コア・グループ・プロトコルのバージョン
コア・グループ・メンバーは、ディスカバリー・プロトコル、障害検出プロトコル、View Synchrony Protocol などの各種プロトコルを介して相互に対話します。 これらのプロトコルでは、コア・グループ・メンバーが共通のアルゴリズムに従って交換する、フォーマット済みの一連のメッセージがそれぞれ定義されています。
新規の製品フィーチャーをサポートするため、またはコア・グループのパフォーマンスを向上させるために新規のメッセージ、つまり新規のアルゴリズムが必要な場合には、新規のプロトコル・バージョンが追加されます。新規のメッセージまたは新規のアルゴリズムは古いメッセージまたは古いアルゴリズムと互換性がない可能性があるため、新規のプロトコルがそのプロトコルの前のバージョンと相互運用できない場合があります。


- 下位レベルのプロトコル (下位レベルのワイヤー・フォーマット・プロトコルともいいます) のコレクションです。これらのプロトコルは、DCS 層によって使用されます。コア・グループのカスタム・プロパティー IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION の設定により、このプロトコルのグループに使用されるプロトコル・バージョンが決まります。このプロパティーに指定されている値が変わるたびに、次の例に似た HMGR0226I メッセージが SystemOut.log ファイルに送信されるか、z/OS プラットフォームの場合は SYSOUT または SYSPRINT のいずれかに送信されます。
HMGR0226I: The core stack configuration parameter IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION has been set to 6.1.0.
- 高水準レベルのプロトコル (HA マネージャー・プロトコルともいいます) のコレクションです。これらのプロトコルは、HA マネージャー層によって使用されます。コア・グループのカスタム・プロパティー IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION の設定により、このプロトコルのグループに使用されるプロトコル・バージョンが決まります。このプロパティーに指定されている値が変わるたびに、次のメッセージに似た HMGR0226I メッセージが SystemOut.log ファイルに送信されるか、z/OS プラットフォームの場合は SYSOUT または SYSPRINT のいずれかに送信されます。
HMGR0226I: The core stack configuration parameter IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION has been set to 6.0.2.31.
このメッセージは、HA マネージャーのプロトコル・バージョン 6.0.2.31 が使用されていることを意味します。
これらの 2 つのカテゴリーのそれぞれのプロトコル・バージョンの設定は、相互に独立しています。
古いコア・グループ・プロトコルのバージョンを使用する時期
古いコア・グループ・プロトコルのバージョンを使用することは推奨されません。これが必要なのは、コア・グループにバージョン 9 のサーバーとバージョン 7.0.0.0 以下のサーバーが混在している場合に限られます。
HA マネージャー・プロトコルを使用した透過的なブリッジ・フェイルオーバーのサポートの確立
コア・グループ・ブリッジは、WebSphere® Application Server のコンポーネントが使用するクロス・コア・グループ状態を表し、管理するためのメカニズムを提供します。このクロス・コア・グループ状態の管理プロセスの一環として、トポロジー内の実行中のコア・グループ・ブリッジの数が変化した場合に、必ずコア・グループ・ブリッジ状態の再作成が行われます。コア・グループ・ブリッジ状態の再作成という手段により、コア・グループ・ブリッジでは、実行中の一連のブリッジにおけるクロス・コア・グループ状態の所有権と、その配分を計算します。
- JNDI 検索が失敗する。
- コア・グループ・ブリッジのフェイルオーバーが発生した後に、WebSphere プロキシー・サーバー、またはオンデマンド・ルーターによって 503 応答コードが生成される。
- 以下の配列指標の範囲外例外が発生する。
[7/9/08 17:12:20:749 EDT] 00000030 UserCallbacks E HMGR0142E: HA マネージャーによってコールバックされたコンポーネントでエラーが発生しました。 この例外は、java.lang.ArrayIndexOutOfBoundsException at com.ibm.ws.cluster.propagation.bulletinboard.BBDescriptionManager.getOrderedBytes(BBDescriptionManager.java:618) です。


- コア・グループ・ブリッジを使用して接続されているすべてのコア・グループが、同じプロトコル・バージョンを実行していることを確認してください。
- 透過的なブリッジ・フェイルオーバーは、状態データを、コア・グループ・ブリッジの再作成中、状態データ・パスをとおして一定に保持するよう設計されています。状態データ・パスとは、状態プロバイダー、各コア・グループの 1 つのコア・グループ・ブリッジ、および状態データ・コンシューマーで構成されているパスです。アクティブなブリッジが残っていないコア・グループが関係する障害シナリオの場合は、やはり一時的な状態停止が発生することがあります。
使用するプロトコル・バージョンの決定

- サポートされる VRM のコア・グループ・メンバーを含むコア・グループは、バージョン 6.0.0、6.0.2.9、または 6.1.0 ワイヤー・フォーマット・プロトコルのいずれかを使用するように構成できます。
- バージョン 6.1.0.19 と 7.0.0.1 のコア・グループ・メンバーが混在しているコア・グループを、バージョン 6.0.2.31 の HA マネージャー・プロトコルを使用するよう構成することができます。
サポートされるコア・グループ・プロトコルのバージョン ID
以下の表に、プロトコル・カテゴリーごとの製品の最小レベルの要約を示します。特定のプロトコル・バージョンに関連付けるには、コア・グループ・メンバーがこれらの最小レベルの製品を実行している必要があります。また、これらの表では、各プロトコル・バージョンに追加された新機能についても説明しています。
これらの表を使用して、特定のコア・グループで使用できるプロトコル・バージョンを判別し、次に IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION または IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION のいずれかのコア・グループ・カスタム・プロパティーを使用して、実行している製品のレベルでサポートされているプロトコル・バージョン内の最新バージョンを使用して実行されるように、そのコア・グループのすべてのメンバーを構成します。 HA マネージャーは自動的に構成の変更を検出し、これらのコア・グループ・メンバーで新規のコア・グループ・プロトコル・バージョンを使用し始めます。

バージョン ID | 製品レベルの最小要件 | 説明 |
---|---|---|
6.0.0 | 任意 | このプロトコル・バージョンは、オリジナル・バージョンまたは基本バージョンです。HA マネージャーのすべてのバージョンは、このプロトコルを使用できます。 特定のワイヤー・フォーマット・プロトコル・バージョンを指定しない場合、HA マネージャーはこのバージョンを使用します。 |
6.0.2.9 | サポートされる任意のバージョン | このプロトコル・バージョンでは、コア・グループ・ブリッジのスケーラビリティーが向上しています。このバージョンは、複数のコア・グループと、それらの構成の一部としてコア・グループ・ブリッジを含む、大規模なトポロジー向けに推奨されます。 |
6.1.0 | サポートされる任意のバージョン | このバージョンでは、コア・グループのスケーラビリティーが向上し、大規模なトポロジーに対するサポートが強化されています。 |
バージョン ID | 製品レベルの最小要件 | 説明 |
---|---|---|
6.0.2.31 | バージョン 6.1 の場合は 6.1.0.19、バージョン 7.0 の場合は 7.0.0.1、および製品のその後のバージョンの初期リリース | このプロトコル・バージョンは、HA マネージャー・プロトコルのオリジナル (基本) バージョンであり、サポートされる製品の任意のバージョンで使用でき、コア・グループ・ブリッジのスケーラビリティーが向上しています。このプロトコル・バージョンは、構成の一部として複数のコア・グループとコア・グループ・ブリッジを含むトポロジー向けに推奨されます。 HA マネージャーでプロトコルを使用するには、HA マネージャー・プロトコル・バージョンを指定する必要があります。デフォルトのバージョンはありません。 |