WebSphere Application Server for z/OS, Version 6.1   
             オペレーティング・システム: z/OS

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クラスターの作成

クラスターとは、 ワークロードのバランスを取る方法として一括して管理するアプリケーション・サーバーの集合のことです。

始める前に

クラスターを作成する前に、以下を実行します。

このタスクについて

以下を行う必要がある場合、クラスターを作成します。
  • 複数のアプリケーション・サーバーにわたってクライアント要求のバランスをとります。
  • ユーザーのアプリケーションに高可用性の環境を提供します。

クラスターにより、アプリケーション・サーバーのグループを単一のユニットとして管理し、クラスターのメンバーである各アプリケーション・サーバーにクライアント要求を分散することが可能になります。

z/OS プラットフォームで、シスプレックス 内の複数のシステムにまたがり、トランザクションの活動化ポリシーがデプロイされたステートフル・セッション Bean を持つサーバーのクラスターを作成する場合、 非活性化ディレクトリーは、そのクラスター・サーバーが稼働しているシスプレックス内の複数のシステム間で共用されている階層ファイル・システム (HFS) 上にある必要があります。

クラスターを作成するには、以下の手順を実行します。

プロシージャー

  1. 管理コンソールで、「サーバー」>「クラスター」>「新規」とクリックします。 「新規クラスターの作成」ウィザードが開始します。
  2. クラスターの名前を指定します。
  3. オプション: クラスターのショート・ネームを指定します。 このフィールドは、z/OS システムで実行している場合にのみ表示されます。

    クラスター・サーバーの場合は、WLM アプリケーション環境がクラスターのショート・ネームのデフォルト値になります。 クラスターにショート・ネームを指定する場合、その名前は以下のようにします。

    • 長さは 1 から 8 文字にする必要があります。
    • 英数字または各国語文字のみで構成する必要があります。
    • 数字で始めることはできません。
    • セル内で固有にする必要があります。
    • 非クラスター・サーバーの ClusterTransitionName カスタム・プロパティーに指定された値と同じにはできません。 クラスターの一部であるサーバーのクラスター遷移名は指定しないでください。
    重要: ショート・ネームを指定する場合は、 このショート・ネームを含む RACF SERVER クラス・プロファイルがセットアップされていることを 確認してください。
  4. ノードを有効範囲とするルーティング最適化を使用可能にする場合は、 「ローカルを優先」を選択します。 このオプションは、デフォルトでは使用可能に設定されています。 このオプションが使用可能にされた場合、可能であれば EJB 要求はクライアント・ノードに送付されます。 このオプションにより、クライアント要求がローカルのエンタープライズ Bean に送信されるため、 パフォーマンスが向上します。
  5. このクラスターにメモリー間の複製のドメインを作成する場合は、「Configure HTTP session memory-to-memory replication」を選択します。 複製ドメインには、クラスターと同じ名前が付けられ、複製ドメインのデフォルト設定で構成されます。 デフォルト設定が有効である場合は、単一レプリカがデータの各断片ごとに作成され、暗号化は無効になります。 また、各クラスター・メンバーの Web コンテナーもメモリー間の複製用に構成されます。

    複製ドメイン用のこれらの設定を変更するには、「環境」>「複製ドメイン」>「replication_domain_name」とクリックします。 Web コンテナー設定を変更するには、管理コンソールで、「サーバー」>「クラスター」>「cluster_name」> 「クラスター・メンバー」>「cluster_member_name」>「Web コンテナー設定」>「セッション管理」>「分散環境設定」とクリックします。 クラスター・メンバーの 1 つでこれらの設定を変更する場合は、このクラスターの他のメンバーの設定も変更する必要があります。

  6. 次へ」をクリックします。
  7. 空のクラスターを作成するか、クラスターの最初のメンバーを作成するかを選択します。

    空のクラスターを作成する場合、 このクラスターにメンバーを追加するには、管理コンソールで、 「サーバー」>「クラスター」>「cluster_name」>「クラスター・メンバー」>「新規」とクリックします。

    空のクラスターを作成するには、以下のようにします。

    1. None. Create an empty cluster.
    2. 」を選択します。「次へ」をクリックして、定義済みクラスターの要約を表示します。
    3. 終了」をクリックしてクラスターを作成するか、またはクラスターを作成しない場合は「キャンセル」をクリックします。

    最初のクラスター・メンバーを作成する場合、作成する最初のクラスター・メンバーのコピーは、 クラスター・データの一部として保管され、作成するすべての追加クラスター・メンバーに対するテンプレートになるこ とに注意してください。

    1. 最初のクラスター・メンバーの名前を指定します。
    2. このクラスター・メンバーの常駐先にするノードを選択します。
    3. このクラスター・メンバーのショート・ネームを指定します。 ショート・ネームは、デフォルトの z/OS ジョブ名であり、 ワークロード・マネージャー (WLM)、自動リスタート・マネージャー、SAF (例えば RACF)、 開始済みタスク制御など、オペレーティング・システム固有の機能に対して クラスター・メンバーを識別します。
    4. そのクラスター・メンバーのウェイト値を指定します。 ウェイト値は、アプリケーション・サーバーに送られる作業の量を制御します。このサーバーのウェイト値がクラスター内の別のサーバーに割り当てたウェイト値より大きい場合、このサーバーが受け取る作業負荷の割合が大きくなります。 ウェイト値は、特定のアプリケーション・サーバーに割り当てられた、ワークロードの相対比率を示します。指定できる値の範囲は 0 から 20 です。
      z/OS プラットフォームでは、一部のワークロード・タイプのバランスを取るためにウェイトが使用されますが、そのほかでは z/OS システムによってバランスが保たれます。
      • HTTP 要求の場合、HTTP トラフィックを Web サーバー・プラグイン とクラスター化されたアプリケーション・サーバーを処理するコントローラーとの間で 分散するためにウェイトが使用されます。 HTTP トラフィックを受信するアプリケーション・サーバーには高いウェイト値を割り当てます。
      • Web サービスの呼び出しの場合、情報はあるアプリケーション・サーバーのサーバントから別のアプリケーション・サーバーのコントローラーに転送されます。 呼び出しを受信するアプリケーション・サーバーは、最も高いウェイト値を持ちます。
      • ウェイトは Internet Inter-ORB Protocol (IIOP) 要求に何の影響も与えません。 IIOP 要求は、シスプレックス・ディストリビューターを使用して正しいアプリケーション・サーバーに配布されます。
    5. ソース・サーバーに定義された各 HTTP トランスポートごとに固有のポート番号を作成する場合は、「固有 HTTP ポートの生成」を選択します。 このオプションを選択した場合、このクラスター・メンバーには、同一ノード上に定義された別のサーバーと競合する HTTP トランスポートや HTTP トランスポート・チャネルがありません。このオプションを選択解除すると、すべてのクラスター・メンバーが同じ HTTP ポートを共用します。
    6. このクラスター・メンバーの所属先にするコア・グループを選択します。 このクラスターに複数のコア・グループが構成されている場合にのみ、コア・グループを選択するプロンプトが出されます。
    7. 最初のクラスター・メンバーのベースとなる、以下のオプションのいずれかを選択します。
      • アプリケーション・サーバーのテンプレートを使用してメンバーを作成する。

        defaultZOS テンプレートを 選択すると (AdminTask オブジェクトが追加テンプレートの作成に createServerTemplate コマンドを 使用しなかった場合は、このテンプレートしかリストされません)、最初のクラスター・メンバーは、 z/OS プラットフォームのデフォルトのポート割り当てを使用します。このポートの一部が z/OS システムの別の場所で使用するために 既に定義されている場合は、新規作成のクラスター・メンバーが始動しない、正しく機能しない、 予期しないエラー・メッセージを生成するなどの不具合が起こることがあります。そこで、 このサーバーを始動する前にポートの競合をすべて解決しておく必要があります。

      • テンプレートとして既存のアプリケーション・サーバーを使用し、メンバーを作成する。
      • 既存のアプリケーション・サーバーを変換してメンバーを作成する。
      重要: 既存のアプリケーション・サーバーをクラスターに追加できるのは、そのサーバーを最初のクラスター・メンバーとして選択した場合のみです。 最初のクラスター・メンバーの作成後は、そのクラスターには別の既存のアプリケーション・サーバーを追加できません。 クラスターに既存サーバーを追加した場合、そのサーバーをクラスターから除去する唯一の方法は、サーバーを削除することです。 そのため、既存サーバーは、クラスター・メンバーとしてではなく、最初のクラスター・メンバーのテンプレートとして使用します。 元のアプリケーション・サーバーをクラスターの外側で保持すると、構成の再作成が必要になった場合に、そのサーバーをテンプレートとして再利用できます。
  8. 次へ」をクリックします。
  9. 追加のクラスター・メンバーを作成します。 追加のクラスター・メンバーを作成する前に、最初のクラスター・メンバーの構成設定を確認してください。 これらの設定は、「新規クラスターの作成」ウィザードの「Create additional cluster members」パネルの下部に表示されます。 作成する各追加メンバーごとに以下を実行します。
    1. メンバーの固有の名前を指定します。 この名前はノード内で固有でなければなりません。
    2. クラスター・メンバーを割り当てるノードを選択します。
    3. このメンバーに割り当てるウェイトを指定します。 ウェイト値は、アプリケーション・サーバーに送られる作業の量を制御します。 そのサーバーのウェイト値がクラスター内の別のサーバーに割り当てたウェイト値より大きい場合、そのサーバーが受け取る作業負荷の割合が大きくなります。 指定できる値の範囲は 0 から 20 です。
    4. このクラスター・メンバーのショート・ネームを指定します。 ショート・ネームは、デフォルトの z/OS ジョブ名であり、 ワークロード・マネージャー (WLM)、自動リスタート・マネージャー、SAF (例えば RACF)、 開始済みタスク制御など、オペレーティング・システム固有の機能に対して クラスター・メンバーを識別します。
    5. ソース・サーバーに定義された各 HTTP トランスポートごとに固有のポート番号を作成する場合は、「固有 HTTP ポートの生成」を選択します。
    6. メンバーの追加」をクリックします。 最初のクラスター・メンバー以外の新規に作成された任意のクラスター・メンバーの構成設定を編集したり、追加のクラスター・メンバーを作成することができます。 「戻る」をクリックすると、最初のクラスター・メンバーのプロパティーを編集できます。
  10. クラスター・メンバーの作成が終了したら、「次へ」をクリックします。
  11. クラスターの要約を表示した後、クラスターを作成するには「終了」をクリックし、前のウィザード・パネルに戻ってクラスターを変更するには「戻る」をクリックし、クラスターを作成することなくウィザードを終了するには「キャンセル」をクリックします。
  12. クラスターをさらに詳しく構成するには、「サーバー」>「クラスター」とクリックしてから、そのクラスターの名前をクリックします。 変更を保管するまでは、「構成」および「ローカル・トポロジー」のタブのみが表示されます。
  13. Review」をクリックして、クラスター構成の設定を検討します。 追加の構成変更を行う必要がある場合、前のステップを繰り返します。
  14. 追加の構成変更を行わない場合、「ノードと変更を同期化」を選択して「保管」をクリックします。 ユーザーの変更は保管され、ユーザーのノード全体にわたって同期化されます。
    重要:保管」をクリックして、「ノードと変更を同期化」を選択しない場合、ノードの上にクラスター・サーバーを検出できないために、WebSphere Application Server はクラスター・サーバーを開始しません。 ユーザーのノードにわたる構成変更を常に同期化させたい場合、コンソール設定の 1 つとして「ノードと変更を同期化」を選択できます。
  15. クラスターを再始動します。

結果

これで、作業要求を割り当て可能にクラスターの構成が完了しました。次にこのページをアクセスしたときに「ランタイム」タブおよび「ローカル・トポロジー」タブが表示されます。

次の作業

  • 管理コンソールを使用して、クラスターの構成設定を表示したり 変更したりします。例えば高可用性環境で稼働している場合は、 「サーバー」>「クラスター」>cluster_name」をクリックし、次に このクラスターの「トランザクション・ログ・リカバリーのフェイルオーバーを有効化」オプションを選択します。 このオプションにより、あるクラスター・メンバーから別のメンバーにフェイルオーバーして、トランザクションをリカバリーできます。
  • 追加のクラスター・メンバーを作成します。
  • クラスターを始動する。
  • スクリプトを使用して、クラスター作成のタスクを自動化します。



サブトピック
クラスターの作成 : 基本クラスター設定
クラスターの作成: 最初のクラスター・メンバーの作成
クラスターの作成 : 要約設定
クラスターの作成: 追加クラスター・メンバーの作成
サーバー・クラスター・コレクション
クラスター用の静的ルーティングの使用可能化
trun_wlm_cluster_routetable_disable.html
クラスター化されたサーバーおよび Stateful Session Bean の考慮事項
関連概念
概要: クラスター
関連タスク
クラスターとのワークロードの平衡化
関連資料
TCP/IP ポート規則
RACF サーバー・クラス・プロファイル
WebSphere Application Server をカスタマイズする際の Resource Access Control Facility のヒント
セキュリティー・ドメインとカスタマイズ・ダイアログ
AdminTask オブジェクトのコマンド
タスク・トピック    

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最終更新: Jan 21, 2008 9:12:22 PM EST
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