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Intelligent Management: 動的クラスターのカスタム・プロパティー

動的クラスターのカスタム・プロパティーを使用して、動的クラスターおよびアプリケーション配置の動作を変更できます。

アプリケーション配置のカスタム・プロパティーを設定するには、「サーバー」 > 「クラスター」 > 「動的クラスター」 > [cluster name] > 「カスタム・プロパティー」と展開します。

APC.predictor カスタム・プロパティー

APC.predictor カスタム・プロパティーを使用して、アプリケーション配置コントローラー機能を使用可能にします。

このカスタム・プロパティーを設定することにより、アプリケーション配置コントローラーは、CPU 使用量のみに基づいてサーバーを開始および停止します。コントローラーは、どのサーバーを開始および停止するかに関して、オートノミック要求フロー・マネージャー (ARFM) からデータを取り出さなくなります。

表 1. APC.predictor カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 セル
有効な値 CPU

quiesceTimeOutMS カスタム・プロパティー

quiesceTimeOutMS カスタム・プロパティーを使用して、動的クラスター・インスタンスの静止タイムアウト値を設定することができます。

このカスタム・プロパティーの値には、動的クラスターの停止に至る前に待機する時間 (ミリ秒) を設定します。 例えば、動的クラスターを 1 分静止してから停止する場合は、この値を 60000 に設定します。 アプリケーション配置コントローラーがサーバーを停止している場合、 サーバー操作タイムアウト値がデフォルトで使用されます。 ヘルス管理モニターがサーバーを停止している場合、 再始動タイムアウト値がデフォルトで使用されます。

表 2. quiesceTimeOutMS カスタム・プロパティーの値
説明
有効範囲 動的クラスター
有効な値 整数

CenterCell カスタム・プロパティー

環境にマルチセル・パフォーマンス管理を構成する場合、CenterCell カスタム・プロパティーを使用して、1 つのセルをセンター・セルとして指定できます。また、ポイント・セルとして指定する各セルに対して、CenterCell カスタム・プロパティーを 個々に設定します。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 1 つのカスタム・プロパティーだけを true に設定してください。gotcha
表 3. CenterCell カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 セル
有効な値 true: 1 つのセルをセンター・セルに指定します。

false: 1 つのセルをポイント・セルに指定します。

lazyStartMinInstances カスタム・プロパティー

lazyStartMinInstances カスタム・プロパティーを使用して、ODR が非アクティブ動的クラスターのアクティビティーを検出したときに開始する複数のサーバー・インスタンスを構成することができます。

バージョン 6.1.1.2 より前では、1 つの動的クラスターがアプリケーションの遅延スタートに構成されているときに、活動状態にない動的クラスターに対する要求を ODR が受け取ると、1 つのサーバー・インスタンスのみが開始しました。しかし、特定の動的クラスター に lazyStartMinInstances カスタム・プロパティーを設定すると、 その特定の動的クラスターによって複数のインスタンスを開始することができます。アプリケーションの遅延スタートに対して他の動的クラスターが 複数存在するように構成されている場合、それらのクラスターは、それぞれに 1 つだけインスタンスを開始します。

または、 アプリケーション配置コントローラーでカスタム・プロパティーを設定し、 すべての動的クラスターが影響を受けるようにすることもできます。ただし、動的クラスター・レベルで設定された カスタム・プロパティー値は、アプリケーションの配置レベルで設定されたカスタム・プロパティー値をオーバーライドします。

表 4. lazyStartMinInstances カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 動的クラスター
有効な値 遅延スタートするインスタンスの最小数を指定する整数値
デフォルト 1

equalCPUFactor カスタム・プロパティー

equalCPUFactor カスタム・プロパティーを使用すると、動的クラスター内のサーバーのパフォーマンスを均一化する方法を動的ワークロード・マネージャー (DWLM) に指示することができます。

DWLM は、一定の動的クラスター内でサーバーのパフォーマンスを均一化するためにサーバーの動的重みを計算します。サーバー・パフォーマンスについては以下のような最も基本的な 2 つの指標があります。
  • サーバーに送られる要求の平均サービス時間。
  • ノードのプロセッサー使用率。
カスタム・プロパティーを使用して、これらの指標のうち妥当なものを指定できます。例えば、サイトのユーザーにサイトのパフォーマンスの捉え方に一貫性を持たせたい場合、平均サービス時間を最適化することを選択できます。ハードウェアの使用率のほうに関心がある場合は、パフォーマンスの指標としてプロセッサー使用率を選択することができます。

平均サービス時間を均一化することを最優先にしたい場合、このカスタム・プロパティーの値を 0 に設定します。ノードのプロセッサー使用率を均一化したい場合、値を 1 に設定します。 両方の指標を相互間の相対的重みを基にして混用したい場合、値を 0 から 1 までの小数値 (例えば 0.4) に設定します。値を小数に設定することにより、0.4 の相対的重みをプロセッサー使用率、1–0.4 つまり 0.6 の相対的重みを平均サービス時間にかけます。

両方の指標を同時に均一化することが常に可能であるわけではありません。例えば、異機種のサーバーが混在した環境や、異なる背景負荷の量が変動するような環境では、プロセッサー使用率を均一化すると、結果として平均サービス時間が均一化されなくなる場合があります。 同じプロセッサー使用率で高速のサーバーと低速のサーバーが稼働していると、結果的にそれぞれ要求の平均サービス時間が短くなったり、長くなったりします。 より深い層にある複数のサーバーの 1 つで要求に費やされる時間が長くなると、平均サービス時間に違いが出てくる場合があります。深い層のサーバーが単一機種であり、等しいプロセッサー使用率を持っていても、要求が送られたサーバーによっては、この違いが発生することがあります。他にも、要求のサービス時間がプロセッサー以外のリソースに左右されるような状況が存在します。equalCPUFactor カスタム・プロパティーの値は、DWLM コントローラーが均一化される平均サービス時間とプロセッサー使用率の両方の重み付けされた指標を決定する際に役立ちます。

equalCPUFactor カスタム・プロパティーがなくても、一定の動的クラスターにおけるサーバーのプロセッサー使用率は、DWLM コントローラーの動作に影響します。一般的に、プロセッサー使用率が低い場合には、負荷の均等分散がサービスの時間や使用率のパフォーマンスの均一化に優先します。 次第に使用率が上昇していくと、パフォーマンスの均一化が優先され始めます。プロセッサー使用率の値が著しく高い場合、不安定性を克服できるほど、重みは簡単には変えられません。プロセッサー使用率が高い場合、その極端な動作点における負荷分散のパフォーマンスの重要性が増します。

表 5. equalCPUFactor カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 セル。セル内のすべての動的クラスターに適用されるか、個別の動的クラスター・レベルで適用されます。カスタム・プロパティーが動的クラスター・レベルとセル・レベルの両方で指定された場合、動的クラスター・レベルの値がセル・レベルで指定された値に優先されます。
有効な値 0 と 1 の間の小数
デフォルト 非仮想化環境の場合は 0、仮想化環境の場合は 1

HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティー

HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを使用して、 HTTP セッションの再平衡化を使用不可にできます。

HTTP セッション再平衡化は自動的に使用可能になります。HTTP セッションの再平衡化を使用して、 既存のセッション・アフィニティーを所定の Web アプリケーションの処理に 使用できる新規サーバーに再割り当てすることができます。 詳しくは、『HTTP セッションの再平衡化』を参照してください。

構成を以前の HTTP セッションの動作に戻す場合は、 HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを使用します。ただし、セッション・アフィニティーは、 ある特定のアプリケーション・サーバーと共に確立され、使用可能な新規サーバーには再割り当てされていません。

PHP または Tomcat サーバーなどの WebSphere® Application Server を実行していないサーバーからなる動的クラスター上では、セッションの再平衡化はデフォルトでは使用不可となっています。それは、これらのサーバーに対して、既に別のセッション・クラスタリング機構がデプロイされている可能性があるからです。

セッションのサイズが大きい場合は、HTTP セッションの再平衡化を使用不可にすることもできます。 セッションが大規模な場合、セッションを新規サーバーに移すコストが、 移動元のサーバーから作業負荷を取り除くメリットよりも上回る可能性があります。 Performance Monitoring Infrastructure (PMI) データを使用して、 セッションの再平衡化をオフにする決定を下すことができます。PMI データには、応答時間、メモリー使用率、およびプロセッサー使用率が、 セッション情報を転送する特定のサーバーで増加していることが読み取れます。PMI データの分析 および HTTP セッション使用のベスト・プラクティスについて詳しくは、Performance Monitoring Infrastructure (PMI) についての説明を参照してください。

セッションの再平衡化をオンのままにすると、 セッションがより均等に分配されて、メモリーとプロセッサーの使用率もクラスターの サーバー全体でより均等に分配されます。クラスターの平衡化が進むと、 Intelligent Management のオートノミック決定がしやすくなります。

表 6. HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 動的クラスター
有効な値 true: HTTP セッション再平衡化を使用不可にします。

false: HTTP セッション再平衡化を使用可能にします。WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーの HTTP セッション再平衡化を使用不可にしたい場合は、このカスタム・プロパティーを削除できます。

デフォルト

WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーから構成される動的クラスターの場合: false (使用可能)

WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーでないサーバー (PHP サーバーや Tomcat サーバーなど) から構成される動的クラスターの場合: true (使用不可)

numVerticalInstances カスタム・プロパティー

このカスタム・プロパティーを使用して、 ノードの動的クラスター・インスタンスの数を定義します。

動的クラスターのノードが異機種混合で、能力が異なる場合は、 このカスタム・プロパティーのみを使用します。 動的クラスターのノードが同種である場合は、管理コンソールで動的クラスター・インスタンスの数を一度に定義できます。 動的クラスター・インスタンスについて詳しくは、 『垂直スタッキングをサポートする異種ノードの動的クラスターの構成』を 参照してください。

表 7. numVerticalInstances カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 動的クラスター
名前フォーマット カスタム・プロパティーの名前として numVerticalInstances.node_name を指定します。ここで、node_name はノードの名前です。
有効な値 スタッキング数を表わす整数値

proactiveIdleStop カスタム・プロパティー

proactiveIdleStop カスタム・プロパティーを使用して、アクティビティーのない期間に開始した動的クラスター・インスタンスを停止できます。

このカスタム・プロパティーは、管理コンソールの「他の動的クラスターがリソースを必要とする場合、アクティビティーのない期間に開始した、このクラスターのすべてのインスタンスを停止する」設定に機能を追加します。 この設定は、このカスタム・プロパティーで使用可能にする必要があります。管理コンソール設定を使用した場合、 セル内の他のクラスターが、非アクティブ・インスタンスで使用されているリソースを必要とする場合にのみ、インスタンスが停止します。 また、クラスターのインスタンスを停止するまでの待ち時間も指定します。このカスタム・プロパティーを設定することによって、 環境内の他の場所でリソースが必要とされていない場合でも、非アクティブ・インスタンスは停止されます。クラスター・インスタンスは、 管理コンソール設定で指定された期間の間、アイドル状態となります。

アプリケーション配置コントローラーは、管理コンソール設定で指定した時間から「アプリケーション配置コントローラー構成」パネルの「配置変更の間の最小時間」設定に指定した値を加えた時間の間の一定ポイントでインスタンスを停止します。例えば、proactiveIdleStop カスタム・プロパティーを true に設定し、「配置変更の間の最小時間」の値が 15 分で、「インスタンスを停止するまでに待機する時間」の値が 5 分の場合、動的クラスター・インスタンスは、最後の要求がこのインスタンスにルーティングされた後の 5 分から 20 分の間のある時点で停止されます。

表 8. proactiveIdleStop カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 オンデマンド・ルーター (ODR) の動的クラスターを除く動的クラスター
有効な値 ブール
デフォルト false (使用不可)
[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][z/OS]

routableTimeoutMS カスタム・プロパティー

動的クラスター・メンバーが開始している間に、メンバーがオンデマンド・ルーター (ODR) からの要求を処理する準備ができていない期間があります。routableTimeoutMS カスタム・プロパティーを使用して、新しく始動される動的クラスター・メンバーに対してトラフィックをルーティングする前に、ODR 待ち時間をミリ秒単位で定義します。

例えば、ノードまたはサーバー保守モードを使用している場合、アプリケーション配置コントローラー (APC) は、保守モードに入るものを置き換えるためにリソースを割り振ります。別の例として、メモリー、CPU などの制約によって、APC が動的クラスター・メンバーをノード間で再配置するというものがあります。この場合、それぞれデフォルトの 60000 ミリ秒を超えた追加時間が、新しく開始されるリソース上でアクティブになるために、アプリケーションで必要な場合があります。

注: 動的クラスター・メンバーの遷移状態中、HTTP エラー・コード 503 が発生した場合にのみ、このカスタム・プロパティーを使用します。
表 9. routableTimeoutMS カスタム・プロパティー
説明
有効範囲 オンデマンド・ルーター (ODR) の動的クラスター
有効な値 ODR ルーティング可能の最大待機時間
デフォルト 60000 ミリ秒
[z/OS]

serverSpecificShortNames カスタム・プロパティー

z/OS® プラットフォームの場合は、serverSpecificShortNames カスタム・プロパティーを動的クラスターに指定して、クラスター・メンバーの特定のショート・ネームをコンマ区切りのリスト形式 (例: SSN1,SSN2) で示します。複数のショート・ネームを区切る場合は、コンマを使用します。すべてのクラスター・メンバーに使用できる十分な数のショート・ネームを指定しなかった場合は、残りのクラスター・メンバーには、BBOS001, BBOS002 などの汎用ショート・ネームが生成され、割り当てられます。

表 10. serverSpecificShortNames カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 動的クラスター
有効な値 動的クラスター・メンバーのショート・ネームのコンマで区切られたリスト。例えば、SSN1,SSN2

updateWLM カスタム・プロパティー

このプロパティーが false に設定されている場合、DWLM コントローラー は、ワークロード管理 (WLM) において、クラスター・メンバーに対して計算されたウェイトを 更新しません。このプロパティーのデフォルト値は true です。このカスタム・プロパティー を有効にするには、セルのリサイクルが必要です。HAManager がセル全体にわたってオフになっているか、すべての動的クラスター・メンバーでオフになっている場合は、updateWLM を false に 設定することをお勧めします。
注: このカスタム・プロパティーは、動的クラスター・レベル またはセル・レベルで設定できます。
  • セル・レベルで設定される場合、そのセル内のすべての動的クラスターに適用されます。
  • DC レベルで設定される場合、その DC にのみ適用されます。
表 11. updateWLM カスタム・プロパティー値
説明
有効範囲 動的クラスターまたはセル
有効な値 true または false
デフォルト true

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タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=rwve_odccustprop
ファイル名:rwve_odccustprop.html