Dispatcher コンポーネント

Load Balancer の Dispatcher コンポーネントについて説明します。

Dispatcher コンポーネントは、ロード・バランシングと管理ソフトウェアを固有に組み合わせることにより、各サーバー全体のトラフィックのバランスを取ります。また、Dispatcher は、障害が発生したサーバーを検出し、そのサーバーを避けてトラフィックを転送することもできます。 Dispatcher は、 HTTP、FTP、SSL、SMTP、NNTP、IMAP、POP3、Telnet、SIP 、およびその他の TCP またはステートレス UDP 基本のアプリケーションをサポートします。

Dispatcher マシンに送信されるすべてのクライアント要求は、 動的に設定される重みに従って最適なサーバーに送信されます。 これらの重みに対してデフォルト値を使用することもできますし、構成プロセス時にこれらの値を変更することもできます。

Dispatcher には、以下の 3 つの転送方式があります。

Dispatcher コンポーネントは、大規模で拡張が容易なサーバー・ネットワークを安定的、効率的に管理する上でのキーです。Dispatcher により、多数の個別サーバーをリンクして単一に見える仮想サーバーにできます。 サイトは単一の IP アドレスとして表示されます。Dispatcher は、ドメイン・ネーム・サーバーから独立して機能します。 すなわち、すべての要求は、Dispatcher マシンの IP アドレスに送信されます。

Dispatcher は、クラスター・サーバーへのトラフィック負荷の平衡化において明確な利点を もたらします。これにより、サイトを安定的かつ効率的に管理できるようになります。

Dispatcher コンポーネントの機能:
高可用性
ネットワークにおける単一障害点の制限を除去するために Dispatcher を使用するには、 『ハイ・アベイラビリティーの構成』トピックを参照してください。
サーバー・アフィニティーのクライアント
クライアントが複数の接続に同じサーバーを確実に使用する ようにするには、『Dispatcher コンポーネントのクライアントからサーバーに対するアフィニティーによる接続の最適化』トピックを 参照してください。
ルール・ベースのロード・バランシング
ロード・バランシングが行われている管理対象サーバーの 1 つと同じマシン上で Dispatcher を 実行するには、『Dispatcher コンポーネント用の連結サーバーの構成』トピックを参照してください。
広域ロード・バランシング

カプセル化転送方式とネットワーク・アドレス変換 (NAT) 転送方式 の 2 つの方式を通して、広域ロード・バランシングを行うことができます。

Dispatcher の カプセル化転送方式を使用してリモート・サーバーへのロード・バランシングを行うには、 『カプセル化転送を使用したネットワーク・セグメント間のトラフィックの転送』を 参照してください。

Dispatcher の NAT 転送方式を使用してリモート・サーバー へのロード・バランシングを行うには、『NAT 転送の使用によるトラフィック転送』トピックを 参照してください。

アラート
サーバーにアップまたはダウンのマークが付けられた場合にアラートを生成するには、 『アラートの生成およびサーバー障害の記録を行うサンプル・スクリプト』を参照してください。
連結
ロード・バランシングが行われている管理対象サーバーの 1 つと同じマシン上で Dispatcher を 実行するには、『Dispatcher コンポーネント用の連結サーバーの使用』トピックを参照してください。

ロード・バランシングを提供する機能

Dispatcher の主要機能は相互に対話するとともにサーバー構成とも対話して、ご使用の環境におけるネットワーク・トラフィックを平衡化します。 Dispatcher は以下の機能から構成されています。
  • dsserver コマンドは、コマンド行から executor、manager、および advisor への要求を処理します。
  • executor は、TCP 接続のポート・ベースのロード・バランシングをサポートします。これにより、受信した要求のタイプ (例えば HTTP、FTP、SSL) に基づいて、接続をサーバーに転送できます。executor は、Dispatcher コンポーネントがロード・バランシングに使用されるときにはいつでも実行されます。
  • manager は、以下に基づいて executor によって使用される重みを設定します。
    • executor の内部カウンター
    • advisor によって提供されるサーバーからのフィードバック
    • Metric Server または WLM などのシステム・モニター・プログラムからのフィードバック
    • manager の使用はオプションです。ただし、manager が使用されない 場合、現行のサーバーの重みに基づいた重み付きのラウンドロビン・スケジューリング を使用してロード・バランシングが行われ、advisor は使用できません。
  • advisor はサーバーを照会し、プロトコルごとに結果を分析してから、manager を呼び出して適切な重みを設定します。現在、プロトコル HTTP、FTP、SSL、SMTP、NNTP、IMAP、POP3、SIP、および Telnet で 使用可能な advisor があります。
また、Dispatcher はプロトコル固有の情報を交換しない advisor (DB2® サーバーの状態を 報告する DB2 advisor やサーバーが PING に応答するかどうかを報告する Ping advisor など) も 提供します。 advisor の完全なリストについては、『advisor のリスト』トピックを参照してください。 また、オプションで、独自の advisor を作成することもできます (『カスタム advisor の作成』トピック を参照してください)。
ヒント: advisor の使用はオプションですが、使用することをお勧めします。

コマンド行 (dscontrol) または グラフィカル・ユーザー・インターフェース (lbadmin) を使用して、executor、advisor、 および manager を構成し、管理します。

Dispatcher の 3 つの 主要機能 (executor、manager、および advisor) は相互に対話して、 サーバー間の着信要求を平衡化してディスパッチします。 ロード・バランシング要求とともに、executor は新規の接続、活動中の接続、および終了状態の接続の数をモニターします。また、executor は完了またはリセットした接続のガーベッジ・コレクションも実行し、この情報を manager に提供します。

manager は、executor、advisor、およびシステム・モニター・プログラム (例えば Metric Server) から情報を収集します。manager は、受け取った情報に基づいて、各ポートでのサーバー・マシンの重み付けの方法を調整し、新規接続の平衡化で使用する新規の重み値を executor に指定します。

advisor は、割り当てられたポート上で各サーバーをモニターしてサーバーの応答時間と可用性を決定してから、 この情報を manager に提供します。advisor も、サーバーが起動しているかいないかをモニターします。manager および advisor がないと、executor は、現行サーバーの重み付けに基づいてラウンドロビン・スケジューリングを行います。

Dispatcher によるローカル・サーバーの管理

ネットワークに物理的な変更を何も加えることなく、 Dispatcher マシンをインストールできます。MAC 転送方式を使用している場合、クライアント要求が Dispatcher によって最適なサーバーに送信 された後、その応答は Dispatcher が関与することなく、 サーバーからクライアントに直接送信されます。

イーサネット・ネットワーク構成を 使用するサイトの物理表現。イーサネット・ネットワーク構成を
使用するサイトの物理表現。

Dispatcher によるローカル・サーバーおよびリモート・サーバーの管理

Dispatcher の広域サポートによって、ローカル・サーバーとリモート・サーバー (異なるサブネット上のサーバー) の両方を使用できます。次の図は、あるローカルの Dispatcher (Dispatcher 1) がすべての要求に対するエントリー・ポイントとして機能する構成を示しています。その管理対象のローカル・サーバー (ServerA、 ServerB、ServerC) およびリモートの Dispatcher (Dispatcher 2) に要求が分散されます。 リモート側では、そのローカル・サーバー (ServerG、ServerH、ServerI) にロード・バランシングが実行されます。 Dispatcher の NAT 転送方式を使用するとき、または GRE サポートを使用するときには、リモート・サイト (ここでは ServerD、ServerE、および ServerF があります) で Dispatcher を使用せずに Dispatcher の広域ポートを実行できます。

イーサネット・ネットワーク構成を 使用するサイトの物理表現。イーサネット・ネットワーク構成を
使用するサイトの物理表現。
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Last updated: May 28, 2013 08:30 AM EDT
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