WebSphere® eXtreme Scale は、 柔軟性があってスケーラブルな、メモリー内データ・グリッドです。これは、複数のサーバーにまたがって、アプリケーション・データおよびビジネス・ロジックを 動的にキャッシュに入れ、区画化し、複製し、管理します。
WebSphere eXtreme Scale はメモリー内データベースではないため、固有の構成要件を考慮する必要があります。データ・グリッドをデプロイするための最初のステップは、 コア・グループおよびカタログ・サービスを開始することです。これらは、データ・グリッドに参加している他のすべての Java 仮想マシンの調整役を果たし、構成情報を 管理します。WebSphere eXtreme Scale プロセスは、コマンド行からの単純なコマンド・スクリプト 呼び出しで開始されます。
次の ステップは、データ・グリッドがデータを保管および取得するための WebSphere eXtreme Scale サーバー・プロセス を開始することです。開始されたサーバーは、 自動的にコア・グループおよびカタログ・サービスに登録され、 連携してデータ・グリッド・サービスを提供できるようになります。サーバーが多いほど、データ・グリッドの容量も信頼性も高まります。
ローカル・データ・グリッド は、単一の、単一インスタンスのグリッドであり、1 つのグリッド内に すべてのデータがあります。WebSphere eXtreme Scale をメモリー内データベース処理スペースとして効果的に使用するように、分散データ・グリッドを構成し、デプロイすることができます。分散グリッドのデータは、これを含む各種 eXtreme Scale サーバーに分散されます。つまり、データは、各サーバーが区画と呼ばれるデータの一部のみを含むように分散されます。
分散データ・グリッド構成パラメーターのうち最も重要なパラメーターが、 グリッド内の区画の数です。グリッド・データは、この数のサブセットに分割されます (それぞれのサブセットを区画 と呼びます)。 カタログ・サービスは、データの区画を、区画のキーに 基づいて配置します。区画数は、データ・グリッドの容量とスケーラビリティーに 直接影響します。1 つのサーバーが 1 つ以上のデータ・グリッド区画を 含むことができます。したがって、区画のサイズはサーバーのメモリー・スペースによって制限されます。逆に、区画の数を増やすと、データ・グリッドの容量は 増加します。データ・グリッドの最大容量は、区画数に、各サーバーで使用可能なメモリー・サイズを掛けたものです。サーバーは JVM でもかまいませんが、デプロイメント環境に合わせて eXtreme Scale サーバーを定義できます。
1 つの区画のデータは、1 つの断片に保管されます。可用性のため、レプリカ (同期または非同期のどちらでも可) を持つようにデータ・グリッドを構成できます。 グリッド・データに対する変更は、プライマリー断片に対して行われ、レプリカ断片に 複製されます。したがって、データ・グリッドで使用される/必要とされるメモリー合計は、 データ・グリッドのサイズに (1 (プライマリー) + レプリカ の数) を掛けたものになります。
WebSphere eXtreme Scale は、データ・グリッドの断片を、そのデータ・グリッドを構成している多数のサーバー間で分配します。これらの サーバーは、同じ物理サーバー上にある場合も、異なる物理サーバー上にある場合もあります。可用性の ため、レプリカ断片はプライマリー断片とは別の物理サーバーに 置かれます。
WebSphere eXtreme Scale は、サーバーの状態を モニターし、断片または物理サーバーの障害および復旧時に断片を移動します。 例えば、レプリカ断片を含んでいるサーバーに障害が起こった場合、WebSphere eXtreme Scale は新しい レプリカ断片を割り振り、その新規レプリカにプライマリーからデータを複製します。 プライマリー断片を含んでいるサーバーに障害が起こった場合は、レプリカ断片がプロモートされてプライマリー断片に なり、新しいレプリカ断片が作成されます。データ・グリッド用に追加サーバーを開始 した場合、すべてのサーバー間で断片のバランスが取られます。この再度バランスを取ることを「スケールアウト」と呼びます。同様に、 サーバーの 1 つを停止して、データ・グリッドが使用するリソースを 削減する場合があり、それを「スケールイン」と呼びます。この結果として、残りのサーバー間で断片のバランスが取られます。