InstalledProductSync コラボレーション・テンプレート

InstalledProductSync コラボレーションは、Service Management または Customer Service と呼ばれる大きなビジネス・プロセスの一部です。 このビジネス・プロセスは、顧客サイトに設置された商品へのアフター・サービスを提供する設置ベースを企業が管理するために使用します。

企業では、InstalledProductSync を使用して設置ベースを表現することで、フロント・オフィス・アプリケーションおよびバック・オフィス・アプリケーションのユーザーがどの製品がどの顧客サイトに設置されているかを把握できるようにします。 IBM では、InstalledProductSync を使用する企業は、フロント・オフィス・アプリケーションおよびバック・オフィス・アプリケーションを次のように使用するものと想定しています。

設置ベースの一部として管理される設置済み製品がバック・オフィス・アプリケーションで作成されると InstalledProductSync がトリガーされ、設置済み製品オブジェクトがフロント・オフィス・アプリケーションに作成されます。 製品に対して記録された例外があればフロント・オフィス・アプリケーションで処理します。 製品に対して記録された例外をバック・オフィス・システムでさらに処理する必要がある場合、フロント・オフィス・アプリケーションは InstalledProductSync を起動して設置済みの製品オブジェクトをバック・オフィス・アプリケーションに作成します。

フロント・オフィス・アプリケーションで設置ベース、例外処理、契約管理およびサービス請求を管理し、バック・オフィス・アプリケーションでは注文配送業務のみ行う企業の場合は、InstalledProductSync のほかに ProductInstallation コラボレーションを使用することをお奨めします。

InstalledProductSync が設置済み製品をソース・アプリケーションから宛先アプリケーションに同期し、ProductInstallation がバック・オフィス・ソース・アプリケーションで起動されたデリバリー・データを使用して設置済み製品をフロント・オフィス宛先アプリケーションに作成します。 これらのコラボレーションの使用方法を次に示します。

InstalledProductSync は 汎用 InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを使用して設置済み製品のデータを同期します。

関連するビジネス・オブジェクトの同期

InstalledProductSync が同期するのは InstalledProduct のみですが、適切なコラボレーションを呼び出して次の関連ビジネス・オブジェクトを検証または同期するよう構成できます。

ビジネス・オブジェクト 関連するコラボレーション・プロパティー 呼び出し先コラボレーション
Contact VERIFY_SYNC_CONTACT FAIL_ON_CONTACT_ERROR

ContactSync

ContactWrapper

Customer

VERIFY_SYNC_CUSTOMERS CustomerSync CustomerWrapper
CustomerPartner VERIFY_SYNC_CUSTOMERPARTNERS CustomerPartnerSync CustomerPartnerWrapper
Item

ItemBasic

ItemOrder

ItemPlanning

VERIFY_SYNC_ITEM

ITEM_TYPE

ItemSync

ItemWrapper

Site

VERIFY_SYNC_SITE

SiteSync

SiteWrapper

注: InstalledProductSync を Contact、Customer、CustomerPartner、Item、または Site・データと同期するよう構成する場合には、InstalledProductSync を構成する前に該当するコラボレーション・オブジェクトを作成およびバインドしてください。 詳しくは、『コラボレーション・オブジェクトのセットアップ』を参照してください。

コネクターのサポート

フィルター操作は InstalledProductSync で実行できるほか、IBM WebSphere Business InterChange Server のコネクターでも特定タイプの InstalledProduct をフィルター操作できます。 コラボレーションでなくソース・コネクターでフィルター操作を実行すると、パフォーマンスが向上します。 注: フィルター操作機能はアプリケーションにより異なります。特定のアプリケーションの機能については、各ビジネス・オブジェクトの参照文書を参照してください。

問題と前提事項

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

この節では、ポート・バインディングについて説明し、InstalledProductSync に基づくコラボレーション・オブジェクトをセットアップするために必要なステップを説明します。コラボレーション・テンプレートの標準の機能、ポート、および構成プロパティーについて、およびコラボレーション・オブジェクト作成に関する一般情報については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』にリストされている文書を参照してください。

ポート情報

図 1 に、System Manager で表示される InstalledProductSync のポートを示します。 各ポートについての情報は、図 1 の後にある表に示します。

図 1. InstalledProductSync コラボレーションのポート

注: コラボレーション・オブジェクトでポートを使用しないようにするには、そのポートをポート・コネクターにバインドしてください。これにより、コラボレーション・オブジェクトが追加機能を提供せずに、そのポートは未使用として示されます。

ポート名: DestinationAppRetrieve
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
InstalledProduct 宛先アプリケーションのコネクター 参照値のビジネス・オブジェクトを送信して、完全な値のビジネス・オブジェクトを検索します。この結果、InstalledProduct を同期するときに使用される動詞が決まります。

Retrieve


ポート名: From
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
InstalledProduct ソース・アプリケーションのコネクター、または呼び出し側コラボレーション トリガー・ビジネス・オブジェクトを受け取ります。コラボレーションが正常に終了した場合、このポートは、同期呼び出しの最後に、トリガー・ビジネス・オブジェクトをソース・アプリケーションに戻します。

Create Retrieve Update Delete


ポート名: SourceAppRetrieve
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
InstalledProduct ソース・アプリケーションのコネクター

参照ビジネス・オブジェクトに含まれる ID を基準に、完全な値の親 InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを検索します。

Retrieve


ポート名: To
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
InstalledProduct

宛先アプリケーションのコネクター

トリガー・ビジネス・オブジェクトまたはいずれかの親ビジネス・オブジェクトをコラボレーションから送信します。

Create Update Delete


ポート名: ToContactWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Contact

ContactWrapper の From ポート (VERIFY_SYNC_CONTACT が「verify」または「sync」の場合)

宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクター (検証または同期以外の場合)

検証または同期のために参照値 Contact ビジネス・オブジェクトを送信します。

Sync Exists


ポート名: ToCustomerWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Customer

CustomerWrapper の From ポート (VERIFY_SYNC_CUSTOMERS が「verify」または「sync」の場合)

宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクター (Customer の検証または同期以外の場合)

検証または同期のために参照値 Customer ビジネス・オブジェクトを送信します。

Sync Exists


ポート名: ToCustomerPartnerWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
CustomerPartner

CustomerPartnerWrapper の From ポート (VERIFY_SYNC_CUSTOMERPARTNERS が「verify」または「sync」の場合)

宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクター (検証または同期以外の場合)

検証または同期のために参照値 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトを送信します。

Sync Exists


ポート名: ToItemWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
任意の汎用 item ビジネス・オブジェクト (Item、ItemBasic、ItemPlanning など)

ItemWrapper の From ポート (VERIFY_SYNC_ITEM = "verify" または "sync" の場合)

宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクター (検証または同期以外の場合)

検証または同期のために参照値 Item ビジネス・オブジェクトを送信します。

Sync Exists


ポート名: ToSiteWrapper
ビジネス・オブジェクト バインド先 機能 使用される動詞
Site

SiteWrapper の From ポート (VERIFY_SYNC_SITE が「verify」または「sync」の場合)

宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクター (検証または同期以外の場合)

検証または同期のために参照値 Site ビジネス・オブジェクトを送信します。

Sync Exists

コラボレーション・オブジェクトのセットアップ

スタンドアロンとしての InstalledProductSync の使用

InstalledProductSync をスタンドアロン・コラボレーション・オブジェクトとしてセットアップするには、次の手順を実行します。

  1. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトを作成します。
  2. 各コラボレーション・オブジェクトの ToBusObjWrapper ポートを宛先アプリケーションのコネクターまたはポート・コネクターにバインドします。例: SendItemRef ポートをポート・コネクターにバインドします。
  3. ポート情報』の説明に従って、残りのポートをバインドします。
  4. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトの VERIFY_SYNC_BusObj 構成プロパティーのデフォルト値 "neither" は変更しません。 例: VERIFY_SYNC_ITEM プロパティーの設定は "neither" のままにします。
  5. InstalledProductSync の残り構成プロパティーを設定します。 

InstalledProductSync のコラボレーション・オブジェクト・グループでの使用

InstalledProductSync プロセスの一部として関連のContact、Customer、CustomerPartner、指定タイプの Item、または Site を検証または同期するには、以下のコラボレーション・オブジェクト・グループのいずれかの組み合わせを作成します。


検証 同期 必要なコラボレーション
Contact   InstalledProductSync、ContactWrapper
  Contact InstalledProductSync、ContactWrapper、ContactSync
Customer   InstalledProductSync、CustomerWrapper
  Customer InstalledProductSync、CustomerWrapper、CustomerSync
CustomerPartner   InstalledProductSync、CustomerPartnerWrapper
  CustomerPartner InstalledProductSync、CustomerPartnerWrapper、CustomerPartnerSync
Item   InstalledProductSync、ItemWrapper
  Item InstalledProductSync、ItemWrapper、ItemSync
Site   InstalledProductSync、SiteWrapper
  Site InstalledProductSync、SiteWrapper、SiteSync

以下の手順は、InstalledProductSync をコラボレーション・オブジェクト・グループの一部としてセットアップするための手順です。 例として、以下の手順では、InstalledProduct とその参照 Item と Site のみを同期するものとします。

  1. InstalledProductSync および必要な各ラッパーおよび同期コラボレーションについて、テンプレートからコラボレーション・オブジェクトを作成します。 この例では、InstalledProductSync、ItemWrapper、ItemSync、SiteWrapper、および SiteSync の各コラボレーション・オブジェクトを作成します。
  2. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトを編集し、ToBusObjWrapper ポートを適切な Wrapper コラボレーション・オブジェクトまたはポート・コネクターにバインドします。 この例では、ToItemWrapper および ToSiteWrapper ポートを ItemWrapper および SiteWrapper コラボレーションの From ポートにそれぞれバインドします。 該当する宛先の『ポート情報』節を参照してください。
  3. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトの残りのポートをこの文書の『ポート情報』節の説明にしたがってバインドします。
  4. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトの VERIFY_SYNC_BusObj プロパティーを設定します。 この例では、以下のプロパティーに次の推奨値を設定または保持します。
  5. InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトの ITEM_TYPE を希望する Item タイプに設定し、FAIL_ON_CONTACT_ERROR プロパティーを希望する値に設定します。
  6. ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトを構成して、To ポートを ItemSync の From ポートにバインドします。
  7. ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトの残りのポートをバインドします。詳しくは、Wrapper コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。注: ItemWrapper コラボレーション・オブジェクトの From ポートは、System Manager によってすでに InstalledProductSync の To ポートへバインドされていることがあります。
  8. ItemSync コラボレーション・オブジェクトを編集して、そのポートをバインドします。詳しくは、ItemSync コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。
  9. SiteWrapper コラボレーション・オブジェクトを編集し、To ポートを SiteSync の From ポートにバインドします。
  10. SiteWrapper コラボレーション・オブジェクトの残りのポートをバインドします。 詳しくは、Wrapper コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。
  11. SiteSync コラボレーション・オブジェクトを編集し、ポートをバインドします。 詳しくは、SiteSync コラボレーションの参照ページの『ポート情報』を参照してください。
  12. 各コラボレーションの構成プロパティーを設定します。詳しくは、以下を参照してください。

Contact、Customer、または CustomerPartnersを同期する場合には、関連するコラボレーションを上記の手順と同様に構成します。

コラボレーション・テンプレートのプロセス

この節では、このコラボレーション・テンプレートのプロセス・ロジックについて説明します。

プロセス・ロジックの概要

プロセス・ロジックには、以下のサブプロセスが含まれます。

VERIFY_SYNC_PARENT プロパティーの値によって、このコラボレーションは、トリガー・ビジネス・オブジェクトの親ビジネス・オブジェクトを無視する、トリガー・ビジネス・オブジェクトの親ビジネス・オブジェクトを検証する、またはトリガー・ビジネス・オブジェクトの祖先を同期する、のいずれかを行います。祖先とは、親ビジネス・オブジェクトまたは親の親です。

例えば、自動車を生産している企業で、コンポーネントを製品階層内の独立した設置済み製品として管理していると仮定します。 この場合、フュエル・インジェクターを設置済み製品として、フュエル・インジェクターの親 (エンジン) を設置済み製品として、そしてエンジンの親 (自動車) を設置済み製品として処理します。

祖先 InstalledProduct を同期するよう構成すると、InstalledProductSync はトリガーとなる InstalledProduct の親と各親の親を再起的に検索します。 すべての親が見つかると、InstalledProductSync は最上位の親を同期してから子を同期します。 トリガー・ビジネス・オブジェクトはコラボレーションによって最後に同期されるビジネス・オブジェクトです。 詳細については、『親ビジネス・オブジェクトの同期』を参照してください。図 2 は、メイン・ビジネス・プロセスを示します。図 3 は、親 InstalledProduct ビジネス・プロセスを同期するプロセス(VERIFY_SYNC_PARENT が sync) を示します。詳細については、『親ビジネス・オブジェクトの検証または同期』を参照してください。

VERIFY_SYNC_BusObj プロパティー (VERIFY_SYNC_ITEM および VERIFY_SYNC_CONTACT) の値にしたがって、InstalledProductSync は Wrapper コラボレーションを呼び出して、InstalledProduct ビジネス・オブジェクトによって参照されるビジネス・オブジェクトを作成するか、その存在を検証します。これらの関連オブジェクトの検証または同期の詳細については、『親ビジネス・オブジェクトの検証または同期』を参照してください。

図 2 は、InstalledProductSync のプロセス・ロジックを示します。

図 2. InstalledProductSync コラボレーションのプロセス・ロジック

継承されたプロセス・ロジック

このコラボレーション・テンプレートでは、以下の標準コラボレーション・ビジネス・プロセスが使用されます。

これらのビジネス・プロセスについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

親ビジネス・オブジェクトの検証または同期

VERIFY_SYNC_PARENT が「verify」または「sync」の場合、InstalledProductSync は以下の手順を実行します。

  1. トリガー・ビジネス・オブジェクトをスタックします。
  2. フィルター処理を行って、トリガー・ビジネス・オブジェクトを送信します。 このビジネス・オブジェクトがフィルター操作を通過すると、InstalledProductSync は InstalledProduct の ParentId 属性の値をチェックします。

図 3 は、InstalledProductSync による親 InstalledProduct の同期プロセスを示します。

図 3. 親 InstalledProduct の同期プロセス

Item、Contact、Customer、CustomerPartner、および Site の検証または同期

参照されている Item を検証または同期するため、InstalledProductSync はまず汎用 Item ビジネス・オブジェクトのタイプを決定する必要があります。 このために、ITEM_TYPE プロパティーを評価します。

注: コラボレーションが ItemBasic、ItemOrder、および ItemPlanning を正常に処理するには、インストールのリポジトリーに Utility ビジネス・オブジェクトが含まれている必要があります。このビジネス・オブジェクトはコラボレーション・コード内で参照され、これによって一時的イテレーター変数がインスタンス化されます。このオブジェクトがリポジトリーに存在しない場合、コラボレーションは失敗します。

参照されている Customer およびCustomerPartner を検証または同期するため、InstalledProductSync はまず、これらのビジネス・オブジェクトのどちらを各 InstalledProduct ビジネス・オブジェクトが参照しているかを判別する必要があります。 VERIFY_SYNC_CUSTOMERS および VERIFY_SYNC_CUSTOMERPARTNERS プロパティーが「verify」または「sync」の場合、InstalledProductSync は、InstalledProduct の RelatedCustomerRef 子ビジネス・オブジェクトの ObjectType 属性の値をチェックします。値が「Customer」の場合、InstalledProductSync は Customer ビジネス・オブジェクトを CustomerWrapper へ送信します。 値が「CustomerPartner」の場合、InstalledProductSync は CustomerPartnerビジネス・オブジェクトを CustomerPartnerWrapper へ送信します。

参照されている Contact の同期に失敗した場合には、InstalledProductSync は FAIL_ON_CONTACT_ERROR プロパティーを評価します。このプロパティーが「false」に設定されている場合、失敗した Contact を InstalledProduct の ContactRef 子ビジネス・オブジェクトから削除し、処理を続行します。 このプロパティーが「true」に設定されている場合、コラボレーションが例外を発行し、停止します。

図 4 は、参照されている Item、Contact、Customer、CustomerPartner、および Site の検証および同期に関する InstalledProductSync のプロセスを示します。

図 4. Item、Contact、Customer、CustomerPartner、および Site の検証または同期

差し戻し処理

InterChange Server は、トランザクション・コラボレーションのいずれかのステップで失敗が発生した場合、トランザクションをロールバックできます。例えば、InstalledProductSync がトランザクションのコラボレーションに参加するコラボレーション・オブジェクト・グループのメンバーである場合、InstalledProductSync のアクションは、より大きなトランザクションの 1 つのサブトランザクション・ステップとなります。 コラボレーション・オブジェクト・グループのビジネス・プロセスでいずれかのステップが失敗すると、トランザクション・コラボレーションは InterChange Server がグループ内のコラボレーションの処理をどのようにロールバックすればよいか明示します。

InstalledProductSync コラボレーション・オブジェクトをほかのコラボレーション・オブジェクトと無関係に使用する場合、または From ポートを別のコラボレーションではなくソース・アプリケーションにバインドする場合、そのプロセスを構成するトランザクション・ステップは 1 つのみになります。このような場合には、ロールバックを実行する必要はありません。

1 つのコラボレーション・オブジェクト、またはコラボレーション・オブジェクト・グループにロールバックを実行させるには、コラボレーション・テンプレートを変更する必要があります。WebSphere Business Integration システムにおけるトランザクション処理を理解するためには、「テクニカル入門 (IBM WebSphere InterChange Server)」を参照してください。コラボレーション・テンプレートへのトランザクション処理の追加については、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

トランザクション処理を実行できるようにコラボレーション・オブジェクトを拡張するには、以下の手順を完了します。

  1. この機能を、そのコラボレーション・テンプレートと、コラボレーション・オブジェクト・グループ内の他のすべてのコラボレーション・テンプレートに追加します。
  2. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループのすべてのメンバーの最小トランザクション・レベルを、None より大きい値に設定します。「最小限の努力」以上に設定した場合、いずれかのサブトランザクション・ステップで失敗が発生すると、このコラボレーション・オブジェクトおよびグループ内のほかのコラボレーション・オブジェクトは、すべてのビジネス・オブジェクトに対して実行された Create、Update、および Delete 操作に対して差し戻しを実行します。
  3. コラボレーション・オブジェクト、およびコラボレーション・オブジェクト・グループの他のすべてのメンバーの USE_RETRIEVE プロパティーを「true」に設定します。コラボレーション・オブジェクトに対して、値を変更する前に検索するように強制すると、コラボレーション・オブジェクトは Update または Delete プロセスの際に元の値を復元できるようになります。

構成プロパティー

この節では、このコラボレーション・テンプレートの標準プロパティーおよび固有のプロパティーについて説明します。

標準プロパティー

このコラボレーション・テンプレートでは、以下のコラボレーション・テンプレートの標準構成プロパティーを使用します。

これらの構成プロパティーについては、『Required Documents for Creating Collaboration Objects』を参照してください。

このコラボレーション・テンプレート固有のプロパティー

このコラボレーション・テンプレートには、標準構成プロパティーに加えて、以下に示す構成プロパティーがあります。

このコラボレーション・テンプレート固有の構成プロパティー

プロパティー名とその説明 可能な値 デフォルト値

FAIL_ON_CONTACT_ERROR

「true」に設定すると、VERIFY_SYNC_CONTACT が true で、ContactWrapper がいずれかの参照 Contact の検証または同期に失敗した場合、InstalledProductSync は処理を停止します。

「false」に設定すると、VERIFY_SYNC_CONTACT が true で、ContactWrapper がいずれかの参照 Contact の検証または同期に失敗した場合、InstalledProductSync は処理を続行します。 この場合、InstalledProductSync は、失敗した Contact を InstalledProduct の ContactRef 子ビジネス・オブジェクトの配列から削除します。

true、false true

ITEM_TYPE

コラボレーションが InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期する前に同期または検証する必要がある、汎用 Item のタイプを設定します。その VERIFY_SYNC_ITEM プロパティーが「sync」または「verify」と評価される場合、InstalledProductSync はこのプロパティーの値を使用して、同期または検証する品目のタイプを判別します。

Item、ItemBasic、ItemOrder、または ItemPlanning Item

VERIFY_SYNC_CONTACT

「sync」に設定すると、InstalledProductSync が宛先アプリケーション内の関連する Contact を同期します。InstalledProductSync は、ContactId を各 InstalledProduct の ContactRef 子ビジネス・オブジェクトからコピーし、参照されている Contactごとに汎用 Contact ビジネス・オブジェクトを作成します。 InstalledProductSync は、各 Contact ビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに ContactWrapper に送信します。次に、ContactWrapper はすべての属性の値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞とともに ContactSync に送信します。ContactSync が、関連の Contact の作成に失敗した場合、InstalledProductSync の動作は、FAIL_ON_CONTACT_ERROR プロパティーの値によって異なります。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync によって宛先アプリケーションの関連する Contact が検証されます。 InstalledProductSync は、ContactId を各 InstalledProduct の ContactRef 子ビジネス・オブジェクトからコピーし、参照されている Contactごとに汎用 Contact ビジネス・オブジェクトを作成します。 InstalledProductSync は、各 Contact ビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに ContactWrapper に送信します。次に、ContactWrapper は宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。ContactWrapper が関連の Contact の検索に失敗した場合、InstalledProductSync の動作は、FAIL_ON_CONTACT_ERROR プロパティーの値によって異なります。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に関連の Contract を同期または検証せずにトリガーとなる InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期します。

neither、verify、sync neither

VERIFY_SYNC_CUSTOMERS

「sync」を設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーション内の関連する Customer を同期します。InstalledProductSync は、以下の手順を実行します。

  1. InstalledProduct の子ビジネス・オブジェクト RelatedCustomerRefの ObjectType 属性の値をチェックします。 値が「Customer」である場合、InstalledProductSync は汎用 Customer ビジネス・オブジェクトを作成します。
  2. CustomerId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、新たに作成する汎用 Customer ビジネス・オブジェクトの固有の ID として使用します。
  3. ビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに CustomerWrapper に送信します。次に、Wrapper コラボレーションはすべての属性に対する値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを動詞 Create とともに CustomerSync に送信します。
  4. 同期コラボレーションが Customer を作成できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーションの関連 Customer を検証します。 InstalledProductSync は、以下の手順を実行します。

  1. InstalledProduct の子ビジネス・オブジェクト RelatedCustomerRefの ObjectType 属性の値をチェックします。 値が「Customer」である場合、InstalledProductSync は汎用 Customer ビジネス・オブジェクトを作成します。
  2. CustomerId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、新たに作成する汎用 Customer ビジネス・オブジェクトの固有の ID として使用します。
  3. ビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに CustomerWrapper に送信します。次に、Wrapper コラボレーションが宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。
  4. Wrapper コラボレーションが Customer を検索できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に宛先アプリケーションの関連 Customer を同期または検証せずに、InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを作成します。

neither、verify、sync neither

VERIFY_SYNC_CUSTOMERPARTNERS

「sync」に設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーション内の関連する CustomerPartner を同期します。InstalledProductSync は、以下の手順を実行します。

  1. InstalledProduct の子ビジネス・オブジェクト RelatedCustomerRefの ObjectType 属性の値をチェックします。 値が「CustomerPartner」である場合、InstalledProductSync は汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトを作成します。
  2. CustomerId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、新たに作成する汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトの固有の ID として使用します。
  3. ビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに CustomerPartnerWrapper に送信します。 次に、Wrapper コラボレーションはすべての属性に対する値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを動詞 Create とともに CustomerPartnerSync に送信します。
  4. 同期コラボレーションが CustomerPartner を作成できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーションの関連 CustomerPartner を検証します。 InstalledProductSync は、以下の手順を実行します。

  1. InstalledProduct の子ビジネス・オブジェクト RelatedCustomerRefの ObjectType 属性の値をチェックします。 値が「CustomerPartner」である場合、InstalledProductSync は汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトを作成します。
  2. CustomerId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、新たに作成する汎用 CustomerPartner ビジネス・オブジェクトの固有の ID として使用します。
  3. ビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに CustomerPartnerWrapper に送信します。次に、Wrapper コラボレーションが宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。
  4. Wrapper コラボレーションが CustomerPartner を検索できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に宛先アプリケーションの関連 CustomerPartner を同期または検証せずに、InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを作成します。

neither、verify、sync neither

VERIFY_SYNC_ITEM

「sync」に設定すると、InstalledProductSync が宛先アプリケーション内の関連する Item を同期します。InstalledProductSync は ItemId (および、Plant 属性などその他必要な属性値) を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、ITEM_TYPE プロパティーで指定したタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。InstalledProductSync は、そのビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに ItemWrapper に送信します。次に、ItemWrapper はすべての属性の値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞とともに ItemSync に送信します。ItemSync が関連の Item を作成できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync は宛先アプリケーションの関連 Item を検証します。 InstalledProductSync は InstalledProduct ビジネス・オブジェクトから ItemId をコピーし、ITEM_TYPE プロパティーに指定されたタイプの汎用ビジネス・オブジェクトを作成します。InstalledProductSync は、そのビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに ItemWrapper に送信します。次に、ItemWrapper は宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。ItemWrapper が関連の Item を検索できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に宛先アプリケーションの関連の Item を同期したり、既存の関連 Item を検証したりせずにトリガーとなる InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期します。

neither、verify、sync neither

VERIFY_SYNC_PARENT

「sync」を設定すると、InstalledProductSync は、トリガーとなる InstalledProduct の親と各親の親を再起的に見つけます。すべての親ビジネス・オブジェクトが見つかると、InstalledProductSync は最上位の親を同期してから子を同期します。 トリガー・ビジネス・オブジェクトはコラボレーションによって最後に同期されるビジネス・オブジェクトです。 詳細については、『親ビジネス・オブジェクトの同期』を参照してください。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーションでトリガー InstalledProduct の親ビジネス・オブジェクトを作成または存在を検証します。 コラボレーションがこの検証を実行するのは、トリガーとなる InstalledProduct の ParentId 属性に親ビジネス・オブジェクトへの参照が含まれている場合のみです。

  • 親が宛先に存在する場合、InstalledProductSync は、トリガー・ビジネス・オブジェクトの同期を続行します。
  • 親が存在しない場合、InstalledProductSync は例外を発行して停止します。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に親 InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期または検証せずにトリガーとなる InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期します。 neither、verify、sync、neither

neither、verify、sync neither

VERIFY_SYNC_SITE

「sync」に設定すると、InstalledProductSync が宛先アプリケーション内の関連する Sites を同期します。InstalledProductSync は、SiteId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、汎用 Site ビジネス・オブジェクトを作成します。 InstalledProductSync は、そのビジネス・オブジェクトを Sync 動詞とともに SiteWrapper に送信します。次に、SiteWrapper はすべての属性の値をソース・アプリケーションから検索し、ビジネス・オブジェクトを Create 動詞とともに SiteSync に送信します。SiteSync が関連の Site を作成できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「verify」を設定すると、InstalledProductSync は、宛先アプリケーションの関連 Site を検証します。 InstalledProductSync は、SiteId を InstalledProduct ビジネス・オブジェクトからコピーし、汎用 Site ビジネス・オブジェクトを作成します。 InstalledProductSync は、そのビジネス・オブジェクトを Exists 動詞とともに SiteWrapper に送信します。これを受けて、SiteWrapper が宛先アプリケーションからビジネス・オブジェクトを検索します。 SiteWrapper が関連の Site を検索できなかった場合には、InstalledProductSync は INFORMATIONAL_EXCEPTIONS プロパティーにしたがってエラーを処理します。

「neither」を設定すると、InstalledProductSync は最初に関連の Site を同期または検証せずにトリガーとなる InstalledProduct ビジネス・オブジェクトを同期します。

   

コラボレーション・メッセージ

このコラボレーション・テンプレートのメッセージの説明を表示するには、Log Viewer を起動し、コラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開いてください。Log Viewer を起動してコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを開くには、以下の手順に従います。

  1. 「スタート」メニューで、「プログラム」>「IBM WebSphere InterChange Server」>「IBM WebSphere Business Integration Toolset」>「Administrative」>「Log Viewer」の順にクリックします。
  2. 「ファイル」メニューで、「開く」をクリックします。
  3. 「Look In」フィールドを使用して、現在のフォルダーを WebSphere_ICS_root_dir \collaborations \messages に変更し、このコラボレーション・テンプレートのメッセージ・ファイルを選択します。

アップグレード情報

アップグレード処理

このコラボレーション・テンプレートのより新しいバージョンにアップグレードするには、以下の手順を行います。

  1. 現在の InstalledProductSync コラボレーションを停止します。
  2. リポジトリーをバックアップします。詳しくは、「システム管理ガイド」を参照してください。
  3. コラボレーション・テンプレートをカスタマイズしている場合には、以下の手順を行います。
  4. 新規の InstalledProductSync コラボレーション・テンプレートをインストールします。
  5. 新しいコラボレーション・テンプレートにカスタマイズを追加します。
  6. 新しいコラボレーション・オブジェクトを作成し、適切なコネクターにバインドします。 詳しくは、『コラボレーション・オブジェクトのセットアップ』を参照してください。
  7. 新しいコラボレーション・オブジェクトを実行してテストします。
  8. テスト中に見つかった問題点に基づいて、コラボレーション・オブジェクトを変更します。 

Copyright IBM Corp. 1997, 2003