アプリケーション・サーバーのトランザクション・プロパティーの構成

トランザクション・サービスの設定は表示または変更することができます。例えば、トランザクション・ログ・ファイルのロケーションやデフォルト・ファイル・サイズを変更したり、トランザクションのタイムアウト・プロパティーを変更したり、あるいはヒューリスティック関連プロパティーを変更することができます。

このタスクについて

トランザクション・サービスは、複数のリソース・マネージャーに対する更新を調整してデータのアトミック更新を保証することのできる、サーバーのランタイム・コンポーネントです。トランザクションは、アプリケーション、またはアプリケーションがデプロイされているコンテナーにより、開始したり終了したりします。

このタスクは、トランザクション・ログを別のストレージ・デバイスに移動する場合や、トランザクション・サービス設定を変更する必要がある場合に実行します。 構成の変更を有効にするには、アプリケーション・サーバーを再始動する必要があります。

移行ユーザーの方へ 移行ユーザーの方へ: トランザクション・ログ・ファイルのサイズ変更と MMAP 関数の使用可能化のために実行するアプローチは、前のバージョンから変更 されました。trns

手順

  1. 管理コンソールで、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_name とクリックします。 アプリケーション・サーバー server_name のプロパティーが目次ペインに表示されます。
  2. 「[コンテナー設定] コンテナー・サービス」 > 「トランザクション・サービス」とクリックします。 「トランザクション・サービス設定」ページが表示されます。
  3. 「構成」タブが表示されていることを確認してください。
  4. オプション: [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]トランザクション・ログの書き込み先ディレクトリーを変更するには、「トランザクション・ログ・ディレクトリー (Transaction log directory)」フィールドにディレクトリーの絶対パス名を入力します。 「ランタイム」タブをクリックすると、「トランザクション・ログ・ディレクトリー」の現行ランタイム値を確認できます。

    WebSphere® Application Server を HA サポートなしで使用する場合は、トランザクション・サービスなどのパーシスタント・サービスのリカバリー・ログ構成を設定する必要はありません。 アプリケーション・サーバーは、適切なプロファイル・ディレクトリー内のデフォルトの場所を想定します。 HA サポートが有効になっている場合、このデフォルトは、クラスター内のすべてのサーバーから可視ではない可能性があります (例えば、サーバーが異なるプロファイルまたは物理ノード内にある場合)。 この振る舞いのために、高可用性を使用可能にする前に、クラスター内の各サーバーに対してリカバリー・ログ・ロケーションを構成します。 複数のサーバーが同じログ・ファイルにアクセスしないように、クラスター内の各サーバーが固有のトランザクション・ログ・ディレクトリーを持っていることを確認します。 また、クラスター内の個々のサーバーが、クラスター内の他のサーバーのトランザクション・ログ・ディレクトリーにアクセスできることを確認します。

    高可用性 (HA) 環境では、クラスター内の各サーバーのトランザクション・ログと補正ログ・ディレクトリーの両方が固有である必要があります。

    注: トランザクション・ログ・ディレクトリーを変更する場合、できるだけ早く変更を適用してアプリケーション・サーバーを再始動し、アプリケーション・サーバーを再始動するまでの問題発生のリスクを最小限にしてください。例えば、問題により、未完了トランザクションを残したままサーバーに障害が発生すると、サーバーが再始動したときには新規のログ・ディレクトリーが使用され、古いログ・ディレクトリーに記録された未完了トランザクションを自動的に解決することはできません。

    トランザクション・ログのサイズを、ステップ 5 の説明に従って指定することができます。

  5. オプション: トランザクション・ログ・ファイルのサイズを変更するには、「トランザクション・ログ・ディレクトリー」フィールドを変更してファイル・サイズの設定を組み込みます。 以下のフォーマットのいずれかを使用してください。ここで、directory_name はトランザクション・ログ・ディレクトリーの名前であり、file_size はトランザクション・ログ・ファイルのディスク・スペースの割り振り (キロバイト (nK) またはメガバイト (nM) で指定) です。指定可能なトランザクション・ログ・ファイルの最小サイズは 64K です。64K より小さい値を指定した場合やファイル・サイズの値を指定しなかった場合は、デフォルトの値 1M が使用されます。
    ;file_size   <!-- This format keeps the default directory -->
    directory_name;file_size
    dir://directory_name/directory_name;file_size
    /directory_name/directory_name;file_size
    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows]例えば Windows システムの場合、以下のエントリーにより、2 MB のトランザクション・ログ・ファイルをディレクトリー c:¥tranlogs に作成するように指定されます。
    c:¥tranlogs;2M

    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]実稼働環境以外の環境では、「トランザクション・ログ・ディレクトリー (Transaction log directory)」フィールドに ;0 を入力して (ディレクトリー名は入力しないでください)、トランザクションのロギングをオフにすることができます。 実稼働環境では、トランザクション・ロギングをオフにしないでください。オフにすると、システム障害の後のリカバリーが妨げられ、このため、データの保全性が保証できないからです。

    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]トランザクション・ログのサイズについて詳しくは、サーバーの可用性を最適化するためのトランザクション・ロギングの管理を参照してください。

  6. オプション: [z/OS]com.ibm.ws.recoverylog.spi.NoMemoryMappedFiles プロパティーを、z/OS® 上のトランザクション・ログ・ファイルのメモリー・マッピングを使用するように設定します。
    トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): このオプションを設定したときは、トランザクション・ログ・ファイルの サイズを慎重に設定する必要があります。MAXMMAPAREA パラメーターを使用すると、 メモリー・マッピングに割り振られるデータ・スペース・ストレージの最大量を 超えないように、トランザクション・ログ・ファイルのサイズを設定できます。 例えば、MAXMMAPAREA パラメーターを変更することで、 トランザクション・ログのサイズを減らしたり、トランザクション・ログ・ファイルの メモリー・マッピングに使用されるストレージ・スペースを増やしたりすることができます。 MAXMMAPAREA は、トランザクション・ログ・ファイルのメモリー・マッピングに割り振ることのできるデータ・スペース・ストレージの最大量をページ数で指定します。log1 および log2 という名前の 2 つのトランザクション・ログ・ファイルがあり、それぞれ 1 MB が割り振られています。このため、各サーバーはデフォルトで 512 ページを必要とします。gotcha
    以下の例は、ログ・ファイルのデフォルト・サイズを使用している場合の、OMVS パラメーター値の計算方法を示しています。
    MAXMMAPAREA = 512 x number_of_servers + (resources needed outside the application server)
    ここで、number_of_servers は同時に実行されるコントローラーの数であり、アプリケーション・サーバーとデプロイメント・マネージャーは含まれますが、ノード・エージェントは含まれません。以下の手順では、トランザクション・ログのメモリー・マップ・ファイルを使用するために、com.ibm.ws.recoverylog.spi.NoMemoryMappedFiles プロパティーを設定します。
    1. 管理コンソールで、「サーバー」 > 「サーバー・タイプ」 > 「WebSphere Application Server」 > server_nameを選択します。
    2. 「[サーバー・インフラストラクチャー] Java およびプロセス管理」 > 「プロセス定義」 > 「Java 仮想マシン」 > 「コントロール」 > 「[追加プロパティー] カスタム・プロパティー」とクリックします。
    3. 「新規」をクリックします。
    4. com.ibm.ws.recoverylog.spi.NoMemoryMappedFiles プロパティーの情報を入力します。
      名前
      com.ibm.ws.recoverylog.spi.NoMemoryMappedFiles false
  7. オプション: トランザクション・タイムアウト・プロパティーの値を検討または変更します。
    合計トランザクション存続時間タイムアウト
    このサーバーで開始されたトランザクションに許可される、トランザクション・サービスがタイムアウト完了を開始するまでの秒数。 このタイムアウトが発生する前に完了処理を開始しないトランザクションは、ロールバックされます。値 0 (ゼロ) は、このタイムアウトが適用されず、したがって代わりに最大トランザクション・タイムアウトが使用されることを示しています。 アプリケーション・コンポーネントは、トランザクションの合計トランザクション存続時間タイムアウトを、独自のタイムアウト値を設定することによってオーバーライドできます。
    [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]非 ASF モードでメッセージング・システムを実行する場合、不要なトランザクション・タイムアウトが発生しないようにするために、NON.ASF.RECEIVE.TIMEOUT メッセージ・リスナー・サービスのカスタム・プロパティーを使用してこのプロパティーが正しく構成されていることを確認する必要があります。詳しくは、関連リンクを参照してください。
    最大トランザクション・タイムアウト
    このアプリケーション・サーバー内に伝搬されたトランザクションが、非アクティブになってからトランザクション・サービスにより終了されるまでの秒数。 このサーバーで開始されるトランザクションに関連したアプリケーションで トランザクション・タイムアウトが設定されず、トランザクション存続時間タイムアウトの 合計が 0 (ゼロ) に設定されている場合は、この値がそれらのトランザクションにも適用されます。

    この値は合計トランザクション存続時間タイムアウト以上にする必要があります。 値 0 (ゼロ) は、このタイムアウトを適用しないことを示します。 そのような状況では、このタイムアウトに影響されたトランザクションはタイムアウトすることがありません。

    クライアント非活動タイムアウト
    クライアントが非アクティブであると見なされ、トランザクション・サービスがそのクライアントに関連するすべてのトランザクションを終了するまでの秒数。 0 (ゼロ) を指定すると、タイムアウト制限は設けられません。
  8. オプション: ヒューリスティック関連プロパティーを検討または変更します。
    ヒューリスティックな再試行制限
    コミットやロールバックなどの完了シグナルを、アプリケーション・サーバーが 再試行する回数。再試行が行われるのは、リソース・マネージャーまたはリモート・パートナーからの一時的な例外の後、または、すべての Web Services アトミック・トランザクション (WS-AT) パートナーが応答する前に、構成済みの非同期応答タイムアウトの有効期限が切れた場合です。
    ヒューリスティックな再試行待ち
    リソース・マネージャーまたはリモート・パートナーからの一時的な例外の後、 コミットまたはロールバックなどの完了シグナルを再試行する前に、アプリケーション・サーバーが待機する秒数。
    ヒューリスティック・レポートのロギングの使用可能化
    このオプションを選択すると、アプリケーション・サーバーは、1 フェーズ・コミット・リソースおよび 2 フェーズ・コミット・リソースに関係のあるトランザクションから「1 フェーズ・リソースのコミット」イベントを記録できるようになります。
    ヒューリスティックな完了指示
    ヒューリスティックな結果を伴うトランザクションの完了に使用する指示を選択します。アプリケーション・サーバーによってトランザクションをコミットまたはロールバックするか、管理者が手動で完了するかのいずれかを選択します。
    ヒューリスティック完了指示プロパティーは、以下のシチュエーションでトランザクションをどのように完了するかを指定します。
    • トランザクション・マネージャーは、最終参加者サポート (LPS)・リソースのヒューリスティック結果を報告します。
    • 分散トランザクションでの従属サーバーのリカバリー中に、ヒューリスティック再試行の制限が超過されます。
    • トランザクションは、Java™ EE コネクター・アーキテクチャー (JCA)・プロバイダーからインポートされます。

    このプロパティーは、前述のシチュエーションにおけるトランザクションにのみ適用されます。

    ヒューリスティック障害の容認
    このオプションを選択すると、このサーバー上のすべてのアプリケーションが、1 フェーズ・リソースを含む 2 フェーズ・トランザクションで、ヒューリスティック障害が起こる可能性を容認することを指定します。 この設定は、サーバーの最終参加者サポート (LPS) を構成します。このオプションを選択しない場合は、ヒューリスティック障害を容認することをアプリケーション個別に構成する必要があります。
  9. オプション: Web Services アトミック・トランザクション (WS-AT) または Web Services ビジネス・アクティビティー (WS-BA) の調整コンテキストを含むアウトバウンド要求で使用する、デフォルトの WS-Transaction 仕様レベルを変更するには、 「デフォルトの WS-Transaction 仕様レベル (Default WS-Transaction specification level)」リストから仕様レベルを選択します。
  10. 他の構成プロパティーを検討または変更して、ご使用の要件に合わせます。 トランザクション・サービスのプロパティーの詳細については、トランザクション・サービスの設定に関するトピックを参照してください。
  11. 「OK」をクリックして、変更をマスター構成に保存します。
  12. アプリケーション・サーバーを停止し、再始動します。

次のタスク

トランザクション・ログ・ディレクトリー構成プロパティーを誤ったディレクトリー名に変更した場合、アプリケーション・サーバーは再始動しますが、トランザクション・ログを開けません。 構成プロパティーを正しいディレクトリー名に変更してから、アプリケーション・サーバーを再始動してください。

root 以外のユーザーとしてアプリケーション・サーバーを実行している場合、 新規トランザクション・ログ・ロケーションで許可を変更します。 root 以外のユーザーで共有装置上のトランザクションのピア・リカバリーを使用するには、root 以外のユーザーおよびグループがマシン間で一致する識別番号を持つことを確認してください。


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タイム・スタンプ・アイコン 最終更新: last_date
http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=tjta_settlog
ファイル名:tjta_settlog.html