データ移動サービスにより、アプリケーションはソース・データベースからターゲット・データベースにデータを移動できます。ソース・データベースとターゲット・データベースは、同種でも異種でも構いません。
つまり、単一システム上にあっても複数システム間に分散していても
構いません。データの移動のほかに、サービスはデータを変換し、
アプリケーションが
必要とする基本的なデータ・ライフ・サイクル機能を
提供することができます。
データ移動サービスは 5 つの主要コンポーネントでインプリメントされています。
- (ソース) Capture コンポーネント
- (ターゲット) Apply コンポーネント
- ETL (extract、transform、load) コンポーネント
- Source Life Cycle コンポーネント
- Target Life Cycle コンポーネント
Capture コンポーネントと Apply コンポーネントは連携して、ソース・データベースからターゲット・データベースにデータを移動します。ETL コンポーネントは、ソース・データベースのデータ構造がターゲット・データベースのデータ構造と異なる場合に必要なデータ変換を実行します。以下の図は、
データ移動サービス内のプロセス・フローを説明しています。
データ移動サービス・フローは、以下の手順に従います。
- ソース・テーブルのデータは、例えばモニター・サーバーによって、保管され、頻繁に更新されます。Capture コンポーネントは、ソース・テーブルに対して実行されたデータの変更を
作業テーブルに記録します。
- 事前定義した間隔で、この変更は Apply コンポーネントによって識別され、作業テーブルに記録されます。
- 変更が正常に記録された後で、ETL コンポーネントが呼び出されます。
- ETL コンポーネントは、Apply 作業テーブルに保管されているデータと事前定義規則を使用して、必要な変換を実行します。正常に変換されたデータはターゲット・テーブルに書き込まれます。不完全、または誤りのあるデータは、後で処理するために別の作業テーブルのセットに保存されます。
- ETL の処理が完了すると、Target Life Cycle コンポーネントがアクティブになります。
- 時間の経過とともに、Apply 作業テーブルに大量のデータが累積される可能性があります。
これらのテーブルで ETL コンポーネントによって正常に処理されたデータはすべて、Target Life Cycle コンポーネントによって除去されます。
- データが正常にターゲット・データベースにコピーされると、そのデータは不要になり、Capture 作業テーブルから除去できます。Capture コンポーネントは、作業テーブルを
定期的に整理し、リソースの不測の事態の発生を低減させます。
- Capture 作業テーブルからデータを除去すると、Source Life Cycle コンポーネントの呼び出しをトリガーします。
- 正常に処理され、削除する準備ができているとマークされ、ソース・ライフ・サイクル保存ポリシーを通過したデータは、ソース・データベースから除去されます。
次の図のように、Capture コンポーネントおよび Source Life Cycle コンポーネントは、通常はソース・システム上にありますが、Apply コンポーネント、ETL コンポーネント、および Target Life Cycle コンポーネントは、
ターゲット・システム上にあります。
データ移動サービス内では、ソース・データベースとターゲット・データベースで使用されているデータ構造に応じて、コンポーネントの複数のインスタンスが使用される場合があります。
コンポーネント・インスタンスの数は、ビジネス指標グループの数、および
ビジネス指標モデル内のソース・テーブルとターゲット・テーブルの数に直接関連しています。それぞれのインスタンスは一意的に識別されます。以下の規則が
WebSphere® Business Monitor に適用されます。
- 1 つのビジネス指標モデル・プロジェクトに 1 つの Capture コンポーネント・インスタンスが割り当てられ、このビジネス指標モデル・プロジェクトに属するすべてのソース・テーブルの変更をキャプチャーする。
- 1 つのビジネス指標モデル・プロジェクトに 1 つの Apply コンポーネント・インスタンスが割り当てられ、この
ビジネス指標モデルに属するターゲット・テーブルに適用する必要がある変更を記録する。
- 1 つのターゲット・テーブルに 1 つの ETL コンポーネント・インスタンスが割り当てられる。
- 1 つのソース・テーブルに 1 つの Source Life Cycle コンポーネント・インスタンスが割り当てられる。
- 1 つの Apply 作業テーブルに 1 つの Target Life Cycle コンポーネント・インスタンスが割り当てられる。
コンポーネントのインスタンスとは、例えば、実行可能プログラム、データベースのストアード・プロシージャー、またはデータベースのトリガーなどです。
WebSphere Business Monitor では、データ移動サービスの 2 つのインスタンスが使用されています。
- 状態データベースからランタイム・データベースへのデータ移動サービス
- ランタイム・データベースからヒストリー・データベースへのデータ移動サービス
状態データベースからランタイム・データベースへのデータ移動サービスは、モニター・サーバーによって状態データベースに保管されたデータを処理し、そのデータをダッシュボードからアクセス可能なランタイム・データベースに移動します。ランタイム・データベースからヒストリー・データベースへの
データ移動サービスは、ランタイム・データベースからヒストリー・データベースにデータを移動します。
以下の図は、この移動を説明しています。
以下の情報は、これらのサービスのデフォルト構成、構成方法、開始/停止方法、および
モニター方法について説明しています。