WebSphere Application Server - Express, Version 6.0.x   
             オペレーティング・システム: AIX , HP-UX, Linux, Solaris, Windows

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WASPostUpgrade コマンド

WASPostUpgrade コマンドは、 以前のバージョンまたはリリースの構成およびアプリケーションを WebSphere Application Server バージョン 6.0.x ノードに追加するためのマイグレーション・ツールです。

WASPostUpgrade ツールを使って、 ユーザーが指定する backupDirectoryWASPreUpgrade ツールで 作成された、保管されている構成を検索できます。WASPostUpgrade スクリプトは、 このディレクトリーから WebSphere Application Server バージョン 6.0.x にマイグレーションする構成 を読み取ります。このツールは、マイグレーション済みのすべてのアプリケーションを、 WebSphere Application Server バージョン 6.0.x インストールの app_server_root/installedApps に追加します。

ロケーション

コマンド・ファイルは、 app_server_root/bin ディレクトリーにあり、ここで実行します。

構文

コマンド構文は、 Linux ベース・プラットフォームでは次のようになります。
WASPostUpgrade.sh backupDirectory
                     [-oldProfile profile_name]
                     [-profileName profile_name]
                     [-import xmi_data_file]
                     [-scriptCompatibility true | false]
                     [-portBlock port_starting_number]
                     [-backupConfig true | false]
                     [-replacePorts true | false]
                     [-substitute "key1=value1[;key2=value2;[...]]"]
                     [-includeApps true | false]
                     [-traceString trace_spec [-traceFile file_name]]
                     [-connectionTimeout timeout]
コマンド構文は、 Windows プラットフォームでは次のようになります。
WASPostUpgrade.bat backupDirectory
                     [-oldProfile profile_name]
                     [-profileName profile_name]
                     [-import xmi_data_file]
                     [-scriptCompatibility true | false]
                     [-portBlock port_starting_number]
                     [-backupConfig true | false]
                     [-replacePorts true | false]
                     [-substitute "key1=value1[;key2=value2;[...]]"]
                     [-includeApps true | false]
                     [-traceString trace_spec [-traceFile file_name]]
                     [-connectionTimeout timeout]

パラメーター

パラメーターは、以下のとおりです。

backupDirectory
これは必須パラメーターです。値 backupDirectory は、 WASPreUpgrade ツールが保管した構成およびファイルを格納し、 WASPostUpgrade ツールが構成およびファイルを読み取るディレクトリーの名前を 指定します。
-oldProfile
これは WebSphere Application Server の前のバージョンまたはプロファイルの インスタンスをマイグレーションするためのオプション・パラメーターです。このコマンドを実行する前に、 インスタンスまたはプロファイルがすでにマイグレーション・バックアップ・ディレクトリーに存在している必要があります。 WebSphere Application Server バージョン 5.x では、 -instanceName および -hostName を連結させた固有のインスタンス名が定義されていました。 この連結によって、-oldprofile パラメーターと一緒に使用するのに必要な profile_name が 形成されます。WebSphere Application Server バージョン 5.x では、この連結形は app_server_root/properties ディレクトリーの wsinstance.config と呼ばれるファイルに格納されていました。
-profileName
これは、WebSphere Application Server バージョン 6.0.x で、 プロファイルにマイグレーションするためのオプション・パラメーターです。値 profile_name は、 スクリプトが構成をマイグレーションする WebSphere Application Server バージョン 6.0.x プロファイルの名前を 指定します。WASPostUpgrade コマンドを呼び出す前に、 このプロファイルを作成しておく必要があります。 -profileName パラメーターを指定しない場合には、デフォルト・プロファイルが 使用されます。デフォルトのプロファイルが見つからない場合は、システムがエラーを報告します。
-import
これはオプション・パラメーターです。値 xmi_data_file は、 処理する WebSphere Application Server Advanced Single Server Edition または Advanced Edition バージョン 4.0 XML Metadata Interchange (XMI) 構成ファイルの名前を 指定します。デフォルトは backupDirectoryconfig/server-cfg.xml です。 ここで、backupDirectory は、WASPreUpgrade コマンドを実行した時に backupDirectory パラメーターに対して指定した値です。

デフォルトの server-cfg.xml ファイルを使用しない構成をマイグレーションしている場合、 -import パラメーターを組み込んで、 WASPreUpgrade ツールが作成した構成ファイルの完全修飾名を 指定する必要があります。

-scriptCompatibility
これは、マイグレーションで、 構成に Channels および ProcessDefs 定義ではなく Transport および ProcessDef 定義を 作成するかどうかを指定するために使用するオプション・パラメーターです。 Transport または ProcessDef 定義を作成または変更する、 既存の wsadmin スクリプトやプログラムがある場合は、 このパラメーターを使用します。デフォルトは true です。
-portBlock
これはオプション・パラメーターです。port_starting_number 値は、 コマンド・スクリプトが実行するときに割り当てる連続したポート番号のブロックの最初を指定します。
-backupConfig
これはオプション・パラメーターです。このパラメーターの有効な値は、true および false です。true が指定されている場合、 WASPostUpgrade ツールが変更を行う前に、既存のバージョン 6.0.x 構成が保管されます。 デフォルトは true になります。backupConfig コマンドを 使用して、現在の構成のコピーを profile_name/temp ディレクトリーに保存します。

restoreConfig コマンドを使用して、必要に応じて構成をリストアします。 restoreConfig コマンド を参照してください。

-replacePorts
このオプション・パラメーターは、仮想ホストおよび Web コンテナー・トランスポート・ポート用のポート値をマップする方法を指定するために使用されます。
  • False
    マイグレーション中は、デフォルトのポート定義を置き換えないでください。
    • 前のバージョンの構成はそのままです。チャネルは削除されていません。
    • 以下の 4 つの名前のチャネルは、前のリリースに設定された値と同等の値に設定されます。
      • WC_adminhost
      • WC_defaulthost
      • WC_adminhost_secure
      • WC_defaulthost_secure
    • マイグレーション・プロセスは、-scriptCompatibility 設定に基づいて前のリリースのポート用にトランスポートまたはチャネルを作成します。
    • マイグレーション・プロセスは、すべての非 Web コンテナー・ポートを、前のリリース用に設定した値に設定します。
    • マイグレーション・プロセスが、Web コンテナーで定義されたものと同じトランスポートまたはチャネルを作成した場合、ポートの競合が生じることがあります。

    これはデフォルトです。

  • True

    マイグレーション中に、すべての仮想ホスト・エイリアス・ポート設定を置き換えます。

    デフォルトでは、マイグレーション・プロセスは、前の環境の構成データを、新規の WebSphere Application Server バージョン 6.0.x 環境のデータに追加します。 ただし、場合によってこれは、ポート値に対して望ましい動作でないことがあります。 例えば、以前のリリースからの既存のポート定義は、 他の製品とのポート競合を回避するために慎重に設定されています。そのような場合、これらの設定をバージョン 6.0.x の構成にマイグレーションする可能性があります。 新規の値が追加される前に、このパラメーターに True を指定して、バージョン 6.0.x の構成から、一致する仮想ホストのポートを除去します。
    • 前のリリースに設定された値と同等の値が設定されている以下の 4 つの名前のチャネル以外の、Web コンテナーに関連するすべてのトランスポート・チャネルは削除されます。
      • WC_adminhost
      • WC_defaulthost
      • WC_adminhost_secure
      • WC_defaulthost_secure
    • マイグレーション・プロセスは、-scriptCompatibility 設定に基づいて前のリリースのポート用にトランスポートまたはチャネルを作成します。
    • マイグレーション・プロセスは、すべての非 Web コンテナー・ポートを、前のリリース用に設定した値に設定します。
-substitute
これは、XMLConfig ツールに渡されるオプションの引数です。 置換するセキュリティー変数の値を指定します (例えば -substitute "NODE_NAME=admin_node;APP_SERVER=default_server")。

入力 XML データ・ファイルでは、 置換する各キーは $key$ と表します。上記の例では、この引数は、入力 XML ファイルの中で現れた $NODE_NAME$ はすべて admin_node に置換され、$APP_SERVER$default_server に置換されます。

置換ストリングにセミコロンが含まれる場合は、 $semiColon$ を使用してストリングと区切り文字「;」とを区別してください。 Linux プラットフォームでは、置換ストリング内の各ドル記号 ($) に エスケープ文字を追加してください (例えば、 ¥$semiColon¥$)。

このパラメーターは、 WebSphere Application Server Advanced Edition バージョン 4.0.x から保管した構成に適用できます。

-includeApps
これは、マイグレーションの一環として、古い構成のみをマイグレーションする、 あるいはユーザー・エンタープライズ・アプリケーションを組み込むかどうかを指定するために使用するオプション・パラメーターです。 デフォルトは true です。WebSphere Application Server システム・アプリケーションは、このパラメーターに設定された値に関わらず、マイグレーションします。
-traceString
これはオプション・パラメーターです。値 trace_spec は、 収集するトレース情報を指定します。すべてのトレース情報を収集するには、 "*=all=enabled" (引用符を付けて) を指定します。デフォルトでは、 トレース情報は収集されません。このパラメーターを指定する場合は、-traceFile パラメーターも指定する必要があります。
-traceFile
これはオプション・パラメーターです。値 file_name は、 トレース情報の出力ファイルの名前を指定します。-traceString パラメーターを指定するが、-traceFile パラメーターを指定しない場合、スクリプトはトレース・ファイルを生成しません。
-connectionTimeout
マイグレーション実行時に SOAP/RMI タイムアウトが 発生した場合に使用される、オプション・パラメーターです。 値 timeout は分で指定します。デフォルト値は 10 です。 非常に大きな構成、または非常に複雑な構成をマイグレーションする場合 に SOAP/RMI タイムアウト問題が発生する場合があります。その場合は、 SOAP/RMI 接続タイムアウトが発生する前に時間量を増やしてマイグレーションを再度実行する必要があります。

ロギング

WASPostUpgrade ツールは、 実行中に画面に状況を表示します。また、このツールは広範囲にわたるロギング情報のセットを logs ディレクトリーに保管します。テキスト・エディターを使用して、 WASPostUpgrade.log ファイルを表示することができます。

以下の例では、 backupDirectory という名前のバックアップ・ディレクトリーを指定し、 既存のインストール・システムのルートを d:¥WebSphere¥AppServer として識別します。

WASPreUpgrade backupDirectory d:¥WebSphere¥AppServer your_node_name

この例では、 WebSphere Application Server Advanced Single Server Edition の単一インストールで、 単一ノードから複数の構成ファイルを個別にマイグレーションする方法を示します。 すべてのアプリケーションが同じ installedApps ディレクトリーにあるとは限らないため、複数の構成ファイルを マイグレーションするには、複数のバックアップ・ディレクトリーに対して WASPreUpgrade ツールを 複数回実行する必要があります。 この理由から、WASPreUpgrade ツールのすべての実行に対して 単一のバックアップ・ディレクトリーを使用することはお勧めしません。実行ごとに別々のバックアップ・ディレクトリーを使用してください。 この例は、複数の構成ファイルを持つ単一ノードをマイグレーションする方法を示すためのものです。
  1. 以下の WASPreUpgrade コマンドを実行して、3 つの別々の アプリケーション・ディレクトリーにある、アプリケーション A、B、C、D、および E をマイグレーションします。
    アプリケーション・サーバーは、デフォルトの構成ファイル server-cfg.xml を使用し、 同様に myServer1-cfg.xml および OldServer-cfg.xml ファイルも使用します。
    > WASPreUpgrade "C:¥WAS4ABBACKUP" G:¥WebSphere¥AppServer
    > WASPreUpgrade "C:¥WAS4CDBACKUP"  G:¥WebSphere¥AppServer
          -import  G:¥WebSphere¥AppServer¥config¥myServer1-cfg.xml
    > WASPreUpgrade "C:¥WAS4EBACKUP"  G:¥WebSphere¥AppServer
          -import G:¥WebSphere¥AppServer¥config¥OldServer-cfg.xml
    
  2. 以下の WASPostUpgrade コマンドを実行して、 アプリケーションおよび構成を WebSphere Application Server バージョン 6.0.x にリストアします。
    > WASPostUpgrade C:¥WAS4ABBACKUP
    > WASPostUpgrade "C:¥WAS4CDBACKUP" -import "C:¥WAS4CDBACKUP¥myServer1-cfg.xml"
    > WASPostUpgrade "C:¥WAS4EBACKUP"  -import "C:¥WAS4EBACKUP¥OldServer-cfg.xml"
    

この例では、 基本の WebSphere Application Server バージョン 5.x の単一インスタンスをマイグレーションする方法を示しています。
  1. マイグレーションする WebSphere Application Server 製品に関連したすべての Java 処理を 停止したかどうかを確認してください。
    • WebSphere Application Server バージョン 6.0.x の宛先プロファイルに関連した すべての Java 処理を停止したかどうかを確認してください。
    • WebSphere Application Server バージョン 5.x セルをマイグレーションする場合、 前のバージョンの Java プロセスは、マイグレーション・プロセスの一部として停止されるため、 実行したままにしておくことができます。 WebSphere Application Server バージョン 4.0.x または WebSphere Application Server バージョン 5.x スタンドアロン・アプリケーション・サーバーからマイグレーションする場合、 マイグレーション元の WebSphere Application Server バージョンにおいて、 すべての Java プロセスを停止したかどうかを確認してください。
  2. 以下の WASPreUpgrade.bat コマンドを実行し、インストール・ルート C:¥Program Files¥WebSphere¥AppServer がある WebSphere Application Server バージョン 5.x の installedApps ディレクトリーにある すべてのアプリケーションをマイグレーションします。
    WASPreUpgrade "C:¥WAS5xxBACKUP" C:¥Program Files¥WebSphere¥AppServer
    
  3. 以下の WASPostUpgrade コマンドを実行して、 アプリケーションおよび構成を WebSphere Application Server バージョン 6.0.x にリストアします。
    WASPostUpgrade "C:¥WAS5xxBACKUP"
    
    注: マイグレーション時に WebSphere Application Server バージョン 6.0.x の 宛先スタンドアロン・プロファイルが実行中である場合、 管理コンソールは、エンタープライズ・アプリケーション状況を 「不明」として表示するか、何らかの予期しない振る舞いをする可能性があります。 サーバーを再始動して、この問題を解決します。 実行中の WebSphere Application Server バージョン 6.0.x の宛先スタンドアロン・ プロファイルへのマイグレーションが成功した後に、 サーバーをシャットダウンして、再始動してから、 追加の構成変更を行ってください。



関連タスク
製品構成のマイグレーション
マイグレーション・ツール
関連資料
clientUpgrade コマンド
WASPreUpgrade コマンド
参照トピック    

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最終更新: Jan 21, 2008 11:31:28 PM EST
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