WASPreUpgrade コマンドは、以前のバージョンまたはリリースの
構成およびアプリケーションをバージョン 6.0.x アプリケーション・サーバー・ノードに保管する
マイグレーション・ツールです。
構文
コマンド構文は、
Linux ベース・プラットフォームでは次のようになります。
WASPreUpgrade.sh backupDirectory
currentWebSphereDirectory
[admin_node_name]
[-nameServiceHost host_name [-nameServicePort port_number ]]
[-import xmiDataFile ]
[-traceString trace_spec [-traceFile file_name ]]
コマンド構文は、
Windows プラットフォームでは次のようになります。
WASPreUpgrade.bat backupDirectory
currentWebSphereDirectory
[admin_node_name]
[-nameServiceHost host_name [-nameServicePort port_number ]]
[-import xmiDataFile ]
[-traceString trace_spec [-traceFile file_name ]]
パラメーター
パラメーターは、以下のとおりです。
- backupDirectory
- これは必須パラメーターで、最初に指定する必要があります。
値 backupDirectory は、コマンド・スクリプトが保管した構成
およびファイルを格納するディレクトリーの名前を指定します。
これは、WASPostUpgrade ツールが構成およびファイルを
読み取るディレクトリーでもあります。ディレクトリーが存在しない場合は、WASPreUpgrade コマンド・スクリプトが作成します。
- currentWebSphereDirectory
- これは必須パラメーターで、2 番目に指定する必要があります。
値 currentWebSphereDirectory は、
現行のバージョン 4.0.x、バージョン 5.0.x、またはバージョン 5.1.x インストール・システムの
インストール・ルートの名前を指定します。これは、WebSphere Application
Server バージョン 4.0.x、バージョン 5.0.x、またはバージョン 5.1.x のいずれのエディションであってもかまいません。
- adminNodeName
- WebSphere Application Server Advanced Edition
バージョン 4.0.x からマイグレーションする場合、このパラメーターは必須で、
3 番目に指定する必要があります。それ以外の場合は、オプションです。値 admin_node_name は、
製品の前のバージョンの管理サーバーが含まれるノードの名前を指定します。
この引数の値は大文字小文字の区別があり、前のバージョンの管理コンソールの
「トポロジー」タブのトポロジー・ツリーに
指定されたノード名と一致している必要があります。WASPreUpgrade ツールは、
このパラメーターを使用して XMLConfig ツールを呼び出します。
- -nameServiceHost
- WebSphere Application Server Advanced Edition バージョン 4.0.x から
マイグレーションする場合は、必須パラメーターです。値 host_name は、
XMLConfig ツールが使用するホスト名を指定します。このパラメーターを
指定しない場合は、デフォルトのホスト名が使用されます。
- -nameServicePort
- WebSphere Application Server Advanced Edition バージョン 4.0.x から
マイグレーションする場合は、必須パラメーターです。値 port_number は、
XMLConfig ツールが使用するポート番号を指定します。このパラメーターを
指定しない場合は、デフォルトのポート番号が使用されます。
- -import
- これはオプション・パラメーターです。値 xmiDataFile は、
処理する WebSphere Application Server Advanced Single Server Edition
バージョン 4.x XML Metadata Interchange (XMI) 構成ファイルの名前を指定します。
デフォルト値は backupDirectory/config/server-cfg.xml です。
ここで、backupDirectory は backupDirectory パラメーターに指定された
値です。
デフォルトの
server-cfg.xml ファイルを使用しない構成をマイグレーションしている場合、
このパラメーターを組み込んで、構成ファイルの完全修飾名を指定する必要があります。
この
パラメーターは、WebSphere Application Server Advanced
Single Server Edition バージョン 4 からアップグレードする場合にのみ有効です。
- -traceString
- これはオプション・パラメーターです。値 trace_spec は、
収集するトレース情報を指定します。すべてのトレース情報を収集するには、
"*=all=enabled" (引用符を付けて) を指定します。デフォルトでは、
トレース情報は収集されません。このパラメーターを指定する場合は、-traceFile パラメーターも指定する必要があります。
- -traceFile
- これはオプション・パラメーターです。値 file_name は、
トレース情報の出力ファイルの名前を指定します。-traceString パラメーターを指定するが、-traceFile パラメーターを指定しない場合、スクリプトはトレース・ファイルを生成しません。
ロギング
WASPreUpgrade ツールは、
実行中に画面に状況を表示します。また、このツールは広範囲にわたるロギング情報のセットを
backupDirectory ディレクトリーに作成された
WASPreUpgrade.log ファイルに保管します。
ここで、backupDirectory は、backupDirectory パラメーターに指定された
値です。テキスト・エディターを使用して、WASPreUpgrade.log ファイルを
表示することができます。
マイグレーション済みリソース
WASPreUpgrade は、
すべてのリソースおよびアプリケーションをマイグレーションしますが、
classes ディレクトリー内のエンティティーはマイグレーションしません。
マイグレーションにより、
以下のファイルが backup ディレクトリーに保管されます。
- バージョン 5.x の場合
- classes
- config
- installableApps
- installedApps
- properties
WASPreUpgrade は、
バージョン 5.x 環境で作成されたすべてのインスタンスも保管します。
- バージョン 4.0.x の場合
- bin/setupCmdLine.sh (または Windows プラットフォームの場合 bin/setupCmdLine.bat
)
- classes
- config
- installableApps
- installedApps (指定されたデベロッパーの構成ファイルで無効になっていない限り、
これがデフォルトです)
- installedConnectors (Advanced Edition バージョン 4.0.x のみ)
- properties
例
この例では、
backupDirectory という名前のバックアップ・ディレクトリーを指定し、
既存のインストール・システムのルートを d:¥WebSphere¥AppServer として識別します。
WASPreUpgrade backupDirectory d:¥WebSphere¥AppServer your_node_name
例
この例では、
WebSphere Application Server アドバンスト・シングル・サーバー版の単一インストールで、
1 つずつマイグレーションする方法、つまり単一ノードの複数の構成ファイルを別々に
マイグレーションする方法を示します。すべてのアプリケーションが同じ
installedApps ディレクトリーにあるとは限らないため、複数の構成ファイルを
マイグレーションするには、複数のバックアップ・ディレクトリーに対して
WASPreUpgrade ツールを
複数回実行する必要があります。
この理由から、
WASPreUpgrade ツールのすべての実行に対して単一のバックアップ・ディレクトリーを使用することはお勧めしません。
実行ごとに別々のバックアップ・ディレクトリーを使用してください。
この例は、複数の構成ファイルを持つ単一ノードをマイグレーションする方法を示すためのものです。
- 以下の WASPreUpgrade コマンドを実行して、3 つの別々の
アプリケーション・ディレクトリーにある、アプリケーション A、B、C、D、および E をマイグレーションします。
アプリケーション・サーバーは、
デフォルトの構成ファイル
server-cfg.xml、
myServer1-cfg.xml および
OldServer-cfg.xml を使用します。
> WASPreUpgrade C:¥WAS4ABBACKUP G:¥WebSphere¥AppServer
> WASPreUpgrade C:¥WAS4CDBACKUP G:¥WebSphere¥AppServer
-import G:¥WebSphere¥AppServer¥config¥myServer1-cfg.xml
> WASPreUpgrade C:¥WAS4EBACKUP G:¥WebSphere¥AppServer
-import G:¥WebSphere¥AppServer¥config¥OldServer-cfg.xml
- 以下の WASPostUpgrade コマンドを実行して、アプリケーションおよび構成を
バージョン 6 アプリケーション・サーバーにリストアします。
> WASPostUpgrade C:¥WAS4ABBACKUP
> WASPostUpgrade C:¥WAS4CDBACKUP -import C:¥WAS4CDBACKUP¥myServer1-cfg.xml
> WASPostUpgrade C:¥WAS4EBACKUP -import C:¥WAS4EBACKUP¥OldServer-cfg.xml
例
この例は、基本の
WebSphere Application Server バージョン 5.x の単一インスタンスをマイグレーションする方法を示しています。
マイグレーションする WebSphere Application Server 製品に関連したすべての Java 処理を停止したかどうかを
確認してください。
- 以下の WASPreUpgrade.bat コマンドを実行し、インストール・ルート C:¥Program
Files¥WebSphere¥AppServer があるバージョン 5.x アプリケーション・サーバーの
installedApps ディレクトリーにあるすべてのアプリケーションを
マイグレーションします。
WASPreUpgrade "C:¥WAS5xxBACKUP" C:¥Program Files¥WebSphere¥AppServer
- 以下の WASPostUpgrade コマンドを実行して、アプリケーションおよび構成を
バージョン 6 アプリケーション・サーバーにリストアします。
WASPostUpgrade "C:¥WAS5xxBACKUP"