関連するプロセスのグループ全体で整合性のある処理方法を確立し、効率よくワークフロー定義を作成するには、事前に定義された他のワークフロー定義から、ワークフロー・マップ、データ・フィールド、添付ファイル、ワークフロー・グループ定義、および他のプロパティーを継承するワークフロー定義を作成します。
クラス階層の高位でワークフロー定義に共通の特性を定義し、派生するワークフロー定義にこれらの特性を自動的に引き渡せます。
すべてのワークフロー定義の基本クラスは、FileNet® P8 提供の WorkObjectEx です。ワークフロー定義は、WorkObjectEx から、システム・データ・フィールド、Terminate サブマップ、Malfunction サブマップを継承します。
別のワークフロー定義に基づいて新しいワークフロー定義を作成する場合、新しいワークフローは、その基本ワークフローから次の情報を継承します。
継承されたワークフローのプロパティー | 説明 |
---|---|
ワークフロー・マップ | 継承されたメイン・マップは新しいワークフロー内で、Launch ステップのみを持つ空白のメインマップで自動的にオーバーライドされます。継承されたメイン・マップを再度アクティブにするには、現行ワークフローのメインマップを削除します。 |
サブマップ | 継承されたサブマップは読み取り専用です。変更するには、オーバーライドします。 |
データ・フィールド、添付ファイル、およびワークフロー・グループの定義 | 継承されたフィールド、添付ファイル、およびワークフロー・グループは削除できませんが、初期値と初期記述の変更は可能です。 |
ワークフローの有効期限およびその通知 | ワークフローの有効期限とその通知は、基本ワークフローから初期化されますが、変更できます。 |
マイルストーン | 継承されたマイルストーンのレベルとメッセージは変更可能です。 |
イベント・ログおよびロスター | イベント・ログとロスターの継承された指定は、ワークフローが転送されるまでは変更可能です。 |
条件 ID | この値は、基本ワークフローから初期化されますが、変更は可能です。 |
パートナー・リンクおよび XML スキーマ | 継承されたパートナー・リンクやスキーマは変更できません。 |
XML データ・フィールド | 継承された XML データ・フィールドの値と記述は変更可能です。 |
着信 Web Services 添付ファイル・フォルダー | 着信 Web Services 添付ファイルの格納先であるフォルダーは変更可能です。 |
ルール・セット名 | 継承されたルール・セットの場合、「非同期」設定は変更可能です。 |
E メール通知の設定 | この値は、基本ワークフローから初期化されますが、変更は可能です。 |
継承されたアイテム (メイン・マップ、サブマップ、データ・フィールド、添付ファイル、ワークフロー・グループなど) は、ワークフロー定義では読み取り専用です。ただし、継承されたアイテムは、それを再定義すればオーバーライドできます。例えば、「ツール」メニューの「マップの作成」を使用すれば、既存のマップをオーバーライドできます。オーバーライドしたマップを削除すると、継承されたマップが再度、アクティブになります。
下図は、アイテムがどのように継承され、階層の中の所定のレベルでどのように置き換えられるかを示します。
Workflow-A は、以後作成するワークフロー定義のベースとなります。submap-a1 と submap-a2 は、Workflow-A から派生するすべての継承ワーク・クラスで使用される汎用目的の機能を持ち、内部で field-a1 と field-a2 を使用します。
Workflow-M は、Workflow-A をベース・ワークフローとして使用し、マップとデータ・フィールドを継承します。Workflow-M は自身のメインマップ main-M を使用し、submap-m1 と field-m1 を追加します。また親の submap-a1 を、自身のバージョンのサブマップで置換します。
Workflow-N でも Workflow-A をその基本ワークフローとして使用します。Workflow-N では、自身のメイン・マップ (main-N) を使用し、自身のサブマップとフィールドを追加します。また、Workflow-A から継承した元々の submap-a1 を使用します。
Workflow-R では、Workflow-M をその基本ワークフローとして使用して、Workflow-M からマップとフィールドを継承します。Workflow-R では、デフォルトのメイン・マップ (main-R) が削除され、継承した main-M をそのメイン・マップとして使用します。Submap-m1 は新しいバージョンで置き換えられ、field-r1 が新しく追加されます。
Workflow-R でワークフロー継承を無効にした場合は、それ以降、継承されたマップとフィールドにはアクセスできなくなります。ただし、参照はワークフロー定義に残ります。継承された main-M (メイン・マップ) は、main-R で置き換えられます。submap-m1 は、継承された submap-m1 をオーバーライドし、そのまま残ります。field-r1 は、Workflow-R で作成されたものです。
その後、継承を再び有効にすると、継承されたアイテム (サブマップ、フィールドなど) にアクセスできるようになります。ただし、メイン・マップ (この例では main-R) は引き続き、継承されたマップをオーバーライドし、F_Trackers は、引き続き、継承された F_Trackers (該当のものがある場合) をオーバーライドします。継承されたメイン・マップと F_Trackers を使用する場合は、オーバーライドしたメイン・マップと F_Trackers を削除できます。