VendorPartnerSync コラボレーション・テンプレート

VendorPartnerSync コラボレーションは、ベンダー・パートナーのデータを 1 つのアプリケーションから別のアプリケーションに移動するために使用します。参加するアプリケーションに応じて、VendorPartner はベンダーのマスター・レコード、住所、あるいはベンダーの機能を拡張するエンティティーへの任意の機能リンクとなることができます。

ベンダー・パートナーのデータは、企業内の調達機能および会計機能にとって不可欠です。ベンダー・パートナーは通常、商品の発送先または代金請求先となる名宛人および住所を取り決めます。ベンダー・パートナーとベンダーの関係は、ShipTo および BillTo 顧客と SoldTo 顧客の関係と同様です。供給の観点からは、ベンダー・パートナーは商品提供業者 および被支払人 と呼ばれます。

通常、購入注文は、注文を履行するベンダーを識別するだけでなく、商品を受け取り、支払を行うパートナーも識別します。ベンダーは、調達プロセスのすべての役割を実行でき、また通常は実行します。

VendorPartnerSync コラボレーション・テンプレートは、Vendor Manager コラボレーション・オブジェクト・グループを構成する他のコラボレーションとともに、ベンダー情報を使用するすべてのシステムにわたってそれらの情報を保守および同期するための共通プロセスを指定します。この同期により、ベンダー情報を組織全体で共通に表示できます。

Vendor Manager コラボレーション・オブジェクト・グループは、カスタマー・インタラクション・マネージメント (CIM) アプリケーションとエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) アプリケーションとの間でベンダー情報を同期します。これらのタイプのアプリケーションの一方が同期された情報のソースとなり、他方が宛先となります。

このようにデータを複製することで、データが企業内で追加、変更、または削除された際に、別個のアプリケーションが情報を整合的に利用できます。コラボレーションは、重複した入力を必要とせずに、宛先アプリケーションでの複製情報の正確性を保証します。

以下の項目の詳細については、VendorSync コラボレーションの参照ページを参照してください。

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

この節では、ポート・バインディングについて説明し、VendorPartnerSync に基づくコラボレーション・オブジェクトをセットアップするために必要なステップを説明します。コラボレーション・テンプレートの標準の機能、ポート、および構成プロパティーについて、およびコラボレーション・オブジェクト作成に関する一般情報については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』にリストされている文書を参照してください。

ポート情報

図 1 に、System Manager で表示される VendorPartnerSync のポートを示します。各ポートについての情報は、図 1 の後にある表に示します。

図 1. VendorPartnerSync コラボレーションのポート

注: コラボレーション・オブジェクトでポートを使用しないようにするには、そのポートをポート・コネクターにバインドしてください。これにより、コラボレーション・オブジェクトが追加機能を提供せずに、そのポートは未使用として示されます。

ポート名: DestinationAppRetrieve
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
VendorPartner 宛先アプリケーションのコネクター 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。その結果により、VendorPartner を同期する際に使用される動詞を決定します。

Retrieve


ポート名: From
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
VendorPartner ソース・アプリケーションのコネクター、または呼び出し側コラボレーション トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。コラボレーションが正常に終了した場合、このポートは、同期呼び出しの最後に、トリガー・ビジネス・オブジェクトをソース・アプリケーションに戻します。

Create Retrieve Update Delete


ポート名: To
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
VendorPartner 宛先アプリケーションのコネクター

トリガー・ビジネス・オブジェクトをコラボレーションから送信します。

Create Update Delete

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

VendorPartnerSync のスタンドアロンでの使用

VendorPartnerSync は、従属するベンダー・エンティティー (VendorPartner) がソース・アプリケーションで作成、変更、または削除された際に、ソース・アプリケーションのコネクターによって直接起動されます。VendorPartnerSync をスタンドアロンのコラボレーション・オブジェクトとしてセットアップするには、以下の手順に従ってください。

  1. VendorPartnerSync コラボレーション・オブジェクトを作成します。
  2. コラボレーション・オブジェクトの ToVendorPartnerWRapper ポートを、宛先アプリケーションまたはポート・コネクターにバインドします。
  3. ポート情報』の説明に従って、残りのポートをバインドします。
  4. VendorPartnerSync の残りの構成プロパティーを設定します。

VendorPartnerSync のコラボレーション・オブジェクト・グループでの使用

VendorSync は、VendorPartnerSync を呼び出すために、中間の VendorPartnerWrapper コラボレーションを使用します。VendorPartnerSync は、VendorSync により作成または更新される基本 Vendor に関連付けられた、新しい従属 VendorPartner エンティティーを作成します。このコラボレーションをコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーとして実行する場合には、すべてのコラボレーションを構成することが重要です。詳しくは、VendorSync コラボレーション・テンプレートの参照ページで、『VendorSync のコラボレーション・オブジェクト・グループでの使用』および『構成プロパティー設定のチェックリスト』を参照してください。

 

コラボレーション・テンプレートのプロセス

この節では、このコラボレーション・テンプレートのプロセス・ロジックについて説明します。

プロセス・ロジックの概要

図 2 に、VendorPartnerSync のプロセス・ロジックを示します。Create プロセス、Update プロセス、および Delete プロセスのいずれもが、必要なアクションに応じて異なる動詞をディスパッチする、同じメイン・プロセスを使用していることに注意してください。

図 2. VendorPartnerSync コラボレーションのプロセス・ロジック

継承されたプロセス・ロジック

このコラボレーション・テンプレートでは、以下の標準コラボレーション・ビジネス・プロセスが使用されます。

これらのビジネス・プロセスについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

差し戻し処理

InterChange Server は、トランザクション・コラボレーションのいずれかのステップで失敗が発生した場合、トランザクションをロールバックできます。例えば、VendorPartnerSync がトランザクションのコラボレーションに参加するコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーである場合、VendorPartnerSync のアクションは、より大きなトランザクションの 1 つのサブトランザクション・ステップとなります。コラボレーション・オブジェクト・グループのビジネス・プロセスでいずれかのステップが失敗すると、トランザクション・コラボレーションは InterChange Server がグループ内のコラボレーションの処理をどのようにロールバックすればよいか明示します。

VendorPartnerSync コラボレーション・オブジェクトをほかのコラボレーション・オブジェクトと無関係に使用する場合、または From ポートを別のコラボレーションではなくソース・アプリケーションにバインドする場合、そのプロセスを構成するトランザクション・ステップは 1 つのみになります。このような場合には、ロールバックを実行する必要はありません。

1 つのコラボレーション・オブジェクト、またはコラボレーション・オブジェクト・グループにロールバックを実行させるには、コラボレーション・テンプレートを変更する必要があります。WebSphere Business Integration システムにおけるトランザクション処理を理解するためには、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」を参照してください。コラボレーション・テンプレートへのトランザクション処理の追加については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

トランザクション処理を実行できるようにコラボレーション・オブジェクトを拡張するには、以下の手順を完了します。

  1. この機能を、そのコラボレーション・テンプレートと、コラボレーション・オブジェクト・グループ内の他のすべてのコラボレーション・テンプレートに追加します。
  2. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループのすべてのメンバーの最小トランザクション・レベルを、None より大きい値に設定します。「最小限の努力」以上に設定した場合、いずれかのサブトランザクション・ステップで失敗が発生すると、このコラボレーション・オブジェクトおよびグループ内のほかのコラボレーション・オブジェクトは、すべてのビジネス・オブジェクトに対して実行された Create、Update、および Delete 操作に対して差し戻しを実行します。
  3. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループの他のすべてのメンバーの USE_RETRIEVE プロパティーを「true」に設定します。コラボレーション・オブジェクトに対して、値を変更する前に検索するように強制すると、コラボレーション・オブジェクトは Update または Delete プロセスの際に元の値を復元できるようになります。

構成プロパティー設定のチェックリスト

Vendor Manager コラボレーション・オブジェクト・グループは 3 つのコラボレーションに相当するため、望ましい振る舞いを実現するには、すべてのコラボレーション・テンプレートを構成することが重要です。 詳しくは、VendorSync コラボレーション・テンプレートの参照ページで、『構成プロパティー設定のチェックリスト』を参照してください。

構成プロパティー

注: VendorPartnerSync には、独自の構成プロパティーがありません。そのプロパティーはすべて標準のものです。

標準プロパティー

このコラボレーション・テンプレートでは、以下のコラボレーション・テンプレートの標準構成プロパティーを使用します。

これらの構成プロパティーについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

コラボレーション・メッセージ

このコラボレーション・テンプレートのメッセージの説明を表示するには、Log Viewer を起動し、コラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開いてください。Log Viewer を起動してコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開くには、以下の手順に従います。

  1. 「スタート」メニューで、「プログラム」>「IBM WebSphere InterChange Server」>「IBM WebSphere Business Integration Toolset」>「Administrative」>「Log Viewer」の順にクリックします。
  2. 「ファイル」メニューで、「開く」をクリックします。
  3. 「Look In」フィールドを使用して、現在のフォルダーを WebSphere_ICS_root_dir \collaborations \messages に変更し、このコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを選択します。

アップグレード情報

アップグレード処理

このコラボレーション・テンプレートのより新しいバージョンにアップグレードするには、以下の手順を行います。

  1. 現在の VendorPartnerSync コラボレーション・テンプレートを停止します。
  2. リポジトリーをバックアップします。詳しくは、「システム管理ガイド」を参照してください。
  3. コラボレーション・テンプレートをカスタマイズしている場合には、以下の手順を行います。
  4. 新しい VendorPartnerSync コラボレーション・テンプレートをインストールします。
  5. 新しいコラボレーション・テンプレートにカスタマイズを追加します。
  6. 新しいコラボレーション・オブジェクトを作成し、適切なコネクターにバインドします。 詳しくは、『コラボレーション・オブジェクトのセットアップ』を参照してください。
  7. 新しいコラボレーション・オブジェクトを実行してテストします。
  8. テスト中に見つかった問題点に基づいて、コラボレーション・オブジェクトを変更します。 

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