使用者の手引きおよび解説書

座標系の概要

地理情報参照システムの事前割り当てテキスト表現では、地理情報参照システムの情報についての標準的なテキスト表現が提供されています。事前割り当てテキスト表現の定義は、 Petrotechnical Open Software Corporation/European Professional Surveyors Group (POSC/EPSG) 座標系データ・モデルの後にモデル化されています。

地理情報参照システムは、地理座標系 (緯度・経度)、投影座標系 (X、Y)、または地球を中心とした座標系 (X、Y、Z) です。この座標系は、いくつかのオブジェクトで構成されています。各オブジェクトには、大文字のキーワード (たとえば、DATUM または UNIT) があり、その後に続く括弧内にはオブジェクトを定義するパラメーターがコンマで区切られて示されます。一部のオブジェクトは他のオブジェクトで構成されており、この場合、結果はネスト構造になります。

注:
実装においては、標準の括弧 ( ) を大括弧 [ ] に置き換えることができますが、両方の形式の括弧を読み込めるようにしておく必要があります。

大括弧を使用した、座標系のストリング表現に関する EBNF (拡張バッカス正規形式) 定義は次のとおりです (大括弧の使用法については上記を参照)。

<coordinate system> = <projected cs> | <geographic cs> | <geocentric cs>
<projected cs> = PROJCS["<name>", <geographic cs>, <projection>, {<parameter>,}*
                <linear unit>]
<projection> = PROJECTION["<name>"]
<parameter> = PARAMETER["<name>", <value>]
<value> = <number>

データ・セットの座標系は、データが投影座標にある場合は PROJCS キーワードで (地理座標にある場合は GEOGCS で、地球を中心とした座標にある場合は GEOCCS で) 識別されます。 PROJCS キーワードの後には、投影座標系を定義するすべての「要素」が続きます。どのオブジェクトでも、最初の要素となるのは名前です。投影座標系の名前の後には、地理座標系、地図の投影、 1 つ以上のパラメーター、そして線形計測単位など、いくつかのオブジェクトが続きます。投影座標系のすべては、地理座標系に基づいているので、投影座標系に固有な要素についてまず説明します。たとえば、NAD83 データの UTM ゾーン 10N は、次のように定義されます。

PROJCS["NAD_1983_UTM_Zone_10N",
<geographic cs>,
PROJECTION["Transverse_Mercator"],
PARAMETER["False_Easting",500000.0],
PARAMETER["False_Northing",0.0],
PARAMETER["Central_Meridian",-123.0],
PARAMETER["Scale_Factor",0.9996],
PARAMETER["Latitude_of_Origin",0.0],
UNIT["Meter",1.0]]

この名前といくつかのオブジェクトは、地理座標系のオブジェクトをデータ、本初子午線、角度の計測単位の順に定義します。

<geographic cs> = GEOGCS["<name>", <datum>, <prime meridian>, <angular unit>]
<datum> = DATUM["<name>", <spheroid>]
<spheroid> = SPHEROID["<name>", <semi-major axis>, <inverse flattening>]
<semi-major axis> = <number>
    (semi-major axis is measured in meters and must be > 0.)
<inverse flattening> = <number>
<prime meridian> = PRIMEM["<name>", <longitude>]
<longitude> = <number>

NAD83 上の UTM ゾーン 10 の地理座標系のストリングは、次のようになります。

GEOGCS["GCS_North_American_1983",
DATUM["D_North_American_1983",
SPHEROID["GRS_1980",6378137,298.257222101]],
PRIMEM["Greenwich",0],
UNIT["Degree",0.0174532925199433]]

UNIT オブジェクトで、角度または線形の計測単位を表すことができます。

<angular unit> = <unit>
<linear unit> = <unit>
<unit> = UNIT["<name>", <conversion factor>]
<conversion factor> = <number>
 

変換係数には、単位あたりのメートル数 (線形の単位の場合) または単位あたりのラジアン数 (角度の単位の場合) を指定します。この値はゼロより大きくなければなりません。

それで、UTM ゾーン 10N の完全ストリング表示は、次のようになります。

PROJCS["NAD_1983_UTM_Zone_10N",
GEOGCS["GCS_North_American_1983",
DATUM[ "D_North_American_1983",SPHEROID["GRS_1980",6378137,298.257222101]],
PRIMEM["Greenwich",0],UNIT["Degree",0.0174532925199433]],
PROJECTION["Transverse_Mercator"],PARAMETER["False_Easting",500000.0],
PARAMETER["False_Northing",0.0],PARAMETER["Central_Meridian",-123.0],
PARAMETER["Scale_Factor",0.9996],PARAMETER["Latitude_of_Origin",0.0],
UNIT["Meter",1.0]]

地球を中心とした座標系は、地理座標系とよく似ています。

<geocentric cs> = GEOCCS["<name>", <datum>, <prime meridian>, <linear unit>]


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