Purchasing コラボレーション・テンプレート

カスタマー・インタラクション・マネージメント (CIM) アプリケーションは、資材要件を生成して顧客からの返品や修理処理をサポートします。 ただし、資材所要量計画 (MRP) および購買・受領処理は、こうしたフロント・オフィス・アプリケーションでは実行されません。

エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) アプリケーションは、マスター・データを使用して、資材予約や購入請求を作業指図 (製造) または購入請求 (購入) に変換します。 資材が生産または購入されて受領されると、ERP アプリケーションは資材予約または購入請求に指定された場所や費用勘定に資材を移動します。

Purchasing コラボレーション・オブジェクトは、汎用 Requisition ビジネス・オブジェクトを使用して、CIM アプリケーションから ERP アプリケーションの購入文書に資材または在庫要求を同期します。このコラボレーションによって、宛先 ERP アプリケーションでの購入文書の作成が容易になります。 コラボレーションは、購入文書を作成する前に、宛先 ERP アプリケーションに要求品目が存在するかどうか検証するよう構成できます。

参照先 Item の同期

ビジネス・オブジェクト 関連するコラボレーション・プロパティー 呼び出し先コラボレーション

Item

ItemBasic

ItemOrder

ItemPlanning

VERIFY_SYNC_ITEM ITEM_TYPE

ItemSync

ItemWrapper

注:

問題と前提事項

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

この節では、ポート・バインディングについて説明し、Purchasing に基づくコラボレーション・オブジェクトをセットアップするために必要なステップを説明します。コラボレーション・テンプレートの標準の機能、ポート、および構成プロパティーについて、およびコラボレーション・オブジェクト作成に関する一般情報については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』にリストされている文書を参照してください。

ポート情報

図 1 に、System Manager で表示される Purchasing のポートを示します。

図 1. Purchasing コラボレーションのポート

注: コラボレーション・オブジェクトでポートを使用しないようにするには、そのポートをポート・コネクターにバインドしてください。これにより、コラボレーション・オブジェクトが追加機能を提供せずに、そのポートは未使用として示されます。

ポート名: DestinationAppRetrieve
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Requisition 宛先アプリケーションのコネクター 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。この結果により、Requisition を同期するときに使用される動詞が決定します。

Retrieve


ポート名: From
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Requisition ソース・アプリケーションのコネクター、または呼び出し側コラボレーション トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。コラボレーションが正常に終了した場合、このポートは、同期呼び出しの最後に、トリガー・ビジネス・オブジェクトをソース・アプリケーションに戻します。

Create Retrieve Update Delete


ポート名: To
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Requisition 宛先アプリケーションのコネクター

トリガー・ビジネス・オブジェクトをコラボレーションから送信します。

Create Update Delete


ポート名: ToItemWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Requisition ItemWrapper コラボレーションの Form ポート サポートされる任意の汎用 Item ビジネス・オブジェクト (Item、ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning) を ItemWrapper コラボレーションに送信します。

Exists Sync

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

Purchasing のスタンドアロンとしての使用

Purchasing をスタンドアロンのコラボレーションとしてセットアップする手順は、以下のとおりです。

  1. Purchasing コラボレーション・オブジェクトを作成します。
  2. コラボレーション・オブジェクトの ToItemWrapper ポートを宛先アプリケーションまたは Port コネクターにバインドします。
  3. ポート情報』の説明に従って、残りのポートをバインドします。
  4. Purchasing コラボレーション・オブジェクトの VERIFY_SYNC_ITEM 構成プロパティーを「neither」に設定したままにします。
  5. 構成プロパティー』の説明に従って残りの構成プロパティーを設定します。 

Purchasing のコラボレーション・オブジェクト・グループでの使用

Purchasing プロセスの一環として参照先 Item を検証または同期するには、以下のいずれかのコラボレーション・オブジェクト・グループを作成します。


検証 同期 必要なコラボレーション
Item   Purchasing、ItemWrapper
  Item Purchasing、ItemWrapper、ItemSync

Purchasing のコラボレーション・オブジェクト・グループでの使用

コラボレーション・オブジェクト・グループの一部として Purchasing をセットアップする手順は、以下のとおりです。

  1. Purchasing、ItemWrapper、(オプションで) ItemSync テンプレートからコラボレーション・オブジェクトを作成します。
  2. Purchasing コラボレーション・オブジェクトを編集して、ToItemWrapper ポートを ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトの From ポートにバインドします。
  3. Purchasing コラボレーション・オブジェクトの残りのポートをこの文書の『ポート情報』節の説明にしたがってバインドします。
  4. Purchasing コラボレーション・オブジェクトの VERIFY_SYNC_ITEM 構成プロパティーを設定します。Item 検証の場合は「verify」に、Item 同期の場合は「sync」に設定します。
  5. InventoryMovement コラボレーション・オブジェクトの ITEM_TYPE プロパティーを、希望する品目タイプに設定します。
  6. ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトを編集して、To ポートをバインドします。
  7. ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトの残りのポートをバインドします。詳しくは、Wrapper コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。注: ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトの From ポートは、System Manager によってすでに Purchasing コラボレーション・オブジェクトへバインドされていることがあります。Item 検証の場合、ステップ 9 に進んでください。
  8. Item 同期の場合、ItemSync コラボレーション・オブジェクトを編集してポートをバインドします。 System Manager は、その From ポートをすでに ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトにバインドしているはずです。 残りのポートをバインドします。詳しくは、ItemSync コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。
  9. 各コラボレーションの構成プロパティーを設定します。詳しくは、以下を参照してください。

コラボレーション・テンプレートのプロセス

この節では、このコラボレーション・テンプレートのプロセス・ロジックについて説明します。

プロセス・ロジックの概要

図 2 は、Purchasing コラボレーションのプロセス・フローを示しています。

図 2. Purchasing コラボレーションのプロセス・フロー

継承されたプロセス・ロジック

このコラボレーション・テンプレートでは、以下の標準コラボレーション・ビジネス・プロセスが使用されます。

これらのビジネス・プロセスについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

Item の検証または同期

図 3 は、Purchasing が関連する Item を検証または同期するプロセスを示しています。

図 3. Item の検証または同期

差し戻し処理

InterChange Server は、トランザクション・コラボレーションのいずれかのステップで失敗が発生した場合、トランザクションをロールバックできます。例えば、Purchasing がトランザクションのコラボレーションに参加するコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーである場合、ContractSync のアクションは、より大きなトランザクションの 1 つのサブトランザクション・ステップとなります。 コラボレーション・オブジェクト・グループのビジネス・プロセスでいずれかのステップが失敗すると、トランザクション・コラボレーションは InterChange Server がグループ内のコラボレーションの処理をどのようにロールバックすればよいか明示します。

Purchasing コラボレーション・オブジェクトをほかのコラボレーション・オブジェクトと無関係に使用する場合、または From ポートを別のコラボレーションではなくソース・アプリケーションにバインドする場合、そのプロセスを構成するトランザクション・ステップは 1 つのみになります。このような場合には、ロールバックを実行する必要はありません。

1 つのコラボレーション・オブジェクト、またはコラボレーション・オブジェクト・グループにロールバックを実行させるには、コラボレーション・テンプレートを変更する必要があります。WebSphere Business Integration システムにおけるトランザクション処理を理解するためには、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」を参照してください。コラボレーション・テンプレートへのトランザクション処理の追加については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

トランザクション処理を実行できるようにコラボレーション・オブジェクトを拡張するには、以下の手順を完了します。

  1. この機能を、そのコラボレーション・テンプレートと、コラボレーション・オブジェクト・グループ内の他のすべてのコラボレーション・テンプレートに追加します。
  2. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループのすべてのメンバーの最小トランザクション・レベルを、None より大きい値に設定します。「最小限の努力」以上に設定した場合、いずれかのサブトランザクション・ステップで失敗が発生すると、このコラボレーション・オブジェクトおよびグループ内のほかのコラボレーション・オブジェクトは、すべてのビジネス・オブジェクトに対して実行された Create、Update、および Delete 操作に対して差し戻しを実行します。
  3. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループの他のすべてのメンバーの USE_RETRIEVE プロパティーを「true」に設定します。コラボレーション・オブジェクトに対して、値を変更する前に検索するように強制すると、コラボレーション・オブジェクトは Update または Delete プロセスの際に元の値を復元できるようになります。

構成プロパティー

この節では、このコラボレーション・テンプレートの標準プロパティーおよび固有のプロパティーについて説明します。

標準プロパティー

このコラボレーション・テンプレートでは、以下のコラボレーション・テンプレートの標準構成プロパティーを使用します。

これらの構成プロパティーについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

このコラボレーション・テンプレート固有のプロパティー

このコラボレーション・テンプレートには、標準構成プロパティーに加えて、以下に示す構成プロパティーがあります。

Purchasing コラボレーション・テンプレートに固有の構成プロパティー

プロパティー名とその説明 可能な値 デフォルト値

ITEM_TYPE

コラボレーションが Requisition ビジネス・オブジェクトを作成する前に同期または検証する必要がある、汎用 Item のタイプを設定します。VERIFY_SYNC_ITEM プロパティーは、このプロパティーの値を使用して、同期または検証する Item のタイプを決定します。

Item、ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning Item

VERIFY_SYNC_ITEM

「sync」に設定すると、Purchasing が宛先アプリケーション内の関連する Item を同期します。Purchasing は Order ビジネス・オブジェクトから ItemId をコピーし、ITEM_TYPE プロパティーに指定されたタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。Purchasing は、そのビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに ItemWrapper に送信します。次に、ItemWrapper はすべての属性の値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞とともに ItemSync に送信します。ItemSync が関連する Item の作成に失敗した場合、Purchasing は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーに指定されたとおりにエラーを処理します。

「verify」に設定すると、Purchasing が宛先アプリケーション内の関連する Item を検証します。 Purchasing は Order ビジネス・オブジェクトから ItemId をコピーし、ITEM_TYPE プロパティーに指定されたタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。Purchasing は、そのビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに ItemWrapper に送信します。次に、ItemWrapper は宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。ItemWrapper が関連する品目の検索に失敗した場合、Purchasing は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーに指定されたとおりにエラーを処理します。

「neither」に指定すると、Purchasing がトリガーとなる Order ビジネス・オブジェクトを同期するときに、宛先アプリケーション内の関連する品目を最初に同期したり、既存の関連する品目を検証したりすることはありません。

neither、verify、sync

neither

コラボレーション・メッセージ

注: 警告を提供するメッセージがトレース先に表示されるのは、トレース・レベルが 3 以上に設定されている場合のみです。

このコラボレーション・テンプレートのメッセージの説明を表示するには、Log Viewer を起動し、コラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開いてください。Log Viewer を起動してコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開くには、以下の手順に従います。

  1. 「スタート」メニューで、「プログラム」>「IBM WebSphere InterChange Server」>「IBM WebSphere Business Integration Toolset」>「Administrative」>「Log Viewer」の順にクリックします。
  2. 「ファイル」メニューで、「開く」をクリックします。
  3. 「Look In」フィールドを使用して、現在のフォルダーを WebSphere_ICS_root_dir \collaborations \messages に変更し、このコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを選択します。

アップグレード情報

アップグレード処理

このコラボレーション・テンプレートのより新しいバージョンにアップグレードするには、以下の手順を行います。

  1. 現在の Purchasing コラボレーションを停止します。
  2. リポジトリーをバックアップします。詳しくは、「システム管理ガイド」を参照してください。
  3. コラボレーション・テンプレートをカスタマイズしている場合には、以下の手順を行います。
  4. 新規の Purchasing コラボレーション・テンプレートをインストールします。
  5. 新しいコラボレーション・テンプレートにカスタマイズを追加します。
  6. 新しいコラボレーション・オブジェクトを作成し、適切なコネクターにバインドします。 詳しくは、『コラボレーション・オブジェクトのセットアップ』を参照してください。
  7. 新しいコラボレーション・オブジェクトを実行してテストします。
  8. テスト中に見つかった問題点に基づいて、コラボレーション・オブジェクトを変更します。

Copyright IBM Corp. 1997, 2003