Business Integration Connect と InterChange Server 間の対話用に、System Manager ツール内で統合コンポーネント・ライブラリー (ICL) を作成する必要があります。この ICL には、以下の成果物が組み込まれます。
ユーザー・プロダクトを作成し、InterChange Server および Business Integration Connect 間の特定の対話に必要な成果物を ICL から選択する必要があります。
Business Integration Connect がメッセージを ICS 互換コンポーネントに送信すると、ICS 互換コンポーネントは、このメッセージを 1 つ以上のビジネス・オブジェクトの形式で InterChange Server に送付します。
InterChange Server がビジネス・オブジェクトを認識するためには、まずビジネス・オブジェクト定義と呼ばれるテンプレートを探し出し、ビジネス・オブジェクト内の情報の構造を記述します。
ビジネス・オブジェクト定義内の情報はそれぞれ、属性に保持されています。そこで、メッセージ内で情報を表現するためのビジネス・オブジェクト定義を作成する必要があります。ビジネス・オブジェクト定義を作成するには、Business Object Designer ツールを使用します。
InterChange Server は、以下の情報のためにビジネス・オブジェクトを使用します。
Business Integration Connect 文書またはメッセージのペイロードを保持するには、ペイロード・ビジネス・オブジェクトを表現するビジネス・オブジェクト定義を定義する必要があります。
このビジネス・オブジェクト定義は、ICS 互換コンポーネントが文書を InterChange Server に (またはその逆方向に) 転送するペイロード・ビジネス・オブジェクトの形式になっています。このセクションでは、ペイロード・ビジネス・オブジェクトに関する次の内容について説明します。
ペイロード・ビジネス・オブジェクトは、転送する文書内の個々の情報に、その関連ペイロード・ビジネス・オブジェクト定義の属性が必ず存在するように設計する必要があります。表 33 に示すように、ペイロード・ビジネス・オブジェクトの内容は、文書の構造と、文書が使用するパッケージ化のタイプによって異なります。
表 33. パッケージ化とペイロード・ビジネス・オブジェクトの構造との関係
文書の構造 | パッケージ化のタイプ | ペイロード・ビジネス・オブジェクト定義 |
---|---|---|
ペイロードのみ | なし | 文書のペイロード情報を保持します。 |
ペイロードのみ | バックエンド統合 |
次のデータを保持します。
|
ペイロードと添付ファイル | なし | 適用されません。文書に添付ファイルが含まれる場合は、バックエンド統合パッケージ化を使用する必要があります。 |
ペイロードと添付ファイル
この文書には、トランスポート・エンベロープと呼ばれる XML ラッパーが格納されています。ここでは、ペイロードと添付ファイルの両方がラップされます。 | バックエンド統合 |
次のデータを保持します。
トランスポート・エンベロープを処理するには、Attachment Data Handler と呼ばれる Business Integration Connect 付属のデータ・ハンドラーが必要です。詳細については、添付ファイルのある文書の処理を参照してください。
|
ペイロード・ビジネス・オブジェクトは、Business Integration Connect との統合に使用される特定の ICS 互換コンポーネントの要件にも従って設計する必要があります (表 27 参照)。表 34 では、特定のトランスポート・プロトコルを通じて転送するペイロード・ビジネス・オブジェクトについて、作成方法を詳細に説明している参照先を示します。
表 34. さまざまなトランスポート・プロトコルに応じたペイロード・ビジネス・オブジェクトの作成
トランスポート・プロトコル | 注記および制約事項 | 詳細の参照先 |
---|---|---|
HTTP |
4.2.2 以前の InterChange Server に対して使用
| HTTP を使用する 4.2.2 より前の ICS に対するビジネス・オブジェクト定義の作成 |
HTTP |
バージョン 4.2.2 の InterChange Server に対して使用
| HTTP を使用する v4.2.2 の ICS のビジネス・オブジェクト定義の作成 |
JMS | 文書がバックエンド統合パッケージ化を使用する場合 | JMS 用のビジネス・オブジェクト定義の作成 |
すべて | 文書に添付ファイルがある場合 | 添付ファイル関連のビジネス・オブジェクト定義の作成 |
通常、ICS 互換コンポーネントは、データ・ハンドラーを使用して文書の形式とそのビジネス・オブジェクト表現との変換を実行します。このデータ・ハンドラーのことをペイロード・データ・ハンドラーといいます。
ペイロードのコンテンツ・タイプに対して適切なデータ・ハンドラーを呼び出すには、ICS 互換コンポーネントを構成する必要があります。通常、WebSphere Business Integration Data Handler for XML は XML メッセージとビジネス・オブジェクト間の変換を実行するため、これをペイロード・データ・ハンドラーとして構成します。ただし、対応するデータ・ハンドラーが WebSphere Business Integration Server によって提供されていないメッセージ・フォーマットに対しては、カスタムのデータ・ハンドラーを作成できます。
使用しているペイロード・データ・ハンドラーが、使用しているトランスポート・プロトコルが必要とする子メタオブジェクトを無視できることを確認する必要があります。データ・ハンドラー (WebSphere Business Integration に付属するものであってもカスタム・データ・ハンドラーであっても) を使用する前に、子メタオブジェクトをサポートしていることを確認してください。トランスポート・プロトコルの適切なセクションで、ビジネス・オブジェクトのアプリケーション固有情報に存在する cw_mo_label タグのセクションを参照してください (表 34 を参照)。
ペイロードの変換に使用するデータ・ハンドラーを指示するには、以下の手順を実行する必要があります。
WebSphere Business Integration Adapter 資料セット内の「データ・ハンドラー・ガイド」では、IBM が提供しているデータ・ハンドラーについて説明しています。これらのデータ・ハンドラーが機能しない場合は、カスタム・データ・ハンドラーを作成することもできます。
InterChange Server の場合、ペイロード・ビジネス・オブジェクトの名前は、次に示すように通信の方向によって決まります。
この場合、データ・ビジネス・オブジェクトはイベント・ビジネス・オブジェクトと呼ばれ (単にイベントと呼ばれる場合もある)、あるコミュニティー参加者で発生したイベントについて InterChange Server に通知します。
この場合、データ・ビジネス・オブジェクトは要求ビジネス・オブジェクトであり、あるコミュニティー参加者からの情報を要求するために InterChange Server が送信したものです。
InterChange Server が応答して、ハブ・コミュニティーへ応答ビジネス・オブジェクトを戻す場合があります。
多くの ICS 互換コンポーネントに対しては、構成情報を保持するためにビジネス・オブジェクト定義を作成します。このようなビジネス・オブジェクトは多くの場合メタオブジェクトと呼ばれます。
表 34 では、特定のトランスポート・プロトコルを通じて転送するデータ・ビジネス・オブジェクトについて、作成方法を詳細に説明している参照先を示しています。
トランスポート・プロトコル | 関連コンポーネント | 詳細の参照先 |
---|---|---|
HTTP (4.2.2 より前の InterChange Server に対して) | Wrapper Data Handler | |
HTTP (v4.2.2 の InterChange Server に対して) | Adapter for HTTP | 4.2.2 より前の InterChange Server 用の HTTP トランスポート・レベル・ヘッダー情報の作成 |
JMS | Adapter for JMS | JMS ヘッダー情報の作成 |
すべて | Attachment Data Handler | Attachment 子メタオブジェクトの作成 |
トランスポート・プロトコルの ICS 互換コンポーネントが WebSphere Business Integration Adapter である場合は、そのアダプターに対してコネクター・オブジェクトを作成する必要があります。このコネクター・オブジェクトは、実行時におけるアダプターのインスタンスを表しています。コネクター・オブジェクトは、InterChange Server の System Manager ツール内部で作成します。
表 36 には、コネクター・オブジェクトの作成方法に関する情報の入手先が、使用しているトランスポート・プロトコルに基づいて要約されています。
表 36. さまざまなトランスポート・プロトコルに応じたコネクター・オブジェクトの作成
トランスポート・プロトコル | ICS 互換コンポーネント | 詳細の参照先 |
---|---|---|
HTTP
(4.2.2 以前の InterChange Server を使用する場合) | Adapter
for XML
(要求処理のみ) | XML コネクター・オブジェクトの作成 |
HTTP
(バージョン 4.2.2 の InterChange Server を使用する場合) | Adapter for HTTP | HTTP コネクター・オブジェクトの作成 |
JMS | Adapter for JMS | JMS コネクター・オブジェクトの作成 |
必要な実際のビジネス・プロセスを実行するのは InterChange Server 内部のコラボレーションです。そのため、Business Integration Connect 文書を正しく処理するには、InterChange Server 用の適切なコラボレーションが存在しなければなりません。実行時に適切なコラボレーションを使用可能にするには、以下の手順を実行してください。
表 37 には、コネクター・オブジェクトの作成方法に関する情報の入手先が、使用しているトランスポート・プロトコルに基づいて要約されています。
表 37. さまざまなトランスポート・プロトコルに応じたコラボレーションのバインディング
トランスポート・プロトコル | ICS 互換コンポーネント | 詳細の参照先 |
---|---|---|
HTTP
(4.2.2 以前の InterChange Server を使用する場合) | Adapter
for XML
(要求処理のみ) | Adapter for XML と通信する場合のコラボレーションのバインド |
HTTP
(バージョン 4.2.2 の InterChange Server を使用する場合) | Adapter for HTTP | Adapter for HTTP と通信する場合のコラボレーションのバインド |
JMS | Adapter for JMS | Adapter for JMS と通信する場合のコラボレーションのバインド |
ユーザー・プロジェクト内に、必要な実行時コンポーネントを定義する成果物が作成されると、ユーザー・プロジェクトを InterChange Server リポジトリーに配置することが必要になります。System Manager 内でユーザー・プロジェクトを配置します。