ビジネス・オブジェクト定義の作成

ビジネス・オブジェクト定義を作成する方法は 2 つあります。

手動によるフラット・ビジネス・オブジェクト定義の作成

このセクションでは、Hello という名前のビジネス・オブジェクト定義を手動で作成する方法について説明します。InterChange Server Express で、このビジネス・オブジェクトは、SampleHello コラボレーションによって使用されます。この作成については、「コラボレーション開発ガイド」のチュートリアルの章に解説されています。

図 29 では、作成可能な Hello ビジネス・オブジェクト定義を示すとともに、このビジネス・オブジェクトの InterChange Server Express がトリガー・イベントとなるビジネス・オブジェクトから予想する値も示します。

図 29. Hello ビジネス・オブジェクト


ビジネス・オブジェクト定義を手動で作成するには、以下の手順を実行します。

  1. Business Object Designer Express を開始します。詳しくは、"Business Object Designer Express の開始"を参照してください。
  2. 「ファイル」->「新規」をクリックします。

    Business Object Designer Express が「新規ビジネス・オブジェクト」ダイアログ・ボックスを表示します。図 30 に、System Manager から Business Object Designer Express を実行しているかどうかを調べる「新規ビジネス・オブジェクト」ダイアログ・ボックスのバージョンを示します。

    System Manager から Business Object Designer Express を実行していない場合は、「作成先プロジェクト」リストはダイアログ・ボックスに表示されません。

    図 30. 「新規ビジネス・オブジェクト」ダイアログ・ボックス


  3. 新規のビジネス・オブジェクト定義の名前として Hello を入力します。

    名前は通常、大文字と小文字が区別されるため、ここに示したとおり正確に入力してください。

    注:
    ビジネス・オブジェクト定義の名前に使用できる文字は、英数字と下線 (_) に限定されています。この名前には、英語 (U.S.) のロケール (en_US) に関連したコード・セットで定義されている文字のみ を使用する必要があります。
  4. 「アプリケーション固有の情報」ボックスは空白のままとし、「OK」をクリックします。

図 31 に示すように、Business Object Designer Express はビジネス・オブジェクト定義ダイアログ・ボックスを表示します。

図 31. 新規ビジネス・オブジェクト定義の初期表示


注:
Business Object Designer Express のインターフェースには、若干の違いがある場合があります。ただし、ツールの基本的な機能は同じです。

属性の追加

ビジネス・オブジェクトの中の情報はそれぞれ、Hello ビジネス・オブジェクト定義に含まれる属性によって表されます。Hello ビジネス・オブジェクトのために属性定義を指定する必要があります。図 31 に示すように、必須のオブジェクトの終端マーカーである ObjectEventId のエントリーが、Business Object Designer Express によって自動的に追加されます。
重要

ObjectEventId 属性は削除、変更、または移動しないでください。この属性は、WebSphere Business Integration システムの内部使用のために予約されています。この定義を保管すると、Business Object Designer Express は自動的にこの属性を移動します。

各属性の行により、属性のプロパティーが決まります。属性のプロパティーについては、ビジネス・オブジェクトの属性および属性プロパティーを参照してください。

図 29 に示すように、Hello ビジネス・オブジェクト定義は、属性として GreetingRecipient、および SpecialMessage を備えています。属性とそのプロパティーは、1 つずつ定義してください。

Greeting 属性の追加

Greeting 属性を追加するには、以下のようにします。

  1. 使用できる最初の空行の「名前」列に属性の名前である Greeting を入力します。最初の属性の場合、この行は、2 です。

    注:
    この属性名には、英語 (U.S.) のロケール (en_US) に関連したコード・セットで定義されている文字のみ を使用する必要があります。
  2. 「タイプ」列をクリックし、属性タイプの「ストリング」を選択します。属性のタイプは、そのデータ型と同じです。

    ヒント:

    Business Object Designer Express で、他のビジネス・オブジェクトを開いた場合、その名前は 「タイプ」リストに表示されます。「タイプ」から選択した既存のビジネス・オブジェクトを表示することで、階層構造を持つビジネス・オブジェクトを作成できます。そして、このようなビジネス・オブジェクトの属性タイプは、他のビジネス・オブジェクトであるような属性を持っています。

    InterChange Server Express および System Manager が実行されている場合は、処理元の統合コンポーネント・ライブラリーのすべてのビジネス・オブジェクト定義が自動的にこのリストに表示されます。

  3. 「キー」「外部」「必要」、および「カード」列は飛ばします。

    これらの列では、現在の属性がビジネス・オブジェクトの基本キーか外部キーか、属性の値が必要であるかどうか、属性が表している子ビジネス・オブジェクトが単数か複数かを指定します。これらのプロパティーについては、ビジネス・オブジェクト設計を参照してください。

  4. 「最大長」ボックスは、デフォルト値の 255 のままとします。

    このボックスは、この属性の値として使用できる最大バイト数を指定します。

  5. 「デフォルト値」ボックスに Hello と入力します。

    これは、実行時に属性の値の指定がなかったときに使用される値を指定します。

    これで、Greeting 属性に対して次のプロパティーを定義したことになります。


    名前:
    Greeting
     
    タイプ:
    String
     
    最大長:
    255
     
    デフォルト値:
    Hello
     

  6. 他の列はすべて無視し、3 行目の「名前」列をクリックします。

Recipient 属性の追加

2 つ目の属性 Recipient は、ストリングです。

InterChange Server Express では、SampleHello コラボレーション・オブジェクトによって、この属性が以下のように使用されます。

各ビジネス・オブジェクト定義内には 1 つ以上のキー属性 が必要です。

キー属性には、WebSphere Business Integration システムがビジネス・オブジェクトの各インスタンスを識別するための値が含まれています。Recipient 属性をキー属性にしてください。

Recipient 属性を追加するには、「名前」列にテキスト Recipient を入力し、以下のプロパティーを使用して Greeting 属性追加の手順に従います。
名前:
Recipient
 
タイプ:
String
 
最大長:
255
 
デフォルト値:
Collaboration
 
キー: はい
(「キー」列にチェックマークが表示されます)

他の列はブランクとし、4 行目の「名前」列をクリックします。

SpecialMessage 属性の追加

3 つ目の属性 SpecialMessage は、ストリングです。

InterChange Server Express では、SampleHello コラボレーションは、コラボレーション・オブジェクトが作成された後、コラボレーション構成プロパティーへのアクセス権を持つシステム管理者などによって、この属性の値が入力されることを想定しています。コラボレーションは構成プロパティーの値を動的に取得し、メッセージの最後に追加します。

SpecialMessage 属性を追加するには、「名前」列にテキスト SpecialMessage を入力し、以下のプロパティーを使用して Greeting 属性追加の手順に従います。
名前:
SpecialMessage
 
タイプ:
String
 
最大長:
255
 

他の列はブランクとします。

「属性」タブに、GreetingRecipient、および SpecialMessage の 3 つのユーザー定義の属性が表示されるようになります。図 32 に、Hello ビジネス・オブジェクトの属性を示します。

図 32. 属性が定義された新規ビジネス・オブジェクト


属性の順序の変更

ビジネス・オブジェクト定義内での属性の順序を画面上で変更することができます。例えば、キー属性である RecipientGreeting 属性の上にするには、最初 (左端) の列をクリックし、カーソルを 1 行分上にドラッグします。

サポートされる動詞の指定

次に、この Hello ビジネス・オブジェクトがサポートする動詞を指定する必要があります。これらの動詞は、ビジネス・オブジェクトから InterChange Server Express に送られるトリガー・イベントを表します。

Hello ビジネス・オブジェクト定義ダイアログ・ボックスの「一般」タブをクリックすることにより、動詞を指定するウィンドウを表示します。図 33 に、このタブを示します。

図 33. 「一般」編集タブ


ビジネス・オブジェクトは、CreateDeleteRetrieve、および Update の 4 つをデフォルトの動詞としてサポートしており、これらの動詞は「一般」タブにデフォルトで表示されます。

このチュートリアルの目的に合わせて、トリガー・イベントとしては Create 1 つのみがサポートされています。したがって、この動詞のみをサポートするようにビジネス・オブジェクト定義を変更します。

重要:
各ビジネス・オブジェクト定義に対して 1 つ以上の動詞を指定することが必要です。
注:
動詞の名前に使用できる文字は、英数字と下線 (_) に限定されています。

この名前には、英語 (U.S.) のロケール (en_US) に関連したコード・セットで定義されている文字のみ を使用する必要があります。

Hello ビジネス・オブジェクトで動詞 Create のみがサポートされることを指示するため、残りの動詞を 1 つずつまたは一括して削除することができます。

複数の動詞の削除

動詞 DeleteRetrieve、および Update を削除するには、以下の手順を実行します。

  1. Shift キーを押しながら動詞 Delete を選択し、動詞 Update をクリックします。
  2. 「削除」キーを押します。

個々の動詞の削除

各動詞を個別に削除するには、以下の手順を実行します。

  1. 「サポートされている動詞」テーブルの「削除」行の左側の数字をクリックします。

    行が選択状態になります。

  2. 「削除」キーを押します。
  3. 「サポートされている動詞」テーブル内の動詞 Retrieve および Update についてステップ 1 および 2 を繰り返します。
  4. Create 動詞については、「アプリケーション固有の情報」 ボックスをブランクのままとします。

これで、Hello ビジネス・オブジェクトの定義が完了しました。この時点で、「ファイル」->「保管」をクリックし、変更内容を保管してください。ICL ベースのプロジェクトを使用している場合は、定義は ICL に保管されます。ローカル・プロジェクトを使用している場合は、定義を保管するファイル名およびローカル・ディレクトリーを指定するプロンプトが表示されます。

手動による階層型ビジネス・オブジェクト定義の作成

このセクションでは、1 つの子ビジネス・オブジェクトまたは複数の子ビジネス・オブジェクトの配列を表す属性を定義することにより、階層型ビジネス・オブジェクト定義を作成する方法について説明します。

直前のセクションで単純属性とサポートされる動詞を定義する方法について説明しているので、このセクションでは、子ビジネス・オブジェクトを表す属性の定義についてのみ説明します。このセクションの例では、次の 2 つの属性を持つ HierarchicalBO という名前のビジネス・オブジェクトを作成します。

階層型ビジネス・オブジェクト定義を手動で作成するには、以下の手順を実行します。

  1. Business Object Designer Express を開きます。
  2. 「ファイル」->「新規」をクリックします。

    図 30 に示すように、Business Object Designer Express は「新規ビジネス・オブジェクト」ダイアログ・ボックスを表示します。

  3. 新規のビジネス・オブジェクト定義の名前として HierarchicalBO を入力します。
  4. 「アプリケーション固有の情報」列は空白のままとし、「OK」をクリックします。

    図 31 に示すように、Business Object Designer Express はビジネス・オブジェクト定義ダイアログ・ボックスを表示します。

  5. 使用できる最初の空行にキー属性を作成します。最初の属性の場合、この行は 2 です。この属性に Key という名前を付け、任意の単純なデータ・タイプを指定し、「キー」列をクリックします。
  6. 使用できる次の空行に次の属性を作成します。この行は 3 です。この属性に Addr という名前を付けます。
  7. 「タイプ」リストをクリックし、属性タイプの「アドレス」を選択します。
    注:
    リストに子ビジネス・オブジェクトが存在しない場合には、ここで「タイプ」リストの「新規ビジネス・オブジェクト」を選択することにより、子ビジネス・オブジェクトを作成します。このステップを終了するためには、新しい子ビジネス・オブジェクトを保管することが必要です。
  8. 「キー」「外部」、および「必要」列は飛ばします。「カード」リストをクリックして、「1」を選択します。
  9. 他の列はすべて無視します。サポートされる動詞を定義し、定義を保管します。

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