WebSphere Application Server Network Deployment, Version 6.0.x   
             オペレーティング・システム: AIX , HP-UX, Linux, Solaris, Windows

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installver コマンド

installver コマンドは、2 つの重要な機能を実行します。 このツールはインストールされているファイルでチェックサムを計算し、そのチェックサムを製品の配送済み部品表と比較します。 installver コマンドはさらに、 構成済みのシステムのインベントリーである各ファイルの新規ベースライン・チェックサムを計算し、 後で比較してファイルの変更の有無を識別するために使います。

目的

installver コマンドは、バージョン 6.0.2 の新しい機能です。 installver コマンド・ツールをインストールするには、 この製品のバージョン 6.0.2 レベル以降をインストールしてください。

このトピックでは、 コマンド・ファイルのロケーション、コマンド構文、およびツールを使用したタスク情報へのリンクについて説明します。

デフォルトのログ・ファイルは app_server_root/logs/installver.log ファイルです。-log パラメーターと引数を使用して、出力をリダイレクトすることができます。ファイル引数なしで -log パラメーターを 使用して、デフォルトのログ・ファイルを生成します。

チェックサムの計算

installver ツールは製品中に インストールされている各ファイルのチェックサムを計算します。ツールは計算した各チェックサムとファイルの正しいチェックサムを比較します。 正しいチェックサムは部品表ファイルで配送されています。 各コンポーネントについて 1 つの部品表ファイルが存在します。

ツールは各コンポーネントの部品表を解析し、コンポーネント中の各ファイルの正しいチェックサム値を見つけます。 各製品ファイルには、どれかの部品表ファイル中にある 1 項目が含まれています。 製品ファイルの項目には、製品のファイル・パスおよび正しいチェックサム値がリストされています。

配送される部品表ファイル

各部品表ファイルには、 files.list というファイル名がついています。各コンポーネントは 1 つの files.list ファイルを持っています。 各 files.list ファイルは、app_server_root /properties/version/install/6.0.0.0/backup/ component_name ディレクトリーの 1 つにあります。component_name ディレクトリーが、 各コンポーネントについて存在します。

例えば、アクティビティー・コンポーネント用の files.list ファイルは、 app_server_root /properties/version/install/6.0.0.0/backup/activity ディレクトリーにあります。ファイルは、以下の例のようになります。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>

<componentfiles componentname="activity">
       <file>
              <relativepath>properties/version/activity.component</relativepath>
              <checksum>1a20dc54694e81fccd16c80f7c1bb6b46bba8768</checksum>
              <permissions>644</permissions>
              <installoperation>remove</installoperation>
       </file>
       <file>
              <relativepath>lib/activity.jar</relativepath>
              <checksum>2f056cc01be7ff42bb343e962d26328d5332c88c</checksum>
              <permissions>644</permissions>
              <installoperation>remove</installoperation>
       </file>
</componentfiles>

計算したチェックサムを正しいチェックサムと比較する

ツールは、各部品表ファイルの各製品ファイルを処理する間に、 対応するインストール済み製品ファイルの実際のチェックサム値も計算します。 ツールは次に、製品ファイルのチェックサムを部品表ファイルの正しいチェックサム値と比較します。 それから、ツールは、両者に差異がある場合はこれをレポートします。

コマンド・ファイルのロケーション

installver コマンド・ファイルは、 インストール・ルート・ディレクトリーの bin ディレクトリーにあります。

ディレクトリーを bin ディレクトリーに移動して、コマンド行から installver ツール を開始します。このツールは z/OS を除く、サポートしている任意のオペレーティング・システム上で実行できます。

[AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] 以下のコマンドを使用して、 オペレーティング・システム (AIX、Linux など) 上でツールを実行します。
./installver.sh

使用方法を表示するための構文

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -help
  • [Windows] installver.bat -help

すべてのコンポーネントをリストするための構文

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -listcomponents
  • [Windows] installver.bat -listcomponents

製品ファイルを部品表ファイルと比較するための構文

以下のコマンド構文を使用して、インストールされているファイル・システムに対して部品表を自動的に確認します。

コマンドを使用して、インストール済みファイルと製品の部品表ファイルを比較する例については、 部品表との比較による検査 を参照してください。

比較およびコマンド使用の例

チェックサムを比較し、指定したファイルのみを比較に含めます。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -include fn1;fn2;fn3
  • [Windows] installver.bat -include fn1;fn2;fn3

コマンドを使用して、ユーザーが指定するファイルまたはコンポーネントのみを比較する例については、 特定のファイルおよびコンポーネントのチェックサムの比較 を参照してください。

チェックサムを比較し、指定したコンポーネントのみを比較に含めます。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -includecomponent comp1;comp2;comp3;...
  • [Windows] installver.bat -includecomponent comp1;comp2;comp3;...
チェックサムを比較し、比較からある種のコンポーネントを除外します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -excludecomponent comp1;comp2;comp3;...
  • [Windows] installver.bat -excludecomponent comp1;comp2;comp3;...

コマンドを使用して、比較からファイルを除外する例については、チェックサムの比較からのファイルの除外 を参照してください。

チェックサムを比較し、ユーザーにより除外されたファイルを無視します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -ignoreuserexclude
  • [Windows] installver.bat -ignoreuserexclude
チェックサムを比較し、IBM が除外したファイルを無視します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -ignoreibmexclude
  • [Windows] installver.bat -ignoreibmexclude
すべてのコンポーネントのみをリストします。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -listcomponents
  • [Windows] installver.bat -listcomponents
テンプレート (除外されたファイルのリスト用) のみを作成します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -createtemplate
  • [Windows] installver.bat -createtemplate

部品表に対してチェックサムを比較するためのパラメーター

以下のパラメーターは、製品ファイルのチェックサムを、部品表ファイ ルの正しいチェックサムと比較する場合、コマンドと関連しています。

-componentdir directory
WebSphere Application Server 製品が、各コンポーネントの個々の部品表リストを保管するディレクトリー名を識別するオプショナル・パラメーターです。

デフォルト値は app_server_root /properties/version/install/6.0.0.0/backup ディレクトリーです。

-createtemplate [file_name ]
チェックサムの比較からファイルを除外するためのテンプレート・プロパティー・ファイルを作成します。 テンプレート・プロパティー・ファイルを編集して、確認から除外したい各ファイルの行を追加します。

ファイル指定の引数を使わずに、 installver ツールは profile_root/properties/ivu_user.template ファイルを作成します。

ファイル名を指定する場合、installver ツールは作業ディレクトリー (デフォルトでは profile_root/bin ディレクトリー) に ファイルを作成します。

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] 次の手順を実行します。
    1. cd app_server_root/bin
    2. ./installver.sh -createtemplate
  • [Windows] 次の手順を実行します。
    1. cd app_server_root¥bin
    2. installver.bat -createtemplate

installver ツールはデフォルト・プロファイルの properties ディレクトリーに テンプレート・プロパティー・ファイルを作成します。

-exclude file1;file2;file3; ...
確認からファイルを除外します。

ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-excludecomponent component1;component2;component3; ...
確認からコンポーネントを除外します。

コンポーネント名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-filelist file_name
特定の製品コンポーネントの製品ファイルの正しいチェックサムを識別するのに IBM が使用しているファイル名を示す、オプショナル・パラメーターです。

デフォルト値は files.list です。

-help

使用情報を表示します。

-ignoreuserexclude

ファイルが存在し、テンプレートにリストされたファイルを比較する場合は、デフォルトの profile_root/properties/ivu_user.template ファイルを 無視します。

ファイル指定をして -createtemplate パラメーターを使い、別のロケーションにテンプレート・ファイルを作成する場合は、-ignoreusertemplate パラメーターは無効です。

-ignoreibmexclude

インストール・ルート・ディレクトリーのすべてのファイルのチェックサムを比較します。 IBM ではデフォルトで、ある種のファイルを確認から除外するよう指定しています。installver ツールにより、-ignoreibmexclude パラメーターを使用してこれらのファイルも同様に確認できます。

-include file1;file2;file3; ...
いくつかのファイルを確認に含め、その他のすべてのファイルを除外します。

ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-includecomponent component1;component2;component3; ...
いくつかのコンポーネントを確認に含め、その他のすべてのコンポーネントを除外します。

コンポーネント名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-installroot directory_name
デフォルトのインストール・ルート・ディレクトリーをオーバーライドします。
-listcomponents

製品中のコンポーネントのリストを表示します。各コンポーネントには files.list ファイルが必要です。

-log [file_path_and_file_name_of_log_file]

デフォルトのログ・ファイルは app_server_root/logs/installver.log ファイルです。-log パラメーターと引数を使用して、出力をリダイレクトすることができます。

-profilehome directory_name
インストール・ルート・ディレクトリーにあるデフォルト・プロファイ ル・ディレクトリーをオーバーライドします。
-trace

ツールが確認し、発見したことについてのトレース出力を提供します。

構成済みファイルのインベントリー用新規ベースライン・チェックサムを作成および使用するための構文

以下の構文を使用して、構成済みファイルのインベントリーを作成し、これを現在インストールされているファイルと比較します。

インストール・ルート・ディレクトリーに現在インストールされているファイルの インベントリー・リストを作成します。

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -createinventory [path/file_name]、 例えば ./installver.sh -createinventory /tmp/system.inv
  • [Windows] installver.bat -createinventory [path¥file_name]、 例えば installver.bat -createinventory C:¥temp¥system.inv

インベントリー・リストを、現在インストール・ルート・ディレクトリーにインストールされている ファイルと比較します。

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -compare /path/file_name
  • [Windows] installver.bat -compare path¥file_name

トレース結果を比較および表示します。

  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -compare /path/file_name -trace
  • [Windows] installver.bat -compare /path/file_name -trace
使用情報を表示します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -help
  • [Windows] installver.bat -help
指定したファイルを比較して、インベントリー比較から除外します。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -compare /path/file_name -exclude fn1;fn2;fn3;...
  • [Windows] installver.bat -compare ¥path¥file_name -exclude fn1;fn2;fn3;...
指定したファイルのみを比較して、インベントリー比較に組み込みます。
  • [AIX] [HP-UX] [Linux] [Solaris] ./installver.sh -compare /path/file_name -include fn1;fn2;fn3;...
  • [Windows] installver.bat -compare /path/file_name-include fn1;fn2;fn3;...

ファイル・インベントリーのチェックサムを作成および使用するためのパラメーター

以下のパラメーターは、このコマンドと関連しています。

-compare file_path_and_file_name_of_existing_inventory_file
既存のインベントリー・リストを既存のファイルと比較して、変更を判別します。

まず、-createinventory パラメーターを使用してインベントリー・リストを作成します。 次に、-compare パラメーターを使用してインベントリー・リストを、比較時点においてシステムに存在している実際のファイルと比較します。

比較の結果により、変更されたクラス、変更されたファイル、欠落ファイル、および追加されたファイルが示されます。 こうした比較は、例えばウィルス・ファイルがないことを確認するのに非常に役立ちます。

-createinventory directory_name
新規チェックサムをデフォルトで、現行作業ディレクトリー (profile_root/bin ディレクトリーなど) 内の sys.inv ファイルに作成します。 ユーザーはファイル・パスとファイル名を指定できます。インストール・ルート・ディレクトリー以外にファイルを作成するか、比較からそのファイルを除外します。

installver ツールは、任意のディレクトリーに指定できます。デフォルトのディレクトリーは、インストール・ルート・ディレクトリーです。

ユーザーはインベントリーからファイルやコンポーネントを除外することができます。

installver ツールは、各ファイルのチェックサムを計算します。インベントリー内の各ファイル項目には、 以下の一般パターンがあります。

checksum|relativepath/file_name|file_size|last_modfiied_time

インベントリー・リストを作成した後、-compare パラメーターを使用してこのリストを、比較時点においてシステムに存在している実際のファイルと比較します。

-exclude file1;file2;file3;...
比較からファイルを除外します。

ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-help
使用情報を表示します。
-include file1;file2;file3; ...
いくつかのファイルを比較に含め、その他のすべてのファイルを除外します。

ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。

-installroot directory_name
デフォルトのインストール・ルート・ディレクトリー をオーバーライドします。
-log [file_path_and_file_name_of_log_file]

デフォルトのログ・ファイルは app_server_root/logs/installver.log ファイルです。-log パラメーターと引数を使用して、出力をリダイレクトすることができます。

-trace
ツールが確認し、発見したことについてのトレース出力を提供します。

以下の例に、 installver コマンドを実行してチェックサムを比較するときに発生する 可能性がある問題を示します。

ユーザーが意図的に導入した、チェックサムの不一致 (コンポーネントを 拡張する場合などに起こる可能性があります) の項目を無視します。

チェックサムは、変更する各ファイルごとに異なります。
I CWNVU0470I: [ivu] Starting to analyze: regularcomponentsample
I CWNVU0440I: [ivu] The following file is different: lib/different.jar
I CWNVU0410I: [ivu] fc19318dd13128ce14344d066510a982269c241b is the checksum in the bill of materials.
I CWNVU0420I: [ivu] 517d5a7240861ec297fa07542a7bf7470bb604fe is the checksum on the file system.
I CWNVU0390I: [ivu] Component issues found : 1
I CWNVU0480I: [ivu] Done analyzing: regularcomponentsample

明らかな通知 (I) メッセージである問題は無視します。

一部のメッセージは 通常期待される結果からの逸脱を示しますが、深刻な問題の標識ではありません。
I CWNVU0360I: [ivu] The following bill of materials issue is found for component nullvaluesample: 
  Hash must not be null or an empty string.

オーバーラップされたファイルは、製品に潜在的な問題があるか、 IBM が提供する部品表の改ざんの可能性があります。

I CWNVU0470I: [ivu] Starting to analyze: overlapbinarycomponentsample
W CWNVU0422W: [ivu] The following file is overlapped: lib/binaryTest.jar
W CWNVU0425W: [ivu] The overlap is caused by: _binarycomponentsample
I CWNVU0390I: [ivu] Component issues found : 1
I CWNVU0480I: [ivu] Done analyzing: overlapbinarycomponentsample

以下の問題については IBM サポートに連絡してください。

以下のフォーマットの メッセージが表示された場合は、IBM サポートに連絡してください。
W CWNVU0280W: [ivu] Component mismatch: expected ... but found ...

IBM サポートから入手可能な既知の問題およびその解決法に関する最新の情報については、IBM サポート・ページを参照してください。

IBM サポートの資料を利用すると、 この問題の解決に必要な情報収集の時間を節約できます。 PMR を開く前に、この IBM サポート・ページを参照してください。

類似した既知の インストールの問題が見つからない場合、または提供されている情報では問 題が解決されない場合は、IBM サポートに連絡してください。

次のステップ

インストールを検証した後、 プロファイルを作成するか、既存のアプリケーション・サーバー・プロファイルでアプリケーションを デプロイすることができます。

インストール、更新、および検査の次に行うステップは、製品を使用することです。 スタンドアロン・アプリケーション・サーバー またはセルを作成した場合は、 アプリケーション・サーバー、 またはデプロイメント・マネージャー、nodeagent、 およびフェデレーテッド・アプリケーション・サーバーを始動し、管理コンソールを使用して、既存のアプリケーションをデプロイします。詳しくは、WebSphere Application Server のファースト・パス を 参照してください。



関連タスク
インストール済みファイルのチェックサムの検査
関連資料
verifyinstallver コマンド
参照トピック    

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最終更新: Jan 21, 2008 10:13:28 PM EST
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/wasinfo/v6r0/index.jsp?topic=/com.ibm.websphere.nd.doc/info/ae/ae/rins_installver.html