HA マネージャーを使用する時期

HA マネージャーは、CPU サイクル、ヒープ・メモリー、ソケットなどの貴重なシステム・リソースを消費します。これらのリソースは、HA マネージャー、および HA マネージャーが提供するサービスを使用する製品コンポーネントの両方によって消費されます。 HA マネージャーおよびこれらの製品コンポーネントの両方が消費するリソースの量は、コア・グループのサイズの増加とともに非線形で増大します。

大きなコア・グループの場合、HA マネージャーが消費するリソースの量が非常に大きくなることがあります。HA マネージャーを使用不可にすることにより、これらのリソースが開放されます。ただし、HA マネージャーを使用不可にする前に、システムの現在および将来のニーズを十分に調べて、HA マネージャーを使用不可にしても、HA マネージャーが必要なその他の機能は使用できることを確認してください。例えば、メモリー間のセッション複製とリモート要求ディスパッチャー (RRD) は、両方とも HA マネージャーを使用する必要があります。

HA マネージャーを使用不可にする機能が最も役立つのは、HA マネージャーが提供するサービスがいずれも使用されないトポロジーの場合です。 いくつかのトポロジーでは、HA マネージャーが提供するサービスを 使用するのは、プロセスの一部のみです。これらのトポロジーでは、プロセスごとに HA マネージャーを使用不可にでき、これにより HA マネージャーが使用するリソースの量が最適化されます。

ノード・エージェントやデプロイメント・マネージャーなどの管理プロセス上の HA マネージャーは、そのコア・グループ内のすべてのアプリケーション・サーバー・プロセスで HA マネージャーが使用不可になっていない限り、使用不可にしないでください。

HA マネージャーが提供するサービスの一部は、クラスター・ベースです。そのため、クラスター・メンバーは同種である必要があるので、クラスターのあるメンバー上の HA マネージャーを使用不可にした場合は、そのクラスターの他のすべてのメンバー上の HA マネージャーも使用不可にする必要があります。

特定のアプリケーション・サーバー・プロセスで HA マネージャーを使用可能にしておく必要があるかどうかを決定する場合は、以下の HA マネージャー・サービスのいずれかがプロセスに必要であるかどうかを検討してください。
  • メモリー間の複製
  • シングルトン・フェイルオーバー
  • ワークロード管理ルーティング
トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): 多くの内部コンポーネントは、HA マネージャー・インフラストラクチャー を使用するか、または、HA マネージャーを使用する内部サービスに 依存しています。したがって、 リストされた HA マネージャー・サービスは、HA マネージャーを使用不可にすることに よって影響を受けるすべてのサービスを包括するリストであるとは限りません。 また、他のサービスも HA マネージャーを使用するように変更される 可能性が常にあるため、このリストは変わる可能性があります。gotcha
ベスト・プラクティス ベスト・プラクティス: HA マネージャーを使用不可にする代わりに、 複数のセルを作成するか、または、セルを複数のコア・グループに区分けし、 ブリッジを作成してください。HA マネージャーを必要とするコンポーネント を現在は使用していない場合でも、後でそういったコンポーネントが 必要になる可能性があります。bprac

メモリー間の複製

メモリー間の複製は、アプリケーション・サーバー・レベルで構成する、または使用可能にする、クラスター・ベースのサービスです。メモリー間の複製がいずれかのクラスター・メンバーで使用可能になっている場合は、そのクラスターのすべてのメンバー上の HA マネージャーを使用可能にする必要があります。メモリー間の複製は、以下の場合、自動的に使用可能になります。

  • メモリー間の複製が、Web コンテナーの HTTP セッションに対して使用可能になっています。
  • キャッシュ複製が、動的キャッシュ・サービスに対して使用可能になっています。
  • EJB ステートフル・セッション Bean フェイルオーバーが、アプリケーション・サーバーに対して使用可能になっています。

シングルトン・フェイルオーバー

[AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]シングルトン・フェイルオーバーは、クラスター・ベースのサービスです。以下の場合、クラスターのすべてのメンバーで HA マネージャーが使用可能になっている必要があります。
  • HA マネージャーを使用してトランザクション・ログのリカバリーを管理するように、クラスターが構成 されています。
  • デフォルト・メッセージング・プロバイダーの 1 つ以上のインスタンスが、クラスター内で実行されるよう構成されています。 製品で提供されているデフォルト・メッセージング・プロバイダーは、サービス統合バスとも呼ばれます。

[z/OS]シングルトン・フェイルオーバーは、クラスター・ベースのサービスです。デフォルト・メッセージング・プロバイダーの 1 つ以上のインスタンスがクラスターで実行されるように構成されている場合は、クラスターのすべてのメンバーで HA マネージャーが使用可能になっている必要があります。 デフォルト・メッセージング・プロバイダーは、 製品で提供されているメッセージング・エンジンです。

ワークロード管理

ワークロード管理 (WLM) は、 以下のクラスまたはタイプのルーティング情報を伝搬します。
  • [AIX Solaris HP-UX Linux Windows][IBM i]エンタープライズ Bean IIOP トラフィックのルーティング情報。
  • デフォルトのメッセージング・エンジン (サービス統合バスとも呼ばれます) のルーティング情報。
  • IBM® WebSphere® Application Server プロキシー・サーバーを使用した HTTP 要求のルーティング。
  • IBM WebSphere Application Server プロキシー・サーバーを介した、Web サービス・アドレッシング要求のルーティング。
  • SIP (Session Initiation Protocol) 要求のルーティング。

WLM は、ルーティング情報を伝搬し、かつその可用性を高めるために、HA マネージャーを使用します。 通常、WLM ルーティング情報はクラスター・リソースに適用されますが、 スタンドアロン・メッセージング・エンジンなどの非クラスター・リソースに適用することもできます。 通常、IIOP またはメッセージング・エンジンのルーティング情報を作成 または消費するアプリケーション・サーバーで、HA マネージャーを使用可能のままにしておく必要があります。

例えば、
  • ルーティング情報プロデューサーはクラスター 1 に常駐するエンタープライズ Bean アプリケーションです。
  • ルーティング情報のコンシューマーはクラスター 2 に常駐するサーブレットです。

クラスター 2 内のサーブレットが、クラスター 1 内の エンタープライズ Bean アプリケーションを呼び出す 場合、HA マネージャーは、両方のクラスター内の すべてのサーバーで使用可能になっている必要があります。

ワークロード管理 MBean である ClusterMgr および Cluster は、クラスターについての 基本的な情報を戻します。しかし、トポロジーのいずれかの部分で HA マネージャーが 使用不可になっている場合、現行設定を変更し、 変更をすべてのクラスター・メンバーに伝搬させることはできません。

ワークロード管理には、ルーティング・テーブルを静的に作成し、それをファイル・システムにエクスポートするためのオプションが用意されています。HA マネージャーに対する依存関係を除去する場合は、このオプションを使用してください。

トラブルの回避 (Avoid trouble) トラブルの回避 (Avoid trouble): プロキシー・サーバー・クラスターの機能は、アプリケーション・サーバー・クラスターの機能とまったく同じではありません。

例えば、プロキシー・クラスターのメンバー間でデータが複製されないため、クラスター内のプロキシー・サーバー間でのフェイルオーバーはサポートされていません。1 台のプロキシー・サーバーに障害が発生した場合、そのプロキシー・サーバーが所有するすべてのアクティブな接続は失われ、着信要求が失敗します。しかしながら、プロキシー・サーバーとプロキシー・クラスターはいずれもバックエンド・サーバーの高可用性とフェイルオーバーをサポートします。そのため、プロキシー・サーバーは、バックエンド・サーバーがダウンした場合にそれを検出して、セッションが複製されたサーバーに要求を転送することができます。

gotcha

出力例:

myCluster1(cells/mycell/clusters/myCluster1|cluster.xml#ServerCluster_1)

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http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=was-nd-mp&topic=crun_ha_ham_required
ファイル名:crun_ha_ham_required.html