WebSphere Application Server - Express, Version 6.1   
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オブジェクト・リクエスト・ブローカー通信トレース

オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) 通信トレースは、通常、CommTrace と呼ばれ、 アプリケーションの実行時に ORB によって送受信される General InterORB Protocol (GIOP) メッセージのシーケンスが含まれています。

問題判別中のクライアント対サーバー、 またはサーバー対サーバーの対話の低レベル・シーケンスについての理解が必要となります。このトピックでは、 ログ例のトレース項目を使用してログの内容を説明しており、対話シーケンスについての理解に役立ちます。 ここでは、GIOP メッセージにのみ焦点を当てており、GIOP メッセージ境界 への介入時に表示される追加トレース情報について詳しくは説明しません。

ロケーション

ORB トレースが使用可能になると、この情報は、app_server_root/profiles/profile_name/logs/server_name/trace.log ディレクトリーに配置されます。

ORB トレース・ファイルについて

以下に、ORB トレースが有効なときに 作成されるファイルのプロパティーを示します。

出力の解釈のしかた

以降のセクションでは、このトピックの後半で示すサンプル・ログ出力について説明します。

情報の識別
GIOP メッセージの開始点は、OUT GOING: または IN COMING: の いずれかが含まれている行によって識別されます。どちらが含まれるかは、プロセスがメッセージを 送信した、あるいは受信したことによって決まります。
識別する行エントリーの次には、 この特定のメッセージ対話のエンドポイントを識別する未加工のメッセージから抽出された情報を持ち、 利用しやすいようにフォーマット設定された一連の項目が続きます。 両方の例の行 3 から 13 を参照してください。フォーマット済み項目には以下の情報が含まれます。
  • GIOP メッセージ・タイプ (行 3)
  • メッセージが記録された日時 (行 4)
  • メッセージが記録されたときに実行されていたスレッドを識別するのに役立つ情報、およびその他のスレッド特定の情報 (行 5)
  • 対話に使用されたローカルおよびリモート TCP/IP ポート (行 6 から 9)
  • GIOP バージョン、バイト・オーダー、メッセージがフラグメントであるかどうかの表示、 およびメッセージ・サイズ (行 10 から 13)
要求 ID、予期される応答、および応答状況
前置きメッセージ情報に 続く要求 ID は、ORB によって生成される整数です。 これは、各要求を識別して、それに対する応答と関連付けるために使用されます。 この関連は、ORB が要求を複数のクライアントから受信し、各応答を対応する発信要求と関連付ける ことができなければならないために必要とされます。
  • 要求例の行 15 から 17 では、要求 ID に続いて、応答が予期されることの 受信エンドポイント (CORBA は、応答が予期されない片方向要求の送信もサポートします) へ の指示が続きます。
  • サンプル・ログ項目 - GIOP 応答の行 15 は要求 ID を示し、 行 33 は、直前に送信された要求が完了した後に受信された応答状況を示してい ます。
オブジェクト・キー
要求例の行 18 から 20 は、オブジェクト・キーを 示しています。このキーは、要求メッセージを受信する予定のターゲット・オブジェクト を識別し探し出すために、ORB が使用する内部表記です。オブジェクト・キーは標準化されていません。
オペレーション
要求例の行 21 は、受信エンドポイントで ターゲット・オブジェクトが開始するオペレーション名を示しています。この例では、 要求される特定のオペレーションに _get_value という名前が付けられています。
サービス・コンテキスト情報
メッセージ内のサービス・コンテキスト も、適宜フォーマット設定されます。各 GIOP メッセージには、 各エンドポイントによって送受信されたサービス・コンテキストのシーケンスが含まれている可能性があります。ID によって一意的に識別されるサービス・コンテキストは、 セキュリティー、文字コード・セット変換、および ORB バージョン情報など、特定の対話で使用されたデータを格納しています。 一部のサービス・コンテキストの内容は、OMG によって標準化され、指定されますが、 他のサービス・コンテキストは、それぞれのベンダーによって独自に開発され、指定されます。 IBM 固有のサービス・コンテキストは、0x4942 で始まる ID によって 識別されます。

要求例の行 22 から 41 は、通常のサービス・コンテキスト項目を 示しています。要求メッセージには、行 22 に示されるように、3 つの サービス・コンテキストがあります。 それぞれのサービス・コンテキストの次に、ID、 データの長さ、および未加工のデータが印刷されています。 行 23 から 25 には、0x49424D12 ID で示される、IBM 所有のコンテキストが示されています。 行 26 から 41 には、0x6 ID (行 26) および 0x1 ID (行 39) によって識別される 2 つの標準サービス・コンテキストが示されています。

サンプル・ログ項目 - GIOP 応答の 行 16 から 32 には、2 つのサービス・コンテキストが示されています。1 つは IBM 所有の サービス・コンテキスト (行 17) で、1 つは標準化されたサービス・コンテキスト (行 20) です。

標準化されたサービス・コンテキストの定義については、CORBA 仕様を参照してください。サービス・コンテキスト 0x1 (CORBA::IOP::CodeSets) は、 文字データの伝送に使用されるコード・セットについて折衝し、決定するために、ORB がサポートする文字コード・セットを公開するのに使用されます。 サービス・コンテキスト 0x6 (CORBA::IOP::SendingContextRunTime) は、 SendingContextRuntime オブジェクトの IOR を受信エンドポイントに提供するために Remote Method Invocation over the Internet Inter-ORB Protocol (RMI-IIOP) によって使用されます。 IBM サービス・コンテキスト 0x49424D12 は、 ORB の送受信間のリリース間インターオペラビリティーをサポートするために、ORB PartnerVersion 情報を 公開する際に使用されます。

データ・オフセット
要求例の行 42 は、要求または応答メッセージの 残りの本文が入っている GIOP メッセージの先頭位置に相対的なオフセットを 示しています。メッセージのこの部分は、各オペレーションに固有であり、 オペレーションごとに異なります。したがって、固有の内容は ORB によって認識 されないため、これはフォーマット設定されません。 オフセットは、データ・オフセットに続く未加工の GIOP メッセージ・ダンプ内の、 オペレーション固有データの迅速な検索を支援するために印刷されます。
未加工の GIOP メッセージ・ダンプ
要求例の行 45 とサンプル・ログ項目 - GIOP 応答の 行 36 から始まる GIOP メッセージ全体の未加工ダンプは、16 進形式で出力されます。 要求メッセージには、指定されたオペレーションで必要なパラメーターが含まれ、 応答メッセージには、 指定されたオペレーションでの必要に応じて、 戻り値および出力パラメーターの内容が含まれています。簡潔に見せるため、 図には必ずしもすべてのロー・データが含まれているわけではありません。

サンプル・ログ項目 - GIOP 要求

1.
OUT GOING:

3. Request Message
4.  Date:          April 17, 2002 10:00:43 PM CDT
5.  Thread Info:   P=842115:O=1:CT
6.  Local Port:    1243 (0x4DB)
7.  Local IP:      jdoe.austin.ibm.com/192.168.1.101
8.  Remote Port:   1242 (0x4DA)
9.  Remote IP:     jdoe.austin.ibm.com/192.168.1.101
10. GIOP Version:  1.2
11. Byte order:    big endian
12. Fragment to follow: No
13. Message size:  268 (0x10C)
--
15. Request ID:        5
16. Response Flag:     WITH_TARGET
17. Target Address:     0
18. Object Key:        length = 24 (0x18)
                       4B4D4249 00000010 BA4D6D34 000E0008
                       00000000 00000000
21. Operation:         _get_value
22. Service Context:   length = 3 (0x3)
23. Context ID:  1229081874 (0x49424D12)
24. Context data:  length = 8 (0x8)
                       00000000 13100003
26. Context ID:  6 (0x6)
27. Context data:  length = 164 (0xA4)
                       00000000 00000028 49444C3A 6F6D672E 
                       6F72672F 53656E64 696E6743 6F6E7465 
                       78742F43 6F646542 6173653A 312E3000 
                       00000001 00000000 00000068 00010200
                       0000000E 3139322E 3136382E 312E3130
                       310004DC 00000018 4B4D4249 00000010
                       BA4D6D69 000E0008 00000000 00000000
                       00000002 00000001 00000018 00000000
                       00010001 00000001 00010020 00010100
                       00000000 49424D0A 00000008 00000000
                       13100003
39. Context ID:  1 (0x1)
40. Context data:  length = 12 (0xC)
                       00000000 00010001 00010100          
42. Data Offset:       118


45. 0000: 47494F50 01020000 0000010C 00000005   GIOP............
46. 0010: 03000000 00000000 00000018 4B4D4249   ............KMBI
47. 0020: [remainder of message body deleted for brevity]

サンプル・ログ項目 - GIOP 応答

1.
IN COMING:

3. Reply Message
4.  Date:          April 17, 2002 10:00:47 PM CDT
5.  Thread Info:   RT=0:P=842115:O=1:com.ibm.rmi.transport.TCPTransportConnection
5a (line 5 broken for publication).   remoteHost=192.168.1.101 remotePort=1242 localPort=1243
6.  Local Port:    1243 (0x4DB)
7.  Local IP:      jdoe.austin.ibm.com/192.168.1.101
8.  Remote Port:   1242 (0x4DA)
9.  Remote IP:     jdoe.austin.ibm.com/192.168.1.101
10. GIOP Version:  1.2
11. Byte order:    big endian
12. Fragment to follow: No
13. Message size:  208 (0xD0)
--
15. Request ID:        5
16. Service Context:   length = 2 (0x2)
17. Context ID:  1229081874 (0x49424D12)
18. Context data:  length = 8 (0x8)
                       00000000 13100003
20. Context ID:  6 (0x6)
21. Context data:  length = 164 (0xA4)
                       00000000 00000028 49444C3A 6F6D672E 
                       6F72672F 53656E64 696E6743 6F6E7465 
                       78742F43 6F646542 6173653A 312E3000 
                       00000001 00000000 00000068 00010200
                       0000000E 3139322E 3136382E 312E3130
                       310004DA 00000018 4B4D4249 00000010
                       BA4D6D34 000E0008 00000001 00000000
                       00000002 00000001 00000018 00000000
                       00010001 00000001 00010020 00010100
                       00000000 49424D0A 00000008 00000000
                       13100003
33. Reply Status:      NO_EXCEPTION


36. 0000: 47494F50 01020001 000000D0 00000005   GIOP............
37. 0010: 00000000 00000002 49424D12 00000008   ........IBM.....
38. 0020: [remainder of message body deleted for brevity]



関連タスク
オブジェクト・リクエスト・ブローカーの管理
関連資料
Java オブジェクト・リクエスト・ブローカー (ORB) サービスのための文字コード・セット変換サポート
オブジェクト・リクエスト・ブローカー・サービス設定
オブジェクト・リクエスト・ブローカー: 学習用リソース
参照トピック    

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最終更新: Jan 21, 2008 6:25:35 PM EST
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