Business Integration Connect を使用すると、あらゆる種類および規模のパートナー間で企業間 (B2B) のプロセス統合やデータの共用が可能になります。この製品は、分散化した 1 組の多重層 Java(TM) アプリケーション群として捉えることができます。このアプリケーション群は、白紙の状態から Java 2 Enterprise Edition (J2EE) の利点を活用できる状態まで設計されており、かつ企業に対する B2B 機能を連携して提供します。各 Business Integration Connect 製品のインスタンスは、企業単位またはコミュニティー単位で配置されます。企業やそのパートナーは、オープン・スタンダードや実績のあるテクノロジーを利用することにより、統合コストの削減や、新しいプロセスおよびサービスのすばやい配置などの利益を得ることができます。
WebSphere 製品ファミリーの概要で説明したように、Business Integration Connect の 3 つの主要コンポーネントは、Receiver、Console、および Document Manager です。
図 7は、コンポーネントがどのように連携するかを示しています。
図 7. WebSphere Business Integration Connect のコンポーネント
以降のセクションでは、コンポーネント、コンポーネントとデータベースの関係、およびコンポーネントと共用ストレージの関係について詳しく説明します。すべてのコンポーネントには、同じファイル・システムへのアクセス権が必要です。
Receiver コンポーネントは、コミュニティー参加者からの文書やバックエンド・システムからの文書を受け入れて、格納します。具体的には、以下の処理を実行します。
Receiver は、トランスポート固有のデータ (送信元の IP アドレスおよび SSL 接続に関する証明書情報など) をメタデータ・ファイルに記録し、トランスポート固有の技術的肯定応答 (200 応答の HTTP POST への送信など) を実行します。
Document Manager は、コミュニティー参加者とエンタープライズ・システムの両方に対して、保管データの検索、処理、および経路指定を実行します。具体的には、以下の処理を実行します。
以降のセクションでは、前出のリストに示したタスクが、Document Manager のサブコンポーネントによってどのように実行されるかについて説明します。
Document Processing Engine は、文書に関するすべての処理を実行します。Document Processing Engine による処理の範囲は以下のとおりです。
State Engine は、プロトコル単位でビジネス・ルールをカプセル化し、これらのルールに基づいて命令を実行します (例えば、定義した間隔の間に肯定応答を受信しなかった場合に再試行を開始するなど)。
Alert Engine は、活動をモニターし、E メールによる通知を生成します。Alert Engine を構成することにより、生成されたアラートの種類、アラートの送信先、アラートの送信時刻を指定できます。
Delivery Manager コンポーネントの機能は、文書を特定の宛先へ移送し、文書のキューを宛先ごとに別個の状態に維持することです。宛先ごとに専用の移送メカニズムが存在するため、ある宛先に伝達される問題が他の宛先への移送に影響することはありません。
Community Console は Web ベースの J2EE アプリケーションです。取引コミュニティー・アクティビティーの構成、管理、モニター以外に、イベントへの応答を行います。このコンソールの主なユーザーは、コミュニティー・オペレーター、コミュニティー・マネージャー、およびコミュニティー参加者です。Community Console は、さまざまな機能および表示に対する役割ベースのアクセス制御機能を提供します。Community Console の機能は、次のとおりです。
前提条件である DB2 Universal Database Enterprise または Oracle 9.2 データベースは、データ・リポジトリーとして使用します。ここには、パートナーのプロファイル情報が格納され、イベントが記録されます。データ・リポジトリーは、ガイドラインやマップ (検証および変換用) の格納先、さまざまなプロセスの状態の記録先、および取引活動の追跡場所にもなっています。
データ・リポジトリーに保管された情報は、Business Integration Connect によって使用されます。管理者は、この情報を通じて取引コミュニティー全体を把握することができます。
前提条件である DB2 Universal Database Enterprise または Oracle 9.2 データベースは、データ・リポジトリーとして使用します。ここには、パートナーのプロファイル情報が格納され、イベントが記録されます。データ・リポジトリーは、ガイドラインやマップ (検証および変換用) の格納先、さまざまなプロセスの状態の記録先、および取引活動の追跡場所にもなっています。
データ・リポジトリーに保管された情報は、Business Integration Connect によって使用されます。管理者は、この情報を通じて取引コミュニティー全体を把握することができます。
一部の情報 (例えば、否認防止ストアやメッセージ・ストアにある未加工のメッセージ・データ) は、ファイル・システムで説明したように、ファイル共用システムに保持されます。
参加者のプロファイルは、文書の経路指定とコンソールのアクセスに使用する構成データで構成されます。プロファイル情報の例を以下に示します。
参加者データの内容は、参加者の名前と、DUNS 番号などのビジネス ID です。パートナー 1 人に対して 1 つ以上のビジネス ID を割り当てることができます。
ユーザーとは、Business Integration Connect コンソールにアクセスできるアカウントのことです。ユーザー・アカウントには、グループのメンバーシップに基づいて、コンソールと対話する権限が与えられます。
連絡先はユーザーと似ていますが、コンソールとは対話できません。また、連絡先に対して可能な構成は、アラート・システムからの通知を受け取ることに限定されています。
ゲートウェイは、Document Manager がコミュニティー・マネージャーまたは別の参加者に文書を送信する際に必要な宛先情報を指定します。ゲートウェイは、ゲートウェイ定義 で定義されます。ゲートウェイ定義には、ゲートウェイの宛先 URI、オプションのログイン情報、およびトランスポート・レベルの設定が含まれます。
接続では、コミュニティー参加者間の有効な対話が定義されます。これには、文書プロトコル、文書タイプ、送信元の参加者、宛先の参加者、接続タイプ、および送信元と宛先のゲートウェイに関する情報が含まれます。Document Manager は、接続の情報を使用して変換が必要かどうかを判別し、宛先ゲートウェイの情報を確認します。
以下のセキュリティー情報が格納されます。
アラートは参加者レベルで定義されます。また、イベント・ベースのアラートや大量のアラートを記述するために、さまざまな属性で構成されます。
イベント・ベースのアラートは、イベントが発生するたびに起動するように、またはアラートを一括処理できるように、時間間隔に基づいて定義できます。アラートは、定義したスケジュールに基づいて、通知の連絡先リストを使用して構成することもできます。
Business Integration Connect は、文書が転送されると、文書を説明するための情報をログに記録します。文書の詳細は、文書を受信したときと送信したときにログに記録されます。以下の種類の情報が記録されます。
Business Integration Connect は、イベントを使用して活動を追跡し、一元的なイベント・ログにイベントを記録します。イベントは、通知、警告、クリティカル・エラーに分類され、Business Integration Connect のさまざまなコンポーネントによって生成されます。
イベントは、そのイベントが Business Integration Connect によって転送された文書と関連している場合、文書のアクティビティーに戻って結びつけることができます。イベントは、システムへのロギングなど、文書と関連のないアクティビティーを追跡することもできます。
Business Integration Connect は、主要な測定基準を集計します。この内容はコンソールに表示できます。集計される情報は、以下のとおりです。
これらの数は 1 時間ごとにロールアップされ、文書のアクティビティー・ログに戻って相関付けることができます。
以下の情報はファイル共用システムに格納されます。
文書は、Business Integration Connect (Receiver、Console、および Document Manager) のすべてのコンポーネントからの共用アクセスが可能なディスクに格納されます。元の文書 (受信時の文書) と最終的な文書 (送信時の文書) の両方が格納されます。
文書は、コンソールに表示するために、暗号化されていない形式で格納されます。このディスクには、Business Integration Connect (Receiver、Console、および Document Manager) のすべてのコンポーネントからの共用アクセスが可能です。
いくつかのコンポーネント間の通信は、JMS を使用して実行されます。信頼性の高い記憶域を備えた JMS キューにより、標準的なコンポーネント間通信方式を維持する一方で、さまざまなマシンにコンポーネントを柔軟に配置できます。