IBM FileNet P8, バージョン 5.2.1            

ソーシャル・コラボレーション

Content Engine API は、クライアント・アプリケーションに実装可能なドキュメント・コラボレーション操作をサポートします。 ユーザーは、タグ、コメント、および推奨を作成し、それらを Document オブジェクトに適用することができます。管理者は、サーバーによって生成されたコラボレーション要約およびダウンロード履歴を取得できます。
重要: ソーシャル・コラボレーション API サポートのためには、Social Collaboration Base Extensions アドオンと前提条件アドオンが必要です。

Social Collaboration Base Extensions アドオンは以下のクラスを提供します。

タグ

タグは、ユーザーが作成できるオブジェクトであり、ClbTag クラスによって表されます。タグは、標準ファクトリー・メソッドを使用して作成されます。

バージョン・シリーズ内の各バージョンに対して 1 つのタグ・オブジェクトを作成できます。同じユーザーがバージョン・シリーズ内の 1 つのバージョンに複数のタグを関連付けることはできません。関連付けられているバージョン・シリーズが削除されると、すべてのタグ・オブジェクトが削除されます。

ドキュメントのタグを作成するには、ユーザーは、そのドキュメントに対する AccessRight.WRITE 権限を持っている必要があります。

タグを作成したユーザーは、そのタグを削除できます。別のユーザーによって作成されたタグを削除するには、ユーザーは、リリース済みドキュメント・バージョン (リリース済みバージョンを使用できない場合は現在のバージョン) に対する AccessRight.DELETE 権限と AccessRight.WRITE 権限を両方とも持っている必要があります。

タグ・オブジェクトは、個別に保護可能なオブジェクトで、タグ付けされた Document オブジェクトから ClbSummaryData オブジェクトを通じてセキュリティーを継承します。ClbSummaryData からのセキュリティーの継承は、ClbSecuringVersion プロパティーからのフローです。チーム・スペース内のドキュメントのセキュリティーは、チーム・スペース自体とは異なることがあります。そのため、ドキュメントまたはタグに対する表示権限を持っているチーム・スペース・メンバーがいない可能性もあります。

ドキュメント・コメント

コメントは、ユーザーが作成できるオブジェクトであり、ClbDocumentComment クラスによって表されます。コメントは、標準ファクトリー・メソッドを使用して作成されます。

バージョン・シリーズ内の各バージョンに対して複数のコメント・オブジェクトを作成できます。同じユーザーがバージョン・シリーズ内の 1 つのバージョンに複数のコメントを関連付けることができます。関連付けられているバージョン・シリーズが削除されると、すべてのコメント・オブジェクトが削除されます。

AccessRight.VIEW-CONTENT 権限を持つユーザーは、Document オブジェクト上でコメントを作成できます。コメント・オブジェクトは、ClbSummaryData オブジェクトを通じて、ドキュメントからセキュリティーを継承します。ClbSummaryData からのセキュリティーの継承は、ClbSecuringVersion プロパティーからのフローです。

コメントを削除できるのは、そのコメントを作成したユーザーか、ドキュメントが属しているチーム・スペースでの AccessRight.DELETE 権限を持つユーザーのみです。

推奨

推奨は、ユーザーが作成できるオブジェクトであり、ClbRecommendation クラスによって表されます。推奨は、標準ファクトリー・メソッドを使用して作成されます。

各ユーザーがバージョン・シリーズ上で 1 つの推奨オブジェクトを作成できます。関連付けられているバージョン・シリーズが削除されると、すべての推奨オブジェクトが削除されます。

AccessRight.VIEW-CONTENT 権限を持つユーザーは、Document オブジェクト上で推奨を作成できます。推奨は、個別に保護可能なオブジェクトですが、ClbSummaryData オブジェクトを通じて、推奨された Document オブジェクトからもセキュリティーを継承します。ClbSummaryData からのセキュリティーの継承は、ClbSecuringVersion プロパティーからのフローです。

推奨を削除できるのは、その推奨を作成したユーザーか、ドキュメントが属しているチーム・スペースでの AccessRight.DELETE 権限を持つユーザーのみです。

ダウンロード・レコード

ダウンロード・レコードは、ClbDownloadRecord クラスによって表されます。認証済みユーザーがバージョン・シリーズ内のドキュメントを最初にダウンロードするときに、サーバーでダウンロード・レコード・オブジェクトが生成されます。 同じユーザーがその後でダウンロードするときには、そのダウンロード・レコード・オブジェクトが更新されます。ダウンロード・レコードをアプリケーションによって作成、変更、削除することはできません。

注: ダウンロード・レコードの生成は、ClbCollaborationConfiguration オブジェクトを使用して無効にすることができます。

ダウンロード・レコード・オブジェクトは、ClbSummaryData オブジェクトを通じて、Document オブジェクトからセキュリティーを継承します。ClbSummaryData からのセキュリティーの継承は、ClbSecuringVersion プロパティーからのフローです。

サーバーは、ドキュメント・ダウンロードに対して以下のように応答します。

  • ドキュメントのバージョンをダウンロードする認証済みユーザーごとに、1 つのダウンロード・レコード・インスタンスを作成します。
  • 認証済みユーザーまたは匿名ユーザーによるダウンロードごとに、関連付けられている ClbSummaryData オブジェクトでのダウンロード・カウントを増やします。ClbSummaryData クラスには 2 つの別個のカウンター・プロパティーがあることに注意してください。1 つは認証済みユーザーによるダウンロード用、もう 1 つは匿名ユーザーによるダウンロード用です。
  • 認証済みユーザーのダウンロード・レコードでは、ドキュメントの最も高いメジャーおよびマイナー・バージョン、およびそのバージョンがダウンロードされた時刻を記録します。
  • 匿名ユーザーの場合は、単にダウンロードをカウントします。サーバーは、匿名ユーザー用のダウンロード・レコード・オブジェクトを生成しません。
  • ClbCollaborationConfiguration オブジェクト内で設定されたセキュリティー認証情報に基づいて、ダウンロード・レコードの生成を抑止します。
  • 関連付けられているドキュメント・バージョン・シリーズの存続時間に基づいて、ダウンロード・レコードの存続時間を制御します。ドキュメント・バージョン・シリーズが削除されると、すべての子ダウンロード・オブジェクトも削除されます。

要約データ

要約データ・オブジェクトは ClbSummaryData クラスによって表されます。 要約データ・オブジェクトは、ソーシャル・コラボレーション・アクションが呼び出されるときに、サーバーによって作成されます。このオブジェクトは、ドキュメント・バージョン・シリーズに関連付けられていて、その内部には、そのバージョン・シリーズに関連付けられているすべてのソーシャル・コラボレーション・オブジェクトの列挙とカウンターが含まれています。アプリケーションが要約データ・オブジェクトを作成、削除、変更することはできません。

要約データ・オブジェクトの作成をトリガーするアクションは、以下のとおりです。

  • ユーザーがドキュメントをダウンロードします。
  • ユーザーがドキュメントを推奨します。
  • ユーザーがドキュメントにタグを付けます。
  • ユーザーがドキュメントにコメントを付けます。
  • ユーザーがチーム・スペース内でドキュメントをファイリングします。

要約データ・オブジェクトは、ClbSecuringVersion プロパティーからセキュリティーを継承します。サーバーは、このプロパティーを更新して、プロパティーが常にドキュメントのリリース済みバージョン (リリース済みバージョンを使用できない場合は現在のバージョン) に設定されるようにします。

要約データ・オブジェクトは、それに関連付けられているドキュメントのすべてのバージョンが削除されると、削除されます。要約データ・オブジェクトが削除されると、ドキュメントに関連付けられているすべてのダウンロード・レコード、タグ、推奨、およびコメントがカスケード削除されます。

コラボレーション構成

コラボレーション構成オブジェクトは、ClbCollaborationConfiguration クラスによって表されます。 このオブジェクトはダウンロードの記録操作を制御します。

コラボレーション構成オブジェクトは、Social Collaboration Base Extensions アドオンがオブジェクト・ストア内にインポートされるときにサーバーによって作成されます。インポートされたインスタンスには固定オブジェクト ID が付けられ、インスタンスの取得はその固定オブジェクト ID を使用して行われます。サーバーによって生成されたインスタンスは削除しないでください。

コラボレーション構成オブジェクトは、管理のための使用のみを目的としています。通常、このオブジェクトへのアクセスは、カスタム・アプリケーションではなく、IBM® Administration Console for Content Platform Engine によって行われます。



最終更新日: 2015 年 10 月
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