バージョン 5.1 Web サービス・ゲートウェイ構成のマイグレーション

WebSphere® Application Server バージョン 5.1 において、Web サービス・ゲートウェイは、独自のユーザー・インターフェースを持つ分離可能なコンポーネントでした。後続バージョンにおいて、このゲートウェイはサービス統合バス対応 Web サービスに統合され、インバウンド・サービスおよびアウトバウンド・サービスの拡張およびリンクのための手段として再実装されています。wsadmin コマンド・スクリプトを使用して、バージョン 5.1 のアプリケーション・サーバーから後続バージョンのアプリケーション・サーバーまたはクラスターに、既存のゲートウェイ構成をマイグレーションします。

始める前に

既存のゲートウェイをマイグレーションする必要があるかどうかを判別します。
  • WebSphere Application Server バージョン 5.0 はサポート対象ではなくなりました。 このため、バージョン 5.0 アプリケーション・サーバーで実行しているすべての既存ゲートウェイをマイグレーションし、この製品の現行レベルのアプリケーション・サーバーで実行する必要があります。
  • WebSphere Application Server バージョン 5.1 で実行されている Web サービス・ゲートウェイは、バージョン 7.0 以降 アプリケーション・サーバーで実行されるゲートウェイ・インスタンスと共存可能です (ただし、一定の制約事項があります)。.
  • バージョン 7.0 以降 セルの内容としては、バージョン 5.1バージョン 6、および バージョン 7.0 以降 のアプリケーション・サーバーが可能です.
詳しくは、共存: バージョン 5.1 ゲートウェイの保存またはマイグレーションを参照してください。

実動中のバージョン 5.1 ゲートウェイを停止することなくマイグレーションすることができます。要求側のアプリケーションは、既存のバージョン 5.1 ゲートウェイが実行を継続している間に、新規のゲートウェイ構成を使用するように切り替えることができます。

このタスクについて

マイグレーション・プロセスでは、構成が XML ファイルにエクスポートされている バージョン 5.1 ゲートウェイ・アプリケーションを利用し、そのエクスポート済みの XML ファイルを使用して、新しいバージョンの単一アプリケーション・サーバーまたはクラスター上に同一のゲートウェイ機能を構成します。これを行うには、バージョン 5.1 ゲートウェイ構成をエクスポートし、スクリプトを実行して、エクスポートされた構成を新しいバージョン上の既存のアプリケーション・サーバーまたはクラスターの新規ゲートウェイ・インスタンスにマイグレーションします。

バージョン 5.1 構成は、次のようにマイグレーションされます。
  • マイグレーション・プロセスの一部として、ゲートウェイ・インスタンスが自動的に作成されます。
  • ゲートウェイ・サービス、ターゲット・サービス、および UDDI 参照が直接マイグレーションされます。
  • JAX-RPC ハンドラーおよびハンドラー・リストのゲートウェイ内の定義も マイグレーションされます。 基礎となるハンドラー・クラスが実行時に使用可能であることを確認する必要があります。
  • 特定チャネルへのゲートウェイ・サービスの割り当ては、特定のインバウンド・ポートとエンドポイント・リスナーのペアに対する同等の割り当てで置き換えられます (これは、後続バージョンでは、チャネルの機能がエンドポイント・リスナーとインバウンド・ポートの間で共有されるためです)。Apache SOAP チャネルの使用はすべて、SOAP over HTTP エンドポイント・リスナーおよびインバウンド・ポートにマイグレーションされます。
  • 既存のフィルターはマイグレーションされません。バージョン 5.1.1 でフィルターの使用が非推奨になり、バージョン 7.0 でフィルターのサポートが廃止されました。 そのロールは、以前はフィルターが担当していましたが、現在では JAX-RPC ハンドラーおよびサービス統合バス・メディエーションの組み合わせが担当しています。
  • ゲートウェイ・サービスではなくターゲット・サービスの WSDL から生成される Web サービス・クライアントは、後続バージョンではデフォルトでエラーのフラグが立てられます。
  • バージョン 5.1 のゲートウェイ・サービス WSDL を使用して Web サービス・クライアントを生成しており、WSDL バインディングとエンコードのスタイルが文書リテラルではない場合は、後続バージョンへのマイグレーション後に、新規ゲートウェイ・サービス WSDL を使用してクライアント・スタブを再生成する必要があります。
  • WS-Security バインディングは、WS-Security ドラフト 13 仕様に適合するバインディングとして マイグレーションされます。 ただし、以下の制限があります。
    • WS-Security 仕様の (WebSphere Application Server バージョン 6 に実装されている) 最終バージョン (1.0) はドラフト 13 バージョンと互換性がありません。したがって、WebSphere Application Server バージョン 6 では WS-Security ドラフト 13 の使用は推奨されません。WS-Security ドラフト 13 の使用は推奨されません。WS-Security ドラフト 13 は、WS-Security ドラフト 13 仕様に従って作成された既存の Web サービス・クライアント・アプリケーションを継続して使用できるようにする場合にのみ使用してください。
    • WS-Security バインディング・オブジェクトは、マイグレーション・プロセスが、スタンドアロン・サーバーの場合にターゲット・サーバーが稼働しているマシン上、または Network Deployment 構成でデプロイメント・マネージャーが実行されているマシン上で実行される場合にのみマイグレーションされます。
    • ゲートウェイ・サービスまたはターゲット・サービスの WS-Security 構成により使用される WS-Security バインディング・オブジェクトのみマイグレーションされます。 作成しても使用しないバインディング・オブジェクトはマイグレーションされません。 例えば、署名情報オブジェクトを参照する WS-Security 構成があり、 署名情報オブジェクトがトラスト・アンカーを参照する場合、 署名情報オブジェクトおよびトラスト・アンカー・オブジェクトは、 それらを参照する WS-Security 構成とともにマイグレーションされます。
注:
  • マイグレーションでは、マイグレーションされたサービスの外部 Web アドレスが不変であることが前提になります。 この前提事項は、これらのアドレスが、ゲートウェイがホストされているマシンではなく、Web サーバーに関連付けられていること、 したがって、これらのアドレスのホスト名とポート番号は影響を受けないという予想に基づいています。 ご使用の構成で、 外部 Web アドレスがゲートウェイのマシンを指している場合は、 マイグレーション・プロセスが完了した後、エンドポイント・リスナー構成を変更します。
  • WebSphere Application Server Network Deployment を使用して、構成プロファイル (スタンドアロン・サーバーまたはデプロイメント・マネージャー) の下で実行されている単一サーバーへのマイグレーションが可能です。ただし、デプロイメント・マネージャー・プロファイルの下で実行されている単一サーバーへ マイグレーションすることをお勧めします。 スタンドアロン・サーバー・プロファイルへマイグレーションする場合、 その後、管理コンソールを使用してゲートウェイ構成を変更することはできません。
  • サービス統合バス対応 Web サービスでは、Web サービス・メッセージについて、WebSphere Application Server バージョン 5.1 よりも徹底的に妥当性検査を行います。その結果、形式が不適切な要求または応答 (メッセージ・パーツの名前が誤っている) を使用し、かつバージョン 5.1 の使用時には正常に動作するいくつかのクライアント・アプリケーションが、形式が不適切であると認識されるようになります。問題解決のために実行するステップについては、 バス対応 Web サービス: 既知の制約事項 を参照してください。

既存のゲートウェイ構成を バージョン 5.1 アプリケーション・サーバー から、新しいバージョンのアプリケーション・サーバー またはクラスターのゲートウェイ機能へマイグレーションするには、以下のステップを実行します。

手順

  1. オプション: バージョン 5.1 ゲートウェイからあらゆるフィルターを除去します。
    フィルターが入っているゲートウェイもマイグレーションできます。 ただし、フィルターは後続バージョンでは機能しないので、以下のステップに従って、マイグレーション前に構成からフィルターを除去することをお勧めします。
    1. バージョン 5.1 のゲートウェイがフィルターを使用するかどうかを確認します。 詳しくは、the WebSphere Application Server バージョン 5.1 のトピック『ゲートウェイ・デプロイ・フィルターのリストおよび管理』を参照してください。
    2. すべてのフィルターを除去します。 詳しくは、the WebSphere Application Server バージョン 5.1 のトピック『Web サービス・ゲートウェイからのフィルターの除去』を参照してください。
    マイグレーション後に、JAX-RPC ハンドラーとサービス統合バス・メディエーションを組み合わせることで、 フィルター機能を再作成することができます。ルーティング・フィルターを含む Web サービス・ゲートウェイをマイグレーションする場合は、フィルター機能を再作成することができます。
  2. 後続バージョンの単一サーバーまたはクラスターであり、Network Deployment セルの一部であるターゲット・サーバーまたはクラスターを選択します。
  3. ターゲット・ サーバーまたはクラスターを サービス統合バスのメンバーとして構成します。
  4. ターゲット・ サーバーまたはクラスターのセル有効範囲にサービス・データ・オブジェクト (SDO) リポジトリーを構成します。
  5. EJB バインディングをマイグレーションし、 継続して RPC エンコード・バインディングまたは文書リテラル以外のバインディングを使用する場合、 正しいタイプのバインディングを EJB バインディング WSDL に追加します。 バージョン 5.1 ゲートウェイのデフォルトのバインディングは RPC-encoded であり、新しいバージョンのデフォルトのバインディングは文書リテラルであるため、このステップは必須です。
  6. ソース (バージョン 5.1) アプリケーション・サーバーが稼働していることを確認してから、バージョン 5.1 ゲートウェイのユーザー・インターフェースを使用して、バージョン 5.1 アプリケーション・サーバーのゲートウェイ構成をプライベート構成としてバックアップします。 詳しくは、the WebSphere Application Server バージョン 5.1 トピック: ゲートウェイ 構成のバックアップを参照してください。
  7. オプション: バージョン 5.1 アプリケーション・サーバーを停止します。
    注: 実稼働環境で使用中のゲートウェイをマイグレーションする場合、新しいバージョン上でのゲートウェイ構成が 完了するまでは バージョン 5.1 ゲートウェイをそのまま稼働させておき、 その後、既存の バージョン 5.1 ゲートウェイが稼働し続けている間に、要求側アプリケーション が新規のゲートウェイ構成を使用するように切り替えます。ただし、両方のバージョンのゲートウェイが同時に実行中である必要はありません。新しいバージョン上のサーバーまたはクラスターを開始する前に バージョン 5.1 サーバーの停止が必要な場合があります (例えば、同一のマシンに同一のポート番号を使用して、バージョン 5.1 サーバーの直接の置き換えとして新しいバージョンにサーバーまたはクラスターをインストールする場合)。
  8. 後続バージョンのターゲット・アプリケーション・サーバーまたはクラスター、およびターゲット・セルのデプロイメント・マネージャー (管理対象セル内の単一サーバーまたはクラスター用) を開始します。
  9. バージョン 5.1 アプリケーション・サーバーのターゲット・サービスを定義するのに使用されたすべての WSDL 文書が、指定されたロケーションで使用可能であることを確認します。WSDL ロケーションが UDDI 参照の場合は、 参照される UDDI レジストリーが使用可能であることを確認します。
  10. オプション: マイグレーションするゲートウェイで JAX-RPC ハンドラーおよびハンドラー・リストが使用される場合、 基礎となるハンドラー・クラスが実行時に使用可能であることを確認します。
  11. エクスポートした構成を後続バージョンのアプリケーション・サーバーまたはクラスターの新規ゲートウェイ・インスタンスにマイグレーションするには、以下のステップを実行します。
    1. コマンド・プロンプトを開き、app_server_root/util ディレクトリーに移動します。
    2. 以下のコマンドを実行します。
      [IBM i]注: [IBM i]wsadmin スクリプト・クライアントは Qshell から実行されます。. [IBM i]詳しくは、wsadmin スクリプトを使用した WebSphere スクリプトを実行するための Qshell の構成.
      migratewsgw[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS].ext -C=cell_name [-S=server_name -N=node_name] 
                          [-X=cluster_name] -B=bus_name 
                           -G=v5_gateway_configuration_file_name 
                          [-H=administration_hostname] [-A=administration_port] 
                          [-U=gateway_instance_name] [-P=object_prefix] 
                          [-username=WAS_user_ID -password=WAS_password]
      各部の意味は、次のとおりです。
      • [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS].ext は、ファイル拡張子であり、Windows システムの場合は .bat、Unix または Linux システムの場合は .sh です。
      • 大括弧 ("[ ]") は、パラメーターまたは パラメーター・セットが環境によってはオプション・パラメーターであることを 示します。
      • server_name および node_name、 (単一サーバーの場合)、または cluster_name (クラスターの場合) は、合わせてゲートウェイ構成をマイグレーションするサーバー またはクラスターを定義します。
      • cell_nameserver_name および node_name (または cluster_name)、administration_hostname および administration_port は、合わせて後続バージョンのアプリケーション・サーバー (またはクラスター) への接続を定義します。server_name または cluster_name は、 エンドポイント・リスナーおよびアウトバウンド・ポート宛先が作成される ターゲット・アプリケーション・サーバーまたは クラスターの名前を指定します。 管理対象セルの一部であるサーバーまたは クラスターへマイグレーションする場合、administration_hostname および administration_port は、デプロイメント・マネージャーの ホスト名および SOAP 管理ポート番号を定義します。 管理対象セルの一部ではないサーバーへマイグレーションする場合、administration_hostname および administration_port は、 スタンドアロン・サーバーのホスト名およびポート番号を定義し、オプションになります。 省略された場合、コマンドでは、意図された値が localhost:8880 (つまり、スタンドアロン・サーバー用の WebSphere Application Server のデフォルト値) であると想定されます。
        [IBM i]注: administration_hostname は、 IBM i プラットフォームの場合は必須です。
      • v5_gateway_configuration_file_name は、エクスポートしたバージョン 5.1 の専用ゲートウェイ XML 構成ファイルの絶対パスおよびファイル名です。
      • bus_name および gateway_instance_name は、 合わせてこのバス内に作成するゲートウェイ・インスタンスを定義します。 このバス内に複数のゲートウェイ・インスタンスを作成する場合は、gateway_instance_name のみが必要となります。このオプション・パラメーターを省略すると、デフォルト名が割り当てられます。
      • object_prefix は、マイグレーション・プロセスで定義されたオブジェクトの名前の接頭部に使用されるストリングです。省略されると、マイグレーション済みサービスの名前空間 URI (デフォルト値 urn:ibmwsgw) が代わりに使用されます。
      • ターゲット・ アプリケーション・サーバーまたは クラスターがパスワードで保護されている場合は、WAS_user_ID および WAS_password は必須です。
  12. オプション: マイグレーションされたサービスの外部 Web アドレスが マイグレーション・プロセスによって変更された場合、エンドポイント・リスナー構成を変更して、 これらのアドレスを更新します。 外部 Web アドレスが Web サーバーではなくゲートウェイ・マシンを指しており、 ゲートウェイを別のマシンまたは同一のマシン上の別のポートへマイグレーションした場合、この更新を行う必要があります。

次のタスク

注:
  • バージョン 5.1 ゲートウェイでフィルターを使用していた場合は、JAX-RPC ハンドラーとサービス統合バス・メディエーションを組み合わせることでフィルター機能を再作成します。
  • ゲートウェイ構成に、複数のターゲット・サービスのあるゲートウェイ・サービスが含まれている場合、バージョン 5.1 構成で、ルーティング・フィルターを使用して特定のターゲット・サービスが選択されていた可能性があります。この場合は、ルーティング・メディエーションを介してターゲット・サービスおよびポートを選択するように、 マイグレーションしたゲートウェイを構成する必要があります。
  • 新しいバージョンの Web サービス・ゲートウェイ ではメッセージ処理に使用するメモリー量が増加したため、マイグレーションしたゲートウェイを介して大容量の添付ファイルを 渡すと、Java 仮想マシンで メモリー不足エラーが発生する可能性があります。この問題を解決するには、JVM のヒープ・サイズを増やします。

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=twsg_coex_migrate
ファイル名:twsg_coex_migrate.html