WebSphere Application Server for z/OS バージョン 5.x または 6.0.x
のノードをバージョン 6.1.x にマイグレーションする前に、実際のマイグレーション中に z/OS 上で実行する JCL ジョブ
(データ・セット CNTL および DATA) を含むマイグレーション定義を作成する必要があります。z/OS
マイグレーション管理ツールを使用して、該当するマイグレーション定義を作成し、アップロードすることができます。z/OS
マイグレーション管理ツールでは、スタンドアロン・アプリケーション・サーバーの
マイグレーション定義を作成する際に一連の構成変数を提供します。
マイグレーション定義名とロケーション
このセクションでは、WebSphere Application
Server for z/OS ノードをマイグレーションするのに使用されるバッチ・ジョブと命令を含めるマイグレーション定義名と
ディレクトリー・パスを特定します。
- マイグレーション定義名
- z/OS マイグレーション定義の名前
この名前は、生成されるマイグレーションのジョブと命令を
特定するため、ワークステーションで単独で使用されます。
選択した名前は WebSphere Application Server for z/OS の構成には影響しません。
- マイグレーション定義ディレクトリー
- z/OS マイグレーションのジョブおよび命令の記述先のルート・ディレクトリー
- 応答ファイル・パス名 (オプション)
- ツールでプリロードされるデフォルト値を含む応答ファイルの絶対パス名。
応答ファイルは、z/OS
マイグレーション定義が作成されるたびに書き込まれます。応答ファイルには、
マイグレーション定義を作成するのに使用するすべての変数データが含まれ、
同様のマイグレーション定義を定義する際にデフォルト値をプリロードするのに使用することができます。
指定されたマイグレーション定義のための応答ファイルは、マイグレーション定義のルート・ディレクトリー内の migration_definition_name.responseFile ファイルに書き込まれます。
通常、定義しようとするマイグレーション定義と同じタイプのマイグレーション定義から応答ファイルを指定する必要があります。
注:
応答ファイルのコピーは、z/OS
ターゲット・システムにアップロードするマイグレーション定義に含まれるデータ・セット .DATA
に組み込まれます。この応答ファイルは z/OS システムでは使用されませんが、参照用に z/OS システム内に存在します。
データ・セットのメンバー名は ZMMTBASE です。
ターゲット・データ・セット
- 高位修飾子 (HLQ)
- 生成されたジョブと命令を含む z/OS ターゲット・データ・セットの高位修飾子。
z/OS
マイグレーション定義が z/OS ターゲット・システムにアップロードされる場合、
マイグレーションのジョブとファイルは区分データ・セットのペアに書き込まれます。これらの
データ・セットは再利用することができますが、マイグレーションされる各 z/OS システムごとに別々のデータ・セットを作成するのが最も安全です。
- HLQ.CNTL - マイグレーション・ジョブを含める、80 バイト固定ブロック・レコードをもつ区分データ・セット。
- HLQ.DATA - マイグレーション定義に含まれる他のデータを含める、可変長データをもつ区分データ・セット。
注: マルチレベルの高位修飾子は、データ・セットの高位修飾子として指定することができます。
データ・セット名および製品ディレクトリー
- JCL プロシージャー・ライブラリーのデータ・セット名
- WebSphere Application Server for z/OS カタログ式プロシージャーのコピー先となる既存のプロシージャー・ライブラリー
- STEPLIB から WebSphere Application Server を実行
- リンク・リストまたは
LPA に存在する WebSphere Application Server のバージョンは 1 つだけです。
その他のすべてバージョンは STEPLIB を使用しなければなりません。バージョン
6.1.x を STEPLIB から実行しなければならない場合は、このオプションを選択してそのことを指示します。
正常にマイグレーションを行うには、
STEPLIB を正しく指定する必要があります。バージョン 5.x または 6.0.x
モジュールが現在 LPA またはリンク・リストにあること、およびバージョン 6.1.x ライブラリーが STEPLIB で定義されている状態で開始することが考えられます。
STEPLIB について詳しくは、リンク・パック域、リンク・リスト、および STEPLIB
を参照してください。
このオプションを選択した場合は、以下のようなランタイム・ライブラリーのデータ・セット名を入力する必要があります。
- SBBOLPA
- SBBOLPA ロード・モジュールを含むデータ・セット名
- SBBOLOAD
- 31 ビットの SBBOLOAD ロード・モジュールを含むデータ・セット名
- SBBGLOAD
- 64 ビットの SBBGLOAD ロード・モジュールを含むデータ・セット名
- SBBOLD2
- SBBOLD2 ロード・モジュールを含むデータ・セット名
- WebSphere Application Server 製品ディレクトリー
- WebSphere Application Server バージョン 6.1.x のインストールした製品のファイル・システムのロケーション
構成ファイル・システム
構成ファイル・システムは、マイグレーションされるノードの構成が物理的に保管される場所です。マイグレーションされるノード上に既に適切なファイル・システムがある場合は、
既存のバージョン 6.1.x ファイル・システムの使用を選択できます。
既存のバージョン 6.1.x ファイル・システムの使用を選択する場合、
このツールを使用して作成されるマイグレーション・ユーティリティー (BBOWMG1B、BBOWMG2B など)
を実行する前に、ここで指定するマウント・ポイントが存在していることを確認する必要があります。
マイグレーションされるノード上に
新規バージョン 6.1.x ファイル・システムを作成する場合、
実際のマイグレーション・プロセス中にオプションのジョブ BBOMBHFS または BBOMBZFS
を実行するまで新規ファイル・システムは実際には作成されません。いずれの場合にも、ここで、マウント・ポイントの正確な値を指定する必要があります。
構成マウント・ポイントでの正確な所有権および権限の設定に関する具体的な情報については、
このツールにより生成されるカスタマイズ命令を参照してください。これらの変数の指定について詳しくは、生成される命令と、スタンドアロン・アプリケーション・サーバーのマイグレーション
を参照してください。
- マウント・ポイント
- アプリケーション・データおよび環境ファイルが書き込まれる、読み取り/書き込みファイル・システム・ディレクトリー・マウント・ポイント
このマウント・ポイントがまだ存在していない場合、マイグレーション・プロセスはオプションのジョブ
BBOMBHFS または BBOMBZFS を実行する際にマウント・ポイントを作成します。
- 名前
- 上記のマウント・ポイントで作成してマウントするファイル・システム・データ・セット
- SMS のボリュームまたは「*」
- 上記のデータ・セットを格納する DASD ボリューム通し番号または「*」のどちらかを指定して、
SMS にボリュームを選択させます。
「*」を使用する場合は、
ボリュームを選択できるように SMS 自動クラス選択 (ACS) ルーチンが準備されている必要があります。
SMS がデータ・セット割り振りを自動的に処理するようにセットアップされていない場合は、
ボリュームを明示的にリストしてください。
- シリンダーの 1 次割り振り
- 構成ファイル・システムのデータ・セットに対するシリンダーの初期サイズ割り振り。
アプリケーション・サーバーでは、このデータ・セットに必要な総スペースは、
インストールされたアプリケーションのサイズと数に従って増えます。
推奨: 推奨される最小サイズは 420 シリンダーです。
- シリンダーの 2 次割り振り
- シリンダーの個々の 2 次エクステントのサイズ
推奨: 推奨される最小サイズは 100 シリンダーです。
- ファイル・システムのタイプ
- 階層ファイル・システム (HFS)
- HFS を使用して構成ファイル・システムのデータ・セットを割り当ててマウントします。
- zSeries ファイル・システム (ZFS)
- ZFS を使用して構成ファイル・システムのデータ・セットを割り当ててマウントします。
サーバーのカスタマイズ (パート 1)
- 構成ロケーションから
- マウント・ポイント
- マイグレーション元の構成のマウント・ポイント
- ホーム・ディレクトリー
- マイグレーション元の構成のホーム・ディレクトリー
- 構成ロケーションへ
- マウント・ポイント
- マイグレーション先の構成のマウント・ポイント。
これは、
先に「構成ファイル・システム」パネルで指定したものです。
- ホーム・ディレクトリー
- マイグレーション先の構成のホーム・ディレクトリー
- デーモン・プロシージャー名
- マイグレーションされたデーモンを開始するのに使用する
JCL 開始済みプロシージャーの名前。
バージョン 6.1.x
にマイグレーションする場合、JCL 開始済みプロシージャーをアップグレードする必要があります。
新規の開始済みプロシージャーは、マイグレーション中に生成されます。デーモン・プロシージャーに新しい名前を指定するか、または古いデーモン・プロシージャーを使用することができます。
- コントローラー・プロシージャー名
- マイグレーションされたコントローラーを開始するのに使用する JCL
開始済みプロシージャーの名前。
バージョン 6.1.x
にマイグレーションする場合、JCL 開始済みプロシージャーをアップグレードする必要があります。
新規の開始済みプロシージャーは、マイグレーション中に生成されます。コントローラー・プロシージャーに新しい名前を指定するか、または古いコントローラー・プロシージャーを使用することができます。
- サーバント・プロシージャー名
- マイグレーションされたサーバントを開始するのに使用する
JCL 開始済みプロシージャーの名前。
バージョン 6.1.x
にマイグレーションする場合、JCL 開始済みプロシージャーをアップグレードする必要があります。
新規の開始済みプロシージャーは、マイグレーション中に生成されます。サーバント・プロシージャーに新しい名前を指定するか、または古いサーバント・プロシージャーを使用することができます。
- 付属プロセス・プロシージャー名
- マイグレーションされた付属プロセスを開始するのに使用する
JCL 開始済みプロシージャーの名前。
バージョン 6.1.x
にマイグレーションする場合、JCL 開始済みプロシージャーをアップグレードする必要があります。
新規の開始済みプロシージャーは、マイグレーション中に生成されます。付属プロセス・プロシージャーに新しい名前を指定するか、または古い付属プロセス・プロシージャーを使用することができます。
- 開始済みプロシージャーのコマンド名の置き換え
- JCL プロシージャーに新しい名前を指定した場合、対応する WebSphere Application Server
構成の START コマンドは新しいプロシージャー名と一致するよう更新する必要があります。
構成の更新を実行するにはこのオプションを選択します。
同じプロシージャー名を使用する場合は、
このオプションを選択しないでください。マイグレーション中のノードの特定プロセス・タイプ
(例えば、すべてのサーバント)
のすべてのサーバーに一貫して同じプロシージャー名を使用しない場合は、このオプションを選択しないことをお勧めします。この場合、同じ START コマンドのままで、
マイグレーション中にテンプレートとして生成されたプロシージャーを使用して、手動でプロシージャーを置き換える必要があります。
サーバーのカスタマイズ (パート 2)
- スクリプトの互換性をサポートするマイグレーション
- マイグレーションしてスクリプト互換性をサポートするかどうかを指定します。
これは、マイグレーションにより
以下のバージョン 5.x または 6.0.x 構成定義を作成するか、または作成しないかを指定します。
- トランスポート
- ProcessDef
- バージョン 5.x または 6.0.x の SSL
- バージョン 5.x または 6.0.x の ORB サービス・スレッド・プール
以下のバージョン 6.1.x 構成定義の代わり:
- チャネル
- ProcessDefs
- バージョン 6.1.x SSL
- バージョン 6.1.x ORB サービス・スレッド・プール
既存の管理スクリプトへの影響を最小化するには、マイグレーションしてスクリプト互換性をサポートすることを選択します。例えば、既存の wsadmin スクリプトがある場合、またはサード・パーティーの構成 API を使用してバージョン 5.x または 6.0.x 構成定義を作成または変更するプログラムがある場合、このオプションを選択することができます。
注: こうすることで、環境内のすべてのノードがバージョン 6.1.x レベルになるまで、一時的な移行が提供されます。
すべてのノードがバージョン 6.1.x レベルになったら、以下のアクションを実行する必要があります。
- 管理スクリプトを変更して、すべてのバージョン 6.1.x 設定を使用します。
- convertScriptCompatability コマンドを使用して、
すべてのバージョン 6.1.x 設定に一致するように、構成を変換します。
convertScriptCompatibility コマンド
を参照してください。
- アプリケーションのマイグレーション設定
- インストール済みのアプリケーションのマイグレーション方法を指定します。
注: WebSphere Application Server システム・アプリケーションは、
ここで設定された値に関係なくマイグレーションします。
- アプリケーションをマイグレーションし、指定したアプリケーションのインストール・ディレクトリーを使用します。
- マイグレーションの一部として、アプリケーション・インストール・ディレクトリーにユーザー・エンタープライズ・アプリケーションをインストールします。
- アプリケーションのインストール・ディレクトリー
- WebSphere Application Server がエンタープライズ・アプリケーションをインストールするロケーション
アプリケーションをアプリケーションのマイグレーション設定に従ってマイグレーションおよびインストールしたいことを指定する際にこのロケーションを使用します。カスタマイズ環境に特定したロケーションを選択するか、またはデフォルト・ロケーションを使用するかをオプションで選択することができます。
- アプリケーションを後でインストールするための管理スクリプトのマイグレーションと生成
- マイグレーション中に、インストール用のユーザー・エンタープライズ・アプリケーションを実際にインストールすることなく、これらを WebSphere Application Server バージョン 6.1.x
installableApps ディレクトリー内で準備します。
これらのアプリケーションのインストールに使用可能な JACL スクリプトは、マイグレーション・バックアップ・ディレクトリー内で生成および保管されます。WebSphere Application Server for z/OS の場合は、このバックアップ・ディレクトリーのロケーションは、この同じパネル上で指定する一時ディレクトリーと関連しています。
バックアップ・ディレクトリーのロケーションは、派生マイグレーション ID およびマイグレーションされるノードのタイプによって決定されます。
一時ディレクトリーとして
/tmp/migrate を指定し、例えば、派生マイグレーション ID が 55449 である場合、生成済み JACL スクリプトのロケーションは以下のとおりです。
/tmp/migrate/55449/nodetype_backup/
ここで、
nodetype は、マイグレーションされるノードのタイプによって、dmgr、fed、または base です。
これらのファイルは、
マイグレーション完了後に任意の時点および任意の組み合わせで実行することができます。また、アプリケーションのインストールをより効率的にするためにこれらの JACL ファイルを再編成および結合することもできます。生成済み JACL スクリプトを実行してアプリケーションをインストールするための、wsadmin ツールの使用方法の例を示します。
wsadmin -f install_ivtApp.ear.jacl
追加情報については、
Wsadmin ツール
を参照してください。
- アプリケーションをマイグレーションし、以前のアプリケーション・インストール・ディレクトリーを使用する (Migrate applications and use the previous application installation directory)
- マイグレーションの一部として、ユーザー・エンタープライズ・アプリケーションをインストールして、以前のバージョンと同じアプリケーション・インストール・ディレクトリーを保持します。
制約事項: このオプションを選択する場合、
この位置は既存の WebSphere Application Server バージョン 5.x または
6.0.x のインストールおよびバージョン 6.1.x のインストールと共用になります。
前のバージョンと同じロケーションにマイグレーション済みのアプリケーションを保持する場合、以下の制約事項が適用されます。
- WebSphere Application Server バージョン 6.1.x の混合ノード・サポート制限に従う必要があります。
つまり、wsadmin コマンドを呼び出す場合に以下のサポートは使用できません。
- JSP のプリコンパイル
- バイナリー構成の使用
- EJB のデプロイ
- バージョン 5.x または 6.0.x インストール・システムを管理 (例えばアンインストール) する際に、
後でこれらのロケーションからアプリケーションを削除する場合、
マイグレーション済みのアプリケーションを意図せず失う危険性があります。
- バージョン 5.x または 6.0.x
の変数に相対してインストールされたすべてのアプリケーションは、バージョン 6.1
でのその変数に割り当てられるロケーションに相対してインストールされます。
つまり、絶対ロケーションは保持されず、アプリケーションは新しいバージョン
6.1 環境内の相対ロケーションにマイグレーションされます。
マイグレーションされるアプリケーションの
deployment.xml ファイル内の binariesURL が WebSphere
Application Server と関わるパスを持っている (すなわち、
$(APP_INSTALL_ROOT)、
$(WAS_INSTALL_ROOT) などで始まる)
場合、アプリケーションが新規のロケーションにインストールされる際に、この新規の WebSphere Application Server 変数値を使用してパスを解決します。
このオプションを選択する場合は、以下の結果になります。
- WebSphere Application Server 変数と関わるディレクトリー・ロケーション内にインストールされたアプリケーションはすべて、バージョン 6.1.x のその変数値の下にインストールされます。
- WebSphere Application Server 変数と関わりのないディレクトリー・ロケーション内にインストールされたアプリケーションはすべて、その同じディレクトリー内にマイグレーションされ、上書きされます。
アプリケーションが /employee_records/retrieval_Apps ディレクトリー内にインストールされた場合は、例えば、アプリケーションは /employee_records/retrieval_Apps ディレクトリーにマイグレーションされ、上書きされます。
- アプリケーションをマイグレーションしない
- ユーザー・エンタープライズ・アプリケーションに関して何も行ないません。
- マイグレーション・トレースのオプション
- スクリプトのトレースを使用可能にする
- Home の作成、プロファイルおよびマイグレーション・ツールの呼び出し、およびマイグレーションの最終処理段階のトレースを使用可能にするかどうかを指定します。
- プロファイル作成のトレースを使用可能にする
- プロファイル作成中のトレースを使用可能にするかどうかを指定します。
- アップグレード前処理のトレースを使用可能にする
- WASPreUpgrade プロセス中のトレースを使用可能にするかどうかを指定します。
- アップグレード後処理のトレースを使用可能にする
- WASPostUpgrade プロセス中のトレースを使用可能にするかどうかを指定します。
- 一時ディレクトリーの位置
- マイグレーションのトレースおよび一時ファイルの出力のほかに、以前の構成のバックアップが書き込まれているディレクトリー
- マイグレーション定義 ID
- 個々のノード・マイグレーションの出力を区別するのに使用される ID
この
ID は、指定された一時ディレクトリー・ロケーションの下に作成されるサブディレクトリーの名前になります。
JOB ステートメント定義
調整されるすべてのマイグレーション・ジョブでは
JOB ステートメントが必要となります。
インストール済み環境に有効な JOB ステートメントを入力します。
マイグレーションの作成プロセスによって、すべての生成されたジョブのジョブ名が更新されます。そのため、JOB
ステートメントのその部分に関して気にかける必要はありません。継続行が必要であれば、コメント行を継続行で置き換えます。