SDO リポジトリーのインストールおよび構成

サービス・データ・オブジェクト (SDO) は、異なるデータ・ソースからのデータを統一された方法で (データ・グラフとして) アプリケーションが取り扱えるようにするためのオープン・スタンダードです。サービス統合バス対応 Web サービスは、WSDL 定義の保管およびサービス提供に SDO リポジトリーを使用します。このタスクを使用して、SDO データを保管する優先データベースの作成と構成、およびバス対応 Web サービスに使用する予定の各サーバーへの SDO リポジトリーのインストールと構成を行います。

始める前に

バス対応 Web サービスのインストールの計画に説明されているように、SDO リポジトリーをインストールして構成するサーバーまたはクラスターを 決定し、次に、バスのメンバーの構成に説明されているように、各サーバーまたは クラスターをバスのメンバーとして追加します。

SDO リポジトリーはほとんどのデータベース製品に対応します。 優先データベースの選択および構成について詳しくは、データベース管理者に問い合わせるか、データベース製品の資料、またはこのトピックに示されているデータベースの使用に関する注意事項を参照してください。

このタスクについて

SDO リポジトリーをインストールおよび構成する ために実行する手順は以下のとおりです。
  • 優先データベース製品をインストールします。
  • 使用するデータベースの JDBC プロバイダーおよびデータ・ソースを作成します。
  • installSdoRepository.jacl スクリプトを 1 回以上実行して、 各サーバーに SDO アプリケーションをインストールし、 SDO リポジトリーが使用するデータベース・タイプを設定します。
これを実行する方法についての詳細は、最初にデータベース使用法、および installSdoRepository.jacl スクリプトに関する下記の注意事項をお読みになってから、次の構成のいずれかについて以下のステップを実行します。
データベースの使用に関する注意事項:
  • [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]単一サーバー構成の場合、優先データベースを使用するか、または WebSphere® Application Server に提供されている組み込み Apache Derby データベースを使用できます。 [z/OS]z/OS® 環境で組み込みの Derby データベースを使用することはできません。 これは、このデータベースには一度に 1 つのプロセスしかアクセスできない一方で 、z/OS 上に存在するサーバーは単一の場合でも複数のプロセスで稼働することができるためです。
  • Network Deployment 構成の場合、優先データベースを使用するか、または提供されている Derby データベースおよび関連付けられたネットワーク・サーバー・アプリケーションを使用できます。ただし、Derby Network Server の制約に注意してください。 例えば、トランザクションはサポートされません。
  • SDO リポジトリーは、使用するスキーマおよびテーブルの名前を指定するため、それぞれのリポジトリーで別々のデータベースを使用して、同じデータにアクセスすることがないようにする必要があります。セルごとに 1 つの SDO リポジトリーを使用し、複数のセルがある場合は複数のデータベース (セルごとに 1 つ) を使用します。
  • [z/OS]z/OS 上の DB2® には、複数データベースの概念がありません。 z/OS システムでは、各 SDO リポジトリーで別々の DB2 インスタンスを使用し、異なるリポジトリーが同じデータにアクセスしないようにしなければなりません。
  • ユーザーの優先するデータベースの提供業者用にデータベ ースを作成するには、Table.ddl ファイルを関連する app_server_root/util/SdoRepository/database_type ディレクトリーから使用します。Table.ddl ファイルには、SDO リポジトリーで必要なデータベース・テーブルが記述されています。
  • installSdoRepository.jacl スクリプトの -editBackendId フラグは、リポジトリーが使用するデータベース・タイプを決定します。 バックエンド ID は、アプリケーションがデータベースと交信する際にどのデータベース固有規則に従うかを決定します。 installSdoRepository.jacl スクリプトに関する注意事項を参照してください。
  • 一部のデータベースでは、ユーザー ID に SDO リポジトリー・データベースへのアクセス権が付与されている必要があります。 Oracle、Sybase、および SQL Server の各データベース用のテーブルを作成する場合はその前に、SDOREP というユーザー名でユーザー ID を作成します。 これらのデータベースがユーザ名およびテーブル名を取り扱う方法のために、ユーザー名を SDOREP に設定し、SDO リポジトリーが完全修飾名 SDOREP.BYTESTORE でそのテーブルにアクセスできるようにする必要があります。 SDOREP ユーザーには、データベースに対する、読み取りおよび書き込みのアクセス権を付与する必要があります。
  • Informix® データベースを使用する場合は、ロギングを無効にしないでください。
  • SDO リポジトリーは、XA サポートを必要としません。ほとんどの場合、XA および 非 XA データ・ソースのいずれも使用することができます。ただし、データベースが Oracle 8 または 9 の場合は、SDO リポジトリー・データ・ソース用に JDBC ドライバー (非 XA) を使用する必要があります。
  • また、データベースのパフォーマンスを向上させるため、 基本キーの索引を作成するなど、他のステップを実行するようにすることもできます。 スキーマ、テーブル、および列名は変更しないでください。
  • WebSphere Application Server バージョン 6.0 および バージョン 6.1 以降のアプリケーション・サーバーが混合しているセルで使用するためにこの SDO リポジトリーを構成する場合は、これらすべてのバージョンと互換性のあるデータベースを使用しなければなりません。
installSdoRepository.jacl スクリプトに関する注意事項:
  • スクリプトを実行するには、 wsadmin スクリプト・クライアントを使用します。
  • [IBM i]QShell 内からスクリプトを実行します。
  • このスクリプトは app_server_root/bin ディレクトリーにあります。ここで、app_server_rootWebSphere Application Server インストール済み環境のルート・ディレクトリーです。別のディレクトリーから wsadmin スクリプト・クライアントを実行するようにした場合は、コマンド・オプションでスクリプトへの絶対パスを指定してください。 例えば、デフォルト・プロファイル以外のプロファイルを使用する場合は 、app_server_root/profiles/profile_name/bin ディレクトリーに移動してから、スクリプトに以下のパスを指定します。[IBM i]
    wsadmin -f app_server_root/bin/installSdoRepository.jacl
    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
    wsadmin.ext -f app_server_root/bin/installSdoRepository.jacl
    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]ここで ext はファイル拡張子 bat (Windows システムの場合)、または sh (UNIX、Linux、または z/OS システムの場合) です。
  • installSdoRepository.jacl スクリプトの -editBackendId フラグは、リポジトリーが使用するデータベース・タイプを決定します。 バックエンド ID は、アプリケーションがデータベースと交信する際にどのデータベース固有規則に従うかを決定します。 使用可能なバックエンド ID 値の全リストを見るには、-listBackendIds フラグを使用します。
    wsadmin -f installSdoRepository.jacl -listBackendIds
    SDO リポジトリーが 1 つ以上の WebSphere Application Server バージョン 7.0 以降 アプリケーション・サーバーにインストールされた場合、リスト内のすべてのバックエンド ID 値が使用できます。SDO リポジトリーが バージョン 6.0 サーバーにインストールされた場合は、(*) でマークが付けられた値は使用できません。 SDO リポジトリーが バージョン 6.0 サーバーまたは バージョン 6.1 サーバーにインストールされた場合、(**) でマークが付けられた値は使用できません。
  • データ・ソースが既に存在している場合、あるいは前に SDO リポジトリー・アプリケーションのインストールが失敗したり部分的に行われている場合、installSdoRepository.jacl スクリプトは完了することができず、構成の変更は保管されていません。このような場合は、SDO リポジトリー・アンインストール・スクリプトを実行し、問題を修正してから、installSdoRepository.jacl スクリプトを再実行します。
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

組み込みの Derby データベースを使用する、単一サーバー用の SDO リポジトリーの構成

[z/OS]

始める前に

[z/OS]z/OS 環境で組み込みの Derby データベースを使用することはできません。 これは、このデータベースには一度に 1 つのプロセスしかアクセスできない一方で 、z/OS 上に存在するサーバーは単一の場合でも複数のプロセスで稼働することができるためです。

このタスクについて

単一サーバー構成を作成するときに組み込みの Derby を使用する場合は、 -createDb スイッチを指定して installSdoRepository.jacl スクリプトを実行します。 このアクションにより、Cloudscape バージョン 10.1.x (Derby) データベースが作成され、SDO リポジトリーがインストールされます。

組み込みの Derby データベースが使用されるように単一サーバーの SDO リポジトリーを構成するには、以下のステップを実行します。

手順

  1. コマンド・プロンプトを開き、app_server_root/bin ディレクトリーに移動します。
  2. 次のコマンドを入力します。 [IBM i]
    wsadmin -f installSdoRepository.jacl -createDb
    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
    wsadmin.ext -f installSdoRepository.jacl -createDb
    注: -createDb フラグは、コマンドにデフォルト Derby データベースを作成するよう命令します。このフラグを省略した場合でも、コマンドは Derby を使用するために構成された SDO リポジトリーのインストールを続けますが、コマンドはデータベースを作成しません。

組み込みの Derby 以外のデータベースを使用する、単一サーバー用の SDO リポジトリーの構成

このタスクについて

組み込みの Derby 以外のデータベースを使用する単一サーバー構成を作成する場合は、 優先データベース製品をインストールし、JDBC プロバイダーとデータ・ソースを作成してから、 installSdoRepository.jacl スクリプトを 2 回実行します。
  1. アプリケーション・サーバー上で SDO アプリケーションを 1 回インストールします。
  2. SDO リポジトリーが使用するデータベース型を 1 回設定します。

組み込みの Derby 以外のデータベースが使用されるように単一サーバーの SDO リポジトリーを構成するには、以下のステップを実行します。

手順

  1. ユーザーの優先するデータベースの提供業者用にデータベ ースを作成するには、Table.ddl ファイルを関連する app_server_root/util/SdoRepository/database_type ディレクトリーから使用します。

    DB2 でのテーブル作成プロセスの図については、エクスポートされた表データ定義言語からのデータベース表の再作成を参照してください。詳しくは、データ・アクセス・アプリケーションのデプロイを参照してください。

  2. J2C 認証別名を作成します

    これは、次のステップで作成するデータ・ソースで使用するためのものです。認証別名が、ご使用のデータベース・インスタンスのログイン詳細と一致しているか確認してください。一致していない場合、接続は行われません。

  3. JDBC プロバイダーおよびデータ・ソースの作成と構成をします
    以下のデータ・ソース・プロパティーを設定します。
    • 直前のステップで作成した認証別名を使用するように「認証」プロパティーを設定します。
    • このデータ・ソースをコンテナー管理下パーシスタンス (CMP) で使用する」チェック・ボックスを選択します。
    • 名前」プロパティーを任意の名前に設定します。 例えば、SDO Repository DataSource など。
    • JNDI 名」プロパティーを、jdbc/com.ibm.ws.sdo.config/SdoRepository に設定します (値は正確に入力してください)。
    • 選択したデータベースの必須設定となるその他のすべてのプロパティーを設定します。
  4. オプション: データ・ソース接続をテストします。
    注: このオプションは、すべての構成で利用できるわけではありません。 このオプションが使用可能であるかどうかは、データ・ソースが定義されているスコープ、および JDBC プロバイダー構成およびデータ・ソース構成で使用される WebSphere Application Server 変数のスコープによって決まります。 データ・ソースの接続テストに関して詳しくは、接続サービスのテストを参照してください。
    1. 管理コンソールで、リソース (Resources) ->「JDBC」 ->「データ・ソース」の順に移動します。
    2. SDO リポジトリー・データ・ソースを選択します。
    3. 「テスト接続」をクリックします。
  5. SDO リポジトリーを構成します。
    1. コマンド・プロンプトを開き、app_server_root/bin ディレクトリーに移動します。
    2. サーバーに SDO リポジトリー・アプリケーションをインストールします。 [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadmin.ext -f installSdoRepository.jacl
    3. SDO リポジトリーが使用するデータベース型を設定します。
      [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl -editBackendId database_type
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadminext -f installSdoRepository.jacl -editBackendId database_type
      例えば、次のようにします。 [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl -editBackendId DB2UDB_V82
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadminext -f installSdoRepository.jacl -editBackendId DB2UDB_V82

Network Deployment セルの SDO リポジトリーの構成

このタスクについて

Network Deployment 環境で作業する場合、ユーザーの選択したデータベース製品をインストールし、次に JDBC プロバイダーおよびデータ・ソースを作成して、それぞれのセルごとに installSdoRepository.jacl スクリプトを複数回実行します。
  1. デプロイメント・マネージャー上で SDO アプリケーションを 1 回インストールします。
  2. SDO リポジトリーが使用するデータベース型を 1 回設定します。
  3. 1 つ以上のバス対応 Web サービスのロールに使用する予定の各サーバーまたはクラスター上に、SDO アプリケーションのインスタンスを複数回インストールします。

Network Deployment セルに SDO リポジトリーを構成するには、以下のステップを実行します。

手順

  1. ユーザーの優先するデータベースの提供業者用にデータベ ースを作成するには、Table.ddl ファイルを関連する app_server_root/util/SdoRepository/database_type ディレクトリーから使用します。

    DB2 でのテーブル作成プロセスの図については、エクスポートされた表データ定義言語からのデータベース表の再作成を参照してください。詳しくは、データ・アクセス・アプリケーションのデプロイを参照してください。

  2. 以下のノード・レベル WebSphere Application Server 変数を、デプロイメント・マネージャー・ノードなど影響を受けるすべてのノード上に作成します。
    注: これらの変数は、構成によってノードまたはセル有効範囲のいずれかに設定することができます。ただし、マルチプラットフォーム・ノードの場合は、セル有効範囲に WAS_INSTALL_ROOT を設定することはできません。 これは、ノードにはそれぞれ別のインストール・ディレクトリーがあるためです。
    1. 管理コンソールで、環境 ->「WebSphere 変数」の順に移動して、ノード・レベルにスコープを設定します。
    2. WAS_INSTALL_ROOT 変数が存在し、値として WebSphere Application Server のインストール用ルート・ディレクトリーが設定されていることを確認してください。
    3. セル内のホスト・マシンごとに (後続のステップで) データベース JAR ファイルを保管するロケーションの値を入れる、 新規の変数 your_database_JDBC_DRIVER_PATH を作成します。
  3. J2C 認証別名を作成します

    これは、次のステップで作成するデータ・ソースで使用するためのものです。認証別名が、ご使用のデータベース・インスタンスのログイン詳細と一致しているか確認してください。一致していない場合、接続は行われません。

  4. JDBC プロバイダーおよびデータ・ソースの作成と構成をします
    以下のデータ・ソース・プロパティーを設定します。
    • 直前のステップで作成した認証別名を使用するように「認証」プロパティーを設定します。
    • このデータ・ソースをコンテナー管理下パーシスタンス (CMP) で使用する」チェック・ボックスを選択します。
    • 名前」プロパティーを任意の名前に設定します。 例えば、SDO Repository DataSource など。
    • JNDI 名」プロパティーを、jdbc/com.ibm.ws.sdo.config/SdoRepository に設定します (値は正確に入力してください)。
    • 選択したデータベースの必須設定となるその他のすべてのプロパティーを設定します。
  5. セル内部の各ホスト・マシン上にデータベース・クライアント JAR ファイルを配置します。

    JAR ファイルは、前述のステップで宣言した your_database_JDBC_DRIVER_PATH 変数で指定されるロケーションにデプロイする必要があります。 ここにデプロイしないと、リモート・ノードは SDO リポジトリーに接続できません。

  6. SDO リポジトリーを構成します。
    1. コマンド・プロンプトを開き、app_server_root/bin ディレクトリーに移動します。
    2. このセル用のデプロイメント・マネージャーに SDO リポジトリー・アプリケーションをインストールします。 [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl deployment_manager_node_name deployment_manager_server_name
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadmin.ext -f installSdoRepository.jacl deployment_manager_node_name deployment_manager_server_name
      例えば、次のようにします。 [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl dmgrNode dmgr
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadmin.sh -f installSdoRepository.jacl dmgrNode dmgr
    3. SDO リポジトリーが使用するデータベース型を設定します。
      [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl -editBackendId database_type
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadminext -f installSdoRepository.jacl -editBackendId database_type
      例えば、次のようにします。 [IBM i]
      wsadmin -f installSdoRepository.jacl -editBackendId DB2UDB_V82
      [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
      wsadminext -f installSdoRepository.jacl -editBackendId DB2UDB_V82
    4. 1 つ以上のバス対応 Web サービスのロールに使用する予定の各サーバーまたはクラスター上に、SDO リポジトリーのインスタンスをインストールします。
      • クラスターの一部でない各サーバーごとに、以下のコマンドを繰り返します。[IBM i]
        wsadmin -f installSdoRepository.jacl node_name server_name
        [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
        wsadmin.ext -f installSdoRepository.jacl node_name server_name
      • 各クラスターごとに、以下のコマンドを繰り返します。[IBM i]
        wsadmin -f installSdoRepository.jacl -cluster cluster_name
        [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]
        wsadmin.ext -f installSdoRepository.jacl -cluster cluster_name

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



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http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=tjw_install_sdo
ファイル名:tjw_install_sdo.html