定義済み調整テンプレートを使用したアプリケーション・サーバーの調整

Python ベースの調整スクリプト applyPerfTuningTemplate.py をそのテンプレート・ファイルの 1 つとともに使用して、定義済みのパフォーマンス調整テンプレートをアプリケーション・サーバーまたはクラスターに適用することができます。プロパティー・ベースのテンプレート・ファイルは WAS_HOME¥scriptLibraries¥perfTuning¥V70 ディレクトリーにあります。 スクリプト・ファイルのパスは wsadmin -f <WAS_HOME>¥bin¥applyPerfTuningTemplate.py です。

始める前に

ベスト・プラクティス ベスト・プラクティス: このスクリプトにより適用される構成設定、および関連する調整テンプレートは、さらに調整を加える際の開始点としてユーザーの検討対象または使用対象となる、パフォーマンス・チューニング・オプションと見なすことができます。各定義済みテンプレートにより適用される構成設定は、アプリケーション・サーバーに共通の環境またはシナリオを最適化することを目的としています。通常、これらの設定で多くのアプリケーションのパフォーマンスが改善されます。

パフォーマンスの最適化は多くの場合、フィーチャー、機能、または機能の動作とのトレードオフになるため、これらの設定には、アプリケーションの正確さに影響を与える可能性があるものや、ご使用の環境にとって不適切となる可能性があるものもあります。以下の資料を確認し、これらの設定がアプリケーションのインベントリーおよびインフラストラクチャーに与える影響を検討してください。

すべてのパフォーマンス調整の実行と同様に、定義済みテンプレートで構成する設定は管理された実動前テスト環境で評価する必要があります。その後、カスタマイズされたテンプレートを作成して、アプリケーションおよび実稼働環境のニーズに合わせて調整設定を改良できます。

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注: このトピックでは、 1 つ以上のアプリケーション・サーバー・ログ・ファイルを参照します。推奨される代替案として、分散システムや IBM® i システムの SystemOut.logSystemErr.logtrace.logactivity.log ファイルではなく、High Performance Extensible Logging (HPEL) ログおよびトレース・インフラストラクチャーを使用するようにサーバーを構成できます。また HPEL は、ネイティブ z/OS® ロギング機能と連携させて使用することができます。HPEL を使用する場合、LogViewer コマンド・ライン・ツールを サーバー・プロファイルの bin ディレクトリーから使用して、すべてのログ・ファイルにアクセスし、 情報をトレースできます。HPEL の使用について詳しくは、HPEL を使用してのアプリケーションの トラブルシューティングに関する情報を参照してください。
applyPerfTuningTemplate.py スクリプトを実行する場合は通常、peak.props テンプレート・ファイルまたは development.props テンプレート・ファイルを指定して、ターゲット・サーバーまたはターゲット・クラスターに適用します。
  • applyPerfTuningTemplate.py スクリプトの実行時に peak.props テンプレート・ファイルを指定すると、スクリプトは、アプリケーションの変更がほとんど行われず最適なランタイム・パフォーマンスが重要である、実稼働環境に適した構成設定を適用します。
  • applyPerfTuningTemplate.py スクリプトの実行時に development.props テンプレート・ファイルを指定すると、スクリプトは、アプリケーションの更新が頻繁に行われシステム・リソースが最小限である、開発環境に適した構成設定を適用します。

これら共通テンプレートのほかに、3 番目のテンプレート・ファイルである default.props が提供されています。このファイルを使用すると、すぐに使用可能なデフォルト設定にサーバー構成設定を戻すことができます。

独自のカスタム調整テンプレートを作成することもできます。カスタム調整テンプレートを作成するには、既存のテンプレートの 1 つをコピーし、構成設定をご使用のアプリケーションおよび環境のニーズにより良く合致するものに変更し、その後に、applyPerfTuningTemplate.py スクリプトを使用してこれらのカスタマイズ設定を適用します。スクリプト・ファイルおよびプロパティー・ファイルは、wsadmin が提供するプロパティー・ファイル構成管理機能を活用して、追加のサーバー・コンポーネントを調整するために簡単に拡張できます。 詳しくは、トピック『プロパティー・ファイルを使用したシステム構成の管理』を参照してください。

このタスクについて

次の表で、applyPerfTuningTemplate.py スクリプトの実行時に指定するテンプレート・ファイルに基づいて発生する、構成の変更を参照してください。この表の空白セルは、リストされたパラメーターが構成されていない、またはサーバーのデフォルト用に、デフォルト設定に構成が戻されていることを示します。

表 1. パラメーターとそのテンプレート値を調整する. 以下の表には、調整するパラメーターと、そのデフォルトのテンプレートの値、実動テンプレートの値、および開発テンプレートの値が含まれています。
パラメーター サーバーのデフォルト (default.props テンプレート・ファイル) 実稼働環境 (peak.props テンプレート・ファイル) 開発環境 (development.props テンプレート・ファイル)
JVM ヒープ・サイズ (MB)

この設定の詳細については、トピック『IBM の Java 仮想マシンの調整』を参照してください。

50 (最小) / 256 (最大) 512 (最小) / 512 (最大) 256 (最小) / 512 (最大)
Verbose GC

この設定の詳細については、トピック『IBM の Java 仮想マシンの調整』を参照してください。

disabled 使用可能 disabled
JVM 診断トレース (汎用 JVM 引数)

この設定の詳細については、トピック『IBM の Java 仮想マシンの調整』を参照してください。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): この設定により、Web サービスが特定のシナリオで使用されるときに問題が生じる可能性があります。 したがって、Web サービスを実行しているときに、スループット最適化の問題が 発生する場合は、このパラメーターをスクリプトから削除するか、opti レベルを 0 に設定できます。gotcha
-Dcom.ibm.xml.xlxp.jaxb .opti.level=3 -Dcom.ibm.xml.xlxp.jaxb .opti.level=3 -Dcom.ibm.xml.xlxp.jaxb .opti.level=3
HTTP (9080) および HTTPS (9443) チャネル maxKeepAliveRequests

この設定について詳しくは、HTTP トランスポート・チェーン・カスタム・プロパティーに関するトピックを参照してください。

100 10000 10000
TCP チャネル maxOpenConnections 20000 500 500
TCP チャネル listenBacklog 511 128 128
開発モード

この設定の詳細については、トピック『アプリケーション・サーバー設定』を参照してください。

disabled   使用可能
サーバー・コンポーネント・プロビジョニング

この設定の詳細については、トピック『アプリケーション・サーバー設定』を参照してください。

disabled 使用可能 使用可能
PMI 統計セット

この設定の詳細については、トピック『PMI データ収集の使用可能化』を参照してください。

basic none none
認証キャッシュ・タイムアウト

この設定の詳細については、トピック『認証キャッシュ設定』を参照してください。

10 分 60 分 60 分
データ・ソース接続プール・サイズ*

この設定の詳細については、トピック『接続プール設定』を参照してください。

1 (最小) / 10 (最大) 10 (最小) / 50 (最大)  
データ・ソースの準備済みステートメント・キャッシュ・サイズ*

この設定の詳細については、トピック『WebSphere® Application Serverデータ・ソース・プロパティー』を参照してください。

10 50  
ORB 参照による受け渡し**

この設定の詳細については、トピック『オブジェクト・リクエスト・ブローカー・サービス設定』を参照してください。

disabled 使用可能 使用可能
Web サーバー・プラグイン ServerIOTimeout 900 900 900
スレッド・プール (Web コンテナー、ORB、デフォルト)

この設定の詳細については、トピック『スレッド・プール設定』を参照してください。

50 (最小) / 50 (最大)、10 (最小) / 50 (最大)、20 (最小) / 20 (最大)   5 (最小) / 10 (最大)
表中の注記:
  • * は、構成に存在する場合にのみ調整される項目を示します。例えば、データ・ソース接続プールは通常、アプリケーションがアプリケーション・サーバーにインストールされるまで存在しません。スクリプトの実行後にこれらの項目が作成された場合は、他の設定を指定しない限り、標準のサーバー・デフォルト値が指定されます。
  • ** ORB 参照による受け渡しを使用可能にすると、Java EE 標準は値による受け渡しセマンティクスを前提としているため、場合によってはアプリケーションの不適切な動作が生じるおそれがあります。しかし、このオプションを使用可能にすると、EJB クライアントおよびサーバーが同じインスタンスにインストールされていて、これらの機能を利用するためにアプリケーションが書かれている場合は、パフォーマンスが最大 50% 以上に向上する可能性があります。トピック『オブジェクト・リクエスト・ブローカー・サービス設定』は、この設定がご使用の環境に適切かどうか判断するために役立ちます。
以下のように、プラットフォーム固有の、調整に関するわずかな相違がいくつかあります。
[Solaris]Solaris プラットフォーム
[Solaris]以下の汎用 JVM 引数が、実稼働環境と開発環境の両方に使用されます。
  • -XX:-UseAdaptiveSizePolicy
  • -XX:+UseParallelGC
  • -XX:+AggressiveOpts
  • -XX:+UnlockDiagnosticVMOptions -server
  • -Dcom.ibm.xml.xlxp.jaxb.opti.level=3
[HP-UX]HP-UX プラットフォーム
[HP-UX]以下の汎用 JVM 引数が、実稼働環境と開発環境の両方に使用されます。
  • -XX:+AggressiveOpts
  • -XX:+ForceMmapReserved
  • -XX:SurvivorRatio=16
  • -XX:+UseParallelGC
  • -Djava.nio.channels.spi.SelectorProvider=sun.nio.ch.DevPollSelectorProvider
  • -XX:-ExtraPollBeforeRead -XX:+UseSpinning
  • -Dcom.ibm.xml.xlxp.jaxb.opti.level=3
[z/OS]z/OS プラットフォーム
[z/OS]デフォルトの JVM ヒープ・サイズは、他のプラットフォームのヒープ・サイズと異なります。
  • デフォルトの最小ヒープ・サイズ: 256 MB
  • デフォルトの最大ヒープ・サイズ: 512 MB

手順

次のタスク

パフォーマンス評価と調整の演習を実行して、特定のアプリケーション用にサーバーをさらに調整すべきかどうかを判別します。


トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=tprf_tuneappserv_script
ファイル名:tprf_tuneappserv_script.html