WebSphere Application Server の旧バージョンから
バージョン 6.1 にマイグレーションするときに問題が発生した場合は、ログ・ファイルおよびその他の入手可能な
情報を確認します。
- 検証ステップでジョブが失敗しました。
これは、マイグレーション・プロセスの開始前に構成エラーが検出されたことを示しています。
これは、マイグレーション・ジョブの作成時に入力された誤ったデータ、
または構成上の問題が原因である可能性があります。
エラー検出のためにログ出力を検討して、訂正してから再実行します。
ログは temporary_directory_location/nnnnn にあります。
ここで、temporary_directory_location はマイグレーション・ジョブの作成時に
指定した値 (デフォルトは /tmp/migrate) であり、
nnnnn はマイグレーション・ジョブの作成時に生成および表示され、
さらにバッチ・ジョブ・ストリームの WROUT および WRERR ステップの JESOUT DDNAME に表示される固有の番号です。
- 検査ステップの後、ジョブが失敗しました。
検査ステップの後でマイグレーション・ジョブに失敗があった場合は、マイグレーション・ジョブを再実行できますが、
最初に CRHOME ステップで作成した WebSphere Application Server for z/OS 構成ホーム・ディレクトリーを削除しなければなりません。
これは、マイグレーション・ジョブの作成時に入力したホーム・ディレクトリーに対応し、
マイグレーション JCL 環境変数 V6_HomeDir 内でも検出できます。
マイグレーション手順は、マイグレーションされるそれぞれのノードに新規の
構成ファイル・システムを作成するので、構成を削除し最初から始めるのは簡単なプロセスです。
- 管理対象の (統合) ノード・マイグレーションで、問題が発生しました。
統合ノードは、基本的に 2 つのマイグレーションが合わせて 1 つになっているので、マイグレーションするにはもっとも複雑なノードです。
統合ノードは、統合ノード内に含まれる構成情報と同様に、デプロイメント・マネージャーのマスター・リポジトリーに含まれるノード構成情報のマイグレーションも必要とします。
統合ノードのマイグレーションでは、デプロイメント・マネージャーへの活動接続が必要です。
セキュリティーを使用可能にしている場合、
マイグレーション・ジョブの作成時に生成された指示に必ず従ってください。
マイグレーション・ジョブは、セキュア接続を獲得するために適切に構成された WebSphere 管理者ユーザー ID
を使用して実行依頼する必要があります。
バージョン 6.1 デプロイメント・マネージャーへのマイグレーション中に、混合セル内でデプロイメント・マネージャー・ノード名を変更した場合、バージョン 5.x ノード・エージェントは同期化されていない、あるいは使用可能ではないとして表示される可能性があります。
バージョン 5.x ノード・エージェントは、再始動されるまではバージョン 5.x デプロイメント・マネージャーへのリンクを維持します。
したがって、新規のデプロイメント・マネージャーとの同期に失敗する場合があります。
自動同期を妨げるディスカバリー問題は、マイグレーション中に発生したデプロイメント・マネージャーの名前変更に、ノード・エージェントが気が付いていないために発生します。
この問題に遭遇した場合は、ノード上で以下のステップを実行します。
- ノードを停止します。
- syncNode コマンドを実行します。
- ノードを再始動します。
- マイグレーションのアプリケーション・インストール・フェーズでジョブが失敗しました。
バージョン 5.x またはバージョン 6.0.x の構成内に
存在しているエンタープライズ・アプリケーションを新規のバージョン 6.1 にインストールするための
マイグレーション・プロセス・オプションを選択すると、マイグレーションのアプリケーション・インストール・フェーズで
エラー・メッセージが表示される可能性があります。
バージョン 5.x またはバージョン 6.0.x の構成内に存在しているアプリケーションには、
不正なデプロイメント情報 (通常は、以前の WebSphere Application Server ランタイムで十分に検査されていない
無効な XML 文書) が含まれている可能性があります。
現在、ランタイムには改良されたアプリケーション・インストール検査プロセスが組み込まれているため、
誤った形式の EAR ファイルのインストールは失敗します。
この結果、WASPostUpgrade のアプリケーション・インストール・フェーズが
失敗し、「E:」エラー・メッセージが表示されます。
これは、「致命的な」マイグレーション・エラーと見なされます。
アプリケーション・インストールでこの問題が原因でマイグレーションが失敗した場合は、
以下のいずれかを実行できます。
- バージョン 5.x またはバージョン 6.0.x のアプリケーション内の問題を修正し、マイグレーションを再度行います。
- マイグレーションを続行し、このエラーを無視します。
- FINISHUP ステップでマイグレーション・ジョブを再開し、残りのマイグレーション機能を実行します。
このことは、RESTART=FINISHUP パラメーターをジョブ・カードに追加し、ジョブを再サブミットして行います。
- 後で該当するアプリケーション内で問題を修正し、管理コンソールまたはインストール・スクリプトを
使用して新規バージョン 6.1 の構成にこのアプリケーションを手動でインストールします。
- スペース不足エラーが発生しました。
マイグレーション・ログは、temporary_directory_location/nnnnn にあります。
ここで、temporary_directory_location はマイグレーション・ジョブの作成時に指定した
値 (デフォルトは /tmp/migrate) であり、
nnnnn は、マイグレーション・ジョブの作成中に生成された固有の番号です。
通常、マイグレーション・ログのためのスペース所要量は少量です。
しかし、トレースを使用可能にしていると、ログ・ファイルはかなり大きくなる可能性があります。
問題が検出された後でのみトレースを使用可能にすることをお勧めします。
トレースが必要な場合は、デバッグされているプロセス内のステップに関するトレースのみを使用可能にするようにします。
これは、スペース所要量の削減に役立ちます。
トレースは、マイグレーション・ジョブの作成時に、あるいは
マイグレーション JCL 内の変数を使用不可から使用可能に変更することによって、
使用可能にできます。
TraceState=enabled
profileTrace=disabled
preUpGradeTrace=disabled
postUpGradeTrace=enabled
マイグレーション中に、
バージョン 5.x または 6.0.x 構成のバックアップ・コピーが作成されます。このバックアップは、マイグレーションされる情報のソースになります。
デフォルトのバックアップ・ロケーションは /tmp/migrate/nnnnn です。
このロケーションは、マイグレーション・ジョブの作成時に
変更できます。マイグレーションされるノードのサイズによって、このバックアップはかなり大きくなる可能性があります。
ご使用の一時スペースが不十分な場合は、このバックアップを再配置する必要があります。
- バッチ・ジョブ時間を超過しています。
それぞれの z/OS インストールは、ジョブ・クラスおよび時間制限に関して異なります。
ジョブ・カードで、適切なジョブ・クラスおよびタイムアウト値を指定したことを確認してください。
- マイグレーション後のサーバーの開始中に、失敗が発生しました。
マイグレーション・ジョブの作成時に生成された指示を
参照してください。JCL 手順が PROCLIB へ正しくコピーされ、RACF 定義が作成され、バージョン 6.1 ライブラリーか許可され、
そして必要な場合は、STEPLIB ステートメントがバージョン 6.1 ライブラリーへ指定されたことを確認します。
セルに関連したデーモン・プロセスが適切なレベルにあることを確認します。
デーモン・プロセスは、セル内で管理するすべてのサーバーの、WebSphere Application Server for z/OS の最新のバージョン・レベルでなければなりません。
バージョン 6.0.2.11 以降ではなく、バージョン 6.0.x ノードを含むかまたはバージョン 6.0.x ノードと相互運用をしているバージョン 6.1 セルへマイグレーションしたあとで、クラスター機能が失敗します。
これらのバージョン 6.0.x アプリケーション・サーバーを開始する場合、以下の問題が表示されることがあります。
- ClassNotFoundException エラー・メッセージを表示する First Failure Data Capture (FFDC) ログが表示されます。
この例外は RuleEtiquette.runRules メソッドからスローされ、以下の例のようになります。
Exception = java.lang.ClassNotFoundException
Source = com.ibm.ws.cluster.selection.SelectionAdvisor.<init>
probeid = 133
Stack Dump = java.lang.ClassNotFoundException: rule.local.server
at java.net.URLClassLoader.findClass(URLClassLoader.java(Compiled Code))
at com.ibm.ws.bootstrap.ExtClassLoader.findClass(ExtClassLoader.java:106)
at java.lang.ClassLoader.loadClass(ClassLoader.java(Compiled Code))
at java.lang.ClassLoader.loadClass(ClassLoader.java(Compiled Code))
at java.lang.Class.forName1(Native Method)
at java.lang.Class.forName(Class.java(Compiled Code))
at com.ibm.ws.cluster.selection.rule.RuleEtiquette.runRules(RuleEtiquette.java:154)
at com.ibm.ws.cluster.selection.SelectionAdvisor.handleNotification(SelectionAdvisor.java:153)
at com.ibm.websphere.cluster.topography.DescriptionFactory$Notifier.run(DescriptionFactory.java:257)
at com.ibm.ws.util.ThreadPool$Worker.run(ThreadPool.java:1462)
- 以下の例のようになる java.io.IOException が表示される場合があります。
Exception = java.io.IOException
Source = com.ibm.ws.cluster.topography.DescriptionManagerA. update probeid = 362
Stack Dump = java.io.IOException
at com.ibm.ws.cluster.topography.ClusterDescriptionImpl.importFromStream(ClusterDescriptionImpl.java:916)
at com.ibm.ws.cluster.topography.DescriptionManagerA.update(DescriptionManagerA.java:360)
Caused by: java.io.EOFException
at java.io.DataInputStream.readFully(DataInputStream.java(Compiled Code))
at java.io.DataInputStream.readUTF(DataInputStream.java(Compiled Code))
at com.ibm.ws.cluster.topography.KeyRepositoryImpl.importFromStream(KeyRepositoryImpl.java:193)
マイグレーションの間に、バージョン 6.1 クラスター情報が、セルの中全体に分散されます。
バージョン 6.0.2.11 以降ではないバージョン 6.0.x ノードは、この情報を読み取るのに失敗します。
この問題を回避するには、デプロイメント・マネージャーをバージョン 6.1 にマイグレーションする前に、バージョン 6.1 セルに含まれるかまたはバージョン 6.1 セルと相互運用するすべてのバージョン 6.0.x ノードを、バージョン 6.0.2.11 以降にアップグレードします。
マイグレーションのあとで、エラーがないかどうか、ジョブ出力とログ・ファイルを注意深く調べます。
注: WebSphere Application Server は、対話式問題管理システム
(IPCS) verb exit を提供して、WebSphere Application Server プロセスの
ダンプから情報をフォーマット設定する際に役に立ちます。
この verb exit は CBDATA と呼ばれ、バージョン 6.0.x 以前では、実際のモジュール名の別名でした。
バージョン 6.1 では、この別名は除去されました。
したがって、バージョン 6.1 以降では、別名の代わりにこの verb exit の実名、BBORDATA を使用する必要があります。
ノードをバージョン 6.1 にマイグレーションする場合は、バージョン 5.x または 6.0.x に戻す
必要があることを考慮して、環境のロールバック
を参照してください。
これらのステップで問題が解決できない場合は、問題の診断および修正: 学習用リソース
内のリンクを使用して、問題が特定され、文書化されているかどうかを調べてください。
類似した問題が見つからない場合、または提供されている情報でその問題が解決できない場合は、
IBM サポートに連絡してください。IBM からのトラブルシューティングのヘルプ
を参照してください。
IBM サポートから入手可能な既知の問題およびその解決法に関する最新の情報については、IBM サポート・ページを参照してください。
IBM サポートの資料を利用すると、この問題の解決に必要な情報収集の時間を節約できます。
PMR を開く前に、IBM サポート・ページを参照してください。