IBM FileNet P8, バージョン 5.2.1            

ワーク・パフォーマーの開発

ワーク・パフォーマーは、ワークフローに関連付けられているオペレーションまたは一連のオペレーションを実行するアプリケーションです。

通常、ワーク・パフォーマーには以下のような属性があります。
  • ユーザー・インターフェースなしで設計されます。
  • ワークフロー定義の特定のステップに関連付けられるオペレーションなどの、自動ワークフロー・オペレーションの実行に使用されます。
以下に、ワークフロー・ステップに関連付けられたワーク・パフォーマー・オペレーションをいくつか示します。
  • ログインおよびワークフロー・システム・セッションの確立
  • ユーザーまたはシステム・キューのポーリング (特定のワークフロー・ステップに関連するオペレーションを検索するため)
  • 取得したオブジェクトのロッキング
  • ワークの処理 (データの更新の実行または保存など)
  • キュー・ポーリングへのサイクル・バック

ワーク・パフォーマーには、次の 2 つのタイプがあります。

Component Integrator ベースのワーク・パフォーマー

このタイプのワーク・パフォーマーは、Java™ クラスまたは Java Message Service (JMS) イベントに基づくコンポーネントです。Java コンポーネントは、ワークフローに関連付けられたすべてのオペレーションの実行に使用できます。Component Integrator は、Java または JMS のコンポーネントとインターフェースをインポートして、ワークフローのステップから利用可能にします。また、Content Platform Engine と Java キューまたは JMS (Java Message Service) キューの間のイベントの通信を管理します。ワークフロー・ステップは、その後 Java コンポーネントを呼び出して、カスタム・オペレーションを実行するか、イベントをメッセージ・キューに送信できます (JMS の場合)。

Component Integrator は、次の機能を利用します。

  • Component Manager

    Component Manager は、サービス・アダプターを構成し、このアダプターと通信します。実行時に Component Manager は、コンポーネント・キューで、Java Message Service (JMS) または Java コンポーネントによる処理を要求するワーク・アイテムをポーリングします。そして、コンポーネントを要求するワーク・アイテムを該当する次のようなサービス・アダプターに接続します。

    • Java アダプター
      Java アダプターは、Java オブジェクトに対するプロセス呼び出しを処理します。呼び出しは、Content Platform Engine に対してキュー上のオペレーション (ワーク・アイテム) として表されます。ここで、各オペレーションは Java クラスのメソッドによって実行されます。 Java アダプターは、以下の一連のアクションを実行します。
      • Java コンポーネントに対してインターフェースを実行します。
      • 自動的にコンポーネントからの応答を待機します。
      • ワーク・アイテムを更新します。
      • 次のワークフロー・ステップにワーク・アイテムをディスパッチします。
    • JMS アダプター

      メッセージを JMS キューに配置し、関連付けられたワーク・アイテムをディスパッチします。JMS アダプターは、プロセス・イベントのメッセージ・キューへの送信を処理します。この送信は、オペレーションのステップ・エレメントに基づく XML イベントの形式に従います。

  • コンポーネント・キュー

    Java コンポーネントまたは JMS コンポーネントに必要なキューを作成および構成できます。

次の図は、Component Integrator のアーキテクチャーを示します。

Component Integrator アーキテクチャー

以下のツールは、Component Integrator ベースのワーク・パフォーマーの開発に不可欠です。
  • 管理コンソールは、Java コンポーネント (クラス) および JMS コンポーネント (イベント・メッセージ) 用のキューを作成して構成するために使用するツールです。
  • Process Designer は、ワークフロー設計用の UI です。Process Designer を使用して、コンポーネント・キューに関連付けられているオペレーションをワークフロー・ステップに挿入できます。

開発の方法については、「Component Integrator ベースのワーク・パフォーマーの開発」を参照してください。

コンポーネント統合の動作方法

コンポーネント・ステップは、ワークフロー内のステップとして作成されたコンポーネントです。 実行中のワークフローにコンポーネント・ステップに到達するワーク・アイテムがある場合、Component Integrator は自動的に次の操作を実行します。

  1. パラメーター値をコンポーネント・メソッドに関連付けるプロセス・オペレーションを定義します。プロセス・オペレーションを使用すると、ワーク・アイテムのフィールド値をコンポーネント・メソッドに渡すことができます。このメソッドは、その後、自動的にワーク・アイテムのフィールド値を更新できます。
  2. コンポーネント・メソッドからの応答を待機します。
  3. コンポーネント・メソッドの実行によって生じた変更に従って、ワーク・アイテムのフィールド値を更新します。

    Component Integrator は、ワーク・アイテムの値を自動的に更新できます。一方、通常のカスタム・ステップ・プロセッサーによるデータ・フィールド値の更新は自動ではありません。 この場合は、明示的な Process Java API 呼び出しが必要です。

  4. ワーク・アイテムを保存します。
  5. ワーク・アイテムをロック解除します。
  6. ワーク・アイテムを後続のステップにディスパッチすることで、ステップを完了します。

デーモン・ベースのワーク・パフォーマー

デーモン・ベースのワーク・パフォーマーを、ワークフロー・ステップに関連付けられた通常のすべてのオペレーションの実行に使用できます。一方、Component Integrator ベースのワーク・パフォーマーの作業範囲は、ワークフロー内のすべての オペレーションです。デーモン・ベースのワーク・パフォーマーの使用例としては、キューからステップ・オペレーションを取得することが挙げられます。 (Component Integrator ベースのワーク・パフォーマーとは異なり、ポーリングを指定する必要があります)。

Process Java API を使用すると、デーモン・ベースのカスタム・ワーク・パフォーマーを作成できます。詳細については、「デーモン・ベースのワーク・パフォーマーの開発」を参照してください。



最終更新日: 2015 年 10 月
dev_work_performer_overview.htm

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