CICS プラットフォーム・プロジェクトの作成

CICS® プラットフォーム・プロジェクトは、プラットフォーム・バンドルを定義します。プラットフォーム・バンドルは、管理バンドルの一種で、プラットフォームについて記述しています。プラットフォーム・バンドルは、プラットフォームの領域タイプを指定します。

始める前に

CICS プラットフォーム・プロジェクトを作成する前に、zFS でプラットフォーム用のプラットフォーム・ホーム・ディレクトリーをセットアップしてください。 ベスト・プラクティスとして、デフォルトのプラットフォーム・ホーム・ディレクトリー /var/cicsts/CICSplex/platform1 を使用することをお勧めします (CICSplex はプラットフォームのインストール場所となる CICSplex の名前、platform1 はプラットフォームの名前)。 これとは異なるディレクトリーをプラットフォーム・ホーム・ディレクトリーとして使用する必要がある場合は、CICS プラットフォーム・プロジェクトの作成後に、プラットフォーム・エディターを使用して代わりのディレクトリー名に変更することができます。 zFS でプラットフォームのホーム・ディレクトリーを作成する手順については、「CICS TS 5.1 インフォメーション・センター」の『Creating a platform home directory in zFS』を参照してください。

プラットフォームのレベルで CICS バンドルをデプロイする場合、CICS プラットフォーム・プロジェクトの作成時にこれらバンドルを作成して追加準備ができた状態にすることができます。 例えば、プラットフォーム内のすべての CICS 領域で必要とされるリソースを含む CICS バンドル、またはプラットフォームにデプロイされた複数のアプリケーションに適用されるポリシーのいずれかをデプロイできます。 プラットフォーム用のアプリケーション、リソース、またはポリシーがまだセットアップされていない場合、プラットフォームの作成後またはデプロイ後の任意の時点で CICS バンドルをプラットフォームに追加できます。 CICS バンドルの作成については、バンドルの作業の説明を参照してください。

このタスクについて

1 つのプラットフォームには 1 つ以上の領域タイプが含まれます。 領域タイプは、さまざまな CICS 領域をその種類に従って分類し、格納するために使われます。 例えば、DB2® への接続を扱うすべての CICS 領域を同じグループに含めることができます。 CICS 領域を、同じプラットフォーム内の複数の領域タイプ間で共用することも、他のプラットフォーム内の領域タイプとの間で共用することも可能です。

プラットフォーム内に新しい領域タイプを作成することができます。 また、プラットフォーム内の領域タイプとして、既存の CICS システム・グループ (CSYSGRP) を採用することもできます。 単一のプラットフォームは、作成された領域タイプと採用された領域タイプの両方を含むことができます。

作成される領域タイプでは、それに含まれる CICS 領域のプロパティーを指定できます。 1 つの領域タイプに含まれるすべての CICS 領域の特定の領域属性値は、それらの属性を領域タイプ・レベルで指定することによって複製可能です。 それらの属性に同じ値が指定された定義、またはそれらの属性の値が指定されていない定義を持つ CICS 領域のみを、その領域タイプに含めることができます。 以下の領域属性値を領域タイプ・レベルで指定することができます。
ルーティング領域として適格 (WLMSTATUS 属性)
この CICS 領域を、CICS 領域始動時にルーティング領域として関連するワークロードに関与させるかどうかを示します。
ターゲット領域として適格 (DYNROUTE 属性)
CICS の始動時に、この CICS 領域がターゲット領域としてアクティブになり、ワークロードのターゲットとして作業を受け入れるかどうかを示します。
BAS インストールが使用可能 (AUTOINST 属性)
リソース記述により CICS 領域に関連付けられたリソースを、MAS から CMAS への接続時に自動的にインストールするかどうかを示します。
BAS インストール失敗アクション (AINSFAIL 属性)
BAS インストールに失敗した場合に行うアクションを示します。
使用しているプラットフォームのアーキテクチャーにおいて、ある領域タイプのすべての CICS 領域がそれらのエリアで特定の機能または制限を持つ必要がある場合には、該当する値を領域タイプ・レベルで指定します。 作成された領域タイプに、属性に関する要件が特にない場合は、CICS 領域ですべての設定が許可されるようにするため、属性に値を指定しないでください。領域属性値を領域タイプ・レベルで指定すると、その属性値はロックされ、その後はその領域タイプに属する CICS 領域で変更できなくなります。
既存の CICSPlex® SM トポロジーをプラットフォームとして再実装する場合、採用される領域タイプとして、既存の CICSシステム・グループ (CSYSGRP) を採用できます。プラットフォームの一部として採用する CSYSGRP は、それぞれ以下の要件を満たす必要があります。
  • そのグループは、既にインストールされたプラットフォームによってまだ採用されていない。 そのグループが既にプラットフォームに関連付けられている場合、それを領域タイプとして採用することはできません。
  • そのグループは、サブグループを含んでいない。
  • そのグループの修正が必要にならない (例えば WLM または RTA に関係するグループ)。 プラットフォームは、領域タイプとして使用されるグループのロックを必要とします。
  • グループ内のすべての CICS 領域で CICSPlex SM システム・パラメーター MASPLTWAIT(YES) が指定されている。 MASPLTWAIT(YES) はビジネス・アプリケーション・サービスにも必要です。このパラメーターは、CICS 領域の初期設定時にアプリケーションやプラットフォームのリソースを自動的にインストールするのに必要です。
CSYSGRP 内にこれらの要件を満たしていない CICS 領域がある場合、特にその CICS 領域をプラットフォームの一部として使用する必要があるときは、それらの領域のシステム定義 (CSYSDEF) をそのプラットフォーム専用に作成した新しい CSYSGRP に追加してください。

手順

  1. CICS Explorer® のメニュー・バーから「ファイル」 > 「新規ウィザード」 > 「その他」をクリックして、「新規プロジェクト」ウィザードを開きます。
  2. 「CICS リソース」フォルダーを展開し、「CICS プラットフォーム・プロジェクト」をクリックし、「次へ」をクリックします。
  3. 「プロジェクト名」フィールドに CICS プラットフォーム・プロジェクトの名前を入力して、プラットフォーム自体の名前と説明を指定します。 プロジェクトの場所は、ローカル・ワークスペース内のどこに CICS プラットフォーム・プロジェクトが保管されるかを指定します。 「次へ」をクリックします。
  4. 「追加」をクリックして、領域タイプをプラットフォームに追加します。 「名前」フィールドに領域タイプの名前を入力します。 新しい領域タイプとして、作成された領域タイプまたは採用された領域タイプが可能です。 採用された領域タイプとして既存の CICS システム・グループ (CSYSGRP) を採用するには CICS SM 接続が必要です。
    • 作成された領域タイプの場合は、「固有の ID を使用して定義を作成」をクリックします。 ID フィールドで、領域タイプ用に作成される CICS システム・グループ (CSYSGRP) の名前を入力します。
    • 採用された領域タイプの場合は、「既存のシステム・グループの使用」をクリックします。 既存の CICS システム・グループ (CSYSGRP) を、その配置場所の CICSplex から選択します。
    「OK」をクリックして領域タイプをプラットフォームに追加します。
  5. さらに、プラットフォームに必要な他の作成/採用対象の領域タイプがあれば、それらを追加するための手順を繰り返します。 領域タイプの追加が完了した後、そのプロパティー (領域タイプの名前、および、作成された領域タイプの場合には CSYSGRP の ID) を編集することができます。 また、不適切に追加された領域タイプがある場合、それを削除することもできます。 プラットフォームの領域タイプの指定が完了したら、「次へ」をクリックします。
  6. オプション: プラットフォームと共にデプロイする CICS バンドルがある場合は、それらを指定します。 ローカル・ワークスペースから CICS バンドルのリストが検出されます。適切な CICS バンドルを選択して「次へ」をクリックした後、各 CICS バンドルのデプロイ場所となる領域タイプを指定します。 プラットフォームと共にデプロイする準備のできた CICS バンドルがない場合は、この段階をスキップしてください。
  7. 「終了」をクリックして、プロジェクトを作成します。 プラットフォームと共に CICS バンドルをデプロイする場合、「終了」をクリックする前に、デプロイメント・スコープを指定する必要があります。 CICS プラットフォーム・プロジェクトが作成されて、CICS クラウド・パースペクティブの「プロジェクト・エクスプローラー」ビューに表示されます。
  8. CICS Explorer のプラットフォーム・エディターを使用して CICS プラットフォーム・プロジェクトを編集し、プラットフォーム・バンドルの指定を確認して完成させます。 プラットフォーム・エディターは、プラットフォーム・プロジェクトの作成後に自動的に開きます。 後でプラットフォーム・エディターを開くときには、プラットフォーム・バンドルのいずれかの .xml ファイル (ただし manifest.xml ファイルを除く) をダブルクリックしてください。 プラットフォーム・エディターを使用するためのガイドは、プラットフォーム・エディターを参照してください。
  9. プラットフォーム・エディターの「概要」タブで、プラットフォームの名前と説明を確認または編集します。 デフォルトのプラットフォーム・ホーム・ディレクトリーの代わりに別のディレクトリーを使用する必要がある場合は、「参照」をクリックし、既にセットアップ済みのホーム・ディレクトリーを見つけて、それをプラットフォーム・ホーム・ディレクトリーとして選択します。
  10. プラットフォーム・エディターの「概要」タブの「領域タイプ」エリアで、プラットフォームの領域タイプを確認し、必要に応じて「追加」ボタンと「除去」ボタンを使用して、作成または採用された領域タイプを追加/除去します。 採用された領域タイプを追加するには CICS SM 接続が必要です。 プラットフォームがインストールされてアクティブになった後、領域タイプに個々の CICS領域を追加および削除することができます。 ただし、インストールされたプラットフォーム内で領域タイプを変更することはできないため、プラットフォームのインストール前に領域タイプを確定してください。
  11. プラットフォーム・エディターの「概要」タブの「CICS バンドル」エリアで、プラットフォームでデプロイされる CICS バンドルを確認し、必要に応じて「追加」ボタンと「除去」ボタンを使ってバンドルを追加または除去します。 いずれかの CICS バンドルを編集するには、バンドル名をダブルクリックして、バンドル・マニフェスト・エディターで開きます。 プラットフォームをインストールした後、アプリケーションやポリシーを開発していく時点で、プラットフォーム・レベルで他の CICS バンドルをデプロイすることができます。
  12. プラットフォーム・エディターの「領域タイプ」タブで、プラットフォーム内の作成されたそれぞれの領域タイプを選択して、領域タイプのプロパティーを表示します。 「領域タイプのプロパティー」エリアで、領域タイプ内のすべての CICS 領域で適用する必要がある必須設定をすべて指定します。 必須設定値を受け入れることのできる CICS 領域だけを、その領域タイプに含めることができます。 作成された領域タイプに、属性に関する要件が特にない場合は、CICS 領域ですべての設定が許可されるようにするため、属性に値を指定しないでください。
  13. プラットフォーム・エディターの「領域タイプ」タブで、プラットフォーム内の作成されたそれぞれの領域タイプを選択し、「領域の追加」ボタンをクリックして、領域タイプに含める予定の CICS 領域の CICS 領域定義を 1 つ以上追加します。 最初に CICS プラットフォーム・プロジェクトを作成したときにウィザードで追加された作成された領域タイプに対して、デフォルトの CICS 領域定義が提供されます。これを、領域タイプ内の CICS 領域に関する実際の定義に置き換える必要があります。 デフォルトの CICS 領域定義を選択し、「領域プロパティー」 エリアで、デフォルト属性を独自の属性に置換することができます。 または、作成された領域タイプの中で新しい CICS 領域定義を作成した後、デフォルトの CICS 領域定義を削除することもできます。
    1. 「領域プロパティー」エリアで、新しい CICS 領域の CICS システム定義 (CSYSDEF) の名前を指定します (最大で 8 文字)。
      CSYSDEF 名は CICSplex 内で固有でなければなりません。
    2. 指定した名前に対応する新しい CICS 領域の APPLID が CICS Explorer によって提供されます (これがベスト・プラクティスです)。 APPLID は、相互通信ネットワーク内で CICS 領域を認識する名前、つまりネット名です。 必要に応じて、実際のネットワークの要件を満たすために APPLID を変更してください。
    3. 新しい CICS 領域の SYSID を指定します。 SYSID (SYSIDNT ともいう) は、その CICS 領域を他の CICS 領域に認識させるための 1 文字から 4 文字の名前です。
    4. 新しい CICS 領域が組み込まれるプラットフォーム内の作成された領域タイプを 1 つ以上指定します。 複数の領域タイプの間で CICS 領域を共用する場合、それらの領域タイプ用に指定した必要な設定は一致する必要があり、競合してはなりません。
    5. オプション: CICS 領域から IPIC システム・リンク (SYSLINK) を使用して他の CICS 領域に接続する予定の場合、アウトバウンド要求で使われる CICS 領域のホスト名 (文字) あるいは IPv4 または IPv6 アドレス、ネットワーク ID、およびポート番号を指定します。 ネットワーク ID は z/OS® Communications Server の NETID です。
    プラットフォーム・エディターを使用して、採用された領域タイプ内で CICS 領域を追加、削除、共用することはできません。 作成された領域タイプの中で CICS 領域定義を操作することだけが可能です。
  14. プラットフォーム・エディターの「デプロイメント」タブで、各 CICS バンドルがプラットフォームと共にデプロイされる場所となる領域タイプを確認または編集します。
  15. CICS プラットフォーム・プロジェクトを保管します。
    注: CICS プラットフォーム・プロジェクトの作成が完了したら、ワークスペースに作成されるプロジェクト・フォルダーを必ず適切に管理する必要があります。 zFS でエクスポートされたデータから CICS プラットフォーム・プロジェクトを再構成することはできません。ワークステーションに障害が発生すると、データが失われる可能性があります。 プロジェクトがソース・コード管理システムにチェックインされていることを確認してください。Eclipse と統合するソース・コード管理システムを使用するときは、 CICS Explorer で作業する際に、 プロジェクトをチェックインまたはチェックアウトすることができます。

タスクの結果

CICS プラットフォーム・プロジェクトには META-INF フォルダーがあり、そこに以下の XML ファイルが入っています。
  • bundles.xml は、プラットフォームと共にデプロイされる CICS バンドルを記述します。
  • deployment.xml は、CICS バンドルをプラットフォームにデプロイするために使用するルールを記述します。
  • manifest.xml は、プラットフォーム・バンドルのマニフェスト・ファイルで、このバンドルを CICS 管理バンドルとして示します。
  • platform.xml は、プラットフォームについて記述し、その名前、説明、領域タイプ、プラットフォーム・ホーム・ディレクトリーが含まれます。
  • regions.xml は、プロジェクト内の作成された CICS 領域について記述します。
  • regionTypes.xml には各領域タイプのメタデータ (その名前、説明、領域タイプ、システム・グループの ID など) が含まれています。
  • regionTypeLinks.xml は、作成された領域と領域タイプの間のリンクについて記述します。

次のタスク

プロジェクトを zFS にエクスポートします。プラットフォーム内の領域タイプで作成したそれぞれの CICS 領域定義に一致するよう CICS 領域をセットアップします。さらに、CICSplex でプラットフォームをインストールして、使用可能にします。 CICS プラットフォーム・プロジェクトのデプロイを参照してください。