[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]

サービス・ポリシーの定義

作業要求の分類および優先順位付けを行うために、サービス・ポリシーを、またほとんどの種類の作業要求ではそれに加えて作業クラスを定義できます。 サービス・ポリシーは、ユーザー定義のパフォーマンス目標と (一部の場合は) 重要度レベルとで構成されています。

始める前に

以下のタスクを実行するには、管理特権が必要です。

  • サービス・ポリシーおよびトランザクション・クラスの作成、変更、または削除
  • ルール・ビルダーによるルールの変更
詳しくは、『管理のロールと特権』を参照してください。

このタスクについて

サービス・ポリシーは、トランザクション・クラスによって作業要求に関連付けられています。 各作業要求は、厳密に 1 つのトランザクション・クラスに属し、各トランザクション・クラスは厳密に 1 つのサービス・ポリシーに属しています。 ほとんどの種類の作業要求では、作業クラスを使用して、着信要求をトランザクション・クラスにマップします。 各作業クラスは、1 つの Java™ Platform, Enterprise Edition (Java EE) アプリケーションと 1 つの基本的な要求フィーチャー (HTTP の場合は URI 接頭部、 IIOP の場合はメソッド名、Java Message Service (JMS) の場合はバス宛先) に接続されます。各作業クラスにより、該当する要求がトランザクション・クラスに分類される方法が指定されます。 汎用サーバー・クラスターおよび SIP では、作業クラスは使用されません。 代わりに、トランザクション・クラスに各要求を分類するルールが ODR に構成されています。サービス・ポリシーのカスタム・プロパティーを使用して、 トランザクション・クラス・ベースで、パーシスタント・サービス・ポリシー違反に対するサービス・ポリシー警告を生成することができます。詳しくは、サービス・ポリシーのカスタム・プロパティーに関する説明をお読みください。

UDP 経由の SIP トラフィックの場合、CPU 過負荷による再送信が発生するのを防止するために、CPU 過負荷防止用のアドミッション制御を使用可能にする必要があります。SIP の CPU 過負荷保護用にアドミッション制御を使用する場合、目標の任意タイプは使用しないでください。 平均応答時間または百分位数応答時間の目標のみを使用する必要があります。 目標に設定される応答時間のしきい値は、クライアントの T1 タイマーの値 (デフォルトで 500 ミリ秒) より十分に低くする必要があります。 リジェクト平均応答時間のしきい値 (ARFM コントロール・パネルで構成されている目標の応答時間のしきい値およびリジェクト・ポリシーから派生した値) は、クライアントの T1 タイマーより小さくする必要があります。 CPU 過負荷防止用のアドミッション制御の使用可能化について詳しくは、 『オートノミック要求フロー・マネージャーの構成』を参照してください。

制約事項: HTTP または SIP に対するダイアログ/セッション方向が有効である場合、既存のダイアログまたはセッションの一部であるメッセージ、および 既存のダイアログまたはセッションの一部ではないメッセージにはサービス・ポリシーを適用できません。

サービス・ポリシーの作成時には、次の仕様を考慮して目標値を構成してください。 目標タイプが平均応答時間または百分位数応答時間のいずれかである場合は目標値を設定します。適切な目標値を設定するため、 負荷がないか少ないときに、アプリケーションの平均応答時間を測定します。測定した平均応答時間の約 2 倍に目標値を設定します。例えば、 アプリケーションの平均応答時間が 1 秒である場合、目標値は 2 秒に設定します。

アプリケーションの平均応答時間は以下の手順で測定できます。
  1. arfmManageCpu セル・カスタム・プロパティーを false に設定して、オートノミック要求フロー・マネージャー (ARFM) キューイングを使用不可にします。
  2. 視覚化データ・サービスを使用可能にします。詳しくは、 『視覚化データ・サービスの構成』を参照してください。
  3. 特定の期間 (例えば、1 週間、1 カ月など)、通常の負荷でアプリケーションの実行を許可します。
  4. 管理コンソールの「ランタイム操作」 > 「アプリケーション」の下で、アプリケーションの平均応答時間を確認します。
トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 目標値の設定が低すぎる場合、 アプリケーション・サーバーが追加で開始されることはありません。システムは、 さらに別のアプリケーション・サーバーを開始してもサービス・ポリシー目標の達成に役立たないと判断します。サービス・ポリシー目標値を、最良の平均応答時間の 2 倍に設定してください。gotcha

手順

  1. 管理コンソールで、「動作ポリシー」 > 「サービス・ポリシー」をクリックします。既存のサービス・ポリシーを選択して編集することも、 「新規」をクリックしてサービス・ポリシーを作成することもできます。 既存のサービス・ポリシーを編集するには、 サービス・ポリシー名をクリックします。
  2. 新規サービス・ポリシーの名前、説明、目標タイプを作成して ください。 目標タイプは、以下のように、任意、 平均応答時間、百分位数応答時間のいずれかにできます。
    • 任意目標はデフォルトであり、有効な値のない作業を表します。 その結果として、このタイプの作業ではリソースに制約があるときパフォーマンスが低下することが あります。
    • 平均応答時間目標は任意より優先度が高い作業を 表します。平均応答時間は、特定の時間目標が割り当てられます。
    • 百分位数応答時間目標は、任意よりも優先度が高い作業のための 別の手段です。百分位数応答目標は以下のパネルの特定の基準により 定義されます。百分位数応答時間目標は、 応答時間が T 以下の要求の比率で、これは P 以上になります。 1 つの目標は T と P に対して特定の値を持ちます。
  3. オプション: 目標タイプとして平均応答時間または百分位数応答時間を 選択すると、特性の定義と重要度の選択を求めるプロンプトが 出されます。

    平均応答時間の目標の場合、目標値を入力し、重要度をサービス・ポリシーに関連付け、「パーシスタント・ポリシー違反のモニター」を選択して、ポリシー違反が発生したときのランタイム・タスクの作成をセットアップします。

    サービス・ポリシーに 重要度を関連付ける場合、最低から最高までさまざまな重要度のオプションがあります。すべての作業を最高に格付けすると 否定的な結果となることがあるため、ある程度計画して正しい重要度値を選択することが 必要です。このレーティングは環境内でボトルネックを生じる場合が あります。ポリシー違反を定義するには、「目標差分値」および「期間値」を指定します。
    • 目標差分値」フィールドに、構成した目標値を超過する、最大で許容できる時間を示す整数を入力します。 許容値は、0 から 3000 ミリ秒、0 から 300 秒、 および 0 から 2147483647 分です。
    • Time period value」フィールドに、目標値違反が発生した後のミリ秒、秒、または分を示す整数を入力します。 この値には、0 から 1 日を指定できます。

    百分位数応答時間の場合、目標百分位数を、次のフィールドで定義する目標値を満たす必要がある要求のパーセンテージに設定します。次に、目標値を入力し、重要度をサービス・ポリシーに関連付け、「パーシスタント・ポリシー違反のモニター」を選択して、ポリシー違反が発生したときのランタイム・タスクの作成をセットアップします。

    目標値の場合、サービス・ポリシーの最大許容時間を入力します。環境は、定義された目標を下回るようにして、 最も均衡する結果が得られるよう継続的に調整します。サービス・ポリシーに 重要度を関連付ける場合、最低から最高までさまざまな重要度のオプションがあります。すべての作業を最高に格付けすると否定的な結果となることがあるため、 計画して正しい重要度値を選択することが必要です。ポリシー違反を定義するには、以下のように「目標差分の百分率」および「期間値」を指定します。
    • 「目標差分値」フィールドに、 モニターする目標値よりも低い、要求のパーセンテージを 示す整数を入力します。許容値は 0 から 100 です。
    • Time period value」フィールドに、目標値違反が発生した後のミリ秒、秒、または分を示す整数を入力します。
    ランタイム・タスクは、一定基準の違反が発生した場合に生成されます。例えば、次の百分位数応答時間の例では、百分位数目標が 90%、目標差分が 5% で、85% 未満の要求しか 1 秒 (連続 5 秒の間) のサービス時間目標を満たさなかった場合、すなわち、15% を超える要求が 1 秒 (連続 5 秒の間) のサービス時間目標を超えた場合に、サービス・ポリシーの違反となります。システムでは、なお 90% の目標を満たそうとするようにトラフィックを優先順位付けしますが、85% (90% マイナス 5%) のしきい値を満たしていない場合を除いて、違反通知は発行されません。
    表 1. 百分位数応答時間の例
    説明
    目標百分位数 90%
    目標値 1
    重要度 1
    パーシスタント・サービス・ポリシーの違反のモニター true
    目標差分の百分率: 5%
    期間値 5 秒

    目標値の場合、サービス・ポリシーの最大許容時間を入力します。この環境では、 相対的なパフォーマンス結果の最高のバランスに達することおよびそれを維持することを目指して、自動調整可能なすべてのコントロールが継続的に調整されます。サービス・ポリシーに 重要度を関連付ける場合、最低から最高までさまざまな重要度のオプションがあります。すべての作業を最高に格付けすると否定的な結果となることがあるため、 計画して正しい重要度値を選択することが必要です。このレーティングは環境内でボトルネックを生じる場合が あります。

  4. トランザクション・クラス・メンバーをサービス・ポリシーに関連付けるか、 トランザクション・クラスを作成してください。 探しているトランザクション・クラスが存在しない場合は、 トランザクション・クラスを作成してください。
  5. サービス・ポリシーの作業クラスを作成するには、管理コンソールで、「アプリケーション」 > 「アプリケーション・タイプ」 > 「WebSphere エンタープライズ・アプリケーション」 > application_name > 「サービス・ポリシー」をクリックします。既存のサービス・ポリシーを選択し、要求タイプに応じて「新規」をクリックしてください。

    HTTP 用のサービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加するメンバーを選択します。オプションで、カスタム URI を使用するには、「カスタム URI パターン」フィールドでその名前を入力し、「パターンの追加」をクリックします。例えば、JavaServer Pages (JSP) 作業を行う場合、カスタム URI が必要 です。

    SOAP 用のサービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加する Web サービス操作を選択します。

    IIOP 用のサービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加する EJB メソッドを選択します。オプションで、カスタム EJB を使用するには、「カスタム EJB 名」および「カスタム EJB メソッド」フィールドに情報を入力し、「パターンの追加」をクリックします。

    JMS 用のサービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択し、定義済みのバスを選択して、EJB メソッドを選択します。オプションで、カスタム・バスを使用するには、「カスタム・バス名」および「カスタム・バス宛先 (Custom bus destination)」フィールドに情報を入力し、「パターンの追加」をクリックします。

    SIP 用にサービス・ポリシーを作成するには、次の 2 つのポリシーを作成する必要があります。
    1. 以下の値を含むデフォルト SIP ポリシーを作成します。
      • 目標タイプ = 平均応答時間
      • 目標値 = 75 ミリ秒
      • 重要度 = 高
    2. 以下の値を含む INVITE ポリシーを作成します。
      • 目標タイプ = 平均応答時間
      • 目標値 = 75 ミリ秒
      • 重要度 = 低
    3. 以下のようにサービス・ポリシー SIP ルールを設定します。
      • request.method = INVITE の場合、トランザクション・クラス Default _TC_INVITE (INVITE) に分類します。
      • ルールが適用されない場合、トランザクション・クラス Default_TC_def_sip (def_sip) に分類します。
  6. システムでは、サービス・ポリシー構成に対して行った変更を自動的に検出します。サービス・ポリシーおよび作業クラスを更新した場合に、サーバーを再始動する必要はありません。

タスクの結果

サービス・ポリシーとルーティング・ルールを使用して、ビジネス目標が定義され、 アプリケーション URI にその目標が適用されました。これでご使用のシステムは 作業をカテゴリー化し、優先順位付けができるようになりました。

トピックのタイプを示すアイコン タスク・トピック



タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=twve_odrpolicy
ファイル名:twve_odrpolicy.html