IBM MQ リンクのサンプル構成

この構成例では、IBM MQ リンクを 使用して WebSphere® Application Server サービス統合メッセージングを IBM MQ メッセージングに 接続する方法を示します。

IBM MQ リンクは、 サービス統合メッセージング・エンジン (ゲートウェイ・メッセージング・エンジン) を IBM MQ キュー・マネージャー またはキュー共有グループ (ゲートウェイ・キュー・マネージャー) に 接続します。サービス統合バスのすべてのメッセージング・エンジンは、 ゲートウェイ・メッセージング・エンジンを使用して IBM MQ ネットワークとの間で 送受信するメッセージを経路指定します。IBM MQ ネットワークの すべてのキュー・マネージャーおよびキュー共有グループは、 ゲートウェイ・キュー・マネージャーを使用してサービス統合バスとの間で送受信する メッセージを経路指定します。

通常、IBM MQ リンクは 以下の 2 つの TCP/IP 接続から構成されます。
  • IBM MQ リンク送信側チャネル。 サービス統合から IBM MQ への メッセージを伝送します。
  • IBM MQ リンク受信側チャネル。WebSphere MQ からサービス統合へのメッセージを伝送します。
IBM MQ では、 これらの TCP/IP 接続メッセージ・チャネルを それぞれ受信側チャネル (IBM MQ リンク送信側チャネルに 接続します) と送信側チャネル (IBM MQ リンク受信側チャネルに 接続します) と呼びます。上記の構成を以下の図に示します。 この構成には、WebSphere MQ リンク送信側チャネル BUS1.TO.QM01 および IBM MQ リンク受信側チャネル QM01.TO.BUS1 が あります。
BUS1 というサービス統合バスに 3 つのメッセージング・エンジンが
あります。1 つはゲートウェイ・メッセージング・エンジンです。WebSphere
MQ ネットワークはバスとして示されており、2 つのキュー・マネージャー QM01 および QM02 が
あります。QM01 はゲートウェイ・キュー・マネージャーです。サービス統合バスおよび WebSphere
MQ 「バス」は WebSphere MQ リンク送信側チャネル BUS1.TO.QM01 によって
接続されるほか、WebSphere MQ リンク受信側チャネル QM01.TO.BUS1 によっても
接続されています。

メッセージが 1 方向に流れるだけで十分な場合は、 定義する必要がある TCP/IP 接続も 1 つだけです。例えば、IBM MQ の 受信側チャネルに接続するサービス統合の IBM MQ リンク送信側チャネルだけで、 サービス統合から IBM MQ への メッセージ・フローをサポートできます。しかし、ここに示すサンプルでは、 メッセージを双方向に伝送できる構成を構築します。

サンプル構成コンテキスト

ここで示すサンプルの 目的は、WebSphere Application Server 構成を IBM MQ 構成に 接続し、2 つのメッセージング・システムの間で双方向に非同期メッセージを 伝送できるようにすることです。サンプルでは、 以下のような WebSphere Application Server 構成を 既にセットアップしてあると想定しています。
  • ノード London にある アプリケーション・サーバー server1。Network Deployment の場合、server1 は セル内の複数のサーバーのいずれかにするとともに クラスター内の複数のサーバーのいずれかにすることができますが、 このサンプルは、アプリケーション・サーバーが 1 つしかない 基本デプロイメントにも同じように適用できます。
  • サーバー London の IP ホスト名は LONDON である。
  • BUS1 というサービス統合バス。
  • server1 は BUS1 のメンバーである。 その中のメッセージング・エンジンは London.server1-BUS1 と命名される。
  • ServiceIntegrationQueue1 というキュー・タイプ・バス宛先。 これが BUS1 の宛先の 1 つになっている。
サンプルでは、 以下のような IBM MQ 構成が 既に存在することも想定しています。
  • キュー・マネージャー QM01 および QM02 が、 相互接続された IBM MQ キュー・マネージャー およびキュー共有グループのネットワークの一部になっている。キュー・マネージャーが 1 つしかない場合は、 このサンプルの QM02 への参照を無視して構いません。
  • QM01 が稼動するサーバーの IP ホスト名は PARIS である。
  • キュー WMQ11 が QM01 に存在し、 キュー WMQ21 が QM02 に存在する。IBM MQ ネットワークには これ以外にも多くのキューが定義されていることがありますが、 このサンプルでは、WebSphere Application Server から アクセスすることになる 2 つの IBM MQ キューのみを 考慮します。

London.server1-BUS1 を ゲートウェイ・メッセージング・エンジンとして選択し、QM01 を ゲートウェイ・キュー・マネージャーとして選択します。

接続の構成例

このセクションでは、 読者または IBM MQ 管理者が 接続のために構成する必要がある以下の設定について説明します。
  • IBM MQ 管理者が 以下の IBM MQ リンクに 対応する IBM MQ コンポーネントの 構成に使用するコマンド。
    • 送信側チャネル
    • 受信側チャネル
    • 伝送キュー
    JMS プログラムの場合は、IBM MQ 管理者が サービス統合バスのキューを識別する JMS 宛先も 定義します。これらのコマンドについて 詳しくは、IBM MQ の資料を 参照してください。
  • WebSphere Application Server 管理コンソールを使用して 以下のものを構成するときに必要なパラメーター。
    • 外部バス接続 (IBM MQ キュー・マネージャー およびキュー共有グループのネットワークを表す外部バスを含みます) と、 そのネットワークへの接続を表す IBM MQ リンク
    • IBM MQ ネットワークの キューを識別する JMS 宛先

これらのコンポーネントを構成してアクティブすると、 アプリケーションが WebSphere Application Server サービス統合メッセージングと IBM MQ メッセージングの間で メッセージを交換できるようになります。オプションで追加の管理成果物を構成して、 キューおよび宛先を詳細に制御することができます (宛先の構成例を 参照してください)。

送信側チャネルを構成するための IBM MQ コマンド
DEFINE    CHL(QM01.TO.BUS1) +
          CHLTYPE(SDR) +
          TRPTYPE(TCP) +
          CONNAME('LONDON(5558)') +
          XMITQ(BUS1)
IBM MQ 管理者が 送信側チャネルの名前を選択します (このサンプルでは QM01.TO.BUS1 です)。

CONNAME パラメーターは、 ゲートウェイ・メッセージング・エンジンの IP ホストおよびポートを 指定します。

XMITQ パラメーターは、伝送キューの名前を指定します。 この名前は通常、サービス統合バスの仮想キュー・マネージャー名と同じであり、 バス名と同じにすることも推奨しています。

受信側チャネルを構成するための IBM MQ コマンド
DEFINE    CHL(BUS1.TO.QM01) +
          CHLTYPE(RCVR) +
          TRPTYPE(TCP)
IBM MQ 管理者が 受信側チャネルの名前を選択します (このサンプルでは BUS1.TO.QM01 です)。
伝送キューを構成するための IBM MQ コマンド
DEFINE   QL(BUS1) +
         USAGE(XMITQ)
IBM MQ 管理者が 伝送キューの名前を選択しますが、サービス統合バスの名前 BUS1 を使用すると 便利です。サービス統合バスの名前が 有効な IBM MQ キュー・マネージャー名でない場合は、WebSphere Application Server 管理者が ここで使用するための別の仮想キュー・マネージャー名を定義する必要があります。
JMS 宛先を構成するための IBM MQ JMSAdmin コマンド
DEFINE   Q(ServiceIntegrationQueue1) +
         QMGR(BUS1) +
         QUEUE(ServiceIntegrationQueue1)
IBM MQ JMS アプリケーションは、 この JMS 宛先を使用して、BUS1 のサービス統合バス宛先 ServiceIntegrationQueue1 に メッセージを送信できます。
外部バス接続の WebSphere Application Server パラメーター
外部バス接続は、サービス統合バスのトポロジーの一部として 構成します。このサンプルの場合、サービス統合バスは BUS1 であり、 外部バス接続は以下の設定を使用します。
設定値
バス接続タイプ 直接接続
外部バス・タイプ IBM MQ
接続をホストするメッセージング・エンジン London.server1-BUS1
仮想キュー・マネージャー名 BUS1 (ローカル・バスの名前を使用します)
外部バス名 QM01 (IBM MQゲートウェイ・キュー・マネージャーの名前を使用します)
MQ リンク名 TO.QM01
サービス統合バスから IBM MQ へのメッセージ・フローを使用可能にする チェック・マーク付き (デフォルト)
IBM MQ 受信側チャネル名 BUS1.TO.QM01
ホスト名 PARIS
Port 1414
IBM MQ からサービス統合バスへのメッセージ・フローを使用可能にする チェック・マーク付き (デフォルト)
IBM MQ 送信側チャネル名 QM01.TO.BUS01
ウィザードには、 メッセージングおよびセキュリティーのパブリッシュ/サブスクライブに関連した 他のオプションもあります。それらの設定はデフォルトのままにしておいてください。
JMS 宛先の WebSphere Application Server パラメーター
サービス統合 JMS アプリケーションが IBM MQ ネットワークの キューにアクセスできるように JMS 宛先を構成します。このサンプルでは、 キュー・マネージャー QM01 のキュー WMQ11 および キュー・マネージャー QM02 のキュー WMQ21 の JMS 宛先が 必要です。

これらの JMS 宛先は IBM MQ キューですが、 このサンプルの目的上、これらのキューにサービス統合 JMS プログラムから アクセスするため、IBM MQ JMS プロバイダーではなく、 デフォルトのメッセージング・プロバイダーの JMS 宛先を定義する 必要があります。

WMQ11 の 以下のパラメーターを構成します。
パラメーター
名前 WMQ11
JNDI 名 jms/WMQ11
バス名 QM01
キュー名 WMQ11
他の設定はすべて デフォルトのままにしてください。
WMQ21 の 以下のパラメーターを構成します。
パラメーター
名前 WMQ21
JNDI 名 jms/WMQ21
バス名 QM01
キュー名 WMQ21@QM02
他の設定はすべて デフォルトのままにしてください。

宛先の構成例

接続の構成例のサンプル JMS 宛先は、 対応する IBM MQ キューおよび サービス統合宛先を直接指しています。必要に応じて、 以下のように追加のコンポーネントを構成できます。
  • IBM MQ JMS 宛先が、 サービス統合宛先を指す IBM MQ キュー (実際には リモートまたは別名キュー) を指す。
  • サービス統合 JMS 宛先が、IBM MQ キューを 指すサービス統合宛先 (実際には外部または別名宛先) を指す。

リモートおよび別名キューの 定義するタイミングおよび定義方法について詳しくは、IBM MQ の資料を 参照してください。

外部宛先の WebSphere Application Server パラメーター
サービス統合アプリケーションが各キューにアクセスする方法を 制御できるように IBM MQ キューの 外部宛先を構成します。例えば、2 つのキューそれぞれの外部宛先を構成して、 サービス統合が一方のキューに対するメッセージには MQRFH2 ヘッダーを含め、 他方のキューに対しては含めないように指定することができます。

外部宛先は、 サービス統合バスの宛先リソースとして構成します。

WMQ11 の 以下のパラメーターを構成します。
パラメーター
ID WMQ11
バス QM01
他の設定はすべて デフォルトのままにしてください。
WMQ21 の 以下のパラメーターを構成します。
パラメーター
ID WMQ21@QM02
バス QM01
外部宛先が IBM MQ 宛先である場合は、ID の形式は qName@qmName にする必要があります (qName はキューの名前、qmName はキュー・マネージャーの名前)。この例では、キュー・マネージャー QM02 の WMQ21 の ID は、WMQ21@QM02 です。

他の設定はすべて デフォルトのままにしてください。

これらの外部宛先を定義すると、例えば、 必要に応じて一方または両方の宛先の _MQRFHAllowed カスタム・プロパティーを 設定することができます。


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