IBM(R) WebSphere(R) Business Integration Collaborations for Telecommunications は、 このインダストリー・ソリューション・ライブラリーに含まれている成果物を使用して、 ビジネス・インテグレーション・プロジェクトをインプリメントするためのビューをエンドツーエンドで提供します。本書では、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションをインプリメントするために 使用する開発手順や開発方法について説明します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションをインプリメントするには、 次の開発フェーズを踏む必要があります。
これらの開発フェーズについては、以降の節で説明します。
要件分析の最初のステップは、解決する必要のあるビジネス上の問題を識別することです。 問題は現在のオペレーション、またはそのオペレーションが展開される組織の領域内で識別されるはずです。 問題を識別すると、その問題を解決すするための今後の作業について、方針が明確になります。 また、提案された各種ソリューションの相対的な価値を評価する基盤も形成する必要があります。
要件分析の次のステップは、管理者とユーザーの両方が理解できるような方法で、問題のソリューションの枠組みを作ることです。 そのためには、論理モデルを作成する必要があります。 論理モデルには、ソリューションを構成するすべての部品、部品の目的、機能、相互接続、 および各パーツで実行可能なアクションの範囲を記述する必要があります。
論理モデルには、ソリューションのスコープも定義する必要があります。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションのスコープには、ビジネス・プロセス統合、またはアプリケーション統合を含めることができます。
ビジネス・プロセス統合のスコープを持つ統合プロジェクトでは、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ビジネス・プロセス・テンプレートの完全セットを使用することも、 ビジネス・プロセス・テンプレートのサブセットを既存のプロセスに統合することもできます。
アプリケーション統合スコープを持つ統合プロジェクトでは、コラボレーション・テンプレートを使用します。
ソリューションの要件と論理モデルを定義すると、システム設定を定義できます。 この段階の開発プロセスでは、インプリメンテーションやパフォーマンスの考慮事項など、現実の技術的な制約を論理モデルに適用します。 システム設計の定義では以下の質問に取り組みます。
ビジネス・プロセスのコレオグラフィーは、業務が遂行される方法をベースにした業務活動の動的な振る舞いを表します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications には、 各種ビジネス・プロセス・ユース・ケースのビジネス・プロセス・コレオグラフィーをサポートする 成果物を持つインダストリー・ソリューション・ライブラリーが含まれています。 これらの各ユース・ケースは、 TeleManagement Forum で定義されている eTOM ビジネス・プロセス・フレームワークに基づいています。 この開発フェーズでは、統合プロジェクトへの適合性を確認するため、前の段階で定義したシステム設計に基づいて、 インダストリー・ソリューション・ライブラリーに含まれる成果物を試験します。
以降の節では、各種の成果物を評価する手順について説明します。
各コラボレーションの詳細については、概説およびユース・ケース資料で説明されています。ドメイン分析者は、概説およびユース・ケースを使用して、 組織が定義した要件を WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ビジネス・プロセスが十分に満たしているかどうかを確認します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 次のコラボレーションに対して、概説およびユース・ケース資料を用意しています。
概説およびユース・ケースは、コラボレーションが要件に十分対応するものであることを示されると、 次のステップで、非常に詳細なビジネス・プロセスを試験して、カスタマイズが必要であるかどうかを判断します。
Service Usage 以外のユース・ケースでは、ビジネス・プロセス・テンプレートは、 WebSphere MQ Workflow プロセスとして実行可能なビジネス・プロセス・コレオグラフィーのインプリメンテーションをサポートします。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、WebSphere MQ Workflow Buildtime ツールを使用して、 ワークフロー・テンプレート内のプロセス・ノードを柔軟に再配列できます。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、ビジネス・プロセス・テンプレート用の資料として、次のものを用意しています。
これらのビジネス・プロセス・テンプレートは、各ビジネス・プロセス内のアクティビティーだけではなく、 プロセスが使用するビジネス・オブジェクト、データ構造、およびコラボレーション・テンプレートも記述します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のインダストリー・ソリューション・ライブラリーでは、通信プロセス用の一連の IBM WebSphere Business Integration Collaboration テンプレートを提供しています。 これらのコラボレーション・テンプレートは、前述したコラボレーションとは異なり、 アプリケーションおよびデータ・レベルでのインテグレーターです。
要件を十分に満たしていることを確認するために各ビジネス・プロセス・テンプレートを検査したように、 統合プロジェクトで使用する各コラボレーション・テンプレートについても同様の検査を行ってください。 各ビジネス・プロセス・テンプレートは、1 つまたは複数のコラボレーション・テンプレートを使用します。 定義した要件を満たすコラボレーション・テンプレートが存在しない場合は、 新しいコラボレーション・テンプレートを作成する必要があります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 インダストリー・ソリューション・ライブラリーに含まれるコラボレーション・テンプレート用の資料として、次のものを用意しています。
ビジネス・プロセスで使用される汎用ビジネス・オブジェクトについても、 要件を十分に満たしているかどうかを評価するため、検査を行ってください。 現在の汎用ビジネス・オブジェクトが、定義された要件を満たしていない場合は、 新しい汎用ビジネス・オブジェクト・テンプレートを作成する必要があります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 インダストリー・ソリューション・ライブラリーに含まれるトップレベルの汎用ビジネス・オブジェクト・テンプレート用の資料として、次のものを用意しています。これらの資料には、子汎用ビジネス・オブジェクトへのリンクが含まれています。
トップレベルの汎用ビジネス・オブジェクト間の関係を示す図形ビューは、 「汎用ビジネス・オブジェクト」を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications テンプレートをカスタマイズするには、 WebSphere MQ Workflow Buildtime と IBM WebSphere InterChange Server をインストールする必要があります。 オプションで、IBM WebSphere Business Integration Modeler (以前は Holosofx BPM Workbench と呼ばれていました) を Fault Resolution シナリオ用にインストールすることもできます。 これらの製品をインストールする場合は、各製品のインストール・ガイドを参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のインダストリー・ソリューション・ライブラリー に含まれる成果物のフォーマットを次に示します。これらの成果物を特定の統合プロジェクト用にカスタマイズするには、 開発環境に成果物をインポートする必要があります。
TXT ファイルはすべて、「repos_copy」コマンドでインポートできます。 WebSphere MQ Workflow FDL ファイルはすべて、WebSphere MQ Workflow ユーザー・インターフェースを使用して、 WebSphere MQ Workflow Buildtime にインポートできます。 IBM WebSphere Business Integration Modeler 編成ファイルは、ユーザー・インターフェースを使用して IBM WebSphere Business Integration Modeler にインポートできます。
インストール手順の詳細については、「WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications インストール・ガイド」を参照してください。
この開発フェーズには、前の開発フェーズよりも詳細な設計およびインプリメンテーションの作業が含まれます。 例えば、例外処理や他のプロセスの呼び出しなどの問題を扱います。この開発フェーズのもう一つの重要な部分は、 WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のインダストリー・ソリューション・ライブラリーからのテンプレートをカスタマイズすることです。
設計およびインプリメンテーションに関する特定の問題 (エラー処理も含む) に対処する方法については、 本書の『ソリューション統合』を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、 成果物を特定の統合プロジェクト用にカスタマイズする IT プログラマーや管理者のために、統合パターンをいくつか用意しています。
次の図は、WebSphere MQ Workflow と IBM WebSphere InterChange Server を統合する方法の概略を示したものです。 以降の節では、これらのパターンを使用、カスタマイズ、およびデプロイする方法についても詳しく説明します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のビジネス・プロセス・モデルは、
ワークフロー・テンプレートとして記述されます。ワークフローは、フロー定義言語 (FDL) で記述されます。
ほとんどの場合、これらのテンプレートは、変わりゆくビジネス戦略に対応させるため、定期的に変更する必要があります。
WebSphere MQ Workflow Buildtime では、これらのテンプレートを要件に合うように変更することが簡単に行えます。
変更したテンプレートは、WebSphere
MQ Workflow サーバーに直接インポートできます。
「WebSphere MQ Workflow を使用したビジネス・プロセス・モデリング」を参照してください。
(WebSphere MQ Workflow を使用したビジネス・プロセスの開発の詳細については、
「http://www-4.ibm.com/software/ts/mqseries/txppacs/wd01.html)
を参照してください。
この資料では、WebSphere MQ Workflow を使用して単純なプロセスをインプリメントする方法を段階的に説明しています。
また、より高度なプロセス・モデルについても説明しています。
この資料は、WebSphere MQ Workflow についての基礎知識を持っているビジネス分析者
およびプロセス・モデル作成者を対象に書かれています。
コラボレーション・テンプレートは、集約機能をビジネス・プロセスに提供するために、アプリケーションと関連付けます。 コラボレーション・テンプレートは、カスタマイズできるようには設計されていませんが、 デプロイメントの際に大きな柔軟性を発揮します。 例えば、コラボレーション・テンプレートを使用すると、 一連のアプリケーションに接続するコラボレーション・オブジェクトを作成できます。 次に、そのテンプレートは、別の一連のアプリケーションに接続する別のコラボレーション・オブジェクトを 作成するために使用することもできます。要件を満たすコラボレーション・テンプレートが存在しない場合は、 既存のテンプレートを拡張した新しいコラボレーション・テンプレートを作成できます。 コラボレーション・テンプレートの作成について詳しくは、 「システム・インプリメンテーション・ガイド」 を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、 通信業界用の便利な汎用ビジネス・オブジェクトも多数用意しています。 こうした汎用ビジネス・オブジェクトを使用すると、アプリケーションを統合するために作成した 新しいコラボレーション・テンプレートを処理できます。 既存のアプリケーションに汎用ビジネス・オブジェクトで扱われないエレメントがある場合は、 目的の要件に合わせて該当する汎用ビジネス・オブジェクト・テンプレートをカスタマイズできます。 汎用ビジネス・オブジェクトを作成するには、Business Object Designer を使用します。 汎用ビジネス・オブジェクト・テンプレートの作成の詳細については、 「システム・インプリメンテーション・ガイド」 を参照してください。
一般に、ビジネス・インテグレーション・プロジェクト用のアプリケーションに接続するときは、 接続されるアプリケーションに対する一連のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクト (ASBO) とマップを設計してインプリメントする必要があります。IBM WebSphere InterChange Server ツールで アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトとマップを設計およびインプリメントする方法については、 「システム・インプリメンテーション・ガイド」 を参照してください。
テストおよび問題検出は、統合プロジェクトにおいて重要なプロセスです。 WebSphere MQ Workflow および IBM WebSphere InterChange Server はそれぞれテストおよび問題検出を実行します。 ビジネス・プロセス・テンプレートは WebSphere MQ Workflow サーバーによって実行され、 コラボレーション・テンプレートと汎用ビジネス・オブジェクトは IBM WebSphere InterChange Server によって実行されます。
以降の節では、テストおよび問題検出を行うために使用する手順について説明します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のビジネス・プロセス・テンプレートは、 WebSphere MQ Workflow のテンプレートとして提供されます。 これらのテンプレートをテストするには、WebSphere MQ Workflow Server 内でテンプレートを実行する必要があります。 WebSphere MQ Workflow では、単体テスト/クイック・プロトタイピング、および開発検証テストという 2 種類のテストを実行できます。
単体テストを実行するには、WebSphere MQ Workflow で提供される fmcnshow.exe プログラムを使用します。 このプログラムは、WebSphere MQ Workflow インストール・ディレクトリーの下の bin サブディレクトリーにあります。 fmcnshow.exe プログラムは、Workflow Server の入力コンテナーの読み取り、 コンテナーの現行値の表示、および出力コンテナーの変更と設定を行う機能を備えています。
開発検証テストを実行するには、Java 汎用 API テストおよびプロトタイピング・ツール (JGATT) を使用します。 JGATT はサポートパック WA04 で使用可能です。
JGATT コンポーネントは、インプリメントされるプラットフォームに依存することなく WebSphere MQ Workflow API 定義をテストするために必要な機能を提供します。 また、JGATT コンポーネントでは、次の機能を含むその他のタスクを実行できます。
JGATT でテスト・ケースを実行するには、Java/C API ツール構文を使用するファイル (例: <testcase>.dat) を作成し、 ツールを起動して、ログ・ファイル (例: <testcase>.log) 内の実行結果を検査します。
開発検証テストの詳細については、 「WA04: WebSphere MQ Workflow - Java Generic API test and prototyping tool」を参照してください。
コラボレーション・テンプレートをテストするには、 それを IBM WebSphere InterChange Server システム上で実行する必要があります。 IBM WebSphere InterChange Server では、テスト用に各種のツールを提供しています。詳しくは、 「システム・インプリメンテーション・ガイド」 を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications インダストリー・ソリューション・ライブラリーのソフトウェア成果物はすべて、 ビルド時の環境または設計者の環境からエクスポートできます。 カスタマイズと開発の段階が完了すると、次に示す成果物が生成されます。
TXT ファイルはすべて、「repos_copy」コマンドでインポートできます。 WebSphere MQ Workflow FDL ファイルはすべて、コマンド行インターフェースで次のコマンドを使用して WebSphere MQ Workflow ランタイムにインポートできます。
fmcibie /i=<filename>.fdl
以降の節では、通信ソリューションを統合する際に突き当たる問題について詳しく説明します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、ビジネス・プロセスの管理、 および例外処理のために WebSphere MQ Workflow を使用します。Workflow システムの例外を処理する WebSphere MQ Workflow の機能は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications 統合プロジェクトにとって不可欠なものです。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、プロセス・テンプレートから問題の多い分岐が排除されており、 プロセス・テンプレートのさまざまなカスタマイズでは、例外処理については個別のポリシーが適用されると想定しています。 この節では、エラー処理の一般的な概念と、 ワークフロー・プロセス・テンプレートにエラー処理を適用する方法の実例について説明します。
ビューのアクション・ポイントから例外処理の解決について、さまざまな方針を適用できます。 この方針には、管理アクションによるエラーの処理、またはワークフロー・グラフを変更して展開することも含まれます。
エラーは、プロセスの実行時に発生することがあります。 例えば、アクティビティー・インプリメンテーションが出力コンテナーに正しくないデータを戻したり、 アクティビティーのインプリメンテーションが見つからなかったり、 あるいはユーザーが不正なアクティビティーの実行を試みるかもしれません。
ワークフロー管理システムでは、一連のデフォルト・アクションを使用して、こうした状況を処理します。 例えば、アクティビティー状況に「inError」を設定し、適切な役割 (管理者など) に通知して、 訂正アクションが実行されるようにします。 この例の場合、管理者は、WebSphere MQ Workflow クライアント・コンソールで「force restart」コマンドを発行し、 現在のタスクを繰り返すことができます。あるいは、「force finish」コマンドを発行し、 現在のタスクをスキップすることもできます。
管理する役割のユーザーがエラーを効率的に処理するには、プロセスのセマンティクスを十分に理解しておく必要があります。
例外処理を会話型でアプローチする場合は、人手による作業が必要になることがよくあります。 さらに極端なアプローチとして、ランタイムでフローを幾つか変更することがあります。 このアプローチは、例外処理または後続の自動例外処理を回避するのが狙いです。 例外を解決するには、多数のポリシーが適用されます。ポリシーの例を次に示します。
次の節では、サンプルとして、「再実行」解決パターンと「順方向リカバリー」解決パターンについて説明します。
たとえシステムで構文やデータの妥当性を検査したとしても、人間の行う作業には、ミスがつきものです。 この入力が制約、またはアプリケーションで指定された要件に合致しない場合には、 人の入力に頼る一連の手動アクティビティーとアプリケーション・アクティビティーを再実行することが必要になることがあります。
再実行をインプリメントするには、グラフから該当するパターンを抽出し (次の 1 番目の図を参照)、 抽出した元のシーケンスと連続的な分岐決定アクティビティーを含むサブフローでそれを置換します (2 番目の図を参照)。
一般に、一連のアクティビティーには、トランザクション・インプリメンテーションを持つ アクティビティーと非トランザクション・インプリメンテーションを持つアクティビティーが含まれます。 このグループ内のアクティビティーの 1 つが誤って実行され、修復が必要になった場合は、 すでに実行されている他の部分の作業もすべて修復する必要があります。 このタイプの作業単位は、次の図に示すように、ワークフロー・グラフ内に追加できます。 順方向リカバリーは、値を元の状態にリセットすることからなります。 この「元に戻す」タスクを自動的に実行できる場合は、 関連するアプリケーション群のリカバリー・サブタスク全体にわたるコラボレーション・オブジェクトによって、 これをインプリメントできます。
ユーザー対話を使用すると、参加者 (人間) がビジネス・プロセス管理システムと対話できます。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、人間の対話はサポートされていますが、インダストリー・ソリューション・ライブラリーに Web クライアント・インプリメンテーションは提供されていません。 この節では、WebSphere MQ Workflow を使用してユーザー対話の代表的なインプリメンテーションを 2 つ説明します。 最初の対話は簡易ケース、2 番目の対話は複数の画面を介したナビゲーション・シーケンスです。
この例では、ユーザーは Web クライアントを介して WebSphere MQ Workflow プロセスにアクセスします。 Web クライアントは、Web インターフェースを備えた Java サーブレットです。 Web クライアントを使用すると、ワーク・リストの作成、プロセス・インスタンスの開始/停止、アクティビティーの開始/停止、 およびプロセス・モニターなどのタスクを実行できます。 この機能は、WebSphere MQ Workflow V3.3 およびそれ以降のリリース・レベルでのみ提供されます。 この例を次の図で示します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications シナリオにおいて、このシンプル・タイプのユーザー対話は、プロセス・インスタンスを開始し、作業項目をチェックアウトおよびチェックインして、 手動アクティビティーを実行するためによく利用されます。
クライアントがチェックアウトを起動してプロセスが成功すると、 Java Server Page (JSP) が Web クライアントから Web ブラウザーに自動的に送信されます。 送信される JSP には、入力コンテナー・データを持つフォームが含まれます。 このフォームを送信すると、Web クライアントのサーブレットは、フォームのフィールドを出力コンテナー・エレメントにマップし、 作業項目をチェックインします。この一連の対話の間、Web クライアントはブラウザーと WebSphere MQ Workflow プロセス間の通信セッションを維持します。
JSP が提供するデフォルト GUI がユーザーの要件に一致する場合、ユーザー対話のインプリメンテーションでは、 インストールと構成に関する作業はほとんど必要ありません。JSP のレイアウトは、カスタマイズすることも可能です。 詳しくは、「WebSphere MQ Workflow の製品資料」を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションの場合、 顧客サービス担当者 (CSR) による顧客データの検証、または CSR によるデータの収集や入力など いくつかの対話アクティビティーでは、Web クライアントはデフォルトのインプリメンテーションです。
SupportPac WA83: Rapid Deployment Wizard
(http://www-4.ibm.com/software/ts/mqseries/txppacs/wa83.html)
は、WebSphere MQ Workflow Web クライアントの JSP ファイルを迅速容易に設計するために使用するツール
です。
WebSphere MQ Workflow Web クライアントは、単一の手動アクティビティーに対して単一の JSP をサポートします。 単一の対話式ビジネス・プロセス・アクティビティーに対応した一連の JSP 画面ナビゲーションを開発したいときは、 こうした要件をサポートする SupportPac WA84 をご利用ください。
WA84 - Web Client Extensions V1.0 (Web Client 拡張 V1.0) は、 WebSphere MQ Workflow Web クライアントに基づいてアプリケーションを開発するための一連のコンポーネントを提供しています。 これらの機能を使用すると、プロフェッショナルで洗練された魅力ある Web ベースのユーザー・インターフェースを備えた Workflow アプリケーションを開発できます。 拡張されたコンポーネントは、Web クライアントで提供されるその他の機能と完全に互換性があります。
拡張機能により、ワークフロー・プロセス・アクティビティーは、複数の JSP を介してナビゲートして、 アクティビティーに戻ることができます。詳しくは、 「http://www-4.ibm.com/software/ts/mqseries/txppacs/wa84.html」を参照してください。
拡張機能には、JSP 間を移動するときにユーザー・アプリケーションに接続する機能を備えた、 ユーザー出口フレームワークが含まれます。 ユーザーは、ワークフロー・プロセスを呼び出す代わりに、 ユーザー出口でコラボレーション・オブジェクトを呼び出すことができます。例えば、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションのインダストリー・ライブラリーで提供される ReturnTelcoProducts コラボレーション・テンプレートに基づいたコラボレーション・オブジェクトを使用すると、アプリケーションからデータのリストを検索できます。 コラボレーション・オブジェクトの呼び出し方法については、 「Server Access Interface の開発ガイド」に記載されています。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、 ビジネス・プロセス・アクティビティーをサポートするためにコラボレーション・オブジェクトが使用されます。 WebSphere MQ Workflow に関しては、コラボレーション・オブジェクト・フローはワークフロー・プロセス内の プログラム・アクティビティーになります。 IBM WebSphere Business Integration Adapter for MQ Workflow を使用すると、 プロセス内部からコラボレーション・オブジェクトを呼び出せます。
WebSphere MQ Workflow アクティビティーは、 ユーザー定義プログラム実行サーバー (UPES) を介して外部機能に要求を発行するように構成できます。 IBM WebSphere Business Integration Adapter for MQ Workflow を UPES として使用するには、 ワークフロー・プロセス内にあるプログラム・アクティビティー・ノードの実行単位パラメーターを設定する必要があります。 プログラム・アクティビティー・ノード用のプロパティー・ダイアログの 「実行」タブにあるこのパラメーターを指定します。 プログラム実行サーバー領域で、「サーバー」ボタンを選択して、 次に IBM WebSphere Business Integration Adapter for MQWorkflow のマネージャー名として該当する UPES 名を入力します。 この UPES 名は、ネットワーク・ビューで事前に定義しておいてください。
このアクティビティー・ノードに対応するプログラム定義は、次の図に示すように、 verb="verb_name" というフォームのパラメーターを持つ必要があります。 コラボレーション・オブジェクト名を指定する必要はありません。
構成の詳細については、 「Adapter for WebSphere MQ Workflow ユーザーズ・ガイド」を参照してください。
IBM WebSphere Business Integration Adapter for WebSphere MQ Workflow は、IBM WebSphere Business Integration Collaborations と WebSphere MQ Workflow プロセスをリンクさせます。この節では、特に WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションと共に Adapter for WebSphere MQ Workflow を使用する方法について説明します。 アダプターの詳細については、 「Adapter for WebSphere MQ Workflow ユーザーズ・ガイド」を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications のユース・ケースでは、次の通信パターンを想定しています。
コンテナー・ビジネス・オブジェクトは、次の構造を持っています。
ビジネス・オブジェクト・レベルのアプリケーション固有情報:
cw_mo_wfcontainer=ContainerInfo cw_mo_wfactivityrequest=ActivityRequestMO
エレメント名 | エレメント・タイプ | 説明 |
---|---|---|
Input_name | FDLBOGen で生成される | このビジネス・オブジェクトは、WebSphere MQ Workflow 入力コンテナーに対応する。 |
ContainerInfo | MO_WebSphere MQ Workflow_ ContainerInfo |
このメタオブジェクトは、参照用としてのみ使用される。 詳細については、 「Adapter for WebSphere MQ Workflow ユーザーズ・ガイド」を参照してください。 |
ActivityRequestMO | MO_WebSphere MQ Workflow_ ActivityRequest |
このメタオブジェクトは、要求と応答間の相関情報を表す。 ExternalProcessContext エレメントは、WebSphere MQ Workflow の外部のトラッキング・システムからトレースするために公開される。 次の表はこのメタオブジェクトの詳細です。 |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ActImplCorrelID | String |
Starter | String |
ProcTempID | String |
ProgramName | String |
ResponseRequired | String |
ExternalProcessContext | String |
ObjectEventID | String |
ビジネス・オブジェクト・レベルのアプリケーション固有情報:
cw_mo_wfactivityresponse=ActivityResponseMO
エレメント名 | エレメント・タイプ | 説明 |
---|---|---|
ActivityResponseMO | MO_WebSphere MQ Workflow_ ActivityResponse |
このメタオブジェクトには、要求と応答間の相関情報が含まれる。次の表はこのメタオブジェクトの詳細です。 |
Output_name | FDLBOGen で生成される | このビジネス・オブジェクトは、WebSphere MQ Workflow 出力コンテナーに対応する。 |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ActImplCorrelID | String |
Starter | String |
ReturnCode | String |
ObjectEventId | String |
この例で使用するトップレベルのアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトには、 起動要求構造体と応答構造体が含まれています。
ビジネス・オブジェクト・レベルのアプリケーション固有情報:
cw_mo_wfptcfg=MO_Config; cw_mo_wfpid=ProcessInstance
エレメント名 | エレメント・タイプ | 説明 |
---|---|---|
Input_name | FDLBOGen で生成される | このビジネス・オブジェクトは、 プロセス・インスタンスの WebSphere MQ Workflow 入力コンテナーに対応する。 |
MO_Config | MO_WebSphere MQ Workflow_ ProcessTemplateConfig |
この構造体は、呼び出すワークフロー・プロセス・テンプレートを表し、 起動要求のために使用される。次の表はこのメタオブジェクトの詳細です。 |
ProcessInstance | MO_WebSphere MQ Workflow_ ProcessInstance |
この構造体は、呼び出したワークフロー・プロセス・インスタンスを表す。 この構造体は、プロセス起動結果としての Workflow サーバーからの戻りメッセージ用に使用される。 次の表の 2 番目の表はこのメタオブジェクトの詳細です。 |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ | 説明 |
---|---|---|
ProcessTemplateName | String | |
ProcessInstanceName | String | |
KeepName | String | |
UserId | String | |
ExecutionMode | String | ProcessTemplateCreateAnd StartInstance 実行には、非同期を指定してください。 ProcessTemplateExecute 実行には、同期を指定してください。 |
ResponseTimeout | String | 値に負の数値を設定すると、戻りは許可されません。 |
TimeoutFatal | String | |
ExternalProcessContext | String | |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ProcInstID | String |
ProcInstName | String |
ProcInstParentName | String |
ProcInstTopLevelName | String |
ProcInstDescription | String |
ProcInstState | String |
LastStateChangeTime | String |
LastModificationTime | String |
ProcTempID | String |
ProcTempName | String |
Icon | String |
Category | String |
ExternalProcessContext | String |
ObjectEventId | String |
コネクターを使用すると、前述した MO_WebSphere MQ Workflow_ProcessInstance オブジェクトを使用する WebSphere MQ Workflow プロセスの状況を、コラボレーションでモニターおよび制御できます。 これを行うため、コネクターは、コネクターと WebSphere MQ Workflow サーバー間で Java API を使用します。
プロセス起動、アクティビティー・インプリメンテーション要求、 およびアクティビティー・インプリメンテーション応答では、XML API を利用して Workflow サーバーと通信を行います。 コネクターは、コラボレーション・オブジェクトから Workflow に送信されたアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトの動詞を無視します。
コネクターは、ProcessInstance ビジネス・オブジェクトに対し、次の動詞が指定された Java API の使用もサポートします。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションの現行リリースでは、 これらの使用をインプリメントするコラボレーションは提供されていません。 ただし、ProcessInstance business オブジェクトでこれらの使用法をインプリメントすることができます。 詳しくは、 「Adapter for WebSphere MQ ワークフロー」を参照してください。
前述の 3 つのパターンでは、XML API を利用して Workflow サーバーと通信を行います。 コネクターは、アプリケーション固有のビジネス・オブジェクトと WfMessage 間の動詞を次のように処理します。
WebSphere MQ Workflow のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクト内の動詞 と汎用ビジネス・オブジェクト間のマッピングは、Map コンポーネントによって指定されます。
ビジネス・イベントによってワークフロー・プロセスが起動される順序を次に示します。
コラボレーション・オブジェクトは、ワークフロー呼び出しを送信し、完了するまで待機するように構成できます。 インプリメンテーションのこのタイプをセットアップする前に、 ワークフロー・プロセスが即時に応答を戻すことができることを確認してください。
ワークフローが同期ビジネス機能を呼び出す順序を次に詳しく説明します。
非同期ビジネス機能の呼び出しは、前の節で説明した同期ビジネス機能の呼び出しとほぼ同じです。 アクティビティーは長時間実行プロセスを予期しているため、 要求データをチェックアウトするコラボレーション・オブジェクトと戻りデータをチェックインする コラボレーション・オブジェクトは別のものとなります。
一般に、複数のアプリケーションがコラボレーションとして連携動作するときは、 通常マルチスレッド環境で実行されるアプリケーションをサポートするために、 プロセス・コンテキスト伝搬および解決が必要となります。 この節では、こうした種類の統合パターンの一般的な概念について説明します。
次の図は、同期アクティビティー内のアクティビティー・インプリメンテーション要求フローと アクティビティー・インプリメンテーション応答フロー間の関係が、 アクティビティー相関 ID によってどのように解決されるかを示しています。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications が提供するすべてのコラボレーション・テンプレートは、 固有の相関 ID を保持し、それを戻します。
次の図は、非同期アクティビティーの例を示しています。 この例では、長時間実行プロセスの要求と応答間の関係をコネクターが管理しているものと想定しています。 このモデルでは、相関 ID の保持はアプリケーションと対応するコネクターに依存しています。
次の図は、非同期アクティビティーの柔軟性のある例を示しています。 この例では、IBM WebSphere InterChange Server が、 コラボレーション・オブジェクトのグローバル・プロセス・コンテキスト内の各 ID の関係を解決しています。 このパターンをインプリメントするには、マップと関係を作成する必要があります。 マップと関係の作成については、 「マップ開発ガイド」を参照してください。
WebSphere MQ Workflow Asynchronous Response は、上で説明したマップと関係の他に、 ActImplCorrelID の値を ActivityResponseMO に設定する必要があります。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、セキュリティー構成のために、次の 3 つのセキュリティー・ドメインを考慮する必要があります。
WebSphere MQ Workflow コネクターは、CORBA/IIOP を使用して IBM WebSphere InterChange Server と通信を行います。 IBM WebSphere InterChange Server の現行リリースでは、CORBA/IIOP 通信のための構成ポイントはありません。
MQ Queue Manager セキュリティー・ドメインは、 ユーザー認証機能をオペレーティング・システム (Windows NT や AIX など) に委任しています。 つまり、ユーザーが MQ キューを使用するには、ユーザー ID を管理者がオペレーティング・システムに登録しておく必要があります。 そのため、セキュリティーを「オン」にすると、各キュー・メッセージは、キューを使用するために、 ユーザー ID、パスワード、クリデンシャルを渡す必要があります。WebSphere Business Integration Adapter for MQ Workflow は、要求/応答通信メカニズムのために MQ キューを使用します。 そのため、ユーザー ID とパスワードまたはクリデンシャルをそのメッセージ・ヘッダーに渡す必要があります。
WebSphere MQ Workflow は、独自の認証メカニズムを備えており、役割ベース・システムを使用しています。 各ユーザーがアクセス権を取得するには、ユーザー・レジストリーに登録する必要があります。 セキュリティーが「オン」の場合は、ユーザー定義プログラム実行サーバー (UPES) によって実行されるプログラム・アクティビティーは、 認証されなければなりません。つまり、WebSphere MQ Workflow クライアントには、認証機能が備えられています。
コラボレーション・オブジェクトで WebSphere MQ Workflow プロセス・インスタンスを制御するには、2 つの方法があります。 1 つは、ワークフロー Java API を呼び出す方法です。ワークフロー Java API では、中断、再開、削除、 および検索を行うことができます。もう一つは、XML API を使用する方法です。XML API では、開始操作を行うことができます。
WebSphere MQ Workflow コネクターは、Java API 認証に使用可能なユーザー ID とパスワード・プロパティーを持っています。 これらのプロパティーは、中断、再開、削除、および検索操作でのみ使用されます。 これは、Java API のセキュリティーを構成する唯一の方法です。 セキュリティー・サブジェクトとクリデンシャルは、動的に変更することはできません。
WebSphere MQ Workflow コネクターは、WebSphere MQ Workflow XML コマンド API を使用して、 プロセス・インスタンスを開始します。 XML メッセージには、登録済みの WebSphere MQ Workflow ユーザー名が入っていなければなりません。 プロセスを呼び出すコラボレーション・オブジェクトは、 MO_WebSphere MQ Workflow_ProcessTempleteConfig.userid に具体的な値を設定する必要があります。
以降の節で説明する情報は、 特に、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションのコンテキスト内での コラボレーション・オブジェクト開発に適用されます。コラボレーション・オブジェクト開発の詳細については、 「コラボレーション開発ガイド」 を参照してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications アーキテクチャーでは、 WebSphere MQ Workflow サーバーとIBM WebSphere InterChange Server との間で次の 4 つの通信パターンが利用されます。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、トップレベルの Main シナリオのみを持っています。 フローにおいてワークフロー・プロセスは、Send Verb サブ・シナリオ内で呼び出されます。 次の図は、Main シナリオの論理フローの例を示しています。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、トップレベル・シナリオとして Main と Retrieve をもっています。 トリガー・ビジネス・オブジェクトの動詞が retrieve の場合は、Retrieve シナリオが呼び出されます。 create、delete、および update などのその他の動詞の場合は、Main シナリオが呼び出されます。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、 WebSphere MQ Workflow サーバーとの同期通信をサポートするように設計されています。 呼び出されたアクティビティーが出力ビジネス・オブジェクトを戻す必要がある場合、 Main シナリオと Retrieve シナリオはともに Return プロセスを提供します。
次の図は、このタイプの Main シナリオの論理フローを示しています。
次の図は、Retrieve シナリオの論理フローを示しています。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、トップレベル・シナリオとして Setup および ReturnSetupResult を持っています。このタイプのコラボレーション・テンプレートは、両方向の非同期通信のために使用されます。 通常は、同じテンプレートから 2 つのコラボレーション・オブジェクトが作成されます。 最初のコラボレーション・オブジェクトは WebSphere MQ Workflow からの要求を発行し、 もう 1 つのコラボレーション・オブジェクトは WebSphere MQ Workflow に対する応答のために受信を行います。 要求コラボレーション・オブジェクト内では Setup シナリオが使用され、 応答コラボレーション・オブジェクト内では ReturnSetupResult シナリオが使用されます。
次の図は、Setup プロセスの論理フローを示しています。
次の図は、ReturnSetupResult プロセスの論理フローを示しています。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、トップレベル・シナリオとして Retrieve のみを持っています。 このタイプのコラボレーション・テンプレートは、ユーザー対話ビジネス・アクティビティーをサポートします。 Retrieve シナリオには、同期アクティビティー・インプリメンテーション内の Retrieve シナリオと同じ論理プロセス・フローがあります。次の図は、この論理フローを示しています。
ビジネス・オブジェクトがキー参照として他のビジネス・オブジェクトを持っている場合、親ビジネス・オブジェクトは、 参照ビジネス・オブジェクトのコンテンツ全体を必要とすることがあります。WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications コラボレーション・テンプレートは、こうした事例をサポートするシナリオを提供します。 コラボレーション・テンプレートはすべて、SYNC_FROM_SOURCE サブ・シナリオを持っています (ただし、「Retrieving a list (リストの検索)」パターンを持っているコラボレーション・テンプレートは除きます)。
次の図は、SYNC_FROM_SOURCE プロセスの論理フローを示しています。 このフローは、コラボレーション・オブジェクトの SYNC_FROM_SOURCE プロパティー値に 「true」が設定されている場合に呼び出されます。
一般に、コラボレーション・オブジェクトは、データの同期をとるために使用されます。 開発者は、コラボレーション・オブジェクト間のデータ整合性を維持するように注意する必要があります。 同じビジネス・オブジェクトをサブスクライブしている複数のコラボレーション・オブジェクトが それぞれトランザクション動作を持っている場合、 開発者は InterChange Server の外部のトランザクション・グラフを使用して、データ整合性とデータ状態の遷移を管理し、 処理ループが生成されることを防ぐ必要があります。一般に、このような要件を満たすことは、非常に複雑で困難です。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications アーキテクチャーでは、 「特定のエンティティーを管理できるマネージャー・コラボレーション・オブジェクトは 1 つのみである」 というポリシーに従っています。このポリシーは、エンティティー管理モデルと呼ばれます。
非同期処理のパターンでは、メッセージ渡しモデル内のコラボレーション・オブジェクトが使用されます。 このモデルは、エンティティー管理モデルとは異なります。なぜなら、このモデルでは、 複数のコラボレーション・オブジェクトが使用できるものと想定されているからです。 通常、非同期パターンでは、最低 2 つのコラボレーション・オブジェクトが必要です。
以降の節は、コラボレーション・テンプレートで使用される各通信パターンの 一般的なデプロイメント情報をまとめたものです。
コラボレーション・オブジェクトがワークフロー・プロセスを呼び出して通信を行うときは、 SourceApp ポートをエンティティー・ソース・アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 WebSphere MQ Workflow には、To ポートを接続することが可能です。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、SYNC_FROM_SOURCE パラメーターを使用して構成できます。 このパラメーターの値に「true」を設定すると、コラボレーション・オブジェクトは、 SourceApp ポートに接続しているソース・アプリケーションからのデータを同期化します。
コラボレーション・オブジェクトが同期アクティビティーをインプリメントして通信を行うときは、 SourceApp ポートをエンティティー・ソース・アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、SYNC_FROM_SOURCE パラメーターを使用して構成できます。 このパラメーターの値に「true」を設定すると、コラボレーション・オブジェクトは、 SourceApp ポートに接続しているソース・アプリケーションからのデータを同期化します。
DestinationAppRetrieve ポートは、エンティティー宛先アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、USE_RETRIEVE パラメーターを使用して構成できます。
このタイプのコラボレーション・テンプレートは、この同期化プロセスに参加しているアプリケーションに基づいて、 複数の To ポートを持っている場合があります。
To ポートが 2 つ存在する場合は、ToMain と ToSub という名前が付けられます。 同期化プロセスは、ToMain → ToSub の順にポートを実行します。
To ポートが 3 つ以上存在する場合は、ToMain、ToSub1、ToSub2 ... という名前が付けられます。 同期化プロセスは、ToMain → ToSub1 → ToSub2 ... の順にポートを実行します。
To ポートに関連付けられているビジネス・オブジェクトが、トリガー・ビジネス・オブジェクトと異なる場合、 ポートには、To<BusinessObjectName> という名前が付けられます。
コラボレーション・オブジェクトが非同期アクティビティーをインプリメントして通信を行うときは、 SourceApp ポートをエンティティー・ソース・アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、SYNC_FROM_SOURCE パラメーターを使用して構成できます。 このパラメーターの値に「true」を設定すると、コラボレーション・オブジェクトは、 SourceApp ポートに接続しているソース・アプリケーションからのデータを同期化します。
DestinationAppRetrieve ポートは、エンティティー宛先アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、USE_RETRIEVE パラメーターを使用して構成できます。
要求を送信するコラボレーション・オブジェクトの場合、From はワークフロー要求と接続でき、 To ポートは長時間実行アプリケーションと接続できます。応答を受け取るコラボレーション・オブジェクトの場合は、 接続が逆になります。つまり、To ポートが長時間実行アプリケーションと接続し、From ポートがワークフロー応答と接続します。
コラボレーション・オブジェクトがリストを検索して通信を行うときは、 DestinationAppRetrieve ポートをエンティティー宛先アプリケーション・コネクターまたはポート・コネクターに接続できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、USE_RETRIEVE パラメーターを使用して構成できます。 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、 要求/応答呼び出しおよびワークフロー・アクティビティー・インプリメンテーションをサポートするように設計されています。
コラボレーション・オブジェクトでビジネス・プロセス・アクティビティーをサポートする場合は、 From ポートと Return ポートに WebSphere MQ Workflow コネクターを設定し、USE_RETURN プロパティーに「true」を設定します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications アーキテクチャーでは、 このタイプのコラボレーション・オブジェクトは、サーバー・アクセス・インターフェースを使用して JSP シーケンスで使用されるものと想定しています。 このような使用においては、From ポートを外部タイプに構成し、Return ポートを Port Connector に接続し、 USE_RETURN プロパティーに「false」を設定します。
マップの開発手順の詳細については、 「マップ開発ガイド」を参照してください。この節では、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications マップをデプロイするための要件について説明します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションは、 汎用ビジネス・オブジェクトおよび WebSphere MQ Workflow データ構造用に同様のデータ・モデルを提供しています。 ただし、FDLBOGen ツールで生成されたアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトは、 汎用ビジネス・オブジェクトとは異なります。
次の例は、これらのビジネス・オブジェクトがお互いどのように異なっているかを示しています。 この例では、次の FDL データ構造を使用しています。
STRUCTURE Record 'ItemA': 'Item'; 'ItemB': 'Item' (2); END Record STRUCTURE Item 'Name': 'String'; 'Type': 'String'; END Item
FDLBOGen を使用して Record 用のアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトを作成し、 指定する接頭部として WebSphere MQ Workflow_Struct_ を使用する場合は、 次の 3 つのアプリケーション固有のビジネス・オブジェクトが生成されます。
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ItemA | WebSphere MQ Workflow_Struct_Record_ItemA |
ItemB | WebSphere MQ Workflow_Struct_Record_ItemB (カーディナリティー n) |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
Name | String |
Type | String |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
Name | String |
Type | String |
ObjectEventId | String |
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、次の方法で GBO が提供されます。
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ItemA | Item |
ItemB | Item (カーディナリティー n) |
ObjectEventId | String |
エレメント名 | エレメント・タイプ |
---|---|
ObjectId | String (キー) |
Type | String |
ObjectEventId | String |
次の要点は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションを使用した開発に適用されます。
現在のリリースでは、統合システム管理機能は組み込まれていません。 管理者の方は、WebSphere MQ Workflow と IBM WebSphere InterChange Server で提供される次のシステム管理ツールを使用してください。
詳しくは、WebSphere MQ Workflow および IBM WebSphere InterChange Server の資料を参照してください。
WebSphere MQ Workflow および IBM WebSphere InterChange Server はどちらも DBCS に対応しており、 これらのインフラストラクチャーではローカリゼーションもサポートされています。現在のリリースでは、IBM WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の成果物は DBCS に対応していますが、 変換はされません。
ローカリゼーションとグローバリゼーションをインプリメントするための詳細については、 BaseCollaboration クラスのローカリゼーション対応 API を参照してください。
ビジネス・プロセスをエンドツーエンドで参照するには、個々のビジネス・プロセスを統合する必要があります。次の図は、WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications が提供するビジネス・プロセス間の関係を示しています。 Fault resolution および Service usage には他のビジネス・プロセスとの関係が定義されていないため、 以下の図には示されていません。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications では、複数のビジネス・プロセス間の関係について、次の 2 つのパターンがあります。
包含関係とは、プロセスが親プロセスのサブプロセスであるような関係をいいます。 この関係は、上の図で <<包含>> ステレオタイプで示されます。
トリガー条件関係とは、前のプロセスが完了してから現在のプロセスが呼び出されるような関係をいいます。
これらのプロセスが WebSphere MQ Workflow システムで管理される範囲では、一連のプロセスの所有者は、 それらの進行をモニターできます。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications インダストリー・ソリューション・ライブラリーが提供するテンプレートが、 ビジネス・プロセス統合の有効範囲で完全にはインプリメントされない場合は、エンドツーエンド・シナリオ内において、 提供されたテンプレートを自分のプロセスで置き換えられます。
包含関係にあるサブプロセスを置換するには、 独自のプロセス・トラッキング・システムで自分のプロセスをトレースする必要があります。 これを行うと、ビジネス・プロセス管理の中央機能が失われることがあります。その場合は、 WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications の親プロセス内の非同期アクティビティーとして、 既存のプロセスを扱うことができます。このタイプのインプリメンテーションを完了するには、 少なくとも 2 つのコラボレーション・オブジェクトを開発する必要があります。 1 つはユーザー・プロセスを呼び出すコラボレーション、もう 1 つはプロセス実行の完了時に WebSphere MQ Workflow に通知を行うコラボレーションです。
次の表は実行可能なプロセスの置換に関する要約です。
関係 | 置換のターゲット | 必要なコラボレーション・オブジェクト | 説明 |
---|---|---|---|
包含 | 親プロセス | 2 | 一方のコラボレーション・オブジェクトはプロセスを呼び出し、 もう一方のコラボレーションはプロセス完了時に通知を行う。 |
サブプロセス | 2 | 一方のコラボレーション・オブジェクトはプロセスを呼び出し、 もう一方のコラボレーションはプロセス完了時に通知を行う。 | |
トリガー条件 | 前のプロセス | 0 | トリガー・ポートのコネクターを変更する。 |
連続的なプロセス | 1 | プロセスを起動する。 |
今回のリリースのソリューション・スタジオでは、モニター・ビューと追跡ビューは組み込まれていません。 この機能が必要な場合は、WebSphere Portal Server などのツールを使用して、集合ビューを作成してください。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications ソリューションでは、セキュリティー構成のために、次の 3 つのセキュリティー・ドメインを考慮する必要があります。
IBM WebSphere InterChange Server は、基本的に独自のセキュリティー・ドメインを持っていません。 MQ Queue Manager のセキュリティー・ドメインに依存しています。 MQ Queue Manager のセキュリティー・ドメインは、セキュリティーの認証をオペレーティング・システム、 または LDAP などのディレクトリー・セキュリティー・サービスに委任しています。 WebSphere MQ Workflow は、独自のセキュリティー・ドメインを備えていますが、外部化することはできません。 そのため、ディレクトリー・セキュリティー・サービスを一元化する統合ポイントは存在しません。
すべてのドメインのセキュリティーを活動化するときは、 ユーザー ID を MQ Queue Manager セキュリティー・レジストリーと WebSphere MQ Workflow レジストリーに同時に登録する必要があります。 その他の方法としては、アプリケーション・レベルのセキュリティーを選択することが最良の方法の場合もあります。 アプリケーション・レベルのセキュリティーとは、ユーザーと対話するアプリケーションが独自の認証メカニズムを提供するものです。 セキュリティー・メカニズム全体が、アプリケーションによるセキュリティー検査に依存します。
WebSphere Business Integration Collaborations for Telecommunications が提供する一連のビジネス・サービスを次に示します。これらは、ビジネス・プロセス・ユース・ケースごとにグループ化されています。
次のビジネス・サービスは、product development and retirement ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、customer order handling ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、service configuration and activation (DSL) ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、service configuration and activation (IDC) ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、service configuration and activation (無線) ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、customer resource provisioning ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、customer problem handling ユース・ケース用に提供されています。
次のビジネス・サービスは、fault resolution ユース・ケース用に提供されています。