WebSphere Message Broker バージョン 8.0.0.5 オペレーティング・システム: AIX、HP-Itanium、Linux、Solaris、Windows、z/OS

製品の最新バージョンについては、IBM Integration Bus バージョン 9.0 をご覧ください。

Adapter for SAP Software の技術的な概要

WebSphere® Adapter for SAP Software は、 SAP サーバー上のアプリケーションおよびデータと対話するための複数の手段を提供します。 アウトバウンド処理 (アプリケーションからアダプターへ、そしてさらに SAP サーバー への処理)、およびインバウンド処理 (SAP サーバー からアダプターへ、そしてさらにアプリケーションへの処理) がサポートされています。

WebSphere Adapter for SAP Software は、SAP Web アプリケーション・サーバー上で実行する SAP システムへ接続します。 このアダプターは、Advanced Event Processing (AEP) および Application Link Enabling (ALE) をインバウンド処理用にサポートし、Business Application Programming Interface (BAPI)、AEP、ALE、および SAP Software 用照会インターフェース (QISS) をアウトバウンド処理用にサポートします。 「アダプター接続」ウィザードを使用してアウトバウンドおよびインバウンド処理を実行するようにアダプターをセットアップし、それが SAP サーバー上で発見するサービスに基づいてビジネス・オブジェクトを生成するようにします。

アウトバウンド処理の場合、アダプター・クライアントはアダプター操作を呼び出して、SAP サーバー 上でのデータの作成、更新、および削除を行ったり、SAP サーバー からデータを取得したりします。

インバウンド処理の場合、SAP サーバー 上で発生するイベントは、SAP サーバー からアダプターに送信されます。 ALE インバウンド・インターフェースと BAPI インバウンド・インターフェースは、イベントを検出するイベント・リスナーを始動します。 逆に、拡張イベント処理インターフェースは、イベントに対して SAP サーバー をポーリングします。 それから、アダプターはイベントをエンドポイントに配信します。エンドポイントはアプリケーションまたはその他の SAP サーバー からのイベントのコンシューマーです。

アダプター接続ウィザードを使用してアウトバウンドおよびインバウンド処理を実行するようにアダプターを構成し、 それが SAP サーバー 上で発見する機能および表に基づいて、 SAP アプリケーションおよびビジネス・オブジェクトに対するインターフェースを含むライブラリーを作成します。

アウトバウンド処理インターフェースの概説

WebSphere Adapter for SAP Software は、アウトバウンド処理のために SAP サーバー への複数のインターフェースを備えています。

  • BAPI インターフェースを介して、アダプターは RFC 対応機能 (Business Application Programming Interface (BAPI) 機能など) へのリモート機能呼び出し (RFC) を発行します。 これらのリモート機能呼び出しは、SAP サーバー 上でデータを作成、更新、または取得します。
    • BAPI インターフェースは個々の BAPI (単純な BAPI) で作業します。 例えば、SAP データベース内に特定のカスタマー情報が存在するかどうか確認したい場合があります。
    • BAPI 作業単位インターフェースは BAPI の順序セットで作業します。 例えば、従業員レコードを更新したい場合があります。 これを行うには、以下のように 3 つの BAPI を使用します。
      1. レコードをロック (レコードがそれ以上変更されないように) するため
      2. レコードを更新するため
      3. レコードが承認されるようにするため
    • BAPI 結果セット・インターフェースは 2 つの BAPI を使用して、SAP データベースから複数のデータ行を選択します。

    BAPI 呼び出しが役立つのは、データの取得または操作を実行する必要があって、タスクを実行する BAPI または RFC 機能がすでに存在する場合です。

    単純な BAPI は、同期 RFC、非同期トランザクション RFC、またはキューに入れられた非同期 RFC プロトコルを介して送信できます。
    • 同期 RFC を使用すると、呼び出しがアダプターから SAP サーバーに行われる際にアダプターと SAP サーバーの両方が使用可能でなければなりません。 アダプターは要求を SAP サーバーに送信し、応答を待機します。
    • 非同期トランザクション RFC を使用する場合、トランザクション ID は、アダプターから SAP サーバーへの呼び出しに関連付けられます。 アダプターは、 SAP サーバーからの応答を待機しません。 メッセージ・フローに戻されるのは、トランザクション ID だけです。
    • キューに入れられた非同期 RFC の場合、アダプターからの呼び出しは SAP サーバー上の事前定義されたキューに送信されます。 非同期 RFC の場合と同様、トランザクション ID が呼び出しに関連付けられ、アダプターは SAP サーバーからの応答を待機しません。

      このインターフェースは、イベント順序を保持する必要がある場合に役立ちます。

  • SAP Software 用照会インターフェースは、特定の SAP アプリケーション表からデータを取得します。 これは、データを戻したり、データが存在するかどうか確認したりすることができます。 RFC 機能または BAPI を使用しないで SAP 表からデータを取得する必要がある場合に、このタイプの SAP との対話を使用できます。
  • Application Link Enabling (ALE) インターフェースにより、SAP 中間データ構造 (IDocs) を使用してデータを交換します。 アウトバウンド処理の場合、1 つの IDoc、または IDocs のパケットを SAP サーバー に送信します。

    ALE インターフェースは、特に IDocs のバッチ処理に役立つもので、非同期交換を提供します。 キューに入れられたトランザクション (qRFC) プロトコルを使用して、IDocs をSAP サーバー 上のキューに送信できます。 qRFC プロトコルにより、IDocs が受信される順序が保証されます。 これはしばしば、システムの複製またはシステム間の転送に使用されます。

  • ALE パススルー IDoc インターフェースでは、アダプターが IDoc を変換しないで、 IDoc を SAP サーバー に送ります。 メッセージ・ツリーには IDoc を表す BLOB フィールドが含まれます。
  • 拡張イベント処理インターフェースを使用して、 データを SAP サーバー に送信します。 次に、データは SAP サーバー 上で ABAP ハンドラーによって処理されます。

インバウンド処理インターフェースの概説

WebSphere Adapter for SAP Software は、 インバウンド処理のために SAP サーバー への以下のインターフェースを備えています。
  • BAPI インバウンド・インターフェースを使用して、アダプターはイベントを listen し、SAP サーバーからの RFC 対応関数呼び出しの通知を受信します。
    • 同期 RFC を使用すると、呼び出しが SAP サーバーからアダプターに行われる際にアダプターと SAP サーバーの両方が使用可能でなければなりません。 アダプターは要求を事前定義されたアプリケーションに送信し、応答を SAP サーバーに戻します。
    • 非同期トランザクション RFC を使用すると、呼び出しが行われる際にアダプターが使用できない場合であってもイベントはアダプターに送信されます。 SAP サーバーは呼び出される関数のリスト上にイベントを格納し、アダプターが使用可能になるまで送信を試行し続けます。

      SAP サーバー上の事前定義されたキューから関数を送信する場合には、非同期トランザクション RFC も使用します。 キューからファイルを送信すると、関数をそのままの順序で送信できます。

      確実一回のみ送達を選択すると、アダプターはデータ・ソースを使用して、SAP サーバーから受信したイベント・データを保持します。 アダプターがイベントをエンドポイントに送る際に問題が生じた場合に、イベントを追跡してリカバリーするためのイベント・リカバリーを備えています。

  • ALE インバウンド処理インターフェースを使用して、アダプターはイベントを listen し、1 つ以上の IDocs をSAP サーバー から受け取ります。 ALE アウトバウンド処理の場合と同様に、ALE インバウンド処理では非同期交換を提供します。

    qRFC インターフェースを使用して、SAP サーバー 上のキューから IDocs を受け取ります。このキューは IDocs が受け取られる順序を保証するものです。

    確実一回のみ送達を選択した場合、アダプターはデータ・ソースを使用してイベント・データを持続させ、 アダプターがイベントをエンドポイントに送る際に問題が生じた場合に、イベントを追跡してリカバリーするためのイベント・リカバリーを備えています。

  • ALE パススルー IDoc インターフェースでは、SAP サーバー が IDoc を変換しないで、 IDoc をアダプターを介してエンドポイントに送ります。 メッセージ・ツリーには IDoc を表す BLOB フィールドが含まれます。
  • 拡張イベント処理インターフェースは、イベントに対して SAP サーバー をポーリングします。 これは処理を待機しているイベントを発見します。 その後、イベントを処理し、それをエンドポイントに送信します。 詳しくは、拡張イベント処理インターフェースを参照してください。

アダプターとSAP サーバー との対話方法

アダプターは SAP Java™ Connector (SAP JCo) API を使用して、SAP アプリケーションと通信します。 アプリケーションはアダプターに要求を送信し、アダプターは SAP JCo API を使用して要求を BAPI 機能呼び出しに変換します。 SAP システムは要求を処理し、結果をアダプターに送信します。 アダプターは応答メッセージ内の結果を呼び出し側アプリケーションに送信します。

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        最終更新:
        
        最終更新: 2015-02-28 17:49:48


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