ビジネス・オブジェクトのアプリケーション固有情報

ビジネス・オブジェクト定義のアプリケーション固有情報は、ビジネス・オブジェクトの処理方法に関する、アプリケーションに依存した指示を RFC Server Module に提供します。これらの指示は、ビジネス・オブジェクト・レベルや属性レベル (単純属性と、子ビジネス・オブジェクトまたは子ビジネス・オブジェクトの配列を表す属性の両方) で指定されたり、動詞に対して指定されます。

トップレベル・ビジネス・オブジェクトの Server 動詞の AppSpecificInfo

コネクターは、トップレベル・ビジネス・オブジェクトの Server 動詞のアプリケーション固有情報の値を使用して、適切な RFC Server 固有ビジネス・オブジェクト・ハンドラーを呼び出したり、イベント処理のための宛先コラボレーションを決定したりします。Server 動詞の AppSpecificInfo プロパティーの値は、以下の情報を指定します。

書式は次のとおりです。

AppSpecificInfo = bapi.server.BOHandler;Collab=CollaborationName
 

ここで、BOHandler はクラスの名前、CollaborationName は宛先コラボレーションの名前です。

SAPODA は、Server 動詞のアプリケーション固有情報をトップレベル・ビジネス・オブジェクトに自動的に追加します。ビジネス・オブジェクト・ハンドラーのクラス名の値には、RFC 対応機能の名前を使用します。コラボレーション名パラメーターの値は提供しません。そのため、コラボレーションの名前を手動で追加する必要があります。

注:
SAP 用の WebSphere ビジネス・オブジェクトと、RFC Server 固有ビジネス・オブジェクト・ハンドラーとの間には、1 対 1 の関係があります。ビジネス・オブジェクト・ハンドラーのクラス・ファイルは、¥connectors¥SAP¥bapi¥server ディレクトリーに配置する必要があります。
重要:
RFC Server 固有ビジネス・オブジェクト・ハンドラーがサーバーとして動作することを示すために、ビジネス・オブジェクト・ハンドラー名の前に値 server を組み込む必要があります。

例えば、BAPI_PO_CREATE RFC 対応機能をサポートしており、宛先コラボレーションの名前が POCollab である場合、動詞のアプリケーション固有情報は次のようになります。

AppSpecificInfo =bapi.server.Bapi_po_create;Collab=POCollab 
 

属性の AppSpecificInfo

コネクターは、属性のアプリケーション固有情報の値を使用して、どのインポート・パラメーター、エクスポート・パラメーター、および表パラメーターを使用するかを決定します。このプロパティーの値には、プレフィックス I (インポート・パラメーターの場合) または E (エクスポート・パラメーターの場合) が含まれています。このプレフィックスは、属性値がデータを SAP アプリケーションに渡すために使われるのか、SAP アプリケーションからデータを渡すために使われるのかを示します。

構造体パラメーターはインポートとエクスポートの場合があるため、パラメーター値の前に I または E が使用されます。表パラメーターは、RFC 対応機能にデータを渡したり、RFC 対応機能からデータを戻したりすることができるため、IE の両方のパラメーター値を持つことができます。

重要:
I および E を使用してパラメーター値を指定するときには、区切り文字としてコロン (:) を必ず使用します。インポート値のみを指定する場合は、値の後にコロンを付ける必要があります。エクスポート値のみを指定する場合は、値の前にコロンを付ける必要があります。両方の値を指定する場合には、インポート値を先に、エクスポート値を後に指定し、両者をコロンで区切ります。

図 28 に、1 つのビジネス・オブジェクトとサンプル RFC 対応機能 (BAPI_EXAMPLE) の間のマッピングを示します。この例では、単純属性 (Attribute_1、Attribute_2、および Attribute_3) は、インポート・パラメーターまたはエクスポート・パラメーターのみを指定しています。子ビジネス・オブジェクトを表す属性 (Child_1) は、エクスポート構造体パラメーターにマップされます。子ビジネス・オブジェクトの配列を表す属性 (Child_2) は、表パラメーターにマップされます。

各子ビジネス・オブジェクトには、対応する構造体またはテーブルのフィールドにマップされる単純属性 (それぞれ Attribute_11 と Attribute_14) があります。これらのフィールドは、BAPI の詳細を参照することで確認できます。

図 28. ビジネス・オブジェクトと BAPI 例とのマッピング


表 44 に、特定の種類の属性に対するアプリケーション固有情報の書式を示します。

表 44. 特定の種類の属性に対する AppSpecificInfo の書式
AppSpecificInfo の書式 属性のタイプ
IParameterName:EParameterName 単純
ITableName:ETableName 表パラメーターにマップされる、子ビジネス・オブジェクトを表します。
IStructureName:EStructureName 構造体パラメーターにマップされる、子ビジネス・オブジェクトを表します。
IFieldName:EFieldName 表パラメーターまたは構造体パラメーターのフィールドにマップされる、子ビジネス・オブジェクトの属性を表します。

SAPODA は、ビジネス・オブジェクト定義に対する適切なアプリケーション固有情報を自動的に生成します。生成されたアプリケーション固有情報のパラメーター名は、変更しないようにお勧めします。

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