この項目では、WebSphere® Application Server for z/OS® 構成 HFS をセットアップする際に必要な計画の決定について説明します。
WebSphere Application Server for z/OS の各ノードには、 それがスタンドアロン・アプリケーション・サーバーか、 デプロイメント・マネージャーか、管理対象アプリケーション・サーバー・ノードか、ロケーション・サービス・デーモンかにかかわらず、 読み取り/書き込みホーム・ディレクトリー (WAS_HOME と呼ばれることもある) が必要です。
/WebSphere/V6R0 /AppServer /bin /classes /java /lib /logs /profiles /temp ... /Daemon /config /SYSA SYSA.SYSA.BBODMNB -> /WebSphere/V6R0/Daemon/config/SYSA/SYSA/BBODMNB SYSA.SYSA.BBOS001 -> /WebSphere/V6R0/AppServer/profiles/default/config/cells/SYSA/nodes/SYSA/servers/server1 SYSA.SYSA.BBOS001.HOME -> /WebSphere/V6R0/AppServerBBOS001 の WebSphere Application Server ホーム・ディレクトリーの名前は、AppServer です。 ここには、 SYSA ノードと BBOS001 サーバーの完全な構成情報を持つディレクトリーが含まれています。
WebSphere Application Server ホーム・ディレクトリーそのものだけでなく、 構成 HFS にも、各サーバーへの複数パーツのシンボリック・リンクが含まれ、 そのサーバーの開始パラメーターを指しています。 このシンボリック・リンクの名前は、cell_short_name.node_short_name.server_short_name です。
上記の構成 HFS の 例として、ロケーション・サービス・デーモンを開始するシンボリック・リンク SYSA.SYSA.BBODMNB や BBOS001 アプリケーション・サーバーを開始するシンボリック・リンク SYSA.SYSA.BBOS001 があります。 2 番目のシンボリック・リンクは、 MVS™ コンソールからサーバーまたはロケーション・サービス・デーモンを開始するときに、 次のように START コマンドの ENV パラメーターで指定されます。
START procname,JOBNAME=BBOS001,ENV=SYSA.SYSA.BBOS001
シンボリック・リンクはそれぞれ、サーバーの was.env ファイルが置かれているサブディレクトリーを指します。 このファイルには、サーバーの始動に必要な情報が含まれています。
複数の z/OS システムは、 その z/OS システムに共用 HFS があり、 構成 HFS が R/W でマウントされている場合には、その構成 HFS を共用することができます。 更新はすべて、そのマウント・ポイントを「所有」する z/OS システムが行います。 Network Deployment セルでは、これは一般に、 そのセルのデプロイメント・マネージャーが構成されている z/OS システムです。
WebSphere Application Server for z/OS 構成 HFS のマウント・ポイントの選択は、 z/OS システムのレイアウト、関係するアプリケーション・サービ ス環境の性質、およびいくつかの要因 (セットアップや保守のしやすさ、パフォーマンス、回復可能性、 連続可用性の必要など) の相対的重要度によって決まります。
単一の z/OS システムの場合:
単一の z/OS システムで WebSphere Application Server for z/OS を実行する場合は、 z/OS 構成 HFS のマウント・ポイントにはさまざまな選択肢があります。 単一の構成 HFS 内の複数のスタンドアロン・アプリケーション・サーバーに、 実動サーバーまたは Network Deployment セルごとに別々の構成 HFS を設定することもできます。 別々の構成 HFS データ・セットを使用すると、パフォーマンスや信頼性が増しますが、 構成 HFS を共用すると、必要なアプリケーション・サーバーのカタログ式プロシージャーの数が少なくてすみます。
/WebSphere/V6_test /DevServer - home to stand-alone server DVCELL, with server DVSR01A /TestServer1 - home to stand-alone server cell T1CELL, with server T1SR01A /TestServer2 - home to stand-alone server cell T2CELL, with server T2SR01A /QAServer - home to Network Deployment cell QACELL, with deployment manager QADMGR and server QVSR01A実動セルに対しては、次のように別の構成 HFS を用意することができます。
/WebSphere/V6_prod /CorpServer1 - home to Network Deployment cell CSCELL, with deployment manager CSDMGR and server CSSR01A
マルチシステム z/OS シスプレックス (HFS の共用なし) の場合:
マルチシステム・シスプレックスで HFS を共用しない場合には、 各 z/OS システムに、 それぞれ独自の構成 HFS データ・セットが必要です。 スタンドアロン・アプリケーション・サーバーや、 複数のシステムにまたがることのない Network Deployment セルでは、オプションは、 単一の z/OS システムの場合と同じです。
複数システムにわたる Network Deployment セルの場合:
各システムで、セルの構成 HFS データ・セットに、 別々のマウント・ポイントを使用することができます。 こうすると、システム間のノードの移動 (例えば、 システムが操作不能になったり、アップグレードされたりした場合) が容易になります。 これは、それぞれのマウント・ポイントが、シスプレックス内の他のシステムでは未使用なので、 障害が発生したシステムの構成 HFS データ・セットをシスプレックス内の代替システムにマウントすることができるためです。
/var/WebSphere/V6config1 /DeploymentManager - home to deployment manager F1DMGR in cell F1CELL /AppServer1 - home to node F1NODEA and servers F1SR01A and F1SR02Aまた、 LPAR2 では 2 番目の構成 HFS が必要です。
/var/WebSphere/V6config2 /AppServer2 - home to node F1NODEB and servers F1SR02B (clustered) and F1SR03Bこのようなセットアップには、デプロイメント・マネージャーとノード F1NODEA を LPAR2 に移動したり、 あるいはノード F1NODEB を LPAR1 に移動したりできるという利点があります。この構成の欠点は、 F1NODEA と F1NODEB で、別々のカタログ式プロシージャー・セットが必要だということです。
あるいは、特定セルでは、すべての構成 HFS データ・セットに対して、 同じマウント・ポイントを使用することができます。こうすると、共通のカタログ式プロシージャーを使用して、 システムを同じように見せることができます。
/var/WebSphere/V6F1 /DeploymentManager - home to deployment manager F1DMGR in cell F1CELL /AppServer1 - home to node F1NODEA and servers F1SR01A and F1SR02Aまた、 LPAR2 には、同じマウント・ポイントに別の HFS が割り当てられます。
/var/WebSphere/V6F1 /AppServer2 - home to node F1NODEB and servers F1SR02B (clustered) and F1SR03Bしかし、いずれかの LPAR のノード (複数可) を他のシステムに再配置する場合は、 1 つの構成 HFS のコピーを別の構成 HFS にマージする必要があります。
マルチシステム z/OS シスプレックス (共用 HFS) の場合:
シスプレックスに共用 HFS が備わっている場合は、 セル全体で使用する大規模な構成 HFS をマウントすればよいだけです。カスタマイズ・ダイアログを使用する際に、 各システムで共通の構成 HFS マウント・ポイントを指定します。前述のように、 構成 HFS の更新は、デプロイメント・マネージャーをホストしている z/OS システムから行います。 パフォーマンスは、構成変更の頻度によって決まります。このオプションを選択する場合は、 必ず、十分な調整を行ってください。
/LPAR1/WebSphere/V6F1 /DeploymentManager - home to deployment manager F1DMGR in cell F1CELL /AppServer1 - home to node F1NODEA and servers F1SR01A and F1SR02A /LPAR2/WebSphere/V6F1 /AppServer2 - home to node F1NODEB and servers F1SR02B (clustered) and F1SR03B各システム (LPAR1 と LPAR2) は、それぞれのシステム固有のマウント・ポイントで、 独自の構成 HFS をマウントします。 カスタマイズ・ダイアログを使用する場合は、次のように指定してください。
WebSphere Application Server のホーム・ディレクトリーは、常に、 それが置かれている構成 HFS を基準に表されます。 したがって、カスタマイズ・ダイアログでは、 ある 1 つのパネルで構成 HFS マウント・ポイントを選択すると、別のパネルでは、 ホーム・ディレクトリーの単一のディレクトリー名だけを記入します。 ただし、サーバーの WAS_HOME ディレクトリーに移動するようにという指示では、 構成 HFS とホーム・ディレクトリー名を結合したパス名全体のことです (例えば、 /WebSphere/V6R0/AppServer です)。
ホーム・ディレクトリーには、 構成 HFS 内で固有である場合、任意の名前を選択することができます。 スタンドアロン・アプリケーション・サーバーまたは新規の管理対象サーバー・ノードを作成して、 Network Deployment セルに統合する場合は、 Network Deployment セルの構成 HFS で使用されていないものを選択してください。
システムごとにノードが 1 つずつある場合は、 何らかの形式のノード名またはシステム名を使用することができます。 あるいは、デプロイメント・マネージャーの場合は「DeploymentManager」、 各アプリケーション・サーバー・ノードの場合は「AppServern」を使用することもできます。
構成 HFS には、 製品 HFS (デフォルトで (/usr/lpp/zWebSphere/V6R0) 内のファイルへのシンボリック・リンクが多数含まれています。 これによって、サーバー・プロセス、管理者、およびクライアントが、 一貫した WebSphere Application Server for z/OS コード・ベースにアクセスできるようになります。
これらのシンボリック・リンクは、WebSphere Application Server ホーム・ディレクトリーの作成時にセットアップされるので、 変更が容易ではありません。 したがって、高可用性を必要とするシステムでは、 システム保守を可能とするために、使用中の各保守レベルおよびサービス・レベル (テスト、確認、実動など) ごとに、 WebSphere Application Server for z/OS の製品 HFS と製品データ・セットのコピーを別々に保管し、 中間シンボリック・リンクを使用して、各構成 HFS をその製品 HFS と接続するようにしてください。
WebSphere Application Server for z/OS ノードの始動時には、 構成のサービス・レベルが、製品 HFS のサービス・レベルと比較されます。 構成 HFS のサービス・レベルが 製品 HFS のサービス・レベルより高い場合 (古い製品 HFS がマウントされている可能性があることを意味します)、 そのノードのサーバーは、エラー・メッセージを出して終了します。構成 HFS サービス・レベルが 製品 HFS のサービス・レベルよりも低い場合 (ノードが最後に始動した後に、サービスが製品コード・ベースに適用されたことを意味します) は、ポスト・インストーラーと呼ばれるタスクが、 最新の状態に保つために構成 HFS で実行する必要があるアクションを検査します。 ポスト・インストーラーについて詳しくは、製品保守の適用 を参照してください。