Installation Manager の概要
IBM® Installation Manager は、多くの IBM ソフトウェア製品の共通インストーラーであり、これを使用して WebSphere® Application Server および他の関連ソフトウェアをインストールします。
Installation Manager は、リモートまたはローカルのソフトウェア・フラット・ファイル・リポジトリーを使用して、新しい WebSphere Application Server 製品をインストール、変更、更新することができる単一のインストール・プログラムです。これは、製品、フィックスパック、インテリム・フィックスなど、使用可能なパッケージを判別して表示し、前提条件および相互依存関係を検査し、選択されたパッケージをインストールします。また、Installation Manager を使用して、Installation Manager によりインストールされたパッケージを 容易にアンインストールすることもできます。
Installation Manager による作業は、ご使用のオペレーティング・システムに応じて、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、コマンド行インターフェース、コンソール・モード、または応答ファイルを介して行うことができます。
製品をインストールするには、IBM Installation Manager バージョン 1.8.5 以降が必要です。
Installation Manager の使用について詳しくは、IBM Installation Manager の資料を参照してください。
パッケージおよびパッケージ・グループ
Installation Manager を使用してインストールできる各ソフトウェア製品は、パッケージと呼ばれます。インストールされるパッケージには、製品レベルとインストール・ロケーションがあります。 パッケージ・グループは、単一のロケーションにインストールされるすべての製品で構成されます。
ソフトウェア製品のコピーを複数 (テスト用コピーや実動用コピーなど) 管理する場合は、製品を複数回、かつ別々のパッケージ・グループ (それぞれ別個のインストール・ロケーションを持つ) にインストールします。 製品の複数のコピーを、別々に保守あるいはアップグレードすることができます。
Installation Manager のディレクトリー
- エージェント・データ・ロケーション
- エージェント・データ・ロケーション・ディレクトリーには、Installation Manager が管理しているすべての製品インストールのヒストリーと状態を追跡するメタデータが格納されます。
このディレクトリーは、Installation Manager がインストールされたときに作成されます。
エージェント・データ・ロケーション・ディレクトリー (アプリケーション・データ・ロケーションと呼ばれることもある) は、Installation Manager が正しく機能するために不可欠なものです。 このディレクトリーは、作成後に移動することはできません。エージェント・データ・ロケーション・ディレクトリーが破損すると、エージェント・データ・ロケーション・ディレクトリー内のメタデータによって追跡されるすべての製品インストールがサービス不能となり、サービスが必要な場合には再インストールしなければならなくなります。 エージェント・データ・ロケーション・ディレクトリーのデフォルト・ロケーションについては、Installation Manager の資料を参照してください。
- 共有リソース・ディレクトリー
- 共有リソース・ディレクトリー は、以下の 2 つの目的で使用されます。
- インストールされた製品が実行時に共有できるリソースを格納するために使用されることがあります。WebSphere Application Server 製品は、このフォルダーの内容に対して実行時の依存関係を持ちません。
- インストール時に、ペイロードがターゲット・フォルダーにインストールされる前にペイロードを一時的に保存するために使用されることがあります。このシナリオでは、転送されたデータについて、損傷がないことを確認するために、ファイル・サム・チェックが実行されます。デフォルトでは、この内容は、今後の更新またはロールバックに使用できるように、インストール後に共有リソース・ディレクトリー内にキャッシュされたままとなります。
共有リソース・ディレクトリーのロケーションは、最初の製品がインストールされたときに設定されます。各製品リポジトリーは、デフォルト・ロケーションを指定します。そのため、このロケーションがオーバーライドされない場合は、最初にインストールされた製品によって、ロケーションが決まります。
最初に Installation Manager が製品をインストールするときに、-sharedResourcesDirectory コマンド行オプションを使用して、このディレクトリーのロケーションを指定することができます。共有リソース・ディレクトリーのロケーションは、最初に設定された後に変更することはできません。
製品のペイロードがこのディレクトリー内にキャッシュされるため、製品の存続期間中に、サービス更新が適用されるにつれて、スペース所要量が非常に大きくなる可能性があります。WebSphere Application Server traditional 製品イメージは大きいため、その内容の累積が許可された場合は、フィックスパックが何回も適用されているうちに、このディレクトリーは増大して何ギガバイトにもなることがあります。 決してこのフォルダーの内容を手動で削除しないでください。代わりに、任意のインストール操作または保守操作の間に、以下の設定を指定して、このフォルダー内の内容の一部を削除することができます。-preferences com.ibm.cic.common.core.preferences.preserveDownloadedArtifacts=false
この設定に false が指定された場合、操作の完了後に、不要になったすべてのデータが削除されます。それでも、インストール操作および保守操作時に、ペイロードを一時的に保存するために十分なスペースがあることを確認する必要がありますが、データが時間の経過につれて累積されることはなくなります。以前のこの設定を使用したことがない場合は、この設定を初めて使用したときに、古いペイロードはすべて削除されます。Installation Manager GUI の「設定」パネルで「保存されたファイルの削除」オプションを選択して、この設定を指定することもできます。このパネルを使用して、ダウンロード成果物を保持しないことを指示することもできます。
Installation Manager のモード
Installation Managers は幾つ必要であるか?
製品コードをインストールまたは更新する対象のシステムでのみ Installation Manager を実行する必要があります。1 つの Installation Manager で製品インストールを幾つでも追跡できるので、通常は 1 つシステムに対して 1 つの Installation Manager のみが必要となります。
Installation Manager インストール・キットの取得
IBM Installation Manager は、インストール・キット形式で提供され、これには Installation Manager 製品の一連のバイナリー・ファイルとリポジトリーが含まれます。インストール・キットは、主に Installation Manager のセットアップと保守に使用されます。
Installation Manager のインストール
お使いのシステムでインストール・キットが使用可能な場合は、Installation Manager をインストールできます。 Installation Manager は、インストール・キットからコピーされる一組のバイナリー・ファイルと、とりわけこの Installation Manager によってインストールされた製品を記述する一組のランタイム・データとで構成されます。
Installation Manager を作成する前に、Installation Manager をどのモードで実行するか、およびバイナリー・ファイルとランタイム・データ (エージェント・データまたはアプリケーション・データと呼ばれる) をどこに配置するかを決定する必要があります。 その後、適切なユーザー ID から Installation Manager のインストール・コマンドを実行して、Installation Manager をインストールします。
製品リポジトリーのアクセス
IBM Installation Manager でインストールされるすべてのソフトウェア・マテリアルは、リポジトリーに保管されます。各リポジトリーには、1 つ以上のパッケージ、すなわち、特定レベルでのソフトウェア製品のプログラム・オブジェクトとメタデータが含まれます。 リポジトリーには、また、フィックスパックおよびインテリム・フィックスなどの製品保守も含まれます。新しい製品をインストールするときは常に、アクセス可能なリポジトリーで入手可能なすべての製品レベルから選択することができます。
また、Installation Manager で製品フィックスパックとインテリム・フィックスを IBM サービス Web サイトからダウンロードすることもできます。インテリム・フィックスは、サービス Web サイト、または、IBM サポート・センターを経由してのみ入手可能であることに注意してください。
新しい製品をインストールするときは常に、アクセス可能なリポジトリーで入手可能なすべての製品レベルから選択することができます。
製品のインストール
Installation Manager を作成し、すべての必要な製品リポジトリーにアクセスできるようになった後、Installation Manager GUI、コマンド行コマンド、コンソール・モード、または応答ファイルを使用して実際の製品インストールを実行することができます。製品のインストール時には、パッケージ名と、インストールする製品レベル (オプション)、製品ロケーション、およびその他のオプション・プロパティーを指定します。 例えば、製品によっては、インストール時に選択できるオプション・フィーチャーがあり、あるいは、サポートされるオプションの言語パックのリストがあって、そのリストから選択が可能です。
製品の各コピーは、別々のファイル・システム・ロケーションにインストールする必要があります。 共通のロケーションに一緒にインストールすることを意図された製品も一部にあります。
インストール・ロケーションを選択することは、製品計画の重要な要素です。 通常、これらのインストール・ロケーションは、製品が実際に使用されているときにマウントされるロケーションとは別個のものです。
インストール済み製品についての作業
Installation Manager のコマンドを使用して、インストール済み製品と製品レベルをリストすることができます。 また、製品ファイル・システムから versionInfo.bat または versionInfo.sh コマンドを実行することで、WebSphere Application Server バージョン 9.0 製品のインストール済みコピーについてこの情報を取得することもできます。
製品がインストールされたら、Installation Manager が認識しているロケーションからそれらをアンマウントして、他の実動ロケーションに再マウントするか、あるいは、他のコンピューター・システムにそれらをコピーすることができます。Installation Manager のバイナリー・ファイルおよびランタイム・データを製品ファイル・システムと共にコピーした場合、製品およびサービスのリポジトリーにアクセスできるコンピューター・システム上であれば、インストールされた製品に対して保守を適用することができます。
Installation Manager を使用すると、新しい製品レベルのインストール、以前のレベルへのロールバック、あるいは、オプション・フィーチャーや言語パックの追加もしくは削除による製品の変更を行うことができます。
IBM Packaging Utility の使用
IBM Packaging Utility は、 組織用のカスタム Installation Manager リポジトリーを作成して管理できる Installation Manager の 付属ツールの 1 つです。 複数のパッケージ、保守レベル、およびフィックスを 1 つのリポジトリーに コピーすることができます。Packaging Utility では、ソース・リポジトリーからターゲットの カスタム・リポジトリーにコピーします。 ソース・リポジトリーには、IBM の Web ホスティング製品リポジトリーや unzip された パスポート・アドバンテージからのダウンロードなどの、アクセス可能な Installation Manager リポジトリーを含めることができます。 Packaging Utility について詳しくは、Packaging Utility に関する Installation Manager の資料を参照してください。
プラットフォーム | オプション | 生成されるリポジトリー |
---|---|---|
Windows | os=win32,arch=x86_64 os=win32 |
Windows 64 ビット |
Linux Intel | os=linux,arch=x86_64 | Linux Intel 64 ビット |
Linux Power® | os=linux,arch=ppc64 | Linux Power 64 ビット |
zLinux | os=linux,arch=s390x | zLinux 64 ビット |
AIX® | os=aix,arch=ppc64 os=aix |
AIX 64 ビット |
Solaris Sparc | os=solaris,arch=sparc64 | Solaris Sparc 64 ビット |
Solaris Intel | os=solaris,arch=x86_64 | Solaris Intel 64 ビット |
HP-UX Itanium | os=hpux,arch=ia64 | HP-UX Itanium 64 ビット |
IBM i | os=os400,arch=ppc64 os=os400 |
IBM i 64 ビット |
z/OS® | os=zos,arch=s390x os=zos |
z/OS 64 ビット |