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動的クラスターの作成

動的クラスターを作成すると、クラスター・メンバーから収集されたパフォーマンス情報に基づいて、 クラスター・メンバー間で動的にワークロードのバランスが取られます。動的クラスターを作成することにより、アプリケーション・サーバーの仮想化が使用可能になります。

始める前に

動的クラスターを作成する前に、以下の前提条件を満たしてください。
  • 動的クラスターを作成するには、コンフィギュレーターの管理特権が必要です。
  • アプリケーション配置コントローラーが使用可能になっていることを確認してください。アプリケーション配置コントローラーはデフォルトで使用可能になっています。アプリケーション配置コントローラーにより、動的クラスターのオートノミック機能が使用可能になります。 アプリケーション配置コントローラーを使用可能に設定するには、「動作ポリシー」 > 「オートノミック・マネージャー」 > 「アプリケーション配置コントローラー」をクリックします。アプリケーション配置コントローラー に関する変更可能なプロパティーについて詳しくは、『アプリケーション配置コントローラーのモニターおよびチューニング』を 参照してください。
  • 垂直スタッキングを使用するかどうかを決定します。垂直スタッキングでは、配置コントローラーを使用可能にしてノードにある動的クラスターの複数インスタンスを開始することにより、デプロイしたアプリケーションのボトルネック状態を改善できます。 垂直スタッキングが有効であると、オートノミック・マネージャーはスタックされた各インスタンスで使用されるプロセッサーの比率を制限します。 一般的な数式は、100%/max-number-of-stacked-instances です。 例えば、3 つのスタック・インスタンスを構成した場合は、33% を超えるプロセッサー能力を使用しないよう単一インスタンスのワークロードが制限されます。 詳しくは、『垂直スタッキングの構成』を参照してください。
  • 補助ライフサイクル管理で外部に作成されたミドルウェア・サーバーの動的クラスターを作成する場合には、その前に、製品環境にこれらのサーバーの表現を作成してください。これらのすべてのサーバーには、同一のアプリケーションがインストールされ、同一バージョンのミドルウェア・ソフトウェアがインストールされている必要があります。 詳しくは、『補助ライフサイクル・ミドルウェア・サーバーの追加』を参照してください。
    非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): 補助ライフサイクル・サーバーおよび完全ライフサイクル・サーバーは、WebSphere® Application Server バージョン 9.0 で非推奨になりました。WebSphere Liberty サーバーを Liberty 集合構成にマイグレーションします。 他のサーバー・タイプについては、推奨されるマイグレーション・アクションはありません。depfeat

このタスクについて

動的クラスターは、環境内のワークロードに応じて拡張および縮小できる、アプリケーション・デプロイメント・ターゲットです。動的クラスターは、アプリケーション配置コントローラーや動的ワークロード・ マネージャーなどのオートノミック・マネージャーと連動して、コンピューティング・ リソースを最大限に活用します。動的クラスターは、高可用性やサービス・ポリシーなど、多くの製品オートノミック機能に必要です。

コア・グループに既に 40 以上のサーバーがある場合は、スクリプト coregroupsplit.py を使用して既存のセルを複数のコア・グループに分割できます。 詳しくは、『coregroupsplit.py スクリプト』を参照してください。

手順

  1. 動的クラスターを作成します。 管理コンソールで、 「サーバー」 > 「クラスター」 > 「動的クラスター」 > 「新規」とクリックします。
  2. 動的クラスター・サーバー・タイプを選択します。 動的クラスター・サーバー・タイプは、この動的クラスターのメンバーである サーバーのタイプを決定します。そのタイプに応じて、このパネルで、またはメンバーシップ・メソッドの選択時に、動的クラスターの名前を入力します。
  3. 一部の動的クラスターのタイプでは、メンバーシップ・メソッドを選択できます。 メンバーシップ・メソッドでは、クラスター・インスタンスとしてサーバーが動的クラスターに結合される方法を定義します。
    オプション 説明
    ルールによるクラスター・メンバーの自動定義 完全ライフサイクル管理のサーバーを使用している場合は、「ルールによるクラスター・メンバーの自動定義」が可能です。このオプションでは、クラスター・インスタンスを配置可能なノードを定義するメンバーシップ・ポリシーを作成します。
    クラスター・メンバーの手動定義 補助ライフサイクル管理のサーバーを使用している場合は、「クラスター・メンバーの手動定義」が可能です。このオプションでは、既存のサーバーを選択して動的クラスターに追加します。 選択するサーバーは同種にする必要があります。 つまり、サーバーのタイプおよびミドルウェア・サーバーのバージョンが同一であり、同じアプリケーションがインストールされている必要があります。
    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 1 つ以上のアプリケーションが既存の動的クラスターをターゲットとしている場合に、新規のミドルウェア・サーバーをその動的クラスターに追加する場合は、そのサーバーを動的クラスターのメンバーとして追加する前に、それらのアプリケーションをそのミドルウェア・サーバーにインストールし、サーバーをそれらのアプリケーションのターゲットにする必要があります。gotcha
  4. 動的クラスター・メンバーを定義します。
    • 前のステップで「ルールによるクラスター・メンバーの自動定義」を選択した場合は、 副次式ビルダーを使用して、動的クラスターのメンバーシップ・ポリシー式を作成します。 この式は、セル内のすべてのノードで比較され、その副次式が true になるすべてのノードを選択します。
    • 「クラスター・メンバーの手動定義」を選択した場合、 実行するアクションは、動的クラスター内のサーバーの種類によって異なります。
      • サーバー・タイプがアプリケーション・サーバーである場合は、動的クラスターに変換する既存の静的クラスターを選択します。
      • サーバー・タイプが補助ライフサイクル管理の外部で作成されたミドルウェア・サーバーである場合は、 リストからサーバーを選択して、動的クラスターに追加します。補助ライフサイクル・サーバーを追加する場合は、それらのタイプおよびミドルウェア・サーバー・バージョンが同一であり、同じアプリケーションのセットがインストールされていることを確認してください。
        トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 1 つ以上のアプリケーションが既存の動的クラスターをターゲットとしている場合に、新規のミドルウェア・サーバーをその動的クラスターに追加するには、あらかじめ、それらのアプリケーションをそのミドルウェア・サーバーにインストールし、サーバーをそれらのアプリケーションのターゲットにする必要があります。
        1. 管理されていないアプリケーションをミドルウェア・サーバーにデプロイします。詳しくは、『非管理対象 Web アプリケーションのデプロイ』を参照してください。
        2. アプリケーションのデプロイメント・ターゲットを定義します。管理コンソールで、「アプリケーション」 > 「すべてのアプリケーション」 > unmanaged_app_nameとクリックします。ターゲットを選択して、「追加」をクリックします。
        3. 「適用」をクリックして、変更を保存します。
        gotcha
  5. 動的クラスター・サーバー・テンプレートを選択します。

    動的クラスターのサーバー・テンプレートは、完全ライフサイクル管理のサーバーで構成された動的クラスターに対してのみ選択できます。動的クラスターの作成時に使用するテンプレートには、既存の定義済みテンプレートを選択するか、またはユーザー独自のサーバー・テンプレートを作成できます。 詳しくは、サーバー・テンプレートの作成に関する説明をお読みください。

    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 構成で複数の WebSphere Application Server Network Deployment バージョンが混在している場合、特にデプロイメント・マネージャーのバージョンがノードのバージョンよりも高い場合は、事前定義サーバー・テンプレートを使用して動的クラスターを作成することができません。例えばバージョン 6.1 ノードとバージョン 7.0 デプロイメント・マネージャーを実行している場合には、ノードにサーバーの静的クラスターを作成してから、この静的クラスターを動的クラスターに変換できます。gotcha
    非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): 動的クラスター作成時に使用される defaultXD および defaultXDZOS サーバー・テンプレート は推奨されません。 代わりに default または defaultZOS サーバー・テンプレートを使用してください。depfeat
  6. 動的クラスター固有のプロパティーを指定します。
    1. クラスター・インスタンスの最小数を定義してください。デフォルトでは 最小インスタンス数は 1 インスタンスで、インスタンスの最大デフォルトは 無制限です。最小値が過大な場合、性能低下が起こる場合があります。
    2. クラスター・インスタンスの最大数を定義してください。デフォルト値では、 クラスター・インスタンスの数に制限はありません。
    3. 垂直スタッキングを使用可能にするかどうかを決定してください。 垂直スタッキングを構成すると、同一ノード上で複数の動的クラスター・インスタンスを開始できます。
    4. 動的クラスターの分離設定を指定します。
  7. 動的クラスター作成を確認してください。 変更内容をマスター構成に保存するには、「終了」 > 「保存」をクリックします。
  8. 操作のモードを選択してください。管理コンソールで、「サーバー」 > 「クラスター」 > 「動的クラスター」をクリックします。変更する動的クラスターを 選択してください。 動作モードを選択し、「モードの設定」をクリックします。
    重要: 動的アプリケーション配置を使用するには、動作モードとして「自動」または「監視」をクリックします。

    [z/OS]z/OS® システム上で実行されるノードがある場合は、 動的クラスターを監視モードまたは自動モードで使用します。 ロジカル・パーティション (LPAR) のプロセッサーが 過度にビジーな場合に、動的クラスターをホストする LPAR 上のクラスター・メンバーを Intelligent Management が 自動的に開始することを防止するには、cpuUtilizationThreshold カスタム・プロパティーを定義する必要があります。このシナリオでは、この製品がクラスター・メンバーを開始するのは、トランザクション要求が追加のクラスター・メンバーを必要とし、LPAR 上のプロセッサー使用率が cpuUtilizationThreshold の値より小さい場合のみです。詳しくは、『アプリケーション配置カスタム・プロパティー』を参照してください。

タスクの結果

動的クラスターが開始される場合、その環境内の各動的クラスターの少なくとも 1 つのインスタンスが即座に使用可能になります。 同一ノード上に複数のプロセッサーがある場合は、その同一ノード上で複数のインスタンスが同時に開始できます。 例えば、ノードに 2 つのプロセッサーがある場合は、同時に 2 つのインスタンスを開始できます。 アプリケーション配置コントローラーは、動的クラスターごとの最小インスタンス数に到達するまで、すべての動的クラスターのノード全体で均等にインスタンスを開始し続けます。

動的クラスター設定のためのガイドラインとして次の配置シナリオ を使用してください。

  • 動的クラスターの実行中に正確に 2 つのサーバーが開始されるように指定するには、 「常に複数インスタンスを開始済みにしておく」をクリックします。 「インスタンスの数」の値を 2 に設定します。 「開始できるインスタンス数を制限する」をクリックし、「インスタンスの数」の値を 2 に設定します。
  • 開始済みサーバーの数を 5 に制限し、アクティビティーが発生しない場合にサーバーを停止するには、 「アクティビティーのない期間に開始したインスタンスをすべて停止する」をクリックします。 「開始できるインスタンス数を制限する」をクリックして最大数を設定し、 「インスタンスの数」値を 5 に設定します。
  • 最低 1 つのインスタンスを常時アクティブにし、無制限の数のインスタンスを 開始できるようにするには、「常に 1 つのインスタンスを開始済みにしておく」 および「開始できるインスタンス数を制限しない」をクリックします。

次のタスク

  • 動的クラスターの設定を編集するには、「サーバー」 > 「クラスター」 > 「動的クラスター」 > dynamic_cluster_nameをクリックします。動的クラスターのすべてのメンバーを変更する場合、動的クラスター・サーバー・テンプレートを編集できます。 「サーバー・テンプレート」をクリックします。
  • ご使用の動的クラスターにアプリケーションをデプロイしてください。
  • 報告書およびオペレーションのタブでパフォーマンスをモニターします。 「サーバー」 > 「クラスター」 > 「動的クラスター」 > dynamic_cluster_nameをクリックします。「報告書」タブまたは「オペレーション」タブをクリックします。
  • 監視モードを使用している場合は、ユーザーが実行可能な推奨のアクションおよびランタイム・タスクがオートノミック・マネージャーによって生成されます。 監視操作モードが作成したすべてのランタイム・タスクを 表示するには、「システム管理」 > 「タスク管理」 > 「ランタイム・タスク」とクリックします。ランタイム・タスク・キューのモニターが不要の場合、 E メール通知を定義できます。E メール通知プロファイルを作成するには、「システム管理」 > 「タスク管理」 > 「通知」をクリックします。
  • 自動モードを使用している場合は、セルの停止に使用するスクリプトにアプリケーション配置コントローラーおよびヘルス・コントローラーを使用不可に設定するコマンドを追加することにより、セルのシャットダウン時にサーバーが始動または再始動しないようにできます。 例えば、スクリプトに次の行を追加します。
    wsadmin -profile PlacementControllerProcs.jacl -c "disable" 
    wsadmin -profile HmmControllerProcs.jacl -c "disable" 
要確認: サーバーの作成後にサーバー・ポートを変更する場合は、各サーバー・インスタンスのポートを変更する必要があります。 動的クラスター・テンプレートを使用してポートを変更することはできません。 垂直スタッキングの構成により、同一ノード上に複数のサーバーが存在する可能性もあるため、それぞれのサーバー・インスタンスに対してポートを固有にする必要があります。

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



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http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=twve_odrdynamiccluster
ファイル名:twve_odrdynamiccluster.html