現在、電気通信事業者は、コストを削減し、大切な顧客を逃がさないようにしながら、 インターネット・プロトコル (IP) ベースの新しいサービスを展開するという課題に取り組んでいます。IBM(R) WebSphere(R) Business Integration Collaborations for Telecommunications では、そうした企業のニーズに応えるため、手動プロセスと自動プロセスを統合し、 新たな高収益サービスを迅速かつ効率的に提供できるようにします。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、これらのプロセスを合理化し、リエンジニアリングを可能にすることで、運用コストの大幅な削減と利益率の大幅な向上を実現します。
この 20 年の間、電気通信業界は、前例のない変革を経験しました。 現在の電気通信事業者は、規制緩和による厳しい競争に対処することや、 変化する顧客ニーズに対応したネットワークを新たに構築することなど、実に多くの課題に直面しています。 販売代理店や CLEC などの新生企業の競争が激化するにつれ、短距離/長距離通信サービスなどの従来の高収益サービスは、 もはや必需品となりました。その結果、電気通信事業者は、利益と ARPU(顧客一人当たりの月平均利用料)が減少し、 解約率も高いという状況になっています。
IP ネットワークの登場、およびインターネットが世界中に普及したことにより、電気通信事業者は、 顧客に新しいサービスを提供するために必要なインフラストラクチャーの整備に焦点を移しました。
しかし、新規サービスの導入によって利益を得たり、さらなる収益を生み出すためには、次のような大きな障害をいくつか乗り越えなければなりません。
上記の障害は、電気通信事業者内の各種の部門とプロセスを統合することによって克服することができます。 そのため、電気通信事業者は、異種システム間を接続し、 顧客の視点でサービスを参照することが可能なインフラストラクチャーの組み込みに専念しています。 また、運用効率の大幅な向上にも取り組んでいます。
電気通信業界の多くの企業で必要とされる主要なエンドツーエンド・ビジネス・プロセスは同じものです。 これらのビジネス・プロセスは、 TeleManagement Forum (TM Forum) で定義された enhanced Telecom Operation Map (eTOM) に記述されています。 これらの企業が主要な目標を達成するには、個々の企業と電気通信業界が全体としてこれらのプロセスを合理化し、 システムを連携できるようにして、効率性と柔軟性を確保する必要があります。 電気通信業界の主要なエンドツーエンド・ビジネス・プロセスは、次のカテゴリーに分類できます。
ビジネス・インテグレーションで難しいことは、企業の参加者をすべて自動的にリンクするソリューションを構築し、 エンドツーエンドのサービスを提供することです。このコンテキストでは、参加者は、アプリケーション、ビジネス情報単位、 ユーザー、ビジネス・パートナー、またはビジネス・サプライヤーを指しています。 アプリケーションとは、必要なビジネス機能を提供するソフトウェア・プログラミングの一部を意味します。 情報とは、商取引が記録されたデータを意味します。ユーザーとは、企業からのサービスを要求する顧客、 または顧客にサービスを提供する企業の従業員を意味します。 パートナーおよびサプライヤーとは、企業を相手にビジネスを行うエンティティーを意味します。
こうしたビジネス・インテグレーションの課題に対処するには、次のことを達成する体系的なビジネス・プロセス・モデルが必要となります。
電気通信事業者は、より高い効率性の実現とコスト削減のために、 ビジネス・サポート・システム(BSS) と運用サポート・システム (OSS) をリンクする、 クラス最高のソリューションを必要としています。 重要な運用を中断せずに新しいサービスを迅速に導入できるような業界の統合ソリューションがあれば、 サービスを市場に投入して成功する確率が非常に高くなります。 サービスを迅速に提供すること、パートナーおよびコンテンツ提供者と運用を統合すること、 および顧客の視点で各種サービスを参照できるようにすることは、ビジネス・インテグレーションにおいて優先度の高い項目となります。 データを共用して顧客側の使いやすさを向上させることは、 Telco 環境でビジネス・インテグレーションを行う際の重要な目標です (これには、顧客注文の処理、カスタマー・ケア、および請求アプリケーションの緊密な統合が必要となります)。 また、電気通信事業者は、オファリングを差別化し、価格構造を階層化するために、 サービス品質をモニターおよび評価する能力を身につける必要もあります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications を使用すると、 電気通信事業者は、ビジネス・サポート・システムと運用サポート・システムを統合し、ディジタル加入者線、ワイヤレス、 およびその他の IP サービスなどの新しいサービスを迅速に提供できます。 サービス提供者は、付加価値データをリアルタイムで顧客に提供し、さらなる利益を追求することも可能です。 プレビルドのコラボレーションの使用により、 オファリングでエンドツーエンド・ソリューションのビジネス・プロセス・ステップを効率的に自動化できます (サービスの購読/加入、構成、起動など)。オファリングに含まれるアダプターを使用すると、 クラス最高のソリューションとレガシー・システムを統合し、加入済みのすべてのサービスを顧客の視点で参照できます。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications は、ビジネス・サポート・システムとバックエンドの運用サポート・システムをシームレスに結合するスケーラブルなフレームワークを提供します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications は、情報の結合と統合 (ICI) だけではなく、 ビジネス・プロセスの統合、(あるいはビジネス・プロセス管理 (BPM)) も提供します。 Choreography Manager は、サービスの提供に必要なマクロ・フローまたは順次処理手順を調整し、 長期実行トランザクションまたは人的介入が必要なトランザクションのサポートも提供します。 Collaboration Manager は、アプリケーション・レベルで情報を管理します。
本ソリューションで提供されるプレビルドのコラボレーションを使用すると、 ビジネス・プロセスの流れを円滑にすることができます。 また、共通のビジネス・オブジェクト・モデルを使用するすべての関連アプリケーション/システムのデータを同期化することもできます。 共通のビジネス・オブジェクト・モデルを使用すると、アプリケーションを大幅に変更しなくても、 アプリケーション間の通信が可能になるという利点があります。 アプリケーションからの情報は、Collaboration Manager を通じて転送されます。 Collaboration Manager は、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを汎用的なビジネス・オブジェクトに変換し、 それによって他のアプリケーションと通信します。
電気通信業界に関連する主要な ISV アプリケーションへのコネクターの中には、 ビジネス・サポート・システム・アプリケーションと運用サポート・システム・アプリケーションを統合するために 使用できるものもあります。
WebSphere Business Integration フレームワークは、人、コンテンツ、 およびプロセスという 3 つの柱をベースにして構築されます。 ここで、人は、ビジネス・プロセスの中でサービス要求者 (顧客など) またはサービス提供者 (企業の従業員など) としての役割を担うユーザーを意味します。 コンテンツは、ビジネス・サービスを提供する一連のビジネス・エンティティーを意味します。 プロセスは、ビジネス運用の実行順序を管理する、ビジネス運用のコレオグラフィーから構成されています。
ビジネス・インテグレーションには、各種の方法があります。 WebSphere Business Integration ソリューションでは、ビジネス・プロセスを統合するという方法を使用します。 これを行うには、定義済みのビジネス・プロセスをサポートするビジネス・サービス提供者として、 エンタープライズ・アプリケーションを統合します。エンタープライズ・システムのソリューション・モデルは、 統合された要素によって構成されます。
WebSphere Business Integration は、ビジネス・プロセス制御を抽象化し、 アプリケーション自体から独立させることにより、アプリケーションをより簡単かつ柔軟に統合します。 ビジネス・プロセス制御によってアプリケーションが呼び出されると、 アプリケーションは、その公開されたインターフェースで定義されたサービスを提供します。 制御およびビジネス・フローのロジックはアプリケーションから独立しており、 開始条件と終了条件はビジネス・プロセス・モデルの中に移動されます。 ビジネス・プロセス・モデルで定義されたプログラム・アクティビティーを実行するため、アプリケーションはモジュールに分割され、 それらのモジュールは適切な時点でビジネス・プロセス・マネージャーによって起動されます。 この方法では、プロセス運用に関するビジネス・ロジックの情報をアプリケーションが個々に持つ必要はなく、 ビジネスの発展とともにビジネス・ロジックを自由に変更できるという利点があります。
ビジネス・プロセスでは、企業内の顧客トランザクションの作業を編成するために使用する順序が定義されます。 ビジネスの中心的なアクティビティーを編成するこの方法は、ビジネス・プロセス管理 (BPM) と呼ばれます。 ビジネス・プロセス間の順序は、ビジネス・プロセス・コレオグラフィーと呼ばれます。 ビジネス・プロセスを一度明確に定義すると、企業は、適宜それらのプロセスをモニターおよび改善できます。 これにより、従業員は高度な管理を行うことができ、各従業員がビジネス・プロセスに影響を与えたり、 ビジネス・プロセスを変更したりできるようになります。
IBM WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications は、 一連のビジネス・プロセス・モデルを新たに再定義するのではなく、オープン・スタンダードに準拠しています。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のビジネス・プロセスは、TeleManagement Forum (TM Forum) で定義された enhanced Telecommunications Operations Map (eTOM) ビジネス・プロセス・フレームワークに従って構築されます。
eTOM ビジネス・プロセス・フレームワークは、プロセスの方向の青写真として、 また、ビジネス・サポート・システムおよび運用サポート・システム (BSS/OSS) を開発および統合するための開始点として機能します。 eTOM では、電気通信のエンタープライズ・レベルのプロセスおよびサブプロセスを、トップダウン、顧客中心、 およびエンドツーエンドの方式で説明します。 eTOM は、電気通信サービス提供者が他のサービス提供者とともにプロセス・リエンジニアリング要件、協力関係、協力会社、 および一般的な作業取り決めを検討するときの中立的な参照点となります。 eTOM フレームワークによって、各ソフトウェア・コンポーネントの潜在的な境界、 および各サービス提供者の製品でサポートする必要がある必須機能、入力、および出力も明らかになります。
eTOM フレームワークとそれに関連するビジネス・プロセス・モデルでは、プロセスおよびそれらの相互接続点を記述します。 これにより、情報通信サービスおよびテクノロジー管理に固有のビジネス・プロセスに対する、 エンドツーエンドの運用プロセス・フローが構成されます。
次の図は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューション・モデルをハイレベルで示したものです。 このモデルは、3 つの層に分割されます。
プロセス・コレオグラフィー層とアプリケーション/情報の統合層は、さらにビジネス・インテグレーション層に分類されます。 ビジネス・インテグレーション層は、WBI ソリューション・アーキテクチャーの中核を成します。
プロセスは、特定の結果を生成するために実行される一連のアクションです。プロセスは、複数のレベルで考えることができます。 ハイエンドで考えると、ビジネス・プロセスは、ビジネスの実行方法を定義する戦略プロセスとなります。 ローエンドでは、ビジネス・ロジックでラップされた単一トランザクションを含むことのできる運用プロセスが存在します。 ハイエンドとローエンドの間には、コラボレーション・プロセスと呼ばれる各種のレベルのプロセスがあります。 コラボレーション・プロセスは、運用モデルと戦略モデルの間に位置します。
上の図で示すように、プロセス・コレオグラフィー層は、一連のビジネス・プロセス・モデルから構成されています。 ビジネス・プロセス・モデルは、ビジネス・プロセスを表します。
図内のアプリケーション/情報の統合層は、一連のコラボレーション・モデルから構成されています。 各コラボレーション・モデルは、アプリケーションのビジネス機能または情報の統合プロセスを定義します。
最後に、アプリケーション層は、ビジネス・プロセスで必要なビジネス・サービス (または運用プロセス) を提供するアプリケーションから構成されています。
次の図は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications Business Integration ソリューション・モデル全体を構成するサブモデルの仕様、および各サブモデルのグループを含む成果物を示しています。
次の節では、ソリューション・モデルの各要素について詳しく説明します。
体系的なビジネス・プロセス・モデルを使用すると、ビジネス・プロセス自体を容易に評価および改善できます。 ビジネス・プロセス・モデリング手法を採用すると、効率が向上するとともに、 組織内の壁や共同の社内組織プロジェクト間の壁が取り除かれます。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications は、一連のビジネス・プロセス・モデルを新たに再定義するのではなく、オープン・スタンダードに準拠しています。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のビジネス・プロセスは、TeleManagement Forum (TMForum) で定義された eTOM ビジネス・プロセス・フレームワークに従って構築されます。
エンドツーエンド・ビジネス・プロセスは、プロセス・エレメントと呼ばれる多くのビジネス・プロセスに分割できます。 プロセス・エレメントは、フルフィルメント、保証、または請求などのエンドツーエンド・ビジネス・プロセスを組み立てるために 使用可能な構成要素です。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、ビジネス・ プロセス管理ソリューションを統合する際の柔軟性とスピードを最大限に高めるために、そのような構成要素を提供しています。 これらの構成要素は、ビジネス・プロセス・モデルです。
ビジネス・プロセスは、ビジネス・アクティビティーのコレオグラフィーから構成されています。 コレオグラフィーでは、次の情報が指定されます。
ビジネス・プロセスでは、ビジネス・プロセスの実行方法が管理およびモニターされます。 また、ビジネス・プロセスは、プロセス内のすべての参加者のサポートを必要とします。 ただし、ビジネス・プロセスでは、個々のアクティビティーの実行方法については指定されません。
ビジネス・アクティビティーは、手動アクティビティー、または自動アクティビティーに分類できます。 手動アクティビティーは、ユーザー対話を意味します。 手動アクティビティーの例としては、顧客のクレジット検査を行う顧客サービス担当者 (CSR) の作業項目などがあります。 自動アクティビティーには、アプリケーションが実行するビジネス運用が含まれます (CRM アプリケーションへの新しい顧客情報の送信など)。
自動アクティビティーでは、ビジネス・プロセスに参加している 1 つまたは複数のアプリケーションのサポートが必要です。 通常これは、アプリケーションまたはアプリケーション・コンポーネントに対して、ビジネス機能の要求を 1 つまたは複数送信することで達成できます。 ビジネス機能とは、明確に定義された特定の入力および出力を持つアプリケーションによる運用の単位です。 機能は、単一の目的で専用される傾向があります。分類およびインプリメンテーションの目的で使用する場合は、 関連機能または補足機能を持つビジネス機能が機能グループにグループ化されます。
eTOM フレームワークは、各プロセス・エレメント内部のビジネス・アクティビティーのみを定義します。 eTOM フレームワークでは、プロセス・エレメントのコレオグラフィーは提案されません。ただし、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の各ビジネス・プロセス・モデルには、提案されたコレオグラフィーが含まれています。ビジネス・プロセスのコレオグラフィーは、時間とともに変化し、 また組織ごとに異なる可能性があるものと想定されています。 したがって、提案されたコレオグラフィーでは、標準のコレオグラフィーの定義が試みられることはありません。 コレオグラフィーは、インプリメンテーションを容易に行うための参照またはテンプレートとして提供されます。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のビジネス・プロセス定義ツールでは、コレオグラフィーを柔軟に変更することができます。
ユース・ケース・モデルは、ビジネス・プロセス・モデルの詳細を記述します。 ビジネス・プロセスの各種の要件を記述するのは、ビジネス・プロセスの仕様です。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の場合、ユース・ケースは、ビジネス・プロセスに含まれるビジネス・アクティビティーについての定義済みの相互関係も示します。
ビジネス・サービスは、ビジネス・プロセスがアクセス可能なインターフェースのモデルを提供します。 これらのインターフェースは、ビジネス・サービスのインプリメンテーションの詳細を隠します。
自動化されたビジネス・プロセス・アクティビティーは、ビジネス・サービスを獲得するために、ビジネス機能を呼び出します。 通常、ビジネス・プロセス・アクティビティーによって呼び出されるビジネス機能は、集合機能です。 集合機能は、アプリケーションが提供する機能にさらに分割できます。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 アプリケーション・レベルの機能を集合させるためにコラボレーションを使用します。
上記の集合機能は、ビジネス・プロセス・アクティビティーと 1 対 1 の関係を持ちます。 各集合機能は、基盤となるアプリケーションによって実行可能なハイレベルのビジネス・サービスを表します。 したがって、ビジネス・サービスは、 実行可能なビジネス・プロセス・アクティビティーを決定するための非常に便利な参照モデルとなります。 集合ビジネス機能も、単純なビジネス機能と同様、機能インターフェースとして定義されます。 機能インターフェースは、インターフェースの入力/出力条件、および提供するサービスを定義します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 集合機能インターフェースをビジネス・サービスにグループ化しています。 そのため、新しいビジネス・プロセスをモデリングする際の参照として、ビジネス・サービスを使用することができます。 つまり、ビジネス・サービスは、自動化されたビジネス・アクティビティーの再使用可能モデルとして扱うことができます。 ビジネス・サービスを使用すると、ビジネス・プロセス・アクティビティーとビジネス機能をリンクできるため、 コラボレーション・モデルを定義する際の適切な参照となります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications が提供するビジネス・サービスの詳細については、 「ソリューション・インプリメンテーション・ガイド」 のビジネス・サービスの節を参照してください。
ビジネス・オブジェクトは、ビジネスに関係がある情報やデータの一部として定義されます。 また、複数の商取引にわたって保管および使用する必要がある情報やデータの一部として定義されます。 これらのオブジェクトの中には、単一のアプリケーションにしか関係のないものがあります。 その場合、ビジネス・オブジェクトは、そのアプリケーションの専用のデータ・ストアで保管できます。
ビジネス・プロセスの実行中、ビジネス・オブジェクトは、アプリケーション間またはユーザー間を移動できます。 一方、複数のアプリケーションは、同じビジネス・オブジェクトを別の目的で使用できます。 これらの方法のいずれかで共用されているビジネス・オブジェクトは、共用ビジネス・オブジェクトと見なす必要があります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の場合、このビジネス情報は、 ビジネス・オブジェクト・モデルによって、個々のアプリケーション間で共用されます。 ビジネス・オブジェクト・モデルは、現在のリリースのすべてのビジネス・オブジェクトを代表するものです。 ビジネス・オブジェクト・モデル内の各ビジネス・オブジェクトは、電気通信分野内で必要なビジネス情報の項目を表します。 ビジネス・オブジェクトは、アプリケーション固有の属性にマップ可能な、明確に定義された属性を持っています。
ビジネス・アクティビティーは、集合ビジネス機能によってサポートされます。 集合ビジネス機能は、アプリケーションが実行する 1 つまたは複数の細分機能によってサポートされるターンアラウンドです。 コラボレーション・モデルは、細分機能を呼び出すという集合プロセスをモデリングします。 コラボレーション・モデルは、異種アプリケーション内の共用データの同期化も行います。
機能グループは、関連のある補足的なビジネス機能の集合です。再使用を実現するため、一般にコラボレーションは、 単一のビジネス機能ではなく、機能グループをモデリングします。
コラボレーション・モデルは、2 つの役割を果たします。 1 つは、ビジネス・プロセス・アクティビティーのサービス提供者としての役割、 もう 1 つは、ビジネス・プロセスによって提供されたサービスを使用するサービス消費者としての役割です。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の場合、コラボレーションがサービス提供者のときは、そのインプリメンテーションはビジネス・サービスでモデリングされたインターフェースに従います。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、特定のビジネス・プロセスをサポートするため、統合可能なソリューションのリソースとしてアプリケーションを扱います。 統合を容易かつ柔軟に行うため、ビジネス・プロセス・フローは、アプリケーション自体から独立しています。 この方法では、プロセス運用に関連するビジネス・ロジックの情報を、個々のアプリケーションが持つ必要はありません。
アプリケーションによっては、ビジネス・プロセスをアプリケーション内部に組み込んでいるものがあります。 このビジネス・プロセスは、アプリケーションから分離することはできません。これが該当する場合は、このアプリケーションを使用して中央制御を行わないようにします。または、組み込みビジネス・プロセスが WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications で提供されるビジネス・プロセスと等しい場合は、 エンドツーエンド・プロセスから直接呼び出される外部のビジネス・プロセスとして、 この組み込みビジネス・プロセスを扱うようにします。組み込みプロセスが、より大きな WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ビジネス・プロセスの一部に過ぎないときは、そのビジネス・プロセスを変更し、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ビジネス・プロセスの内部に、 その組み込みビジネス・プロセスを組み込むこともできます。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications にはビジネス・プロセスを表すコラボレーションが含まれており、アプリケーション/情報の統合レベルで、 1 つ以上のコラボレーション・テンプレートが含まれています。これらのコラボレーション間の相互作用を次の図に示します。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Product Development and Retirement
このコラボレーションは、電気通信業界のサービスの作成または撤回を管理します。 サービスの追加と削除は、このコラボレーションを使用して容易に管理できます。 したがって、新しいサービスを迅速に導入することが可能となっています。 このコラボレーションで製品カタログに新しい製品を追加すると、製品情報が検査され、販売が可能となります。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Customer Order Handling
このコラボレーションは、顧客情報と注文情報を管理し、電気通信業界の注文処理アクティビティーの効率を高めます。 注文の処理、および要求されたサービスの認証と設定には、管理情報が使用されます。 これにより、それらのプロセスの実行に必要な時間と労力が最小限に抑えられます。 このコラボレーションでは、カスタマー・リレーションシップ・マネージメントや請求などの各種のアプリケーションにわたって、 顧客の記録を同期化できます。このコラボレーションは、指定された地域の要求されたサービスを検証します。顧客サービス担当者は、 その後で、注文管理システムに注文を入力できます。 次に、このコラボレーションは、フロント・オフィス、バック・オフィス、およびパートナー・システム間で顧客情報を同期化し、 サービス構成システムを呼び出します。注文したサービスが提供、構成、および更新されると、 このコラボレーションは顧客の請求記録を更新します。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Customer Service Configuration and Activation
このコラボレーションは、電気通信業界のサービスを活動化するための構成情報を管理します。 このコラボレーションでは、DSL や無線など各種のサービスの設定と活動化、およびサービス提供のテストが可能です。 設定と活動化が完了すると、注文を処理できます。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Resource Provisioning and Allocation
このコラボレーションは、フィールド・ワークの作業順序の設定、 および電気通信業界のサービスと装置のインストールを管理します。 このコラボレーションを使用すると、 電気通信事業者は、サービス注文を処理してフィールド・ワークを設定する間の遅延時間を削減できます。 装置を配送してインストールすると、構成の詳細な記録がサービス注文アプリケーションと同期化されます。 これにより、フィールド技術者は作業の完了を記録できます。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Customer Billing Management
このコラボレーションは、電気通信業界の顧客の請求アカウントを管理します。 請求に関する問題が発生すると、このコラボレーションにより、 電気通信事業者は問題が解決するまで、当該の請求アカウントを管理できます。 サービスを活動化すると、このコラボレーションにより、通信会社は請求アカウントの請求サイクルを活動化できます。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Customer Problem Handling
このコラボレーションは、電気通信業界の注文、サービス、および請求に関する問題など、 顧客によって報告された問題をすべて管理します。 このコラボレーションを使用すると、組織は、顧客の問題を解決する際の解決策または進捗を追跡できます。 このコラボレーションは、顧客の問題報告を問題管理システムに転送し、サービスのタイプと困難度に基づいて問題を適切に処理します。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Fault Resolution
このコラボレーションは、リソースおよびサービスに関する問題の検出および解決、 既知の問題に関する顧客からの問題報告書の相互関係、および問題が解決した際の顧客への通知を管理します。
IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Service Usage
このコラボレーションは、オンライン・サービス (オンライン・ビデオなど) に対するエンド・ユーザー要求を管理し、 要求されたサービスを提供します。 このコラボレーションは、クレジット認証システム (サービスを受ける資格をユーザーが有しているかどうかを検査する)、 QoS プロビジョニング・システム (サービスを提供する)、および使用量管理システム (ユーザーの勘定に使用量データを記録する) と連携して動作します。
次の例は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications が、どのようにして迅速に新しいサービス提供を可能にするかについての説明です。
顧客サービス担当者、コール・センター、または Web ポータルを介して、クライアントが注文を送信します。 IBM WebSphere Business Integration Collaboration for Customer Order Handling は、 要求を管理し、要求を適宜、自動サービス提供か、顧客の構内でサービスを提供する技術者の作業指図書の設定のために転送します。 この例が示すように、サービス提供サイクルを大幅に縮めると、顧客サービスの格付けが向上するという利点も得られます。 なぜなら、クライアントは、サービスを利用する際に、長時間待たなくても済むからです。