データ複製ドメイン
データ複製ドメインおよびマルチブローカー・ドメインは、どちらも同じ機能 (クラスター内のアプリケーション・サーバー間にデータ複製を提供するという機能) を実行します。 現行バージョンの製品を使用して今でも、既存のマルチブローカー・ドメインを構成できますが、デプロイメント・マネージャーをアップグレードした場合は、管理コンソール内で、データ複製ドメインのみを作成することができます。
遷移: 以前のバージョンの製品で作成された複製ドメインは、マルチブローカー・ドメインである可能性があります。
これらのマルチブローカー・ドメインは、データ複製ドメインにマイグレーションする必要があります。
データ複製ドメインにより、以下のことが可能になります。
- 同じ複製ドメイン内で通信する必要のある複製のすべてのインスタンスを構成します。
- 両方のタイプの複製ドメインを使用してセッション・マネージャーを構成し、ピアツーピアや、クライアント対サーバーなどのトポロジーを使用して、レプリカの作成と保管の機能を別々のアプリケーション・サーバー上に分離します。
- 複製ドメインのタイプごとに、複製の冗長度を制御します。これは、データ複製ドメインを使用すると、特定の数のレプリカを指定できるためです。
以前のリリースの製品でマルチブローカー・ドメインを使用していた場合は、以下の比較表で、バージョン 5.x、バージョン 6.x、およびバージョン 7.0 の Application Server が 2 種類の複製ドメインを使用するときの違いを確認してください。
複製ドメインを使用しているバージョン 5.x Application Server | 複製ドメインを使用しているバージョン 6.x とバージョン 7.0 の Application Server | |
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複製ドメインのタイプ | 複製にはマルチブローカー複製ドメインのみを使用してください。 | 現行バージョンの製品を使用しているサーバーは、 複製にマルチブローカー複製ドメインおよびデータ複製ドメインの両方を使用するように構成できます。 この 2 つのタイプのドメインには、バージョン 5.x サーバーで作成されたマルチブローカー・ドメインとの後方互換性があります。 マルチブローカー・ドメインはデータ複製ドメインにマイグレーションする必要があります。 |
データ・トランスポート方式 | マルチブローカー・ドメイン・オブジェクトを使用します。このオブジェクトには、(JMS ブローカーをレプリケーターとして使用する) 内部 Java™ Message Service (JMS) プロバイダーの構成情報が含まれています。 | 本製品で、HA フレームワークを 構成するための構成情報を含むデータ複製ドメイン・オブジェクトを使用します。 トランスポートはもう JMS API には基づいていません。このため、レプリケーターも JMS ブローカーも存在しません。 ローカル、リモート、および代替レプリケーターを構成するという複雑なタスクを行う必要はありません。 前のバージョンの製品ではデータ複製ドメインをサポートしていませんでした。現行バージョンの製品は、JMS 固有の構成を無視し、HA フレームワークによる複製を構成するためのその他のパラメーターを使用することによって、古いマルチブローカー・ドメインを使って複製を実行するように構成することができます。 |
複製ドメインの構成 | 前のバージョンの製品では、セッション・マネージャーや動的キャッシュといった異なるコンシューマー間で複製ドメインの共有を推奨していました。 | 現行バージョン製品では、各コンシューマーについて別々の複製ドメインを作成することを推奨しています。 例えば、 セッション・マネージャーに 1 つの複製ドメインを作成し、動的キャッシュには別の複製ドメインを作成します。 1 つの複製ドメインを構成しなければならない状況は、セッション・マ ネージャーの複製とステートフル・セッション Bean のフェイルオーバーを 構成する場合のみです。 この場合は、単一の複製ドメインを使用することにより、HTTP セッションおよびステートフル・セッション Bean のバックアップ状態情報が、確実に同じアプリケーション・サーバー上に置かれるようになります。 |
部分的分割化 | 部分的分割化を構成できます。複製ドメインを区分して、 データを送信するプロセスの数をフィルターに掛けます。 | 部分的分割化は推奨されません。データ複製ドメインを使用する場合は、特定数 の複製をエントリーごとに指定することができます。 しかし、稼働しているバックアップ Application Server よりも多 い数の複製を指定すると、複製数は稼働している Application Server の数になります。 Application Server の数が構成した複製数を超えるまでに増加したあとは、作成される複製数は指定する数と同じです。 |
ドメイン共有 | 複数のデータ複製サービス (DRS) のインスタンスは、マルチブローカー・ドメインを共有しています。 各マルチブローカー・ドメインには少なくとも 1 つのレプリケーター含 まれるため、作成できるマルチブローカー・ドメインの数には制限があります。 1 つのレプリケーターの最大数は、各 Application Server 上に存在することができます。 | レプリケーション・ドメインのすべての DRS インスタンスは、同じモードを使用します。各レプリケー ション・ドメインには、クライアントのみのインスタンスとサーバーのみのイ ンスタンス、あるいはクライアントとサーバーのインスタンスのみが含まれる必要があります。 例えば、1 つのインスタンスがクライアントおよびサーバーに構成される と、他のすべてのインスタンスはクライアントとサーバーになければなりません。 複製ドメインの 1 つのインスタンスがクライアントのみに構成された場合 は、クライアントのみ、およびサーバーのみのインスタンスを追加することができますが、クライアントとサーバーのインスタンスは追加できません。 |