クライアント・シミュレーター・ビューにより、IBM WebSphere Business Integration Server Express インターフェースのクライアント (コネクター・エージェントおよびアクセス・クライアント) をエミュレートできます。このビューに、サーバーへのクライアントの接続、ビジネス・オブジェクト要求の作成および送信、ビジネス・オブジェクト応答による応答を行うインターフェースが用意されます。
次のセクションで、クライアント・シミュレーター・ビューを表示およびクローズできる多くの方法を説明します。
表 27 の「デフォルトのインターフェース位置」列には、インターフェース内のデフォルト位置が「クライアント・シミュレーター・ビュー番号」列のクライアント・シミュレーター・ビューでオーバーレイされるビューをリストします。
表 27. デフォルトのクライアント・シミュレーター・ビューの位置
クライアント・シミュレーター・ビュー番号 | デフォルトのインターフェース位置 |
---|---|
Test Connector 1 | ITE ナビゲーター |
Test Connector 2 | アウトライン |
Test Connector 3 | プロパティー |
Test Connector 4 | 依存関係 |
Test Connector 5 | ITE ナビゲーター |
Test Connector 6 | アウトライン |
Test Connector 7 | プロパティー |
Test Connector 8 | 依存関係 |
Test Connector 9 | ITE ナビゲーター |
テストするインターフェース内のコネクターおよびアクセス・クライアントについてクライアント・シミュレーター・ビューを表示するには、次のいずれかの手法を使用します。
表 27 に、各種クライアント・シミュレーター・ビューが表示されるデフォルトのインターフェース位置を示します。
クライアント・シミュレーター・ビューをクローズするには、次のいずれかの手法を使用します。
インターフェースのテストの一部としてコネクターをエミュレートするには、クライアント・シミュレーター・ビューをサーバーに接続する必要があります。
クライアント・シミュレーター・ビューを使用する場合、リポジトリー内の定義か構成ファイルを使用してコネクターをエミュレートできます。また、クライアント・シミュレーター・ビューを使用してアクセス・クライアントをエミュレートすることもできます。
タスク・マネージャー・ビューを使用してエージェントをサーバーに接続することもできます。詳細については、表 23 を参照してください。
コネクターのリポジトリー定義を使用してサーバーに接続するには、以下のいずれかを実行します。
構成ファイルを使用してサーバーに接続するには、以下の手順を実行します。
アクセス・クライアントをエミュレートするには、クライアント・シミュレーター・ビューのタイトル・バーの右端の下矢印をクリックし、「サーバー」>「接続」を選択します。
クライアント・シミュレーター・がサーバーへ正常に接続されたかどうかを判断するには、以下の標識を使用します。
状況ペインの詳細については、状況ペインの使用を参照してください。
入力ペインの詳細については、入力ペインの使用を参照してください。
コネクターをエミュレートするクライアント・シミュレーターをサーバーから切断するには、クライアント・シミュレーター・ビューの右端の下矢印をクリックし、「サーバー」>「切断」を選択します。
クライアント・シミュレーター・ビューは、クローズされてもサーバーから切断されます。アクセス・クライアントをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューをサーバーから切断する唯一の方法は、クライアント・シミュレーター・ビューのクローズです。クライアント・シミュレーター・ビューのクローズについて詳しくは、クライアント・シミュレーター・ビューのクローズを参照してください。
クライアント・シミュレーター・ビューには幾つかのペインがあり、コネクターまたはアクセス・クライアントの振る舞いのシミュレートに使用します。
クライアント・シミュレーター・ビューの入力ペインを使用して、ビジネス・オブジェクト要求を処理し送信します。ビジネス・オブジェクト・インスタンスを作成し、その属性にデータを追加して、それを要求として送信できます。インターフェース内のソース・クライアントをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューで作業する場合、通常は入力ペインを使用します。
図 69 に、ソース・コネクターをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューの入力ペインを示します。
図 69. クライアント・シミュレーター・ビューの入力ペイン
クライアント・シミュレーター・ビューの結果ペインを使用して、受信したビジネス・オブジェクト要求を処理し、ビジネス・オブジェクト応答を送信します。インターフェース内の宛先クライアントをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューで作業する場合、通常は結果ペインを使用します。
図 70 に、宛先コネクターをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューの結果ペインを示します。
図 70. クライアント・シミュレーター・ビューの結果ペイン
状況ペインには、クライアント・シミュレーター・ビューの実行についてのメッセージが表示されます。例えば、コネクターがサーバーに正常に接続されると、メッセージ「AppConnector: コネクターは回復されました。」が状況ペインに書き込まれます。
状況ペインは主に、クライアント・シミュレーターがサーバーに正常に接続されたことの確認と、トラブルシューティングの実行に使用されます。例えば、クライアント・シミュレーター・ビューからビジネス・オブジェクト要求を送信したが、ビジネス・オブジェクト・タイプのサブスクリプションがない場合は、メッセージが状況ペインに書き込まれます。これにより、インターフェース内の宛先クライアントをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューの結果ペインに ビジネス・オブジェクト要求が表示されない理由を判別できます。
図 71 に、クライアント・シミュレーターの状況ペインを示します。
図 71. クライアント・シミュレーター・ビューの状況ペイン
入力ペイン、結果ペイン、および状況ペインを積み重ね、同時に表示されるように、クライアント・シミュレーター・ビューを配置できます。この表示は、クライアント・シミュレーター・ビューで、イベント通知と要求処理の両方を行う必要のあるクライアントをエミュレートする場合に便利です。
クライアント・シミュレーター・ビュー・ペインを縦方向に配置するには、以下のいずれかを実行します。
図 72 に、縦方向に配置されたクライアント・シミュレーター・ビュー・ペインを示します。
図 72. 縦方向に配置されたクライアント・シミュレーター・ビュー・ペイン
入力、結果、および状況ペインを左から右に、同時に表示されるように、クライアント・シミュレーター・ビューを配置できます。この表示は、クライアント・シミュレーター・ビューで、イベント通知と要求処理の両方を行う必要のあるクライアントをエミュレートする場合に便利です。
クライアント・シミュレーター・ビュー・ペインを横方向に配置するには、以下のいずれかを実行します。
図 73 に、横方向に配置されたクライアント・シミュレーター・ビュー・ペインを示します。
図 73. 横方向に配置されたクライアント・シミュレーター・ビュー・ペイン
要求ビジネス・オブジェクトは、インターフェースを起動するイベントのソースであるコネクターをエミュレートしているときに、クライアント・シミュレーター・ビューから送信するビジネス・オブジェクトです。要求ビジネス・オブジェクトの処理は、ビジネス・オブジェクト・インスタンスの作成、データの取り込み、要求の送信から構成されます。
新規のビジネス・オブジェクト・インスタンスを作成するには、以下の手順を実行します。
ソース・クライアントが非同期モードで要求ビジネス・オブジェクトを送信する場合は、応答ビジネス・オブジェクトの返送を予期していません。要求ビジネス・オブジェクトがディスパッチされると、トランザクションにおけるソース・クライアントの役割は終了します。通常、応答ビジネス・オブジェクトは統合ブローカーによって処理されます。クライアント・シミュレーター・ビューのデフォルトのモードは非同期モードです。
ビジネス・オブジェクトを非同期的に送信するには、以下の手順を実行します。
ソース・クライアントが要求ビジネス・オブジェクトを同期的に送信する場合は、宛先アプリケーションが要求を処理した後、統合ブローカーから応答ビジネス・オブジェクトが返送されることを予期しています。
処理を選択したコラボレーション・オブジェクトの構成済みポートにビジネス・オブジェクト要求が送信されます。
バッチ・モードでは、送信する特定のビジネス・オブジェクトのインスタンスの数をクライアント・シミュレーター・ビューで指定できます。また、インスタンスごとにトップレベル・オブジェクト内の任意の属性 (基本キー属性など) を固有値に設定するよう指定することもできます。クライアント・シミュレーター・ビューは、インスタンスごとに指定した単一属性の値を増分しながら、指定した回数だけビジネス・オブジェクトをコピーし、各インスタンスを送信します。このオプションにより、多数のビジネス・オブジェクトを素早く簡単に作成できます。
選択した属性が一致関係の一部として動的相互参照に参加するキー・フィールドである場合は、初期値およびそれに従う値はすべて固有でなければなりません。さもなければ、相互参照ロジックが失敗し、要求ビジネス・オブジェクトも失敗します。
値が固有であることを確認するには、Relationship Manager を使用するか、以下のように関係参加者の表に対して SQL ステートメントを実行します。
バッチ・モードでビジネス・オブジェクトを送信するには、以下の手順を実行します。
通常、選択する属性は、ビジネス・オブジェクトを一意的に識別する属性 (基本キーなど) にしてください。
クライアント・シミュレーター・ビューが、指定した数のビジネス・オブジェクトを生成します。これらのビジネス・オブジェクトは、指定の属性の値がインスタンスごとに増分され、それ以外はすべて同一です。
図 74 では、以下のようなバッチ・モード構成を示しています。
ビジネス・オブジェクト要求の作成および受信したビジネス・オブジェクト要求の編集の際に、ビジネス・オブジェクト属性の値を設定できるので、応答として戻すことができます。
要求として送信するビジネス・オブジェクトの属性の値を設定するには、クライアント・シミュレーター・ビューの入力ペインを使用する必要があります。詳細については、入力ペインの使用を参照してください。
応答として送信するために編集するビジネス・オブジェクトの属性の値を設定するには、「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウを使用します。詳細については、応答ビジネス・オブジェクトの編集を参照してください。
単純属性の値を指定するには、入力ペインまたは「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウの「値」列のセルをクリックして、値を入力します。
子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを追加するには、入力ペインまたは「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウで子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「インスタンスを追加」を選択します。
子ビジネス・オブジェクトを表す属性の横に正符号 (+) が追加され、少なくとも 1 つの子ビジネス・オブジェクト・インスタンスが存在することが示されます。子オブジェクト属性を展開すると、インスタンスごとに番号付きのエントリーが表示されます。個々のインスタンスの横にも正符号 (+) があるため、個々のインスタンスを展開したり属性の値を設定したりすることができます。
さらに子ビジネス・オブジェクト・インスタンスを追加するには、子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「インスタンスを追加」を選択します。
子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを削除するには、インスタンスを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから 「インスタンスを削除」を選択します。
子ビジネス・オブジェクトのすべてのインスタンスを削除するには、子ビジネス・オブジェクトを表す属性を右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「全インスタンスを削除」を選択します。
子ビジネス・オブジェクトの動詞を設定すると、値がビジネス・プロセスに及ぼす影響をテストできます。これは、子オブジェクトの相互参照用を含むロジックのトラブルシューティングを行う場合に役立ちます。
子ビジネス・オブジェクト・インスタンスの動詞を設定するには、その子ビジネス・オブジェクトを右マウス・ボタンでクリックし、コンテキスト・メニューから「動詞を設定」を選択します。「動詞の選択」プロンプトが表示されたら、適切な動詞を選択し、「OK」をクリックします。
ビジネス・オブジェクト要求の属性をデフォルト値にリセットするには、クライアント・シミュレーター・ビューのタイトル・バーの右端の下矢印をクリックし、「編集」>「ビジネス・オブジェクトをリセット」を選択します。
ビジネス・オブジェクト応答の属性をデフォルト値にリセットするには、「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウのツールバーの「ビジネス・オブジェクトをデフォルトにリセット」ボタンをクリックします。
ビジネス・オブジェクト要求の属性の値をクリアするには、クライアント・シミュレーター・ビューのタイトル・バーの右端の下矢印をクリックし、「編集」>「ビジネス・オブジェクトをクリア」を選択します。
ビジネス・オブジェクト応答の属性の値をクリアするには、「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウのツールバーの「ビジネス・オブジェクト値をクリア」ボタンをクリックします。
応答ビジネス・オブジェクトは、インターフェースでビジネス・オブジェクト要求の受信側となるコネクターをエミュレートしているときに、クライアント・シミュレーター・ビューから送信するビジネス・オブジェクトです。要求ビジネス・オブジェクトの処理は、ビジネス・オブジェクト・インスタンス内の値の編集およびサーバーへの応答の返送から構成されます。
クライアント・シミュレーター・ビューでのビジネス・オブジェクト要求の処理に従ってビジネス・オブジェクト要求を作成および送信し、インターフェースで正常に処理されると、ビジネス・オブジェクトがインターフェース内の任意の宛先コネクターの結果ペインに表示されます。図 70 に、ビジネス・オブジェクト要求が受信された結果ペインを示します。
応答ビジネス・オブジェクトの編集で、受信されたビジネス・オブジェクト要求の編集方法を説明し、応答ビジネス・オブジェクトの送信で、インスタンスを応答として送信する方法を説明します。
インターフェースの宛先クライアントをエミュレートするクライアント・シミュレーター・ビューでビジネス・オブジェクト要求を受信する場合、属性の値を編集するのが一般的です。例えば、関係に参加する基本キー属性の固有値を指定したり、他の属性の値を変更してビジネス・オブジェクトの実際の値に応じて応答を変えるマップまたはコラボレーション・ロジックをテストしたりすることができます。ビジネス・オブジェクト属性の値を設定するには、以下の手順を実行します。
保管したデータをビジネス・オブジェクト要求にインポートする機能は、応答として送信する前に応答ビジネス・オブジェクトにデータを設定する必要がある場合に非常に有用です。応答データを必要とする属性ごとに値を手動で入力する代わりに、値を 1 回入力し、ビジネス・オブジェクトをエクスポートして (応答ビジネス・オブジェクトのエクスポートを参照)、その後のテストで保管したデータをインポートします。
要求ビジネス・オブジェクトを編集後 (編集が必要な場合)、応答としてサーバーに返送します。
表 28 に、応答オプションをリストし、C++ および Java コネクター両方に関する対応するコネクター戻りコードを示します。C++ コネクターまたは Java コネクターの戻りコードについては、「コネクター開発ガイド (Java 用) または (C++ 用)」を参照してください。
表 28. クライアント・シミュレーター・ビューの応答タイプおよびコネクター戻りコード
クライアント・シミュレーター・ビューの応答タイプ | C++ コネクターの戻りコード | Java コネクターの戻りコード |
---|---|---|
成功 | BON_SUCCESS | SUCCESS |
失敗 | BON_FAIL | FAIL |
複数のヒット | BON_MULTIPLE_HITS | MULTIPLE_HITS |
内容による検索に失敗 | BON_FAIL_RETRIEVE_BY_CONTENT | RETRIEVEBYCONTENT_FAILED |
検出なし | BON_BO_DOES_NOT_EXIST | BO_DOES_NOT_EXIST |
重複する値 | BON_VALDUPES | VALDUPES |
要求ビジネス・オブジェクトに応答するには、以下の手順を実行します。
入力ペインで作成したビジネス・オブジェクト・インスタンスを保管することにより、特定のコネクター定義をエミュレートするためにクライアント・シミュレーター・ビューをオープンしたときにいつでもそのインスタンスを使用できます。「BO インスタンス」フィールドからインスタンスを名前で選択でき、新規要求を作成する処理を行う必要はありません。
「BO インスタンス」フィールドに現在リストされているビジネス・オブジェクト・インスタンスを保管するには、クライアント・シミュレーター・ビューのタイトル・バーの右端の下矢印をクリックし、「編集」>「全ビジネス・オブジェクトを保管」を選択します。
ビジネス・オブジェクトは、テスト・ユニットが定義されるテスト・プロジェクトのディレクトリーの .bos ディレクトリー内のビジネス・オブジェクト・タイプに関する名前のディレクトリーに、拡張子なしで、ビジネス・オブジェクト・インスタンスの名前のファイルに保管されます。このファイルは Test Connector や Map Designer Express で使用されたのと同じフォーマットで保管され、これらのツールでのテストにも使用することができます。
クライアント・シミュレーター・ビューからビジネス・オブジェクト・インスタンスを削除するには、クライアント・シミュレーター・ビューのタイトル・バーの右端の下矢印をクリックし、「編集」>「ビジネス・オブジェクトを削除」を選択します。
ビジネス・オブジェクト・インスタンスをファイルにエクスポートして、データを適宜アーカイブし、テクニカル・サポートと共用することができます。テスト・データ・ファイルは .bo 拡張子を付けて保管され、Test Connector や Map Designer Express、また統合テスト環境によるテストで使用できます。
クライアント・シミュレーター・ビューの入力ペインからビジネス・オブジェクト・インスタンスをエクスポートするには、以下の手順を実行します。
結果ペインでビジネス・オブジェクト応答を編集するときに、「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウからビジネス・オブジェクト・インスタンスをエクスポートするには、以下の手順を実行します。
Map Designer Express または Test Connector から保管された、または統合テスト環境からエクスポートされたビジネス・オブジェクト・テスト・データ・ファイルをインポートできます。
クライアント・シミュレーター・ビューの入力ペインからビジネス・オブジェクト・インスタンスをインポートするには、以下の手順を実行します。
結果ペインでビジネス・オブジェクト応答を編集するときに、ビジネス・オブジェクト・インスタンスを「応答ビジネス・オブジェクト」ウィンドウにインポートするには、以下の手順を実行します。
クライアント・シミュレーター・ビューでは、同じタイプの 2 つのビジネス・オブジェクトを比較し、値が異なる属性を表示できます。この機能を使用すると、トランザクション実行の異なる時点におけるビジネス・オブジェクトに対する変更を表示させることができます。例えば、サーバーに送信されたビジネス・オブジェクトと、サーバーで処理されてソース・コネクターに戻された後の同じビジネス・オブジェクトを比較できます。2 つのビジネス・オブジェクト・インスタンスを比較するには、以下の手順を実行します。