使用者の手引きおよび解説書

地理情報索引が生成される方法

地理情報索引は、エンベロープ を使用して生成されます。エンベロープは、図形そのもので、特定の図形の X と Y の長さのうち最小のものと最大のものを表します。ほとんどの図形では、エンベロープは箱型です。ただし水平折れ線と垂直折れ線の場合、エンベロープは 2 つのポイント間の折れ線になります。ポイントの場合、エンベロープはポイントそのものになります。エンベロープについての詳細は、エンベロープを参照してください。

格子を利用して各図形のエンベロープの交差部分について 1 つまたは複数の項目を作成することにより、地理情報索引が地理情報列に対して作成されます。交差部分は、図形の内部 ID として、また交差部分となる格子セルの X および Y 座標の最小値として記録されます。たとえば、図 7 のポリゴンは、座標 (20,30)、(30,30)、(40,30)、(20,40)、(30,40)、(40,40)、(20,50)、 (30,50)、(40,50) の格子と交差します。 図 7 の全図形の X および Y 座標の最小値については、 表 39 を参照してください。

複数の格子レベルが存在する場合、地理情報エクステンダーは可能な限り低い格子レベルを使おうとします。所定のレベルにおいて、1 つの図形が 4 つ以上の格子セルと交差する場合は、レベルが次に大きいレベルに昇格します。したがって、10.0e0、100.0e0、そして 1000.0e0 の 3 つの格子レベルのある地理情報索引の場合、地理情報エクステンダーはまず、レベル 10.0e0 の格子と各図形を交差させます。指定した図形が 4 つ以上の 10.0e0 格子セルと交差している場合、昇格してレベル 100.0e0 の格子で交差するようになります。 4 つ以上の交差が 100.0e0 レベルで生じていると、この図形は 1000.0e0 レベルへ昇格します。これが一番高いレベルになるので、交差部分は 1000.0e0 レベルで地理情報索引に入力されなければなりません。

図 7 では、 4 つの異なるタイプの図形が 10.0e の格子と交差しています。地理情報索引には、4 つの図形の 23 の交差部分すべてが記録されます。

図 7. 10.0e0 格子レベルの適用

[図]

表 39 には、図形とそれに対応する格子の交差部分がリストされています。 4 つの異なるタイプの図形のエンベロープが、10.0e の格子と交差しています。地理情報索引には、交差されている各格子セルの最小 X 座標および Y 座標が入力されます。

表 39. 図形例の 10.0e0 格子セルの項目
図形 格子 X 格子 Y

ポリゴン

20.0

30.0

ポリゴン

30.0

30.0

ポリゴン

40.0

30.0

ポリゴン

20.0

40.0

ポリゴン

30.0

40.0

ポリゴン

40.0

40.0

ポリゴン

20.0

50.0

ポリゴン

30.0

50.0

ポリゴン

40.0

50.0

垂直折れ線

50.0

30.0

垂直折れ線

50.0

40.0

垂直折れ線

50.0

50.0

ポイント

20.0

20.0

水平折れ線

20.0

20.0

水平折れ線

30.0

20.0

水平折れ線

40.0

20.0

水平折れ線

50.0

20.0

水平折れ線

60.0

20.0

水平折れ線

20.0

30.0

水平折れ線

30.0

30.0

水平折れ線

40.0

30.0

水平折れ線

50.0

30.0

水平折れ線

60.0

30.0

図 8 には、格子レベル 30.0e0 および 60.0e0 を追加することにより交差部分の数が 8 まで激減した様子が示されています。この場合、図形 1 のポリゴンは格子レベル 30.0e0 に昇格し、図形 4 の折れ線は格子レベル 60.0e0 へ昇格します。 10.0e0 レベルでは、その図形には 9 と 10 の交差部分がありましたが、昇格後は交差部分は 2 つだけになります。

図 8. 格子レベル 30.0e0 と 60.0e0 を追加したときの結果. 図形 1 の多角形のエンベロープは、9 つの格子セルと交差しています。 図形 2 の垂直折れ線のエンベロープは、3 つの格子セルと交差しています。 図形 3 のポイントのエンベロープが交差しているのは、1 つの格子セルだけです。 図形 4 の折れ線のエンベロープは、10 の格子セルと交差しています。

[図]

地理情報エクステンダーは CREATE INDEX ステートメントで指定された格子レベル・パラメーターを取り、個々の地理情報オブジェクトを調べて、オブジェクトが存在する格子ブロックの座標と番号を判別します。 図 8 の場合、格子レベル 10.0e0、30.0e0、および 60.0e0 では、線が太くなっていたり、グレーの濃さが異なっていたりしています。垂直折れ線とポイント・エンベロープ・セルとの交差部分は 4 つ未満なので、 10.0e0 格子レベルの索引に入力されます。ポリゴンは 9 つの 10.0e0 格子セルと交差するので、30.0e0 格子レベルへ昇格します。このレベルでは、ポリゴンは 2 つの格子セルと交差しており、その交差部分が索引に入力されます。図形 4 の折れ線は 10 の 10.0e0 格子セルと交差するので、30.0e0 格子レベルへ昇格します。このレベルでも 6 つの格子セルと交差するため、60.0e0 格子レベルへ昇格します。ここでは交差部分が 2 つとなります。したがって、折れ線 60.0e0 の格子との交差部分が索引に入力されます。このレベルで折れ線との交差部分が 4 つ以上となっても、図形を昇格できる最高のレベルであるため、その交差部分が索引に入力されます。

表 40. 3 層索引での図形の交差部分

図形

格子 X

格子 Y

レベル 1 (10.0e0 格子サイズ) での垂直折れ線とポイントとの交差部分

2

50.0

30.0

2

50.0

40.0

2

50.0

50.0

3

20.0

20.0

レベル 2 (30.0e0 格子サイズ) でのポリゴンの交差部分
1 0.0 30.0
1 30.0 30.0
レベル 3 (60.0e0 格子サイズ) での折れ線の交差部分
4 0.0 0.0
4 60.0 0.0

地理情報エクステンダーは、実際にはどのような種類のポリゴン格子構造も作成しません。さらに地理情報エクステンダーは、列の地理情報参照システムの X、Y オフセットで原点を定義することにより、それぞれの格子レベルをパラメーターで示します。その後、格子を正の座標空間に展開します。パラメトリック格子を使用することにより、地理情報エクステンダーは交差部分を数学的に生成します。


[ ページのトップ | 前ページ | 次ページ | 目次 | 索引 ]