データ・マッピング
は、データをあるアプリケーション固有の形式から別の形式に変換
(またはマッピング) するプロセスです。
マッピングは、異なるアプリケーション間で情報を転送するプロセスの中心をなし、特定のアプリケーションに依存しないコラボレーション
(ビジネス・プロセス)
を提供します。アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトと汎用ビジネス・オブジェクト間でデータをマッピングすることで、WebSphere
は、「最善の組み合わせの」アプリケーションに使用できる環境を作成します。
WebSphere Business Integration
システムは、マップを簡単に保守できるように、モジュラーおよび拡張可能なアーキテクチャーを提供します。
WebSphere
マップ開発システムは、ビジネス・オブジェクト間のマッピングを、次の機能も含めて包括的にサポートします。
- データ値を、ソース・ビジネス・オブジェクトの 1
つ以上の属性から、宛先ビジネス・オブジェクトの 1 つ以上の属性に変換します。
- 同等であっても表現が異なるために直接変換できないデータ・エンティティー間の関係を設定および保守します。
- サード・パーティーのマッピング製品や照会を実行するためのデータベースなど、外部のマッピング・リソースにアクセスできるようにします。
異なるアプリケーション間にデータ・マッピングを設定すると、あるアプリケーションでのイベントの発生が、そのアプリケーションがマップされている他のアプリケーションでも実行されます。イベントが発生するのは、データが作成、検索、更新、または削除されたときです。
マッピングは、ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクト間のデータの転送
(または変換) を定義するマップ を使用します。
マップ開発環境では、データは、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトから汎用ビジネス・オブジェクト、または汎用ビジネス・オブジェクトからアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトにマップされます。表 1
に、必要なマッピングのタイプを示します。
表 1. マッピング要件
ビジネス・オブジェクトの方向
| ソース・ビジネス・オブジェクト
| 宛先ビジネス・オブジェクト
| マップのタイプ
|
コネクターからコラボレーション
| アプリケーション固有
| 汎用
|
インバウンド・マップ
|
コラボレーションからコネクター
| 汎用
| アプリケーション固有
|
アウトバウンド・マップ
|
例: 図 1
に、実行時にマッピングがどのように発生するかを示します。脚色された従業員管理コラボレーションを例として使用します。

図 1. 実行時のデータ・マッピング
従業員管理コラボレーション (Collaboration1)
は、ソース・コネクター (App A) から Employee
ビジネス・オブジェクトを受け取り、Employee
ビジネス・オブジェクトを宛先コネクター (App B) に送信します。図 1 に、発生するシーケンスを示します
(以下の番号は、図中の番号に対応しています)。
- App A でイベントが発生します。App A
コネクターは、App A Employee
ビジネス・オブジェクトを作成して、App A
コネクター・コントローラーに送信します。
- App A コネクター・コントローラーは、App A Employee
ビジネス・オブジェクトを従業員管理コラボレーション (Collaboration1)
に送信します。コラボレーションは、マッピングのために InterChange Server
Express に常駐しています。要求には、コネクター構成で指定されたマップ名に基づいて、サーバーが使用する必要があるデータ・マップの名前が含まれます。
- インバウンド・マップは、汎用 Employee ビジネス・オブジェクトを
App A コネクター・コントローラーに戻します。
- App A コネクター・コントローラーは、汎用 Employee
ビジネス・オブジェクトへのサブスクリプションを持つコラボレーションを検査します。この場合、Collaboration1
にはサブスクリプションがあるため、コネクター・コントローラーは、ビジネス・オブジェクトを
Collaboration1 に渡します。
- コラボレーションは処理を実行してから、出力として別の汎用
Employee
ビジネス・オブジェクトを作成します。このビジネス・オブジェクトは、App
B コネクター・コントローラーに送信されます。
- App B
コネクター・コントローラーは、汎用ビジネス・オブジェクトを InterChange Server
Express に送信して、App B Employee
ビジネス・オブジェクトへのマッピングを要求します。
- アウトバウンド・マップは、アプリケーション固有の Employee
ビジネス・オブジェクトを App B
コネクター・コントローラーに戻します。
- App B コネクター・コントローラーは、App B Employee
オブジェクトを App B
コネクター・コントローラーに渡し、ビジネス・オブジェクトのデータが App
B に渡されます。
この図は、次の 2 種類のマップが使用されていることを示します。
- コラボレーションで使用される、App A Employee
ビジネス・オブジェクトから汎用 Employee
ビジネス・オブジェクトへのインバウンド・マップ
- 汎用 Employee ビジネス・オブジェクトから App B
Employee ビジネス・オブジェクトへのアウトバウンド・マップ
従業員データは、Application A から Application B
の方向にのみ移動します。両方のアプリケーション間で両方向で従業員データを交換する場合は、2
つ以上のマップが必要です。
- Application B
のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトから汎用ビジネス・オブジェクトへのインバウンド・マップ
- 汎用ビジネス・オブジェクトから Application A
のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトへのアウトバウンド・マップ
