スタンドアロン・モードでのポートの構成

eXtreme Scale デプロイメント内のサーバーおよびクライアントに 必要なポートは、コマンド行パラメーターまたはプロパティー・ファイルを使用して構成するか、 プログラムで構成できます。以降のセクションに記載するほとんどの例は、startOgServer スクリプトへの コマンド行パラメーターについての説明です。組み込みのサーバー API または クライアント API を使用してプロパティー・ファイル内に同等の構成オプションを設定することもできます。

手順

  1. カタログ・サービス・エンドポイントを開始します。

    WebSphere eXtreme Scale は、Java 仮想マシン間の通信に IIOP を使用します。 カタログ・サービス JVM は、IIOP サービス・ポートとグループ・サービス・ポートに関して ポートの明示的な構成を必要とする唯一のプロセスです。 他のプロセスはポートを動的に割り振ります。

    1. クライアント・ポートとピア・ポートを指定します。 カタログ・サービス・ドメイン内のカタログ・サービス間の通信には、クライアント・ポートとピア・ポートが使用されます。クライアント・ポートとピア・ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -catalogServiceEndPoints <serverName:hostName:clientPort:peerPort>
      コンテナーでは、カタログ・サービス上のオブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) のホストとポートを参照します。各属性の定義は次のとおりです。
      serverName
      起動しようとしているプロセスを識別する名前を指定します。
      hostName
      サーバーを起動するコンピューターのホスト名を指定します。
      clientPort
      ピア・カタログ・サービス通信に使用されるポートを指定します。
      peerPort
      この値は、haManagerPort と同じです。ピア・カタログ・サービス通信に使用されるポートを指定します。
      次の例は、cs1 カタログ・サーバーを始動するものです。このサーバーは、cs2 および cs3 サーバーと同じカタログ・サービス・ドメイン内にあります。
      startOgServer.bat|sh cs1 -catalogServiceEndPoints 
      cs1:MyServer1.company.com:6601:6602,
      cs2:MyServer2.company.com:6601:6602,
      cs3:MyServer3.company.com:6601:6602
      catalogServiceEndPoints サーバー・プロパティーを使用してカタログ・サービス・エンドポイントを設定することもできます。
    2. オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) リスナー・ポートを設定します。 カタログ・サービス・ドメイン内のカタログ・サービス間の通信、またカタログ・サービスと コンテナー・サーバーおよびクライアントとの通信にもオブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) リスナー・ポートが 使用されます。リスナー・ポートとリスナー・ホストを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -listenerHost <host name>

      Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) との通信用に、オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) がバインドする先のホスト名を指定します。この値は、完全修飾ドメイン名または IP アドレスである必要があります。ご使用の構成に複数のネットワーク・カードが含まれている場合は、リスナー・ホストとリスナー・ポートを設定し、バインドする IP アドレスを JVM 内のオブジェクト・リクエスト・ブローカーに通知します。使用する IP アドレスを指定しなければ、接続タイムアウトや異常な API 障害、クライアントがハングしたように見える状態などの症状が現れることがあります。

      デフォルト: localhost
      -listenerPort <port>
      オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) がバインドする先のポート番号を指定します。この設定は、コンテナーおよびクライアントが ORB を介してカタログ・サービスと通信するように構成します。WebSphere® Application Server では、listenerPort は BOOTSTRAP_ADDRESS ポート構成によって継承されます。このプロパティーは、コンテナー・サーバーとカタログ・サービスの両方に適用されます。デフォルト: 2809

      listenerHost サーバー・プロパティーおよび listenerPort サーバー・プロパティーを使用してリスナー・ポートとリスナー・ホストを設定することもできます。

    3. オプション: JMX サービス・ポートを設定します。

      JMX クライアントからの通信には、JMX サービス・ポートが使用されます。JMX サービス・ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。

      -JMXServicePort <port>
      MBean サーバーが Java Management Extensions (JMX) との通信を listen するポート番号を指定します。JMXServicePort プロパティーは、JMX 用の非 SSL ポートを指定します。 構成の中の各 JVM に対して、異なるポート番号を使用しなければなりません。JMX/RMI を使用する場合は、たとえデフォルトのポート値を使用する場合であっても、JMXServicePort とポート番号を明示的に指定してください。このプロパティーは、コンテナー・サーバーとカタログ・サービスの両方に適用されます。 (スタンドアロン環境の場合のみ必須。)

      デフォルト: 1099 (カタログ・サーバーの場合)

      JMXServicePort サーバー・プロパティーを使用して JMX サービス・ポートを設定することもできます。

    4. オプション: JMX コネクター・ポートを設定します。

      JMX クライアントからの通信には、JMX コネクター・ポートが使用されます。 JMX コネクター・ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。

      -JMXConnectorPort <port>
      Java Management Extensions (JMX) サービスのバインド先の Secure Sockets Layer (SSL) ポートを定義します。

      JMXConnectorPort サーバー・プロパティーを使用して JMX コネクター・ポートを設定することもできます。

    5. Secure Sockets Layer (SSL) ポートを設定します。
      セキュリティーが有効になっている場合、SSL ポートも 必要になります。SSL ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -jvmArgs -Dcom.ibm.CSI.SSLPort=<sslPort>
    図 1. コマンド行の使用例. hostA で最初のカタログ・サーバーを始動します。コマンドの例は以下のとおりです。
    ./startOgServer.sh cs1 -listenerHost hostA -listenerPort 2809
    -catalogServiceEndPoints cs1:hostA:6601:6611,cs2:hostB:6601:6611
    hostB で 2 番目のカタログ・サーバーを始動します。コマンドの例は以下のとおりです。
    ./startOgServer.sh cs2 -listenerHost hostB -listenerPort 2809
    -catalogServiceEndPoints cs1:hostA:6601:6611,cs2:hostB:6601:6611
  2. コンテナー・サーバー・エンドポイントを開始します。

    次のコマンドは、サンプル・カタログ・サービスで使用するコンテナー JVM を開始します。

    ./startOgServer.sh c0 -catalogServiceEndPoints hostA:2809,hostB:2809

    コンテナー・サーバー Java 仮想マシンは 2 つのポートを使用します。ピア・コンテナー・サーバーとカタログ・サーバー間の内部通信には、HA マネージャー・ポートが 使用されます。ピア・コンテナー・サーバー、カタログ・サーバー、および クライアント間の IIOP 通信には、リスナー・ポートが使用されます。リスナー・ホストは、ORB を特定のネットワーク・アダプターにバインドするときに使用されます。これらのポートを指定しない場合、両方のポートが 動的に選択されます。しかし、ファイアウォール環境などで、ポートを明示的に構成する必要がある場合は、コマンド行オプションを 使用して ORB ポートを指定できます。

    1. リスナー・ホストとリスナー・ポートを指定します。 リスナー・ポートとリスナー・ホストを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -listenerHost <host name>

      Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) との通信用に、オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) がバインドする先のホスト名を指定します。この値は、完全修飾ドメイン名または IP アドレスである必要があります。ご使用の構成に複数のネットワーク・カードが含まれている場合は、リスナー・ホストとリスナー・ポートを設定し、バインドする IP アドレスを JVM 内のオブジェクト・リクエスト・ブローカーに通知します。使用する IP アドレスを指定しなければ、接続タイムアウトや異常な API 障害、クライアントがハングしたように見える状態などの症状が現れることがあります。

      デフォルト: localhost
      -listenerPort <port>
      オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) がバインドする先のポート番号を指定します。この設定は、コンテナーおよびクライアントが ORB を介してカタログ・サービスと通信するように構成します。WebSphere Application Server では、listenerPort は BOOTSTRAP_ADDRESS ポート構成によって継承されます。このプロパティーは、コンテナー・サーバーとカタログ・サービスの両方に適用されます。デフォルト: 2809

      listenerHost サーバー・プロパティーおよび listenerPort サーバー・プロパティーを使用してリスナー・ポートとリスナー・ホストを設定することもできます。

    2. HA マネージャー・ポートを指定します。 HA マネージャー・ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -haManagerPort <port>
      HA マネージャーが使用するポート番号を指定します。 このプロパティーが設定されていない場合、空きポートが選択されます。 このプロパティーは、WebSphere Application Server 環境では無視されます。

      HAManagerPort サーバー・プロパティーを使用して HA マネージャー・ポートを設定することもできます。

    3. オプション: SSL ポートを指定します。
      セキュリティーが有効になっている場合、Secure Sockets Layer (SSL) ポートも 必要になります。SSL ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。
      -jvmArgs -Dcom.ibm.CSI.SSLPort=<sslPort>
    4. オプション: JMX サービス・ポートを指定します。
      -JMXServicePort <port>
      MBean サーバーが Java Management Extensions (JMX) との通信を listen するポート番号を指定します。JMXServicePort プロパティーは、JMX 用の非 SSL ポートを指定します。 構成の中の各 JVM に対して、異なるポート番号を使用しなければなりません。JMX/RMI を使用する場合は、たとえデフォルトのポート値を使用する場合であっても、JMXServicePort とポート番号を明示的に指定してください。このプロパティーは、コンテナー・サーバーとカタログ・サービスの両方に適用されます。 (スタンドアロン環境の場合のみ必須。)

      デフォルト: 1099 (カタログ・サーバーの場合)

      JMXServicePort サーバー・プロパティーを使用して JMX サービス・ポートを設定することもできます。

    5. オプション: JMX コネクター・ポートを設定します。

      JMX クライアントからの通信には、JMX コネクター・ポートが使用されます。 JMX コネクター・ポートを指定するには、次のコマンド行オプションを使用します。

      -JMXConnectorPort <port>
      Java Management Extensions (JMX) サービスのバインド先の Secure Sockets Layer (SSL) ポートを定義します。

      JMXConnectorPort サーバー・プロパティーを使用して JMX コネクター・ポートを設定することもできます。

  3. クライアント・エンドポイントを開始します。
    クライアントが必要とするのは、カタログ・サービスのリスナー・エンドポイントのみです。クライアントは、カタログ・サービスから自動的にコンテナー・サーバー Java 仮想マシン (すなわち、データを保管している Java 仮想マシン) のエンドポイントを取得します。 前述の例でカタログ・サービスに接続するには、クライアントは、以下の host:port のペアのリストを接続 API に渡さなければなりません。
    hostA:2809,hostB:2809

    クライアントは、DataGrid API を使用する場合、コンテナー・サーバーからコールバックを 受け取ることもできます。これらのコールバックは、IIOP を使用して ORB リスナー・ポートと 通信します。コールバックを受け取るポートおよびネットワーク・アダプターを 指定するには、クライアント・プロパティー・ファイル内で listenerHost および listenerPort プロパティーを 設定します。

    セキュリティーが有効になっている場合、Secure Sockets Layer (SSL) ポートも 必要になります。SSL ポートを指定するには、クライアント・プロセスの開始時に 次のシステム・プロパティーを使用します。
    -jvmArgs -Dcom.ibm.CSI.SSLPort=<sslPort>