WebSphere Virtual Enterprise, Version 6.1.1
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オートノミック要求フロー・マネージャーの構成

管理コンソールでデフォルト設定を変更することによって、 オートノミック要求フロー・マネージャー (ARFM) を微調整することができます。

始める前に

オートノミック要求フロー・マネージャーで設定を変更するには、オペレーター、 コンフィギュレーター、または管理者の管理特権が必要です。 オペレーターは、「構成」タブでは情報を表示することしかできませんが 、「ランタイム」タブでは設定を変更することができます。 コンフィギュレーターは、「構成」タブでは設定の変更を行うことができますが、 「ランタイム」タブでは設定の変更を行うことはできません。 管理者はすべての特権を持ちます。

セキュリティーが使用可能になっている場合、適切なセキュリティー権限がない限り、一部のフィールドは編集することができません。

このタスクについて

オートノミック要求フロー・マネージャーには、以下のコンポーネントが含まれています。
  • ARFM ゲートウェイが作業を直接送信するセルなどの、ターゲット・セルごとの計算能力コントローラー。 これは、任意のノード・エージェント、オンデマンド・ルーター (ODR)、またはデプロイメント・マネージャーで実行される HAManagedItem です。
  • プロトコル・ファミリー、プロキシー・プロセス、およびデプロイメント・ターゲットの使用の組み合わせごとのゲートウェイ。 ゲートウェイは、そのプロキシー・プロセスで実行されます。 HTTP および Session Initiation Protocol (SIP) の場合、プロキシー・プロセスはオンデマンド・ルーターであり、Java Message Service (JMS) および Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) では、プロキシー・プロセスは WebSphere® Application Server アプリケーション・サーバーです。
  • ターゲット・セルごとの作業係数見積もり機能。これは、任意のノード・エージェント、ODR、またはデプロイメント・マネージャーで実行可能な HAManagedItem プロセスです。
ゲートウェイは着信する HTTP、SIP、JMS、および IIOP の各要求をインターセプトしてキューに入れ、コントローラーでは制御信号または指示をゲートウェイおよび配置コントローラーに提供します。作業プロファイラーは、稼働中のシステムの監視に基づいて、さまざまな種類の要求の計算に関する要件を絶えず見積もります。 これらのコンポーネントは、一緒に作動することで、 着信要求を適切に優先順位付けします。

Compute Grid 製品を WebSphere Virtual Enterprise 製品とともに使用している場合、ジョブ・スケジューラーとのアプリケーションの動的配置機能がサポートされます。オンライン作業負荷とバッチ作業負荷の両方を動的クラスターで処理している限り、アプリケーション配置コントローラーは、スケジューラーおよびオートノミック要求フロー・マネージャーと連携して、サーバーの過負荷保護機能を提供します。この過負荷保護機能は、静的クラスターではサポートされていません。バッチ・ジョブは大量のプロセッサーを消費し、長時間実行することがあるため、サーバー使用率制限を超えることがあります。

WebSphere Virtual Enterprise 製品を Compute Grid 製品とあわせてインストールした場合、ジョブ・スケジューラーはエンドポイント選択プロセスの際にアプリケーション配置コントローラーを参照します。カスタム・プロパティー UseAPCEndpointSelection をジョブ・スケジューラーに false と設定して構成すれば、アプリケーション配置コントローラー/ジョブ・スケジューラーの統合を無効にできます。ジョブ・スケジューラーのエンドポイント選択プロセス中に、アプリケーション配置コントローラーを使用不可にするには、このカスタム・プロパティーを使用します。

プロシージャー

  1. 該当する ARFM 設定を変更します。 管理コンソールで、「動作ポリシー」>「オートノミック・マネージャー」>「オートノミック要求フロー・マネージャー」をクリックします。
  2. 変更が完了したら、「OK」または「適用」をクリックします。
  3. 保存」をクリックして、マスター・リポジトリーに対する変更を保存します。
  4. 定義した設定をテストし、必要な要求フロー・パフォーマンスを得るために、必要なだけ繰り返してください。

次の表には、各設定の構成に関する具体的なガイダンスが記載されています。
表 1. ARFM 構成プロパティー
フィールド 目的 設定のヒント
集計期間 各 ARFM ゲートウェイは集計された統計を定期的にブロードキャストし、このパラメーターはその期間を指定します。 ゲートウェイで報告される統計は、管理コンソールのランタイム図表、ARFM コントローラーの 操作、アプリケーション配置コントローラーの操作、および作業プロファイラーの 操作をサポートします。

集計期間を設定する際、十分なパフォーマンス・サンプル数を収集できるような高い値にしてください。 サンプルは、各要求のために、ゲートウェイによって収集されます。良好な統計的測定を行うには、数百のサンプルが必要です。

サービス・クラスに関連する要求を 250 ミリ秒で実行し、その間、平均 10 個の要求を同時に実行するという例を使用します。 同時に実行される値は、環境のクラスター・サイズやリソースに基づいて、自動的に計算されます。同時に実行される値は、コンソールの「Runtime Operations」カテゴリーの下の可視化パネルで確認することができます。 つまり、サービス・クラスは 1 秒当たり 40 個の要求を処理します。 このため、集計期間値を 15 秒に設定すると、各集計期間中に 600 個のサンプルが収集されます。 600 個のサンプルを調査することで、便利で、信頼できる測定基準を得ることができます。

集計期間値をあまり低く設定すると、信頼できないパフォーマンス測定基準を得ます。 少ないサンプルから得たパフォーマンス測定基準は、サンプル数が多い場合に比べ、邪魔なだけで信頼性に欠けます。 新規統計が作成されると、ARFM コントローラーがアクティブになるため、集計期間の設定を長くしすぎると、制御設定の再計算の頻度が少なくなります。 このため、WebSphere Virtual Enterprise は、トラフィック量やパターンの突然の変化に反応しづらくなります。

制御サイクルの最低期間 このパラメーターは、ARFM コントローラーがアクティブになる頻度を定義します。 コントローラーは、入力を評価し、受信した入力によって新規制御設定を作成するプロセスでアクティブになります。 ARFM コントローラーをアクティブにするプロセスは、新規統計が 1 つのゲートウェイから受信され、かつ、過去にアクティブになってから経過した時間が制御サイクルの最低期間以上、またはコントローラーが今まで一度もアクティブになったことがない場合に開始されます。 この設定によって、制御サイクル期間の下限が決定されます。 例えば、ODR が 1 つあり、集計期間を 30 秒、制御サイクルの最低期間を 60 秒に設定すると、12:00:00.0 に 1 回集計が行われ、前の統計到着時間が 12:00:59.9 であるため、次は 90.1 秒後の 12:01:30.1 に行われます。 約 60 秒の信頼できる制御サイクルを行うには、制御サイクルの最低期間を 58 または 59 秒に設定してください。
平滑化ウィンドウ この設定は、ゲートウェイ統計の連結を許可して、受信するゲートウェイ統計に対する ARFM コントローラーの反応感度を定義します。 どのゲートウェイでも、その ARFM コントローラーはそのゲートウェイからの最新統計レポートのいくつかの実行中の平均を使用します。 平滑化ウィンドウは、結合されるレポート数をコントロールします。

平滑化ウィンドウを低く設定すると、コントローラーの感度が上がり、応答が速くなります。 しかし、パラメーターが低いと、データのノイズや異常に敏感に反応します。

平滑化ウィンドウと集計期間の積が実際の制御サイクル期間とほぼ 同じになるようにし、場合によっては、構成した制御サイクルの最低期間より わずかに長くしてください。

キューの最大の長さ

このパラメーターは、各 ARFM キューの長さを、キューに保持できる要求の最大数に結合するために使用されます。 ARFM はすべての着信トラフィックをフローに分け、各フロー用に別々のキューがあります。 フローの個々の項目には、特定のサービス・クラスを持つ要求、特定のデプロイメント・ ターゲットで処理される要求、または特定の ODR を通過する要求があります。

要求が到着して、そのキューがいっぱいの場合、要求は拒否されます。

このフィールドのパラメーターが低い場合は、短期間にトラフィック・バーストが起こることによって、要求が拒否される可能性が高くなります。一方、このフィールドのパラメーターが高い場合は、要求がキューに長く留まることになります。 キューに入れられた要求はメモリーを消費します。デフォルト設定は 1000 ですが、ご使用の環境にぴったり合う設定を探すために、この設定値を変更することもできます。
CPU の最大使用率

ARFM には、優先順位付け機能に加えて過負荷保護機能があります。 ARFM はアプリケーション・サーバーの過負荷を避けるため、ゲートウェイの要求をキューに入れます。

このリリースでは、負荷はアプリケーション・サーバーの第 1 層でのプロセッサー使用率に換算して決定されます。 CPU 最大使用率のパラメーターによって、サーバーに対する負荷が ARFM に伝えられます。 深刻なピーク状態にある場合、この使用率の限度を一時的に超えることがあります。

値が高いと、リソースの使用率が向上し、値が低いと堅固な操作を行うことができます。 実際の負荷は、変動が激しいです。WebSphere Virtual Enterprise のパフォーマンス管理技法は、負荷の変化に対応しますが、少し遅れます。反応時間中に、システムは、構成された領域外で操作することがあります。これには、プロセッサー使用率が構成された以上になることが含まれます。プロセッサー使用率が 100% のアプリケーション・サーバーで数分間操作したところ、一部の内部通信メカニズムの破損、多くの機能の破壊が確認されました。

WebSphere Virtual Enterprise のこのリリースのパフォーマンス管理は、アプリケーション・サーバー・マシンの第 1 層が、ODR 経由の HTTP を介して到着する WebSphere 要求以外の他の作業と一緒にロードされると、うまく作動しません。

この設定は、アプリケーションの配置に影響します。 予期される要求の合計が最大 CPU 使用率限度を上回る場合、配置コントローラーは、最適な配置を計算する前にすべての動的クラスターの要求を均一に減らします。

arfmManageCpu カスタム・プロパティーを false に設定し、プロセッサー過負荷保護および要求の優先順位付けを使用不可にします。arfmManageCpu は、作成する必要があるセル・カスタム・プロパティーです。

CPU 過負荷保護のアドミッション制御

プロセッサー過負荷保護のアドミッション制御の目的は、管理対象の各ノードの計算能力を過負荷にすることなく、また許可されたメッセージの応答時間を損なうことなく許可できる量に関する判断に基づいて、ダイアログを慎重に許可しない ことにあります。

CPU 過負荷保護のアドミッション制御」の値は、HTTP および Session Initiation Protocol (SIP) に対してのみ適用され、IIOP および JMS には適用されません。

これは、プロセッサー過負荷保護用のキューイングが不十分である場合、一部の提供された負荷の慎重な拒否が重要である場合に、使用可能に設定します。

デフォルトでは使用不可に設定されています。 構成するには以下のようにします。
  1. 達成可能なパフォーマンス目標でサービス・ポリシーを定義し、それらのポリシーの目標タイプを、任意ではなく、応答時間または百分位数のいずれかに設定します。
  2. ARFM パネルで、CPU 使用率の限度を 90% 以下に設定します。 「拒否ポリシー」の 3 番目のボタンを選択します。 この拒否ポリシーにより、プロセッサー過負荷保護のアドミッション制御を使用可能にするかどうかが、また使用可能にした場合の、アドミッション制御に使用される応答時間しきい値とパフォーマンス目標に表示される応答時間しきい値の関係が決定されます。
  3. セル・レベルで、セルのカスタム・プロパティー arfmInitialMsgDlgRatio を設定します。 この値は、同じプロトコル・ファミリー、デプロイメント・ターゲット内のダイアログが開始したメッセージ・フローに対するダイアログが継続する各メッセージ・フローの比率の初期の見積もりである、10 進形式の浮動小数点です。 つまり、ダイアログ当たりの着信するフォローアップ・メッセージの数です。 arfmInitialMsgDlgRatio は、ダイアログが継続するすべてのメッセージ・フローの集合全体に相当する値に設定してください。

    このカスタム・プロパティーは、プロセッサー過負荷保護および差異化サービスのダイアログ方向が有効になっている場合にも該当します。

  4. 変更内容を保存してください。

プロセッサー過負荷保護のアドミッション制御は、負荷が重いシステムで、プロセッサー使用率がプロセッサー過負荷保護の設定と同程度である場合に動作します。

詳しくは、Memory 過負荷保護 を参照してください。

各アプリケーション・サーバーに使用されるヒープ・サイズの 最大比率を指定します。

使用する WebSphere Application Server ヒープ・サイズの最大比率。 値を 100 未満に設定します。

要求拒否ポリシー

過負荷状態が検出された場合の、パフォーマンス目標に関連付けられた HTTP、SIP および SOAP 要求の動作を指定します。

各オプションを選択し、メッセージを拒否して CPU 過負荷を防止する場合を決定します。 メッセージを拒否しないことや、メッセージを拒否する場合を判別する拒否のしきい値を指定することが可能です。 デフォルトでは、メッセージは拒否されません。

任意の作業の応答時間しきい値は 60 秒であると想定されます。

次に実行する作業

mustGather 文書を使用して、オートノミック要求フロー・マネージャーとアプリケーション配置のトラブルシューティングを行ってください。サポート・チームは WebSphere Extended Deployment の各バージョンに対して、mustGather 文書の提供および保守を行っています。




関連概念
Memory 過負荷保護
関連タスク
WebSphere Virtual Enterprise 環境の管理
複数層構成での速度係数の構成
サービス・ポリシーの定義
関連資料
管理のロールと特権
arfmController.py スクリプト
関連情報
オートノミック要求フロー・マネージャーのカスタム・プロパティー
オートノミック要求フロー・マネージャーの拡張カスタム・プロパティー
タスク・トピック    

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最終更新: 2009/09/17 16時31分49秒EDT
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