コア・グループ・ブリッジ・サービスを使用したコア・グループ通信

コア・グループ・ブリッジ・サービスを構成し、内部の製品コンポーネントについての可用性情報をコア・グループ間で共有できます。例えば、コア・グループ・ブリッジ・サービスを構成することにより、各コア・グループは、すべてのコア・グループに構成されているすべてのアプリケーション・サーバーの状況を認識できます。 通信するコア・グループを定義するには、アクセス・ポイント・グループを使用します。 コア・グループ・ブリッジ・サービスは、コア・グループ全体でアプリケーション情報を共有するためには使用されません。

コア・グループは、HA マネージャーの、静的に定義されたコンポーネントです。 各セルには、少なくとも 1 つのコア・グループが必要です。 本製品は、各セルに、DefaultCoreGroup と呼ばれるデフォルトのコア・グループを自動作成します。 追加のコア・グループを作成すると、コア・グループ・ブリッジとアクセス・ポイント・グループを構成して、さまざまなコア・グループが相互に通信し、ワークロード管理情報を共有できるようにすることができます。コア・グループ間にコア・グループ・ブリッジを構成しない場合、コア・グループは互いに分離されます。

コア・グループ・ブリッジは、以下の通信シナリオを使用可能になるよう構成できます。
  • 同一のセル内のコア・グループ間の通信
  • 異なるセル内のコア・グループ間の通信
  • 同一のセル内のコア・グループと、別のセル内の 1 つ以上のコア・グループとの間の通信
  • 別のネットワーク経由でのコア・グループ間の通信
  • プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループ間の通信
  • トンネル・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループ間の通信。IBM® WebSphere® Application Server の DMZ Secure Proxy Server を使用している場合は、このタイプの通信を構成する必要があります。

コア・グループ・ブリッジの概説

コア・グループ間の通信を構成するには、アクセス・ポイント・グループ を構成する必要があります。 アクセス・ポイント・グループは、相互に通信を行うコア・グループの集合です。 通信が必要なそれぞれのコア・グループごとに、コア・グループ・アクセス・ポイント をアクセス・ポイント・グループに追加します。

コア・グループ・アクセス・ポイント は、コア・グループの通信を行う、サーバー、ノード、およびトランスポート・チャネル・チェーンの組み合わせの集合です。 各コア・グループには、1 つ以上の定義済みのコア・グループ・アクセス・ポイントがあります。 DefaultCoreGroup には、デフォルトのコア・グループ・アクセス・ポイントが 1 つあります。 ただし、特定のコア・グループが異なるネットワーク上の別のコア・グループに接続することが必要な場合は、そのコア・グループに複数のコア・グループ・アクセス・ポイントを構成することを検討する必要があります。

コア・グループ・アクセス・ポイントにある、ノード、サーバー、およびトランスポート・チャネル・チェーンの組み合わせは、ブリッジ・インターフェース と呼ばれます。 ブリッジ・インターフェースをホスティングするサーバーは、コア・グループ・ブリッジ・サーバー です。 トランスポート・チャネル・チェーンは、他のコア・グループ・ブリッジ・サーバーとの通信に使用されるチャネルのセットを定義します。 各トランスポート・チャネル・チェーンには、コア・グループ・ブリッジ・サーバーが他のコア・グループ・ブリッジ・サーバーからのメッセージを listen するために使用する、構成済みのポートがあります。

各コア・グループ・アクセス・ポイントには、少なくとも 1 つのコア・グループ・ブリッジ・サーバーが必要です。 コア・グループ・ブリッジ・サーバーは、各コア・グループ・アクセス・ポイントに対して ブリッジ・インターフェースを提供します。コア・グループ・アクセス・ポイント内のコア・グループ・ブリッジ・サーバーは、 互いにバックアップとして機能するため、各コア・グループ・アクセス・ポイント内に 2 つの コア・グループ・ブリッジ・サーバーを持つことをお勧めします。次に、1 つのコア・グループ・ブリッジ・サーバーに障害が発生した場合、もう 1 つのコア・グループ・ブリッジ・サーバーが、障害を起こしたコア・グループ・ブリッジ・サーバーの責務を 引き継ぐことができます。

同一セル内のコア・グループ間の通信を構成する場合は、アクセス・ポイント・グループを 1 つ作成し、通信が必要なそれぞれのコア・グループごとにコア・グループ・アクセス・ポイントを追加します。

別々のセルにあるコア・グループ間のコア・グループ・ブリッジを構成する場合においても、アクセス・ポイント・グループを使用します。 ただし、それぞれのセルごとにアクセス・ポイント・グループを作成し、構成する必要があります。 各セルには、そのセル内にあるコア・グループ用のコア・グループ・アクセス・ポイント、および各ピア・セル用のピア・アクセス・ポイント で構成されている、アクセス・ポイント・グループがあります。

ピア・アクセス・ポイントは、異なるセル内に構成されたコア・グループ・アクセス・ポイントを参照します。 各アクセス・ポイント・グループには、それぞれの異なるセルごとに 1 つのピア・アクセス・ポイントが必要です。 複数のピア・アクセス・ポイントが同一のセルを参照するよう構成しないでください。

各ピア・アクセス・ポイントには、1 つ以上の ピア・ポート または 1 つの プロキシー・ピア・アクセス・ポイント があります。

ピア・ポートは、ピア・セルで定義されているブリッジ・インターフェースに対応します。 各ピア・アクセス・ポイントにいくつかのピア・ポートを定義することができます。

ピア・ポートを使用して直接ピア・アクセス・ポイントに到達できないが、 別のピア・アクセス・ポイントを使用すれば到達できる場合には、プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを定義します。 プロキシー・ピア・アクセス・ポイントは、直接到達できないピア・コア・グループと通信できるピア・アクセス・ポイントを指定します。 プロキシー・ピアには、定義済みのピア・ポートが必要です。 1 つのプロキシー・ピアか、1 つ以上のピア・ポートのいずれか一方のみを指定してください。

下図には、ピア・ポートのあるピア・アクセス・ポイントを使用する、2 つの別々のセル間のコア・グループ・ブリッジ構成が示されています。

図 1. 2 つの異なるセルのコア・グループ・ブリッジ構成2 つのセルのコア・グループ間の通信

セル内およびセル外の通信

以下の例は、3 つの異なるセル内にある 3 つのコア・グループ間の構成を示します。 各セルには、そのセル内のコア・グループ間で通信するためのアクセス・ポイント・グループが 1 つあります。各セルには、 定義済みの access_point_group_xyz アクセス・ポイント・グループもあります。 このアクセス・ポイント・グループには、そのセル内のコア・グループ用のコア・グループ・アクセス・ポイント・グループが 1 つと他の 2 つのセル内の各コア・グループ用のコア・グループ・アクセス・ポイントが 1 つあります。

図 2. セル外のコア・グループでの、同一セル内にあるコア・グループ間の通信
セル内外の通信

以下の例は、 cell_x セルと cell_z セル間の通信用の、ブリッジ・インターフェースとピア・ポートの関係を示しています。 cell_x セルに対しては、2 つのブリッジ・インターフェースが定義されています。cell_z セルには、 cell_x セルで定義されたブリッジ・インターフェース情報に対応するピア・ポートが定義されている、 x_core_group_ap_2 コア・グループ・アクセス・ポイント用のピア・アクセス・ポイントがあります。

図 3. 他のセル内のピア・ポートに対応する 1 つのセル内のブリッジ・インターフェース
ブリッジ・インターフェースおよびピア・ポート

その結果、core_group_xcore_group_y、および core_group_z コア・グループは、 相互に通信を行うことができます。

別のネットワーク経由でのコア・グループ間の通信

このシナリオでは、 1 つのコア・グループを構成して、2 つ以上のネットワーク経由で別のセルにある 2 つ以上のコア・グループと通信します。 例えば、cell_x セル内のコア・グループは、 cell_y および cell_z セル内のコア・グループと通信する必要があります。 cell_x セル内に 2 つのアクセス・ポイント・グループを作成します。cell_x セル内の access_point_group_xy アクセス・ポイント・グループは、 cell_y セル内のコア・グループ用のコア・グループ・アクセス・ポイントおよびピア・アクセス・ポイントで構成されています。 cell_x セル内の access_point_group_xz アクセス・ポイント・グループは、 cell_z セル内のコア・グループ用のコア・グループ・アクセス・ポイントおよびピア・アクセス・ポイントで構成されています。 cell_y セルは、cell_x セル用のコア・グループ・アクセス・ポイントおよび ピア・アクセス・ポイントを持つ access_point_group_xy アクセス・ポイント・グループを持ちます。cell_z セルは、 cell_x セル用のコア・グループ・アクセス・ポイントおよびピア・アクセス・ポイントを持つ access_point_group_xz アクセス・ ポイント・グループを持ちます。
図 4. 異なるネットワーク経由でのコア・グループ通信
2 つの異なるネットワーク全体のコア・グ
ループ通信

コア・グループが直接通信できない場合は、プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用しできます。 2 つのコア・グループは、2 つのコア・グループ間で情報を渡すことができる単一のコア・グループにアクセスする必要があります。 プロキシー・ピア・アクセス・ポイントの動作について理解するには、飛行機での旅行の際の飛行機の乗り継ぎを思い浮かべてください。 ピッツバーグからロンドンに行くには、まずニューヨーク市へ行き、ロンドン行きの便に乗り換える必要があります。 このニューヨーク市が、ロンドンへの プロキシー・ピア・アクセス・ポイント です。

プロキシー・ピアを定義すると、 cell_x セルの x_core_group_2 コア・グループは、 cell_z セル内のコア・グループと直接通信することができません。ただし、 両方のコア・グループは cell_y セル内のコア・グループと通信することができます。 cell_x セルと cell_z セル間の通信を構成するには、 2 つのアクセス・ポイント・グループを構成する必要があります。cell_y セル内のコア・グループ・アクセス・ポイントは、 access_point_group_xy アクセス・ポイント・グループおよび access_point_group_yz アクセス・ポイント・グループ の両方にあります。下図には、プロキシー・ピア構成の概要が示されています。
図 5. プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループの通信
プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループの通信

トンネル・プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループ間の通信

ファイアウォールがあるためにコア・グループが相互に直接通信できない場合は、 トンネル・プロキシー・ピア・アクセス・ポイントを使用することができます。通常、 ファイアウォールが 2 つのコア・グループの間に存在していると、 コア・グループは相互に通信できません。ただし、IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverが、 ファイアウォール外部の非武装地帯に存在する場合、トンネル・アクセス・ポイント・グループを作成することができます。 このトンネル・アクセス・ポイント・グループによって、ファイアウォール内部のサーバーで実行中のコア・グループと、IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverで実行中のコア・グループ間の コア・グループ・ブリッジ・トンネルを設定することができます。

トンネル・アクセス・ポイント・グループは、 コア・グループが相互に通信するために使用するアクセス・ポイントを定義します。トンネル・アクセス・ポイント・グループは、 トンネル・ピア・アクセス・ポイントとコア・グループ・アクセス・ポイントで構成されます。トンネル・ピア・アクセス・ポイントは、IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverで実行中のコア・グループとの通信を設定するために使用されます。 コア・グループ・アクセス・ポイントは、ファイアウォールの内側で実行中のコア・グループ間の通信を設定するために使用されます。

ファイアウォール内部のセルの複数のコア・グループが、IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverで実行中のコア・グループと通信する必要がある場合でも、 一度に通信を設定できるコア・グループは 1 つのみです。IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverは、コア・グループの 1 つとの接続が正常に設定されるまで、 ファイアウォール内部のそれぞれのコア・グループとの接続を順に試行します。通信が設定された後、IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverは、 通信が失敗するまでそのコア・グループとの接続を維持します。

IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverは、 そのコア・グループとの通信の再設定を 2 回試みます。IBM WebSphere Application Server の DMZ Secure Proxy Serverは、 そのコア・グループと通信を再設定できない場合、トンネル・ピア・アクセス・ポイントがトンネル・アクセス・ポイント・グループに存在している、 その他のコア・グループの 1 つと通信を設定しようとします。

図 6. トンネル・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループの通信
トンネル・ピア・アクセス・ポイントを使用するコア・グループの通信

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