クラスターの作成

クラスターとは、 ワークロードのバランスを取る方法として一括して管理するアプリケーション・サーバーの集合のことです。

始める前に

クラスターを作成する前に、以下を実行します。
  • トピック『クラスターおよびワークロード管理』の内容、特にクラスターのウェイトの設定に関する 情報を調べます。
  • エンタープライズ Bean 要求をクライアントが存在するノードに 送るかどうかを決定します。
  • HTTP メモリー間複製を使用するかどうかを決定します。
  • 最初のクラスター・メンバーに適した構成設定を 決定します。ユーザーが作成する最初のクラスター・メンバーのコピーは、クラスター・データの一部として保管され、 作成するすべての追加クラスター・メンバーのテンプレートになります。
  • 最初のクラスター・メンバーを置くノードを決めます。

このタスクについて

以下を行う必要がある場合、クラスターを作成します。
  • 複数のアプリケーション・サーバーにわたってクライアント要求のバランスをとります。
  • ユーザーのアプリケーションに高可用性の環境を提供します。

クラスターにより、アプリケーション・サーバーのグループを単一のユニットとして管理し、クラスターのメンバーである各アプリケーション・サーバーにクライアント要求を分散することが可能になります。

[z/OS]シスプレックス内の複数のシステムにまたがり、トランザクションの活動化ポリシーがデプロイされたステートフル・セッション Bean を持つサーバーのクラスターを作成する場合、非活性化ディレクトリーは、そのクラスター・サーバーが稼働しているシスプレックス内の複数のシステム間で共有されている階層ファイル・システム (HFS) 上にある必要があります。

クラスターを作成するには、以下の手順を実行します。

手順

  1. 管理コンソールで、「サーバー」>「クラスター」> 「WebSphere Application Server クラスター」>「新規」とクリックします。 「新規クラスターの作成」ウィザードが開始します。
  2. クラスターの名前を指定します。
  3. オプション: [z/OS]クラスターのショート・ネームを指定します。

    クラスター・サーバーの場合は、WLM アプリケーション環境がクラスターのショート・ネームのデフォルト値になります。 クラスターにショート・ネームを指定する場合、その名前は以下のようにします。

    • 長さは 1 から 8 文字にする必要があります。
    • 英数字または各国語文字のみで構成する必要があります。
    • 数字で始めることはできません。
    • セル内で固有にする必要があります。
    • 非クラスター・サーバーの ClusterTransitionName カスタム・プロパティーに指定された値と同じにすることはできません。クラスターの一部であるサーバーのクラスター遷移名は指定しないでください。
    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): ショート・ネームを指定する場合は、 このショート・ネームを含む RACF® SERVER クラス・プロファイルがセットアップされていることを 確認してください。gotcha
  4. ホストを有効範囲とするルーティング最適化を使用可能にする場合は、 「ローカルを優先」を選択します。 このオプションは、デフォルトでは使用可能に設定されています。 このオプションが使用可能になっている場合、可能であれば EJB 要求はクライアント・ホストに経路指定されます。このオプションにより、クライアント要求がローカルのエンタープライズ Bean に送信されるため、 パフォーマンスが向上します。
    サポートされる構成 サポートされる構成: preferLocal の最適化を 使用可能にする場合は、構成を有効にするためにデプロイメント・マネージャーが 実行されている必要があります。デプロイメント・マネージャーがシャットダウンされると、 preferLocal の最適化は実行されず、クラスターのすべてのメンバーに要求が 分散される可能性があります。sptcfg
  5. このクラスターにメモリー間の複製のドメインを作成する場合は、「Configure HTTP session memory-to-memory replication」を選択します。 複製ドメインには、クラスターと同じ名前が付けられ、複製ドメインのデフォルト設定で構成されます。 デフォルト設定が有効である場合は、単一レプリカがデータの各断片ごとに作成され、暗号化は無効になります。 また、各クラスター・メンバーの Web コンテナーもメモリー間の複製用に構成されます。
    WAS クラスターで、セッションのメモリー間複製が使用可能になっている場合、そのサーバー・クラスターのプラグイン構成ファイルで、GetDWLMTable プロパティーが true に設定されている必要があります。
    要確認: カスタム・プロパティーを使用するのではなく、管理コンソールのチェック・ボックスを使用して GetDWLMTable プロパティーを設定してください。

    複製ドメイン用のこれらの設定を変更するには、「環境」>「複製ドメイン」>replication_domain_name」とクリックします。Web コンテナー設定を変更するには、「サーバー」 >「クラスター」>「WebSphere Application Server クラスター」> cluster_name >「クラスター・メンバー」> cluster_member_name」をクリックします。次に、管理コンソールで、「コンテナー設定」セクションで、「Web コンテナー設定」>「Web コンテナー」>「セッション管理」> 「分散環境設定」とクリックします。クラスター・メンバーの 1 つでこれらの設定を変更する場合は、このクラスターの他のメンバーの設定も変更する必要があります。

  6. 次へ」をクリックします。
  7. 空のクラスターを作成するか、クラスターの最初のメンバーを作成するかを選択します。

    空のクラスターを作成する場合、このクラスターにメンバーを追加するには、管理コンソールで、「サーバー」>「クラスター」>「WebSphere Application Server クラスター (WebSphere application server clusters)」> cluster_name>「クラスター・メンバー」>「新規」とクリックします。

    空のクラスターを作成するには、以下のようにします。

    1. None. Create an empty cluster.」を選択します。
    2. 次へ」をクリックして、定義済みクラスターの要約を表示します。
    3. 終了」をクリックしてクラスターを作成するか、またはクラスターを作成しない場合は「キャンセル」をクリックします。

    最初のクラスター・メンバーを作成する場合、作成する最初のクラスター・メンバーのコピーは、 クラスター・データの一部として保管され、作成するすべての追加クラスター・メンバーに対するテンプレートになるこ とに注意してください。

    1. 最初のクラスター・メンバーの名前を指定します。
    2. このクラスター・メンバーの常駐先にするノードを選択します。
    3. [z/OS]このクラスター・メンバーのショート・ネームを指定します。 ショート・ネームは、デフォルトの z/OS® ジョブ名であり、Workload Manager (WLM)、自動リスタート・マネージャー、および RACF など、オペレーティング・システム固有の機能に対してクラスター・メンバーを示します。
    4. そのクラスター・メンバーのウェイト値を指定します。 ウェイト値は、アプリケーション・サーバーに送られる作業の量を制御します。このサーバーのウェイト値がクラスター内の別のサーバーに割り当てたウェイト値より大きい場合、このサーバーが受け取る作業負荷の割合が大きくなります。 ウェイト値は、特定のアプリケーション・サーバーに割り当てられた、ワークロードの相対比率を示します。指定できる値の範囲は 0 から 20 です。
      [z/OS]z/OS では、一部のワークロード・タイプのバランスを取るためにウェイトが使用されますが、そのほかでは z/OS システムによってバランスが保たれます。
      • HTTP 要求の場合、HTTP トラフィックを Web サーバー・プラグイン とクラスター化されたアプリケーション・サーバーを処理するコントローラーとの間で 分散するためにウェイトが使用されます。HTTP トラフィックを受信するアプリケーション・サーバーには高いウェイト値を割り当てます。
      • Web サービスの呼び出しの場合、情報はあるアプリケーション・サーバーのサーバントから別のアプリケーション・サーバーのコントローラーに転送されます。 呼び出しを受信するアプリケーション・サーバーは、最も高いウェイト値を持ちます。
      • ウェイトは Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) 要求に何の影響も与えません。 IIOP 要求は、シスプレックス・ディストリビューターを使用して正しいアプリケーション・サーバーに配布されます。
    5. ソース・サーバーに定義された各 HTTP トランスポートごとに固有のポート番号を作成する場合は、「固有 HTTP ポートの生成」を選択します。 このオプションを選択した場合、このクラスター・メンバーには、同一ノード上に定義された別のサーバーと競合する HTTP トランスポートや HTTP トランスポート・チャネルがありません。このオプションを選択解除すると、すべてのクラスター・メンバーが同じ HTTP ポートを共有します。
    6. このクラスター・メンバーの所属先にするコア・グループを選択します。 このクラスターに複数のコア・グループが構成されている場合にのみ、コア・グループを選択するプロンプトが出されます。
    7. 次のいずれかのオプションを選択して、 クラスター内でサーバー・リソースをプロモートする方法を決定します。
      • クラスター」は、最初のクラスター・メンバーのリソースをクラスター・レベル に移動します。クラスターのリソースは、最初のクラスター・メンバーのリソースに 置き換えられます。
      • サーバー」は、サーバー・リソースを 新規クラスター・メンバーのレベルで維持します。クラスター・リソースは変更されません。
      • 両方」は、クラスター・メンバー (サーバー) のリソースを クラスター・レベルにコピーします。クラスターのリソースは、最初のクラスター・メンバーのリソースに 置き換えられます。クラスターとクラスター・メンバーの両方の有効範囲に 同じリソースが存在します。
    8. 最初のクラスター・メンバーのベースとなる、以下のオプションのいずれかを選択します。
      • アプリケーション・サーバーのテンプレートを使用してメンバーを作成する。

        [z/OS]defaultZOS テンプレートを選択すると (AdminTask オブジェクトが追加テンプレートの作成に createServerTemplate コマンドを使用しなかった場合は、このテンプレートしかリストされません)、最初のクラスター・メンバーは、z/OS のデフォルトのポート割り当てを使用します。このポートの一部がシステムの別の場所で使用するために既に定義されている場合は、新規作成のクラスター・メンバーが始動しない、正しく機能しない、予期しないエラー・メッセージを生成するなどの不具合が起こることがあります。したがって、このサーバーを始動する前にポートの競合をすべて解決する必要があります。

      • テンプレートとして既存のアプリケーション・サーバーを使用し、メンバーを作成する。
      • 既存のアプリケーション・サーバーを変換してメンバーを作成する。
      トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 既存のアプリケーション・サーバーをクラスターに追加できるのは、そのサーバーを最初のクラスター・メンバーとして選択した場合のみです。 最初のクラスター・メンバーの作成後は、そのクラスターには別の既存のアプリケーション・サーバーを追加できません。 クラスターに既存サーバーを追加した場合、そのサーバーをクラスターから除去する唯一の方法は、サーバーを削除することです。 そのため、既存サーバーは、クラスター・メンバーとしてではなく、最初のクラスター・メンバーのテンプレートとして使用します。 元のアプリケーション・サーバーをクラスターの外側で保持すると、構成の再作成が必要になった場合に、そのサーバーをテンプレートとして再利用できます。gotcha
  8. 次へ」をクリックします。
  9. 追加のクラスター・メンバーを作成します。 追加のクラスター・メンバーを作成する前に、最初のクラスター・メンバーの構成設定を確認してください。 これらの設定は、「新規クラスターの作成」ウィザードの「Create additional cluster members」パネルに表示されます。 作成する各追加メンバーごとに以下を実行します。
    1. メンバーの固有の名前を指定します。 この名前はノード内で固有でなければなりません。
    2. クラスター・メンバーを割り当てるノードを選択します。
    3. このメンバーに割り当てるウェイトを指定します。 ウェイト値は、アプリケーション・サーバーに送られる作業の量を制御します。 そのサーバーのウェイト値がクラスター内の別のサーバーに割り当てたウェイト値より大きい場合、そのサーバーが受け取る作業負荷の割合が大きくなります。 指定できる値の範囲は 0 から 20 です。
    4. [z/OS]このクラスター・メンバーのショート・ネームを指定します。 ショート・ネームは、デフォルトの z/OS ジョブ名であり、Workload Manager (WLM)、自動リスタート・マネージャー、および RACF など、オペレーティング・システム固有の機能に対してクラスター・メンバーを示します。
    5. ソース・サーバーに定義された各 HTTP トランスポートごとに固有のポート番号を作成する場合は、「固有 HTTP ポートの生成」を選択します。
    6. メンバーの追加」をクリックします。 最初のクラスター・メンバー以外の新規に作成された任意のクラスター・メンバーの構成設定を編集したり、追加のクラスター・メンバーを作成することができます。 「戻る」をクリックすると、最初のクラスター・メンバーのプロパティーを編集できます。最初のクラスター・メンバーの設定が、最初のクラスター・メンバーの作成時に自動的に作成されるクラスター・メンバー・テンプレートの設定になります。
  10. クラスター・メンバーの作成が終了したら、「次へ」をクリックします。
  11. クラスターの要約を表示した後、クラスターを作成するには「終了」をクリックし、前のウィザード・パネルに戻ってクラスターを変更するには「戻る」をクリックし、クラスターを作成することなくウィザードを終了するには「キャンセル」をクリックします。
  12. クラスターをさらに詳しく構成するには、「サーバー」>「クラスター」>「WebSphere Application Server クラスター (WebSphere application server clusters)」>とクリックしてから、そのクラスターの名前をクリックします。 変更を保存するまでは、「構成」および「ローカル・トポロジー」のタブのみが表示されます。
  13. Review」をクリックして、クラスター構成の設定を検討します。 追加の構成変更を行う必要がある場合、前のステップを繰り返します。
  14. 追加の構成変更を行わない場合、「変更をノードと同期する」を選択して「保存」をクリックします。 ユーザーの変更は保存され、ユーザーのノード全体にわたって同期化されます。
    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 「保存」をクリックしても、「変更をノードと同期する」を選択しない場合、ノードからクラスター・サーバーを検出できないために、クラスターの再始動時にこの製品はクラスター・サーバーを開始しません。 ユーザーのノードにわたる構成変更を常に同期化させたい場合、コンソール設定の 1 つとして「変更をノードと同期する」を選択できます。gotcha
  15. クラスターを再始動します。

タスクの結果

作業要求を割り当てることができるクラスターの作成が完了しました。次にこのページをアクセスしたときに「ランタイム」タブおよび「ローカル・トポロジー」タブが表示されます。

次のタスク

  • 管理コンソールで、「サーバー」>「クラスター」>「WebSphere Application Server クラスター」>cluster_name>「クラスター・メンバー」とクリックし、次にクラスター・メンバーの名前をクリックしてこのクラスター・メンバーのすべての構成設定を表示します。 このページを使用して、 選択したクラスター・メンバーの構成設定を変更できます。
    例えば、クラスターの開始プロセス時にすべてのクラスター・メンバー・コンポーネントを開始する必要がない場合は、「必要に応じてコンポーネントを開始 (Start components as needed)」を選択して、クラスター・メンバーを再構成することもできます。このオプションは、新規クラスター・メンバーの作成時には選択されていません。 このオプションを選択すると、クラスター起動時間が短縮され、クラスター・メンバーのメモリー占有スペースを削減できます。
    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): このオプションを選択する前に、この製品と一緒に実行している他の WebSphere® 製品がこの機能をサポートしていることを確認してください。gotcha
  • 管理コンソールを使用して、クラスターの構成設定を表示したり 変更したりします。例えば HA 環境で稼働している場合は、「サーバー」>「クラスター」>「WebSphere Application Server クラスター (WebSphere application server clusters)」> cluster_name」とクリックし、次にこのクラスターの「トランザクション・ログ・リカバリーのフェイルオーバーを有効化」オプションを選択します。このオプションにより、あるクラスター・メンバーから別のメンバーにフェイルオーバーして、トランザクションをリカバリーできます。
  • 追加のクラスター・メンバーを作成します。

    バスのメンバーである既存のアプリケーション・サーバーを変換してクラスター・メンバーを作成する場合は、そのサーバー内のメッセージング・エンジンをクラスターの有効範囲にマイグレーションする必要があります。これを行うには、wsadmin コマンド migrateServerMEtoCluster を使用します。サーバーの有効範囲にあるメッセージング・エンジンを削除して、クラスターの有効範囲を再作成しないでください。この操作を行うと、そのメッセージング・エンジンで既に構成されている宛先を使用できなくなります。

  • クラスターを始動する。
  • スクリプトを使用して、クラスター作成のタスクを自動化します。
  • 高可用性インフラストラクチャーが使用不可になった場合、静的ルーティング・テーブルを作成して、 一時的にクラスターの IIOP ルーティングを処理します。

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=trun_wlm_cluster_v61
ファイル名:trun_wlm_cluster_v61.html