Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) および Java Message Service (JMS) の要求フローの優先順位付けは、要求のフロー、要求の優先順位付け、および動的ワークロード管理を制御するオートノミック・マネージャーを通じて、WebSphere® Virtual Enterprise 内で実行されます。スタンドアロン Enterprise JavaBeans (EJB) クライアントからの IIOP 要求のみが、 WebSphere Virtual Enterprise IIOP 要求フロー優先順位付けにより処理されます。例えば、サーブレットからの EJB 呼び出しは、優先順位付けされません。この制限があるのは、システムが Web 層および EJB 層などの複数の層で、同じ全体的な ユーザー要求に関連付けられた要求を優先順位付けできないためです。 ただし、JMS の性質は非同期であるため、要求が発生する場所の制限はありません。
IIOP および JMS の場合、アプリケーションをホストするバックエンド・アプリケーション・サーバー・プロセスは、オートノミック要求フロー・マネージャー (ARFM) ゲートウェイを実行します。これらの ARFM ゲートウェイは、要求フローを優先順位付けします。要求フローは、構成済みのサービス・ポリシーと提案された負荷を考慮して、 バランスのとれた最良のパフォーマンス結果が得られるように管理されます。
WebSphere Virtual Enterprise を使用して、パフォーマンス目標を定義し、 それらを入力トラフィックの特定サブセットにバインドすることができます。ARFM と関連したオートノミック・マネージャーは、 アプリケーション・サーバーに入力される作業について「賢い決定」をすることによって、 高負荷時にビジネス目標をサポートすることができます。 構成のすべての作業が等しく作成される訳ではありません。 ARFM は、実行の際、要求のさまざまなフローをほぼ即時に転送することによって この概念をサポートし、バランスのとれた最良の結果を得ることができます。
サービス・ポリシーは、ARFM によって読み取られる属性として 潜在的な作業に割り当てられているユーザー定義のカテゴリー化です。 IIOP の場合、サービス・ポリシーを使用すれば、アプリケーション名、EJB メソッド名、EJB モジュール名 (EJB jar ファイルなど)、および EJB 名などの要求属性を基にした要求のクラス分けを行うことができます。 JMS の場合、宛先名 (トピックまたはキュー) を基にしてクラス分けを行うことができます。サービス・ポリシーを構成することによって、 さまざまなレベルの重要度を実際の作業に適用します。 複数のサービス・ポリシーを使用して、 差別化されたサービスをさまざまなカテゴリーの要求に提供できます。 サービス・ポリシーの目標は、パフォーマンス目標および重要度において異なる場合があります。
ARFM は、アプリケーション・サーバー・プロセス内に存在し、要求の優先順位付けを制御します。 オートノミック要求フロー・マネージャーには、コントローラーとゲートウェイという 2 つの部分が含まれます。 ARFM 機能は、コントローラーとゲートウェイ集合によってアプリケーション・サーバー内に セルごとに実装されます。 ゲートウェイは入力の IIOP 要求をインターセプトしてキューに入れ、 一方のコントローラーは制御信号、つまり指示を ゲートウェイと配置コントローラーに与えます。 また、ARFM には作業プロファイラーがあります。 これは、要求のさまざまなフローの計算負荷特性を見積もります。 これらのコンポーネントは、一緒に作動することで、 着信要求を適切に優先順位付けすることができます。
動的ワークロード管理 (DWLM) は、 優先順位付けルーティング・システムを確立する重みシステムを 基にしたルーティングなど、ワークロード管理 (WLM) と同一の原則を適用する機能です。 DWLM は、オプションのアドオンです。 ルーティング重み値のオートノミック設定を WLM に追加します。 WLM の場合は、管理コンソールで静的重み値を手動で設定します。 DWLM の場合は、 ビジネス目標に柔軟に対処できるように、システムが重み値を動的に変更できます。 DWLM は、シャットオフすることができます。 ダイナミック・オペレーションのコンポーネントに自動動作モード使用する場合、 動的クラスターのいずれかに静的 WLM 重み値を設定すると、 製品のオンデマンド動作が正常に機能しなくなる可能性があります。IIOP の場合、これらの重み値は、以下の図に示すように、ベースの WebSphere EJB WLM によって使用され、新規 EJB クライアント要求の送信先に対する係数となります。
DWLM は、JMS トラフィックには影響しません。以下の図に示された宛先は、同じ WebSphere 管理プロセスまたは別の WebSphere 管理プロセスで実行可能です。
前の図に描かれているように、等量の要求がアプリケーション・サーバーに流入していますが、 作業が分類され、優先順位付けされて、キューに入れられた後、 重要度が高くボリュームの大きいプラチナ色の作業は処理のために送られる一方、 重要度が低くボリュームの小さいブロンズ色の作業はキューに入れられて待機します。 しかし、優先順位の低い作業はほとんどの場合遅延されるので、 アプリケーション・サーバー内で実行されるブロンズ色の作業の長期平均流量は、 流入するブロンズ色の要求の長期平均流量を下回りません。 結局、ダイナミック・オペレーションの機能は、 完了のために割り当てられる目標時間内で作業を保持しようとします。