物理エンティティーはオンラインで参照できないため、エンティティー自体を取得する手段が必要です。この処理をチャージアウトと呼びます。チャージアウトによって物理レコード管理 (PRM) ワークフローが起動され、各ステップでのエンティティーの場所が追跡されます。物理エンティティーを保持する個々のレコード (一度に 1 つ) または任意のコンテナーをチャージアウトできます。
PRM ワークフローは、予約、受信、次のユーザーへのリリースと、サイクル全体をカバーします。ワークフローはまた、エンティティーの受信やリリースの遅延も追跡し、さらに現在、エンティティーの保持者として登録されたユーザーによる、ワークフロー進行中のエンティティーの紛失も追跡します。もちろん、PRM ワークフローによるエンティティーの追跡では、すべての関係者が受信トレイのタスクに迅速に応答して、エンティティーの場所を常に正確に報告する必要があります。
物理エンティティーは、Application Engine、Workplace XT、または IBM® Enterprise
Records でチャージアウトできます。Workplace からこれを行う場合、FPOS を選択してレコード管理フォルダーを開きます。次に、ファイル・プランフォルダーを開き、適切なファイル・プラン・ロケーションのオブジェクトを選択します。
エンティティーのチャージアウト状況を参照するには、「情報の取得」アイコンをクリックして「詳細」ページを選択します。このページの「物理」セクションで、エンティティーの場所、ホーム・ロケーション、チャージアウト状況、およびチャージアウトを行ったユーザーを確認できます。エンティティーがバーコードの場合、「物理」タブの「物理アイテムのスキャン」を使用してそのチャージアウト状況をチェックできます。物理エンティティーのスキャンを参照してください。最後に、PRM ワークフロー・ステップの「状況」ボタンを選択してトラッカー・アプリケーションから状況を取得できます。
PRM ワークフローで使用する受信トレイ
エンティティーが送付され、ユーザーがそれを受信してリリースするたびに、ワーク・アイテムが生成されます。これらのワーク・アイテムには、ユーザーの受信トレイに表示されるものとパブリック受信トレイに表示されるものがあります。パブリック受信トレイを参照し、ワークフロー・ステップを開き、「物理アイテムのスキャン」でエンティティーのチャージアウト状況を確認できるユーザーは、ユーザーとグループのセキュリティー設定によって決定されます。PRM ワークフローは、以下のパブリック受信トレイにワーク・アイテムを作成します。
チャージアウトの手順
エンティティーをチャージアウトするには、まずコンテキスト・メニューで「
起動 / チャージアウト」を選択します。次に、ワーク・アイテムが参加者の個人受信トレイに表示されるか、またはパブリック受信トレイに送信されます。エンティティーが最初にチャージアウトされると、要求ユーザーがそのエンティティーを指定の場所にチャージアウトしたことが示されます。しかし、要求ユーザーが実際にエンティティーを受信する前に、キーパーがリリースする必要があります。
- アイテムが既にチャージアウトされている場合、他の要求者は「予約日」を設定します。予約日は、複数の要求に優先順位を設定するために使用します。エンティティーは、PhysicalEntitiesReserveQueue のワーク・アイテムによって示される最も早い予約日に基づいて他のユーザーに渡されます。新しいワーク・アイテムは、予約日の到来を待つことなく生成されます。
- キーパーまたは現在のエンティティー保持者が手動送信の代わりに送信サービスを要求した場合、送信キューにワーク・アイテムが生成されます。送信サービスは、アイテムを送信するか、アイテムの紛失を報告します。キーパーまたは送信サービスがアイテムの送信を報告した場合、要求ユーザーは受信ワーク・アイテムを取得します。送信サービスがアイテムの紛失を報告した場合、ワーク・アイテムはロスト・アイテム発見キューに送られます。
- 要求ユーザーがアイテムの受信を報告して受信ワーク・アイテムを完了すると、個人受信トレイのリリース・ワーク・アイテムによって受信ワーク・アイテムが置き換えられます。要求ユーザーがアイテムの未受信を報告した場合、ワーク・アイテムがロスト・アイテム発見キューに送られます。
- ロスト・アイテム発見キューのグループは、アイテムを発見して送信するか、アイテムが永久に紛失したことを報告します。アイテムを発見して送信すると、ユーザーの受信トレイに受信ワーク・アイテムが生成されます。アイテムの紛失を報告すると、関係する参加者 (待機および予約キューのユーザー) にメッセージが送信され、残りのワーク・アイテムが終了します。アイテムの永久ロストは、エンティティーが将来発見されないことが確実である場合にのみ宣言します。紛失したエンティティーが後で発見されたことを示す方法は存在しません。将来このエンティティーをチャージアウトしようとするユーザーは、ロスト状況に関するメッセージを受信します。
- 現在のエンティティー保持者がアイテムの使用を終えた場合、リリース・ワーク・アイテムを完了してエンティティーを次のユーザーまたはキーパーに配送します。このユーザーは、次に受信ワーク・アイテムを完了します。
- チャージアウトされている親コンテナーに含まれるエンティティーをチャージアウトしようとするとメッセージが表示され、起動ステップ・ウィンドウを閉じる必要があります。親コンテナーをチャージアウトして待機キューに移動するか、後で子のエンティティーをチャージアウトします。
- 同様に、チャージアウトされているアイテムを含むコンテナーをチャージアウトしようとすると、子のチャージアウトを示すメッセージが表示されます。この場合、後で再試行する必要があります。
ワークフロー起動
物理オブジェクトをチャージアウトするには、次のようにします。
- Application Engine、Workplace XT、または IBM Enterprise
Records で、物理エンティティーの名前を右クリックして「起動 / チャージアウト」を選択します。
- 使用するワークフロー・サブスクリプションの名前の下にある「起動」をクリックします。各物理エンティティー・タイプに対してデフォルトのサブスクリプションが用意されています。
- 残りの「起動 / チャージアウト」ステップを完了します。
- 起動 / チャージアウト・ステップの完了後、ワークフロー・サブスクリプションが表示されているウィンドウを閉じます。
ワークフローの各ステップでは、一般的なアイテムが共有されます。
表 1. ワークフロー・ステップワークフロー・ステップ項目 |
説明 |
インストラクション |
ウィンドウの上部には、ステップを完了するためのインストラクションが表示されます。これらはワークフロー・デザイナーによって記述されます。インストラクションが表示されない場合、インストラクションという単語の隣の矢印をクリックします。 |
エンティティー名 |
エンティティーがコンテナーの場合、その名前をクリックしてコンテナーを開き、その内容を参照できます。エンティティーが 1 つの物理レコードの場合、内容は存在しないため、そのことを示すメッセージを受け取ります。 |
コメント |
「コメント」ボックスに直接コメントを入力するか、またはテキスト・ボックス下部の黄色いアイコンをクリックして大きいウィンドウを表示して、長いコメントをスクロールなしで読み書きします。 |
アクション・メニュー |
メニューに含まれるアイテムは、ステップによって異なります。各ステップについては、後述の情報を参照してください。また、ワークフロー・ウィンドウの上部のインストラクションに、選択できるアイテムに関するガイダンスが示されます。 |
場所 |
場所のリストを保存するには「場所」をクリックします。エンティティーの送信先の下に表示される「選択」をクリックします。 |
予約日 |
カレンダー・アイコンをクリックして、エンティティーの予約日を選択します。エンティティーが現在チャージアウトされていない場合、今日の日付を選択する必要があります。エンティティーがチャージアウトされている場合、今日の日付、または未来の日付を選択できますが、システムは必ずしも選択した日付を表示しません。システムは予約日を、エンティティーがある場所から別の場所に移動する時点として決定します。 |
「情報」列 |
多くのステップでは、アイテムの保持者、場所、予約日と要求日、および次の受信者が表示されます。 |
「適用」および「閉じる」ボタン |
情報を変更するには、別のアクションを実行せずに「適用」をクリックし、「閉じる」をクリックしてウィンドウを閉じます。ワーク・アイテムは同じ受信トレイに残ります。これは、アイテムが現在紛失していることを宣言するが、発見の可能性がある場合に便利です。このようにすることで、「完了」ボタンを使用することで生成される永久アクションの適用を回避できます。 |
「再割り当て」ボタン |
ステップを実行する別のユーザーを選択するためのウィンドウが開きます。ユーザー名の最初の数文字を入力して「検索」をクリックします。ユーザーを選択して、「続行」をクリックします。 |
「状況」ボタン |
トラッカー・アプリケーションが開きます。 |
「完了」ボタン |
「完了」ボタンはワークフロー・ステップを完了させます。通常はこれを選択します。 |
起動ステップ
起動ステップを実行するには、次のようにします。
- 「場所」をクリックして、エンティティーの送信先を選択します。
- カレンダー・アイコンをクリックして予約日を設定します。エンティティーがチャージアウトされていない場合、今日の日付を選択する必要があります。エンティティーがチャージアウトされている場合、今日以降の日付を選択できます。予約日は、複数の要求に優先順位を設定するために使用します。
- 「開始」をクリックしてワークフローを開始するか、または「閉じる」をクリックして開始せずにウィンドウを閉じます。
受信ステップ
受信ステップは受信トレイには承認ステップとして表示されますが、そのステップを開くと、ページ・タイトルは「
受信ステップ」です。受信ステップは、前のユーザー (またはキーパー) がアイテムをリリースし、自分が次に受信するときに取得します。まだアイテムを受信していない場合、その送信者、最後の保管場所、および送信方法を確認できます。妥当な待ち時間が経過してもアイテムが送付されない場合、まだ受信していないことを報告できます。この場合、ロスト・アイテム発見キューのワーク・アイテムが生成されます。キーパーの場合、最後のユーザーがアイテムをリリースすると受信ステップを取得します。受信ステップを実行するには、次のようにします。
- 該当するアクションを選択します。エンティティーを受信した場合、「受信済み」を選択します。それ以外の場合、「未受信」を選択します。
- 該当するボタンを選択してステップを終了します。オプションの詳細については、ワークフロー起動を参照してください。
重要: 送信サービスまたは現在チャージアウトしているユーザーに起因する遅延のためにエンティティーが送信されない可能性があります。また、エンティティーが送付中に紛失した可能性もあります。このような場合、受信するワーク・アイテムにはエンティティーの状況を示すメッセージが表示されます。
リリース・ステップ
リリース・ステップは受信トレイには承認ステップとして表示されますが、そのステップを開くと、ページ・タイトルは「
リリース・ステップ」です。リリース・ステップは、現在のエンティティー保持者 (キーパーまたはチャージアウトしたユーザー) が実行する必要があります。受信者は、送信方法、送信の遅延があるかどうか、またはアイテムが紛失したかどうかを指定します。チャージアウトされた場所の要求ユーザーにアイテムを送信します。リリース・ステップを実行するには、次のようにします。
- 該当する場合、遅延時間を入力して、エンティティーのリリースの遅延を示します。
- 遅延の説明などのコメントを入力します。
- アクション・リストから適切なオプションを選択します。
- 「手動で送信」を選択した場合、エンティティーを次のユーザーに手動で送信します。
- エンティティーの場所が不明の場合は「紛失」を選択します。ワーク・アイテムがパブリック受信トレイの PhysicalEntitiesFindLostQueue に送られます。
- 送信サービスを使用する場合、「送信サービス」を選択します。ワーク・アイテムがパブリック受信トレイの PhysicalEntitiesDeliveryQueue に送られます。
- 遅延時間を入力した場合、「遅延」を選択します。遅延通知が、キュー内のすべての待機ユーザーに送付されます。
- 該当するボタンを選択してステップを終了します。オプションの詳細については、ワークフロー起動を参照してください。
待機キュー・ステップ
ユーザーがエンティティーを予約し、キュー内の次の受信者である場合、待機キューのワーク・アイテムにそのユーザー名が要求ユーザーとして表示されます。このキューに対するアクセス権を持つユーザーは情報を参照できますが、実行する処理はありません。待機キュー・ステップを表示するには、次のようにします。
- PhysicalEntitiesWaitQueue パブリック受信トレイのワーク・アイテムをクリックします。
- ワーク・アイテムを表示したら、「閉じる」をクリックします。
予約キュー・ステップ
PhysicalEntitiesReserveQueue パブリック受信トレイには、送信を待っている各ユーザーに対するワーク・アイテムが格納されます。権限ユーザーは、各ワーク・アイテムを開いて、エンティティーを要求したユーザー、要求日、および要求場所を確認できます。予約日を変更して、ユーザーの優先度を変更できます。予約キュー・ステップを実行するには、次のようにします。
- PhysicalEntitiesReserveQueue パブリック受信トレイのワーク・アイテムをクリックします。
- 必要な場合、「予約日」を変更してアイテムを待っているユーザーの優先順位を変更します。
- 「適用」と「閉じる」をクリックします。
ロスト・アイテム発見ステップ
エンティティーがロストと宣言された場合、PhysicalEntitiesFindLostQueue パブリック受信トレイにワーク・アイテムが送られます。このパブリック受信トレイにアクセスする権限がある場合、このワーク・アイテムをクリックして「
ロスト発見ステップ」ページを参照し、状況を更新できます。エンティティーを発見して送信するか、または永久に紛失したことを宣言します。これは関連するすべてのユーザーに通知され、このエンティティーに対して起動されたすべての PRM ワークフローが終了します。また、ユーザーがこのエンティティーのワークフローを起動しようとすると、紛失状況に関する通知が送信されます。ロスト・アイテム発見ステップを実行するには、次のようにします。
- コメントを入力します。
- 「アクション」メニューで、エンティティーが永久に紛失したことを宣言する場合は「ロスト」を選択します。エンティティーを発見して、「要求者」フィールドに表示されているユーザーにそのエンティティーを送信した場合は「送信済み」を選択します。
- 該当するボタンを選択してステップを終了します。オプションの詳細については、ワークフロー起動を参照してください。
エンティティーが永久ロストと宣言された場合、それ以降の日付で発見されたことを示す方法は存在しません。将来このエンティティーをチャージアウトしようとするユーザーは、エンティティーが紛失したというメッセージを受信します。紛失したコンテナーが後で発見された場合、その内容をチャージアウトできません。紛失したコンテナーのアイテムをチャージアウトしようとすると、親がチャージアウトされていることを示すメッセージが表示されます。
送信サービス・ステップ
送信サービスを選択して物理エンティティーを送信してもらう場合、パブリック受信トレイの PhysicalEntitiesDeliveryQueue にワーク・アイテムが送られます。このパブリック受信トレイにアクセスする権限がある場合、このワーク・アイテムをクリックして「
送信ステップ」ページを実行できます。送信ステップを実行するには、次のようにします。
- コメントを入力します。
- アクション・リストで、エンティティーを発見および送信できない場合は「ロスト」を選択します。ワーク・アイテムがパブリック受信トレイの PhysicalEntitiesFindLostQueue に送られます。必要な場合、そのグループはエンティティーが永久に紛失したことを宣言します。要求したユーザーにエンティティーを送信した場合は「送信済み」を選択します。
- 該当するボタンを選択してステップを終了します。オプションの詳細については、ワークフロー起動を参照してください。
メッセージ・ステップ
メッセージ・ステップ・ページは、PRM ワークフローの対象となる物理エンティティーの状況を通知します。このページは、ワーク・アイテムとして受信トレイに送られます。このワーク・アイテムは、以下の場合に送られます。
- 現在のエンティティー保持者は、エンティティーのリリースを遅れた。
- 送信サービスまたは現在のエンティティー保持者がエンティティーを紛失した。
- PRM ワークフローにエラーが存在した。
- 要求されたエンティティーの親または子のエンティティーが既にチャージアウトされ、ワーク・アイテムがキューに送られなかった。(待機および予約キューはエンティティーが一致した場合のみ使用されます。)
- ワークフローの対象エンティティーが物理エンティティーではない。
メッセージ・ステップを完了するには、「
完了」をクリックします。