ODA 開発プロセスの概要

このセクションでは、ODA の開発プロセスに関して、次のトピックを取り上げます。

ODA 開発用のツール

ODA は、IBM WebSphere Business Integration Adapter で実行可能なコンポーネントの 1 つです。アダプター には、InterChange Server Express とアプリケーション (またはテクノロジー) 間の通信をサポートするランタイム・コンポーネントが含まれています。これらのランタイム・コンポーネントの 1 つが ODA です。ODA は、コネクターが実行時に使用するビジネス・オブジェクト定義を作成します。コネクター は、アプリケーション (またはテクノロジー) と InterChange Server Express 間の通信を処理するランタイム・コンポーネントです。

アダプターには、アダプター・フレームワーク も含まれます。アダプター・フレームワークは、カスタム・アダプターの構成、ランタイム、および開発用のコンポーネントを備えています。これらのコンポーネントは、既存のアプリケーションまたは特定のアプリケーション用のビルド済みアダプターが、WebSphere Business Integration Adapter 製品の一部として現在提供されていない場合に使用します。

ODA 開発用として、アダプター・フレームワークには、表 20 に示す開発サポートが含まれています。

表 20. ODA 開発用のアダプター・フレームワーク・サポート
アダプター・コンポーネント Configuration

Tool Express

API
ビジネス・オブジェクト定義 Business Object Designer Express 適用されない
Object Discovery Agent

(ODA)

Business Object

Designer Express

Object Discovery Agent

Development Kit (ODK)

注:
アダプター・フレームワークは、コネクター開発のサポートも提供します。

WebSphere Business Integration Adapter Framework と同様、Adapter 開発キット (ADK) も ODA およびコネクターのコード・サンプルを提供するツールキットです。詳しくは、Adapter 開発キットを参照してください。

Adapter 開発キット

Adapter 開発キット (ADK) は、アダプター開発を支援するファイルおよびサンプルを提供します。Adapter 開発キットは、多くの Object Discovery Agent (ODA)、コネクター、およびデータ・ハンドラーを含むアダプター・コンポーネントにサンプルを提供します。ADK が提供するサンプルは、製品ディレクトリーの DevelopmentKits サブディレクトリーにあります。

注:
ADK は WebSphere Business Integration Adapters 製品の一部で、個別のインストールが必要です。そこで、ADK の開発サンプルにアクセスするには、WebSphere Business Integration Adapters 製品にアクセスして ADK をインストールする必要があります。ADK は Windows システムでしか使用できないことに注意してください。

表 21 は、ADK が ODA の開発のために提供するサンプルおよび、サンプルがある DevelopmentKits ディレクトリーのサブディレクトリーをリストします。

表 21. ODA 開発のための ADK サンプル
Adapter 開発キットのコンポーネント 説明 DevelopmentKits サブディレクトリー
Object Discovery Agent Development

Kit (ODK)

ODA サンプルを提供します。 Odk
Twineball アダプター (Twineball adapter) サンプル ODA が含まれるサンプル・アダプターを
提供します。
Twineball_sample

表 21 に示すように、Adapter 開発キットには Object Discovery Agent (ODA) のサンプルが含まれます。これらのサンプルは、次のディレクトリーに入っています。

DevelopmentKits¥Odk
 

詳しくは、ODA の開発サポートを参照してください。

注:
表 21 に示すように、ADK は別のアダプター・コンポーネントであるコネクターの開発もサポートします。

ビジネス・オブジェクト定義の開発サポート

表 22 は、ビジネス・オブジェクト定義の開発を支援するために WebSphere Business Integration Adapters 製品と WebSphere InterChange Server Express 製品で提供されるツールを示しています。

表 22. ビジネス・オブジェクト定義を開発するためのツール
開発ツール 説明
Business Object

Designer Express

ビジネス・オブジェクト定義を手動または ODA を通じて作成することを支援するグラフィック・ツール。

ビジネス・オブジェクト定義の概要については、ビジネス・オブジェクト定義を参照してください。

ODA の開発サポート

表 23 は、ODA の開発を支援するために WebSphere Business Integration Adapters 製品と WebSphere InterChange Server Express 製品で提供されるツールを示しています。

表 23. ODA を開発するためのツール
開発ツール 説明
Business Object

Designer Express

ビジネス・オブジェクト定義を手動または ODA を通じて作成することを支援するグラフィック・ツール。
Object Discovery Agent Development Kit (ODK)

内容:

  • ODK API: カスタム ODA の作成を可能にする一連の Java クラス。これらのクラスの概要については、ODK API の概要を参照してください。
  • ODA ランタイム: ODA と Business Object Designer Express 間の通信を処理するために ODA ランタイムが使用する一連の Java クラス。
  • ODA サンプル: Adapter 開発キット (ADK) の一部としてインストールされます。詳しくは、Adapter 開発キットを参照してください。

表 23 に示すように、ODK は ODA 開発者向けに ODK API (ODA で使用するメソッドのライブラリー) とサンプル ODA を提供します。これらは、次の製品サブディレクトリーに入っています。

DevelopmentKits¥Odk¥Samples
 

ODK には、次のサンプル ODA が含まれています。

表 24. サンプル ODA
ODA サンプル 説明 DevelopmentKits¥Odk のサブディレクトリー
Roman Army ODA ローマの将軍 (general) と兵士 (soldier) の名前を XML ファイルからビジネス・オブジェクト定義に変換し、その変換を説明する特定のバイナリー・ファイルを提供します。この ODA は、本章で説明する ODK API を使用します。

始動スクリプトの場合: Samples

外部ファイルおよび .jar ファイルの場合: RomanArmy

Java ソースの場合: com¥ibm¥btools¥ODK2¥ RomanArmy

JDBC ODA

JDBC データ (表およびスキーマ) をビジネス・オブジェクト定義に変換します。このサンプル ODA を実行するには、JDBC データベースへのアクセスが必要となります。このサンプルは、ビジネス・オブジェクト定義の生成のみ を処理し、ファイル・コンテンツの生成は処理しない、前のバージョンの ODK API に基づいています。

注:
新しい ODA を開発する場合は、より複雑なビジネス・オブジェクト定義の作成例としてのみ、このサンプルを利用してください。新しい ODA の構築方法の例としては、Roman Army ODA サンプルを使用してください。

始動スクリプトの場合: Samples

Java ソースの場合:

com¥crossworlds¥JDBC

ODA の概要については、Object Discovery Agent を使用してビジネス・オブジェクト定義を作成する方法を参照してください。サンプル Roman Army ODA の実行方法については、サンプル ODA の使用を参照してください。

ODA 開発プロセス

このセクションでは、ODA 開発プロセスについて概説します。ODA 開発プロセスには、次の主要なステップが含まれます。

  1. WebSphere Business Integration システム・ソフトウェアのインストールと設定、および Java Development Kit (JDK) のインストール。
  2. ODA の設計と実装

開発環境の設定

開発プロセスを開始する前に、次の事項を確認してください。

注:
ODA を作成し、生成済みコンテンツをテストする際に、InterChange Server Express またはコネクターを実行しておく必要はありません。ただし、ある時点に到達したらコネクターを実行し、ODA の生成済みコンテンツにコネクターのビジネス・オブジェクトが正しく記述されているかどうかをテストする必要があります。 IBM WebSphere Business Integration システム全体をテストするには、InterChange Server Express とコネクターが通信可能でなければなりません。

ODA 開発ステージ

ODA を開発するには、表 25 に示すステップを実行する必要があります。

表 25. ODA 開発ステップ

ODA 開発ステップ 詳細情報の参照先
1.

ODA 基底クラス (ODKAgentBase2) を拡張し、ODA クラスを作成します。

ODA 基底クラスの拡張
2.

ODA を開始する手段を提供する、ODA クラスのメソッドを実装します。

ODA の開始
3.

ODA コンテンツを設計および実装します。

  • ODA がサポートするコンテンツ・タイプ:
    • ビジネス・オブジェクト定義: IGeneratesBoDefs インターフェースを実装します (必須)
    • バイナリー・ファイル: IGeneratesBinFiles インターフェースを実装します (任意)
  • ODA が使用するコンテンツ・プロトコル:
    • 要求時 (ビジネス・オブジェクト定義で必要)
    • コールバック

ODA で生成されるコンテンツの決定
4.

すべての ODA メソッドに対して、エラー処理とメッセージ処理を実装します。トレース・メッセージは、適切なトレース・レベルで実装します。

例外処理およびトレース・メッセージとエラー・メッセージの処理
5.

データ・ソース対話の処理に必要なクラスを作成します。

  • 接続管理
  • コンテンツの分析および定義

IBM では、Object Discovery Agent をモジュール化し、その主要なプロセスをそれぞれ個別に扱うコンポーネント・クラスを生成することをお勧めしています。詳細は、データ・ソースごとに異なります。
6.

ODA をビルドします。

ODA のコンパイル
7.

新しい ODA 用の始動スクリプトを作成します。

新規の ODA の始動
8.

ODA のテストとデバッグを行い、必要に応じて結果を記録します。


ODA コードの作成は、ビジネス・オブジェクト開発の作業全体の一部にすぎません。Object Discovery Agent コードの作成を開始する前に、ビジネス・オブジェクトの設計の問題、ビジネス・オブジェクトが表すエンティティーが存在するアプリケーションと、ビジネス・オブジェクトを処理するコネクターおよびデータ・ハンドラーを明確に把握してください。さらに、Object Discovery Agent を使用してビジネス・オブジェクト定義を作成するときに、Business Object Designer Express 上でユーザーがたどる手順も十分理解しておくことが必要です。

注:
ビジネス・オブジェクトの設計については、ビジネス・オブジェクト設計を参照してください。Business Object Designer Express での Object Discovery Agent の使用については、Object Discovery Agent を使用してビジネス・オブジェクト定義を作成する方法を参照してください。

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