AvailableToPromise コラボレーション・テンプレート

ATP (AvailableToPromise) コラボレーションは、e-ビジネス・アプリケーションおよびカスタマー・ケア・アプリケーションが倉庫管理またはサプライ・チェーン・アプリケーションからの製品の利用可能在庫情報へアクセスするのに使用します。以下に、このコラボレーションのビジネス・シナリオの例を示します。

  1. Sales Order Retrieves から開始される ATP チェックは、注文管理アプリケーションで注文が生成される時、顧客向けの見積日付と数量を検索します。注文処理時、顧客の営業担当員は特定の品目を顧客に納品する確約日を生成する必要があります。注文管理アプリケーションは、顧客、品目、日付、および数量に関する情報を注文の保存前にサプライ・チェーン・アプリケーションに送信します。サプライ・チェーン・アプリケーションは、配送スケジュールを見積もり、販売注文作成のためにそれを戻します。その後、販売注文が保存されます。このシナリオは、顧客の営業担当員が確約配送日付をもつ販売注文を作成した時点で開始されます。この ATP 検索は注文プロセスの最後のステップであり、注文が完了した後、保存される前に開始されます。
  2. Sales Order Retrieves の保存により起動される ATP チェックは、注文管理アプリケーションで注文が生成された後、顧客向けの見積日付と数量を検索します。注文作成後、販売注文管理アプリケーションは特定の品目を顧客に納品する確約日付を生成する必要があります。注文管理アプリケーションは、顧客、日付、および数量に関する情報を注文の保存後にサプライ・チェーン・アプリケーションに送信します。サプライ・チェーン・アプリケーションは、配送スケジュールを見積もり、販売注文を作成するためにそれを戻し、電子メールを顧客および顧客の営業担当員に送信します。このシナリオは、ATP のフラグが付いた販売注文が保存された時点で開始されます。

ATP では、汎用 ATP ビジネス・オブジェクトを使用して、製品の利用可能在庫データを同期します。

問題と前提事項

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

この節では、ポート・バインディングについて説明し、ATP に基づくコラボレーション・オブジェクトをセットアップするために必要なステップを説明します。コラボレーション・テンプレートの標準の機能、ポート、および構成プロパティーについて、およびコラボレーション・オブジェクト作成に関する一般情報については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』にリストされている文書を参照してください。

ポート情報

図 1 に、System Manager で表示される、ATP コラボレーションのポートを示します。

図 1. ATP コラボレーションのポート

注: コラボレーション・オブジェクトでポートを使用しないようにするには、そのポートをポート・コネクターにバインドしてください。これにより、コラボレーション・オブジェクトが追加機能を提供せずに、そのポートは未使用として示されます。

ポート名: DestinationAppRetrieve
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
ATP 宛先 (サプライヤー側) アプリケーションのコネクター 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。 Retrieve

ポート名: DestinationAppRetrieveLine
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
ATPLine 宛先 (サプライヤー側) アプリケーションのコネクター 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。 Retrieve

ポート名: From
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
ATP ソース (バイヤー側) アプリケーションのコネクター トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。コラボレーションが正常に終了した場合、このポートは、同期呼び出しの最後に、トリガー・ビジネス・オブジェクトをソース・アプリケーションに戻します。

Create

Retrieve

Update

Delete


ポート名: To
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
ATP 宛先 (サプライヤー) アプリケーションのコネクター トリガー・ビジネス・オブジェクトをコラボレーションから送信します。通常は宛先アプリケーションにバインドされますが、Wrapper コラボレーションにバインドされることもあります。

Create

Update

Delete


ポート名: ToLine
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
ATPLine 宛先 (サプライヤー) アプリケーションのコネクター トリガー・ビジネス・オブジェクトに含まれる行オブジェクトをコラボレーションから送信します。通常は宛先アプリケーションにバインドされますが、Wrapper コラボレーションにバインドされることもあります。

Create

Update

Delete

コラボレーション・テンプレートのプロセス

この節では、このコラボレーション・テンプレートのプロセス・ロジックについて説明します。

プロセス・ロジックの概要

図 2 に、ATP のプロセス・ロジックを示します。

図 2. ATP コラボレーションのプロセス・ロジック

継承されたプロセス・ロジック

このコラボレーション・テンプレートでは、以下の標準コラボレーション・ビジネス・プロセスが使用されます。

これらのビジネス・プロセスについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

ATP 反復プロセス・ロジック

図 3 は、ATP の反復プロセス・ロジックを示します。

図 3. ATP コラボレーションの反復プロセス・ロジック

差し戻し処理

InterChange Server は、トランザクション・コラボレーションのいずれかのステップで失敗が発生した場合、トランザクションをロールバックできます。例えば、ATP がトランザクションのコラボレーションに参加するコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーである場合、ATP のアクションは、より大きなトランザクションの 1 つのサブトランザクション・ステップとなります。コラボレーション・オブジェクト・グループのビジネス・プロセスでいずれかのステップが失敗すると、トランザクション・コラボレーションは InterChange Server がグループ内のコラボレーションの処理をどのようにロールバックすればよいか明示します。

ATP コラボレーション・オブジェクトをほかのコラボレーション・オブジェクトと無関係に使用する場合、または From ポートを別のコラボレーションではなくソース・アプリケーションにバインドする場合、そのプロセスを構成するトランザクション・ステップは 1 つのみになります。このような場合には、ロールバックを実行する必要はありません。

1 つのコラボレーション・オブジェクト、またはコラボレーション・オブジェクト・グループにロールバックを実行させるには、コラボレーション・テンプレートを変更する必要があります。WebSphere Business Integration システムにおけるトランザクション処理を理解するためには、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」を参照してください。コラボレーション・テンプレートへのトランザクション処理の追加については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

トランザクション処理を実行できるようにコラボレーション・オブジェクトを拡張するには、以下の手順を完了します。

  1. この機能を、そのコラボレーション・テンプレートと、コラボレーション・オブジェクト・グループ内の他のすべてのコラボレーション・テンプレートに追加します。
  2. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループのすべてのメンバーの最小トランザクション・レベルを、None より大きい値に設定します。「最小限の努力」以上に設定した場合、いずれかのサブトランザクション・ステップで失敗が発生すると、このコラボレーション・オブジェクトおよびグループ内のほかのコラボレーション・オブジェクトは、すべてのビジネス・オブジェクトに対して実行された Create、Update、および Delete 操作に対して差し戻しを実行します。
  3. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループの他のすべてのメンバーの USE_RETRIEVE プロパティーを「true」に設定します。コラボレーション・オブジェクトに対して、値を変更する前に検索するように強制すると、コラボレーション・オブジェクトは Update または Delete プロセスの際に元の値を復元できるようになります。

構成プロパティー

この節では、このコラボレーション・テンプレートの標準プロパティーおよび固有のプロパティーについて説明します。

標準プロパティー

このコラボレーション・テンプレートでは、以下のコラボレーション・テンプレートの標準構成プロパティーを使用します。

これらの構成プロパティーについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

このコラボレーション・テンプレート固有のプロパティー

このコラボレーション・テンプレートには、標準構成プロパティーに加えて、以下に示す構成プロパティーがあります。

ATP コラボレーション・テンプレート固有の構成プロパティー

プロパティー名とその説明 可能な値 デフォルト値

ATP_OR_ATPLINE このプロパティーでは、コラボレーションが ATP オブジェクト全体 (複数行の品目を含む) を宛先へ送信するか、一度に 1 行ずつ送信するかを決定できます。

「ATPLine」に設定すると、コラボレーションは、バッチ・オブジェクトに含まれる品目行を反復し、それぞれ個別に宛先アプリケーションへ送信します。

ATP、ATPLine ATP

インプリメンテーションに関するメモ

Copyright IBM Corp. 1997, 2003