WebSphere eXtreme Scale の動的キャッシュ・プロバイダーの構成

eXtreme Scale の動的キャッシュ・プロバイダーのインストールと構成は、要件と、セットアップした環境によって異なります。

始める前に

  • 動的キャッシュ・プロバイダーを使用するには、WebSphere® Application Server ノードの各デプロイメント (デプロイメント・マネージャー・ノードを含む) 上に WebSphere eXtreme Scale をインストールしておく必要があります。 詳しくは、WebSphere Application Server での WebSphere eXtreme Scale または WebSphere eXtreme Scale クライアントのインストール を参照してください。
  • カタログ・サービス・ドメイン内のカタログ・サーバーの Secure Sockets Layer (SSL) が使用可能な場合、または SSL がサポートされるカタログ・サービス・ドメインで SSL を使用する必要がある場合は、WebSphere Application Server 管理コンソールで グローバル・セキュリティーを有効にする必要があります。サーバー・プロパティー・ファイルで、transportType 属性を SSL-Required に設定して、 カタログ・サーバーに SSL を要求します。グローバル・セキュリティーの構成に関して詳しくは、グローバル・セキュリティーの設定を参照してください。

このタスクについて

IBM® WebSphere Commerce での eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーの使用については、 IBM WebSphere Commerce 資料の以下のトピックを参照してください。

定義したオブジェクト・キャッシュまたはサーブレット・キャッシュ・インスタンスにキャッシュを特別に送信しない場合には、 動的キャッシュ API 呼び出しは、恐らく baseCache によって処理されます。 eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを JSP、Web サービス、あるいは、コマンド・キャッシングのために使用する場合、 eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを使用するように baseCache インスタンスを設定する必要があります。 baseCache インスタンスの構成には同じ構成プロパティーが使用されます。 これらの構成プロパティーは、Java 仮想マシン (JVM) のカスタム・プロパティーとして 設定する必要があるので注意してください。 この注意は、サーブレット・キャッシングを除き、このセクションで説明するすべてのキャッシュ構成プロパティーに該当します。 サーブレット・キャッシングに動的キャッシュ・プロバイダーを使用して eXtreme Scale を使用する場合には、必ず、カスタム・プロパティーではなくシステム・プロパティーで使用可能化を構成してください。

手順

  1. eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを使用可能にします。
    • WebSphere Application Server バージョン 7.0 以降:

      管理コンソールで、eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを 使用するよう動的キャッシュ・サービスを構成できます。eXtreme Scale をインストールすると、 eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーが、管理コンソールの「キャッシュ・プロバイダー」オプションとして即時に使用可能になります。 詳しくは、 WebSphere Application Server バージョン 7.0 インフォメーション・センター: キャッシュ・サービス・プロバイダーの選択を参照してください。

    • WebSphere Application Server バージョン 6.1:
      カスタム・プロパティーを使用して、eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを 使用するよう動的キャッシュ・サービスを構成します。これらのカスタム・プロパティーは、WebSphere Application Server バージョン 7.0 以降でも使用できます。キャッシュ・インスタンスにカスタム・プロパティーを作成するには、「リソース」 > 「キャッシュ・インスタンス」 > 「cache_instance_type」 > 「cache_instance_name」 > 「カスタム・プロパティー」 > 「新規」をクリックします。ベース・キャッシュ・インスタンスを使用する場合は、JVM にカスタム・プロパティーを作成してください。
      com.ibm.ws.cache.CacheConfig.cacheProviderName
      eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーを使用するには、値を com.ibm.ws.objectgrid.dynacache.CacheProviderImpl に設定します。このカスタム・プロパティーは、動的キャッシュ・インスタンスまたは ベース・キャッシュ・インスタンスに対して作成できます。このカスタム・プロパティーをベース・キャッシュ・インスタンスに設定するよう選択すると、サーバー上の その他すべてのキャッシュ・インスタンスが、デフォルトで eXtreme Scale プロバイダーを 使用するようになります。baseCache に設定されるすべての eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダー構成プロパティーは、eXtreme Scale でサポートされるすべてのキャッシュ・インスタンスのデフォルトの構成プロパティーになります。 ベース・キャッシュ・インスタンスをオーバーライドして、特定の動的キャッシュ・インスタンスでは デフォルトの動的キャッシュ・プロバイダーを使用するようにするには、その動的キャッシュ・インスタンスに com.ibm.ws.cache.CacheConfig.cacheProviderName カスタム・プロパティーを作成し、値を default に設定してください。
  2. オプション: 複製キャッシュ・インスタンスを使用する場合、キャッシュのレプリカ生成設定を構成します。

    eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーでは、ローカル・キャッシュ・インスタンスまたは 複製キャッシュ・インスタンスを使用できます。ローカル・キャッシュ・インスタンスのみを使用する場合、このステップはスキップできます。

    次のいずれかの方式を使用して、複製キャッシュを構成します。

    • 管理コンソールでキャッシュ・レプリカ生成を有効にする。 WebSphere Application Server バージョン 7.0 では、いつでもキャッシュ・レプリカ生成を有効にできます。WebSphere Application Server バージョン 6.1 では、DRS レプリカ生成ドメインを 作成する必要があります。
    • com.ibm.ws.cache.CacheConfig.enableCacheReplication カスタム・プロパティーを使用してキャッシュ・レプリカ生成を 有効にして、DRS レプリカ生成ドメインが割り当てられていない場合でも、それが複製されたキャッシュであることを 報告するようキャッシュに強制する。このカスタム・プロパティーの値を true に設定します。 このカスタム・プロパティーは、オブジェクト・キャッシュまたはサーブレット・キャッシュを使用する場合は キャッシュ・インスタンスに設定し、baseCache インスタンスを使用する場合は JVM に設定してください。
  3. オプション: eXtreme Scale を JSP フラグメント・キャッシュとして 使用する場合、com.ibm.ws.cache.CacheConfig.disableTemplateInvalidation カスタム・プロパティーを true に設定して、JSP 再ロード時のテンプレート・ベースの無効化を使用不可に設定します。
  4. 動的キャッシュ・サービスのトポロジーを構成します。

    eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーで唯一必須の構成パラメーターが、キャッシュ・トポロジーです。 このカスタム・プロパティーは、キャッシュ・インスタンスに設定するか、baseCache インスタンスを 使用する場合は動的キャッシュ・サービスに設定してください。カスタム・プロパティーの名前を com.ibm.websphere.xs.dynacache.topology と入力します。

    このプロパティーに許可される 3 つの値は次のとおりです。許可される値のいずれかを使用する必要があります。
    • embedded
    • embedded_partitioned
    • remote

    組み込みトポロジーまたは組み込み区画化トポロジーを使用する場合は、com.ibm.ws.cache.CacheConfig.ignoreValueInInvalidationEvent カスタム・プロパティーを true に設定して、シリアライゼーションのコストをいくらかでも節約することを お勧めします。このカスタム・プロパティーは、キャッシュ・インスタンスに設定するか、baseCache インスタンスを 使用する場合は JVM に設定してください。

  5. オプション: 組み込み区画化トポロジーを使用する場合、動的キャッシュ・サービスの初期コンテナー数を構成します。

    初期コンテナーの数を構成することで、組み込み区画化トポロジーを使用するキャッシュのパフォーマンスを最大化することができます。 WebSphere Application Server Java 仮想マシンで、変数を システム・プロパティーとして設定します。

    プロパティーの名前を com.ibm.websphere.xs.dynacache.num_initial_containers と入力します。

    この構成プロパティーの推奨値は、この分散キャッシュ・インスタンスに アクセスする WebSphere Application Server インスタンスの総数に等しい、または それよりわずかに少ない整数です。例えば、データ・グリッド・メンバー間で動的キャッシュ・サービスが共有される場合、 この値にはデータ・グリッド・メンバーの数を設定します。

    組み込みトポロジーまたは組み込み区画化トポロジーの場合は、WebSphere Application Server のバージョン 7.0 を使用する必要があります。 JVM プロセスで以下のカスタム・プロパティーを設定して、初期コンテナーをすぐに使用できるようにします。

    com.ibm.ws.cache.CacheConfig.createCacheAtServerStartup=true

  6. eXtreme Scale カタログ・サービス・グリッドを構成します。

    分散キャッシュ・インスタンスの動的キャッシュ・プロバイダーとして eXtreme Scale を使用している場合、eXtreme Scale カタログ・サービス・ドメインを構成する必要があります。

    単一のカタログ・サービス・ドメインで、eXtreme Scale でサポートされる複数の動的キャッシュ・サービス・プロバイダーに対応することができます。

    カタログ・サービスは、 WebSphere Application Server プロセスの内部または外部で実行されます。eXtreme Scale バージョン 7.1 から、管理コンソールを使用してカタログ・サービス・ドメインを構成すると、 動的キャッシュでその設定が使用されます。追加の手順を実行してカタログ・サービスをセットアップする必要はありません。 詳しくは、WebSphere Application Server でのカタログ・サービス・ドメインの作成を参照してください。

  7. カスタム・キー・オブジェクトを構成します。

    キーとしてカスタム・オブジェクトを使用している場合、オブジェクトは Serializable インターフェースまたは Externalizable インターフェースを実装している必要があります。 組み込みトポロジーあるいは組み込み区画化トポロジーを使用している場合、まるでデフォルトの動的キャッシュ・プロバイダーで使用しているかのようにオブジェクトを WebSphere 共有ライブラリー・パスに配置する必要があります。 詳細は、WebSphere Application Server Network Deployment インフォメーション・センターの 動的キャッシュ用の DistributedMap および DistributedObjectCache インターフェースの使用を参照してください。

    リモート・トポロジーを使用している場合は、カスタム・キー・オブジェクトをスタンドアロン eXtreme Scale コンテナーの CLASSPATH に配置する必要があります。 詳しくは、コンテナー・サーバーの始動を参照してください。

  8. オプション: リモート・トポロジーを使用する場合、eXtreme Scale コンテナー・サーバーを 構成します。
    • 組み込みトポロジーまたは組み込み区画化トポロジー:

      キャッシュ・データは、WebSphere eXtreme Scale コンテナー・サーバーに保管されます。コンテナー・サーバーは、 WebSphere Application Server プロセスの内部または外部で実行できます。 キャッシュ・インスタンスに組み込みトポロジーまたは組み込み区画化トポロジーを使用している場合、eXtreme Scale プロバイダーは、WebSphere プロセスの内部に自動的にコンテナーを作成します。 これらのトポロジーの場合、それ以上の構成は必要ありません。

    • リモート・トポロジー:

      リモート・トポロジーを使用する場合、キャッシュ・インスタンスに アクセスする WebSphere Application Server インスタンスを開始する 前に、スタンドアロン eXtreme Scale コンテナー・サーバーを開始しておく必要があります。スタンドアロン・コンテナー・サーバーの 開始については、コンテナー・サーバーの始動を参照してください。特定の動的キャッシュ・サービスのすべてのコンテナー・サーバーが、同じカタログ・サービス・エンドポイントを指していることを確認してください。

      スタンドアロン eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダー・コンテナーの XML 構成ファイルは、was_root/optionalLibraries/ObjectGrid/dynacache/etc ディレクトリー (WebSphere Application Server 上のインストールの場合)、または wxs_install_root/ObjectGrid/dynacache/etc ディレクトリー (スタンドアロン・インストールの場合) にあります。 このファイルの名前は、dynacache-remote-objectgrid.xml および dynacache-remote-definition.xml です。 これらのファイルのコピーを作成して編集し、eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーの スタンドアロン・コンテナーを開始するときに使用してください。 dynacache-remote-deployment.xml ファイルの numInitialContainers パラメーターは、実行中の コンテナー・プロセスの数に一致しなければなりません。なお、dynacache-remote-objectgrid.xml ファイルの numberOfPartitions 属性のデフォルト値は 47 です。

      注: 一連のコンテナー・サーバー・プロセスには、 リモート・トポロジーを使用するよう構成されたすべての動的キャッシュ・インスタンスを 処理するために十分な空きメモリーが必要です。 catalog.services.cluster カスタム・プロパティーの値が同じ、または同等の値を共有する WebSphere Application Server プロセスはすべて、同じスタンドアロン・コンテナーのセットを使用しなければなりません。コンテナーの数とそれらのコンテナーが常駐するサーバーの数は、適切に見積もる必要があります。詳細情報については、動的キャッシュのキャパシティー・プランニングを参照してください。

      eXtreme Scale 動的キャッシュ・プロバイダーのスタンドアロン・コンテナーを開始するコマンド行エントリーを次に示します。

      [Unix]
      startOgServer.sh container1 -objectGridFile 
      ../dynacache/etc/dynacache-remote-objectgrid.xml -deploymentPolicyFile 
      ../dynacache/etc/dynacache-remote-deployment.xml -catalogServiceEndPoints 
      MyServer1.company.com:2809
  9. 分散トポロジーまたは組み込みトポロジーでは、サイジング・エージェントを使用可能にして、メモリー消費量の推定精度を向上させます。

    サイジング・エージェントは、メモリー消費量を推定します (usedBytes 統計)。 このエージェントでは、Java 5 以上の JVM が必要です。

    以下の引数を JVM コマンド行に追加することで、エージェントをロードします。
    -javaagent:WXS lib directory/wxssizeagent.jar

    組み込みトポロジーでは、 WebSphere Application Server プロセスのコマンド行に引数を追加します。

    分散トポロジーでは、eXtreme Scale プロセス (コンテナー) および WebSphere Application Server プロセスのコマンド行に引数を追加します。