NAT (Network Address Translation) Dispatcher 機能を使用すると、 バックエンド・サーバーをローカル接続ネットワーク上に置くという制限がなくなります。この NAT 転送方式では、Dispatcher はサーバーへの受信要求のロード・バランシングを行います。サーバーは Dispatcher に応答を戻します。 次に、Dispatcher マシンはこの応答をクライアントに戻します。
Dispatcher マシンには、3 つの IP アドレス (NFA アドレス、クラスター・アドレス、リターン・アドレス) が必要です。リターン・アドレスは Dispatcher マシン上で構成される固有のアドレスまたはホスト名です。 サーバーに対するクライアント要求のロード・バランシングを行うときに、Dispatcher はリターン・アドレスをその送信元アドレスとして使用します。リターン・アドレスを 使用することによって、サーバーがパケットを直接クライアントに送信するのではなく、 確実に Dispatcher マシンに戻す (その後、Dispatcher が IP パケットをクライアントに転送する) ようになります。
サーバーの追加時には、リターン・アドレス値を指定する必要があります。リターン・アドレスは、サーバーを除去してもう一度追加しない限り変更できません。リターン・アドレスは、クラスター、サーバー、または NFA アドレスと同じにはできません。 NAT 転送方式を使用する場合は、Load Balancer とバックエンド・サーバー間の通信用のリターン・アドレスを定義する必要があります。Load Balancer が バックエンド・サーバーとの間で活動状態に保つことのできる接続の数は、 リターン・アドレスとサーバーの組み合わせによって制限されます。
さらに、応答をクライアントに 戻すためのルーターであるクライアント・ゲートウェイを構成する必要があります。バックエンド・サーバーに 到達するためのルーター・アドレスを指定します。バックエンド・サーバーが Dispatcher マシンと 同じサブネットにある場合、ルーター IP アドレスは バックエンド・サーバーと同じでなければなりません。