メッセージ駆動型 Bean、アクティベーション・スペック、およびリスナー・ポート

アクティベーション・スペックではなくリスナー・ポートで動作するようにメッセージ駆動型 Bean を構成するかどうかを判断する際に役立つ、WebSphere® Application Server のバージョンに関するガイドライン。

メッセージ駆動型 Bean 用の以下のリソースを構成できます。
  • Java™ EE Connector Architecture (JCA) バージョン 1.5 に準拠するメッセージ駆動型 Bean のアクティベーション・スペック。
  • メッセージ・リスナー・サービス、リスナー・ポート、およびリスナー・ポートに対してデプロイされるメッセージ駆動型 Bean のリスナー。

アクティベーション・スペックは、WebSphere Application Server で実行する MDB と IBM MQ の宛先との間の関係を管理および構成する、標準化された方法です。これらは、接続の構成、Java Message Service (JMS) の宛先、および MDB のランタイム特性を、1 つのオブジェクト内で結合します。

アクティベーション・スペックは、リスナー・ポートの使用に取って代わるもので、WebSphere Application Server バージョン 7.0 で安定化されたフィーチャーになりました。リスナー・ポートの代わりにアクティベーション・スペックを使用する利点としては、次のようなものがあります。
  • アクティベーション・スペックで必要とされるオブジェクトは、アクティベーション・スペックとメッセージ宛先の 2 つだけなので、構成が簡単です。 リスナー・ポートで必要とされるオブジェクトは、接続ファクトリー、メッセージ宛先、およびメッセージ・リスナー・ポート本体の 3 つです。
  • アクティベーション・スペックは、サーバー有効範囲に制限されません。 WebSphere Application Server 内のどの管理有効範囲にも定義できます。メッセージ・リスナー・ポートは、サーバー有効範囲で構成する必要があります。 つまり、ノード内のサーバーごとに、独自のリスナー・ポートが必要になります。 例えば、ノードが 3 つのサーバーで構成されている場合は、3 つの別個のリスナー・ポートを構成する必要があります。 アクティベーション・スペックはノード有効範囲で構成できるので、上記の例の場合に必要なアクティベーション・スペックは 1 つだけです。
  • アクティベーション・スペックは、Java Platform, Enterprise Edition Connector Architecture 1.5 および 1.6 標準仕様 (JCA 1.5 および 1.6) の一部です。 WebSphere Application Server のリスナー・ポートのサポートは、JMS 仕様で定義されたアプリケーション・サーバー・ファシリティー・インターフェースを使用しますが、サポート自体はどの仕様にも含まれていません。

WebSphere Application Server バージョン 7 以降では、リスナー・ポートは安定化されています。詳しくは、安定化されたフィーチャーに関する項目を参照してください。リスナー・ポートを使用する WebSphere MQ メッセージ駆動型 Bean のデプロイメント構成を、アクティベーション・スペックを使用する構成に移行する準備を行う必要があります。[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]非 ASF モードのアクティベーション・スペックの構成方法について詳しくは 『非 ASF モードのアクティベーション・スペックの構成』を参照してください。 ただし、アプリケーションを WebSphere Application Server バージョン 7 より前のアプリケーション・サーバーで実行する必要がないと確認するまでは、このマイグレーションを開始しないでください。例えば、1 つのアプリケーション・サーバー・クラスターにバージョン 6.1 のメンバーとそれより新しいバージョンのメンバーがある場合は、クラスター内のすべてのアプリケーション・サーバーをその新しいバージョンにマイグレーションするまでは、そのクラスター上のアプリケーションを、アクティベーション・スペックを使用するようにマイグレーションしないでください。 [z/OS]また、z/OS® プラットフォーム上のアクティベーション・スペックにマイグレーションする場合は、アプリケーション・サーバーの Control Region Adjunct (CRA) プロセスを (JMS プロバイダーの設定パネルで「JCA ベースのインバウンド・メッセージ配信を使用可能に設定 (Enable JCA based inbound message delivery)」を選択するか、manageWMQ コマンドを使用してアプリケーション・サーバーの始動に CRA プロセスが開始されるようにして) 有効にする必要があります。

JCA バージョン 1.5 または 1.6 リソース・アダプターを持たないメッセージング・プロバイダーでメッセージ駆動型 Bean を使用する場合は、アクティベーション・スペックが使用できないため、リスナー・ポートに対してご使用の Bean を構成する必要があります。 場合によっては、アクティベーション・スペックを使用することもできますが、引き続きリスナー・ポートを使用することを選択できるシナリオもいくつかあります。 例えば、既存のメッセージ駆動型 Bean アプリケーションとの互換性が必要な場合です。WebSphere Application Server のバージョンに関するガイドラインを以下に示します。これらは、どのような場合にアクティベーション・スペックではなく、リスナー・ポートを使用すべきかを判断する際に役立ちます。

  • WebSphere Application Server バージョン 4 では、メッセージ駆動型 Bean がサポートされないため、リスナー・ポートとアクティベーション・スペックは適用できません。WebSphere Application Server バージョン 4 では、メッセージ Bean がサポートされますが、それらの Bean はメッセージ駆動型ではありません。
  • WebSphere Application Server バージョン 5 では、リスナー・ポートを使用してデプロイする EJB 2.0 (JMS のみ) メッセージ駆動型 Bean がサポートされます。このデプロイメント・テクノロジーは、Application Server Facility (ASF) と呼ばれる場合もあります。
  • WebSphere Application Server バージョン 6 は、リスナー・ポートを使用するためにデプロイするメッセージ駆動型 Bean を引き続きサポートするほか、アクティベーション・スペックを使用するメッセージ駆動型 Bean のデプロイに使用できる JCA もサポートします。そのため、WebSphere Application Server バージョン 6 にメッセージ駆動型 Bean をデプロイする場合、以下のようなオプションがあります。
    • アクティベーション・スペックを使用するために、デフォルト・メッセージング (サービス統合バス) 用メッセージ駆動型 Bean をデプロイする必要がある。
    • リスナー・ポートを使用するために、IBM MQ メッセージ駆動型 Bean をデプロイする必要がある。
    • サード・パーティーのメッセージング・プロバイダーから入手可能な機能に応じて、リスナー・ポートまたはアクティベーション・スペックのいずれかを使用するために、サード・パーティーのメッセージング用メッセージ駆動型 Bean をデプロイすることができる。
  • WebSphere Application Server バージョン 7.0 以降 では、WebSphere Application Server バージョン 6 と同じメッセージ駆動型 Bean のデプロイメント・オプションが引き続きサポートされ、IBM MQ メッセージ駆動型 Bean の新規オプションが追加されています。 そのため、バージョン 7.0 以降 にメッセージ駆動型 Bean をデプロイする場合、以下のようなオプションがあります。
    • アクティベーション・スペックを使用するために、デフォルト・メッセージング (サービス統合バス) 用メッセージ駆動型 Bean をデプロイする必要がある。
    • リスナー・ポート (WebSphere Application Server バージョン 6 と同様) またはアクティベーション・スペックを使用するために、新規および既存の IBM MQ メッセージ駆動型 Bean をデプロイすることができる。
    • サード・パーティーのメッセージング・プロバイダーから入手可能な機能に応じて、リスナー・ポートまたはアクティベーション・スペックのいずれかを使用するために、サード・パーティーのメッセージング用メッセージ駆動型 Bean をデプロイすることができる。

リスナー・ポートからアクティベーション・スペックへのマイグレーションを 支援するため、WebSphere Application Server 管理コンソールの 「メッセージ・リスナー・ポート・コレクション (Message listener port collection)」パネルには、「リスナー・ポートをアクティベーション・スペックに変換」ウィザードが備えられています。このウィザードを使用して、既存のリスナー・ポートをアクティベーション・スペックに変換できます。 ただし、この機能は、リスナー・ポートで使用されていたものと同じ構成で新規アクティベーション・スペックを作成するのみです。 新規作成したアクティベーション・スペックを使用するようにアプリケーション・デプロイメントを変更することはありません。


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