ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの属性に、表示が異なる同等のデータが含まれている場合、変換ステップは関係 を使用します。 関係は、2 つ以上のビジネス・オブジェクトのデータ間の関連を設定します。各ビジネス・オブジェクトは、関係の参加者 と呼ばれます。
通常は、関係を使用して変換するデータは、次のとおりです。
例: アプリケーション A は顧客 ID に連続する整数を使用し、アプリケーション B は生成された顧客コードを使用するとします。TashiCo は、アプリケーション A では顧客 ID 806、アプリケーション B では A100 です。アプリケーション A と B の間で顧客 ID データを転送するには、顧客 ID 属性に基づいて、アプリケーション A の顧客ビジネス・オブジェクト、汎用顧客ビジネス・オブジェクト、およびアプリケーション B 顧客ビジネス・オブジェクト間に関係を作成します。
この関係は、顧客ビジネス・オブジェクトのキー属性に基づいて、アプリケーション A とアプリケーション B の顧客間に関連を設定します。図 96 の各ボックスは CustIden という関係の参加者を示しています。
関係は、参加者のデータ型と、関連する各参加者のインスタンス数に基づいて、次のカテゴリーに分類されます。
関係インスタンスごとに、各参加者の複数のインスタンスを設定できます。非一致関係の例は、RMA-to-Order 変換です。この変換では、単一の RMA (Return Materials Authorization) ビジネス・オブジェクトが、1 つ以上の Order ビジネス・オブジェクトを作成できます。
参照関係 は、2 つの非キー・データを関連付けます。例えば、Clarify_Site から Customer へのマップでは、参照関係を使用して、SiteStatus など、値がコードや省略形で表された属性を変換します。 参照関係では、アプリケーション固有の各ビジネス・オブジェクトに 1 つの参加者が存在します。
図 97 の CustLkUp 関係では、Clarify および SAP アプリケーションの顧客状況コード間に、参照関係が設定されます。各ボックスは、CustLkUp 参照関係の参加者を表します。この関係には、アプリケーション固有の各ビジネス・オブジェクトに 1 つずつ、計 2 つの参加者があることに注意してください。
例: Clarify アプリケーションは、サイト状況が Inactive の非アクティブな顧客を表し、SAP では対応する値は 05 です。これらの顧客状況コードは異なりますが、図 98 に示すように、同じ状況を表します。
表 77 に、参照関係の作成に必要な手順を示します。
作成手順 | 詳細情報の参照先 | |
---|---|---|
1. | Relationship Designer Express で参照関係を定義します。 | "参照関係の定義" |
2. | 参照関係を保持するように、マッピング・コードをカスタマイズします。 | "参照関係の使用" |
3. | 参照関係をテストして、正しくインプリメントされているかを検証します。 | "参照関係のテスト" |
一致関係 は、ビジネス・オブジェクトまたは他のデータ間に 1 対 1 の関連を設定します。 1 対 1 の関係を保持するには、各ビジネス・オブジェクトにキーが必要です。つまり、オブジェクトには、値がオブジェクトを一意的に識別する、少なくとも 1 つの属性 (キー属性) が含まれます。
両方のビジネス・オブジェクトにキーが含まれる場合は、両方が一致関係に参加できます。
WebSphere Business Integration システムは、次の種類の一致関係をサポートしています。
両方の種類の一致関係に、関連するビジネス・オブジェクト属性が含まれています。したがって、一致関係の各参加者は、参加者タイプとしてビジネス・オブジェクトを持っています。参加者タイプの詳細については、"参加者タイプ"を参照してください。
単純一致関係 は、2 つのビジネス・オブジェクトを単一のキー属性によって関連付けます。つまり、各ビジネス・オブジェクトには、オブジェクトを一意的に識別する単一値が含まれます。
例: CustIden 関係 (図 96 を参照) が詳細化され、顧客ビジネス・オブジェクトのキー属性に基づいて、Clarify および SAP アプリケーションから顧客間の関連を設定するとします。 図 99 の各ボックスは、この顧客一致関係の参加者を表します。この関係には、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトと汎用ビジネス・オブジェクトに 1 つずつ参加者があることに注意してください。
TashiCo 会社は、Clarify アプリケーションではキー値 A100 で識別され、SAP アプリケーションでは、同じ会社がキー値 806 で識別されます。これらのアプリケーション ID は異なりますが、図 100 に示すように、同じ顧客を表します。
したがって、次のマップは、単純一致関係を使用して、キー属性間の変換を保持します。
表 78 に、単純一致関係の作成に必要な手順を示します。
作成手順 | 詳細情報の参照先 | |
---|---|---|
1. | Relationship Designer Express で単純一致関係を定義します。 | "一致関係の定義" |
2. | 単純一致関係を保持するように、マッピング・コードをカスタマイズします。 | "単純一致関係の使用" |
3. | 単純一致関係をテストして、正しくインプリメントされているかを検証します。 | "一致関係のテスト" |
複合一致関係 は、2 つのビジネス・オブジェクト複合キーによって関連付けます。
「複合」という用語が示すように、複合キーは、複数の属性で構成されるキーです。オブジェクトを一意的に識別するには、すべて の属性の値が必要です。複合キーは、親ビジネス・オブジェクトの固有キーと、子ビジネス・オブジェクトの非固有キーで構成されます。
例: Clarify アプリケーションで TashiCo からの特定の注文がキー値 8765 で識別されるとします。SAP アプリケーションでの同じ注文は、キー値 0003411 で識別されます。2 つの注文番号は一意的に同じ注文を識別するため、キー属性は単純一致関係に関連付けられます。ただし、注文には注文明細も含まれます。すべての参加アプリケーションが固有の値を使用してこれらの注文明細を識別する場合、単純一致関係はその注文明細の変換を保持できます。
ただし、アプリケーションが明細番号のみを使用して注文明細品目を識別する場合がよくあります。つまり、各注文には、1 で識別される明細品目と、2、3 などで識別される後続の品目が含まれます。これらの明細番号は、注文明細品目を一意的に識別しません。このような品目を一意的に識別するために、アプリケーションは複合キーを使用します。複合キーは、(親注文ビジネス・オブジェクトからの) 注文番号と、(子注文明細ビジネス・オブジェクトからの) 明細番号で構成されます。
図 101 では、OrdrLine 関係は、複合キー属性に基づいて、Clarify および SAP アプリケーションから注文明細間の関係を設定します。複合キー属性は、親注文ビジネス・オブジェクトの固有キー属性と、子注文明細ビジネス・オブジェクトの注文明細番号の組み合わせです。各ボックスは、OrdrLine 複合一致関係の参加者を表します。各参加者には 2 つの属性があることに注意してください。
例: Clarify アプリケーション (図 101 の参加者 ClarOrder で表されます) は、連続した整数を使用して注文明細を識別し、SAP アプリケーションは、明細番号を使用してこれらの品目を識別するとします。Clarify アプリケーションは、各注文明細品目を一意的に識別します。したがって、Clarify アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトと汎用 Order ビジネス・オブジェクト (参加者 CWOrder で表されます) 間のマップは、単純一致関係を使用して、注文明細品目の変換を保持できます。
ただし、SAP アプリケーション (参加者 SAPOrder で表されます) は、明細番号を使用して注文明細品目を識別します。この場合、品目は一意的に識別されません。すべての注文には、1 で識別される明細品目と、2、3 などの番号が付いた後続の品目が含まれます。注文 0003411 の 3 番目の注文明細品目を一意的に識別するには、複合キーを使用する必要があります。複合キーには、注文番号 (0003411) と明細番号 (3) の両方が含まれます。したがって、SAP アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトと汎用 Order ビジネス・オブジェクト間のマップは、複合一致関係を使用して、注文明細品目の変換を保持する必要があります。
TashiCo 注文の 3 番目の明細品目 (8765) は、Clarify アプリケーションでは単一キー値 1171 で識別されます。ただし、この同じ明細品目は、SAP アプリケーションでは複合キー値 0003411 (注文番号) と 3 (明細番号) で識別されます。これらの注文明細は異なって識別されますが、図 102 に示すように、同じ注文明細品目を表しています。
表 79 に、複合一致関係の作成に必要な手順を示します。
作成手順 | 詳細情報の参照先 | |
---|---|---|
1. | Relationship Designer Express で複合一致関係を定義します。 | "一致関係の定義" |
2. | 複合一致関係を保持するように、マッピング・コードをカスタマイズします。 | "複合一致関係の使用" |
3. | 複合一致関係をテストして、正しくインプリメントされているかを検証します。 | "一致関係のテスト" |