z/OS Connect のシナリオ
IBM® z/OS® Connect は、JSON ベースのペイロードを使用してアプリケーションおよびデータへの REST ベースのアクセスを提供します。このアクセス・パターンは、業界で大きな支持を得ています。
以下のビジネス・シナリオでは、z/OS Connect を使用することで得られるさまざまな利点について説明します。
別個の要求の統合またはグループ化 (金融サービス会社のシナリオ)
ある金融サービス会社が最近別の会社との合併を完了し、複数の重要なビジネス・アプリケーションを立ち上げて結合し、単一の結果を形成して、その結果を Web アプリケーション内から使用できるようにする安全かつ高速な方法を探しています。ACCTINFO という z/OS アプリケーションが CICS® 環境で実行されており、顧客の内部アカウント・データへのアクセスを提供しています。2 つ目のアプリケーション ACCTHSTY が、IMS™ 環境で実行されています。 CICS® アプリケーションで管理されているデータは、仮想記憶アクセス方式 (VSAM) ファイルに保管されています。IMS™ データは、DL/I 表に入っています。
同社は、これらのアプリケーションにアクセスするためのセキュリティーを統一し、これら 2 つのアプリケーションに対して行われた呼び出しの時刻と数、受信バイト数と返したバイト数、および応答時間を特定できる必要があります。
z/OS Connect は、構成の背後にあるこれらの環境の複雑性を隠蔽する単純なソリューションを提供します。このソリューションでは、z/OS オペレーティング・システムで実行されている単一のサーバーに接続し、REST ベースの呼び出しとメッセージ・ペイロードの JSON を使用して、両アプリケーションを呼び出すことができます。z/OS Connect で提供されているデータ変換サポートにより、各要求で JSON およびバイト配列とのマッピングが処理されます。また、z/OS Connect は、アクセスを要求しているすべての ID システムが各アプリケーションにアクセスする権限を持っているかを確認するためのセキュリティー検査の単一点を提供し、z/OS システム管理機能 (SMF) で各 REST 呼び出しを記録します。 これらの要求を統一するために、z/OS Connect サービス定義では、各サービスが z/OS Connect 構成で定義される際に serviceGroupingName ストリングが使用されます。各サービスの serviceGroupingName データが共通になるように ('ACCOUNT_INFO_HISTORY' など) セットアップすることができます。そうすると、各要求の z/OS SMF レコードに結果が表示されるので、分析またはチャージバックを目的としてそれらを相関付けることができます。
モバイル要求と Web 要求を分離するシナリオ (小売のシナリオ)
ある小売業者が、z/OS システム上のアプリケーションに対する Web 要求と、新しいモバイル・プラットフォームからの要求とを分離したいと考えています。複数の REST サービスが同じ資産を呼び出すことを可能にする、同じサービス・プロバイダー構成を使用するように、別々の z/OS Connect サービス定義を定義および構成することで、このタスクは簡単に完了しますが、呼び出しは異なる基準で記録および保護されます。モバイル・プラットフォームからの要求側は、REST を使用して、あるサービス・セットを使用するように許可され、非モバイルの Web ベースの要求側からの呼び出しは、別のセットを使用するように許可されるため、両方が同じ資産にアクセスしているのにもかかわらず、別個に追跡されます。すべてのデータは、z/OS Connect SMF 120 サブタイプ 11 レコードに記録され、標準 z/OS 監査およびトラッキングのメカニズムを使用してアクセス可能です。
REST および JSON を使用した従来型の z/OS バッチの資産へのアクセス (保険会社のシナリオ)
大規模な保険会社が、長年を経て開発された高度なビジネス・ロジックが含まれている一連の COBOL バッチ・アプリケーションにアクセスしたいと考えています。このアプリケーションを新しい言語およびランタイム環境に変換するのには、多大なコストがかかり、また高いリスクを伴います。モバイルおよび Web ベースの要求側からこのアプリケーションのビジネス・ロジックにアクセスするソリューションの方が、はるかにリスクが低く、また確立されているアプリケーションを他のビジネス・システムで活用することが可能になります。
Liberty の WebSphere® Optimized Local Adapters サポートと z/OS Connect WOLA フィーチャーをアクティブ化することで、ほとんど労力をかけずに、REST 呼び出しと JSON コンテンツを使用して、このアプリケーションにアクセスできるようになります。 ターゲットの COBOL アプリケーション・プログラムは、WOLA API を使用して Liberty サーバーに登録し、要求の受け入れを開始するように更新する必要があります。 z/OS Connect サービス定義、および予期される受信データに関する情報が含まれているバインディング・ファイルが必要です。戻りデータを z/OS Connect サーバーのバインディング・ファイルのパスにコピーする必要があります。z/OS Connect および WOLA API を使用可能にすると、このバッチ資産は効果的にオンラインになり、許可された z/OS Connect REST クライアントが使用できるようになります。
z/OS 資産および要求ペイロードと応答ペイロードに関する情報のディスカバリー
特定の z/OS システムで公開されている資産のカタログを、クラウド・プロビジョニングまたは API 管理ツールで生成する必要がある場合を考えます。このツールでは、当該資産について照会し、その結果を各資産に関連したコンテキストとともに保管する必要があります。このツールでは、サービスに渡される要求データを作成するために必要なものに関する情報、およびサービスが応答として返す内容に関する情報を含める必要もあります。
z/OS Connect は単純な REST 呼び出しを使用して、その構成内のすべてのサービスをディスカバーする方法を提供します。https://host:port/zosConnect/services の HTTP GET 要求が到達すると、JSON 形式のリストが返され、そのリストには、現在の認証済みユーザーが表示できるすべてのサービスが含まれています。このリストから、各サービスの URL を取得し、HTTP GET を使用して各サービスに照会して、要求および応答の JSON スキーマ情報を返すことができます。サービス参照 (サービスの URL)、サービスのテキストによる説明、および要求と応答の JSON スキーマを、後から取得できるように、ツールのカタログに保存できます。JSON スキーマへのアクセスが可能になるということは、ターゲット z/OS Connect サービスで使用するために、適切な JSON ベースのパラメーター・リストを使用して、z/OS Connect に渡す REST 呼び出しを生成するように、ツールを簡単に構成できるようになる可能性があることを意味します。