IBM FileNet P8, バージョン 5.2.1            

システム・マップ

すべてのワークフロー定義は、FileNet® P8 から提供される Workflow、Terminate、Malfunction システム・マップを含みます。

ワークフロー・システムは、標準処理または例外処理の過程で、必要に応じてシステム・マップを実行します。システム・マップは、すべてのワークフロー定義で単一バージョンが共有されるのではなく、ワークフロー定義ごとにシステム・マップの固有のコピーが使用されることに注意してください。

Workflow システム・マップ

各ワークフロー定義内のメインマップは、名前つきの Workflow です。ワークフロー定義を作成するか、開くと Process Designer が開始され、自動的に Workflow マップが表示されます。ワークフローが起動されると、ワーク・アイテムのワークフローで定義された Workflow マップ上の Launch ステップが実行され、処理が始まります。

Workflow マップとサブマップでのステップの編成を決めるには、まずワークフロー定義の目的を決める必要があります。ワークフローを基本的にスタンドアロンのプロセスとして使用するのであれば、すべてのステップと、ステップの主なシーケンス (サブマップがある場合) をワークフロー・マップに配置します。一方、さまざまなワークフローで継承されるサブマップのコンテナーとしてワークフロー定義を使用するのであれば、Workflow マップには最小限のステップを配置すべきです。これは継承した各ワークフロー内で Workflow マップはオーバーライドされるためです。

Terminate システム・マップと Malfunction システム・マップ

これらのシステム・マップは、通常、必要に応じてワークフロー・システムによって実行されるので考慮に入れる必要はありません。デフォルトの Terminate マップと Malfunction マップは、Process Designer 内にグラフィック表示されます。ただし、これらのマップは読み取り専用です。システムの特定の要件を満たすために、いずれかのマップに定義されている処理を変更したい場合は、オーバーライド先のシステム・マップと同じ名前を付けたサブマップをワークフロー定義内に作成すれば、その変更ができます。

重要: これらのシステム・マップのオーバーライドは、注意して行ってください。ワークフロー・システムがシステム・マップを実行する際の条件は、これらのマップをオーバーライドしても変更されることはありません。基本的に、システム・マップの定義を変更すると、後続の処理で予期しない結果が生じる可能性があります。例えば、ワーク・アイテムを削除するのではなく、ワーク・キューへ送信するように Terminate システム・マップを変更した場合、システムから完了済みワーク・アイテムを削除するための基本メカニズムが削除されます。

次に、終了と誤動作のシステム・マップの概要を示します。

終了
このマップは、Workflow マップが終了した時点で自動的に呼び出されます。(このルールの例外については、この段落の次に記載されている注記を参照してください。) デフォルトでは、Terminate マップにはステップが置かれません。このマップでは、単に、ワーク・アイテムがシステムから削除されるだけです。この Terminate マップは、TerminateProcess システム関数を使用するか、管理コンソールでワーク・アイテムを終了することによって、手動で実行できます。
注: Terminate システム・マップは、親ワーク・アイテムの終了時に実行されます。子ワーク・アイテムがその Workflow マップの終わりに到達すると、ワーク・アイテムは自動的にシステムから削除されますが、Terminate システム・マップは呼び出されません。ワークフローの実行中は、複数の参加者がいるステップ内の各参加者ごとに、また、複数のルートが分岐しているステップから同時にとられる各ルートごとに、子ワーク・アイテムが作成されます。
Malfunction
このマップは、ワークフローの実行途中でエラーが発生した場合に実行されます。ワークフロー・システムでは、ゼロによる除算、無効な日付時間マスク、または正しくない参加者などの特定のエラーの場合に、Malfunction が呼び出されます。この他にも、ソフトウェア開発者は、カスタム・ステップ・プロセッサーや他のアプリケーションを定義して、特定のエラーの発生時に Malfunction システム・マップを呼び出せます。
デフォルトでは、Malfunction マップは、管理者による確認のために、ワーク・アイテムを Conductor システム・キューに移動します。管理者が適切な修正処置を完了すると、ワーク・アイテムは以下のいずれかの状態にある呼び出し元マップに戻されます。
  • Malfunction マップが呼び出された時点で置かれていた状態 (繰り返し)
  • 次の状態 (スキップ)

「整合性のある戻り値を有効にする」ランタイム・オプションによって、どのアクションが実行されるかが決定されます。Return システム関数を Malfunction マップに追加し、必要に応じてブール式を設定して、この設定をオーバーライドすることもできます。

ワークフロー・システムでは、Malfunction システム・マップが実行される時点で、ワーク・アイテムに対して設定されているすべてのタイマーが無効になることに注意してください。
ヒント: ワークフロー・システムで Malfunction システム・マップが実行される環境は変更できませんが、ユーザー独自の例外処理のワークフロー・マップを作成し、ビジネス・プロセス内で必要に応じてそれらを呼び出すことは可能です。例えば、ソフトウェア開発者は、カスタム・ステップ・プロセッサーのコードの中に、ステップ・プロセッサーの実行中に特定のエラーが発生した場合に、ユーザー定義マップを実行する呼び出しを組み込めます。


最終更新日: 2015 年 10 月
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