IBM Enterprise Records バージョン 5.1.2   

IBM Enterprise Records コンポーネント

IBM® Enterprise Records では、レコードはデータ・モデル、オブジェクト・ストア、ファイル・プランなどのレコード管理コンポーネントを含む階層構造に格納されます。

データ・モデル

IBM Enterprise Records アプリケーションをインストールする前に、レコード管理の要件に最も一致するインストール・タイプ (データ・モデル) を選択する必要があります。データ・モデルとは、特定のレコード管理標準に準拠する、ファイル・プラン・オブジェクト・ストアのためのテンプレートです。データ・モデルは、メタデータおよびセキュリティー機能を格納できます。

データ・モデルは、ご使用の環境に追加できるアドオンに含まれています。選択したデータ・モデルを使用するようにオブジェクト・ストアを構成できます。

ファイル・プラン・オブジェクト・ストアを作成するときに、データ・モデルを選択する必要があります。 選択できるデータ・モデルは以下の通りです。
Base
レコード管理のコア機能およびプロパティーを提供します。最小限の数のプロパティーを追加して大部分の組織で機能するため、Base データ・モデルは最も一般的なインストールです。Base データ・モデルは、機能上は DoD ベースライン・データ・モデルと同じ機能を備えています。Base データ・モデルは、ほとんどのレコード管理要件を満たすのに充分なモデルです。ただし、DoD、DoD 分類、または PRO 標準のいずれにも準拠していません。
DoD ベースライン
米国国防総省 (DoD) 5015.2 ベースライン標準を満たしています。 この米国国防総省文書では、米国国防総省の標準に従ってレコードを管理する方法について説明されています。さらに、DoD ベースライン・データ・モデルでは、特定のシステム・インターフェースと検索基準が定義されています。このデータ・モデルは、現在の米国国立公文書館 (NARA) の規則に基づく最低限のレコード管理要件も示します。
DoD 分類
米国国防総省 (DoD) の第 4 章について、分類レコードの管理などの要件を満たしています。DoD 分類標準のバージョン 2 (DoD 5015.2) で分類レコードの管理に必要とされるプロパティーが含まれています。
公文書館 (PRO)
(英国標準による) 公文書館の要件を満たします。 PRO 2002 標準で必要とされるプロパティーが含まれています。 PRO データ・モデルは非推奨です。

オブジェクト・ストア

オブジェクト・ストアは、オブジェクト、およびこれらのオブジェクトに対する一連の付随する格納サービスと検索サービスのリポジトリーです。オブジェクト・ストアは、次のいずれかのタイプとすることができます。
ファイル・プラン・オブジェクト・ストア (FPOS)
ファイル・プラン、つまり作成するレコード管理エンティティーの階層全体が含まれます。
レコード対応オブジェクト・ストア (ROS)
FPOS でレコードとして宣言できるドキュメントが含まれます。
レコード (メタデータ) 用のオブジェクト・ストアとレコードとして宣言されるドキュメント用のオブジェクト・ストアを別個に構成します。したがって、FPOS にはファイル・プラン構造が含まれ、ROS にはレコードとして宣言されるドキュメントが含まれます。レコードを分類するのに必要なレコード管理オブジェクトを含めるには、ファイル・プラン・オブジェクト・ストア・リポジトリーが必要になります。レコードとして宣言できるドキュメントを含めるには、レコード対応オブジェクト・ストア・リポジトリーが必要になります。通常、多くのユーザーが ROS へのアクセス権を持ちますが、FPOS のファイル・プランを構成するエンティティーへのアクセス権を持つユーザーは多くありません。1 つの FPOS に複数の ROS を関連付けることができます。

ドキュメントの格納方法、レコードとしての宣言方法、および廃棄のスケジュールを行う方法を決定する必要があります。サイトの要件に最大限に対応するように、ファイル・プラン、オブジェクト・ストア、レコード・カテゴリー、およびレコードを編成します。例えば、ファイル・プランは、保存スケジュールをサポートするためにレコード管理システムが使用する構造化ファイリング・スキーマです。このスキーマは、ビジネス分類スキームを基にしています。すべての企業に対する普遍的なファイル・プランは存在しません。各ファイル・プランは固有で、企業や組織が取り扱う業務に応じて異なります。ファイル・プランの目的は、レコード管理者がレコードの保存と廃棄を管理することです。レコード管理ポリシーを適用するために使用されます。

以下の図は、これらのエンティティーの階層構造を示しています。

図 1. IBM Enterprise Records の階層構造この図はレコードの階層構造を示しており、ファイル・プラン・オブジェクト・ストアが最上位にあります。

ファイル・プラン

ファイル・プランでは、レコードの編成が定義されます。ファイル・プランでは、レコードのコンテキストを保存する構造化階層にレコードを格納します。例えば、LEG100 カテゴリーには、Legal contracts related to xxx という定義が指定されているとします。 このため、LEG100 カテゴリーに置かれているレコードのファイル・プラン・ロケーションを確認することにより、レコードがどういうものであるかというコンテキストが理解できます。組織のビジネス機能を反映するファイル・プランを作成することができます。 さらに、これらのビジネス機能に基づいたファイル・プランの下でレコードを分類することができます。人事や財務の組織に関するファイル・プランを作成することができます。

また、命名パターンをファイル・プランに関連付けることもできます。ファイル・プランの下に作成されたエンティティーはすべて、レコード命名パターンに従います。命名パターンでは、レコード・カテゴリー、レコード・フォルダー、およびレコードに自動的に命名して、規則に適合させる方法を提供します。例えば、レコード・フォルダーの命名規則を、年、スペース、包含するカテゴリーの件名 (メタデータ)、スペース、および 5 桁の番号 (2006 LOAN 00005) とすることができます。レコードに自動的に命名するために、命名パターンを親コンテナーに関連付けることができます。レコード・パターンは、コンテナーのプロパティーです。そのコンテナーの中で宣言されたすべてのレコードはパターン・シーケンスの次の名前を取得し、構成された値に従って増分します。

ファイル・プラン階層の概要の例を以下に示します。
General management (category)
     Correspondence files (folder)
     Program briefings (folder)
          2013 Management training conference (volume)
          2014 Management training conference (volume)
Information management (category)
     Correspondence files (folder)
     Operator's number sheets (folder)

レコード・カテゴリー

レコード・カテゴリーとは、ファイル・プラン内の一連の関連レコードを分類したものです。レコード・カテゴリーは、機能カテゴリーに基づいてレコードを分類するために作成されます。最も一般的なファイル・プランでは、機能ラインに従ってレコードが分類されます。ファイル・プランの最上位には、法務、営業、人事などの主要な機能があります。これらの各機能に従うことにより、レコードをより詳細に分類します。機能カテゴリーを使用している場合は、ファイル・プランの開始点でこのカテゴリーを使用しています。HR のレコードは、Legal とは別のツリーにあります。このため、契約書を所有している場合、この契約書は属する機能領域に応じて Legal ツリーまたは HR ツリーに置かれます。レコード・カテゴリーには、サブカテゴリーまたはレコード・フォルダーを含めることができますが、両方を含めることはできません。保存および廃棄ルールを各カテゴリーに関連付けることができます。これらのルールは、カテゴリー内で作成されたすべてのレコード・フォルダーとレコードに適用されます。

レコード・フォルダー

レコード・フォルダーとは、関連レコード用のコンテナーのことです。レコード・フォルダーを使用すると、指定した保存期間および廃棄イベントに従ってレコードを管理することができます。 例えば、送り状が Invoice フォルダーにファイリングされているとします。 フォルダー内には常にオープン・ボリュームが存在します。新規ボリュームは定期的 (週、月、四半期) に開かれます。新規ボリュームが作成されると、古いボリュームは閉じられ、廃棄が開始されます。ボリューム内の送り状はすべて、ボリュームの期限が切れたときに削除されます。このため、レコード内の情報 (ContractClosed など) に基づいた廃棄は行われません。 指定した期間のレコードはすべて、単一のユニットとして自動的に削除されます。カテゴリーの下に電子レコード・フォルダー、物理レコード・フォルダー、およびハイブリッド・レコード・フォルダーを作成して、電子レコードおよび物理レコードを管理することができます。
電子フォルダー
電子レコードを格納するのに使用されます。電子フォルダーには、マーカーを含めることもできます。マーカーとは、物理ファイルに格納できない物理レコード用の電子エントリーのことです。このようなレコードには、大規模な建築計画、ビデオ・テープ、データベースなどがあります。前の図に表示されている物理レコードの場合、そのレコードを指すマーカーがフォルダーに格納されているものになります。
物理フォルダー
紙のレコードなど、物理アイテム用のレコードを格納します。物理フォルダーは、紙のフォルダーの仮想エントリーです。組織における物理的な格納構造に基づき、物理フォルダーの階層を IBM Enterprise Records でモデル化できます。
ボックス
他の物理エンティティーを含む物理エンティティーをモデル化します。 例えば、倉庫を作成し、その中に棚、その中にボックス、その中に物理フォルダーと作成できます。ボックスには、別のボックス、物理フォルダー、またはレコードを含めることができます。
ハイブリッド・フォルダー
電子レコードと物理レコードの両方を含めることができます (このタイプの結合コレクションが必要な場合)。ハイブリッド・フォルダーには、1 つ以上のボリュームを含めることもできます。電子フォルダーとハイブリッド・フォルダーの間には、動作上の差異はありません。ただし、ハイブリッド・フォルダーには、物理エンティティーを記述するより多くのメタデータがあります。このメタデータには、物理レコードの現在の場所であるホーム・ロケーションが含まれています。

ボリューム

ボリュームとは、レコード・フォルダーをより小さな管理しやすい単位に分割した論理サブディビジョンです。1 つのボリュームは、1 つのフォルダーにのみ存在することができます。レコード・フォルダーには常に最低 1 つのボリュームが含まれており、これはレコード・フォルダーの作成時にシステムによって自動的に作成されます。その後、レコード・フォルダー内に任意の数のボリュームを作成できるようになります。

レコード

レコードは、IBM Enterprise Records の管理下におかれているドキュメントまたは物理オブジェクトに関するメタデータを提供します。レコードは、レコードが作成されたレコード・フォルダーから一部の動作を継承することができます。 例えば、親レコード・フォルダーの廃棄スケジュールを継承します。レコードは、以下のタイプに分類することができます。
電子レコード
電子レコードは、電子ドキュメントを指し示します。
マーカー
マーカーは、物理オブジェクトまたは紙のドキュメントを指し示します。
重要レコード
重要レコードは、全社レベルの緊急時に業務責任を果たすために必要不可欠なレコードです。重要レコードは、定期的にレビューして更新する必要があります。
パーマネント・レコード
パーマネント・レコードは、組織によって継続的な保護を確実に行うに値する、十分な過去に関する価値またはその他の価値を持ちます。この保護は管理上、法律上、または会計上の目的で通常必要とされる期間を過ぎても継続されます。

レコード・タイプ

レコード・タイプとは、レコード間の共通の機能に基づいたレコードの分類のことです。レコードのグループが、レコード・カテゴリーまたはレコード・フォルダーに関連付けられているものとは異なる廃棄スケジュールを持つ場合に、レコード・タイプを使用します。

例えば、会計または給与計算の目的で、従業員のレコード・ファイルを 12 年間保持する必要があるとします。その場合、7 年間しか保持する必要がない業績評価レコードに対しては、廃棄スケジュールの異なるレコード・タイプを作成することができます。 このレコード・タイプに業績評価レコードを関連付けることにより、従業員レコード・ファイルが削除される前に評価レコードを削除することができます。



フィードバック

最終更新: 2013 年 11 月
frmpp077.htm

© Copyright IBM Corp. 2013