IBM FileNet P8, バージョン 5.2.1            

Web Services の使用: パラメーターの例

この例では、Web Services を使用して同じアイソレート・リージョン内の 2 つの別個のプロセス間のやりとりを提供するワークフローのペアを作成する手順を概説します。

この例で使用する簡単なデータには、ワークフロー・パラメーターを使用できます。

表 1. Invoke ワークフローと Receive ワークフローとの間のやりとり
ワークフロー図 詳細
Invoke ワークフローと Receive ワークフローとの間のやりとり

簡単な経費承認プロセスでの、2 つのワークフロー間のやりとりを図に示します。

  • ユーザーが SubmitExpenses ワークフローを起動し、経費データ (従業員名、総額、および添付として実際の経費報告書) を提出します。
  • Invoke ステップでは、経費を承認する Web Service (ApproveExpenses ワークフローでの Receive ステップ) に要求を送信し、Web Service からの応答を待ちます。

    ApproveExpenses ワークフローは、Receive ステップに定義された Web Service の要求に応答して、自動的に起動されます。

  • Receive ステップで要求を受け入れます。
  • Review ステップで、ユーザーは要求を確認し、応答コメントを入力します。
  • Reply ステップでは、SubmitExpenses ワークフローの Invoke ステップにメッセージを送り返します。
  • 起動ユーザーは、Answer ステップで応答を表示します。

Web Service 要求を受け取る ApproveExpenses ワークフローを作成

ヒント: Receive ステップを含むワークフローを最初に作成します。この Receive Web Service によって、サービスのパラメーターと WSDL が定義されます。
  1. Process Designer で、新しいワークフローの定義を始めます。
  2. 「ワークフローのプロパティー」>>「一般」タブで、新しいワークフロー定義の名前と件名 (ApproveExpenses) を入力します。
  3. Web Service を定義します。
    1. 「ワークフローのプロパティー」にある「Web Services」の「一般」タブで、着信添付 (経費報告書) を保存するオブジェクト・ストアのフォルダーを指定します。
    2. 既存の Web Services オペレーションを確定」は選択しないでください。

      Web サービスの入出力パラメーターを何度でも変更できるようにします。

    3. パートナー・リンク」タブで、Web Service の名前 (ApproveExp) を入力し、「受信/応答」を選択します。
    4. プロセス・ポート・タイプ」にポート名 (ExpPort) を入力します。

      ヒント: データを更新するには、「タイプ」フィールドの「受信/応答」をクリックします。「パートナー・リンク」テーブルに新しいブランク行が表示されます。

  4. 「ワークフローのプロパティー」>>「データ・フィールド」で、応答メッセージの格納に使用するデータ・フィールド ReplyMsg (文字列型) を指定します。

    Web Services のパラメーターを定義する際、その他のデータ・フィールドと添付は自動的に作成できます。

  5. Web Services ステップ・パレットから、Receive ステップをワークフロー・マップにドラッグし、次のようにプロパティーを指定します。

    注: この Web Service の呼び出しに応答して、このワークフローを自動的に起動するには、Receive ステップが、Launch ステップ後の最初のステップである必要があります。

    1. 「プロパティー」ペインで、この Web Service のパートナー・リンク (ApproveExp) を選択します。
    2. 「オペレーション」に名前 (ExpOp) を入力します。
    3. パラメーター」を選択し、各入力パラメーターを指定し、対応するデータ・フィールドと添付を自動的に作成します。

      「ワークフローのプロパティー」の「データ・フィールド」で通常の方法でデータ・フィールドを作成することもできます。フィールド名をパラメーター名と一致させる必要はありません。

      表 2. パラメーター情報
      パラメーター名 タイプ データ・フィールド
      EmpName ストリング <Create> EmpName
      TotalAmount 浮動小数点型 <Create> TotalAmount
      ExpenseRpt 数値渡しの添付

      (これは、オブジェクト・ストアへの参照ではなく、実際のファイルがメッセージ添付されることを意味します。両方のワークフローが同じアイソレート・リージョン内にあり、同じオブジェクト・ストアにアクセスできるので、このワークフローではどちらのオプションも使用できます。)

      <Create> ExpenseRpt
  6. 「BPM Palette」から、「Activity Step」をワークフロー・マップにドラッグし、「レビュー」という名前を付けます。このステップでは、経費報告書のレビューアーが、添付された経費報告書を確認して応答メッセージを入力します。
    • 特定のユーザー (経費報告書のレビューアー) をステップの参加者として割り当てます (この例では、効率上、自分自身を割り当てます)。

      注: Web Service が呼び出されると、ワークフロー・システムがこのワークフローを自動的に起動するので、このワークフローのステップでは、F_Originator を割り当てることはできません。このシステムは、受信トレイを持つ正当なユーザーとみなされないからです。

    • この Activity ステップのパラメーターとして、EmpNameTotalAmountExpenseRpt、および ReplyMsg を指定して、レビューアーが経費報告書を調べて応答を入力できるようにします。ReplyMsg は読み取り書き込み可能にします。
  7. Web Services ステップ・パレットから、Reply ステップをワークフロー・マップにドラッグし、パラメーターを定義します。
    1. 「プロパティー」ペインで、Receive ステップで定義したものと同じパートナー・リンク (ApproveExp) とオペレーションを選択します。
    2. 「メッセージ・タイプ」で、「メッセージ」を選択します。
    3. 応答メッセージ用のパラメーターを指定します。
      表 3. 応答パラメーター
      パラメーター名 タイプ データ・フィールド
      ReplyParam ストリング EmpName+ReplyMsg
  8. ステップ間にルートを追加します。
  9. このワークフロー定義を検証、保存、および転送します。

Web Service を呼び出す SubmitExpenses ワークフローを作成

  1. 新しいワークフローの定義を始めます。
  2. 「ワークフローのプロパティー」>>「一般」タブで、ワークフロー定義の名前と件名 (SubmitExpenses) を入力します。
  3. Web Services を定義します。
    1. 「Web サービス」>>「パートナー・リンク」タブで、パートナー・リンクの名前 (SubmitExp) を入力します。
    2. 実行」を選択し、「WSDL URL」内の「Web Services Explorer」をクリックします。
    3. 「Web Services Explorer」ダイアログ・ボックスの「Web Services ワークフロー」を選択してから、「実行」をクリックすると、ワークフロー・システムへ転送済みの、Receive システム関数を使用したワークフローが表示されます。
    4. ApproveExpenses」を選択してから「OK」をクリックします。
    5. 「パートナー・リンク」タブで、ポート (ExpPort) を確認します。

      ヒント: タイプ」フィールドで「実行」をクリックしてデータを更新してください。「パートナー・リンク」テーブルに新しいブランク行が表示されます。

    6. 「ワークフローのプロパティー」を閉じます。
  4. Web Services ステップ・パレットから、Invoke ステップをワークフロー・マップにドラッグします。
    1. 「プロパティー」ペインで、この Web Service のパートナー・リンク (SubmitExp) を選択します。
    2. オペレーション (ExpOp) を選択します。

      Process Designer は WSDL から、発信パラメーター (呼び出されたサービスに必要な入力) および着信パラメーター (サービスからの応答) を判断します。

  5. ワークフロー・マップの Invoke ステップを選択します。「プロパティー」ペインの「発信パラメーター」で、Web Service への呼び出しメッセージのパラメーターになるデータ・フィールドを作成します(この例では、パラメーターと同じ名前を使用していますが、任意のデータ・フィールド名を指定できます)。
    表 4. 発信パラメーター
    パラメーター タイプ データ・フィールド
    EmpName ストリング EmpName
    TotalAmount 浮動小数点型 TotalAmount
    ExpenseRpt 添付ファイル ExpenseRpt
  6. 「着信パラメーター」では、Receive 側のワークフローからの応答メッセージをこのワークフローで保持するデータ・フィールドを作成します。
    表 5. 着信パラメーター
    パラメーター名 タイプ データ・フィールド
    ReplyParam 文字列型 ReplyParam
  7. 「BPM Palette」から、「Activity Step」をワークフロー・マップにドラッグし、応答メッセージを表示できるようにします。このステップを、Invoke ステップの後に配置します。
    1. ステップに、「回答」という名前を付けます。
    2. このステップの参加者としてワークフロー・グループ F_Originator (要求を送信したユーザー) を割り当てます。
    3. ReplyParam をこのステップのパラメーターとして指定します。
  8. Launch ステップを選択し、EmpNameTotalAmount、および ExpenseRpt をパラメーターとして指定します。起動ユーザーが、これらの値を指定して、経費報告書を送信します。
  9. ステップ間にルートを追加します。
  10. このワークフローの検証、保存、および起動を行います。
  11. Launch ステップで、データ・フィールド EmpNameTotalAmount に適切な値を入力し、ExpenseRpt に添付のターゲット・ドキュメントを選択して、ワークフローを起動します。
  12. 「Workplace」の「タスク」で、経費報告書のレビューアーとしてログオンします。受信トレイで、ApproveExpenses のレビュー・ステップを開きます。
    1. データ・フィールドと添付を確認します。
    2. ReplyMsg フィールドに何らかのメッセージ (「承認」「却下」などのメッセージ) を入力します。
    3. ステップを完了します。
  13. 起動ユーザーとしてログオンし、受信トレイの回答ステップを開きます。
  14. ReplyMsg を確認します。EmpName + ReplyMsg に入力したメッセージが含まれるはずです。


最終更新日: 2015 年 10 月
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