データ・グリッド、集合 およびゾーン

データ・グリッドは、特定のアプリケーションまたはアプリケーション群で使用するオブジェクトを保持するために作成されるストレージ・ユニットです。 集合は、スケーラビリティーおよび管理の目的で アプライアンスをグループ化します。 ゾーンは、アプライアンスの物理的な場所を定義し、キャッシュ内でのデータの配置を決定するために使用されます。

アプライアンスのトポロジー

集合およびゾーンは、いずれも 1 つ以上の WebSphere® DataPower® XC10 アプライアンス に関連付けられています。各アプライアンスは 1 つの集合および 1 つのゾーンのメンバーとなり得ます。各アプライアンスは、キャッシュ・データを保持する複数のデータ・グリッドをホストします。
図 1. 集合およびゾーンのトポロジー
この集合には、Rack1 と Rack2 の 2 つのゾーンがあり、
それぞれに 1 つのアプライアンスが含まれています。アプライアンスは、それぞれ、カタログ・サービスと、
プライマリーおよびレプリカのデータ・グリッドを実行しています。
重要: データ・グリッドを 高可用性にするために、2 つのアプライアンスが必要です。

データ・グリッド

データ・グリッドはアプリケーション用のオブジェクトを保持します。オブジェクトをキャッシングすることで、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。 データ・グリッドには 3 つのタイプがあります。
単純データ・グリッド
単純データ・グリッドは、データをキー値のペアで保持します。例えば、データベース照会の結果を単純 データ・グリッドに保管できます。単純データ・グリッドを実装するには、ObjectMap API を使用します。ObjectMap API は、 Java Maps と同じように動作します。
セッションデータ・グリッド
WebSphere Application Server セッションを使用する場合は、 セッション管理データ用のアプライアンス上でセッションデータ・グリッドを 使用するようにアプリケーションを構成できます。新規のアプリケーションをインストールする際に、セッション データ・グリッドを使用するようにアプリケーションを構成できます。 既存のアプリケーションまたはサーバーの設定を更新して、アプライアンス上でセッションデータ・グリッドを使用することもできます。
動的キャッシュデータ・グリッド
WebSphere Application Server の動的キャッシュから取り出したデータを保管するために、アプライアンス上の動的キャッシュデータ・グリッドを使用できます。動的キャッシュ API を使用して作成されたアプリケーションや、サーブレットのようなコンテナー・レベル・キャッシングを使用するアプリケーションを使用可能にして、アプライアンスをキャッシュ・プロバイダーとして使用することができます。その結果として、 アプリケーション・サーバーによって使用されるメモリーが少なくなります。すべてのキャッシュ・データが アプライアンスにオフロードされ、アプリケーション・サーバーのメモリーにはもう保管されません。

データ・グリッド・レプリカ

ある特定のデータ・グリッドで使用可能な レプリカの数を定義できます。集合に少なくとも 2 つのアプライアンスがあるときに、 レプリカは作成されます。アプライアンスが 1 つの場合、レプリカは作成されません。

レプリカは、同期レプリカまたは 非同期レプリカのいずれかになります。同期レプリカは、プライマリーデータ・グリッド上の トランザクションの一部として更新を受け取ります。非同期レプリカは、 プライマリーデータ・グリッド上のトランザクションがコミットされた後に 更新されます。同期レプリカはデータの一貫性を保証しますが、 非同期レプリカに比べると要求への応答時間が長くなります。非同期レプリカは データの一貫性においては同様の保証ができませんが、トランザクションを より速く完了させることができます。データ・グリッドにはデフォルトで 1 つの非同期レプリカがあります。配置アルゴリズムによって、レプリカの配置場所が制御されます。

集合

集合を定義する場合、 以下の情報が集合内のアプライアンス間で共有されます。 データ・グリッド、 モニター情報、集合およびゾーンのメンバー、また集合内の他のアプライアンスを使用する ユーザー。これらの情報のいずれかを更新すると、 行われた変更が集合内の他のすべてのアプライアンスで保持されます。 カタログ・サービスはアプライアンス間の 通信を可能にします。カタログ・サービスはカタログ・サーバーのグループです。集合内の各アプライアンスは、集合ごとに 3 つの カタログ・サーバーを限度に、カタログ・サーバーを実行します。 集合内に 4 つ以上のアプライアンスがある場合、カタログ・サービスは 集合に追加された最初の 3 つのアプライアンス上で実行されます。 カタログ・サーバーを持つアプライアンスを集合から除去する場合や、 カタログ・サーバーを持つアプライアンスが使用できなくなった場合は、 次に集合に追加されたアプライアンスがカタログ・サーバーを実行します。 カタログ・サーバーは他のアプライアンスにフェイルオーバーしません。

アプライアンスを集合に追加 するには、別のアプライアンスの集合構成パネルにそのアプライアンスのホスト名および共通鍵 を追加しますこの同棲は集合内のどのアプライアンスでも作成できますが、それは 集合のメンバーシップが集合メンバー間で保持されるためです。

アプライアンス は 1 つの集合内にのみ存在できます。既にある集合に存在するアプライアンスを 別の集合に追加することはできません。また、集合の結合もできません。 別々の集合のアプライアンスを結合するには、各アプライアンスをそれぞれの集合から除去し、 各アプライアンスをスタンドアロンにする必要があります。そうすれば、すべてのアプライアンスを含む 新しい集合を作成できます。

集合を使用して ほとんどの構成の変更が行える一方で、所定のアプライアンスにログインし、 「アプライアンス」 > 「アプライアンスの 設定」および「アプライアンス」 > 「トラブルシューティング」の各パネルで設定を変更する必要があります。

ゾーン

ゾーンは 例えば市区町村や研究所内のラックの場所など、アプライアンスの 物理的な場所と関連付けられます。ゾーンは、カタログ・サービスでご使用の データ・グリッド内のデータの保管場所を定義するのに 役立ちます。例えば、ある 1 つのゾーンにデータ・グリッド のプライマリー情報が保管されている場合に、レプリカのデータは別のゾーンにあるアプライアンスに保管されます。この構成では、データ・グリッド の プライマリーを保持するアプライアンスに障害が起こると、プライマリーからレプリカに フェイルオーバーが発生します。