InventoryMovement コラボレーションは、カスタマー・インタラクション・マネージメント (CIM) アプリケーションからエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) アプリケーションへ、または 2 つの ERP アプリケーション間で、在庫トランザクション (商品の移動ということが多い) を送信します。 コラボレーションは宛先アプリケーション内に在庫トランザクションを作成します。
注: IBM では、1 つのアプリケーションを在庫のマスターとして特定し、そこでデータを受信または送信するが送受信の両方は行わないことをお勧めします。データを双方向にやりとりすると、データ保全性の問題が発生する場合があります。
在庫トランザクションは、以下のいずれかになります。
以下の 2 つのビジネス・ケースは、InventoryMovement コラボレーションの使用方法を示しています。
InventoryMovement は、汎用 InventoryMovement ビジネス・オブジェクトを処理します。コラボレーションはこのビジネス・オブジェクトを使用して、在庫移動のタイプ (Issues、Receipts、Physical Transfers、Logical Transfers) ごとに在庫レベルの変更内容を取得します。
汎用 Item は、コラボレーションが宛先アプリケーション内の在庫記録された Item を同期または検証するために使用します。つまり、InventoryMovement ビジネス・オブジェクトを同期する前に、このビジネス・オブジェクト内で参照される Item を同期または検証するようコラボレーションを構成することができます。 汎用 Item ビジネス・オブジェクトを処理する代わりに、サポートされる汎用 Item ビジネス・オブジェクト (ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning) のいずれかを処理するようコラボレーションを構成できます。これを実行するには、ITEM_TYPE 構成プロパティーで Item のタイプを指定します。
InventoryMovement は InventoryMovement のみを同期しますが、適切なコラボレーションを呼び出して以下の関連するビジネス・オブジェクトを検証または同期するように構成することができます。
ビジネス・オブジェクト | 関連するコラボレーション・プロパティー | 呼び出し先コラボレーション |
---|---|---|
Item ItemBasic ItemOrder ItemPlanning |
VERIFY_SYNC_ITEM ITEM_TYPE |
ItemSync |
この節では、ポート・バインディングについて説明し、InventoryMovement に基づくコラボレーション・オブジェクトをセットアップするために必要なステップを説明します。コラボレーション・テンプレートの標準の機能、ポート、および構成プロパティーについて、およびコラボレーション・オブジェクト作成に関する一般情報については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』にリストされている文書を参照してください。
図 1 に、System Manager で表示される InventoryMovement のポートを示します。 各ポートで、ハイフンの左にある名前は、ビジネス・オブジェクトの名前を表しています。 ハイフンの右にある名前は、ポートの名前を表しています。 立体のオブジェクトは、ビジネス・オブジェクトを表します。
図 1. InventoryMovement コラボレーションのポート
注: コラボレーション・オブジェクトでポートを使用しないようにするには、そのポートをポート・コネクターにバインドしてください。これにより、コラボレーション・オブジェクトが追加機能を提供せずに、そのポートは未使用として示されます。
ビジネス・オブジェクト | バインド先 | 機能 | 使用される動詞 |
---|---|---|---|
InventoryMovement | 宛先アプリケーションのコネクター | 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。この結果により、InventoryMovement を同期するときに使用される動詞が決定します。 |
Retrieve |
ビジネス・オブジェクト | バインド先 | 機能 | 使用される動詞 |
---|---|---|---|
InventoryMovement | ソース・アプリケーションのコネクター、または呼び出し側コラボレーション | トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。コラボレーションが正常に終了した場合、このポートは、同期呼び出しの最後に、トリガー・ビジネス・オブジェクトをソース・アプリケーションに戻します。 |
Create Retrieve Update Delete |
ビジネス・オブジェクト | バインド先 | 機能 | 使用される動詞 |
---|---|---|---|
InventoryMovement | 宛先アプリケーションのコネクター |
トリガー・ビジネス・オブジェクトをコラボレーションから送信します。 注: 各在庫移動は明確なトランザクションとして転記され、転記後に削除または更新されることはないので、このコラボレーションは Create 動詞のみをサポートするよう設計されています。ただし、コラボレーションは標準の Update および Delete シナリオを使用します。 このため、Update および Delete 動詞を使用するようビジネス・オブジェクトを変更する場合、このコラボレーションを使用してこれらの処理を行うことができます。 |
Create Update Delete |
ビジネス・オブジェクト | バインド先 | 機能 | 使用される動詞 |
---|---|---|---|
Item、ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning | ItemWrapper コラボレーションの Form ポート |
参照値を持つ汎用 Item ビジネス・オブジェクトを ItemWrapper コラボレーションに送信します。ItemWrapper は受信した汎用 Item ビジネス・オブジェクトのタイプを解釈し、適切に処理します。
どちらの場合も、ItemWrapper は InventoryMovement に状況を戻します。 |
Sync Exists |
InventoryMovement をスタンドアロンのコラボレーション・オブジェクトとしてセットアップする手順は、以下のとおりです。
InventoryMovement プロセスの一環として関連 Item を検証または同期するには、以下のいずれかのコラボレーション・オブジェクト・グループを作成します。
検証 同期 必要なコラボレーション Item InventoryMovement、ItemWrapper Item InventoryMovement、ItemWrapper、ItemSync
コラボレーション・オブジェクト・グループの一部として InventoryMovement をセットアップする手順は、以下のとおりです。
この節では、このコラボレーション・テンプレートのプロセス・ロジックについて説明します。
図 2 は、InventoryMovement のプロセス・ロジックを示しています。
図 2. InventoryMovement コラボレーションのプロセス・ロジック
このコラボレーション・テンプレートでは、以下の標準コラボレーション・ビジネス・プロセスが使用されます。
これらのビジネス・プロセスについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。
図 3 は、InventoryMovement のビジネス・オブジェクトを示しています。
図 3. InventoryMovement コラボレーション: 参照先 Item の検証または同期
InterChange Server は、トランザクション・コラボレーションのいずれかのステップで失敗が発生した場合、トランザクションをロールバックできます。例えば、InventoryMovement がトランザクションのコラボレーションに参加するコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーである場合、InventoryMovement のアクションは、より大きなトランザクションの 1 つのサブトランザクション・ステップとなります。 コラボレーション・オブジェクト・グループのビジネス・プロセスでいずれかのステップが失敗すると、トランザクション・コラボレーションは InterChange Server がグループ内のコラボレーションの処理をどのようにロールバックすればよいか明示します。
InventoryMovement コラボレーション・オブジェクトをほかのコラボレーション・オブジェクトと無関係に使用する場合、または From ポートを別のコラボレーションではなくソース・アプリケーションにバインドする場合、そのプロセスを構成するトランザクション・ステップは 1 つのみになります。このような場合には、ロールバックを実行する必要はありません。
1 つのコラボレーション・オブジェクト、またはコラボレーション・オブジェクト・グループにロールバックを実行させるには、コラボレーション・テンプレートを変更する必要があります。WebSphere Business Integration システムにおけるトランザクション処理を理解するためには、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」を参照してください。コラボレーション・テンプレートへのトランザクション処理の追加については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。
トランザクション処理を実行できるようにコラボレーション・オブジェクトを拡張するには、以下の手順を完了します。
この節では、このコラボレーション・テンプレートの標準プロパティーおよび固有のプロパティーについて説明します。
このコラボレーション・テンプレートでは、以下のコラボレーション・テンプレートの標準構成プロパティーを使用します。
これらの構成プロパティーについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。
このコラボレーション・テンプレートには、標準構成プロパティーに加えて、以下に示す構成プロパティーがあります。
プロパティー名とその説明 | 可能な値 | デフォルト値 |
---|---|---|
ITEM_TYPE コラボレーションが InventoryMovement ビジネス・オブジェクトを作成する前に同期または検証する必要がある、汎用 Item のタイプを設定します。InventoryMovement コラボレーションの VERIFY_SYNC_ITEM プロパティーが「sync」または「verify」と評価される場合、コラボレーションはこのプロパティーの値を使用して、ItemWrapper に送信する Item のタイプを判別します。 |
Item、ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning | ItemBasic |
VERIFY_SYNC_ITEM 「sync」に設定すると、InventoryMovement が宛先アプリケーション内の在庫記録された Item を同期します。InventoryMovement は InventoryMovement ビジネス・オブジェクトから ItemId をコピーし、ITEM_TYPE プロパティーに指定されたタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。 InventoryMovement は、そのビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに ItemWrapper に送信します。次に、ItemWrapper はすべての属性の値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞とともに ItemSync に送信します。ItemSync が Item の作成に失敗すると、InventoryMovement は例外メッセージを生成して終了します。 InventoryMovement のメッセージについての詳細は、以下のコラボレーション・メッセージ・ファイルを参照してください。\collaborations\messages\InventoryMovement.txt。 「verify」に設定すると、InventoryMovement が宛先アプリケーション内の在庫記録された Item を検証します。 InventoryMovement は InventoryMovement ビジネス・オブジェクトから ItemId をコピーし、ITEM_TYPE プロパティーに指定されたタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。 InventoryMovement は、そのビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに ItemWrapper に送信します。 ItemWrapper は宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。 ItemWrapper が在庫記録された Item の検索に失敗すると、InventoryMovement は例外メッセージを生成して終了します。 「neither」に指定すると、InventoryMovement は、トリガーとなる InventoryMovement ビジネス・オブジェクトを作成するときに、宛先アプリケーション内の在庫記録された Item を最初に同期したり、既存の Item を検証したりすることはありません。 |
neither、verify、sync |
neither |
注: 情報を提供するメッセージがトレース先に表示されるのは、トレース・レベルが 3 以上に設定されている場合のみです。他のコラボレーションで使用される警告メッセージは、InventoryMovement では使用されません。
このコラボレーション・テンプレートのメッセージの説明を表示するには、Log Viewer を起動し、コラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開いてください。Log Viewer を起動してコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開くには、以下の手順に従います。
このコラボレーション・テンプレートのより新しいバージョンにアップグレードするには、以下の手順を行います。