単一のネットワーク・インターフェースを使用するための、アプリケーション・サーバー、ノード、またはセルの構成

デフォルトでは、使用可能なすべてのネットワーク・ インターフェースを使用するようアプリケーション・サーバーが構成されます。 この構成を変更して、アプリケーション・サーバーが特定のネットワーク・ インターフェースのみを使用するようにすることができます。ただし、 インターフェースのサブグループを使用するよう構成することはできません。 例えば、イーサネット・アダプターが 3 つある場合、3 つのアダプターの うち 2 つを使用するようアプリケーション・サーバーを構成することは できません。

このタスクについて

アプリケーション・サーバーがすべての ネットワーク・インターフェースを使用するよう構成されており、TCP/IP アドレスが 2 つあるマシンのポート 9901 でソケットを開く場合、両方の IP アドレスでポート 9901 を開きます。

[Windows]Microsoft Windows オペレーティング・システムでは、netstat 出力の「Local Address」フィールドに *.9901 と表示されますが、これはポート 9901 がシステムのすべてのネットワーク・インターフェースにバインドされていることを示します。

アプリケーション・サーバーが特定のネットワーク・インターフェースを 使用するよう構成されている場合、その 1 つのネットワーク・インターフェース のみで通信します。例えば、Windows オペレーティング・システムでは、 アプリケーション・サーバーがイーサネット・アダプターのポート 7842 でソケットを開き、アドレスが 192.168.1.150 の場合、netstat 出力の「Local Address」フィールドには 192.168.1.150.7842 と表示され、ポート 7842 が 192.168.1.150 のみにバインドされていることを示します。

ネットワーク・インターフェースが複数あり、それぞれ別々に使用する場合、 各インターフェースに対して別の構成プロファイルを設定する必要があります。 ネットワーク・インターフェースが別々に使用される場合、アプリケーション ・サーバーが実行中の各ネットワーク・インターフェースに対して、個別の ノード・エージェントが必要です。同じマシン上の別の 2 つのネットワーク・ インターフェースにバインドされている 2 つのアプリケーション・サーバーは、 TCP/IP アドレスが異なるため、同じノードに入れることができません。

マルチホーム環境では、 インバウンド HTTP または HTTPS (あるいは両方の) のトラフィックを、 インストール中に使用されたホスト名にバインドされたもの以外のネットワーク・アダプターを 使用するように強制することによって分離することが必要になる場合があります。この分離を 行うには、リダイレクトされる各アプリケーション・サーバー の defaulthost ポートと defaulthost_secure ポート では、ホスト名または IP アドレスが別のネットワーク・アダプターにバインドされるように指定します。この 変更によって、アプリケーション・サーバーは、指定されたアダプターを 経由して受信した HTTP または HTTPS (あるいは両方) トラフィックのみを受け入れるように構成されます。また、 デプロイメント・マネージャーも、そのアプリケーション・サーバー用のプラグインを生成するときに、このホスト名を トランスポートとして使用します。defaulthost ポートおよび defaulthost_secure ポート がこのように変更されるだけであれば、この変更に関する既知の制約事項はありません。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble):
  • 特定のアプリケーション・サーバーで単一のネットワーク・ インターフェースを使用する場合、そのアプリケーション・サーバーに対して 以下のステップを実行します。
  • ノード全体で単一のネットワーク・インターフェースを使用する場合、 ノード・エージェントおよびそのノードのすべてのアプリケーション・サーバー に対して以下のステップを実行します。
  • セル全体で単一のネットワーク・インターフェースを使用する場合、 デプロイメント・マネージャー、ノード・エージェント、およびそのノードの すべてのアプリケーション・サーバーに対して以下のステップを実行します。
  • 以下のステップを実行するとき、localhost、ループバック・アドレス (127.0.0.1 など)、 または * (アスタリスク) を TCP/IP アドレスに指定しないでください。Distribution and Consistency Services (DCS) アドレスのホスト名として * (アスタリスク) があり、 かつ、複数の Network Identification Card (NIC) がある場合、DCS ポートが複数の IP アドレスにバインドされる可能性があります。
  • [Windows]クライアント ORB がサーバーに対する TCP 接続を行う場合には、考えられる以下の 2 つのシナリオがあります。
    • ローカル・ソケット側は単一アドレスにバインドされ、serverindex.xml ファイル内の ORB_LISTENER_ADDRESS プロパティー、または com.ibm.CORBA.LocalHost カスタム・プロパティーのいずれかで指定されます。
    • ローカル・ソケット・サイドは、特定のアドレスにバインドされません。

    Micosoft Windows ネットワーキング・スタックは異なるスコープ・ゾーン間でパケットを転送しないので、これら 2 つのシナリオが存在することになります。 ループバック・インターフェースとパブリック・インターフェースは、異なるスコープ・ゾーン内にあります。

    クライアントが Microsoft Windows7 または Microsoft Windows 2008 R2 上で稼働しており、クライアントの com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome カスタム・プロパティーが false に設定されている場合、最初のシナリオは SocketException で失敗します。これは以下のいずれかの理由によります。
    • serverindex.xml ファイル内の、クライアント ORB_LISTENER_ADDRESS ホスト値、または com.ibm.CORBA.LocalHost カスタム・プロパティーに、localhost または 127.0.0.1 のいずれかの内部アドレスがあり、サーバーに外部 IP アドレスまたはホスト名 (147.10.32.117 など) がある。
    • あるいは、クライアントに外部アドレスがあり、サーバーに内部アドレスがある。
gotcha

手順

  1. com.ibm.CORBA.LocalHost および com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome オブジェクト・リクエスト・ ブローカー (ORB) のカスタム・プロパティーを更新します。
    1. 管理コンソールで、指示されたパネルに移動します。
      • アプリケーション・サーバーの場合は、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_name > 「コンテナー設定」 > 「コンテナー・サービス」 > 「ORB サービス」とクリックします。次に、「追加プロパティー」セクションで「カスタム・プロパティー」をクリックします。
      • デプロイメント・マネージャーの場合は、「システム管理」 > 「デプロイメント・マネージャー」とクリックします。「追加プロパティー」セクションで、「ORB サービス」をクリックします。次に、「ORB サービス」パネルの「追加プロパティー」で、「カスタム・プロパティー」をクリックします。
      • ノード・エージェントの場合は、「システム管理」 > 「ノード・エージェント」 > node_agentとクリックします。「追加プロパティー」セクションで、「ORB サービス」をクリックします。次に、「ORB サービス」パネルの「追加プロパティー」で、「カスタム・プロパティー」をクリックします。
    2. com.ibm.CORBA.LocalHost カスタム・プロパティーを選択 して、「値」フィールドで IP アドレスまたはホスト名を指定します。 このプロパティーを localhost または * に設定しないでください。

      com.ibm.CORBA.LocalHost プロパティーが既に定義済みのカスタム・ プロパティーのリストにない場合は、「新規」をクリックして、 「名前」フィールドに com.ibm.CORBA.LocalHost を入力し、 「値」フィールドで IP アドレスまたはホスト名を指定します。

    3. com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome カスタム・ プロパティーを選択して、「値」フィールドで false を指定 します。 com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome プロパティーが既に定義済みのカスタム・プロパティーのリストにない場合は、「新規」をクリックして、「名前」フィールドに com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome を入力し、「値」フィールドで false を指定します。
  2. [z/OS]daemon_protocol_iiop_listenIPAddress WebSphere® 変数を更新して、 ロケーション・サービス・デーモンをバインドする IP アドレスを示すようにします。
    1. 管理コンソールで、「環境」 > 「WebSphere 変数」とクリックします。
    2. DAEMON_protocol_iiop_listenIPAddress 変数を選択し、 「値」フィールドで * を指定する (すべてをバインドする場合) か、特定の IP アドレスを 指定します。 DAEMON_protocol_iiop_listenIPAddress 変数が既に定義済みの変数のリストにない場合は、「新規」をクリックして、「名前」フィールドに DAEMON_protocol_iiop_listenIPAddress と入力し、「値」フィールドで該当する値を指定します。
  3. ディスカバリーおよび SOAP 接続のために、Java™ 仮想マシン (JVM) com.ibm.websphere.network.useMultiHome カスタム・プロパティーを更新します。
    1. 管理コンソールで、指示されたページに移動します。
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]
      • アプリケーション・サーバーの場合は、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_name > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
      • デプロイメント・マネージャーの場合は、「システム管理」 > 「デプロイメント・マネージャー」 > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
      • ノード・エージェントの場合は、「システム管理」 > 「ノード・エージェント」 > node_agent > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
      [z/OS]
      • アプリケーション・サーバーの場合は、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_name > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > process_type > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
      • デプロイメント・マネージャーの場合は、「システム管理」 > 「デプロイメント・マネージャー」 > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > process_type > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
      • ノード・エージェントの場合は、「システム管理」 > 「ノード・エージェント」 > node_agent > 「Java プロセス管理」 > 「プロセス定義」 > 「制御」 > 「Java 仮想マシン」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。
    2. com.ibm.websphere.network.useMultiHome カスタム・ プロパティーを選択して、「値」フィールドで false を指定 します。 com.ibm.websphere.network.useMultiHome プロパティー が既に定義済みのカスタム・プロパティーのリストにない場合は、 「新規」をクリックして、「名前」フィールドに com.ibm.websphere.network.useMultiHome を入力し、 「値」フィールドで false を指定します。
  4. TCP/IP 接続のホスト名を更新します。
    1. 管理コンソールで、指示されたページに移動します。
      • アプリケーション・サーバーの場合は、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_nameをクリックし、「追加プロパティー」セクションで、「ポート」をクリックします。
      • デプロイメント・マネージャーの場合は、「システム管理」 > 「デプロイメント・マネージャー」とクリックして、「追加プロパティー」セクションで、「ポート」をクリックします。
      • ノード・エージェントの場合は、「システム管理」 > 「ノード・エージェント」 > node_agentをクリックし、「追加プロパティー」セクションで、「ポート」をクリックします。
    2. 最初のステップで com.ibm.CORBA.LocalHost ORB カスタム・プロパティーに対して指定された値に、リストされた各ポートの 「ホスト」フィールドを更新します。 終了時に、 「ホスト」列にリストされたエントリーには、* (アスタリスク) を含む ものがないようにする必要があります。
  5. 各バージョン 5 JMS サーバーの「初期状態」設定 を「停止済み」に変更します。
    1. 管理コンソールで、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「バージョン 5 JMS サーバー」とクリックします。
    2. リストされた JMS サーバーの 1 つをクリックして、「初期状態」フィールドに指定された値を「停止済み」に変更します。
    3. リストされたすべての JMS サーバーの「初期状態」設定が 「停止済み」になるまで、前のステップを繰り返します。
  6. 変更を保存します。
    1. 管理コンソールで、「システム管理」 > 「変更を マスター・リポジトリーに保存」をクリックします。
    2. 「変更をノードと同期する」を選択し、 「保存」をクリックします。
  7. 影響があるすべてのサーバー、ノード・ エージェント、およびデプロイメント・マネージャーを停止して再始動します。

タスクの結果

WebSphere Application Server のインストールを、複数の ネットワーク・インターフェースを持つマシンで 1 つのみのネットワーク ・インターフェースを使用して通信するよう構成しました。

この例では、2 つのノードを作成し、それぞれ 別のネットワーク・インターフェースを、少なくとも 2 つのネットワーク・ インターフェースを持つマシンで使用します。

  1. プロファイル管理ツールを使用して、 アプリケーション・サーバーを作成し、目的のセルに統合します。
  2. プロファイル管理ツールを使用して、 アプリケーション・サーバー・プロファイルを作成し、以前に作成された アプリケーション・サーバーで使用されているのとは異なるホスト名を指定 します。 このアプリケーション・サーバーを目的のセルに統合します。
  3. 最初のネットワーク・インターフェースに構成されているノード・ エージェントおよびアプリケーション・サーバーを始動します。この アプリケーション・サーバーを構成したときに、ノード・エージェントおよび アプリケーション・サーバーにこのノードを指定したネットワーク・ インターフェースで通信するように準備させるには、前のステップ を実行します。
  4. 2 番目のノード・エージェントおよびアプリケーション・サーバーを始動 します。2 番目のアプリケーション・サーバーを構成したときに、 ノード・エージェントおよびアプリケーション・サーバーにこのノードを指定 したネットワーク・インターフェースのみで通信するように準備させるには、 前のステップを実行します。
  5. この例で作成したすべてのノード・エージェントおよびアプリケーション ・サーバーを停止します。
  6. これらのノード・エージェントおよびアプリケーション・サーバーをすべて 再始動します。

2 つの別のノードが 2 つの異なるネットワーク・インターフェース で実行されています。

次のタスク

スタンドアロン Java クライアントまたはサーバーを使用して WebSphere Application Server と通信し、WebSphere Application Server Software Development Kit (SDK) を使用している場合、以下のプロパティーを Java コマンドに追加して ORB を使用可能にし、アプリケーションが特定の ネットワーク・インターフェースと通信できるようにします。
-Dcom.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome=false 
-Dcom.ibm.CORBA.LocalHost=host_name

host_name は、TCP/IP アドレスまたは使用する ORB のネットワーク・インターフェースの ホスト名 です。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): host_name に、 localhost、127.0.0.1 などのループバック・アドレス、または * (アスタリスク) を指定しないようにする必要があります。gotcha

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=trun_multiplenic
ファイル名:trun_multiplenic.html