オブジェクト・リクエスト・ブローカーのカスタム・プロパティー

オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) を構成するには、いくつかの方法があります。 例えば、 ORB カスタム・プロパティー設定またはシステム・プロパティー設定を使用して ORB を 構成したり、ORB の初期化中にオブジェクトを指定したりすることができます。 以下の ORB カスタム・プロパティーを使用して ORB を構成する場合、これらのプロパティーの一部には、Java™ SE Development Kit (JDK) のデフォルト値と WebSphere® Application Server のデフォルト値の、2 つのタイプのデフォルト値があることに留意してください。

JDK のデフォルトは、 プロパティーがどのような方法でも指定されていない場合に、そのプロパティーに対して ORB が使用する値です。 WebSphere Application Server のデフォルトは、以下のファイルのいずれかで、 WebSphere Application Server がプロパティーに対して設定する値です。
  • アプリケーション・サーバーのインストール時には orb.properties ファイル。
  • アプリケーション・サーバーの構成時には server.xml ファイル。

WebSphere Application Server はデフォルト値を明示的に設定するため、WebSphere Application Server と JDK のデフォルト値の両方がプロパティーに対して定義されている場合、WebSphere Application Server のデフォルトが JDK のデフォルトよりも優先されます。

ORB プロパティーを指定する他の方法および優先順位について詳しくは、ご使用の JDK のバージョンの JDK 診断ガイドを参照してください。

ディレクトリー was_home/properties にある orb.properties ファイルには、製品のインストール・プロセス中に、WebSphere Application Server のデフォルト値に初期設定される ORB カスタム・プロパティーが収められています。これらの値はプロパティー・オブジェクト内の ORB に渡され、Java 仮想マシン (JVM) の引数や、java_home/lib または user_home ディレクトリーのいずれかにある他の orb.properties ファイルよりも優先されます。

管理コンソールを使用して、これらの ORB カスタム・プロパティーに新しい値を指定することができます。 これらのプロパティーに対してユーザーが指定する値はいずれも、JDK または WebSphere Application Server のデフォルト値 (JVM 引数を含む) よりも優先されます。 管理コンソールでユーザーが指定する ORB カスタム・プロパティー設定は、server.xml システム・ファイル内に保管され、ORB が初期化されるたびに、プロパティー・オブジェクト内で ORB に渡されます。

管理コンソールを使用して ORB カスタム・プロパティーを設定 するには、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「アプリケーション・サーバー」 > 「server_name」 > 「コンテナー・サービス」 > 「ORB サービス」 > 「カスタム・プロパティー」とクリックします。次に、リストされた カスタム・プロパティーのいずれかの設定を変更するか、「新規」をクリックしてリストに新規プロパティーを追加します。 次に、「適用」をクリックして、変更を保存します。 変更を終了したら、「OK」をクリックしてから「保存」をクリックして変更を保存します。

コマンド行で java コマンドを使用する場合は、-D オプションを使用します。以下に例を示します。
java -Dcom.ibm.CORBA.propname1=value1 -Dcom.ibm.CORBA.propname2=value2 ... application name
コマンド行で launchclient コマンドを使用する場合は、プロパティーに -CC という接頭部を付けてください。以下に例を示します。
launchclient yourapp.ear -CCDcom.ibm.CORBA.propname1=value1 -CCDcom.ibm.CORBA.propname2=value2 ... オプションのアプリケーション引数

カスタム・プロパティー・ページには、製品のインストール時に追加された Secure Sockets Layer (SSL) のプロパティーが既に含まれていることがあります。 ORB サービスに関連付けられた追加プロパティーのリストは、以下のとおりです。 特に説明のない場合、これらのプロパティーの説明で提供されるデフォルト値は JDK のデフォルト値です。

「カスタム・プロパティー」ページを使用して、ORB が使用する次のプロパティーを定義することができます。

com.ibm.CORBA.BootstrapHost

このクライアントの初期サーバー接点が存在するマシンの ドメイン・ネーム・サービス (DNS) ホスト名 または IP アドレスを指定します。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): この設定は推奨されません。depfeat

コマンド行またはプログラマチックな代替については、トピック『オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) サービスのためのクライアント・サイド・プログラミングのヒント』を参照してください。

com.ibm.CORBA.BootstrapPort

ORB がマシンへのブートストラップに使用するポートを指定します。 すなわち、このクライアントの初期のサーバー接点が listen しているマシンのポートです。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): この設定は推奨されません。depfeat

コマンド行またはプログラマチックな代替については、トピック『オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) サービスのためのクライアント・サイド・プログラミングのヒント』を参照してください。

通知
デフォルト 2809

com.ibm.CORBA.ConnectTimeout

com.ibm.CORBA.ConnectTimeout プロパティーは、リモート・サーバー ORB との IIOP 接続を確立しようとしたときに、クライアント ORB がタイムアウトになるまで待機する最大時間 (秒数) を指定します。通常、クライアント・アプリケーションがこのプロパティーを使用します。 管理コンソールを介して、このプロパティーを 個々のアプリケーション・サーバーに対して指定することができます。

クライアント・アプリケーションは、以下の 2 つの方法のうちのいずれかで com.ibm.CORBA.ConnectTimeout プロパティーを指定することができます。
  • orb.properties ファイルにこのプロパティーを組み込みます。
  • -CCD オプションを使用して、launchclient スクリプトでこのプロパティーを設定します。次の例では、最大タイムアウト値を 10 秒に指定しています。
    launchclient clientapp.ear -CCDcom.ibm.com.CORBA.ConnectTimeout=10...

まず手始めにデフォルトのタイムアウト値を設定しますが、 ネットワーク輻輳やアプリケーション・サーバーの負荷と容量などの要素を考慮してください。 これより小さい値を指定すると、ダウン時間など、リモート・サーバーによって拡張される問題の場合に フェイルオーバー・パフォーマンスが向上します。 これより高い値は、低速のネットワークまたはリモート・サーバーのパフォーマンスにより適しています。 ただし、リモート・サーバーが後続の要求を完了するための時間が不十分な場合は、 例外が発生することがあります。 値 0 は、ORB がオペレーティング・システム TCP/IP 層によって 設定されたタイムアウトに依存することを意味します。 ほとんどのオペレーティング・システムでは、タイムアウトは 75 秒に設定されています。

移行ユーザーの方へ 移行ユーザーの方へ: バージョン 8 以降の com.ibm.CORBA.ConnectTimeout プロパティーの デフォルトは 10 です。バージョン 8 より前の場合の デフォルトは 0 です。trns
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有効範囲 0 から 300
デフォルト

10

com.ibm.CORBA.ConnectionInterceptorName

要求 (セキュアである場合は、 要求に関連付けられた保護の品質特性) に使用するアウトバウンド IIOP 接続のタイプを決定するために使用される 接続インターセプター・クラスを指定します。

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WebSphere Application Server のデフォルト com.ibm.ISecurityLocalObjectBaseL13Impl.SecurityConnectionInterceptor
JDK のデフォルト なし

com.ibm.CORBA.enableLocateRequest

ORB が、WebSphere Application Server セルでオブジェクトを見つけるために、 位置指定要求メカニズムを使用するかどうかを指定します。 パフォーマンス・チューニングのためにこのプロパティーを使用します。

このプロパティーを true に設定すると、ORB は、まずサーバーに短メッセージを送信し、アクセスする必要があるオブジェクトを見つけます。 この最初の接触は、位置指定要求 と呼ばれます。 初期メソッドの起動のほとんどが小さい場合、このプロパティーを false に設定すると、パフォーマンスが向上する場合があります。 これは、この設定の変更により GIOP トラフィックを約半分に削減することができるためです。 初期メソッドの起動のほとんどが大きい場合は、このプロパティーを true に設定する必要があります。 このプロパティーが true に設定されている場合は、大きい位置指定要求メッセージではなく、小さい位置指定要求メッセージが送信されます。 大きいメッセージは、必要なオブジェクトが見つかった後、ターゲットに送信されます。

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WebSphere Application Server のデフォルト true
JDK のデフォルト false
[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]

com.ibm.CORBA.FragmentSize

ORB が要求を送信する際に使用する GIOP フラグメントのサイズを指定します。 要求の合計サイズが設定値を超える場合、ORB は、要求をフラグメントに分割し、要求全体が送信されるまで各フラグメントを別々に送信します。 スタンドアロンで Java アプリケーションを使用している場合は、このプロパティーはクライアント・サイドで -D システム・プロパティーを使用して設定します。

ほとんどの GIOP 要求において、IIOP を介して送信されるデータ量が 1 KB を超えている場合、またはスレッド・ダンプで、ほとんどのクライアント・サイド・スレッドがデータの送受信中に待機していることが示されている場合は、com.ibm.CORBA.FragmentSize プロパティーに対して指定された値を調整します。 大部分のメッセージがほとんどフラグメントを持たないか、またはまったく持たないようにする必要があります。

ORB によって、送信される要求または応答がチャンクされないようにする場合は、このプロパティーを 0 (ゼロ) に設定してください。 ただし、値をゼロに設定しても、ORB が、別の ORB によって送信された要求または応答内の GIOP フラグメントを受け取らないようにすることはできません。

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単位 バイト
デフォルト 1024
範囲 64 から Java 整数型の最大値 (8 で割り切れる数) まで

com.ibm.CORBA.ListenerPort

このサーバーが着信要求を listen するポートを指定します。 この設定は、クライアント・サイドの ORB にのみ適用されます。

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デフォルト 次に使用可能な、システムが割り当てるポート番号
範囲 0 - 2147483647

com.ibm.CORBA.LocalHost

アプリケーション・サーバーまたはクライアント・アプリケーション ORB が 稼働しているシステムのホスト名または IP アドレスを指定します。

アプリケーション・サーバーの場合、 このプロパティーは自動的に ORB_LISTENER_ADDRESS エンドポイントのホスト名に 設定されます。ユーザーによって指定された どの値も ORB_LISTENER_ADDRESS ホスト名によって上書きされます。
  • ORB_LISTENER_ADDRESS ホスト名が "*" である場合、このプロパティーは、InetAddress.getLocalHost().getCanonicalHostName() メソッドを使用してローカル・ホスト名に設定されます。
  • クライアント・アプリケーションの場合、このプロパティーに値を設定しないと、ORB は、 InetAddress.getLocalHost().getHostAddress() メソッドを呼び出して実行時に値を取得します。
トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble):
  • このプロパティーをストリング localhost または値 127.0.0.1 に設定しないでください。これらの値に設定すると、クライアントとサーバーの両方で予測不能な振る舞いが生じる可能性があります。 これらの値は、コールバックの振る舞い、サーバー IOR の使用、および ORB 接続の作成に影響を与えることがあります。
  • [Windows]クライアント ORB がサーバーへの TCP 接続を行うとき、考えられるシナリオとして次の 2 つがあります。
    • ローカル・ソケット・サイドが、serverindex.xml ファイル内の ORB_LISTENER_ADDRESS プロパティー、または com.ibm.CORBA.LocalHost カスタム・プロパティーで指定される単一アドレスにバインドされている。
    • ローカル・ソケット・サイドが特定のアドレスにバインドされていない。

    この 2 つのシナリオが考えられる理由は、Micosoft Windows ネットワーキング・スタックが異なる有効範囲ゾーン間でパケットを転送しないことにあります。 ループバック・インターフェースとパブリック・インターフェースは異なる有効範囲ゾーンにあります。

    最初のシナリオは、クライアントが Microsoft Windows7 または Microsoft Windows 2008 R2 で稼働していて、com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome カスタム・プロパティーが false に設定されていると、SocketException で失敗します。理由は次のいずれかです。
    • serverindex.xml ファイル内のクライアント ORB_LISTENER_ADDRESS ホスト値、または com.ibm.CORBA.LocalHost カスタム・プロパティーに内部アドレス localhost または 127.0.0.1 のいずれかが入っていて、サーバーが 147.10.32.117 などの外部 IP アドレスまたは外部ホスト名を持っています。
    • あるいは、クライアントが外部アドレスを持っていて、サーバーが内部アドレスを持っています。
gotcha
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.CORBA.numJNIReaders

ORB によって使用される JNI リーダー・スレッド・プールに割り振られる JNI リーダー・スレッドの数を指定します。 各スレッドは、最大で 1024 の接続を処理できます。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): このプロパティーを設定する前に、JSSE プロバイダーが、ORB サービスが着信要求を listen するポートに関連付けられている SSL レパートリーのプロバイダーとして選択されていることを確認してください。IBMJSSE2 SSL または IBMJSSE SSL のいずれかを指定できます。 IBMJSSE2 SSL は、SSL レパートリーのデフォルトのプロバイダー設定です。gotcha
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有効範囲 1 から 2147483647
デフォルト 4
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.CORBA.ORBPluginClass.com.ibm.ws.orbimpl.transport.JNIReaderPoolImpl

JNI リーダー・スレッドを使用するように指定します。 このプロパティー名は、 JNI リーダー・スレッドのプールを管理し、複数の接続を同時に処理する際に使用されるネイティブ OS ライブラリーと対話する、 ORB コンポーネントのクラス名を指定します。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble):
  • ライブラリーが製品の適切なディレクトリー内にあることを確認します。

    Windows オペレーティング・システムの場合、稼働している WebSphere Application Server が 32 ビット版なのか 64 ビット版なのかに基づいて、ライブラリーは lib¥native¥win¥x86_32 または lib¥native¥win¥x86_64 内にあります。ライブラリー名を含むファイルの名前は Selector.dll です。

    UNIX ベースのオペレーティング・システムの場合、 ライブラリーは bin ディレクトリー内にあり、ライブラリーを含むファイルの名前は libSelector.a または libSelector.so です。ファイル名に接頭部 lib が付いていない場合は、ファイルを名前変更して、名前に接頭部 lib が含まれるようにしてください。

  • 管理コンソールを使用してこのプロパティーを指定する場合は、プロパティー名に com.ibm.CORBA.ORBPluginClass.com.ibm.ws.orbimpl.transport.JNIReaderPoolImpl と入力し、値には空ストリング ("") を入力します。
    java コマンドでこのプロパティーを指定する場合は、値は入れないでください。
    -Dcom.ibm.CORBA.ORBPluginClass.com.ibm.ws.orbimpl.transport.JNIReaderPoolImpl
gotcha
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有効範囲 該当なし
デフォルト なし

com.ibm.CORBA.RasManager

ORB のデフォルトの RAS マネージャーに対する代替策を指定します。 ORB を製品の残りの RAS 処理と統合できるようにするには、このプロパティーを com.ibm.websphere.ras.WsOrbRasManager に設定する必要があります。

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WebSphere Application Server のデフォルト com.ibm.websphere.ras.WsOrbRasManager
JDK のデフォルト なし
[AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.CORBA.SendConnectionContexts

Partner Version、Sending Context Runtime、および Codebase コンテキストなどの接続コンテキストが、常にすべての GIOP メッセージとともに送信されるのか否か、または接続ごとに一度のみ送信されるのか否かを指定します。

このプロパティーが always に設定されている場合は、 すべての接続コンテキストはすべての GIOP 要求およびすべての GIOP 応答とともに送信されます。

このプロパティーが once に設定されている場合は、 接続コンテキストは初期要求とともにのみ送信されます。

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デフォルト once

com.ibm.CORBA.ServerSocketQueueDepth

Server ORB による処理を待機できる接続要求の最大数を指定します。この数に達すると、製品は、それ以後新しく着信する接続要求のリジェクトを開始します。このプロパティーは、 ServerSocket コンストラクターの backlog 引数に相当し、 TCP/IP によって直接処理されます。

トレース・ログに「接続が拒否されました」というメッセージが表示される場合、通常は、ターゲット・マシンのポートが開いていないか、サーバーがキューに入れられた接続要求で過負荷になっているかのどちらかです。システムにそれ以外の問題が見当たらない場合は、 このプロパティーに指定した値を増やすと、この問題が改善される場合があります。

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デフォルト 50
範囲 50 から Java int 型の最大値まで

com.ibm.CORBA.ShortExceptionDetails

サーバー ORB が CORBA システム例外を検出したときに戻される例外詳細メッセージに、 java.lang.Throwable クラスの toString メソッドによって戻される例外の簡略説明を含むことを指定します。それ以外の場合、 メッセージには、java.lang.Throwable クラス の printStackTrace メソッドによって戻される完全なスタック・トレースが 含まれます。

com.ibm.CORBA.WSSSLClientSocketFactoryName

セキュア・アウトバウンド IIOP 接続用の SSL ソケットを作成するために ORB が使用するクラスを指定します。

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WebSphere Application Server のデフォルト com.ibm.ws.security.orbssl.WSSSLClientSocketFactoryImpl 
JDK のデフォルト なし

com.ibm.CORBA.WSSSLServerSocketFactoryName

インバウンド IIOP 接続用の SSL ソケットを作成するために ORB が使用するクラスを指定します。

通知
WebSphere Application Server のデフォルト com.ibm.ws.security.orbssl.WSSSLServerSocketFactoryImpl 
JDK のデフォルト なし

com.ibm.websphere.ObjectIDVersionCompatibility

このプロパティーは、インクリメンタル・セル・アップグレードの実行対象である混合リリース・クラスターがあり、それらのうち少なくとも 1 つのリリースがバージョン 6.x より前のリリースである場合に適用されます。

混合リリース・セルが含まれる環境では、マイグレーション・プログラムが このプロパティーを自動的に 1 に設定します。

すべてのクラスター・メンバーを同じリリースにアップグレードした後、ORB カスタム・プロパティーのリストからこのプロパティーを除去するか、 このプロパティーに指定された値を 2 に変更することができます。いずれのアクションでも、パフォーマンスが向上します。

このプロパティーを 1 に設定した場合、ORB はバージョン 1 のオブジェクト ID を使用して実行します。これは、V6.x より前のリリースのアプリケーション・サーバーを含む混合セルでは必須です。このプロパティーに値を指定しないか 2 に設定した場合、ORB はバージョン 2 のオブジェクト ID を使用して実行します。これは、V6.x より前のアプリケーション・サーバーでは使用できません。

com.ibm.websphere.orb.threadPoolTimeout

このカスタム・プロパティーを使用すると、オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) が、要求を拒否する前に、ORB スレッド・プールのスレッドが使用可能になるまで待機する時間の長さを指定できます。

ORB が着信要求を受信すると、ORB リーダー・スレッドがその要求を読み取ります。 ORB リーダー・スレッドは、ORB スレッド・プール内のワーカー・スレッドによる処理に要求を渡そうとします。 すべてのワーカー・スレッドが他の要求を処理している場合、リーダー・スレッドはワーカー・スレッドが使用可能になるまで待機します。 待機中のリーダー・スレッドは、新しい要求を処理しません。 この状態により、2 つの異なる Java 仮想マシン (JVM) プロセス上の ORB スレッド・プール間でデッドロックが発生する可能性があります。 このデッドロックは、1 つの JVM プロセス内の ORB が要求を完了するために、他の JVM プロセス内の ORB にコールバックする必要がある場合によく発生します。 したがって、このプロパティーをゼロでない正の値に設定することを強くお勧めします。これにより、有限の待機期間が構成され、デッドロック状態が制限されます。 ただし、このカスタム・プロパティーの値は、平均要求処理時間への影響、ORB 要求タイムアウト値、およびサーバーが追加の循環呼び出しまたはバックエンド呼び出しを行うかどうかに基づいて構成してください。

通知
データ型 整数
単位 ミリ秒
デフォルト 0
範囲 0 - Java ランタイムによって認識される最大整数値
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation

次回、アプリケーション・サーバーを始動したときに有効化され、com.ibm.ws.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution に設定された場合に使用可能になる、Logical Pool Distribution (LPD) スレッド・プール・ストラテジーを指定します。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): Logical Pool Distribution 機能は推奨されません。 製品の以前のリリース用に既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

要求によっては、比較的開始時間が短いものがあります。 LPD は、これらの比較的短時間の要求が、開始スレッドにより多くアクセスできるようにする仕組みです。 詳しくは、トピック『Logical Pool Distribution』を参照してください。

[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution.calcinterval

Logical Pool Distribution (LPD) メカニズムがプールの開始ターゲット回数を再調整する頻度を指定します。 このサポートのインストール後に、このプロパティーをオフにすることはできません。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): Logical Pool Distribution 機能は推奨されません。 製品の以前のリリースで既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

このプロパティーを使用する場合は、LPD を使用可能にする必要があります。 詳しくは、com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation プロパティーの説明を参照してください。

通知
データ型 整数
単位 ミリ秒
デフォルト 30
範囲 20,000 ミリ秒以上
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution.lruinterval

Logical Pool Distribution の内部データを非アクティブ要求に対して保持する時間 (ミリ秒数) を指定します。 このメカニズムは、受け取った要求のタイプごとに、いくつかの統計を追跡します。 異常に長い時間、アクティブになっていない要求は、除去することを検討してください。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): この機能は推奨されません。 製品の以前のリリースで既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

このプロパティーを使用する場合は、LPD を使用可能にする必要があります。 詳しくは、com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation プロパティーの説明を参照してください。

通知
データ型 整数
単位 ミリ秒
デフォルト 300000 (5 分)
範囲 60000 (1 分) 以上
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution.outqueues

Logical Pool Distribution メカニズムで、作成されるプールの数と 各プールに割り振られるスレッドの数を指定します。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): Logical Pool Distribution 機能は推奨されません。 製品の以前のリリースで既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

スレッドの総数は、スレッドの最大数の指定に使用される ORB パラメーターで制御されます。 outqueues パラメーターは、コンマで区切られたパーセンテージのリストとして指定され、 このリストの値をすべて加えると 100 になります。 例えば、25,25,25,25 というリストの場合、4 つのプールがセットアップされ、それぞれのプールには、使用できる ORB スレッド・プールの 25 % が割り振られます。 プールは、左から右へ、0 から n-1 までの番号が付けられています。 計算メカニズムは、各 outqueue にターゲット開始時間を動的に割り当てます。 ターゲット開始時間は、だんだん長くなるように outqueue に割り当てられます。 このため、プール 0 は開始時間が最も短い要求を取得し、プール n-1 は開始時間が最も長い要求を取得します。

このプロパティーを指定する場合は、LPD を使用可能にする必要があります。 詳しくは、com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation プロパティーの説明を参照してください。

通知
データ型 整数 (コンマで区切ったリスト内)
デフォルト 25,25,25,25
範囲 パーセンテージ (リストの合計が 100%)
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution.statsinterval

この間隔が経過後、要求が処理された場合のみに、統計が標準出力にダンプされるように指定します。このプロセスは、このメカニズムによってログ・ファイルが冗長な情報で満たされることを防ぎます。 これらの統計は、Logical Pool Distribution メカニズムのチューニングに役立ちます。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): Logical Pool Distribution 機能は推奨されません。 製品の以前のリリースで既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

このプロパティーを使用する場合は、LPD を使用可能にする必要があります。 詳しくは、com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation プロパティーの説明を参照してください。

通知
データ型 整数
単位 ミリ秒
デフォルト 0 (オフ)
範囲 30,000 (30 秒) 以上
[IBM i][AIX Solaris HP-UX Linux Windows]

com.ibm.websphere.threadpool.strategy.LogicalPoolDistribution.workqueue

着信要求がディスパッチを待機する新規キューのサイズを指定します。 Logical Pool Distribution メカニズムに属します。

非推奨の機能 (Deprecated feature) 非推奨の機能 (Deprecated feature): Logical Pool Distribution 機能は推奨されません。 製品の以前のリリースで既に構成していない限り、Logical Pool Distribution は構成しないでください。depfeat

このプロパティーを使用する場合は、LPD を使用可能にする必要があります。 詳しくは、com.ibm.websphere.threadpool.strategy.implementation プロパティーの説明を参照してください。

通知
データ型 整数
デフォルト 96
範囲 10 以上

com.ibm.ws.orb.services.lsd.EnableSecurityServiceCheck

ロケーション・サービス・デーモン (LSD) に関連する発信 ORB 呼び出しが、セキュリティー・サービスの初期化前に呼び出されないようにします。

ロケーション・サービス・デーモン (LSD) に関連する発信 ORB 呼び出しは、 サーバーでユーザー認証の準備が整う前に呼び出しが行われたために、認証に失敗することがあります。 セキュリティー・サービスが初期化されるまでサーバーが待ってから発信 ORB 呼び出しを行うようにする場合は、 このプロパティーに true を設定します。

デフォルト値は false です。

com.ibm.ws.orb.services.lsd.SecurityServiceCheckInterval

セキュリティー・サービスが稼働中であるかをサーバーがチェックする頻度をミリ秒で指定します。

com.ibm.ws.orb.services.lsd.EnableSecurityServiceCheck カスタム・プロパティーに true を設定した場合、このプロパティーを使用して、 セキュリティー・サービスが稼働中であるかをサーバーがチェックする頻度を指示します。

デフォルト値は 5000 ミリ秒 (5 秒に相当) です。

com.ibm.ws.orb.services.lsd.SecurityServiceCheckRetry

セキュリティー・サービスが稼働中であるかをサーバーがチェックする最大回数を指定します。 これを超えると、ロケーション・サービス・デーモン (LSD) に関連する発信 ORB 呼び出しが認証に失敗したことを示すエラー・メッセージが発行されます。

デフォルト値は 10 です。

com.ibm.ws.orb.services.redirector.MaxOpenSocketsPerEndpoint

IIOP Tunnel Servlet が、各ターゲット・ホストとポートごとに、接続キャッシュで保守する、接続の最大数を指定します。 単一のホストとポートに対する並行クライアント要求の数が、このプロパティーの設定値を超えた場合、IIOP Tunnel Servlet は、追加の各クライアント要求に対して、ターゲット・サーバーへの接続を一時的に開き、応答を受け取った後に接続を閉じます。開いても 5 分以内に使用されなかった接続は、IIOP Tunnel Servlet のキャッシュから除去されます。

通知
WebSphere Application Server のデフォルト 3
JDK のデフォルト 該当なし
範囲 0 から Java で認識される最大の整数

com.ibm.ws.orb.services.redirector.RequestTimeout

タイムアウトになるまでに、IIOP Tunnel Servlet が、クライアントの代わりにターゲット・サーバーからの応答を待つ時間 (秒数) を指定します。このプロパティーの値が指定されない場合、または誤って指定された場合、IIOP Tunnel Servlet がインストールされているアプリケーション・サーバーの com.ibm.CORBA.RequestTimeout プロパティー設定が、com.ibm.ws.orb.services.redirector.RequestTimeout プロパティーの設定として使用されます。

このプロパティーに対してユーザーが指定する値は、少なくとも com.ibm.CORBA.RequestTimeout プロパティーのクライアントの最大設定値と同じである必要があります。 そうでない場合、応答を待っている間に IIOP Tunnel Servlet は、クライアントが通常タイムアウトになるよりも早くタイムアウトになる場合があります。 このプロパティーがゼロに設定されている場合、IIOP Tunnel Servlet はタイムアウトになりません。

通知
WebSphere Application Server のデフォルト IIOP Tunnel Servlet がインストールされているアプリケーション・サーバーの com.ibm.CORBA.RequestTimeout プロパティー設定。

request_timeout 要求レベルの Reliability Availability and Serviceability (RAS) 属性は、IIOP 要求の com.ibm.CORBA.RequestTimeout プロパティーをオーバーライドします。 要求レベル RAS 属性は、ワークロード分類ファイルで定義します。

JDK のデフォルト 該当なし
範囲 0 から Java で認識される最大の整数

com.ibm.ws.orb.transport.DeferSSLHandshake

このカスタム・プロパティーは、サーバー・サイド ORB が Secure Sockets Layer (SSL) ハンドシェークを ORB のセキュアなリスナー・スレッドの 1 つで実行するのか、それとも SSL ハンドシェークは新しく作成されるリーダー・スレッドに据え置かれるのかを指定します。

com.ibm.ws.orb.transport.DeferSSLHandshake カスタム・プロパティーが false に設定されている場合 (またはこのプロパティーが設定されていない場合)、 クライアントとサーバーの間の (新しく着信する SSL 接続に対して実行される) SSL ハンドシェークはサーバーのリスナー・スレッドによって実行され、 その時点で、着信 ORB 要求メッセージを読み取るために新規リーダー・スレッドが作成されます。このプロパティーが true に設定されている場合、 リスナー・スレッドは SSL ハンドシェークを実行しませんが、代わりに、新しく作成されるリーダー・スレッドにハンドシェークを据え置きます。 そのリーダー・スレッドが SSL ハンドシェークを実行し、その後で着信 ORB 要求メッセージを読み取ります。このプロパティーは、非常に多くの新規並行着信 SSL ORB 接続を処理するサーバーで使用することができます。 そうすると、ORB のリスナー・スレッドがボトルネックにならなくなり、また、 SSL ハンドシェーク読み取りタイムアウト (com.ibm.ws.orb.transport.SSLHandshakeTimeout 設定が原因で起こる) の発生を削減する (またはゼロにする) ことができます。

ORB のセキュアなリスナー・スレッドのポートは次のとおりです。
  • CSIV2_SSL_MUTUALAUTH_LISTENER_ADDRESS - CSIv2 クライアント認証 SSL ポート
  • CSIV2_SSL_SERVERAUTH_LISTENER_ADDRESS - CSIv2 SSL ポート
  • SAS_SSL_SERVERAUTH_LISTENER_ADDRESS - SAS SSL ポート
通知
WebSphere Application Server のデフォルト false
JDK のデフォルト none

com.ibm.ws.orb.transport.SSLHandshakeTimeout

このカスタム・プロパティーは、Secure Sockets Layer (SSL) ハンドシェーク関連メッセージを読み取るためのタイムアウト値を指定します。

com.ibm.ws.orb.transport.SSLHandshakeTimeout カスタム・プロパティーを正の整数値に設定すると、指定のタイムアウト期間後にメッセージが受信された場合に、リスナー・スレッドがハングしません。 このカスタム・プロパティーを設定しない場合、または正の整数値に設定しない場合は、デフォルトでタイムアウト値がゼロ (0) に設定され、タイムアウト期間が追加されず、リスナー・スレッドがハングする可能性があります。

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データ型 整数
デフォルト ゼロ (0)
単位 ミリ秒

com.ibm.ws.orb.transport.useMultiHome

サーバー ORB を、システム内のすべてのネットワーク・インターフェースにバインドするかどうかを指定します。 true に指定した場合、ORB は、使用可能なすべてのネットワーク・インターフェースにバインドされます。 false に指定した場合、ORB は、com.ibm.CORBA.LocalHost システム・プロパティーに指定されているネットワーク・インターフェースのみにバインドされます。

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WebSphere Application Server のデフォルト true
JDK のデフォルト true

javax.rmi.CORBA.UtilClass

製品が javax.rmi.CORBA.UtilDelegate インターフェースの実装に使用する Java クラスの名前を指定します。

このプロパティーは、javax.rmi.CORBA.Util クラスでメソッド実装の代行をサポートします。 javax.rmi.CORBA.Util クラスは、共通オペレーションを実行するために、 スタブおよびタイが使用できるユーティリティー・メソッドを提供します。 代行は、このインターフェースを実装し、javax.rmi.CORBA.Util のすべてのメソッドの置き換え実装を提供するクラスの singleton インスタンスです。 代行を有効にするには、 代行のクラス名を javax.rmi.CORBA.UtilClass システム・プロパティーの値として指定します。 デフォルト値は、com.ibm.CORBA.iiop.noLocalCopies プロパティーに対するサポートを指定します。

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WebSphere Application Server のデフォルト com.ibm.ws.orb.WSUtilDelegateImpl
JDK のデフォルト なし

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ファイル名:rorb_setg.html