IBM Enterprise Records, バージョン 5.1.+            

レコード管理

IBM® Enterprise Records は、IBM FileNet® P8 製品スイートのアドオン・コンポーネントです。IBM Enterprise Records を使用すると、電子情報と物理情報の両方に対して正確性、安全性、信頼性の高いレコードを作成して管理できます。IBM Enterprise Records では、格納メディアまたは格納形式に関係なく、あらゆるタイプのレコードを管理できます。IBM Enterprise Records について理解するには、レコードとは何か、およびなぜレコード管理システムを使用するのかを理解する必要があります。

レコードとメタデータ

IBM Enterprise Records では、レコードとはメタデータであり、別の電子ファイル (ドキュメント) または物理オブジェクトに関する情報を参照および保持するファイルです。レコードは、企業や政府がドキュメントまたは物理オブジェクトを管理し、そのドキュメントまたはオブジェクトの格納、アクセス、および最終的な廃棄の方法を指定するために作成します。メタデータの形式は、メディア・タイプ、フォーマット、オーサー、件名、レビューアー、場所、公開日などのレコード・プロパティーです。レコードは、そのタイプに対応する政府の標準およびガイドラインに従って管理します。 次の図に、さまざまなソースからのレコードの作成を示します。各レコードは、システムによって管理される情報を指し示しています。

次の図は、レコードが各種のリポジトリーにどのように保管されるのかを示しています。ここでは、Web コンテンツ、MS Office ドキュメント、オーディオ・ファイルを含むリポジトリー、E メールを含むリポジトリー、ビデオ・テープ、マイクロフィルム、CD-ROM を含むリポジトリー、契約書、特許、許可を含むリポジトリーが示されています。各レコードは、システムによって管理される情報を指し示しています。

レコード管理

レコード管理とは、レコードの作成、格納、使用、検索、および廃棄の計画、制御、整理などの管理アクティビティーです。言い換えれば、レコード管理には、作成、実際の使用、非使用時の格納、廃棄というライフ・サイクルにわたってレコードを管理するためのすべてのアクティビティーが含まれます。

レコード管理の必要性

組織情報の正確性、完全性、およびアクセスのしやすさを保証するには、信頼できるレコード管理システムを構築する必要があります。そのようにしない場合、手動で情報を検索したり、紛失または誤って分類されたレコードを検索したりなど、非生産的なアクティビティーに多くの時間を費やすことになります。

レコード管理システムが存在しなければ、レコード保持に関する法律と規則の制定、解釈、および準拠が難しくなります。その結果、厳しい罰金や罰則などの法的結果を被ることになります。また、レコードを適正に維持管理しなかった場合、重要情報に関する訴訟、機密保持、および安全性に関連するリスクにさらされることにもなりかねません。

こうしたリスクを抑えるために IBM Enterprise Records を使用します。IBM Enterprise Records を使用すると、重要情報をレコードとして保持しておき、必要時に検索機能を使用してアクセスできると同時に、不要なレコードまたは非アクティブなレコードを破棄または保存できます。

レコード管理における IBM Enterprise Records の役割

IBM Enterprise Records を使用すると、組織内のすべてのレコードを格納メディアを問わず管理できます。IBM Enterprise Records の目的は、以下のことを保証することです。 IBM Enterprise Records を使用すると、以下のことができます。

IBM Enterprise Records の機能と利点

次の表に、IBM Enterprise Records の機能とその利点をリストします。
機能 利点
レコードの一元的なリポジトリー
  • 組織内のあらゆる情報の利用。
  • 関連情報を即座に利用できるため、意思決定が効率化。
電子および物理ドキュメントのレコードを階層内に格納するための仮想保管場所およびコンテナー
  • ハードコピー・ドキュメントと電子ファイルの管理。
  • 実際のオフィス環境のシミュレーション。
  • 仮想の格納場所とコンテナーによって実際の物理格納構造をモデル化。
  • レコードの管理と検索に必要なオフィス・スペース、機器、および人員の削減によるコスト管理。
使いやすい検索機能
  • 複雑な照会構文を使用せずに必要な情報に迅速、簡単にアクセス。
レコードの保存および廃棄ルール ユーザー定義によって以下を制御できます。
  • レコードの保持期間。
  • 保存期間の終わりにおけるレコードの処理。
  • 破棄前のレコードのレビュー。
レコードの監査手順、保存期間の自動トラッキング、およびレコード廃棄処理の実行
  • レコードの廃棄、変更、処理、破損、紛失が誤って行われない。
  • レコードの廃棄は廃棄スケジュールに基づいて、または監査手順の一部としてのみ行われる。
  • 不要になったレコードの廃棄による格納スペースの減少。
レコードのインポートとエクスポート
  • 頻繁には使用しないが政府の規則に準拠するために保持する必要があるレコードを別の場所にエクスポートできる。
  • 他のレコード・リポジトリーからインポートできる。
レコードの適切なセキュリティー制御
  • 権限のないユーザーはレコードにアクセスできない。
  • 誤ってレコードが削除されることがない。レコード管理者によって、または監査手順の結果としてのみレコードを削除できる。
  • 適切なアクセス権を持っているユーザーだけがレコード管理操作を実行できる。
IBM FileNet P8 WorkplaceWorkplace XT、Microsoft Office、および Microsoft Outlook との統合 以下からレコードを手動で削除できます。
  • Workplace または Workplace XT
  • Microsoft Outlook、Word、Excel、および Power Point
  • エントリー・テンプレート

IBM Enterprise Records のユーザー・ロール

IBM Enterprise Records には、ロール・ベースのユーザー・セキュリティー・モデルが用意されています。これらは、レコード管理者、レコード・マネージャー、権限ユーザー (DoD および Base) またはレコード・レビューアー (PRO)、およびレコード・ユーザーです。各ロールは、そのロールに属するユーザーが実行できるタスクを決定します。詳しくは、FileNet P8 セキュリティーを参照してください。

IBM Enterprise Records インストールのタイプ

IBM Enterprise Records アプリケーションをインストールする前に、レコード管理の要件を満たすインストール・タイプ (データ・モデル) を選択する必要があります。選択できるデータ・モデルは以下の通りです。

IBM Enterprise Records エンティティーのタイプ

IBM Enterprise Records では、レコードはさまざまなレコード管理エンティティーを含む階層構造に格納されます。次の図に、これらのエンティティーの階層構造と、各エンティティーについての簡単な説明を示します。

次の図は、ファイル・プラン・オブジェクト・ストアが最上位にあるレコードの階層構造を示しています。

次に、レコード管理エンティティーの階層の例を示します。

ファイル・プラン

マネジメント全般 (カテゴリー)
     書簡ファイル (フォルダー)
     プログラムの概要説明 (フォルダー)
          2006 マネジメント・トレーニング・コンファレンス (ボリューム)
          2007 マネジメント・トレーニング・コンファレンス (ボリューム)
情報マネジメント (カテゴリー)
     書簡ファイル (フォルダー)
     オペレーター番号シート (フォルダー)


フィードバック

最終更新日: 2011 年 8 月


© Copyright IBM Corp. 2011.
このインフォメーション・センターでは Eclipse テクノロジーが採用されています。(http://www/eclipse.org)