マイグレーションの目的は、アプリケーション、
構成設定、URI (universal resource identifier) 記述子、
および Web サーバーのコンテキスト・ルートを含め、
旧バージョンをバージョン 6.0.x とほとんど同じ環境に再構成することです。
共存の目的は、競合しない混合バージョンの環境を作成することです。
これにより、すべてのバージョンのノードを同時に始動および実行できるようになります。
マイグレーション・ツールは、
製品構成のマイグレーション
に説明されているように、
アプリケーションと構成情報を新規バージョンにマイグレーションします。
マイグレーション・ウィザードは、
バージョン 6.0 の新規機能として、マイグレーション・ツールにグラフィカル・ユーザー・インターフェースを提供します。
マイグレーション・ウィザードでマイグレーション・ツールを呼び出すか、マイグレーション・ツールを直接実行することができます。
表 1. リリース間でのマイグレーションの概説
マイグレーション・パス |
説明 |
バージョン 5.x から Version 6.0.x へ |
バージョン 5.x からバージョン 6.0.x へのマイグレーションは、かなり機械的な作業です。
このマイグレーションの重要な参照項目には、以下のようなものがあります。
|
バージョン 4.0.x からバージョン 6.0.x へ |
マイグレーション・ツールでは、バージョン 4.x からバージョン 6.0.x へのマイグレーションがかなり機械的に行われます。
例えば、バージョン 4.x 内の Java 2 Platform, Enterprise Edition (J2EE) 1.2 のエンタープライズ・アーカイブ (EAR) ファイルは、
WebSphere Application Server のバージョン 6.0.x (J2EE 1.4 仕様をサポートします) 内で動作します。
同様に、Enterprise Java Bean (EJB) 1.1 の Java アーカイブ (JAR) ファイルを、
バージョン 4.x からバージョン 6.0.x (EJB 2.0 JAR ファイルもサポートします) へ移動する際に、再デプロイする必要はありません。
また、バージョン 6.0.x では、WebSphere Application Server データ・ソース・プロパティー
で説明されているステートメント・キャッシュ・サイズ設定は、
WebSphere Application Server バージョン 4.0.x とは異なることに注意してください。
バージョン 4.0.x では、可能な準備済みステートメントの最大数が、
アプリケーション・サーバー内のデータ・ソースに対してキャッシュされます。
バージョン 5.0 以降では、ステートメント・キャッシュ・サイズは、任意の物理接続に対して定義されます。 |
WebSphere Application Server の旧バージョンのマイグレーションも、共存も行わない場合は、
以前のインストールを無視することになり、デフォルトのポート割り当ての競合のために一度に 1 つのバージョンのみを実行できます。旧バージョンでデフォルト以外のポートを使用する場合には、
両方のバージョンを競合させることなく同時に実行することができます。バージョン 4.0.x またはバージョン 5.x との共存をセットアップするには、
バージョン 6.0.x インストールのプロファイル作成時に固有のポートを必ず選択してください。
バージョン 6.0.x との共存をセットアップするには、
インストール時に「V6 Application Server 製品の新規コピーをインストールします」と示すラジオ・ボタンを選択します。
プロファイル作成時に共存のためにポート割り当てを指定するか、
wsadmin スクリプトを使用するか、
または管理コンソール・ページの「サーバー」>「アプリケーション・サーバー」>「server1」>
「エンドポイント」を使用して旧バージョンとバージョン 6.0.x とともに稼働できるようにして、
競合するポート割り当てを解決することができます。
共存処理により、次の構成ファイルが変更されます。
- virtualhosts.xml ファイル:
- HTTP トランスポート・ポート
- IBM HTTP Server ポート
- HTTPS トランスポート・ポート
- HTTP 管理コンソール・ポート
- HTTPS 管理コンソール・セキュア・ポート
- serverindex.xml ファイル:
- ブートストラップ・アドレス
- SOAP コネクター・アドレス
- DRS クライアント・アドレス
- SAS SSL ServerAuth リスナー・アドレス
- CSIV2 SSL ServerAuth リスナー・アドレス
- CSIV2 SSL MutualAuth リスナー・アドレス
- WC adminhost
- WC defaulthost
- DCS ユニキャスト・アドレス
- WC adminhost secure
- WC default secure
- SIB エンドポイント・アドレス
- SIB エンドポイント・セキュア・アドレス
- SIB MQ エンドポイント・アドレス
- SIB MQ エンドポイント・セキュア・アドレス
詳しくは、
WebSphere Application Server バージョンにおけるポート番号設定
を参照してください。
マイグレーションまたは共存のシナリオでは、
次の問題点を検討してください。
- バージョン 6.0.x へのマイグレーション時に、
システムで必要となるストレージの量は、
ご使用の環境と、どのマイグレーション・ツールを使用するかによって変化します。
- WASPreUpgrade ストレージ要件
- ロケーション: WASPreUpgrade コマンドの
パラメーターとして指定される、バックアップ・ディレクトリー
- 量: このコマンドを実行した場合のストレージ要件の概算見積もりでは、
以下の量を追加します。
- 以前の構成における、すべてのプロファイルの以下の項目のサイズ
- トレースが使用可能な場合 (これがデフォルトです) は、
最大で 200 MB まで (構成のサイズと複雑さによって異なります)
このコマンドの詳細に
ついては、WASPreUpgrade コマンド
を参照してください。
- WASPostUpgrade ストレージ要件
- スタンドアロン・アプリケーション・サーバー、
またはデプロイメント・マネージャーをマイグレーションする場合
- ロケーション: 新規 profile_root ディレクトリーを基準に表される新規構成
- 量: このコマンドを実行した場合のストレージ要件の概算見積もりでは、
以下の量を追加します。
- マイグレーションする、以前のプロファイルの以下の項目のサイズ
- トレースが使用可能な場合 (これがデフォルトです) は、
最大で 200 MB まで (構成のサイズと複雑さによって異なります)
- 管理対象ノードをマイグレーションする場合
- ロケーション: 新規 profile_root ディレクトリーを基準に表される新規構成
注:
フェデレーテッド・マイグレーションの
特徴は、2 ストレージ・プロセスであるというところです。
フェデレーテッド・マイグレーションのうち、
半分は管理対象ノードで行われ、
もう半分はデプロイメント・マネージャーで行われます。
このプロセスでは、
デプロイメント・マネージャーの
temp ディレクトリーにある、
次の一時作業域が必要です。
profile_root/temp/managed_node_migration_temp
- 量:
- このコマンドを使用した場合の、
第 1 段階のストレージ要件の概算見積もりでは、以下の量を追加してください。
- マイグレーションする管理対象ノードの、以前のプロファイルの以下の項目のサイズ
- トレースが使用可能な場合 (これがデフォルトです) は、
最大で 200 MB まで (構成のサイズと複雑さによって異なります)
- このコマンドを使用した場合の、第 2 段階のストレージ要件の概算見積もりでは、
トレース用に最大 200 MB まで (構成のサイズと複雑さによって異なります) 追加します。
フェデレーテッド・マイグレーションの第 2 段階では、
トレースは有効になっています。無効にすることはできません。
重要: フェデレーテッド・マイグレーション用のトレース・ファイルは、
デプロイメント・マネージャーの
profile_root/temp/managed_node_migration_temp ディ
レクトリーにある、一時作業域に作成されます。
しかし、マイグレーションが正常終了した後であっても、
フェデレーテッド・マイグレーション・プロセスは、
このディレクトリーを削除しません。
これにより、この一時ディレクトリーをクリーンアップせずに、
複数のフェデレーテッド・マイグレーションを
さまざまなノードで実行した場合に、
ストレージの問題が発生する可能性があります。
これは、デプロイメント・マネージャー上に、
各ノードが独自の一時作業域を取得するためです。
このコマンドの詳細に
ついては、WASPostUpgrade コマンド
を参照してください。
- 同じ Web サーバーを共用しようとすると、
コンテキスト・ルートの競合が起こる可能性があります。
Web サーバー構成のマイグレーション
の手順に従って、
WebSphere Application Server のバージョン間で Web サーバーを共用する場合の構成方法を習得してください。
- デプロイメント・マネージャーがルート以外として構成された場合、以前の root 以外の構成から root へのマイグレーション
の説明に従って、WASPostUpgrade の実行後にデプロイメント・マネージャー・ディレクトリーの所有権とファイル許可を変更します。
これは、バージョン 6.0.x デプロイメント・マネージャーを開始する前に行う必要があります。
- アプリケーション・サーバーが非ルートで実行されるよう構成された
場合、以前の root 以外の構成から root へのマイグレーション
の説明に
従って、WASPostUpgrade の
実行後に、ノード・ディレクトリーの所有権とファイル・アクセス権を変更します。
バージョン 6.0.x アプリケーション・サーバーを開始する前に、
この作業を行う必要があります。
- HA マネージャーとコア・グループ機能は、
WebSphere Application Server バージョン 6.0 以降に内蔵されています。
バージョン 6.0.x からのマイグレーションに影響を与える可能性がある、
コア・グループ構成およびトポロジーの考慮事項に
ついては、コア・グループのマイグレーションに関する考慮事項
を参照してください。