マップの自動化の使用

マップの自動化によって、類似する属性を持つビジネス・オブジェクト間のマップを自動的に作成できます。また、任意のマップに対して反転マップを生成できます。

このセクションの内容は次のとおりです。

マップの自動作成

Map Designer Express では、ソース属性と宛先属性の名前が同じであるビジネス・オブジェクト間のマップを自動生成できます。異なるビジネス・オブジェクトでも、特定のエレメントを共通に持っていることがあります。例えばカスタマー・ビジネス・オブジェクトには、カスタマー・データを保守するために、通常はファーストネーム、ラストネーム、住所、および郵便番号の属性があります。

ビジネス・オブジェクトを自動的にマップするためには、Map Designer Express は、ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトの間で名前が一致している属性を検索して、移動変換を使用します。マッピングは、対応するレベルでのみ発生します。つまり、ソース・ビジネス・オブジェクトのトップレベルの属性は、宛先ビジネス・オブジェクトのトップレベルの属性にマップされます (それ以外のレベルにはマップされません)。同様に、ソース側の子ビジネス・オブジェクトは、対応する子オブジェクトが宛先ビジネス・オブジェクトの同じレベルで検出された場合にのみ、マップの自動化が考慮されます。

マップの自動作成手順

始める前に: ソース・ビジネス・オブジェクトと宛先ビジネス・オブジェクトが指定されたマップ定義ファイルを用意する必要があります。新規マップ・ウィザードで新規マップ定義ファイルを作成する方法については、"マップ定義の作成手順"を参照してください。

マップを自動的に作成するには、次のステップを実行します。

  1. 「ツール」メニューから「自動マッピング」を選択します。

    結果: 「自動マッピング」ダイアログが表示されます。ここでは、Map Designer Express が属性の検索に使用するプレフィックスまたはサフィックスを指定できます。

    図 29. プレフィックスおよびサフィックスの設定ダイアログ

  2. このオプションを使用するには「自動マッピング」ダイアログで以下の手順を実行します。
    1. チェック・ボックス「検索中にプレフィックスまたはサフィックスを属性に追加」を選択します。
      注:
      このオプションは、デフォルトでは使用不可です。
    2. 「プレフィックス」または「サフィックス」を選択します。そして、提供されたスペース内に、特定セッションの検索ストリングに追加するプレフィックスまたはサフィックスを入力します。

      制約事項: どのインスタンスの場合も、選択できるのはサフィックスまたはプレフィックスのみです。検索用として両方を同時に使用することはできません。

    3. 「OK」をクリックします。
      注:
      Map Designer Express では、「設定」ダイアログの「自動マッピング」タブで指定した大/小文字およびデータ型に関する設定も使用されます。



      図 30. 「設定」ダイアログの「自動マッピング」タブ

      これらの設定については、自動マッピングの指定を参照してください。

結果: Map Designer Express は、ソース側のすべての属性に対し、宛先側の検索ストリングに追加されたプレフィックスまたはサフィックスを付けて、検索を実行します。一致する属性が宛先ビジネス・オブジェクトで検出されるたびに、ソース属性と、プレフィックスが付加された宛先属性の間で自動マッピングが行われます。

自動マッピングの例

以下に示す自動マッピングの例では、プレフィックスを追加します。

ソース・ビジネス・オブジェクトには以下の属性があるとします。

  1. FirstName
  2. LastName
  3. Address
  4. Zip

宛先ビジネス・オブジェクトには、以下の属性があります。

  1. ORCL_FirstName
  2. ORCL_LastName
  3. ORCL_Address
  4. Pin
  5. State
  6. Country

「自動マッピング」ダイアログで、チェック・ボックス「検索中にプレフィックスまたはサフィックスを属性に追加」を選択します。「プレフィックス」スペースに ORCL と入力して、「OK」をクリックします。

注:
この例では、以前に「設定」ダイアログの「自動マッピング」タブの設定が「大/小文字を区別しない」(名前の大/小文字を区別せずに検索を実行する) にされたと仮定しています。

結果: Map Designer Express は、ソース側の属性 (FirstName、LastName、および Address) に対し、宛先側の検索ストリング (ORCL_FirstName、ORCL_LastName、ORCL_Address) に追加されたプレフィックス ORCL を付けて、大/小文字を区別しない検索を実行します。一致する属性が宛先ビジネス・オブジェクトで検出されるたびに、ソース属性と、プレフィックスが付加された宛先属性の間で、移動変換を使用した自動マッピングが行われます。この例では、FirstName と ORCL_FirstName、LastName と ORCL_LastName、Address と ORCL_Address の間でマッピングが発生します。他の属性は一致しないため、それらの間でマッピングは行われません。

図 31 に、この例を示します。

図 31. 自動マッピングでプレフィックスを追加した例

反転マップの自動作成

一般に、マップはペアで使用されます。マップが使用されるほとんどの場所では、反対方向にもマップが必要です。マップの反転を使用すれば、反転マップの作成に必要なステップが自動化されます。次の表は、Map Designer Express が現在サポートする標準変換規則 (現在のマップの列) と、マップの反転に現在含まれている変換規則 (反転マップの列) を示します。

表 20. 現在のマップから反転マップへの変換に使用される規則
現在のマップ 反転マップ
移動 移動
分割 結合
結合 分割
値を設定 マッピングなし
カスタム マッピングなし
相互参照 マッピングなし
サブマップ サブマップ (ある場合)

表 20 に示すように、反転マッピングには移動、分割、結合、およびサブマップ変換があります。値を設定、相互参照、およびカスタム変換規則は、反転マップの作成中はそのまま残ります。

制約事項: 結合から分割への反転マッピングを行う場合は、区切り文字を指定する必要があります。 これに対し、分割から結合への反転マッピングでは、区切り文字はオプションです。

反転マップの自動生成手順

反転マップを自動的に作成するには、次のステップを実行します。

  1. 反転マップを必要とするマップを開きます。
  2. 「ツール」メニューから「マップの反転」を選択します。

    結果: 「別名保管」ダイアログが表示されます。

  3. 反転マップの名前を入力して、「保管」をクリックします。

    結果: 現在開いているマップの反転マップが作成され、その反転マップが Map Designer Express の新規インスタンスとして開きます。

反転マッピングの例

次の例は、マップ反転シナリオ前とシナリオ後を示します。

図 32 は、反転マップを必要とするマップを示します。このマップでは、移動、カスタム、結合、分割、および値を設定の変換が使用されます。



図 32. 反転マップを必要とするマップ

反転マップの自動作成のステップ (反転マップの自動生成手順参照) を実行すると、次のマップが開きます。

図 33. 反転の結果、自動作成されたマップ

図 33 にあるように、移動変換は、反転マップでも移動になります。分割および結合の変換は反転します。カスタム (Pay) および値を設定 (Shift) の変換はそのまま残ります。これらは、Activity Editor を使って手動で行う必要があります。反転方向で実行できない変換は、出力ウィンドウに警告としてリストされます。

Activity Editor の使用については、マップのカスタマイズを参照してください。

自動化の同義語の使用

基本のマッチング・プロセスを拡張する目的で、属性名に複数の同義語を作成できます。例えば、属性名を、一致する 1 つの名前と突き合わせるだけでなく、考えられるいくつかの同等な名前と突き合わせることができます。

例: ソース側に CR という属性名があるとします。この名前は、宛先側の以下の属性名と一致する可能性があります。

これらの同義語は、System Manager の「同義語」ウィンドウのプロジェクト・レベルで追加できます。ここでエントリーを編集し、さらにストリングをコンマで区切って追加すれば、マップの自動化に役立ちます。プロジェクト内のすべてのビジネス・オブジェクトに適用されるグローバル 同義語も作成できます。

System Manager でマップの自動化用に同義語を作成する手順については、「システム・インプリメンテーション・ガイド」を参照してください。

System Manager は、与えられた属性に関するすべての同義語を検索して、一致するものが検出されると自動マッピングを実行します。例えば、DefectChange requestBug number、および CR が「同義語」ウィンドウで同義語として追加済みであれば、ソース側の CR は、これらと一致します。これらのいずれかの語が検出されると、自動的にマッピングが実行されます。

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