汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、注文配送業務処理の過程で販売注文の状況を取り込むために Order Status コラボレーション・テンプレートが使用する汎用ビジネス・オブジェクトの 1 つです。 注文の状況が配送活動によって変更されると、汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトの作成が起動されます。
一部の注文管理システムでは、出荷伝票を使用して販売注文にある品目の配送を追跡します。そのようなシステムでは販売注文の品目を出荷するたびに、出荷伝票が作成されます。 出荷伝票は「未出荷」から「出荷済み」への変更など、出荷に対する変更を追跡します。 各出荷伝票には固有 ID があります。
注文管理システムが出荷伝票を使用する場合、汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは伝票に保管された状況の変更を表します。出荷伝票を使用しない場合、汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは販売注文の品目に対して直接加えた出荷状況の変更を表します。
どちらの場合でも、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、下層にある販売注文のイメージです。 例えば、注文に 3 つの細目が含まれる場合、ビジネス・オブジェクトにはその注文の注文ヘッダーと 3 細目が含まれます。 トリガー・イベントが販売注文の 1 細目だけに影響を与える場合、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトはまだヘッダーおよび各細目の現在状況を取り込みます。
多くの場合、出荷伝票とその販売注文との関係は複雑です。 汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトでは、関係が複雑な場合でも状況の変更を報告できます。 例えば、以下の操作中に配送状況の変更を報告できます。
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは階層構造です。 属性の 1 つは OrderDeliveryStatusLine 子ビジネス・オブジェクトを参照します。ここには関連する販売注文の細目に関する配送状況情報が含まれます。
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトの各インスタンスは、関連する販売注文の構造に一致します。 販売注文に 2 つの細目がある場合、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは 2 つの OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトを保有します。 これらのビジネス・オブジェクトには関連する販売注文のヘッダーおよび細目からの情報と、状況が変化した特定の配送に関する配送状況および配送情報が含まれます。
ソース・アプリケーション側で細目の配送が選出、梱包、または出荷されるたびに、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトがそのアプリケーションのアダプターによって作成されます。 ビジネス・オブジェクトは、販売注文の細目ごとに別個の子ビジネス・オブジェクトを参照します。この場合、個々の細目の配送状況が変化したかどうかは関係ありません。
例えば、2 つの細目がある販売注文で、配送状況が1 細目のみ変化した場合、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトにはまだ 2 つの OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトがあります。 子ビジネス・オブジェクトのうち片方だけに、状況の変更が含まれています。 もう一方の子ビジネス・オブジェクトには、現在の配送に固有の情報は含まれません。
販売注文を追跡する出荷伝票は、非常に複雑になることがあります。 次の例でその傾向のいくつかを示します。
配送活動 | 例 |
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システムは販売注文の細目ごとに分けて出荷できます。 | Sales Order 201 では Material X に細目 10 があり、Material Y に細目 20 があるものとします。このシステムでは月曜日に Material X を配送し、土曜日に Material Y を配送できます。 細目 10 の配送は細目 20 の配送とは異なります。 |
システムは 1 細目を別々に分けてそれぞれの時に出荷できます。 | 細目 10 の Material X に指定された数量が 100 ポンドであるものとします。 このシステムでは 50 ポンドの Material X を Location 1 から月曜日に配送でき、もう 50 ポンドの Material X を次の金曜日に配送できます。 細目 10 には 2 つの配送があります。 |
システムが 1 つの細目を異なる場所から別々に分けて出荷する場合、細目の出荷状況を追跡する出荷伝票には品目の出荷ごとに別個の細目が含まれます。 | 金曜日に配送する細目 10 の 50 ポンドが、異なる 2 つの場所から出荷されるものとします (それぞれ 25 ポンドずつ)。 細目 10 の出荷伝票には 2 つの細目があります。 |
図 1 は Sales Order 201 の、3 つの配送伝票に対する関係を示しています。伝票の内訳は、細目 10 用に 2 伝票、細目 20 用に 1 伝票となります。
図 1. 販売注文の例とその配送伝票
細目 20 の出荷状況が Picked に変化すると、ソース・アプリケーションは出荷伝票 8002 を作成し、そのアダプターは変更を報告するために OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトを作成します。
細目 10 の最初の出荷状況が Shipped に変化すると、ソース・アプリケーションは出荷伝票 8000 を作成し、そのアダプターは変更を報告するために 2 番目の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトを作成します。
細目 10 の 2 番目の出荷状況が Picked に変化すると、ソース・アプリケーションは出荷伝票 8001 を作成し、そのアダプターは 3 番目の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトを作成します。
注文細目 10 がすべて出荷されると、ソース・アプリケーションは出荷伝票 8001 の状況を Shipped に更新し、そのアダプターは 4 番目の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトを作成して注文細目 10 に対するこの最終変更を報告します。
販売注文細目 20 の状況が Shipped に変化すると、ソース・アプリケーションは出荷伝票 8002 を更新し、そのアダプターは 5 番目の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトを作成します。
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトおよびその子ビジネス・オブジェクトでは、5 つの属性を使用して細目の配送状況を報告します。
表 1 は、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトが使用する 2 つの状況属性についての説明です。
表 1: OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトの状況属性
属性 | 報告される値 |
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OrderDeliveryScheduledStatus | 販売注文全体の配送がスケジューリングされているかどうかの識別。つまり、作成されているかどうかの識別。 例えば、2 つの細目があり配送が 1 細目のみスケジューリングされた場合、値としては「Partially Scheduled」があります。 |
OrderShipmentStatus | すべての細目にわたる販売注文の全体的な出荷状況。 例えば、2 つの細目があり 1 細目のみ出荷された場合、値としては「Partially Shipped」があります。 |
表 2 は、OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトが使用する 3 つの状況属性についての説明です。
表 2: OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトの状況属性
属性 | 報告される値 |
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OrderLineDeliveryScheduledStatus | スケジューリングされた細目の全配送状況を要約した、細目の全体的なスケジュール状況。 例えば、細目に 2 つの配送があり 1 配送のみスケジューリングされた場合、値としては「Partially Scheduled」があります。 |
OrderShipmentStatusLine | 細目の全配送状況を要約した、細目の全体的な出荷状況。 例えば、細目に 2 つの配送があり 1 つのみ出荷された場合、値としては「Partially Shipped」があります。 |
DeliveryShipmentStatus | ビジネス・オブジェクトの作成を起動した配送の出荷状況。 起動している配送の対象がこの子ビジネス・オブジェクトの示す細目である場合のみ、この属性に値が入ります。 例えば、販売注文に 2 つの細目があり、その 1 つが出荷用にピックされた場合、その細目を示す OrderDeliveryStatusLine はこの属性の値に「Picked」が入り、もう一方の細目を示す OrderDeliveryStatusLine はこの属性に値が入りません。 |
以下の節では、Sales Order 201 の出荷状況が変化した場合に作成された 4 つの OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトについて説明します。 ビジネス・オブジェクトとその子ビジネス・オブジェクトの例により、販売注文出荷時の 3 つの異なる状況属性値の変化を示します。
注: これらの例は状況属性だけを示しています。これらのビジネス・オブジェクトの属性をすべて調べるには、System Manager または Process Designer を使用してください。
図 2 は、ERP アプリケーション内のサンプル販売注文とその 1 配送分の状況情報を含むビジネス・オブジェクトとの関係を示しています。 図 2 の販売注文は、ERP アプリケーションの 1 つのエンティティーです。 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、ウェアハウス内にある細目 20 のピックを表します。 このビジネス・オブジェクトは、図 1 の出荷伝票 8002 が示す注文状況に対応します。OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトには 2 つの OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトがあり、1 つは注文細目 10 の配送を示し、もう 1 つは注文細目 20 の配送を示します。
図 2. サンプル販売注文における 1 番目の配送状況変更
細目 20 をピックするために OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトが作成されると、このビジネス・オブジェクトは販売注文全体の配送状況を OrderShipmentStatus 属性内で Partial として報告します。
販売注文細目 20 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、OrderLineShipmentStatus 属性および DeliveryShipmentStatus 属性の値に Picked を含みます。 これらの属性は、ビジネス・オブジェクトを起動した状況と同様に、細目の全体的な状況を反映します。 DeliveryNoteId 属性の値 (8002) は、細目のピック時に作成された出荷伝票を反映します。
販売注文細目 10 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、OrderLineShipmentStatus 属性の値が「Not Scheduled」になります。これは、1 番目の細目についてまだ配送がスケジューリングされていないためです。 DeliveryShipmentStatus 属性に値がないのは、注文細目 10 の配送状況における変更が、この OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトの作成を起動しなかったためです。 DeliveryNoteId 属性 (ブランク) の値は、この細目の出荷伝票が作成されなかったという事実を反映しています。
図 3 は、Sales Order 201 の配送状況における 2 番目の変更を示しています。 この図の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは細目 10 の最初の出荷を表しており、図 1 の出荷伝票 8000 が示す注文状況に対応します。
図 3. サンプル販売注文における第 1 細目の 1 番目の配送
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、OrderShipmentStatus 属性がまだ Partial です。
販売注文細目 10 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、OrderLineShipmentStatus 属性の値に Partially Shipped を含んでいます。これは、100 ポンドの半分しか出荷されていないためです。 ただし、このビジネス・オブジェクトは現在の出荷状況を Fully Shipped としてその DeliveryShipmentStatus 属性で報告します。現在の配送の 50 ポンドが完全に出荷されたためです。 DeliveryNoteId 属性の値 (8000) は、細目の出荷時に作成された出荷伝票を反映します。
販売注文細目 20 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、OrderLineShipmentStatus 属性の値にまだ Picked を含んでいます。 ただし、この細目には出荷伝票が作成されなかったため、この子ビジネス・オブジェクトは DeliveryNoteId 属性に値がありません。 また、この細目はビジネス・オブジェクトを起動しなかったため、DeliveryShipmentStatus 属性にも値がありません。
図 4 は、Sales Order 201 の 3 番目の配送を示しています。この図の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは細目 10 について 25 ポンドの Material X のピックを表しており、出荷伝票 8001 が示す注文状況に対応します。
図 4. サンプル販売注文における第 1 細目の 2 番目の配送ピック
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、OrderShipmentStatus 属性がまだ Partial です。
販売注文細目 10 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、OrderLineShipmentStatus 属性の値にまだ Partially Shipped を含んでいますが、現在の配送状況を Partially Picked として DeliveryShipmentStatus 属性で報告します。これは、25 ポンドのピックによってオブジェクトの作成が起動されたためです。 DeliveryNoteId 属性の値 (8001) は、細目のピック時に作成された出荷伝票を反映します。
図 5 は、Sales Order 201 の配送状況における 4 番目の変更を示しています。この図の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは細目 10 の最後となる 50 ポンドの Material X の出荷を表しており、出荷伝票 8001 が示す注文状況への更新に対応します。
図 5. サンプル販売注文における第 1 細目の最終配送
OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、OrderShipmentStatus 属性がまだ Partial です。
販売注文細目 10 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、現在、OrderLineShipmentStatus 属性の値に Shipped を、DeliveryShipmentStatus 属性の値に Shipped を含んでいます。これは、残りのポンドの出荷によってオブジェクトの作成が起動されたためです。
図 6 は、Sales Order 201 の最後の配送を示しています。この図の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは細目 20 について 75 ポンドの Material Y の出荷を表しており、出荷伝票 8002 が示す注文状況に対応します。
図 6. 第 2 細目の配送およびサンプル販売注文の最終配送
Sales Order 201 が完全に出荷されたため、現在、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは OrderShipmentStatus 属性の値に Shipped を含んでいます。
販売注文細目 10 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、DeliveryShipmentStatus 属性に値がありません。起動した出荷伝票が細目 10 用ではなかったためです。
販売注文細目 20 について全体の状況を報告する OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクトは、現在、OrderLineShipmentStatus 属性の値に Shipped を、DeliveryShipmentStatus 属性の値に Shipped を含んでいます。これは、最後の細目の出荷によってオブジェクトの作成が起動され、この販売注文の出荷が完了したためです。
これまで説明した例では、各販売注文に数多くの出荷伝票がありました。 しかしながら、いくつかの販売注文で 1 つの出荷伝票を作成する場合もあります。
操作 | 例 |
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複数の販売注文で 1 つの配送を生成できます。 | Sales Order 202 に 2 つの細目があり、両方を月曜日に出荷できるものとします。 また、Sales Order 203 には 1 つの細目があり、同じ顧客へ同じ場所から月曜日に出荷できるものとします。 2 つの販売注文は同じ配送を共用できます。 |
図 7 は、Sales Order 202 および 203 の、単一出荷伝票に対する関係を示しています。出荷伝票の 2 細目は Sales Order 202 の細目に、出荷伝票の 1 細目は Sales Order 203 の細目にそれぞれ対応します。
図 7. 2 つの販売注文とその出荷伝票
2 つの販売注文によって 1 つの出荷伝票が作成されますが、OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは 2 つ (販売注文ごとに 1 つ) 作成されます。 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトの一方は 2 つの OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクト (Sales Order 202 の細目ごとに 1 つ) を参照します。もう一方の OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは 1 つの OrderDeliveryStatusLine ビジネス・オブジェクト (Sales Order 203 の細目) を参照します。
OrderDeliverStatus ビジネス・オブジェクトには、サプライヤーの販売注文の状況を対応するバイヤーの購入注文と同期することによって TradingPartnerOrderManagement コラボレーション・テンプレートのビジネス・プロセスをサポートする 2 つの追加属性が含まれます。
属性 | 説明 |
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FromTradingPartnerURL | OrderDeliveryStatus コラボレーション・テンプレートが TradingPartnerOrderManagement 処理の一部として実装される場合、この属性は開始側取引先の URL アドレスを含みます。 |
ToTradingPartnerURL | OrderDeliveryStatus コラボレーション・テンプレートが TradingPartnerOrderManagement 処理の一部として実装される場合、この属性は受信側取引先の URL アドレスを含みます。 |
汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトは、次の動詞をサポートします。
汎用 OrderDeliveryStatus ビジネス・オブジェクトの属性を調べるには、System Manager または Process Designer Express を使用してください。