トランザクション・リカバリー・ログの保管に ネットワーク・ファイル・システムのバージョン 3 (NFSv3) を使用し、自動ピア・リカバリーを使用する場合は、あらかじめファイル・ロックを使用不可にしておく必要があります。
WebSphere Application Server は、リカバリー処理の実行を指示されたときには必ず、 物理リカバリー・ログ・ファイルの排他ロックを取得します。 このロックは、ログの所有権を他のサーバーに渡すように指示されたときに解放します。 リカバリー・ログへのアクセスは、排他ロックを所有している場合にのみ行われます。
NFSv3 は排他的ファイル・ロックをサポートしますが、 ホストが再始動するまでの間、そのホストに代わってロックを取得します。 このコンテキストでは、ホストとは、ロックを要求したアプリケーション・サーバーが稼働する物理マシンであり、 また、最終的にロックを解放させるトリガーとなるのは、アプリケーション・サーバーの再始動ではなく、 ホストの再始動となります。詳しくは、自動と手動のトランザクション・ピア・リカバリーのいずれかを選択する方法 を参照してください。
より適切なフェイルオーバー動作を提供するには、 トランザクション・サービスの手動対等リカバリーの構成 の説明に従って、 手動フェイルオーバーを使用してシステムを構成するか、または排他的ファイル・ロックの使用を不可にします。
ロックを使用不可にした場合、リカバリー・ログの整合性のリスクの緩和策として、 WebSphere Application Server 高可用性 (HA) フレームワークのハートビートに関するパラメーターを調整して、 サーバーが失敗と見なされる条件を変更できます。 アプリケーションの特性、ネットワーク、およびピーク・ワークロードを考慮し、 サーバーで障害が起きていると診断されるまでの時間を適切に決定し、間違って診断される可能性が許容できる範囲内に抑えられるようにします。
サーバーの障害を間違って診断するリスクを減らすことと、 自動フェイルオーバーおよびピア・リカバリーが発生するまでの時間を長くすることはトレードオフとなります。 デフォルトでは、10 秒間隔で 20 ハートビートが欠落すると、サーバーが障害を起こしたと見なされます。 このデフォルトは、コア・グループの変更可能なカスタム・プロパティーです。