マップの作成: 基本手順

表 13 に、新規マップを作成するための基本手順の概要を示します。

表 13. 新規マップの作成手順
作成手順 詳細情報の参照先
1. 「新規マップ」ウィザードを使用して、新しいマップ・ファイルを作成します。新規マップ用のプロジェクト、ソース・ビジネス・オブジェクト、宛先ビジネス・オブジェクト、および新規マップの名前を指定します。 "マップ定義の作成手順".
2. 各宛先ビジネス・オブジェクトに動詞を設定します。ほとんどの場合、宛先ビジネス・オブジェクトの動詞は、ソース・ビジネス・オブジェクトの動詞と同じになります。動詞の値が常に特定の値になるように設定することもできます。 "宛先ビジネス・オブジェクトの動詞の設定".
3. マップの対象となる宛先属性ごとに変換ステップを指定します。 変換ステップの指定方法は、必要とする変換の種類によって異なります。 "標準の属性変換の指定".
4. 宛先属性についてのコメントを指定します。この情報はオプションですが、これを指定しておくと、Map Designer Express でのマップ情報が大幅に読みやすくなります。 "属性のコメント・フィールドでのコメントの設定".
5. マップを保管します。 "マップの保管".
6. 完了の確認、マップの検証、およびマップのコンパイルを行います。 完全性のチェックマップの検証、および マップのコンパイル
7. マップをテストし、デバッグします。 マップのテスト

マップ定義の作成手順

Map Designer Express には、マップ定義の作成を支援する「新規マップ」ウィザードがあります。「新規マップ」ウィザードを使用してマップ定義を作成するには、次のステップを実行します。

  1. 以下のいずれかの方法で、「新規マップ」ウィザードを始動します。

    結果: Map Designer Express が「新規マップ」ウィザードの最初のウィンドウを表示します。

    図 10. 「新規マップ」ウィザードの最初のウィンドウ


  2. リスト・ボックスから、作成するマップ用のプロジェクトの名前を選択します。
  3. そのマップのソース・ビジネス・オブジェクトとして使用するビジネス・オブジェクトを選択します。 必要なビジネス・オブジェクトの「使用」列内をクリックすることによって、1 つ以上のソース・ビジネス・オブジェクトを選択することができます。さらに「次へ」をクリックして先へ進みます。

    図 11. ソース・ビジネス・オブジェクトの選択


    ヒント: 特定のビジネス・オブジェクトを見つけるには、「検索」フィールドにそのオブジェクトの名前を入力してください。上下矢印を使用すると、ビジネス・オブジェクト・リストの中をスクロールします。「次へ」をクリックして先へ進みます。

    「新規マップ」ウィザードでは、ソース・ビジネス・オブジェクトの指定は必須ではありません。ソース・ビジネス・オブジェクトを選択せずに「次へ」をクリックし、このビジネス・オブジェクト定義の指定を後にすることができます。後で、「ダイアグラム」タブのマップ・ワークスペースで指定することができます。詳細については、"ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの作成"を参照してください。

    注:
    System Manager 内でビジネス・オブジェクトの追加または削除を行うと、ビジネス・オブジェクト定義リストが動的に更新されます。
  4. そのマップの宛先ビジネス・オブジェクトとして使用するビジネス・オブジェクトのタイプを選択します。 必要なビジネス・オブジェクトの「使用」列内をクリックすることによって、1 つ以上の宛先ビジネス・オブジェクトを選択することができます。さらに「次へ」をクリックして先へ進みます。

    図 12. 宛先ビジネス・オブジェクトの選択

    ヒント: 特定のビジネス・オブジェクトを見つけるには、「検索」フィールドにそのオブジェクトの名前を入力してください。上下矢印を使用すると、ビジネス・オブジェクト・リストの中をスクロールします。「次へ」をクリックして先へ進みます。

    「新規マップ」ウィザードでは、宛先ビジネス・オブジェクトの指定は必須ではありません。宛先ビジネス・オブジェクトを選択せずに「次へ」をクリックし、このビジネス・オブジェクト定義の指定を後にすることができます。後で、「ダイアグラム」タブのマップ・ワークスペースで指定することができます。詳細については、"ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの作成"を参照してください。

    注:
    System Manager 内でビジネス・オブジェクトの追加または削除を行うと、ビジネス・オブジェクト定義リストが動的に更新されます。
  5. マップに関連付ける名前を指定します。



    図 13. 新規マップの保管

    規則: マップ名には、最大 80 文字までの英数字と下線 (_) を指定できます。 Map Designer Express では、いくつかの命名上の制約が課されます。例えば、マップ名にはピリオド、左中括弧 ([)、右中括弧 (])、一重引用符、二重引用符、スペースなどのいくつかの句読点記号を指定できません

    「新規マップ」ウィザードでは、マップ名の指定は必須ではありません。マップ名を入力せずに「Finish」をクリックし、このマップ定義の命名を後で行うことが可能です。マップを保管するときに、Map Designer Express により「マップを別名保管」ダイアログが表示され、必要なマップ名を指定するように要求されます。 詳細については、"マップのプロジェクトへの保管"を参照してください。

    マップがインバウンドであるかアウトバウンドであるかを指定します。このマップの役割は、自動的に生成される関係コードのために必要です。

  6. 「Finish」をクリックして、指定したソース・ビジネス・オブジェクトおよび宛先ビジネス・オブジェクトが入った新しいマップ定義を保管します。

    結果: Map Designer Express が「ダイアグラム」タブに新しいマップの情報を表示します。

ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの作成

マップのソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトを「新規マップ」ウィザードで指定しなかった場合は、「ビジネス・オブジェクトを追加」ダイアログか、ビジネス・オブジェクト・ブラウザーの「ダイアグラム」タブから指定できます。

「ビジネス・オブジェクトを追加」ダイアログからビジネス・オブジェクトを指定する手順

「ビジネス・オブジェクトを追加」ダイアログの「一般」タブから、マップにソース・ビジネス・オブジェクトまたは宛先ビジネス・オブジェクトを追加するには、以下の手順を行います。

  1. 「ビジネス・オブジェクトを追加」ダイアログは、以下のいずれかの方法で表示します。
  2. ソース・ビジネス・オブジェクトを指定するには、以下のようにします。

    ヒント: 特定のビジネス・オブジェクトを見つけるには、「検索」フィールドにそのオブジェクトの名前を入力してください。上下矢印を使用すると、ビジネス・オブジェクト・リストの中をスクロールします。

  3. 宛先ビジネス・オブジェクトを指定するには、以下のようにします。

    ヒント: 特定のビジネス・オブジェクトを見つけるには、「検索」フィールドにそのオブジェクトの名前を入力してください。上下矢印を使用すると、ビジネス・オブジェクト・リストの中をスクロールします。

  4. ダイアログを閉じるには、「完了」をクリックします。

ビジネス・オブジェクト・ブラウザーの「ダイアグラム」タブからビジネス・オブジェクトを指定する手順

「ダイアグラム」タブから、ソース・ビジネス・オブジェクトまたは宛先ビジネス・オブジェクトをマップに追加することができます。これを行うには、以下の手順を実行します。

  1. ソース・ビジネス・オブジェクトをビジネス・オブジェクト・ブラウザーからマップ・ワークスペースの左側にドラッグします。 そのビジネス・オブジェクトが表示され、タイトルの先頭が Src となっています。
  2. 宛先ビジネス・オブジェクトをビジネス・オブジェクト・ブラウザーからマップ・ワークスペースの右側にドラッグします。 そのビジネス・オブジェクトが表示され、タイトルの先頭が Dest となっています。

注:
点線の境界線がワークスペースの左半分と右半分を分割し、マップ・ワークスペースのソース部分と宛先部分を区別しています。各オブジェクトを適切な場所にドロップするように注意してください。

図 14 に、マップのワークスペースに表示されたソース・ビジネス・オブジェクトと宛先・ビジネス・オブジェクトを示します。

図 14. ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの定義

ヒント: 別の方法で、ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトを作成することもできます。ビジネス・オブジェクト・ブラウザー内で、ビジネス・オブジェクトを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「コピー」を選択します。次に、マップ・ワークスペースで右マウス・ボタンをクリックして、「入力オブジェクトとして貼り付け」または「出力オブジェクトとして貼り付け」を選択します。

Map Designer Express は、ソース・オブジェクトと宛先オブジェクト用にビジネス・オブジェクト・ウィンドウ と呼ばれるウィンドウを作成します。

このウィンドウのタイトル・バーには、ビジネス・オブジェクトのインスタンス名が表示されます。 ビジネス・オブジェクト・ウィンドウのタイトル・バーの説明については、"生成されたビジネス・オブジェクト変数および属性の使用"を参照してください。ソース・ビジネス・オブジェクト用のビジネス・オブジェクト・ウィンドウには、各ソース属性の名前用の列とデータ型用の列があります。

宛先ビジネス・オブジェクト用のビジネス・オブジェクト・ウィンドウには、名前、データ型、変換規則 (変換ステップを示す)、およびオプションのコメント用の各列があります。

ガイドライン: 間違ったビジネス・オブジェクトをドラッグしたり、ビジネス・オブジェクトを入力オブジェクトではなく、出力オブジェクトにしてしまったなど、操作を間違えた場合は、そのオブジェクトをマップ・ワークスペースから削除してやり直すことが可能です。マップ・ワークスペースからビジネス・オブジェクトを削除するには、以下のいずれかの方法で行います。

宛先ビジネス・オブジェクトの動詞の設定

動詞とは、システムがビジネス・オブジェクトのデータをどう処理すべきかを示します。

マップの実行時に、システムが作成する各宛先ビジネス・オブジェクトにどの動詞を割り当てるかを認識している必要があります。

マップにソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトが 1 つずつのみ存在する場合は、宛先ビジネス・オブジェクトの動詞は、通常ソース・ビジネス・オブジェクトの動詞と同じになります。

この場合、ソース・ビジネス・オブジェクトの動詞を宛先ビジネス・オブジェクトへコピーする必要があります (図 14 を参照)。このためには、ソース属性をソース・ビジネス・オブジェクトの動詞として、宛先属性を宛先ビジネス・オブジェクトの動詞として、「移動」変換規則を定義します。詳細については、ソース属性の宛先属性へのコピーを参照してください。

ヒント: ソース・ビジネス・オブジェクトの動詞を宛先ビジネス・オブジェクトへドラッグ・アンド・ドロップして、動詞の値を定義することも可能です。

ソース・ビジネス・オブジェクトにはない動詞を持つ宛先ビジネス・オブジェクトがマップにある場合は、宛先属性を宛先ビジネス・オブジェクトの動詞として、「値を設定」変換規則を定義することにより、この動詞を定数値に設定する必要があります。「値を設定」ダイアログ・ボックスで、動詞の定数値を入力してください。詳細については、属性への値の指定を参照してください。

マップに複数のソース・ビジネス・オブジェクトまたは複数の宛先ビジネス・オブジェクトが含まれている場合もあります。このようなオブジェクトは、いくつかの子ビジネス・オブジェクトを持つことがあります。この場合、それぞれの宛先ビジネス・オブジェクトにどの動詞を割り当てるかを慎重に考慮する必要があります。宛先ビジネス・オブジェクトによっては、1 つ以上のソース・ビジネス・オブジェクトの動詞を基にして動詞を設定するカスタム・ロジックが必要になることがあります。

標準の属性変換の指定

Map Designer Express では、いくつかの標準の属性変換を対話式に指定することができます。その際、Java コードをほとんど、あるいはまったく作成する必要がありません。表 14 に、Map Designer Express で指定できる標準の変換を示します。

表 14. 一般的な属性変換
名前 変換ステップ 目的
値を設定
属性への値の指定 ソース・ビジネス・オブジェクトにはないが、宛先アプリケーションに必要な宛先ビジネス・オブジェクトの属性に指定します。
移動
ソース属性の宛先属性へのコピー ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの両方で同じ属性に指定します。
結合
属性の結合 ソース・ビジネス・オブジェクトのいくつかの属性の組み合わせから成る、宛先ビジネス・オブジェクトの属性に指定します。
分割
属性の分割

以下のいずれかが当てはまる、宛先ビジネス・オブジェクトの属性に指定します。

  • ソース・ビジネス・オブジェクトの 1 つの属性の一部分である。
  • いくつかのフィールドで構成されるが、ソース・ビジネス・オブジェクトとは異なる区切り文字を持つ。

サブマップ
サブマップを使用した変換 子ビジネス・オブジェクトを持つソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの属性に指定します。
相互参照
一致関係の相互参照 ビジネス・オブジェクトの一致関係を管理する目的で指定します。
カスタム
カスタム変換の作成 自動生成の変換では提供されない変換が必要な属性に指定します。

実行可能なこの他の変換については、"その他の属性の変換方法"を参照してください。

「ダイアグラム」タブで、「表示」>「ダイアグラム」メニューのオプションを使用して、ビジネス・オブジェクト・ウィンドウに表示する属性を選択することができます。 全属性を表示するか、リンクされている (マップされている) 属性のみを表示するか、あるいはリンクされていない (マップされていない) 属性のみを表示するかを選択できます。

ヒント:
属性は、ビジネス・オブジェクト定義内と同じ順序で表示されます。長い属性リストの中で特定の属性を見つけるには、「編集」メニューから「検索」を選択します (あるいは、キーボード・ショートカット Ctrl+F を使用します)。 詳細については、"マップの情報の検索"を参照してください。

属性への値の指定

一部の宛先属性の値はソース属性に依存しないため、定数値を入力することができます。これは、宛先ビジネス・オブジェクトに、ソース・ビジネス・オブジェクトにはないが、宛先アプリケーションに必要な属性が多数含まれる場合に特に当てはまります。属性のデフォルト値の例として、CustomerStatus = "active"AddressType = "business" があります。

このタイプの変換を、値を設定 変換と呼びます。 図 15 に示す「値を設定」ダイアログを使用して、宛先属性の値を設定します。

値を設定変換の指定手順

値を設定変換を指定するには、以下の手順を実行します。

  1. 「値を設定」ダイアログを、以下のいずれかの方法で表示します。
  2. 「値を設定」ダイアログから、宛先属性に割り当てる定数値を設定します。「値を設定」ダイアログには、以下の機能があります。

ソース属性の宛先属性へのコピー

変換ステップのうち最も簡単なものは、1 つのソース属性を対応する宛先属性にコピーすることです。このタイプの変換を、移動 変換と呼びます。

移動変換の指定手順

移動変換を指定するには、以下のいずれかのマップ・タブから手順を実行します。

結果: Map Designer Express がソース属性の値を宛先属性にコピーするコードを生成します。ソース属性と宛先属性のデータ型が異なる場合、Map Designer Express は型変換が可能かどうかを判断し、可能であれば、ソースの型を宛先の型に変換するコードを生成します。 型変換が可能でない 場合、あるいは、結果としてデータが失われる可能性がある場合、Map Designer Express は操作を確認またはキャンセルするためのダイアログ・ボックスを表示します。

移動変換で生成されるコードのサンプルを確認したい場合は、規則列のコンテキスト・メニューで、「ソースを表示」を選択してください。

属性の結合

複数のソース属性の値を連結、つまり結合して、1 つの宛先属性を作成することができます。このタイプの変換を、結合 変換と呼びます。例えば、ソース・ビジネス・オブジェクトが、市外局番、電話番号、内線を別々の属性に格納しているのに対して、宛先ビジネス・オブジェクトはこれらの値をまとめて 1 つの属性に格納することができます。

属性を結合できる他に、これらの属性の順序を変更したり、区切り文字、括弧、その他の文字を挿入することもできます。例えば、市外局番と電話番号の別々の属性を結合して 1 つの属性をつくる場合に、市外局番の前後に括弧を挿入することもできます。

ヒント:
結合する複数の属性が、親ビジネス・オブジェクト内とその子ビジネス・オブジェクトのうちの 1 つなど、複数のソース・ビジネス・オブジェクトに存在する場合もあります。属性を定義済みの変数と結合することも可能です。(変数の定義の詳細については、一時変数の作成を参照してください。)

複数のソース属性を 1 つの宛先属性に結合するには、図 16 に示す「結合」ダイアログを使用します。

結合変換の指定手順

結合変換を指定するには、以下の手順を実行します。

  1. 「結合」ダイアログは、以下のいずれかの方法で表示します。
  2. 「結合」ダイアログから、区切り文字の追加、括弧を使ったグループ化、属性の順序変更を必要に応じて行うことによって、ソース属性を連結する式を作成します。「結合」ダイアログには、以下の機能があります。

結果: Map Designer Express がソース属性を結合するコードを生成します。データ型が宛先属性とは異なるソース属性があった場合、Map Designer Express は、型変換に必要な DtpDataConversion クラス内のメソッドを呼び出します。

属性の分割

ソース属性を 2 つ以上の宛先属性に分割する場合、各宛先属性それぞれに変換を指定します。このタイプの変換を、分割 変換と呼びます。例えば、phone_number などの 1 つのソース属性を area_codetel_numberextension などの 3 つの宛先属性に分割する場合、area_codetel_number、および extension のそれぞれに変換を指定します。

図 17 に示す「分割」ダイアログを使用して、1 つのソース属性を複数の宛先属性に分割します。

分割変換の指定手順

分割変換を指定するには、以下の手順を実行します。

  1. 「分割」ダイアログは、以下のいずれかの方法で表示します。
  2. 「分割」ダイアログから、1 つの式を、区切り文字で分けられた複数のセグメントに分割します。各セグメントはインデックス番号で識別されます。最初のセグメントのインデックス番号はゼロです。「分割」ダイアログには、以下の機能があります。

結果: Map Designer Express が宛先属性用の変換コードを生成します。 生成されるコードは、DtpSplitString() クラスのメソッドを使用して、ソース属性を各セグメントに解析します。

サブマップを使用した変換

サブマップ とは、メイン・マップ と呼ばれる別のマップから呼び出されるマップです。 このセクションでは、サブマップの以下の内容について説明します。

サブマップの用途

サブマップは、宛先属性の値を取得する目的で呼び出すことができますが、サブマップの最も一般的な用途は以下のとおりです。

マップのモジュール性の向上

サブマップを利用すると、複数のマップで再利用可能な共通の変換を分離させることによって、マップのモジュール性を向上させることができます。例えば、Customer ビジネス・オブジェクトが Address という子ビジネス・オブジェクトを持ち、この子ビジネス・オブジェクトが Order ビジネス・オブジェクトの子でもあるとします。Address ビジネス・オブジェクト用にサブマップを作成しておくと、Customer Order 両方のビジネス・オブジェクトのマップ内でこのサブマップを再利用できます。

図 18 に、サブマップ MyAddrToGenAddr を 2 つの異なるマップで再利用する仕組みを示します。

図 18. モジュール性を求めたサブマップの使用


子ビジネス・オブジェクトの変換

ソース属性および宛先属性に、複数カーディナリティー子ビジネス・オブジェクトが含まれている場合、サブマップを使用してこれらの属性の変換を指定すると便利です。複数カーディナリティー子ビジネス・オブジェクトの一般的な例として、1 人の顧客の複数の住所や 1 つの注文の中の複数の品目名があります。

最も単純なケースでは、各ソース子ビジネス・オブジェクトを 1 つの宛先子ビジネス・オブジェクトに、1 対 1 の関係で変換します。図 19 に、Employee ビジネス・オブジェクトと、EmployeeAddress の複数のインスタンスを含む、子ビジネス配列にサブマップを使用する例を示します。

図 19. 子ビジネス・オブジェクト配列の 1 対 1 の変換


サブマップは、サブマップを実行するかどうかを制御する条件ステートメントと関連付けることができます。例えば、図 20 の場合を考えてみます。Order ビジネス・オブジェクトは、OrderLine という属性を持ち、この属性に複数カーディナリティー子ビジネス・オブジェクト OrderLine が含まれているとします。OrderLine ビジネス・オブジェクトは、DeliverySchedule という属性を持ち、この属性に複数カーディナリティー子ビジネス・オブジェクト DelSched が含まれています。

図 20. 複数カーディナリティー子ビジネス・オブジェクトを持つソース・ビジネス・オブジェクト

Order のマップに書き込み可能な条件として、以下のものがあります。

サブマップ変換の指定手順

サブマップ変換を指定するには、以下の手順を実行します。

  1. サブマップとして使用するマップを作成します。

    推奨: これは、他のマップを作成し、保管する場合と同じ方法で行います。IBM の命名規則では、サブマップ名をストリング「Sub_」で始めることを推奨しています。

  2. サブマップを System Manager のプロジェクトに保管し、サブマップをコンパイルします。
  3. このサブマップを呼び出す必要のある親ビジネス・オブジェクトの属性について、サブマップの変換を指定します。このソース属性には、子ビジネス・オブジェクトを持つ宛先属性にマップされる子ビジネス・オブジェクトが含まれています。

    図 21 に示す「サブマップ」ダイアログを使用して、サブマップを呼び出す必要があることを指定します。 「サブマップ」ダイアログは、以下のいずれかの方法で表示します。

  4. 「サブマップ」ダイアログから、呼び出すサブマップの名前を指定します。「サブマップ」ダイアログには、以下の機能があります。

結果: Map Designer Express が指定されたサブマップを呼び出す Java コードを生成します。Map Designer は、自動的にこのサブマップを呼び出す runMap() メソッド呼び出しを作成します。

注:
属性のコードには、式ビルダーを使用して、マップの実行呼び出しを挿入することができます。詳細については、"式ビルダーを使用したサブマップの呼び出し"を参照してください。

一致関係の相互参照

ソース属性によっては、関係表を参照して、宛先属性にどんな値を設定するかを調べる必要がある場合もあります。これは、相互参照 変換を使用して実行できます。

相互参照変換の指定手順

相互参照変換を指定するには、以下の手順を実行します。

  1. 他の変換についてすでに説明した方法でソース属性および宛先属性を選択します。どちらもビジネス・オブジェクトである必要があります。
  2. 対応する変換セル内で「相互参照」を選択します。

    結果: 「相互参照」ダイアログが表示されます。

    図 22. 「相互参照」ダイアログ

  3. このダイアログで、リストから関係名を選択します。

    結果: 「参加者」コンボ・ボックスが、選択された関係の全参加者を示した状態で表示されます。デフォルトでは、「ビジネス・オブジェクト」コンボ・ボックスが、マップ・プロパティーに定義されたマップの役割に従って表示されます。コンボ・ボックスは変更可能です。

カスタム変換の作成

カスタム 変換では、Activity Editor を使用して変換のアクティビティーをグラフィカルにカスタマイズするか、あるいは、ソース属性を宛先属性に変換する Java コードを入力します。

カスタム変換の指定手順

カスタム変換を定義するには、以下のいずれかのマップ・タブから手順を実行します。

ヒント: 「設定」ダイアログの「キー・マップ」タブから、「カスタム」変換を開始するためのキー・シーケンスをカスタマイズすることができます。 詳細については、"キー・マップの指定"を参照してください。

結果: Activity Editor がグラフィック表示で表示されます。Activity Editor の詳細については、Activity Editor の概要を参照してください。

表 15 に、カスタム変換の定義に役立つ本ガイド内の情報をまとめます。


表 15. カスタム変換の定義
提供されている情報 詳細情報の参照先
Activity Editor を使用して変換コードをカスタマイズする方法 "マップのカスタマイズ"
関係属性に対する関係を作成する方法 関係の一般的な概要については、関係の概要を参照してください。
1. Map Designer Express を使用して、関係を含むビジネス・オブジェクトにマップを作成する。 マップの作成
2. Relationship Designer Express を使用して関係を定義する。 関係定義の作成
3. Map Designer Express に戻って属性間の関係をコーディングする。 関係のインプリメント
実行可能なより複雑な変換 "その他の属性の変換方法"

内容ベースのロジック "内容ベースのロジック"

日付の形式設定 "日付の形式設定"

ストリングの処理 "式ビルダーを使用したストリング変換"

注:
Activity Editor から生成コードを変更することによって、既存の変換をカスタマイズすることもできます。自動更新モードでコードを変更する場合、Activity Editor が確認を要求します。 ユーザーが変更を確認すると、Activity Editor がカスタマイズしたコードを保管します。「テーブル」タブまたは「ダイアグラム」タブの「変換規則」列の中の変換アイコンのラベルが、黒の通常テキストから青のイタリック・テキストの表示に変わります。この青のアイコン・ラベルによって、自動更新モードのコード (Map Designer Express に生成されたコード) とユーザーがカスタマイズしたコードの区別がしやすくなります。

「設定」ダイアログで設定を変更して、Activity Editor に確認しないように指示することもできます。

マップの保管

マップ定義を後で使用できるように保存するには、マップを保管する必要があります。Map Designer Express はマップを保管する前に、まずマップを検証します。 詳細については、"マップの検証"を参照してください。

Map Designer Express では、以下の 2 通りの方法で現行マップを保管することができます。

要確認:
Map Designer Express がマップを保管するためには、マップが現在開いている必要があります。

マップのプロジェクトへの保管

マップ定義には、System Manager のプロジェクト内のマップ情報が格納されます。このマップ定義には、マップの以下についての情報が入っています。

マップを System Manager のプロジェクトに保管するには、表 16 に示すアクションのいずれかを実行することができます。

表 16. マップのプロジェクトへの保管
必要なアクション. . 実行する操作. .
マップ定義を、現在開いているマップの名前で保管する場合

次のいずれかを行います。

  • 「ファイル」> 「保管」サブメニューから「プロジェクトに」を選択します。
  • キーボード・ショートカット Ctrl+S を使用します。
  • 標準ツールバーにある「マップをプロジェクトに保管」ボタンをクリックします。
マップ定義を、現在開いているマップとは異なる名前で保管する場合

次のいずれかを行います。

  • 「ファイル」> 「別名保管」サブメニューから「プロジェクトに」を選択します。
  • キーボード・ショートカット Ctrl+Alt+S を使用します。

結果: Map Designer Express が「マップを別名保管」ダイアログを表示し、ここでマップ名を指定することができます。



図 23. 「別名保管」ダイアログ

マップを保管すると、Map Designer Express がマップ定義とマップの内容を System Manager のプロジェクトに保管します。マップの内容は XML データとして保管されます。

注:
「マップをコンパイル: コンパイル前にマップを保管」オプションを使用すれば、コンパイル前に System Manager のプロジェクトにマップを自動的に保管するかどうかを指定できます。

デフォルトでは、このオプションは使用可能です。このオプションの設定は、「設定」ダイアログの「一般」タブで変更できます。 詳細については、"一般的な設定の指定"を参照してください。

ヒント:
既存のマップの名前を変更するには、「ファイル」> 「別名保管」サブメニューから「プロジェクトに」を選択します。

マップのファイルへの保管

マップ定義は、マップ定義ファイル と呼ばれるオペレーティング・システム・ファイルの中にテキストとして保管できます。マップ定義ファイルには、完全なマップ定義が入っています。つまり、このファイルは、マップ定義の以下の部分を XML (Extended Markup Language) 形式で表します。

推奨: Map Designer Express はマップ定義ファイルを .cwm という拡張子で作成します。 マップ定義ファイルを区別するため、ファイル拡張子 (.cwm) を使用することなど、マップ定義ファイルの命名規則に従う必要があります。

既存のマップ定義ファイルを開くことによって、マップ定義が Map Designer Express にインポートされます。詳細については、ファイルからのマップのオープン手順を参照してください。

表 17 に示す方法のいずれかで、現在開いているマップをマップ定義ファイルに保管することができます。

表 17. マップのマップ定義ファイルへの保管
必要なアクション. . . 実行する操作. . .

マップ定義を、現在開いているマップの名前で以下の形式で保管したい場合

MapName.cwm
 

(ここで、MapName は現在開いているマップの名前)

注:
現在開いているマップをファイルから開かない場合、Map Designer Express は常に「File Save」ダイアログを開きます。

次のいずれかを行います。

  • 「ファイル」> 「保管」サブメニューから「ファイルに」を選択します。
  • キーボード・ショートカット Ctrl+E を使用します。
  • 標準ツールバーにある「マップをファイルに保管」ボタンをクリックします (図 23 を参照)。
マップを、指定のマップ定義ファイルに保管します。Map Designer Express が、ファイル名を選択するためのダイアログ・ボックスを表示します。

次のいずれかを行います。

  • 「ファイル」 > 「別名保管」サブメニューから「ファイルに」を選択します。
  • キーボード・ショートカット Ctrl+Alt+F を使用します。

注:
「ファイル」>「保管」または「ファイル」>「別名保管」メニューから「ファイルに」オプションを選択すると、Map Designer Express はファイル名を選択するためのダイアログ・ボックスを表示します。このファイル名でファイルを識別します。ファイル名は必ずしもマップの名前でなくてもかまいません。

例: MapA というマップを fileA.cwm という名前のファイルに保管することができます。この fileA ファイルに、MapA というマップのマップ定義が格納されます。Map Designer Express が fileA マップ定義ファイルを開いたとき、MapA のマップ定義が表示されます。

ヒント: マップをエクスポートすると、マップのみがコピーされます。

完全性のチェック

2 つの大きなビジネス・オブジェクト同士をマップするときは、必須属性を見落としがちです。まだマップされていない属性を検索して、必要な変換すべての指定が完了したかどうかを確認することができます。 このような属性を、リンクされていない属性 と呼びます。

完了したかどうかをチェックするには、以下の手順を実行します。

注:
コードが完成したら、コンパイルし、テストする必要があります。マップのコンパイルについては、"マップのコンパイル"を参照してください。マップのテストについては、"マップのテスト"を参照してください。

Copyright IBM Corp. 2004