IBM HTTP Server の前バージョンからのマイグレーション
このセクションでは、前バージョンの IBM® HTTP Server からのアップグレードに関する情報を提供します。
このタスクについて
IBM HTTP Server は、最新バージョンを別のディレクトリーにインストールすれば、 前のバージョンと共存可能です。 また、前バージョンの IBM HTTP Server が存在するディレクトリーに最新バージョンをインストールすることで、 前バージョンの IBM HTTP Server をアップグレードすることもできます。 新しい IBM HTTP Server のバージョンに対して同じシステム上の同じインストール・パスを使用すると、WebSphere® Application Server における Web サーバー定義の妥当性が保持されます。ただし、小さな例外として、Windows サーバーではサーバー定義に含まれるサービス名を新バージョンで使用するサービス名に変更することが必要です。
前のメジャー・リリースより前の IBM HTTP Server からマイグレーションする場合は、 該当する IBM HTTP Server 暫定バージョンの製品資料を読んでマイグレーション情報を確認してください。追加の手順を完了する必要が生じる場合もあります。
手順
- IBM HTTP Server をインストール済みの前の環境からアップグレードします。
IBM HTTP Server を前バージョンからアップグレードするときに、前バージョンと同じディレクトリー・ロケーションに新バージョンをインストールするには、以下のステップを実行します。新バージョンを異なるディレクトリーにインストールする場合には、ステップの 1 から 4 を実行する必要がありません。残りのステップを実行する必要があるかどうかは、 現行構成を、前のバージョンの IBM HTTP Server の構成とどの程度類似したものにするかによって決まります。
- IBM HTTP Server および IBM HTTP Server 管理サーバーを停止します。
- 既存のインストール・ディレクトリーを新規ロケーションにコピーします。
このアクションによってご使用の構成、鍵、およびコンテンツを保持します。
以下のコマンドを発行して前のインストール済み環境をコピーします。
cp –rp current_install_directory new_directory_name
xcopy current_install_directory new_directory_name /s /e /k /i
- 前バージョンの IBM HTTP Server をアンインストールします。
- 前のインストール・ディレクトリーを削除します。
アンインストールを実行しても一部のファイル (例えば、変更されたファイルと追加されたファイル、フィックスパック・ファイル、アンインストール・ファイルなど) は残るので、アンインストール・プロセスを完了するには、前のインストール・ディレクトリーを手動で削除する必要があります。アンインストール時に問題が発生した場合には、操作を続行する前に、http_server_install/logs/uninstall ディレクトリーのアンインストール・ログ・ファイルを確認し、そのバックアップを取っておきます。
以下のコマンドを発行してインストール・ディレクトリーを削除します。
rm -r current_install_directory
rd /s current_install_directory
- IBM HTTP
Server をインストールします。
既存のバージョンをアップグレードする場合には、前のインストール済み環境が格納されていたディレクトリーにインストールします。
既存のバージョンを残しておいたままで新規バージョンをインストールする場合には、新規バージョンを別のディレクトリーにインストールします。
- プラグイン構成ツールの pct ツールを実行して、ご使用の Web サーバー・プラグインを構成します。pct ツールの実行方法について詳しくは、pct ツールを使用した Web サーバー・プラグインの構成というトピックを参照してください。
- 前バージョンの IBM HTTP Server および IBM HTTP Server 管理サーバーに設定されていたカスタム構成を復元します。
- 前バージョンでカスタマイズした内容を識別します。
構成ファイルの最初のひな型として前バージョンの IBM HTTP Server で提供された httpd.conf 構成ファイルを使用した場合には、各構成ファイルの内容を、前の IBM HTTP Server のインストール済み環境が含まれているディレクトリー内の対応する .default ファイルと比較します。例えば、httpd.conf ファイルの内容を httpd.conf.default ファイルと比較する場合には、最初のインストール以降に httpd.conf ファイルに対して行われたカスタマイズをすべて確認してください。次に、同様の比較を他の構成ファイルについても行います。
構成ファイルの最初のひな型として、前のバージョンの IBM HTTP Server に付属する httpd.conf 構成ファイルを使用しなかった場合、前の設定を確認するには、さらに手動による分析を実行する必要があります。 このシナリオでは、新しい IBM HTTP Server に付属する httpd.conf.default ファイル内の設定を、前の IBM HTTP Server バージョンに付属する httpd.conf.default ファイル内の設定と比較することをお勧めします。 この比較によって、2 つの httpd.conf.default ファイルにおける構成の相違点を識別することが可能になります。次に、この情報を使用すれば、カスタマイズ済みの構成ファイルを現在の IBM HTTP Server で稼働するように変更できます。
bin/envars ファイルを前の IBM HTTP Server のインストール済み環境が含まれるディレクトリー内の bin/envars-std ファイルと比較します。これにより、このファイルがカスタマイズされている場合は、それを識別できます。
- カスタマイズの内容を新しくインストールされた IBM HTTP Server の構成ファイルと envars ファイルにマージします。
前バージョンの IBM HTTP Server に対して行われた構成のカスタマイズを識別した後で、現在の IBM HTTP Server の構成ファイルにこれらの同じ変更を適用できる場合には、適用します。
構成ファイルに、前のバージョンの WebSphere Application Server プラグインのステートメントが含まれている場合、重複しないようにそのステートメントを削除してください。 これらのステートメントを削除しないと、HTTP Server が現行のプラグイン・バイナリー・モジュールを開始しようとするときに、モジュールがロード済みであることを示すエラーが発生する可能性があります。
また、構成ファイルには、WebSphere Application Server のサンプルにアクセスするためのエントリーが重複して含まれている場合があります。旧バージョンの別名をすべて除去し、現行のエントリーを保存します。
- IBM HTTP Server V7.0、V8.0、または V8.5.5 の構成ファイルを使用します。
- 前バージョンでカスタマイズした内容を識別します。
- HTML コンテンツを復元します。 Web ページ・コンテンツが以前には IBM HTTP Server のインストール・ディレクトリーの下に保存されていた場合には、前バージョンの IBM HTTP Server が含まれるディレクトリーから新規バージョンのインストール・ディレクトリーにそれらのコンテンツ・ファイルをコピーします。
- SSL 鍵ファイルが前バージョンの IBM HTTP Server のインストール・ディレクトリー内にある場合には、それらをすべて新規のインストール・ディレクトリーにコピーします。
- 共存している IBM HTTP Server のポート割り当てを変更します。
IBM HTTP Server を新規のディレクトリーにインストールし、前バージョンの IBM HTTP Server をそのまま残してある場合、管理サーバーおよび Web Server は、デフォルトで前バージョンの管理サーバーおよび Web Server と同じポートを使用します。両バージョンの IBM HTTP Server を同時に稼働させた場合には、どちらか一方のサーバー・バージョンのポート番号を変更しないかぎり、ポートの競合が発生します。
どちらか一方の IBM HTTP Server のポート番号を変更するには、該当する IBM HTTP Server のサーバー構成ファイルを編集します。これらのファイルは、http_server_install/conf ディレクトリーにあります。
- Apache プラグイン・モジュールをアップグレードします。
Apache API には前のメジャー・リリースから変更がありません。したがって、前のリリースで稼働していたモジュールは、基本的に再ビルドする必要がありません。ただし、サード・パーティー・ベンダーのモジュールを使用している場合には、そのベンダーに連絡し、アップグレードのターゲットとなるバージョンの IBM HTTP Server でそのモジュールをサポートするかどうかを確認してください。
現行の IBM HTTP Server インストール済み環境以外のソースの Apache プラグイン・モジュールは、Apache 2.4 をサポートするようにビルドする必要があります。 古いバージョンの IBM HTTP Server で使用されているモジュールの配布者は、Apache 2.4 をサポートするためにそのモジュールを再コンパイルする必要がある可能性があります。
- WebSphere Application Server は、Apache 2.4 および IBM HTTP Server 用に新しいプラグインを提供しています。
- サード・パーティー・ベンダーのモジュールを使用する場合には、Apache 2.4 API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) で動作するモジュールのバージョンをそのベンダーに問い合わせてください。
- 社内で開発したモジュールを使用する場合は、Apache 2.4 をサポートするようにそのモジュールを再ビルドする必要があります。また、モジュールは部分的に変更が必要な場合もあります。
- IBM HTTP Server サービス名を更新します。 以下の条件が該当する場合は、WebSphere Application Server Web サーバー定義で IBM HTTP Server サービス名を更新します。
- Windows サーバーを使用している
- IBM HTTP Server を前のバージョンと同じディレクトリーにインストールした
- その前のインストール済み環境の Web サーバー定義を使用している
Windows サーバー・システム上の IBM HTTP Server の場合、「Services」を使用して新しい IBM HTTP Server サービスに使用する名前を決定し、次にこのサービス名を使用するために Web サーバー定義を更新します。


http://www14.software.ibm.com/webapp/wsbroker/redirect?version=cord&product=ihs-dist&topic=cihs_upgrading2
ファイル名:cihs_upgrading2.html