コア・グループ・プロトコルのバージョン

コア・グループ・メンバーは、ディスカバリー・プロトコル、障害検出プロトコル、View Synchrony Protocol などの各種プロトコルを介して相互に対話します。 これらのプロトコルでは、コア・グループ・メンバーが共通のアルゴリズムに従って交換する、フォーマット済みの一連のメッセージがそれぞれ定義されています。

注: このトピックでは、 1 つ以上のアプリケーション・サーバー・ログ・ファイルを参照します。推奨される代替案として、分散システムや IBM® i システムの SystemOut.logSystemErr.logtrace.logactivity.log ファイルではなく、High Performance Extensible Logging (HPEL) ログおよびトレース・インフラストラクチャーを使用するようにサーバーを構成できます。また HPEL は、ネイティブ z/OS® ロギング機能と連携させて使用することができます。HPEL を使用する場合、LogViewer コマンド・ライン・ツールを サーバー・プロファイルの bin ディレクトリーから使用して、すべてのログ・ファイルにアクセスし、 情報をトレースできます。HPEL の使用について詳しくは、HPEL を使用してのアプリケーションの トラブルシューティングに関する情報を参照してください。

新規の製品フィーチャーをサポートするため、またはコア・グループのパフォーマンスを向上させるために新規のメッセージ、つまり新規のアルゴリズムが必要な場合には、新規のプロトコル・バージョンが追加されます。新規のメッセージまたは新規のアルゴリズムは古いメッセージまたは古いアルゴリズムと互換性がない可能性があるため、新規のプロトコルがそのプロトコルの前のバージョンと相互運用できない場合があります。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): デフォルトでは、前の WebSphere リリースで指定された古いバージョンの代わりに、最新のプロトコル・バージョンが使用されます。次のカスタム・プロパティーを使用して古いプロトコル・バージョンに戻すことができますが、これはお勧めしません。gotcha
混合バージョン環境 (Mixed-version environment) 混合バージョン環境 (Mixed-version environment): 混合セル環境で互換性を維持するには、下記のカスタム・プロパティーを明示的に設定して最高のプロトコル・レベルを使用する必要があります。mixv
プロトコルには 2 つの主要カテゴリーまたはグループがあります。
  • 下位レベルのプロトコル (下位レベルのワイヤー・フォーマット・プロトコルともいいます) のコレクションです。これらのプロトコルは、DCS 層によって使用されます。コア・グループのカスタム・プロパティー IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION の設定により、このプロトコルのグループに使用されるプロトコル・バージョンが決まります。
    このプロパティーに指定されている値が変わるたびに、次の例に似た HMGR0226I メッセージが SystemOut.log ファイルに送信されるか、z/OS プラットフォームの場合は SYSOUT または SYSPRINT のいずれかに送信されます。
    HMGR0226I: The core stack configuration parameter IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION has been set to 6.1.0.
  • 高水準レベルのプロトコル (HA マネージャー・プロトコルともいいます) のコレクションです。これらのプロトコルは、HA マネージャー層によって使用されます。コア・グループのカスタム・プロパティー IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION の設定により、このプロトコルのグループに使用されるプロトコル・バージョンが決まります。
    このプロパティーに指定されている値が変わるたびに、次のメッセージに似た HMGR0226I メッセージが SystemOut.log ファイルに送信されるか、z/OS プラットフォームの場合は SYSOUT または SYSPRINT のいずれかに送信されます。
    HMGR0226I: The core stack configuration parameter IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION
       has been set to 6.0.2.31.

    このメッセージは、HA マネージャーのプロトコル・バージョン 6.0.2.31 が使用されていることを意味します。

これらの 2 つのカテゴリーのそれぞれのプロトコル・バージョンの設定は、相互に独立しています。

古いコア・グループ・プロトコルのバージョンを使用する時期

古いコア・グループ・プロトコルのバージョンを使用することは推奨されません。これが必要なのは、コア・グループにバージョン 9 のサーバーとバージョン 7.0.0.0 以下のサーバーが混在している場合に限られます。

HA マネージャー・プロトコルを使用した透過的なブリッジ・フェイルオーバーのサポートの確立

コア・グループ・ブリッジは、WebSphere® Application Server のコンポーネントが使用するクロス・コア・グループ状態を表し、管理するためのメカニズムを提供します。このクロス・コア・グループ状態の管理プロセスの一環として、トポロジー内の実行中のコア・グループ・ブリッジの数が変化した場合に、必ずコア・グループ・ブリッジ状態の再作成が行われます。コア・グループ・ブリッジ状態の再作成という手段により、コア・グループ・ブリッジでは、実行中の一連のブリッジにおけるクロス・コア・グループ状態の所有権と、その配分を計算します。

コア・グループ・ブリッジ状態の再作成中、実行中のブリッジ間でクロス・コア・グループ状態が移動する可能性があります。この状況により、ブリッジが再作成プロセスを完了するまで、データが一時的に使用不可になることがあります。この問題の一般的な症状は、以下のとおりです。
  • JNDI 検索が失敗する。
  • コア・グループ・ブリッジのフェイルオーバーが発生した後に、WebSphere プロキシー・サーバー、またはオンデマンド・ルーターによって 503 応答コードが生成される。
  • 以下の配列指標の範囲外例外が発生する。
    [7/9/08 17:12:20:749 EDT] 00000030 UserCallbacks E
    HMGR0142E: HA マネージャーによってコールバックされたコンポーネントでエラーが発生しました。
    この例外は、java.lang.ArrayIndexOutOfBoundsException at
    com.ibm.ws.cluster.propagation.bulletinboard.BBDescriptionManager.getOrderedBytes(BBDescriptionManager.java:618) です。
ベスト・プラクティス ベスト・プラクティス: バージョン 7.0.0.1 からバージョン 8.5.5.X までを実行している場合は、すべてのコア・グループに対してコア・グループのカスタム・プロパティー IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION を 6.0.2.31 に設定し、コア・グループ・ブリッジのフェイルオーバー中に発生する可能性のある高可用性状態の停止を回避してください。このカスタム・プロパティーが 6.0.2.31 に設定されている場合は、残りのブリッジが、障害の発生したブリッジの高可用性状態を回復します。このとき、ローカルのコア・グループのデータは使用不可にはなりません。bprac
トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble):
  • コア・グループ・ブリッジを使用して接続されているすべてのコア・グループが、同じプロトコル・バージョンを実行していることを確認してください。
  • 透過的なブリッジ・フェイルオーバーは、状態データを、コア・グループ・ブリッジの再作成中、状態データ・パスをとおして一定に保持するよう設計されています。状態データ・パスとは、状態プロバイダー、各コア・グループの 1 つのコア・グループ・ブリッジ、および状態データ・コンシューマーで構成されているパスです。アクティブなブリッジが残っていないコア・グループが関係する障害シナリオの場合は、やはり一時的な状態停止が発生することがあります。
gotcha

使用するプロトコル・バージョンの決定

ベスト・プラクティス ベスト・プラクティス: できれば、最新のプロトコル・バージョンを使用してください (バージョン 9 では、これがデフォルトです)。ほとんどの場合、最新のプロトコルの変更にはスケーラビリティーの改善が含まれているため、これを使用することは、大規模トポロジーの場合には特に重要です。 ただし、新しいプロトコル・バージョンを使用するようコア・グループのメンバーを構成する前に、すべてのコア・グループ・メンバーが、目的のプロトコル・バージョンが製品に追加されたときの製品コード・レベル (VRM) 以上の VRM で実行されていることを確認する必要があります。 以下に例を示します。bprac
  • サポートされる VRM のコア・グループ・メンバーを含むコア・グループは、バージョン 6.0.0、6.0.2.9、または 6.1.0 ワイヤー・フォーマット・プロトコルのいずれかを使用するように構成できます。
  • バージョン 6.1.0.19 と 7.0.0.1 のコア・グループ・メンバーが混在しているコア・グループを、バージョン 6.0.2.31 の HA マネージャー・プロトコルを使用するよう構成することができます。

サポートされるコア・グループ・プロトコルのバージョン ID

以下の表に、プロトコル・カテゴリーごとの製品の最小レベルの要約を示します。特定のプロトコル・バージョンに関連付けるには、コア・グループ・メンバーがこれらの最小レベルの製品を実行している必要があります。また、これらの表では、各プロトコル・バージョンに追加された新機能についても説明しています。

これらの表を使用して、特定のコア・グループで使用できるプロトコル・バージョンを判別し、次に IBM_CS_WIRE_FORMAT_VERSION または IBM_CS_HAM_PROTOCOL_VERSION のいずれかのコア・グループ・カスタム・プロパティーを使用して、実行している製品のレベルでサポートされているプロトコル・バージョン内の最新バージョンを使用して実行されるように、そのコア・グループのすべてのメンバーを構成します。 HA マネージャーは自動的に構成の変更を検出し、これらのコア・グループ・メンバーで新規のコア・グループ・プロトコル・バージョンを使用し始めます。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): ワイヤー・フォーマット・プロトコル・バージョン 6.0.0 および 6.0.2.9 は非推奨です。 可能な限り、より新しいプロトコル・バージョンを使用してください。depfeat
表 1. サポートされるワイヤー・フォーマット・プロトコル・バージョン ID. プロトコル・バージョン ID は、そのバージョンが組み込まれている最初のバージョン、リリース、およびそのバージョンが組み込まれている修正レベルを示しています。サポートされているワイヤー・フォーマット・プロトコル・バージョン ID を以下の表にリストします。
バージョン ID 製品レベルの最小要件 説明
6.0.0 任意 このプロトコル・バージョンは、オリジナル・バージョンまたは基本バージョンです。HA マネージャーのすべてのバージョンは、このプロトコルを使用できます。 特定のワイヤー・フォーマット・プロトコル・バージョンを指定しない場合、HA マネージャーはこのバージョンを使用します。
6.0.2.9 サポートされる任意のバージョン このプロトコル・バージョンでは、コア・グループ・ブリッジのスケーラビリティーが向上しています。このバージョンは、複数のコア・グループと、それらの構成の一部としてコア・グループ・ブリッジを含む、大規模なトポロジー向けに推奨されます。
6.1.0 サポートされる任意のバージョン このバージョンでは、コア・グループのスケーラビリティーが向上し、大規模なトポロジーに対するサポートが強化されています。
表 2. サポートされる HA マネージャー・プロトコルのバージョン ID. プロトコル・バージョン ID は、そのバージョンが組み込まれている最初のバージョン、リリース、およびそのバージョンが組み込まれている修正レベルを示しています。以下の表に、サポートされている HA マネージャー・プロトコル・バージョン ID を示します。
バージョン ID 製品レベルの最小要件 説明
6.0.2.31 バージョン 6.1 の場合は 6.1.0.19、バージョン 7.0 の場合は 7.0.0.1、および製品のその後のバージョンの初期リリース このプロトコル・バージョンは、HA マネージャー・プロトコルのオリジナル (基本) バージョンであり、サポートされる製品の任意のバージョンで使用でき、コア・グループ・ブリッジのスケーラビリティーが向上しています。このプロトコル・バージョンは、構成の一部として複数のコア・グループとコア・グループ・ブリッジを含むトポロジー向けに推奨されます。 HA マネージャーでプロトコルを使用するには、HA マネージャー・プロトコル・バージョンを指定する必要があります。デフォルトのバージョンはありません。

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http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=crun_ha_protocol_ver
ファイル名:crun_ha_protocol_ver.html