このセクションでは、前バージョンの IBM® HTTP Server からのアップグレードに関する情報を提供します。
IBM HTTP Server バージョン 8.0 を以前のバージョンと異なるディレクトリーにインストールする場合には、両方を共存させることができます。また、以前のバージョンの IBM HTTP Server が格納されているディレクトリーにバージョン 8.0 をインストールすることによって、以前のバージョンの IBM HTTP Server をバージョン 8.0 にアップグレードすることもできます。新しい IBM HTTP Server のバージョンに対して同じシステム上の同じインストール・パスを使用すると、Websphere Application Server における Web サーバー定義の妥当性が保持されます (ただし、小さな例外として、Windows サーバーではサーバー定義に含まれるサービス名を新バージョンで使用するサービス名に変更することが必要になります)。
この手順では、前のメジャー・リリースからのマイグレーションについて説明します。それより前の IBM HTTP Server からマイグレーションする場合には、最初にインフォメーション・センターを参照して暫定の IHS のバージョンを調べ、マイグレーション情報を確認してください。これは、この資料で説明していない追加ステップを実行することが必要になる場合があるからです。
IBM HTTP Server を前バージョンからアップグレードするときに、前バージョンと同じディレクトリー・ロケーションに新バージョンをインストールするには、以下のステップを実行します。新バージョンを異なるディレクトリーにインストールする場合には、ステップの 1 から 4 を実行する必要がありません。それ以外のステップを実行する必要があるかどうかは、バージョン 8.0 の構成を前バージョンの IBM HTTP Server の構成とどの程度類似させるかによって決定されます。
このアクションによってご使用の構成、鍵、およびコンテンツを保持します。
以下のコマンドを発行して前のインストール済み環境をコピーします。
cp –rp current_install_directory new_directory_name
xcopy current_install_directory new_directory_name /s /e /k /i
アンインストールを実行しても一部のファイル (例えば、変更されたファイルと追加されたファイル、フィックスパック・ファイル、アンインストール・ファイルなど) は残るので、アンインストール・プロセスを完了するには、前のインストール・ディレクトリーを手動で削除する必要があります。アンインストール時に問題が発生した場合には、操作を続行する前に、http_server_install/logs/uninstall ディレクトリーのアンインストール・ログ・ファイルを確認し、そのバックアップを取っておきます。
以下のコマンドを発行してインストール・ディレクトリーを削除します。
rm -r current_install_directory
rd /s current_install_directory
既存のバージョンをアップグレードする場合には、前のインストール済み環境が格納されていたディレクトリーにインストールします。
既存のバージョンを残しておいたままで新規バージョンをインストールする場合には、新規バージョンを別のディレクトリーにインストールします。
構成ファイルの最初のひな型として前バージョンの IBM HTTP Server で提供された httpd.conf 構成ファイルを使用した場合には、各構成ファイルの内容を、前の IBM HTTP Server のインストール済み環境が含まれているディレクトリー内の対応する .default ファイルと比較します。例えば、httpd.conf ファイルの内容を httpd.conf.default ファイルと比較する場合には、最初のインストール以降に httpd.conf ファイルに対して行われたカスタマイズをすべて確認してください。 次に、同様の比較を他の構成ファイルについても行います。
構成ファイルの最初のひな型として前パージョンの IBM HTTP Server で提供された httpd.conf 構成ファイルを使用しなかった場合には、より手作業に依存した分析を行って前の設定を判別することが必要になります。この状況では、新しい IBM HTTP Server で提供された httpd.conf.default ファイルの設定を、前バージョンの IBM HTTP Server で提供された httpd.conf.default ファイルと比較するとよいでしょう。この比較によって、2 つの httpd.conf.default ファイルにおける構成の相違点を識別することが可能になります。次に、この情報を使用すれば、カスタマイズ済みの構成ファイルをバージョン 8.0 の IBM HTTP Server で稼働するように変更できます。
bin/envars ファイルを前の IBM HTTP Server のインストール済み環境が含まれるディレクトリー内の bin/envars-std ファイルと比較します。これにより、このファイルに対してカスタマイズが行われていた場合に、その内容を識別できます。
前バージョンの IBM HTTP Server に対して行われた構成のカスタマイズを識別した後で、バージョン 8.0 の IBM HTTP Server の構成ファイルにこれらの同じ変更を適用できる場合には、適用します。
前バージョンからの WebSphere Application Server プラグイン・ステートメントが構成ファイルに含まれる場合には、重複を引き起こさないようにするためにそれらを削除します。これらのステートメントを削除しないと、HTTP Server がバージョン 8.0 のプラグイン・バイナリー・モジュールを開始しようとしたときに、モジュールが既にロードされていることを示すエラーが発生する可能性があります。
また、構成ファイルには、WebSphere Application Server のサンプルにアクセスするためのエントリーが重複して含まれている場合があります。前バージョンのエイリアスをすべて削除し、バージョン 8.0 のエントリーを残します。
IBM HTTP Server を新規のディレクトリーにインストールし、前バージョンの IBM HTTP Server をそのまま残してある場合、管理サーバーおよび Web Server は、デフォルトで前バージョンの管理サーバーおよび Web Server と同じポートを使用します。両バージョンの IBM HTTP Server を同時に稼働させた場合には、どちらか一方のサーバー・バージョンのポート番号を変更しないかぎり、ポートの競合が発生します。
どちらか一方の IBM HTTP Server のポート番号を変更するには、該当する IBM HTTP Server のサーバー構成ファイルを編集します。これらのファイルは、http_server_install/conf ディレクトリーにあります。
Apache API には前のメジャー・リリースから変更がありません。したがって、前のリリースで稼働していたモジュールは、基本的に再ビルドする必要がありません。ただし、サード・パーティー・ベンダーのモジュールを使用している場合には、そのベンダーに連絡し、アップグレードのターゲットとなるバージョンの IBM HTTP Server でそのモジュールをサポートするかどうかを確認してください。
IBM HTTP Server 8.0 のインストール以外のソースから入手した Apache プラグイン・モジュールは、Apache 2.2 をサポートするようにビルドされている必要があります。古いバージョンの IBM HTTP Server で使用されているモジュールの配布者は、Apache 2.2 をサポートするためにそのモジュールを再コンパイルする必要がある可能性があります。
以下のような場合には、WebSphere Application Server の Web サーバー定義で IHS サービス名を更新します。(1) これが Windows サーバーである、(2) 以前のバージョンが格納されていたのと同じディレクトリーに IHS をインストールした、(3) その前のインストール済み環境から引き継いだ Web サーバー定義を使用している。
Windows サーバー・システム上の IBM HTTP Server の場合、「Services」を使用して新しい IBM HTTP Server サービスに使用する名前を決定し、次にこのサービス名を使用するために Web サーバー定義を更新します。