以下のリストは、IBM WebSphere Business Integration Server Express システムのコンポーネントの主要な役割を説明しています。
コラボレーションとは、分散ビジネス・プロセスを記述するロジックを含むソフトウェア・モジュールです。基本的なビジネス・プロセスが異なると、そのコラボレーションも異なります。例えば、ContactManager コラボレーションや InventoryMovement コラボレーションなどがあります。コラボレーションは各種アプリケーションのビジネス・プロセスの機能を調整し、ビジネス・プロセス間でデータ交換できるようにします。コラボレーションはハブであり、コラボレーションを通してビジネス・オブジェクト形式でデータがスポークとの間で交換されます。
ビジネス・オブジェクトは、IBM WebSphere Business Integration Server Express システムがデータ交換用に使用するメッセージです。 データ・ハンドラーは、シリアル・アプリケーション・データをビジネス・オブジェクトに変換するために使用されます。マップは、特定のアプリケーションのデータ・モデルのために構成されるビジネス・オブジェクトと、ハブのコラボレーションが使用するために汎用的に構造化されたビジネス・オブジェクトの間で使用されます。
特定のテクノロジーとの対話に使用されるアダプターの一部が、IBM WebSphere Business Integration Server Express および Express Plus の両方で提供されています。固有のアプリケーションとの対話に使用される他のアダプターは、Adapter Capacity Pack から取得できます。Adapter Capacity Pack は、IBM WebSphere Business Integration Server Express Plus に対する追加オプションとして、別途提供されています。
個々のアダプターには、アプリケーションまたはテクノロジーを InterChange Server Express にリンクすることを担当するコネクター・コンポーネントが組み込まれています。また、多くのアダプターには、コネクターが対話するアプリケーションに特定のビジネス・オブジェクトを生成するために使用できる Object Discovery Agent (ODA) も組み込まれています。
各コネクターは、コネクター・コントローラーとコネクター・エージェントの 2 つの部分から構成されます。コネクター・コントローラーは、コラボレーション・オブジェクトと直接対話し、IBM WebSphere Business Integration Server Express システムを実装しているサーバー上 (ハブ・アンド・スポーク関係ではハブ) に常駐します。コネクター・エージェントはアプリケーションと直接対話し、アプリケーションとともに、ネットワーク上の任意のサーバー上に常駐することができます。
アプリケーション・アダプター (例えば、Adapter for PeopleSoft) は、コラボレーションとアプリケーション間を仲介します。これらのコネクターは、アプリケーションからのデータをコラボレーションで扱えるビジネス・オブジェクトに変換し、コラボレーションからのビジネス・オブジェクトを特定のアプリケーションが受信できるデータに変換します。
Adapter for XML などのテクノロジー・アダプターは、特定のテクノロジー標準に準拠する対話用に設計されています。
サーバー・アクセス・インターフェースは、InterChange Server Express の一部です。これは CORBA 準拠の API であり、内部的にネットワーク接続されたソースまたは外部ソースから転送される同期データを受け付けます。受け付けられたデータは、その後、コラボレーションで操作できるビジネス・オブジェクトに変換されます。サーバー・アクセス・インターフェースは外部エンティティー (リモート・カスタマー・サイトの Web ブラウザーなど) からの呼び出しの受信を可能にします。これらの呼び出しはコネクター・エージェントを介してではなく、Web サーブレットを介してサーバー・アクセス・インターフェースで受信されます。
サーバー・アクセス・インターフェースとコネクターは、どちらもデータ・ハンドラーを利用します。IBM WebSphere Business Integration Server Express 環境では、新規のデータ・ハンドラーは、データ・ハンドラー・フレームワークと呼ばれるベース・クラスのモジュラー・グループから作成できます。また、プロトコル・ハンドラー・フレームワークも提供されています。これらのフレームワークにより、ソリューションのカスタマイズ、および将来追加されるデータ・フォーマットとプロトコルに対する接続の拡張が簡単になります。
一般的な IBM WebSphere Business Integration Server Express ソリューションには、1 つ以上のコラボレーションと企業に関連するビジネス情報を表すビジネス・オブジェクトのセットが組み込まれています。コラボレーションとビジネス・オブジェクトは、コネクター、サーバー・アクセス・インターフェース、またはその両方とともに使用します。ソリューションは、ネットワーク上に分散されているアプリケーションに対して実装できます。また、要件や使用可能なコンポーネントによって異なりますが、インターネット全般に常駐するアプリケーションに対しても実装できます。
この例の目的は、同一ネットワーク上に常駐する顧客対話管理 (CIM) アプリケーションで、顧客情報が変更されたときにエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) アプリケーションを自動的に更新することです。IBM WebSphere Business Integration Server Express ソリューションは、仮定的な CustomerSync コラボレーション、CIM アプリケーションと ERP アプリケーション用のコネクター、および顧客情報を表すビジネス・オブジェクトの定義から構成されるものとします。図 1 に、このソリューションを示します。
インターネット経由のデータ交換は、サーバー・アクセス・インターフェースおよび一部のテクノロジー・アダプターを使用して実装することができます。この方法では、IBM WebSphere Business Integration Server Express に同期呼び出しを渡すためにサーバー・アクセス・インターフェースが使用され、IBM WebSphere Business Integration Server Express からのデータを送信するためにインターネット・テクノロジー標準を使用するコネクターが使用されます。
サーバー・アクセス・インターフェースは、InterChange Server Express (ICS) 上のハブ・サイトに常駐します。サーバー・アクセス・インターフェースは、呼び出しを受信すると、その特定のデータ・フォーマットに対応したハンドラー (XML データ・ハンドラーなど) にデータを送信します。データ・ハンドラーは、受信データを汎用ビジネス・オブジェクトに変換します。次に、サーバー・アクセス・インターフェースは、そのビジネス・オブジェクトをコラボレーションに送信します。コラボレーションは、ビジネス・オブジェクトに対してそのプロセスを実行して応答します。その応答は、プロセスの最初に使用された特定のデータ・フォーマットに変換して戻されます。
外部プロセスからの呼び出しを受け入れ、ビジネス・オブジェクトとして呼び出しをコラボレーションに送信するため、サーバー・アクセス・インターフェースには次のものが必要です。
図 2 に示した例では、IBM WebSphere Business Integration Server Express システムもコネクターも実装していないサイトで、カスタマー担当者が、Web ブラウザーを使用して、IBM WebSphere Business Integration Server Express システムを実装しているサイトに常駐している ERP アプリケーション (例では SAP) からインターネット経由で購入注文の状況を取得しています。これを可能にするために、IBM WebSphere Business Integration Server Express は、(この例の仮想の) 購入注文ビジネス・ロジック用のコラボレーション、SAP コネクター、購入注文状況情報を表すビジネス・オブジェクトの定義とともに、サーバー・アクセス・インターフェースを使用します。