マイグレーションの新機能

WebSphere® Application Server バージョン 9.0 では、マイグレーション・ツールに対するいくつかの重要な機能強化が行われました。

複製マイグレーション: 古いプロファイルをマイグレーションし、機能し続けるように保ちます

構成をバージョン 9.0 にマイグレーションし、前のバージョンのプロファイルを使用し続けることができるようになりました。 これは複製マイグレーション と呼ばれます。複製マイグレーションは、 WASPostUpgrade コマンドを実行するときに -clone パラメーターを指定することを除いて、標準マイグレーション手順に従います。

複製マイグレーションの場合、共存することになる新しい構成と古い構成でポート競合が発生しないように、 新しいプロファイル構成では固有のポート番号を使用する必要があります。 さらに、統合ノードをマイグレーションするときには、バージョン 9.0 のデプロイメント・マネージャーのホスト名と、SOAP ポートまたは RMI ポートを指定する必要があります。

プロパティー・ファイルでのマイグレーション・オプションの定義
WASPreUpgradeWASPostUpgrade などのマイグレーション・コマンドに個々のパラメーターを指定するのではなく、 -properties file_name.properties パラメーターを指定してプロパティー・ファイルを入力できます。 プロパティー・ファイルには、以下のプロパティーが含まれます。
  • マイグレーション・パラメーター・プロパティー: これらのプロパティーは、マイグレーション・コマンドに指定するパラメーターと等価です。すべてのコマンド行パラメーターをパラメーター・プロパティーとして指定できるわけではありません。 制限事項はテンプレート migration.properties ファイルに注記されています。
  • トレースおよびデバッグに関する汎用プロパティー: これらのプロパティーは、マイグレーション・コマンドが外部ツールを呼び出す際のトレースおよびデバッグを制御します。例えば、 トレースを有効化または無効化したり、トレース・ストリングおよびロケーションを指定したりできます。

app_server_root/properties ディレクトリー内にテンプレート migration.properties ファイルがあります。このテンプレートには、 プロパティーの定義に関する指示および例が含まれています。このファイルを別の場所にコピーした後、 実施するマイグレーションに合うように変更してください。適用されないプロパティーは無視されるため、同じファイルをすべてのタイプのプロファイルおよびマイグレーションに使用できます。

プロパティー・ファイルの使用について詳しくは、プロパティーによるマイグレーションの定義を参照してください。

機能強化されたポート割り当て

WASPostUpgrade-replacePorts パラメーターおよび -portBlock パラメーターは、 それぞれ、-setPorts パラメーターおよび -resolvePortConflicts パラメーターに置き換えられました。これらの新規パラメーターによって、 マイグレーション・ツールが新しい構成でポート値を割り当てる方法を明確かつ柔軟に指定できるようになりました。

-setPorts パラメーターを使用して、以下のオプションから選択することができます。
  • 古い構成からの値を使用する
  • マイグレーション・ツールによって生成される新しい値を使用する
  • 指定する値から始めてすべてのポートを割り当てる

-resolvePortConflicts パラメーターを使用して、ポート競合を、競合する値から増分して解決するのか、指定する値から増分して解決するのかを選択できます。

新しいエンドポイント・アドレスに対してデフォルトのポート値がプロファイル・テンプレートから取得され、競合がないか検査されます。

詳しくは、WASPostUpgrade コマンドを参照してください。

統合された Compute Grid のマイグレーション

以前は、WebSphere Application Server 上の Compute Grid または Feature Pack for Modern Batch は、 migrateConfigTo85.py スクリプトを使用して新しいバージョンにマイグレーションされていました。

このスクリプトを使用する代わりに、Compute Grid のマイグレーションは、 Configuration Migration Management Tool または WASPreUpgrade コマンドおよび WASPostUpgrade コマンドといった標準マイグレーション・プロセスの一部として行われるようになりました。

統合された WebSphere Virtual Enterprise および Intelligent Management のマイグレーション

WebSphere Application Server バージョン 7 およびバージョン 8 では、WebSphere Virtual Enterprise は、WebSphere Application Server の上に分離した製品としてインストールされました。WebSphere Application Server バージョン 8.5 では、WebSphere Virtual Enterprise は WebSphere Application Server 製品に Intelligent Management として組み込まれました。

WebSphere Virtual Enterprise および Intelligent Management では、 以前は、新しい WebSphere Application Server セルに成果物をマイグレーションするために VEUpgrade コマンドが必要でした。このコマンドを使用する代わりに、成果物のマイグレーションは、 Configuration Migration Management Tool または WASPreUpgrade コマンドおよび WASPostUpgrade コマンドといった標準マイグレーション・プロセスの一部として行われるようになりました。

WASMigrationAppInstaller アプリケーション・インストール・ツール

WASMigrationAppInstaller コマンドを使用して、アプリケーションを前のリリースから新しいリリースにマイグレーションできます。このツールは、install_all_apps.jy スクリプトを置き換えるものです。

WASPostUpgrade コマンドも、 アプリケーションを新しいリリースにマイグレーションしようとします。WASPostUpgrade コマンド実行時に発生する問題がアプリケーションのインストールに関するもののみである場合、 WASPostUpgrade コマンドを再実行する代わりに、WASMigrationAppInstaller コマンドを実行してください。

このツールは、まだインストールされていないアプリケーションのみをインストールするので、必要なだけ何度でも実行できます。

詳しくは、WASMigrationAppInstaller コマンドを参照してください。

非推奨のフィーチャー、安定化されたフィーチャー、および除去されたフィーチャー

バージョン 9.0 リリースでの変更点には、非推奨のフィーチャー、 安定化されたフィーチャー、および除去されたフィーチャーが多くあり、デフォルト値およびデフォルト動作の変更も多少あります。これらの変更が WebSphere Application Server 環境に影響し、変更が必要になる場合があります。

これらの変更のリストについては、WebSphere Application Server での変更点を参照してください。


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