JMS トランスポートを通じた文書に必要なコンポーネント

Business Integration Connect と InterChange Server が JMS トランスポート・プロトコルを通じて通信するには、これらの 2 つのコンポーネントを JMS に対応するように構成する必要があります。表 70 にこれらの構成ステップの要約を示します。

表 70. JMS トランスポート・プロトコルを使用する場合の Business Integration Connect と InterChange Server の構成
コンポーネント バージョン 詳細の参照先
WebSphere Business Integration Connect 4.2.2

JMS トランスポート・プロトコルでの発信文書の構成

JMS トランスポート・プロトコルでの着信文書の構成

WebSphere InterChange Server 4.1.1, 4.2.0, 4.2.1, 4.2.2 JMS 用の ICS 成果物の作成

また、JMS トランスポート・プロトコルを通じて Business Integration Connect と InterChange Server の間で文書を送受信するには、表 71 に示す ICS 互換コンポーネントも使用する必要があります。

表 71. JMS を通じて InterChange Server と文書をやり取りするために必要なコンポーネント
コンポーネント 説明 注記および制約事項

WebSphere Business Integration Adapter for JMS

(Adapter for JMS)

このアダプターによって、InterChange Server は、JMS メッセージの形式でデータを送受信するアプリケーションとビジネス・オブジェクトを交換できます。Adapter for JMS と Business Integration Connect は、JMS キューを通じて通信します。

  1. カスタム・ヘッダー・プロパティーをサポートする Adapter for JMS バージョン 2.3.1 (またはそれ以降) を使用するようにしてください。アダプターの資料を参照して、そのバージョンのアダプターに、ご使用の InterChange Server のバージョンとの互換性があることを確認します。
  2. Adapter for JMS がサポートしているのは、JMS テキスト・メッセージのみです。JMS バイト・メッセージを使用する場合は、Adapter for JMS バージョン 2.5.0 を使用してください。

ペイロード・データ・ハンドラー このデータ・ハンドラーは、ペイロードを文書形式とビジネス・オブジェクト表現の間で変換します。 詳細については、ペイロード・データ・ハンドラーの指定を参照してください。
Attachment Data Handler

このデータ・ハンドラーは、添付ファイルを含む文書をビジネス・オブジェクトに変換します。

このデータ・ハンドラーは、文書に添付ファイルが含まれている場合のみ 必要です。詳細については、添付ファイルのある文書の処理を参照してください。

以降のセクションでは、JMS トランスポート・プロトコルを通じて Business Integration Connect と InterChange Server の間で文書を送受信する際に、表 71 に示すコンポーネントがどのように機能しているのかについて説明します。

JMS トランスポートを通じた文書の送信

Business Integration Connect が JMS トランスポート・プロトコルを使用して文書を InterChange Server に送信できるようにするには、Adapter for JMS を使用して、Business Integration Connect が JMS キューに格納したメッセージを取り出します。アダプターは、取り出したメッセージを InterChange Server に送付します。図 20 は、Business Integration Connect が JMS トランスポート・プロトコルを通じて InterChange Server に文書を送信する手順の概要を示したものです。

図 20. Business Integration Connect からコラボレーションへの JMS トランスポート・プロトコルを通じたメッセージ・フロー


Business Integration Connect が、JMS トランスポート・プロトコルを通じて InterChange Server 内部のコラボレーションへ文書を送信することによって、イベント通知に参加する手順を以下に説明します。

  1. Business Integration Connect は、メッセージを JMS アウトバウンド・キューにポストします。

    文書のパッケージ化タイプがバックエンド統合であれば、Business Integration Connect は、このメッセージ内にカスタム・プロパティーを用意しています。JMS メッセージ・ヘッダーである JMSType が、ペイロードのコンテンツ・タイプとともに設定されます。

    注:
    Business Integration Connect 内部で、Business Integration Connect からのメッセージの送信先であり、Adapter for JMS のポーリング対象である JMS キューを示すゲートウェイを構成する必要があります。詳細については、JMS トランスポート・プロトコルでの発信文書の構成を参照してください。
  2. Adapter for JMS は、入力キューのいずれかにメッセージを見つけた場合、メッセージを取り出します。

    Business Integration Connect がアウトバウンド・キューとして使用する JMS キューは、Adapter for JMS が入力キューとして使用するキューと同じです。このキューの設定方法については、JMS キューの構成を参照してください。Adapter for JMS の処理については、「Adapter for JMS ユーザーズ・ガイド」を参照してください。

  3. Adapter for JMS は、その進行中キューにメッセージを移動します。
  4. Adapter for JMS は、JMS メッセージの本文を抽出して、メッセージの本文とともにデータ・ハンドラーを呼び出します。このデータ・ハンドラーは、JMS メッセージの本文をビジネス・オブジェクトに変換します。
    注:
    メッセージに添付ファイルがある場合、Attachment Data Handler をインストールし、それを呼び出して JMS メッセージの本文をビジネス・オブジェクトに変換するように Adapter for JMS を構成します。詳細については、添付ファイルのある文書の処理を参照してください。

    パッケージ化のタイプがバックエンド統合で、文書に添付ファイルが含まれる場合、構成済みデータ・ハンドラーがペイロードと添付ファイルの処理を担当します。

  5. データ・ハンドラーは、ビジネス・オブジェクトを Adapter for JMS に戻します。
    注:
    Attachment Data Handler が使用されていた場合、このビジネス・オブジェクトには添付ファイルだけでなく、ペイロードも含まれています。
  6. Adapter for JMS が動的子メタオブジェクト (ビジネス・オブジェクト・レベルのアプリケーション固有情報内の cw_mo_conn を使用して指定される) を検出した場合、アダプターは、ビジネス・オブジェクトに存在するユーザー定義 JMS ヘッダーに JMS メッセージ内に存在するヘッダーを取り込みます。
  7. Adapter for JMS は、サブスクリプション送達の一部として、InterChange Server へビジネス・オブジェクトを送達します。

JMS トランスポートを通じた文書の受信

Business Integration Connect が JMS トランスポート・プロトコルを使用して文書を InterChange Server から受信できるようにするには、Adapter for JMS を使用します。アダプターは、InterChange Server から取り出したメッセージを JMS キューに格納し、それを Business Integration Connect が取り出します。図 21 では、Business Integration Connect が JMS トランスポート・プロトコルを通じて InterChange Server から文書を受信する方法の概要を示します。

図 21. JMS トランスポート・プロトコルによるコラボレーションから Business Integration Connect へのメッセージ・フロー


Business Integration Connect が、JMS トランスポート・プロトコルを通じて InterChange Server 内部のコラボレーションから文書を受信することによって、要求処理に参加する手順を以下に説明します。

  1. InterChange Server 内部のコラボレーションは、Adapter for JMS に対して要求ビジネス・オブジェクトを送信することにより、サービス呼び出しを行います。

    要求オブジェクトには、JMS トランスポート・レベル・ヘッダーを含む動的メタオブジェクトを指すアプリケーション固有情報が含まれています。Business Integration Connect はこの情報があることを前提としています。

  2. Adapter for JMS はデータ・ハンドラーを使用して、コラボレーションが送信したビジネス・オブジェクトを JMS メッセージに変換します。

    アダプターは、DataHandlerMimeType および DataHandlerConfigMO プロパティーを読み出して、使用するデータ・ハンドラーを決定します。詳細については、ペイロード・データ・ハンドラーの指定を参照してください。

    注:
    文書に添付ファイルがある場合は、Attachment Data Handler をインストールして、それを呼び出すように Adapter for JMS を構成します。これにより、要求ビジネス・オブジェクトが添付ファイル付き文書に変換されます。詳細については、添付ファイルのある文書の処理を参照してください。
  3. データ・ハンドラーはビジネス・オブジェクトをストリングに変換し、それを Adapter for JMS に戻します。
  4. Adapter for JMS は、要求ビジネス・オブジェクトから、カスタム JMS プロパティーの動的メタオブジェクトの名前を判別します。

    アダプターは要求ビジネス・オブジェクトのアプリケーション固有情報を調べて cw_mo_conn タグを探します。このタグは動的メタオブジェクトを含む属性を示します。文書にバックエンド統合パッケージ化を使用している場合、この動的メタオブジェクト内でトランスポート・レベル・ヘッダー情報を指定することができます。

  5. Adapter for JMS は、動的メタオブジェクトを調べて JMSProperties 属性を探します。

    この属性にデータが取り込まれている場合、アダプターは要求文書にトランスポート・レベル・ヘッダー・フィールドを設定します。JMSProperties 属性内で、コンテンツ・タイプ標準 JMS ヘッダーを指定することもできます。詳細については、JMS ヘッダー情報の作成を参照してください。

  6. Adapter for JMS は、データ・ハンドラーによって戻されたストリングを使用して JMS メッセージを作成します。また、動的メタオブジェクトに定義されているように、カスタム・プロパティーを設定します。
    注:
    バージョン 2.4.1 より前の Adapter for JMS では、JMS テキスト・メッセージのみを書き込むことができます。
  7. Adapter for JMS は、生成された要求メッセージを出力キューに送信します。

    キューは、静的メタオブジェクトまたは動的メタオブジェクト内で指定することができます。キューの指定方法については、JMS キューの識別を参照してください。Business Integration Connect はこの JMS キューで listen します。ターゲット定義でインバウンド・キューとしてこのキューが構成されています。詳細については、JMS トランスポート・プロトコルでの着信文書の構成を参照してください。

  8. Business Integration Connect は、ターゲットで構成されているように、JMS インバウンド・キューからメッセージを受信します。

注:
Business Integration Connect は、JMS を通じた InterChange Server との非同期 の対話のみをサポートします。したがって、通常は応答を待つ必要はありません。コミュニティー参加者または Business Integration Connect からの応答は、異なるキューに来る可能性もあります。そのキューをポーリングするように Adapter for JMS を構成することができます。そのキューに来た応答は、イベント送達の一部として InterChange Server に送達することが可能です。

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