高可用性ペアについて
高可用性 (HA) ペアとは、2 つの物理統合アプライアンスを相互接続して、それらの間で自動的にデータを同期化したり、フェイルオーバー操作を実行したりできるようにした、統合アプライアンス構成のことです。HA ペアを構成するマシンは同じ MAC アドレスおよび IP アドレスを共有するため、ネットワーク ID はそれらのマシン全体に対して 1 つとなります。
HA ペアは、1 つのアクティブ統合アプライアンスとスタンバイ統合アプライアンスで構成されます。オーケストレーションをアクティブに処理する統合アプライアンスが、アクティブ・マシンです。自動的にデータを同期化し、フェイルオーバー操作を実行する統合アプライアンスが、スタンバイ・マシンです。HA ペアを構成するマシン同士が最初に接続すると、マシンの間で即時に同期化が行われ、アクティブの役割を果たすマシンとスタンバイの役割を果たすマシンが決定されます。この初期同期化の操作を行っている間、アクティブ・マシンはオーケストレーションを処理できますが、HA ペアが完全に同期化されるまでは、ファイルオーバーは実行できません。HA ペアの同期化が完了すると、HA ペアはデータを保持し、このデータを 2 台のマシン間で自動的に同期化します。
アクティブ・マシンに障害が発生すると、スタンバイ・マシンがテークオーバー手順を開始します。スタンバイ・マシンがアクティブ・マシンになり、障害が発生したマシンでオーケストレーション処理が停止した場所から、オーケストレーション処理を再開します。通常は、テークオーバー・プロセスが完了するまでに 1 分もかかりませんが、DHCP の応答時間によってはテークオーバー・プロセスが長引くことがあります。スタンバイ・マシンは、アクティブ・マシンがオーケストレーションを引き続き処理しないようにするために、テークオーバー手順においてアクティブ・マシンの電源を入れ直します。 スタンバイ・マシンがアクティブ・マシンになるのは、障害が発生したアクティブ・マシンの電源の入れ直しが正常に行われた場合のみです。アクティブ・マシンの電源の入れ直しが行えなかった場合、スタンバイ・マシンは IDLE 状態になります。
- CPU、ハード・ディスク、RAM、マザーボード、ネットワーク・インターフェース、電源機構、および RAID コントローラーによって発生したハードウェア障害
- 統合アプライアンスのランタイム障害 (処理中の致命的エラーなど)
- 複製ポート・ネットワーク・インターフェースの問題や複製ケーブルの問題が原因となって発生した、統合アプライアンス間の通信障害
アクティブ・マシンがスタンバイ・マシンとの接続を失うと、アクティブ・マシンは非同期データ・コミットを防ぐためにオーケストレーションの実行を停止し、スタンバイ・マシンがテークオーバー手順を開始するかどうかを確認するために待機します。スタンバイ・マシンがアクティブ・マシンの電源を入れ直さない場合、アクティブ・マシンはオーケストレーションの処理を再開します。 スタンバイ・マシンがアクティブ・マシンに再接続できるようになると、スタンバイ・マシンはアクティブ・マシンと同期化します。
WMC から、HA ペアの状況をモニターして、HA ペアを構成する統合アプライアンスの役割を操作できます。