コラボレーション・テンプレートの標準的なプロセス

このセクションでは、標準的な WebSphere Business Integration Server Express コラボレーションのビジネス・プロセス・フローを説明します。標準のプロセスは、以下のようになります。

ビジネス・プロセスのフローは、トリガーとなる動詞およびコラボレーション・オブジェクトの構成プロパティーの値によって異なります。

Retrieve プロセス

コラボレーションは、Retrieve 動詞を使用するトリガー・ビジネス・オブジェクトを受信できます。ソース・アプリケーションのビジネス・オブジェクトは、属性に相互参照のキー値が含まれている場合にこの動詞を使用すると想定されています。ビジネス・オブジェクトのマップおよび宛先アプリケーションのコネクターは、基本キーを使用して宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを戻します。

図 81 に、トリガー動詞が Retrieve である場合にビジネス・オブジェクトを検索するコラボレーションのプロセスを示します。

図 81. Retrieve プロセス


Use_Retrieve プロセス

図 82 に、USE_RETRIEVE 構成プロパティーが true と評価される場合のコラボレーションの Use_Retrieve Process を示します。構成プロパティーについては、TABLEA3 のエントリーを参照してください。

図 82. Use_Retrieve プロセス


表 89 に、トリガー動詞が Create である場合の USE_RETRIEVE プロパティーと CONVERT_CREATE プロパティーとの設定の関係を示します。USE_RETRIEVE プロパティーと CONVERT_UPDATE プロパティーの関係もこれと同様です。

表 89. USE_RETRIEVE プロパティーと CONVERT_CREATE プロパティーとの関係
USE_RETRIEVE の値 CONVERT_CREATE の値 アクション
true True 宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。

宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトを戻さない場合は、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞と共に宛先アプリケーションへ送信します。

宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトを戻した場合は、ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトが同一であるかどうかを確認します。

  • 同一である場合は、ビジネス・オブジェクトが同一であり処理が停止されることを示す例外を生成します。
  • 同一でない場合は、Create 動詞を Update 動詞に変換し、ビジネス・オブジェクトを宛先に送信します。
false True ビジネス・オブジェクトを Create 動詞と共に宛先アプリケーションへ送信します。
  • 宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトの作成に失敗した場合は、Create 動詞を Update 動詞に変換してビジネス・オブジェクトを再送します。
  • 宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトの作成に成功した場合は、処理を継続します。
false False ビジネス・オブジェクトを Create 動詞と共に宛先アプリケーションへ送信します。
  • 宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトの作成に失敗した場合は、例外を生成して処理を停止します。
  • 宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトの作成に成功した場合は、処理を継続します。
true False 宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。

宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトを戻さない場合は、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞と共に宛先アプリケーションへ送信します。

宛先アプリケーションがビジネス・オブジェクトを戻した場合は、ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトが同一であるかどうかを判別します。

  • 同一である場合は、CONVERT_CREATE プロパティーが false と評価され、処理が停止されることを示す例外を生成します。
  • 同一でない場合は、例外が生成され、処理が停止されます。

フィルター操作プロセス

図 83 に、指定された属性で値に基づいてビジネス・オブジェクトをフィルター操作するコラボレーションのプロセスを示します。

図 83. フィルター操作プロセス


上の図は、「1_」ではなく「X_」を持つフィルター構成プロパティーを示しています。これは、複数の属性でフィルター操作を行うために、フィルター構成プロパティーのセットをコラボレーションに追加できることを示しています。フィルター・プロパティーの追加の詳細については、トリガー・ビジネス・オブジェクトでのデータのフィルター操作および 表 90 を参照してください。

1_FAIL_ON_INVALID_VALUE が false と評価された場合のコラボレーションの振る舞いを理解するため、BusObjA というトップレベルのビジネス・オブジェクトに BusObjB という子ビジネス・オブジェクトの配列が含まれていると想定します。また、各 BusObjB 子ビジネス・オブジェクトに BusObjC という子ビジネス・オブジェクトの配列が含まれていると想定します。BusObjB ビジネス・オブジェクト内の Type という属性でフィルター操作するには、1_FILTER_ATTRIBUTE の値を BusObjA.BusObjB.Type に設定します。Type に「Non-standard」の値が含まれているビジネス・オブジェクトをすべて除外するには、1_EXCLUDE_VALUES プロパティーの値を「Non-standard」に設定します。

次に、BusObjB の配列内でビジネス・オブジェクトのいずれかの Type 属性に「Non-standard」の値があり、1_FAIL_ON_INVALID_VALUE が false に評価されたとします。コラボレーションは、このビジネス・オブジェクトおよびその子ビジネス・オブジェクトを処理から除去します。

注:
フィルター操作に失敗した属性がトップレベルのビジネス・オブジェクトに含まれている場合、コラボレーションはビジネス・オブジェクト全体の処理を続行します。

Additional Retrieve プロセス

コラボレーションの ADDITIONAL_RETRIEVE プロパティーが true に評価されると、コラボレーションは、データとの同期が成功した後に、宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。このプロパティーは、ソース・アプリケーションが宛先アプリケーションから完全な値を持つビジネス・オブジェクトを受け取る必要があるが、宛先アプリケーションのコネクターがデータの作成または更新後に完全なビジネス・オブジェクトを戻さないという場合に役立ちます。ADDITIONAL_RETRIEVE 構成プロパティーの詳細については、コラボレーション・テンプレートの標準プロパティーを参照してください。

図 84 に、コラボレーションの Additional Retrieve プロセスを示します。

図 84. Additional Retrieve プロセス


エラー処理の E メール・プロセス

コラボレーションの SEND_EMAIL プロパティーおよび INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーの設定は、コラボレーションが次のいずれかを実行するかどうかを決定します。

図 85 に、コラボレーションで E メールを送信するプロセスおよび特定の例外によってコラボレーションを失敗で終了するかどうかを決定するプロセスを示します。

図 85. エラー処理の E メール・プロセス


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