WebSphere Message Broker バージョン 8.0.0.5 オペレーティング・システム: AIX、HP-Itanium、Linux、Solaris、Windows、z/OS

製品の最新バージョンについては、IBM Integration Bus バージョン 9.0 をご覧ください。

例: ウィザードの支援による、バージョン 7.0 リソースからアプリケーションおよびライブラリーへの変換

WebSphere® Message Broker バージョン 7.0 リソースは、個別に手動でアプリケーションおよびライブラリーに変換できます。あるいは、「アプリケーションおよびライブラリーへのプロジェクトの変換」ウィザードを実行することもできます。 この例では、ウィザードを実行して、WebSphere Message Broker バージョン 7.0 で作成済みのリソースをアプリケーションおよびライブラリーにどのように変換できるかを示します。

バージョン 7.0 リソース

バージョン 7.0 では、「MyFirstSolution」および「MyOtherSolution」という 2 つのソリューションを実装するリソースが作成されました。

MyFirstSolution は以下のリソースで構成されます。
  • MyFirstSolution というメッセージ・フロー・プロジェクト
  • MyFirstSolutionMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクト
  • CommonSubFlows というメッセージ・フロー・プロジェクト。これは他のソリューションから使用することもできます。
  • SharedMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクト。これも MyOtherSolution から使用されます。
MyOtherSolution は以下のリソースで構成されます。
  • MyOtherSolution というメッセージ・フロー・プロジェクト
  • MyOtherSolutionMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクト
  • SharedMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクト。これも MyFirstSolution から使用されます。
以下の画像に、バージョン 7.0WebSphere Message Broker Toolkit では、2 つのソリューション用のリソースがどのように示されるかを示します。
このグラフィックでは、ソリューション A は「MyFirstSolution」というメッセージ・フロー・プロジェクトで構成され、このプロジェクトはメッセージ・フロー・プロジェクト「CommonSubFlows」と、メッセージ・セット・プロジェクト「MyFirstSolutionMessageSet」および「SharedMessageSet」に依存することを図示しています。
ソリューション B は「MyOtherSolution」というメッセージ・フロー・プロジェクトで構成され、このプロジェクトはメッセージ・セット・プロジェクト「MyOtherSolutionMessageSet」および「SharedMessageSet」に依存しています。
このグラフィックでは、バージョン
7.0 の WebSphere Message
Broker Toolkit の「ブローカー開発」ビューを示しています。この説明は、前後の本文にあります。

問題と解決策

バージョン 7.0WebSphere Message Broker Toolkit のリソースの編成では、どのプロジェクトがどのソリューションに適用されるかが明確ではありません。

同様に、デプロイ済みリソースは WebSphere Message Broker Toolkit の「ブローカー」ビュー、および WebSphere Message Broker Explorer でフラット・リストとして表示されます。 ソリューションをデプロイする時点で、ブローカー・アーカイブ (BAR) ファイルにどのリソースを追加するかを正確に知る必要があります。

この例では分離の欠如も問題です。 両方のソリューションでメッセージ・セット・プロジェクト SharedMessageSet を使用しています。 新しい SharedMessageSet メッセージ・セット・プロジェクトをデプロイする場合、その変更が両方のソリューションに影響します。 それぞれのソリューションで別のバージョンの SharedMessageSet プロジェクトを使用するには、各ソリューションをそれぞれ独自の統合サーバーにデプロイできますが、環境によってはこれが適さない場合もあります。

このような問題を解決するため、MyFirstSolution が必要とするすべてのリソースをカプセル化するためのアプリケーションを 1 つ使用し、MyOtherSolution 用のリソースをすべて入れるためもう 1 つのアプリケーションを使用することができます。他のソリューションが使用するリソース (CommonSubFlows メッセージ・フロー・プロジェクト、および SharedMessageSet メッセージ・セット・プロジェクト) を入れるためは、ライブラリーを使用できます。

変換ウィザードを使用したアプリケーションおよびライブラリーへの変換

変換ウィザードは 1 つ以上のプロジェクトの変換を自動化しますが、ウィザードによるプロジェクトの変換方法を制御することが可能です。 以下の 2 つの例では、ウィザードを使ってバージョン 7.0 のリソースをアプリケーションおよびライブラリーに変換する異なる方法を示します。

まず、リソースがバージョン 7.0WebSphere Message Broker Toolkit からエクスポートされてバージョン 8.0WebSphere Message Broker Toolkit にインポートされます。 インポートされたリソースは、最初、バージョン 8.0WebSphere Message Broker Toolkit の「独立リソース」カテゴリーの下にリストされます。 メッセージ・フロー・プロジェクトはバージョン 8.0 には存在しません。 それで、バージョン 7.0 メッセージ・フロー・プロジェクトはインポート時に自動的にメッセージ・ブローカー・プロジェクトに変換されます。

このグラフィックでは、バージョン
8.0 の WebSphere Message
Broker Toolkit の「独立リソース」フォルダーの下にあるインポート済みリソースを示しています。

この段階で、ウィザードを使用せずに、リソースを個別に変換するという選択肢もあります (例: バージョン 7.0 リソースからアプリケーションおよびライブラリーへの手動による変換を参照)。 この例では、変換ウィザードを使用してリソースを変換します。 「アプリケーションおよびライブラリーへのプロジェクトの変換」ウィザードは、「独立リソース」カテゴリーのすべてのプロジェクトを分析し、それらの変換方法を決定します。 このウィザードは、変換が適切かどうか判断できるようにするため、リソースがどのように変換されるかを説明します。 以下の例は、選択したプロジェクトがウィザードによってどのように変換されるかを示します。

方法 1: インポート対象のすべてのプロジェクトを選択して変換する

この方法では、インポート対象のすべてのプロジェクトを変換用に選択します。
  1. すべてのプロジェクトを選択し、メニューから「複数プロジェクトの分析および変換」オプションを選択します。
    このグラフィックは、「独立リソース」フォルダー内のすべてのプロジェクトが選択され、右クリックされていることを示しています。
メニューでは、「アプリケーションまたはライブラリーへの変換」が展開され、「複数プロジェクトの分析および変換」が選択されていることを示しています。
  2. 変換ウィザードが開き、すべてのプロジェクトが変換用に選択されている状態で示されます。
  3. 変換プレビュー・ペインには、選択したプロジェクトを変換するために実行されるアクションが示されます。
    • 2 つの統合プロジェクト (MyFirstSolution と MyOtherSolution) の両方が、メッセージ・セット・プロジェクト SharedMessageSet を参照します。 したがって、ウィザードは以下の変換ルールを実装します。

      複数のプロジェクトによって参照されている、統合プロジェクトではないプロジェクトは、ラッパー・ライブラリーに変換されます。 ラッパー・ライブラリーは、元のプロジェクト (メッセージ・セット・プロジェクトなど) を参照するライブラリーです。 他のプロジェクトからのプロジェクト参照は、このラッパー・ライブラリーを参照するように更新されます。

      このグラフィックは、変換ウィザードの「プロジェクト変換のプレビュー」ペインを示しています。
変換されるワークスペース変更のリストで、SharedMessageSetLIB というライブラリーが選択されています。変換アクションでは、SharedMessageSetLIB ライブラリーが作成され、それが SharedMessageSet メッセージ・セットを参照することが記述されています。
    • さらに、統合プロジェクト MyFirstSolution は統合プロジェクト CommonSubFlows を参照します。 この場合、ウィザードは以下の変換ルールを実装します。

      別の統合プロジェクトによって参照される統合プロジェクトは、ライブラリーに変換されます。

      このグラフィックは、変換ウィザードの「プロジェクト変換のプレビュー」ペインを示しています。
変換されるワークスペース変更のリストで、CommonSubFlowsLIB というライブラリーが選択されています。変換アクションでは、CommonSubFlows 統合プロジェクトが CommonSubFlows ライブラリーに変換されることが記述されています。
    • また、メッセージ・セット・プロジェクト MyFirstSolutionMessageSet も変換用に選択されます。 このメッセージ・セットは 1 つのプロジェクトによってのみ参照されるため、ウィザードは以下の変換ルールを実装します。

      統合プロジェクトではない参照プロジェクトを変換することを選択した場合、それがライブラリーに変換されます。

      メッセージ・セット・プロジェクト MyOtherSolutionMessageSet に関して、同じルールが実装されます。
      このグラフィックは、変換ウィザードの「プロジェクト変換のプレビュー」ペインを示しています。
変換されるワークスペース変更のリストで、MyOtherSolutionMessageSetLIB というライブラリーが選択されています。変換アクションでは、MyOtherSolutionMessageSetLIB というライブラリーが作成され、それが MyOtherSolutionMessageSet メッセージ・セットを参照することが記述されています。
    • プロジェクト MyFirstSolution および MyOtherSolution は、他のプロジェクトによって参照されません。 したがって、ウィザードは以下の変換ルールを実装します。

      最上位の統合プロジェクト (別の統合プロジェクトによって参照されていない統合プロジェクト) は、アプリケーションに変換されます。

      このグラフィックは、変換ウィザードの「プロジェクト変換のプレビュー」ペインを示しています。
変換されるワークスペース変更のリストで、MyFirstSolution というアプリケーションが選択されています。
変換アクションでは、MyFirstSolution 統合プロジェクトがライブラリーに変換されることが記述されています。
MyFirstSolutionMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクトへの参照は除去されます。
しかし、MyFirstSolutionMessageSetLIB というライブラリーへの参照が追加され、これは MyFirstSolutionMessageSet メッセージ・セットを参照します。
SharedMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクトへの参照は削除されます。
しかし、SharedMessageSetLIB というライブラリーへの参照が追加され、これは SharedMessageSet メッセージ・セットを参照します。
  4. 提案された変更を確認すると、ウィザードはルールを実装してプロジェクトをアプリケーションまたはライブラリーに適切に変換します。 以下の図は、リソース変換後の成果物を示しています。
    このグラフィックは、バージョン 9.0 Toolkit の「アプリケーション開発」ビュー内の変換されたプロジェクトを示しています。
MyFirstSolution はアプリケーションです。
このアプリケーションが展開されており、その下に「フロー」というフォルダーと「参照」というフォルダーがあり、後者にはライブラリー CommonSubFlows、MyFirstSolutionMessageSetLIB、および SharedMessageSetLIB への参照が含まれています。
MyOtherSolution というアプリケーションにも、「フロー」と「参照」というフォルダーが含まれています。
また、「アプリケーション開発」ビューには、すべてのライブラリーが個別に表示されています。
    「フロー」および「参照」フォルダーが表示されない場合は、「アプリケーション開発」ビュー・ツールバーの「カテゴリーを表示」 「カテゴリーを表示」アイコン をクリックする必要が生じることがあります。

    参照されるすべてのプロジェクトはライブラリーに変換されるため、将来、他のプロジェクトでこれらのリソースを共有する柔軟性が得られます。 いくつかのリソースが他のプロジェクトで決して共有されないことが分かっている場合に、リソースを変換する代替的な方法を以下に示します。

方法 2: 統合プロジェクトのみの選択および変換

この方法では、2 つの統合プロジェクトを変換用に選択します。

このグラフィックは、「独立リソース」フォルダー内の 3 つのプロジェクトが選択され、右クリックされていることを示しています。
選択されている 3 つのプロジェクトは、CommonSubFlows、MyFirstSolution、および MyOtherSolution です。
メニューでは、「アプリケーションまたはライブラリーへの変換」が展開され、「複数プロジェクトの分析および変換」が選択されていることを示しています。

CommonSubFlows プロジェクトは、統合プロジェクト MyFirstSolution によってのみ参照されていますが、他のプロジェクトが将来、このプロジェクトを参照する必要が生じる可能性があります。 MyFirstSolutionMessageSet は MyFirstSolution でのみ参照され、MyOtherSolutionMessageSet は MyOtherSolution でのみ参照されています。 これらのメッセージ・セットは、将来、他のプロジェクトによって参照されないため、変換用に選択されることはありません。 変換用に MyFirstSolutionMessageSet および MyOtherSolutionMessageSet を選択しないことで、以下の変換ルールに従って、これらはライブラリーに変換されません。

参照先プロジェクトを変換しない場合、参照先プロジェクトは変更されず、参照元プロジェクトは元のプロジェクトを参照します。

このグラフィックは、変換ウィザードの「プロジェクト変換のプレビュー」ペインを示しています。
変換されるワークスペース変更のリストで、MyFirstSolution というアプリケーションが選択されています。
変換アクションでは、統合プロジェクト MyFirstSolution が MyFirstSolution というアプリケーションに変換されることが記述されています。
SharedMessageSet というメッセージ・セット・プロジェクトへの参照は削除されます。
しかし、SharedMessageSetLIB というライブラリーへの参照が追加され、これは SharedMessageSet メッセージ・セットを参照します。
以下の図は、リソース変換後の成果物を示しています。
このグラフィックは、バージョン 9.0 Toolkit の「アプリケーション開発」ビュー内の変換されたプロジェクトを示しています。
MyFirstSolution はアプリケーションです。
このアプリケーションは展開されており、その中に「フロー」、「メッセージ・セット」、および「参照」というフォルダーがあります。
「メッセージ・セット」フォルダーには、MyFirstSolutionMessageSet というメッセージ・セットが含まれています。
「参照」フォルダーには、ライブラリー CommonSubFlows および SharedMessageSetLIB への参照が含まれています。
MyOtherSolution というアプリケーションにも「フロー」、「メッセージ・セット」、および「参照」という 3 つのフォルダーが含まれています。
また、「アプリケーション開発」ビューにライブラリー (CommonSubFlows および SharedMessageSetLIB) が個別に表示されています。
プロジェクト CommonSubFlows はライブラリーになるため、他のアプリケーション、ライブラリー、または統合プロジェクトでこれを参照できます。 メッセージ・セット MyFirstSolutionMessageSet および MyOtherSolutionMessageSet はそれぞれ所有アプリケーションの一部のままであり、他のアプリケーション、ライブラリー、または統合プロジェクトはこれらを参照できません。

バージョン 8.0 リソース

変換後、各ソリューションでどのリソースが使用されるかが、より明確にわかるようになります。 デプロイメント時には、ソリューションでどのリソースを必要とするかを正確に把握しておく必要ありません。 以下の画像に、BAR ファイル・エディターの「準備」タブでアプリケーションを選択する方法と、必要なすべてのリソースがどのようにデプロイされるかを示します。
方法 1 - すべてのプロジェクトを変換する
このグラフィックでは、BAR ファイル・エディターの「準備」タブを示します。ここには、デプロイするすべてのリソースが各アプリケーションの下にどのようにリストされるかを示しています。
方法 2 - 統合プロジェクトのみを変換する
このグラフィックでは、BAR ファイル・エディターの「準備」タブを示します。ここには、デプロイするすべてのリソースが各アプリケーションの下にどのようにリストされるかを示しています。
同様に、リソースの編成は、WebSphere Message Broker Explorer でブローカーを管理する際にも明確に示されます。
方法 1 - すべてのプロジェクトを変換する 方法 2 - 統合プロジェクトのみを変換する
このグラフィックでは、WebSphere Message
Broker Explorer での、デプロイされたアプリケーションとその関連リソースを示しています。
このグラフィックでは、WebSphere Message
Broker Explorer での、デプロイされたアプリケーションとその関連リソースを示しています。
以下のトピックに、これらの変換手順の実行方法に関する詳細な説明を記載します。
  • 旧バージョンのリソースのインポート: このトピックでは、プロジェクト交換ファイルを WebSphere Message Broker Toolkit の 1 つのバージョンからエクスポートして、それを別のバージョンにインポートする方法について説明します。
  • アプリケーションまたはライブラリーへのプロジェクトの変換: このトピックでは、プロジェクトを個別に変換する方法と、「アプリケーションおよびライブラリーへのプロジェクトの変換」ウィザードの使用方法を説明します。 また、特定のタイプのプロジェクトを変換する際に適用される制限のリストもあります。
リソースをアプリケーションおよびライブラリーに変換する方法のデモンストレーションについては、IBM Education Assistant モジュール: Applications and Libraries conversion を参照してください。
特記事項 | 商標 | ダウンロード | ライブラリー | サポート | フィードバック

Copyright IBM Corporation 1999, 2014Copyright IBM Corporation 1999, 2014.

        
        最終更新:
        
        最終更新: 2015-02-28 17:48:38


概念トピック概念トピック | バージョン 8.0.0.5 | bc23825_