーは、次のように色分けされています。

緑 -- 正常なイベントを示します。

黄 -- 警告メッセージを示します。

赤 -- エラーを示します。

白 -- アーカイブされたオブジェクトを示します。

マジェンタ (SAP アプリケーション GUI バージョン 4.6 以前) またはオレンジ (SAP アプリケーション GUI バージョン 4.6 以降) で表示されたエントリーでは、イベントの開始および終了に関する情報が提供されます。任意の矢印をクリックすると、そのビジネス・オブジェクトに関する SAP の表示トランザクションにリンクします。

ログ詳細のフィルター操作

各イベントについて表示される詳細の量を変更できます。表示レベルを変更するには、必要な詳細のレベルに応じて、「More Details」または「Fewer Details」ボタンをクリックします。

表示されるデータの量が現在必要としている量よりも多い場合は、表示される情報を限定します。例えば、ビジネス・オブジェクトをユーザー、名前、日付、またはログ・エントリー番号で表示できます。

  1. 「Filter Data」ボタンをクリックします。
  2. ログ・ファイルにフィルターを掛けるための適切なフィールドに入力します。
  3. 「Filter」をクリックします。

「Configuration」タブで、一度に表示されるログ・エントリーの数、およびデフォルトのロギング表示レベルについて、ユーザー設定を設定できます。

アーカイブされたオブジェクトの再処理

失敗した、あるいはアーカイブされたオブジェクトを、コネクター・ログ・ファイルから再処理できます。失敗したオブジェクトとは、正常に処理できなかった SAP 内のオブジェクトのことです。アーカイブされたオブジェクトとは、処理されずにアーカイブされるように構成したオブジェクトのことです。どちらの場合にも、コードの特定の位置にブレークポイントを設定することで、オブジェクトを手動でステップごとにたどっていくことができます。Dynamic Transaction および IDoc オブジェクトについては、トランザクションの画面をステップごとにたどることができます。

ブレークポイントは、以下の位置の直前に設定できます。

Dynamic Transaction および IDoc オブジェクトでは呼び出しトランザクションが使用されるため、これらのオブジェクトに対する画面処理を表示できます。表示には、以下のオプションがあります。

Dynamic Retrieve および BAPI オブジェクトでは、画面処理は使用されません。

アーカイブ対象オブジェクトの構成

デフォルトでは、いずれのアーカイブ・オプション (AX、または N) も動詞のアプリケーション固有情報内に指定されていない ABAP Extension Module ビジネス・オブジェクトは、障害時にアーカイブされます。つまり、処理によって 0 または 21 以外の戻りコードが発生した場合、ビジネス・オブジェクトは、 /cwld/obj_arc_h 表および /cwld/obj_arc_i 表にアーカイブされます。

重要:
これらのアーカイブ表は次第にサイズが大きくなるため、データベースの全体的なパフォーマンスに影響を与えないように、内容を定期的に削除またはアーカイブする必要があります。

アーカイブ動作を変更する場合は、ビジネス・オブジェクトの動詞レベルで行います。つまり、各ビジネス・オブジェクトについて、アーカイブ活動は動詞によって変化します。 オブジェクトがアーカイブされる方法を指定するには、動詞のアプリケーション固有情報内で、以下の構文を使用します。

AppSpecificInfo = connectormodule.class, ArchiveParameter: ABAPhandler
 

ArchiveParameter の説明を以下に示します。

A
オブジェクトが最初に SAP アプリケーションに入ったときにアーカイブします。

N
オブジェクトのアーカイブを抑止します。失敗した場合でも、オブジェクトはアーカイブされません。

X
即時にオブジェクトをアーカイブします。ログは、処理が終了したことを知らせる警告メッセージで更新されます。成功コードがコネクターに戻されるので、要求側統合ブローカーは正常に処理を行います。

一度に複数のパラメーターを指定できます。A および X アーカイブ・パラメーターを指定すると、IBM CrossWorlds Station 内の再処理ツールへのリンクの付いたエントリーがログ表に追加されます。アーカイブされたオブジェクトの状況は、アーカイブされたビジネス・オブジェクトのエントリーの下の行に入力されます。

次に示す例では、Dynamic Transaction オブジェクトをアーカイブし、ログ表にエントリーを追加します。

AppSpecificInfo = sap.sapextensionmodule.VSapBOHandler,
 A:/CWLD/DYNAMIC_RETRIEVE 
 

次に示す例では、IDoc オブジェクトの SAP4_Order Create を SAP アプリケーションに入った時点でアーカイブし、次にそのオブジェクトの処理を停止します。

AppSpecificInfo = sap.sapextensionmodule.VSapBOHandler,
 X:/CWLD/ORDER:ORDER_C1
 

注:
実稼働環境では、ビジネス・オブジェクトとそれらのすべての動詞に対して、N パラメーターだけを使用してください。統合ブローカーが WebSphere InterChange Server Express である場合は、System Manager を使用するのは、ビジネス・オブジェクトの再処理、および再サブミットのときだけにしてください。ご使用の SAP アプリケーション内で、IBM CrossWorlds Station の再処理ツールは使用しないでください

reprocessing tool の使用

Reprocessing Tool では、ABAP Debugger を使用して、SAP の WebSphere ビジネス・オブジェクトを再処理することができます。

重要: このツールを使用するのは、開発環境のみにする必要があります。

アーカイブされたオブジェクトを再処理するには、以下の手順を行います。

  1. SAP R/3 アプリケーションで、コネクターのログに移動します。
  2. アーカイブされたオブジェクトのエントリーをダブルクリックします。

    「CW reprocess objects from archive tables」ウィンドウが表示されます。その「Archived Object Number」フィールドには、オブジェクト番号が取り込まれます。

  3. 設定するブレークポイントについて、「Set Breakpoint」チェック・ボックスをクリックします。必要な場合には、複数のブレークポイントを設定できます。
  4. Call Transaction を使用するオブジェクトについては、画面処理オプションを選択できます。
  5. 「Execute」をクリックします (F8)。

    ABAP Debugger が、アーカイブされたオブジェクトとともに呼び出されます。

  6. ABAP Debugger を使用して、オブジェクトをステップごとにたどっていきます。

IBM CrossWorlds Station の Reprocessing Tool に手動でアクセスするには、「ツール」タブで「Reprocess Object」をクリックします。表示されたフィールドに、適切な値を入力します。

アーカイブされたオブジェクトの削除

アーカイブされたオブジェクトを、SAP R/3 アプリケーションからアダプター提供の Delete Archive Objects ツールを使用して削除することができます。このツールでは、アーカイブされたオブジェクトを手動で削除できます。アーカイブされたオブジェクトを削除すると、コネクター・ログにあるそのオブジェクトのエントリーは、新しい状況で更新されます。オブジェクトは物理的に削除され、オブジェクトの状況だけが参照のために保持されます。

IBM CrossWorlds Station (トランザクション /n/CWLD/HOME) を使用して、アーカイブされたオブジェクトを削除するには、以下の操作を実行します。

  1. 「Maintenance」タブで、「Del Object Archive」ボタンをクリックします。
  2. 削除するオブジェクトを指定します。オブジェクトは、以下の基準に基づいて削除できます。
  3. 「Execute」をクリックします (F8)。

オブジェクトを自動的に削除するようにアーカイブ・オブジェクト・プログラムをスケジュールするには、BASIS 管理者に連絡し、レポート /CWLD/DELETE_OBJECT_ARCHIVE をスケジュールします。

イベント・ログの切り捨てのセットアップ

SAP はコネクターのアクティビティーのイベント・ログを保持しています。このログは、時間の経過とともに、多くのディスク・スペースを占有するようになる可能性があります。ディスク・スペースを節約するために、このログを自動的に切り捨てるように設定できます。自動切り捨てを設定すると、デフォルトでは、SAP は切り捨てられたエントリーを、このジョブをセットアップしたユーザーのデフォルト・プリンターに出力するため、印刷オプションを制御する必要が生じる場合があります。

ログを手動で切り捨てるには、以下の手順を行います。

  1. IBM CrossWorlds Station に移動します (トランザクション /n/CWLD/HOME)。
  2. 「Maintenance」タブをクリックします。
  3. 「Online」セクションで、「Delete Log」をクリックします。
  4. 該当するフィールドに入力します。
  5. 「Execute」ボタンをクリックします (F8)。

イベント・ログの自動切り捨てをスケジュールするには、切り捨てオプションをセットアップし、BASIS 管理者に連絡してレポート /CWLD/DELETE_LOG をスケジュールします。

重要:
このレポートは、定期的に実行することをお勧めします。

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