HA グループ・ポリシー選択プロセス

各 HA グループのグループ名は固有で、名前と値のペアのセットから構成されます。 各ポリシー定義には、一致基準 と呼ばれる属性が含まれています。 この属性も名前と値のペアのセットです。 HA グループのポリシーを判別するには、グループ名をすべての関連したコア・グループ・ポリシーの一致基準と比 較します。 グループ名に最も一致したポリシーが、HA グループに関連付けられます。

注: このトピックでは、 1 つ以上のアプリケーション・サーバー・ログ・ファイルを参照します。推奨される代替案として、分散システムや IBM® i システムの SystemOut.logSystemErr.logtrace.logactivity.log ファイルではなく、High Performance Extensible Logging (HPEL) ログおよびトレース・インフラストラクチャーを使用するようにサーバーを構成できます。また HPEL は、ネイティブ z/OS® ロギング機能と連携させて使用することができます。HPEL を使用する場合、LogViewer コマンド・ライン・ツールを サーバー・プロファイルの bin ディレクトリーから使用して、すべてのログ・ファイルにアクセスし、 情報をトレースできます。HPEL の使用について詳しくは、HPEL を使用してのアプリケーションの トラブルシューティングに関する情報を参照してください。
HA グループのポリシーを選択する場合に、HA マネージャーは以下のことを実行します。
  1. HA グループに適用するのに適格な一連のポリシーを検出します。 ポリシーが適格であるためには、適格なポリシーの一致基準に含まれる名前と値のペアがすべて、 HA グループの名前に含まれなくてはなりません。
  2. 適格なポリシーのリストから、一致する名前と値のペアが最も多く存在するポリシーを選択し、 そのポリシーを使用して HA グループに適用します。

いずれのコンポーネントも、コンポーネントが使用する HA グループを作成できます。 しかし、コンポーネント・コードにより、HA グループ名に使用する名前と値のペアが指定されていなければなりません。 製品管理者は、ポリシーの一致基準を構成する名前と値のペアを制御することができるため、 特定の HA グループに適用されるポリシーを制御することができます。

製品には、複数の事前定義ポリシーが組み込まれています。以下に、これらのポリシーに使用する一致メカニズムを例示します。

クラスター化 TM ポリシー

トランザクション・マネージャー・コンポーネントは、高可用性を目的としてコンポーネントが構成されてい る場合、クラスター化 TM ポリシーというポリシーを使用します。 以下に、これらの状況下で、 トランザクション・マネージャーの HA グループにこのポリシーが選択される理由について説明します。
  • ServerA などのクラスター・メンバー・プロセスが開始されます。
  • トランザクション・マネージャー・コンポーネント・コードは、HA マネージャーと次の名前の HA グループを結合します。
    GN_PS=testCell¥testNode¥ServerA,IBM_hc=MyCluster,type=WAS_TRANSACTIONS
  • ServerA は、DefaultCoreGroup コア・グループのメンバーとして定義されます。 このコア・グループに対して、次のポリシーが定義されます。
    • クラスター化 TM ポリシー。 このポリシーには、type=WAS_TRANSACTIONS という一致基準があります。
    • デフォルト SIBus ポリシー。 このポリシーには、type=WSAF_SIB という一致基準があります。
  • HA マネージャーは、グループ名と 2 つの使用可能なポリシーの一致基準を比較します。 HA マネージャーは、デフォルト SIBus ポリシーを除去します。 これは、一致基準が HA グループ名の正しいサブセットではないためです。 HA マネージャーは、以下の理由で、クラスター化 TM ポリシーが一致する程度が最も高いと判別します。
    1. そのポリシーの一致基準に、HA グループ名にも指定されている名前と値のペア type=WAS_TRANSACTIONS が含まれ ています。 したがって、一致基準は、HA グループ名の正しいサブセットです。
    2. そのポリシーの一致基準の方が、デフォルト SIBus ポリシーの一致基準よりも一致している数が多くあります。 このデフォルト SIBus ポリシーには、一致するものがないために除去されます。

管理者 TM ポリシー

次の例は、以前の例を基に、管理者が、 トランザクション・マネージャーの HA グループに適用する新規ポリシーを定義する方法を例示します。 この例では、前の例の説明と同じ HA グループ名とデフォルト・ポリシーが使用されます。 ただし、この例では、管理者は、DefaultCoreGroup 構成に管理者 TM ポリシーという新規ポリシーを作成します。 HA マネージャーがこの新規ポリシーを選択するには、 ポリシーが適格であり、他のどのポリシーよりも一致する数が多くなくてはなりません。

以下に、これらの状況下で、 トランザクション・マネージャーの HA グループに管理者 TM ポリシーというポリシーが選択される理由について説明します。

  • クラスター・メンバー・プロセス ServerA が始動します。
  • トランザクション・マネージャー・コンポーネント・コードは、HA マネージャーと次の名前の HA グループを結合します。
    GN_PS=testCell¥testNode¥ServerA,IBM_hc=MyCluster,type=WAS_TRANSACTIONS
  • ServerA は、DefaultCoreGroup コア・グループのメンバーとして定義されます。 このコア・グループに対して、次のポリシーが定義されます。
    • クラスター化 TM ポリシー。 このポリシーには、type=WAS_TRANSACTIONS という一致基準があります。
    • デフォルト SIBus ポリシー。 このポリシーには、type=WSAF_SIB という一致基準があります。
    • 管理者 TM ポリシー。 このポリシーには、IBM_hc=MyCluster,type=WAS_TRANSACTIONS という一致基準があります。
  • HA マネージャーは、グループ名と使用可能なポリシーの一致基準を比較します。 HA マネージャーは、デフォルト SIBus ポリシーを除去します。 これは、一致基準が HA グループ名の正しいサブセットではないためです。 これにより、クラスター化 TM ポリシーと管理者 TM ポリシーは、ともに適格なポリシーであると判別されます。 次のように、一致基準が、HA グループ名の正しいサブセットであるためです。
    • クラスター化 TM ポリシーには、HA グループ名にも指定されている名前と値のペア type=WAS_TRANSACTIONS が含まれています。
    • 管理者 TM ポリシーには、HA グループ名に指定されている名前と値のペア IBM_hc=MyCluster と type=WAS_TRANSACTIONS が含まれています。

    管理者 TM ポリシーには、IBM_hc=MyCluster および type=WAS_TRANSACTIONS という、一致するペアが 2 つあり、 クラスター化 TM ポリシーには type=WAS_TRANSACTIONS という、一致するペアが 1 つしかないため、 HA マネージャーは、管理者 TM ポリシーとトランザクション・マネージャーの HA グループを関連付けます。

あいまい一致

同一のコア・グループ内の複数のポリシーについて、同一の一致基準を構成しないでください。 同一の一致基準を構成すると、関連する HA グループに対し、一致があいまいになります。 HA グループは、1 つのポリシーにしか関連付けられないため、 前述の一致メカニズムを使用した結果、一致するポリシーが 1 つではない場合、 HA マネージャーは HA グループをエラー状態にし、グループ・メンバーをアクティブにしません。 問題の種類によっては、 HA マネージャーは以下のいずれかのエラー・メッセージを SystemOut.log ファイルに書き込みます。
HMGR0301W: {0} というグループにポリシーが見つかりませんでした。
HMGR0302W: {0} という名前のグループに対応するポリシーが複数あります。
対応するポリシーは {1} です。

管理コンソールを使用して、HA グループに関連したポリシーと、 そのグループのメンバーの現在の状態を表示できます。


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