クォーラム・メカニズムはカタログ・サービスごとに構成します。
カタログ・サービス・ドメイン内のすべてのカタログ・サーバーでクォーラム・メカニズムを使用可能にする必要があります。
始める前に
クォーラム・メカニズムを使用可能にするには、このタイプの構成をサポートする
トポロジーを構成しなければなりません。構成は次の要件に対応している必要があります。
- フラット IP アドレス・スペース: ネットワーク上のアドレス可能な
すべてのエレメントが、ネットワーク上のアドレス可能な他のすべてのエレメントに
スムーズに接続できなければなりません。フラット IP アドレス名前空間を使用する必要があります。構成内のすべての
ファイアウォールが、カタログ・サーバーとコンテナー・サーバーをホスティングするために
使用される IP アドレスとポート間ですべてのトラフィックのフローを許可しなければなりません。
- カタログ・サーバーの数: 構成内のデータ・センターごとに少なくとも 1 つの
カタログ・サーバーを開始する必要があります。
- ハートビート間隔設定: ハートビート間隔を定義しない場合、デフォルト値は 30 秒です。WebSphere® eXtreme
Scale は、定義された間隔で
単一ゾーン内の JVM をチェックします。例えば、コンテナー・サーバーのハートビートがなかった場合に、クォーラムが
確立されているとフェイルオーバー・イベントが発生して、新しいコンテナー・サーバーが設定されます。詳しくは、フェイルオーバー検出のためのハートビート間隔設定のチューニングを参照してください。
- トランスポート・セキュリティー: データ・センターは、通常、地理的に異なるロケーションに
デプロイされるため、セキュリティー上の理由からデータ・センター間のトランスポート・セキュリティーを
使用可能にすることが推奨されます。詳しくは、トランスポート層セキュリティーおよび Secure Sockets Layerを
参照してください。
このタスクについて
デフォルトではクォーラム・メカニズムが使用不可になっています。
次のようなシナリオでは、クォーラム・メカニズムを使用可能にしてください。
- カタログ・サービス・ドメインが、予測不能または不安定な
ネットワークに広がっている場合。このタイプのネットワークは複数のデータ・センターに広がっている可能性があります。
- ネットワーク・ブラウン・アウトがあった際、データ・グリッドが自己修復せず、
代わりにデータ・グリッドの操作を一時的に休止することが望ましい場合。
カタログ・サービス・ドメインが
単一データ・センター内に含まれている場合、またはローカル・エリア・ネットワーク (LAN) 上にある場合は、クォーラム・メカニズムを
使用不可にしたままでかまいません。このタイプの構成では、デフォルトのハートビート設定が
使用され、ブラウン・アウトの時間は 10 秒未満であると想定されます。検出期間は約 30 秒ごとで
あるため、ブラウン・アウトが短時間発生しても、それによってデータ・グリッド内の
配置変更が起こることはありません。
クォーラムを使用可能にする場合は、配置操作を実行するため、すべての
カタログ・サーバーが使用可能で、データ・グリッドと通信している必要があります。ネットワーク・ブラウン・アウトが発生した場合、すべてのカタログ・サーバーが使用可能になるまで配置は休止されます。
データ・センターの障害が発生した場合は、障害があったカタログ・サーバーをクォーラムから
除去するため、管理者による手動の処置が必要です。
手順
- カタログ・サーバーのクォーラムを使用可能にします。
WebSphere Application Server の場合、サーバー・プロパティー・ファイルを使用して
クォーラムを構成する必要があります。スタンドアロン環境の場合、プロパティー方式を使用するか、
サーバーの開始時にクォーラムを使用可能にすることができます。
- 同一ゾーン内のコンテナー・サーバーを開始します。
複数のデータ・センターにまたがるデータ・グリッドを実行する場合、サーバーは
ゾーン情報を使用して、そのサーバーが存在するデータ・センターを識別する必要があります。コンテナー・サーバーにゾーンを設定することにより、WebSphere eXtreme
Scale が、データ・センターのスコープ内にある
コンテナー・サーバーのヘルスをモニターでき、データ・センター間のトラフィックを最小化できます。コア・グループ内のコンテナー・サーバー JVM は、(広域ネットワークのような) リンクで接続された複数の LAN にまたがってはなりません。コンテナー・サーバーのゾーンを定義する方法の詳細については、コンテナー・サーバーのゾーンの定義を参照してください。
コンテナー・サーバー JVM はゾーン ID でタグ付けされます。
コンテナー JVM のデータ・グリッドは JVM から成る小さいコア・グループに自動的に分割されます。
1 つのコア・グループには同じゾーンからの JVM のみが含まれます。いかなる時点でも、異なるゾーンからの JVM が同じコア・グループに存在することはありません。
コア・グループはそのメンバー JVM の障害の検出を活発に試みます。
タスクの結果
カタログ・サービス・ドメイン内のカタログ・サーバーでクォーラム・メカニズムを
使用可能に設定すると、データ・グリッドの配置操作を実行するために、すべての
カタログ・サーバーが使用可能でなければなりません。ネットワーク・ブラウン・アウトが短時間発生した場合、クォーラム内のすべてのカタログ・サーバーが使用可能になるまで
配置操作は一時的に停止されます。
これらのステップを繰り返して、追加のカタログ・サーバーを
クォーラムに追加できます。
次のタスク
- 構成で要求される管理方式を使用してカタログ・サーバーを停止することで、カタログ・サーバーを
クォーラムから除去できます。管理用アクションを使用してカタログ・サーバーを停止すると、残りの
カタログ・サーバーを使用してクォーラムが自動的に再確立され、配置を継続できます。このトピックで
説明したステップを使用してカタログ・サーバーを再始動すると、カタログ・サーバーは
クォーラムに再加入できます。
- 現在定義されているクォーラム内に存在するカタログ・サーバーで長期または永続的な
障害が発生した場合、配置を継続できるようにクォーラム・メカニズムをオーバーライドする
必要があります。クォーラム・メカニズムのオーバーライドの詳細については、データ・センター障害の管理を参照してください。