Object Discovery Agent を使用してビジネス・オブジェクト定義を作成する方法

このセクションでは、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトのビジネス・オブジェクト定義を、Object Discovery Agent (ODA) を使用して生成する方法について説明します。

ODA は、アダプターのオプショナル・コンポーネントです。

ODA を持つアダプターをインストールすると、ODA は自動的にインストールされます。カスタム・アダプターを開発しており、ODA を使用してビジネス・オブジェクト定義を作成する場合は、Object Discovery Agent Development Kit (ODK) を使用して開発できます。

カスタム ODA の開発については、Object Discovery Agent の開発を参照してください。

ODA の構成と実行には、Business Object Designer のビジネス・オブジェクト・ウィザードを使用します。ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、ODA に対するグラフィカル・ユーザー・インターフェースであり、検出やコンテンツ生成のプロセスの管理を行います。このセクションの内容は次のとおりです。

ODA を使用するための準備

ODA を実行する前に、次の各項目にあてはまることを確認してください。

システム始動ファイル

ODA を開始するには、ODA に必要なファイルがご使用のシステムにあることを確認しておく必要があります。ODA を持つ定義済みアダプターをインストールすると、必要な ODA システム始動ファイルが自動的にインストールされます。カスタム ODA を持つカスタム・アダプターを開発している場合、必要な ODA システム始動ファイルはその ODA の開発の過程で作成されます。ただし、始動スクリプトがあるかどうか、およびご使用の ODA に適したものであるかどうかを確認することをお勧めします。

各 ODA は、それぞれ始動スクリプト を必要とします。始動スクリプトは、ODA の実行を開始するものです。

ODA を最初に開始する前に、始動スクリプト内の変数が正しく設定されていることを確認しておく必要があります。シェル・ファイル (start_ODAname.sh) またはバッチ・ファイル (start_ODAname.bat) を編集できるように開き、表 10 の説明どおり値が正しく設定されていることを確認してください。

表 10. ODA シェル・ファイルおよびバッチ・ファイルの構成変数
変数 説明
set AGENTNAME ODA の名前 set AGENTNAME=ODAname
set AGENT ODA の JAR ファイルの名前

WINDOWS: set AGENT = %ProductDir%¥ODA¥srcDataName¥ODAname.jar

set AGENTCLASS ODA の Java クラスの名前 set AGENTCLASS=com.ibm.oda.srcDataName.ODAname

ODA の名前 (ODAname) とソース・データ名 (srcDataName) については、ODA の名前付けを参照してください。

ODA の開始

Windows オペレーティング・システムの場合、次の始動スクリプトを使用して ODA を開始できます。
Windows

start_srcDataNameODA.bat
 

Business Object Designer Express のビジネス・オブジェクト・ウィザードを使用して、ODA を構成および実行します。ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、各スクリプト・ファイルまたはバッチ・ファイルの AGENTNAME 変数に指定されている名前を基に各 ODA を探し出します。

注:
ODA のインスタンスを複数開始する方法については、複数の ODA の同時使用を参照してください。

Business Object Designer Express の開始

ODA を開始したら、Business Object Designer Express を開き、構成して実行する必要があります。Business Object Designer Express を開く方法については、Business Object Designer Express の開始を参照してください。Business Object Designer Express にはビジネス・オブジェクト・ウィザードがあり、このウィザードに従うと順を追って ODA を実行できます。

ビジネス・オブジェクト・ウィザードを開始するには、以下の手順を実行します。

  1. 表 9 に示す方法のいずれかを使用して Business Object Designer Express を開きます。
  2. 「ファイル」->「ODA を使用して新規作成」をクリックします。

ビジネス・オブジェクト・ウィザードが開始され、ウィザードの最初のダイアログ・ボックス (「エージェントの選択」) が表示されます。表 11 に、ビジネス・オブジェクト・ウィザードのステップについて要約します。


表 11. ビジネス・オブジェクト・ウィザードのステップ
作業 ビジネス・オブジェクト・ウィザードのステップ
1. 必要な ODA を選択する。 ステップ 1: エージェントの選択
2. 構成プロパティーを取得します (開くデータ・ソースを記述する構成プロパティーも含めて)。 ステップ 2: エージェントの構成
3. ODA によるコンテンツ生成の対象となるソース・データを取得する。 ステップ 3: ソースの選択
4. 選択されたソース・ノードがコンテンツ生成に使用したいノードであることを確認する。 ステップ 4: ソース・ノードの確認
5. コンテンツ生成プロセスを開始する。 ステップ 5: ビジネス・オブジェクトの生成中


ビジネス・オブジェクト・プロパティー
6. ビジネス・オブジェクト定義をユーザー指定のフォーマットで保管する。 ステップ 6: ビジネス・オブジェクトの保管

ビジネス・オブジェクト・ウィザードによる ODA 実行の例については、サンプル ODA の使用を参照してください。

サンプル ODA の使用

ローマ軍兵士のデータ (XML 形式) をビジネス・オブジェクト定義に変換するサンプル Object Discovery Agent が、IBM から提供されています。ODA の使用方法を十分に理解できるように、このサンプル ODA を使用して、ビジネス・オブジェクト定義の生成方法を以下に段階的に説明します。

注:
このサンプル ODA の場所とファイルについては、ODA の開発サポートを参照してください。

このセクションでは、次の作業について説明します。

サンプル ODA の開始

Adapter Development Kit (ADK) がインストールされている場合、サンプル ODA とそれを実行するためのファイルは、製品ディレクトリーの下の DevelopmentKits¥Odk¥Samples ディレクトリーに格納されています。サンプル ODA を実行するためのファイルは、ご使用のオペレーティング・システム環境によって異なります (表 12 を参照)。

表 12. サンプル Roman Army ODA の始動スクリプト
オペレーティング・システム 始動スクリプト
Windows start_Agent4.bat

注:
サンプル Roman Army ODA には 5 つのバージョンがあります。これは、ODA のさまざまな機能の実例を紹介するためです。このセクションでは、このサンプル ODA の 4 番目のバージョンについて説明します。このバージョンは、start_Agent4 始動スクリプトと ArmyAgent4 クラス・ファイルを使用します。

サンプル Roman Army ODA には 5 つのバージョンがあるため、すべての始動スクリプトが start_AgentX という名前の 1 つの共通始動スクリプトを呼び出し、スクリプトに ODA クラス名を渡します (この名前は start_AgentX 内の AGENTCLASS 構成変数に割り当てられます)。つまり、start_Agent4 始動スクリプトは start_AgentX に対する呼び出しを含み、このスクリプトに次のパスを ODA クラス名として渡します。

com.ibm.btools.ODK2.RomanArmy.ArmyAgent4
 

このサンプル ODA の構成変数を検証するには、start_AgentX バッチ・ファイルまたはスクリプト・ファイルを調べて、構成変数が表 13 の構成変数と一致していることを確認します。サンプル Roman Army ODA のバージョン 4 が使用するファイルを移動するときは、対応する構成変数も必ず変更してください。

表 13. サンプル Roman Army ODA の構成変数
変数 サンプル Roman Army ODA 用の値
AGENTNAME set AGENTNAME=Roman
AGENT

WINDOWS: set AGENT = %ProductDir%¥DevelopmentKits¥Odk¥Samples¥RomanArmy¥ArmyODA.jar

FILE_LOCATION

WINDOWS: set FILE_LOCATION = %ProductDir%¥DevelopmentKits¥Samples¥Odk¥RomanArmy¥RomanArmy.xml

重要

接続を試みる前に、ビジネス・オブジェクト・ウィザードを使用してサンプル ODA を起動しておく必要があります。ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、起動済みの ODA のみを探し出します。

ODA を使用したビジネス・オブジェクト定義の作成

ビジネス・オブジェクト・ウィザードを開始するには、以下の手順を実行します。

  1. 表 9 に示す方法を使用して Business Object Designer Express を開きます。
  2. 「ファイル」->「ODA を使用して新規作成」をクリックします。

    ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、ウィザードの最初のダイアログ・ボックス (「エージェントの選択」) を表示します。このダイアログ・ボックスを図 34 に示します。

    図 34. 「エージェントの選択」ダイアログ・ボックス


  3. ビジネス・オブジェクト・ウィザードの接続先 ODA を、次のいずれかの操作で選択します。
    1. 「エージェントの検索」をクリックし、「検索されたエージェント」リストに現在実行中の ODA (それぞれの始動スクリプトを使用して開始されたエージェント) を表示します。
      注:
      必要な ODA がビジネス・オブジェクト・ウィザードで検出されない 場合は、その ODA が開始済みかどうかを確認してください。

      ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、ODA の始動スクリプトまたはバッチ・ファイルの AGENTNAME 変数に指定されている名前を基に、実行されている ODA のそれぞれを識別します。ここでのサンプル ODA の名前は Roman です。

    2. 「検索されたエージェント」リストから必要な ODA を選択します。

      ビジネス・オブジェクト・ウィザードが選択内容を「エージェント名」として表示します。また、ODA のホスト名とポート番号を指定して、ODA を検索することもできます。

  4. 「次へ」 をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、指定された ODA への接続を試みます。

    ODA が開始済みの場合、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、ODA への接続時に、図 35 に示す状況ウィンドウを表示します。

    図 35. ODA への接続


  5. ビジネス・オブジェクト・ウィザードが ODA に接続すると、ウィザードの 2 番目のダイアログ・ボックス (「エージェントの構成」) が表示されます。このダイアログを図 36 に示します。

    このダイアログ・ボックスには、データ・ソースへのアクセスおよび ODA の初期化に必要な ODA 構成プロパティーが表示されます。

    図 36. 「エージェントの構成」ダイアログ・ボックス


  6. ODA の構成値を指定するか、プロファイルを選択して以前に保管した値を表示します。

    ODA の必須構成領域の 1 つに、ロギングとトレースをセットアップするための領域があります。詳しくは、ロギングとトレースの設定 を参照してください。

    各 ODA を最初に使用するときには、その ODA の各構成プロパティーの値を指定する必要があります。この後、「保管」をクリックすることにより、指定した名前のプロファイルにプロパティー値を保管することができます。

    次に同じ ODA を使用するときには、保管済みのプロファイルを「プロファイルを選択」ボックスから選択できます。詳しくは、"値の入力とプロファイルの保管"を参照してください。

  7. 「次へ」をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードに、ウィザードの 3 番目のダイアログ・ボックス (「ソースの選択」) が表示されます。このダイアログ・ボックスを図 37 に示します。

    「ソースの選択」ダイアログ・ボックスには、ソース・ノード階層 が表示されます。これは、トップレベルのオブジェクトが最上位に配置され、その下に子オブジェクトが配置される、ツリー構造です。通常、「ソースの選択」ダイアログ・ボックスの初期表示には、トップレベルのソース・ノードのみが表示されます。
    重要

    「次へ」をクリックしても ODA が動作しない場合は、MessageFile 構成プロパティーに指定されている ODA メッセージ・ファイルが ProgramDir¥ODA¥messages ディレクトリーにあるかどうかを確認してください。ここでのサンプル ODA の場合、このメッセージ・ファイルのデフォルトの名前は RomanAgent.txt です。詳しくは、ODA メッセージ・ファイルの指定 を参照してください。

    図 37. 「ソースの選択」ダイアログ・ボックスの初期表示


    ソース・ノード階層のノードになるのは、テーブル名、ビジネス・オブジェクト名、スキーマ、または関数です (ODA のデータ・ソースによって異なります)。ここでのサンプル ODA は、RomanArmy.xml という名前の XML ファイルに含まれるオブジェクトから、ノードを生成します。図 37 に、Army general 構成プロパティー (図 36 を参照) に指定されているローマ軍将官に対応する、単一のトップレベルのソース・ノードを示します。

  8. ODA によって生成するビジネス・オブジェクト定義の対象になるオブジェクトを、ソース・ノード階層から選択します。ソース・ノードを 1 つだけ選択するには、そのノードの名前をクリックします。ノードを追加で選択するには、Ctrl キーを使用します。図 38 では、いくつかのソース・ノードが展開され、XML オブジェクトに対応する 3 つのソース・ノードが選択されています。

    図 38. ソース・ノードが展開および選択された「ソースの選択」ダイアログ・ボックス


    ソース・ノードを展開してその子ノードを表示するには、次のいずれかの操作を行います。

    図 39. ノードの右クリック


    注:
    ビジネス・オブジェクト・ウィザードには、ソース・ノード階層のノード間を移動できる仕組みが、ほかにもいくつか用意されています。詳しくは、ソース・ノード階層内での移動を参照してください。
  9. 生成するビジネス・オブジェクト定義の対象になるソース・ノードを選択したら、「次へ」をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードに、ウィザードの 4 番目のダイアログ・ボックス (「ソース・ノードの確認」) が表示されます。このダイアログ・ボックスを図 40 に示します。

    このダイアログ・ボックスでは、どのソース・ノードを選択したかを確認できます。選択したソース・ノードは、太字で表示されます。図 40 では、CordiusCicero、および Vulso に対応するソース・ノードが選択されています。

    図 40. 生成するビジネス・オブジェクト定義の対象になるオブジェクトの確認


    選択に誤りがあった場合には、「戻る」をクリックして直前のダイアログ・ボックスに戻り、必要な変更を加えます。

  10. 選択が正しい場合には、「次へ」をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードに、ウィザードの 5 番目の画面 (「ビジネス・オブジェクトの生成中」) が表示されます。この画面を図 41 に示します。

    この画面は、ODA がビジネス・オブジェクト定義を生成中であることをユーザーに通知します。

    図 41. 定義の生成


    ODA に追加情報を指定する必要がある場合、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは「BO プロパティー」ダイアログ・ボックスを表示し、ユーザーにその情報を入力するように促します。

    ただし、ここでのサンプル ODA には、追加情報は必要ありません。「BO プロパティー」ダイアログ・ボックスについて詳しくは、追加情報の指定を参照してください。

  11. ODA によるビジネス・オブジェクト定義の生成が完了すると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードにはウィザードの最後のダイアログ・ボックス (「ビジネス・オブジェクトの保管」) が表示されます。このダイアログ・ボックスを図 42 に示します。

    このダイアログ・ボックスには、ODA によって生成されたビジネス・オブジェクト定義を保管できる、以下のオプションが用意されています。

    重要

    ODA がビジネス・オブジェクト定義を生成するときに、キー要素が特定されていない データ・ソース・オブジェクトが生成元のオブジェクトになっていると、生成されたビジネス・オブジェクト定義はキー属性を持ちません。どのビジネス・オブジェクトも、少なくとも 1 つのキー を持っていなければなりません。キーを持たないビジネス・オブジェクト定義が ODA によって生成されたおそれがある場合には、ビジネス・オブジェクト定義を保管する代わりに、「別のウィンドウで新規ビジネス・オブジェクトを開く」オプションを選択するようにします。Business Object Designer Express では、各ビジネス・オブジェクト定義にキー属性があるかどうかを検証して、ない場合にはキー属性を追加することができます。Business Object Designer Express では、キーを持たないビジネス・オブジェクト定義は保管できません。

    図 42. ビジネス・オブジェクト定義の保管


    「完了」 をクリックしてビジネス・オブジェクト定義を保管します。または、「キャンセル」 をクリックし、定義を保管しないで終了します。どちらの場合も、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは ODA から切断されます。このダイアログ・ボックスには、ビジネス・オブジェクト・ウィザードに、ODA からの切断後 ODA をシャットダウンさせるオプションもあります。ODA を引き続き使用する必要がない場合は、このオプションを選択します。

    ビジネス・オブジェクト定義をファイルに保管するオプションを選択した場合、「完了」をクリックすると、参照ウィンドウが開き、そのファイルの名前、保管場所、および使用するフォーマット (テキスト・ファイルまたは InterChange Server Express 固有のフォーマット) を指定できます。

以上で、Object Discovery Agent を使用することによりビジネス・オブジェクト定義が正常に作成されました。

値の入力とプロファイルの保管

ODA の構成値のセットをプロファイルに保管して、その ODA を将来使用するときに利用できるようにすることができます。プロファイルを保管するには、以下の手順を実行します。

  1. ステップ 2 の、ビジネス・オブジェクト・ウィザードの「エージェントの構成」ダイアログ・ボックスで、「プロファイル」の下の「新規」ボタンをクリックします。
    注:
    既存のプロファイルを基にして新しいプロファイルを作成する場合には、プロファイルのリスト (ドロップダウン・リスト) から、目的のプロファイルを探し出します。「新規」ボタンはクリックしないでください
  2. 「現在」リストにプロファイルの名前を入力します (図 36 を参照)。
    注:
    既存のプロファイルを基にして新しいプロファイルを作成する場合には、プロファイルのリスト (ドロップダウン・リスト) にある既存のプロファイルの名前を上書きします。
  3. 「エージェントの構成」 ダイアログのテーブルに、適切な構成値を入力します。
  4. 「保管」ボタンをクリックします。

    ビジネス・オブジェクト・ウィザードによって、プロファイルが次のディレクトリーに保管されます。

    C:¥Documents and Settings¥All Users¥Application Data¥CrossWorlds¥
        BusObjDesigner¥profiles.bod
     

ロギングとトレースの設定

ODA を構成する際には、ロギングとトレースをセットアップしなければなりません。ODA のロギングとトレースに関する情報は、ビジネス・オブジェクト・ウィザードの「エージェントの構成」ダイアログ・ボックスで指定します。ビジネス・オブジェクト・ウィザードには、表 14 に示す ODA の標準構成プロパティーが必ず表示されます。


表 14. ODA の標準構成プロパティー
プロパティー名 プロパティーの型 説明
TraceFileName
 
String ODA がトレース情報を書き込む先のファイルを指定。詳しくは、"トレース・ファイルとトレース・レベルの指定"を参照してください。
TraceLevel
 
 
 
Integer ODA に適用されるトレース・レベル。詳しくは、"トレース・ファイルとトレース・レベルの指定"を参照してください。
MessageFile
 
String ODA のエラー/メッセージ・ファイルの名前。このプロパティーを使用して、既存のファイルの確認や指定をします。詳しくは、"ODA メッセージ・ファイルの指定"を参照してください。

このセクションの内容は次のとおりです。

トレース・ファイルとトレース・レベルの指定

図 43 は、ビジネス・オブジェクト・ウィザードの「エージェントの構成」ダイアログ・ボックスを示しています。トレース・ファイルの名前とトレース・レベルの指定は、このダイアログ・ボックスで行います。

図 43. トレース情報の指定


トレース・ファイルの指定

TraceFileName 構成プロパティーは、ODA のトレース・ファイル の名前を指定します。

このファイルは、ODA が記録するすべての トレース・メッセージおよびエラー・メッセージの記録先になります。デフォルトでは、トレース・ファイルには次の命名規則に基づく名前が ODA ランタイムによって付けられます。

ODAnametrace.txt
 

ここで、ODAname は、ODA を一意的に識別できる名前です。詳しくは、ODA の名前付け を参照してください。例えば、ODA の名前が HTMLODA である場合、HTMLODAtrace.txt という名前のトレース・ファイルが生成されます。

注:
ODK API では、1 つのメソッドでトレース・メッセージとエラー・メッセージの両方 を記録します。そのため、ODA はこれらの 2 種類のメッセージを 1 つのファイルに記録します。したがって、このファイルは、トレース・ファイルという名前でありながら、ODA が生成したエラー・メッセージも含むことになります。

指定されたトレース・ファイルが存在しない 場合、ODA は、そのファイルを ODA のランタイム・ディレクトリー (製品ディレクトリーの ODA¥srcDataName サブディレクトリー) 内に作成します。指定されたトレース・ファイルが既に存在する場合、ODA はそのファイルに追記します。ODA を構成するときに TraceFileName プロパティーを再設定することで、別のトレース・ファイル名を指定することができます。

トレース・レベルの設定

TraceLevel 構成プロパティーは、ODA のシステム・トレース・レベル を指定します。

ODA のトレース・メソッドは、メッセージのトレース・レベルがこのシステム・トレース・レベルよりも低いか等しい場合に、指定されたメッセージをトレース・ファイルに送信します。

したがって、記録されたトレース・メッセージに含まれる情報の詳しさは、システム・トレース・レベルによって決まります。トレース・レベルとそれに対応する動作を表 15 に示します。

表 15.
トレース・レベル
レベル 動作
0 指定されたトレース・ファイルにエラー・メッセージを書き込みます。
1 メソッドが開始された場合は必ずトレースします。各ビジネス・オブジェクト定義に対応する状況メッセージおよびキー情報の収集に有用です。
2 エージェント・プロパティーおよび受け取った値のトレースをとります。
3
  • ビジネス・オブジェクトの名前のトレースをとります。
  • ビジネス・オブジェクト・プロパティーおよび受け取った値のトレースをとります。

4
  • すべてのスレッドの作成のトレースをとります。
  • メソッドの開始と終了に関するメッセージのトレースをとります。

5
  • Object Discovery Agent の初期状態を表し、すべての Object Discovery Agent プロパティーを対象として検索した値をログに記録します。
  • Object Discovery Agent により作成された各スレッドの詳細状況のトレースをとります。
  • ビジネス・オブジェクト定義ダンプのトレースをとります。

ODA でのトレース・メッセージの生成方法については、トレース・メッセージとエラー・メッセージの処理を参照してください。

ODA メッセージ・ファイルの指定

MessageFile 構成プロパティーは、ODA のメッセージ・ファイル の名前を指定します。

ODA のエラー・メッセージとトレース・メッセージは、この ODA メッセージ・ファイルに格納しておくことができます。ODA 自体にメッセージ・テキストを作成する代わりに、ファイルに格納したメッセージをメッセージ番号で検索できます。メッセージをメッセージ・ファイル内に分離することで、ODA が使用される可能性があるさまざまなロケールの言語に、ODA メッセージを容易に翻訳できるようになります。

デフォルトでは、メッセージ・ファイルには次の命名規則に基づく名前が ODA ランタイムによって付けられます。

ODAnameAgent.txt
 

ここで、ODAname は、ODA を一意的に識別できる名前です。詳しくは、ODA の名前付け を参照してください。例えば、ODA の名前が HTMLODA である場合、MessageFile プロパティーの値は、デフォルトでは HTMLODAAgent.txt になります。メッセージ・ファイルは、次のメッセージ・ファイル・ディレクトリー内になければなりません。

ProductDir¥ODA¥messages
 
重要

ODA は、指定されたメッセージ・ファイルが存在しない 場合や、メッセージ・ファイル・ディレクトリー内にない場合には、実行時例外を生成します。ODA の実行に進む前に、MessageFile に指定されているメッセージ・ファイルが存在することを確認してください。

別のファイルを ODA のメッセージ・ファイルとして使用する場合は、MessageFile プロパティーを設定して、別のトレース・ファイル名を指定してください。

米国英語以外のロケールを使用している場合は、ファイル名にロケールの名前を含む ODA メッセージ・ファイルをビジネス・オブジェクト・ウィザードが自動的に参照します。

ODAnameAgent_locale.txt
 

locale の書式は「ll_TT」です。ll は 2 文字の言語名 (小文字)、TT は 2 文字の国名または地域名 (大文字) です。例えば、HTMLODA という名前の ODA のメッセージ・ファイルが日本語ロケール向けにローカライズされると、そのメッセージ・ファイルの名前は次のようになります。

HTMLODAAgent_ja_JP.txt
 

注:
米国英語以外のロケールにログインしているときに、MessageFile プロパティーに米国英語以外の名前を指定する必要はありません。例えば HTML ODA を使用している場合、MessageFile を米国英語のファイル名 (HTMLODAAgent.txt) に設定します。日本語ロケールにログインしている場合、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、日本語ロケールの正しいメッセージ・ファイルである HTMLODAAgent_ja_JP.txt を探し出します。

ODA スクリプト・ファイルまたはバッチ・ファイルのインスタンスを複数作成し、各インスタンスに対応する ODA に固有の名前を指定した場合には、それぞれの ODA インスタンスごとにメッセージ・ファイルを持つことができます。詳しくは、複数の ODA の同時使用 を参照してください。

ソース・ノード階層内での移動

ビジネス・オブジェクト・ウィザードの「ソースの選択」ダイアログ・ボックスには、ソース・ノード階層のノード間での移動のための以下の仕組みが用意されています。

子ノードの表示の制限

ステップ 8 に示したソース・ノードの展開方法は、展開可能なノードのすべての 子ノードを表示する方法を説明したものです。表示するオブジェクトを制限するには、ノード名を右クリックすると表示される以下のいずれかのメニュー・アイテムを使用します (図 39 を参照)。

フィルターの使用

「フィルターを適用」メニュー項目を使用すると、現在選択されているソース・ノードの中で開かれるものを制限できるフィルター を指定できます。このメニュー項目をクリックすると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、図 44 に示す「ノードへのフィルターの適用」ダイアログ・ボックスを表示します。

図 44. 表示内容を制限するためのフィルターの指定


フィルター条件のテキストには、任意の数 (0 個を含む) の文字を表すワイルドカードとして、アスタリスク文字 (*) を使用できます。このワイルドカード文字は、必要に応じて、どの位置にも、何箇所でも指定できます。例えば、SAP*、*SAP*SAP*、または *S*AP* といった指定が可能です。

「OK」をクリックすると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、親ノードに属する子ノードのうち現在取得済みのものの中から、名前がフィルター条件のテキストに一致するものを検索します。その親ノードを展開すると、名前がこのテキストに一致する子ノードだけが表示されます。

重要:
ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、フィルターを受け付けると、現在取得済みのソース・ノード内で、親ノードに属する子ノードのうち条件に一致するものを検索します。つまり、条件に一致する子ノードをデータ・ソース内で検索するわけではありません。ビジネス・オブジェクト・ウィザードにデータ・ソース内を検索させるには、検索パターンを指定します。詳しくは、検索パターンの指定 を参照してください。

例えば、サンプル Roman ODA の場合、Uulius ノードには、AresCronusAtlasMetis の 4 つの子ノードがあります。図 44 に示したフィルター (「A*」) を Uulius ノードに適用した場合、ビジネス・オブジェクト・ウィザードでこのノードを展開すると、図 45 のように表示されます。

図 45. 展開されたフィルター適用済みノード


ノードのトップでフィルターを指定してからそのノードを展開した場合、そのノードを右クリックして「親のフィルターを適用」をクリックすると、子オブジェクトに同じフィルターを適用することができます。「すべての項目を検索」メニュー項目をクリックした場合には、親ノードのフィルターがすべての要素に適用されます。

検索パターンの指定

「項目を検索」 メニュー項目を使用すると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードがデータ・ソースから選択するソース・ノードを絞り込む、検索パターン を指定することができます。「項目を検索」をクリックすると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードによって「検索パターンの入力」ダイアログ・ボックスが表示されます。図 46 に、このダイアログ・ボックスを示します。

注:
ODA が検索パターン機能をサポートしていなければ、「項目を検索」 メニュー項目は使用可能になりません。このメニュー項目が選択不可になっている場合、ODA は検索パターンをサポートしていません

図 46. 検索結果を絞り込むための検索パターンの指定


「検索パターンの入力」ダイアログ・ボックスには、検索パターンによる検索の条件についての説明が表示されます。図 46 のダイアログ・ボックスのテキストは、検索パターンに含めることができるのは 1 文字であることを示しています。ODA が示す検索基準の説明はカスタマイズ可能です。入力する検索パターンは、説明されている検索基準に適合したものにしてください。適合していない場合、ODA は例外をスローします。

「OK」をクリックすると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、親ノードに属する子ノードのうち名前が検索パターンに一致するものを、データ・ソース内で検索します。その親ノードを展開すると、名前がこのパターンに一致する子ノードだけが表示されます。

重要:
ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、検索パターンを受け付けると、データ・ソース内で、親ノードに属する子ノードのうち条件に一致するものを検索します。つまり、データ・ソースからツリー・ノードを新しく取得します。単に現在取得済みのツリー・ノード内で条件に一致する子ノードを検索するのではありません 。ビジネス・オブジェクト・ウィザードに現在取得済みのツリー・ノード内を検索させるには、フィルターを指定します。詳しくは、フィルターの使用 を参照してください。

オブジェクトのパスの指定

ソース・ノード階層内を移動する代わりに、目的のオブジェクトの正確なパスを指定することもできます。このためには、「ソースの選択」ダイアログ・ボックスの右上にある「代わりにこのオブジェクトを使用」 をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードが「オブジェクトのパス」ダイアログ・ボックス (図 47) を表示します。このダイアログ・ボックスではパスを指定します。

図 47. 「オブジェクトのパス」の指定


オブジェクトのパスとしては、ソース・ノードの完全修飾パス (トップレベルの親ノードから目的のノードまでを含むパス) を指定します。このパス内のノード名は、コロン (:) で区切られています。

オペレーティング・システム・ファイルの関連付け

オペレーティング・システム・ファイルをソース・ノード階層の現在のノードに関連付けるには、ノードを右クリックし、「関連付けられたファイル」をクリックします (図 48 を参照)。

ファイルをソース・ノードに関連付けると、ODA は、ODA のデータ・ソースを使用しないで、そのファイルをそのソース・ノードのデータのソースとして使用します。

注:
ODA がファイルを関連付ける機能をサポートしていなければ、「関連付けられたファイル」メニュー項目は使用可能になりません。このメニュー項目が選択不可になっている場合、ODA は、ファイルを現在のソース・ノードと関連付ける機能をサポートしていません

図 48. ファイルとソース・ノードの関連付け


「関連付けられたファイル」メニュー項目をクリックすると、ビジネス・オブジェクト・ウィザードは、図 49 に示す「開く」ウィンドウを表示します。このウィンドウからファイル構造を参照し、現在のノードに関連付けるファイルを選択することができます。

図 49. 関連付けるファイルを選択するための「開く」ウィンドウ


ソース・ノードに関連付けるファイルを選択してから、「開く」をクリックします。ビジネス・オブジェクト・ウィザードが「ソースの選択」ダイアログ・ボックスに制御を戻すと、図 50 に示すように、選択したファイルが、そのファイルを関連付けたソース・ノードの下に表示されます。

図 50. ソース・ノードに関連付けられたファイル


追加情報の指定

ODA に追加情報を指定する必要がある場合、図 51 に示すように、ステップ 5 (「ビジネス・オブジェクトの生成中」) で「BO プロパティー」ダイアログ・ボックスが開きます。

図 51. 追加情報の指定


注:
「BO プロパティー」ダイアログ・ボックスのセルに複数の値が設定されている場合、このダイアログ・ボックスを初めて開いたときは、このセルには何も表示されません。値のリストを表示するには、セルをクリックします。

「BO プロパティー」ダイアログ・ボックスで必要な情報をすべて指定したら、「OK」をクリックします。ODA によるビジネス・オブジェクト定義の生成の続きが行われます。

複数の ODA の同時使用

ローカル・ホスト・マシンまたはリモート・ホスト・マシンのいずれかで ODA の複数のインスタンスを実行できます。各インスタンスは固有のポートで実行されます。このポート番号は、ビジネス・オブジェクト・ウィザード内から各 ODA を開始するときに指定できます。

Business Object Designer で複数の Object Discovery Agent を同時に実行するには、以下の手順を実行します。

  1. 各 Object Discovery Agent を、それぞれの start_ODAname.bat または start_ODAname.sh ファイルを実行することにより、開始します。
  2. Business Object Designer を開きます。
  3. 「ファイル」->「ODA を使用して新規作成」をクリックします。

    ビジネス・オブジェクト・ウィザードの最初のダイアログ・ボックス (「エージェントの選択」) が開きます (図 34 を参照)。

  4. 「エージェントの検索」ボタンをクリックし、「検索されたエージェント」リストに現在実行されている ODA を表示させます。ホスト名およびポート番号を使用して ODA を検索することもできます。
  5. 表示されたリストから最初の ODA を選択します。選択内容が「エージェント名」としてリストされます。
  6. 再び「ファイル」->「ODA を使用して新規作成」をクリックします。
  7. 「エージェントの検索」ボタンをクリックし、「検索されたエージェント」リストに現在実行されている ODA を表示させるか、ホスト名およびポート番号を使用して ODA を検索します。
  8. 表示されたリストから 2 番目の ODA を選択します。
  9. ODA を使用したビジネス・オブジェクト定義の作成 のステップ 4 の説明に従って、各 ODA の構成を続行します。

ODA スクリプト・ファイルまたはバッチ・ファイルのインスタンスを複数作成し、各インスタンスに対応する ODA に固有の名前を指定した場合には、それぞれの ODA インスタンスごとにメッセージ・ファイルを持つことができます。異なる名前の付いた ODA インスタンスが複数存在しても、メッセージ・ファイルは共通にすることも可能です。有効なメッセージ・ファイルを指定する方法は 2 つあります。

Copyright IBM Corp. 2004