概要

WebSphere Data Interchange は、電子データ交換 (EDI) を WebSphere ビジネス・プロセス、メッセージング、およびインターネット・ベース B2B 機能に統合します。

文書およびメッセージを、JMS トランスポート・プロトコルを使用して Business Integration Connect と WebSphere Data Interchange の間で交換します。文書を WebSphere Data Interchange に送信する場合には、パッケージ化に「なし」を指定する必要があります。

注:
WebSphere Data Interchange には、ファイル・ベース統合などの、その他の統合オプションが用意されています。ファイル・ベース統合を使用して文書の交換を使用可能にするための詳細については、WebSphere Data Interchange 資料を参照してください。

WebSphere Data Interchange への文書の送信

Business Integration Connect から WebSphere Data Interchange に EDI 文書を送信する際は、以下の手順が実行されます。

  1. コミュニティー参加者が EDI 文書を Business Integration Connect に送信します。文書は HTTP トランスポート・プロトコルを使用して AS2 で送信されます。Business Integration Connect は、EDI 文書から AS2 パッケージを除去します。
  2. Business Integration Connect は、EDI 文書をキューに入れます。
    注:
    Business Integration Connect は、EDI 文書の最初の 3 文字を調べて文書で使用されるプロトコルを判別します。その後、プロトコル・タイプから送信側および受信側情報を判別します。詳細については、EDI ルーティングの概要を参照してください。
  3. WebSphere Data Interchange は、キューから EDI 文書を読み取り、その EDI 文書に対してアンラップ、検証、および変換タスクを実行します。
    注:
    WebSphere Data Interchange は、ユーザー・プロファイルおよび必要なマッピング用に構成する必要があります。
  4. WebSphere Data Interchange は、この文書をバックエンド・システムに送信します。バックエンド・システムが WebSphere InterChange Server の場合、WebSphere Data Interchange は、ビジネス・オブジェクトを作成し、InterChange Server 内のコラボレーションを呼び出すために、WebSphere Business Integration Adapter for MQ に文書を送信します。

図 25. Business Integration Connect からの EDI 文書


図 25 では、コミュニティー参加者が Business Integration Connect に AS2 文書を送信し、その後 Business Integration Connect がそれを WebSphere Data Interchange サイドの EDI_IN キューに送信します。リモート・キュー、伝送キュー、受信先キュー (例では EDI_IN)、送信側チャネルおよび受信側チャネルが、Business Integration Connect に送信されたメッセージが EDI_IN キューに転送されるようにセットアップされていなければなりません。WebSphere Data Interchange サーバーは、EDI 文書を取り出し、ユーザー・プロファイル、マッピングなどを検索して、文書を XML に変換し、XML_OUT キューに入れます。

WebSphere Data Interchange からの文書の受信

Business Integration Connect が WebSphere Data Interchange からの EDI 文書を受信する際は、以下の手順が実行されます。

  1. WebSphere Data Interchange は、EDI 文書をキューに入れます。
  2. Business Integration Connect は、キューからメッセージを読み取ります。
    注:
    Business Integration Connect は、EDI ルーティングの概要に従って文書の送付方法を判別します。
  3. Business Integration Connect は、該当するコミュニティー参加者に文書を送付します。

図 26. WebSphere Business Integration Connect への EDI 文書の送信


図 26 では、WebSphere Data Interchange が変換を実行するために、XML 文書は XML_IN キューに入れられます。ユーザー・プロファイル、マッピングなどはすでに実行されていることを前提としています。有効な XML 文書を受信すると、WebSphere Data Interchange はそれを EDI 形式に変換して、出力を EDI_OUT キュー (リモート・キュー) に入れます。伝送キュー、送信側および受信側チャネル、Business Integration Connect サイドの受信先キューがセットアップされていることも前提とします。文書を受信すると、Business Integration Connect はそれをコミュニティー参加者に送付します。

本章で使用するサンプル・シナリオ

この章では、2 つの取引パートナー間での EDI 文書の交換をセットアップする手順について説明します。EDI 文書はインターネットで送信され、AS2 (HTTP を使用) が通信プロトコルとして使用されます。

このサンプルでは、パートナー 1 とパートナー 2 が取引パートナーです。図 27 に、2 つのパートナーの構成を示します。

図 27. サンプル・シナリオでの 2 つのパートナーの構成


このサンプル・シナリオの実装に、次のソフトウェアが使用されています。

ソフトウェア前提条件の詳細については、「Business Integration Connect インストール・ガイド」と WebSphere Data Interchange 資料を参照してください。

この例では、パートナー 1 は 2 台のマシンを運用しています。マシン A には、WebSphere MQ と WebSphere Data Interchange Server の両方がインストールされています。マシン B には、WebSphere MQ と WebSphere Business Integration Connect Enterprise Edition がインストールされています。マシン B は、2 つの取引先間の通信をサポートします。

WebSphere Data Interchange は WebSphere MQ との統合をサポートして、広範囲のエンタープライズ・アプリケーションやビジネス・プロセス・エンジンとの相互協調処理を可能にします。WebSphere Business Integration Connect は、WebSphere MQ を JMS プロバイダーとして使用します。したがって、WebSphere Data Interchange と WebSphere Business Integration Connect 間の統合は JMS API クライアントに向けた MQ メッセージを使用します。

WebSphere Business Integration Connect は、AS2 プロトコルを使用してインターネットで EDI トランザクションを通信するために使用されます。

この例では、パートナー 2 は WebSphere Business Integration Connect - Express を使用して AS2 経由のトランザクションを受信し、トランザクションおよび肯定応答を処理する独自の WebSphere Data Interchange 環境があります。

本章全体で、このサンプル・シナリオで使用されるマシンの構成についての詳細が説明されます。メッセージ・フローは双方向で、送信および受信の両方の成果物が含まれています。

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