CollaborationFoundation テンプレート

CollaborationFoundation コラボレーション・テンプレートは、以下の機能を実行するユーザー定義のコラボレーションの作成を容易にするツールです。

以下のセクションでは、CollaborationFoundation テンプレートの詳細を説明します。

CollaborationFoundation の機能

CollaborationFoundation テンプレートから生成されるコラボレーション・オブジェクトは、宛先アプリケーションのビジネス・オブジェクト上で Create、Retrieve、Delete、または Update アクションを実行できます。これらのアクションは、コラボレーションのトリガー・ビジネス・オブジェクトに対応します。

トリガー・ビジネス・オブジェクトの処理

Retrieve 動詞の振る舞い

CollaborationFoundation は、トリガー・ビジネス・オブジェクトで Retrieve 動詞を使用可能にするように設計されています。コラボレーションが同期要求を行うソース・コネクターにバインドされている場合、コラボレーションが処理を完了するとすぐに、ビジネス・オブジェクトの値がソース・コネクターに戻されます。値は、ビジネス・オブジェクトの値が参照によって受け渡された場合と同じように戻されます。

このテンプレートには、表 8 に示す標準プロパティーがあります。これらのプロパティーは、ビジネス・フローの振る舞いに影響します。

表 8. ビジネス・フロー用 CollaborationFoundation 標準プロパティー
標準プロパティー 説明
CONVERT_CREATE
トリガー・ビジネス・オブジェクトが宛先アプリケーションにすでに存在する場合に、コラボレーション・オブジェクトが宛先に送信された動詞を Create から Update に変換するよう構成します。
CONVERT_UPDATE
ビジネス・オブジェクトが宛先アプリケーションに存在しない場合に、コラボレーション・オブジェクトが Update 動詞を Create 動詞に変換するよう構成します。
USE_RETRIEVE
コラボレーション・オブジェクトが、データを同期する前に宛先アプリケーションからトリガー・ビジネス・オブジェクトを検索するように構成します。このプロパティーは、差し戻し処理を実行する場合と、ビジネス・オブジェクトがすでに宛先アプリケーションに存在するかどうかに基づいて動詞を設定する場合に便利です。
ADDITIONAL_RETRIEVE
コラボレーション・オブジェクトが、データを同期した後に宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索するように構成します。このプロパティーは、ソース・アプリケーションが宛先アプリケーションから完全な値を持つビジネス・オブジェクトを戻すよう要求する場合で、宛先アプリケーションのコネクターがデータの作成または更新後に完全なビジネス・オブジェクトを戻さないときに便利です。

図 9 は、USE_RETRIEVE プロパティーが false と評価された場合のコラボレーションのメイン・ビジネス・フローを示しています。

図 9. CollaborationFoundation のメイン・ビジネス・プロセス・フロー


トリガー・ビジネス・オブジェクトでのデータのフィルター操作

コラボレーション・オブジェクトでは、トリガー・ビジネス・オブジェクトの特定の属性内のデータをフィルター操作するよう構成できます。フィルター操作の結果を使用して、コラボレーションが特定のデータを持つトリガー・ビジネス・オブジェクトと同期する必要があるか判断することができます。テンプレートには、データのフィルター操作用に以下の 4 つのプロパティーがあります。

複数のフィルター操作属性を指定できる追加プロパティーの追加方法については、付録 A, 標準的なコラボレーションに関する情報の 1_FILTER_ATTRIBUTE プロパティーの説明を参照してください。また、図 83 にコラボレーションのフィルター操作の振る舞いを示します。

2 番目の属性でフィルター操作をするために、CollaborationFoundation テンプレートには以下のプロパティー・セットがあります。

複数の属性でフィルター操作をするには、各プロパティーにフィルター・プロパティーのセットを指定します。プロパティーの各セットには、固有の数値を指定します。つまり、3 番目の属性のフィルター・プロパティーでは、プレフィックスとして 3_ を使用します。プレフィックスは属性のセットごとに異なる必要がありますが、プロパティー名自体は上記の名前と同一にする必要があります。

エラー処理

CollaborationFoundation には、エラー処理用の標準プロパティーがあります。表 9 に、このプロパティーの説明を示します。

表 9. エラー処理用の標準プロパティー
エラー処理プロパティー 説明
INFORMATIONAL_EXCEPTION コラボレーション・オブジェクトが正常に終了して例外をトレースに送信するか、正常に終了しないで記録する例外を生成するかを指定します。
SEND_EMAIL INFORMATIONAL_EXCEPTION の値に関係なく、例外が発生した場合にコラボレーション・オブジェクトが特定のアドレスに E メールを送信するか指定します。

エラー処理の E メール・プロセスは、コラボレーションのエラー処理時の E メール・プロセスを示しています。

いずれのエラー処理プロパティーの場合も、すべての例外、またはコンマで区切られたメッセージ番号の小さいセットに対して、振る舞いを指定できます。メッセージ番号は、コラボレーション・メッセージ・ファイル (collaborations¥messages¥CollaborationFoundation.txt) 内のメッセージ番号に対応します。

CollaborationFoundation テンプレートの使用

CollaborationFoundation テンプレートを使用するには、以下の操作を実行します。

  1. CollaborationFoundation テンプレート全体を開発域にコピーします。
  2. コラボレーション・テンプレート名を、作成中のコラボレーションの名前に変更します。
  3. Process Designer の「テンプレート定義」ウィンドウの「ポートおよびトリガー・イベント」タブで、既存のポートのタイプ (DestinationAppRetrieve、 To、From) を変更して、該当するビジネス・オブジェクトをこれらのポートに割り当てます。詳細については、CollaborationFoundation ポートを参照してください。
  4. コラボレーションで複数のビジネス・オブジェクト属性をフィルター操作する場合、フィルター・プロパティーの追加セットを作成します。

    WebSphere Business Integration Server Express には、一連の構成プロパティーがあります。このプロパティーにより、特定の属性の特定の値に基づいて同期対象にビジネス・オブジェクトを組み込んだり、同期対象から除外したりすることができます。複数の属性値に基づいて同期をフィルター操作する場合、評価する属性ごとに構成プロパティーの追加セットを作成する必要があります。詳細については、コラボレーション・テンプレートの標準プロパティーを参照してください。

  5. 必要な場合は、Additional Processing サブダイアグラムにコードを追加して、追加のコラボレーション機能を作成します。サブダイアグラムには、CollaborationFoundation テンプレートのような機能はありません。サブダイアグラムの目的は、コラボレーションのカスタマイズを容易にすることにあります。
  6. コラボレーション・テンプレートを保管し、コンパイルします。

CollaborationFoundation ポート

図 10 に、CollaborationFoundation のポートを示します。図に続く表には、各ポートの詳細を示します。

図 10. CollaborationFoundation コラボレーションのポート


DestinationAppRetrieve ポート

表 10 に、CollaborationFoundation の DestinationAppRetrieve ポートの機能をリストします。

表 10. ポート機能 (DestinationAppRetrieve ポート)
ポート機能
ビジネス・オブジェクト 参照値を持つ BusObj。デフォルト値は Controller です。
使用する動詞 Retrieve
差し戻し動詞 なし
目的 宛先から完全な値を持つビジネス・オブジェクトを検索し、それを使用して動詞を設定します。
バインド先 宛先アプリケーションのコネクター
構成プロパティー USE_RETRIEVE

To ポート

表 11 は、CollaborationFoundation の To ポートの機能をリストしています。

表 11. ポート機能 (To ポート)
ポート機能
ビジネス・オブジェクト 完全な値を持つ BusObj。デフォルト値は Controller です。
使用する動詞 Create、Update、または Delete
差し戻し動詞 なし
目的 コラボレーションの外部にビジネス・オブジェクトを送信します。コラボレーションは、このポートを使用して宛先にトリガー・ビジネス・オブジェクトのコピーを送信することがあります。
バインド先 宛先アプリケーションのコネクターまたは別のコラボレーション (追加処理用)
構成プロパティー なし

From ポート

表 12 に、CollaborationFoundation の From ポートの機能をリストします。

表 12. ポート機能 (From ポート)
ポート機能
ビジネス・オブジェクト triggeringBusObj (デフォルト値は Controller)
使用する動詞 Create、Retrieve、Update、または Delete
差し戻し動詞 なし
目的 トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。
バインド先 ソース・アプリケーションまたは呼び出し側コラボレーション
構成プロパティー なし

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