コネクター・トランスポート・ファイルのインストール

Adapter for mySAP.com (R/3 V.4.x) 用のトランスポート・ファイルには、表構造、関数、データなど各種のオブジェクトが格納されています。ABAP Extension Module で必要な特定の機能を提供するには、これらの開発オブジェクトを SAP システムにインポートする必要があります。

各トランスポート・ファイルは、.zip ファイルに入っています。例えば、SAP R/3 バージョン 4.x Primary トランスポート用のトランスポート・ファイルは、4_Primary.zip ファイルに含まれています。

必要なトランスポート・ファイルが正常にロードされたら、ビジネス・オブジェクト固有のトランスポートを任意の順序でロードできます。トランスポート・ファイルの詳細については、各トランスポートの .zip ファイルに含まれているトランスポート・メモを参照してください。

コネクター・トランスポートのインストールのためのネーム・スペースの作成

コネクター・トランスポート・ファイルをインストールする前にコネクター用のネーム・スペースを作成します。ネーム・スペースを作成していないと一部のトランスポートが失敗する可能性があるため、このステップは SAP R/3 バージョン 4.0 では必須です。

注:
SAP R/3 アプリケーションのどの 4.x バージョンでも、コネクターの ABAP オブジェクトの 1 つを変更する前に、コネクターのネーム・スペースを作成することが必要です。

/CWLD/ ネーム・スペースの作成

  1. 「Workbench Organizer: Tools」ウィンドウを開きます (トランザクション SE03)。
  2. 「Administration」メニューを展開し、「Display/change namespaces」オプションをダブルクリックします。
  3. 「Display」->「Change」ボタンをクリックします (Ctrl+F1)。
  4. 「Continue」ボタンをクリックして、「Information」ウィンドウを閉じます。
  5. 「New entries」ボタン (F5) をクリックし、「Namespace」フィールドに /CWLD/ と入力します。
  6. 「Namespace role」フィールドを選択し、それを展開して (F4) オプションを表示してから、「Recipient」を選択します (C)。
  7. 「Short text」フィールドに CrossWorlds Namespace と入力し、「Owner」フィールドに CrossWorlds と入力します。「Save」ボタンをクリックします (Ctrl+S)。システムがカスタマイズの変更を追跡するようにセットアップされている場合は、変更要求のためのプロンプトが出されます。これにより、ネーム・スペースを別のシステムに移送することができます。

ネーム・スペースの変更可能化

コネクターのネーム・スペース内の ABAP オブジェクトは、ネーム・スペースを変更可能にするまでは変更できません。SAP4.x 提供の ABAP オブジェクトを更新するには、オブジェクトを変更するための修理ライセンスが必要です。このライセンスを取得するには、IBM ソフトウェア・サポートにお問い合わせください。

  1. 「Workbench Organizer: Tools」ウィンドウを開きます (トランザクション SE03)。
  2. 「Administration」メニューを展開し、「Display/change namespaces」オプションをダブルクリックします。
  3. 「Display」->「Change」ボタンをクリックします (Ctrl+F1)。
  4. 「Continue」ボタンをクリックして、「Information」ウィンドウを閉じます。
  5. /CWLD/」をダブルクリックし、修理ライセンスを入力します。「Save」ボタンをクリックします (Ctrl+S)。
  6. 「Back」ボタン (F3) を 2 回クリックし、「Administration」メニューを展開して、「Set system change」オプションをダブルクリックします。
  7. 「Namespace」行の「Modifiable」列にチェック・マークを付けます。「Save」ボタンをクリックします (Ctrl+S)。

コネクター・トランスポート・ファイル

Connector for mySAP.com には、7 つのコネクター・トランスポート・ファイルが格納されています。アダプターで必要な変更は、これらのコネクター・トランスポート・ファイルで処理されます。Primary、 Utilities、および Request トランスポート・ファイルは必須です。

SAP R/3 バージョン 4.x コネクター・トランスポート・ファイルのリストを次に示します。これらの表のデータが追加される前に必要な表が作成されるようにするため、トランスポートはこのリストの順序でインストールする必要があります。これらのファイルは、¥connectors¥SAP¥dependencies¥transports_4x にあります。

Primary、Utilities、Request、および Delivery トランスポート・ファイルで提供される機能によって、実行時コンポーネントが構成されます。Tools_Maintenance および Tools_Development トランスポート・ファイルは、必須のトランスポート・ファイルをインストールした後に、いつでもインストールすることができます。これらのトランスポート・ファイルは、実行時環境では必須ではありません。

4_Primary
このトランスポート・ファイルには開発オブジェクトが含まれています。これらのオブジェクトは、システムに 1 回だけロードする必要があります。このファイルには、数値範囲オブジェクト、開発クラス、動的トランザクション宣言組み込みプログラム、および制限組み込みプログラムが含まれています。これらを利用することで、トリガー・ロジックにカスタマー独自の変更を行うことができます。
重要:
このトランスポート・ファイルを既にコネクターが稼働しているシステムに適用すると、このトランスポート・ファイルの内容が、既存の環境に対して行われた変更を上書きする可能性があります。

4_Utilities
このクライアント独立のトランスポート・ファイルには、要求、デリバリー、開発、および保守コンポーネントで共用されるオブジェクトおよび機能が含まれています。例えば、このファイルにはログおよびデータ・エレメントが含まれています。

4_Request
このクライアント独立のトランスポート・ファイルには、ビジネス・オブジェクト要求操作をサポートするために必要な機能が含まれています。

4_Delivery
このクライアント独立のトランスポート・ファイルには、イベントの起動やイベントのポーリングなどのイベント・デリバリー操作をサポートするために必要な機能が含まれています。

4_Number Range
このクライアント依存トランスポート・ファイルには、4 つの数値範囲が初期状態で含まれています。これらの数値範囲間隔を使用したり、間隔自体を作成することができます。

重要: Number Range トランスポート・ファイルを再インポートすると、コネクターの既存の数値範囲間隔が初期化されます。この結果、コネクターのログ表、現在のイベント表、将来のイベント表、およびアーカイブ表を再使用前にリフレッシュしなければ、これら表内のデータは破壊されます。

このトランスポート・ファイルは、Primary トランスポート・ファイルをインストールした後に、いつでもインストールできます。

4_Tools_Maintenance
このクライアント独立のトランスポート・ファイルには、ログ統計やイベント表の表示などの保守操作をサポートするために必要な機能が含まれています。

4_Tools_Development
このクライアント独立のトランスポート・ファイルには、オブジェクトの開発をサポートするために必要な機能が含まれています。

コネクター・トランスポート・ファイルのインストール

コネクター・トランスポート・ファイルは、Connector for mySAP.com とともに提供されるプログラムおよびその他の開発オブジェクトをインポートすることにより、SAP に対する必要な変更をすべて行います。これらのファイルは、SAP プログラムやユーザー出口を変更しません。

重要: トランスポートを再適用すると、環境がリセットされることに注意してください。トランスポート・ファイルを再適用する前に行ったすべての開発は上書きされます。

次の手順で、SID は SAP システムの ID を示し、<TransportFileName> はトランスポート・ファイルの名前を示します。ただし、インストール・ディレクトリーでは、トランスポート・ファイル名を構成する文字は、そのファイル名が各種の tp コマンドにパラメーターとして渡される仕方とは異なる順序で表示されます。¥usr¥sap¥trans¥cofiles ディレクトリーの中で、トランスポート・ファイル名のフォーマットは、K9xxxxx.SID ですが、ファイル名をパラメーターとして渡すときには、SIDK9xxxxx のフォーマットとなります。例えば、ファイル名 K912345.D30 の場合、D30 がソース・システムの SID であるため、パラメーターとして渡される際には D30K912345 となります。

重要: コネクター・トランスポート・ファイルの名前は変更しないでください。

トランスポートをインストールするには、以下の手順を行います。

  1. SAP 管理者 <SID>adm としてログインします。
  2. トランスポートを SAP データベース・サーバーにコピーします。トランスポート・ファイルには、次の 2 種類があります。
    1. K で始まる名前のファイルを ¥usr¥sap¥trans¥cofiles ディレクトリーにコピーします。
    2. 他のファイルを ¥usr¥sap¥trans データ・ディレクトリーにコピーします。
  3. 次の tp connect コマンドを実行することにより、データベースとの接続を確認し、tpparam ファイルのパスを決定します。
    tp connect <SID>
     

    このコマンドが失敗した場合は、第 2 のパラメーターとして tpparam ファイルのパスを次のように追加してください。

    tp connect <SID> pf = <path of tpparam>
     

    例えば、SID が P11 で、tpparam ファイルのパスが ¥usr¥sap¥trans¥bin¥tpparam の場合、コマンドは次のようになります。

    tp connect P11 pf = ¥usr¥sap¥trans¥bin¥tpparam
     

    tpparam ファイルのパスを指定した場合に tp connect が成功し、指定しなかった場合に失敗する場合には、コマンドにステップ 3 で説明したオプショナルの tpparam パスを指定してください。

  4. 次の 2 つのうちのいずれかの方法で、トランスポート・ファイルをインポートします。

アダプター配布のコマンドの使用

¥usr¥sap¥trans¥bin で、各トランスポートに対して次のコマンドを、指定された順序で実行します。

tp addtobuffer <TransportFileName> <SID> pf = tpparamFilePath
 tp import <TransportFileName> <SID> u023689
 CLIENT=<CLIENT#> pf = tpparamFilePath
 

SAP トランザクション・コードの使用

トランスポート管理で、システム (トランザクション STMS):

  1. 「Import overview」アイコンをクリックします (F5)。
  2. 更新する適切なキューをダブルクリックします。
  3. メニュー・バーで、「Extras」をクリックし、次に「Other requests」をクリックしてから、「追加」をクリックします。
  4. トランスポート要求フィールドに取り込み、チェック・マークをクリックします (Enter)。
  5. 「Add Transport Request confirmation」ウィンドウが表示されたら、「Yes」をクリックしてインポートをキューに付加します。
  6. 追加されたトランスポートにカーソルを置きます。
  7. メニュー・バーで、「Request」をクリックし、次に「Import」をクリックします。
  8. 「Target client」フィールドに取り込み、チェック・マークをクリックして、トランスポート・ファイルをインポートします。

トランスポートは、コネクター・トランスポート・ファイルのインストールにリストされている順序でインストールする必要があります。

トランスポートをインストールしたら、ユーザーの開発クラスのマイグレーション・パスに従って、開発クラスを変更します。IBM CrossWorlds Station (トランザクション /n/CWLD/HOME) を使用します。

  1. 「Tools」タブをクリックし、次に「Transport Layer」ボタンをクリックします。
  2. 適切な「Transport layer」エントリーを選択し、「Save」ボタンをクリックします。

重要: コネクター・トランスポートに含まれていた開発オブジェクトに変更を加える場合は、SAP の外部で詳細に文書化しておく必要があります。トランスポート・ファイルの次のリリースにより、変更が上書きされる可能性があります。この場合には、変更を手動で再適用することが必要です。アップグレードの問題について詳しくは、ABAP Extension Module のアップグレードを参照してください。

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