コマンド解説書

RESTORE DATABASE

BACKUP DATABASE を使用してバックアップされた損傷のある、 または破壊されたデータベースを再作成します。 復元されたデータベースは、バックアップ・コピーが行われた時と同じ状態になります。 このユーティリティーは、新規のデータベースに復元できるほかに、 バックアップ・イメージのデータベース名と異なる名前のデータベースにも復元することができます。

このユーティリティーは、 DB2 の前の 2 つのバージョンによって生成されたバックアップ・イメージを復元するためにも使用できます。 移行が必要な場合、これは復元の終了時に自動的に発行されます。

バックアップ操作のときに、データベースがすべてのロールフォワード回復に対して使用可能である場合、 RESTORE DATABASE が正常に実行された後に、ROLLFORWARD DATABASE コマンドを出すことによって、 データベースを損傷または破壊が起きる前の状態に戻すことができます。

このユーティリティーは、表スペース・レベルのバックアップから復元することもできます。

異なるワークステーション・プラットフォームにバックアップしたデータベースを復元するには、 db2move - データベース移動ツールを使用します。

効力範囲

このコマンドは、それが実行されたノードに対してだけ影響を与えます。

許可

既存のデータベースに復元するには、以下のどれかが必要です。

新規データベースに復元するには、以下のどれかが必要です。

必須接続

データベース (既存のデータベースに復元する場合)。

インスタンスおよびデータベース (新規データベースに復元する場合)。 インスタンスの接続は、データベースを作成するのに必要です。

新規のリモート・データベースに復元するには、 まず新規データベースを置くインスタンスに接続する必要があります。

コマンド構文

>>-RESTORE----+-DATABASE-+--source-database-alias--------------->
              '-DB-------'
 
>-----+-| restore-options |-+----------------------------------><
      +-CONTINUE------------+
      '-ABORT---------------'
 
restore-options
 
|---+---------------------------------------+------------------->
    '-USER--username--+------------------+--'
                      '-USING--password--'
 
>-----+--------------------------------------------------------+>
      +-TABLESPACE ONLINE--------------------------------------+
      |                .-,------------------.                  |
      |                V                    |                  |
      +-TABLESPACE--(-----tablespace-name---+---)--+---------+-+
      |                                            '-ONLINE--' |
      '-HISTORY FILE--+---------+------------------------------'
                      '-ONLINE--'
 
>-----+---------------------------------------------------------+>
      +-USE TSM--+-------------------------------+--------------+
      |          '-OPEN--num-sessions--SESSIONS--'              |
      |       .-,----------------.                              |
      |       V                  |                              |
      +-FROM------+-directory-+--+------------------------------+
      |           '-device----'                                 |
      '-LOAD--shared-library--+-------------------------------+-'
                              '-OPEN--num-sessions--SESSIONS--'
 
>-----+----------------------+---+-----------------------+------>
      '-TAKEN AT--date-time--'   '-TO--target-directory--'
 
>-----+------------------------------+-------------------------->
      '-INTO--target-database-alias--'
 
>-----+------------------------+-------------------------------->
      '-NEWLOGPATH--directory--'
 
>-----+-----------------------------+--------------------------->
      '-WITH--num-buffers--BUFFERS--'
 
>-----+----------------------+---+---------------------+-------->
      '-BUFFER--buffer-size--'   '-DLREPORT--filename--'
 
>----+------------------+---+----------+----+-----------------+->
     '-REPLACE EXISTING-'   '-REDIRECT-'    '-PARALLELISM--n--'
 
>----+-------------------------+---+------------------+--------->
     '-WITHOUT ROLLING FORWARD-'   '-WITHOUT DATALINK-'
 
>----+-------------------+--------------------------------------|
     '-WITHOUT PROMPTING-'
 

コマンド・パラメーター

DATABASE source-database-alias
バックアップが取得されるソース・データベースの別名です。

CONTINUE
コンテナーが再定義されていること、 およびリダイレクトした復元の最終ステップを実行する必要があることを指示します。

ABORT
リダイレクトした復元を停止します。 これは、1 つまたは複数のステップを繰り返す必要があるエラーが発生したときに便利です。 ABORT オプションを指定して RESTORE DATABASE を発行した後、 REDIRECT オプションを指定した RESTORE DATABASE を含む、 リダイレクトした復元の各ステップを繰り返す必要があります。

USER username
データベースが復元される際のユーザー名を識別します。

USING password
ユーザー名を承認するために使用するパスワード。 パスワードを省略すると、ユーザーに入力を求めるプロンプトが出ます。

TABLESPACE tablespace-name
復元される表スペースを指定するときに使用する名前のリストです。

ONLINE
このキーワードは、表スペース・レベル復元を行う場合のみ適用でき、 オンラインでバックアップが復元できることを指定します。 これは、他のエージェントが、 バックアップの復元中にデータベースに接続できることや、 表スペースのリストの復元中に他の表スペースのデータを使用できることを意味します。

HISTORY FILE
このキーワードは、バックアップから活動記録ファイルを復元するのに、 指定されます。

USE TSM
データベースが TSM 管理の出力から復元されることを指示します。

OPEN num-sessions SESSIONS
TSM またはベンダー製品とともに使用する入出力セッションの数です。

FROM directory/device
バックアップ・イメージがあるディレクトリーまたは装置。 USE TSM、FROM、および LOAD が省略される場合には、 省略時値は現行ディレクトリーです。

注:OS/2 または Windows オペレーティング・システムでは、 DB2 が生成するディレクトリーを指定してはなりません。 たとえば、次のようなコマンドを実行するとします。

   db2 backup database sample to c:\backup
   db2 restore database sample from c:\backup

DB2 は c:\backup ディレクトリーにサブディレクトリーを生成しますが、 これらは無視されます。 復元するバックアップ・イメージを正確に指定するためには、 TAKEN AT パラメーターを使用します。 複数のバックアップ・イメージを同じパスに保管することもできます。

複数の項目が指定され、項目の最後がテープ装置である場合には、他のテープが要求されます。 有効な応答オプションは、次のとおりです。

c
続行。 警告メッセージを生成した装置の使用を続けます (たとえば、新しいテープをマウントしたときなど)。

d
装置の終了。 警告メッセージの原因となった装置の使用だけを停止します (たとえば、これ以上テープがない場合など)。

t
終了。 復元またはバックアップ・ユーティリティーを打ち切ります。

テープは OS/2 ではサポートされていません。 OS/2 の場合、 0 または 0: を指定すると、 ユーザー出口プログラムが呼び出されて、 復元操作が起きます (管理の手引き を参照)。 このオプションは、他のプラットフォームでは無効です。

注:ユーザー出口プログラムが復元を実行するために使用されている場合は、 リダイレクトした復元は認められていません。

LOAD shared-library
使用するバックアップおよび復元 I/O 関数を含む共用ライブラリー (OS/2 または Windows オペレーティング・システムでは DLL) の名前。 フルパスで指定することができます。 フルパスを指定しない場合、 省略時でユーザー出口プログラムの存在するパスになります。

TAKEN AT date-time
データベース・バックアップのタイム・スタンプ。 バックアップ・イメージ・ファイル名には、タイム・スタンプが組み込まれます。

TO target-directory
宛先データベースのディレクトリー。 ユーティリティーが存在するデータベースへ復元している場合には、 このパラメーターは無視されます。
注:Windows オペレーティング・システムおよび OS/2 上では、 このパラメーターを使用する場合はドライブ文字だけを指定してください。 さらに長いパスを指定すると、エラーが戻されます。

INTO target-database-alias
宛先データベースの別名。 宛先データベースが存在しない場合には、作成されます。

NEWLOGPATH directory
アクティブ・ログ・ファイルの復元後にデータベースが使用する完全修飾ディレクトリー。 このパラメーターの機能は、 データベース構成パラメーター newlogpath と同じです。 ただし、newlogpath の影響は、それが指定された RESTORE コマンドに限定されます。 このパラメーターは、バックアップ・イメージのログ・パスが、 復元後の使用に適していない場合に使用することができます。 たとえば、パスが無効になっていたり、 別のデータベースで現在使用中の場合などが考えられます。

WITH num-buffers BUFFERS
使用するバッファーの数です。 省略時値は 2 です。 ただし、複数のソースが読み取られる場合や、並列性パラメーターを増やす場合は、 パフォーマンスを向上させるために多数のバッファーを使用することができます。

BUFFER buffer-size
復元操作に使用するバッファーのサイズ (ページ数)。 このパラメーターの最小値は 8 ページです。省略時値は 1024 ページです。 バッファー・サイズがゼロに指定されている場合、 データベース・マネージャー構成パラメーターの値 restbufsz が、バッファー割り振りサイズとして使用されます。

復元バッファー・サイズは、 バックアップ操作中に指定したバックアップ・バッファー・サイズに正の整数を乗算したサイズでなければなりません。 誤ったバッファー・サイズを指定すると、 割り振られるバッファーは、許容可能な最小のサイズになります。

テープ装置を使用するには、SCO UnixWare 7 上の DB2 ユーザーは、 バッファー・サイズを 16 に指定する必要があります。

DLREPORT filename
ファイル名を指定する場合は、完全修飾にしなければなりません。 復元中に (高速調整の結果として) リンク解除されるファイルが報告されます。 このオプションが使用されるのは、 復元する表に DATALINK 列タイプとデータ・リンク・ファイルが含まれている場合だけです。

REPLACE EXISTING
宛先データベースの別名と同じ別名を持つデータベースがすでに存在している場合、 このパラメーターは復元ユーティリティーに既存のデータベースを復元したデータベースに置換するよう指示します。 これは RESTORE DATABASE コマンドを含むスクリプトで便利です。 CLP は、ユーザーにプロンプトを出さずに、既存のデータベースの削除を検査するからです。 WITHOUT PROMPTING パラメーターが指定された場合、 REPLACE EXISTING を指定する必要はありませんが、 ユーザー介入を標準的に必要とする事象が起こった場合、 このコマンドは失敗します。

REDIRECT
リダイレクトした復元を指定します。 リダイレクトした復元を完了するには、 このコマンドの後に 1 つまたは複数の SET TABLESPACE CONTAINERS コマンドを続け、 次に CONTINUE オプションを指定して RESTORE DATABASE コマンドを続ける必要があります。

注:同一のリダイレクトした復元に関連したコマンドはすべて、 同じウィンドウまたは CLP セッションから実行しなければなりません。

WITHOUT ROLLING FORWARD
正常に復元された後で、データベースがロールフォワード保留状態にならないように指定します。

正常な復元に続いて、データベースがロールフォワード保留状態にある場合には、 データベースが使用できるようになる前に、ROLLFORWARD DATABASE を実行しなければなりません。

WITHOUT DATALINK
DATALINK 列を持つ任意の表が DataLink_Reconcile_Pending (DRP) 状態に置かれることと、 リンクされたファイルの調整が実行されないことを指定します。

PARALLELISM n
復元処理中に作成されたバッファー・マニピュレーターの数を指定します。 省略時値は 1 です。

WITHOUT PROMPTING
復元を自動で実行し、 ユーザーの介在を通常必要とするアクションでは代わりにエラー・メッセージを戻すことを指定します。

注:テープやディスケットなどの取り外し可能媒体装置を使用している場合、 このオプションを指定していても、その装置の終わりにはプロンプトが出されます。

以下は、別名が MYDB であるデータベースの典型的なリダイレクトした復元のシナリオです。

  1. 次のように、REDIRECT オプションを指定して RESTORE DATABASE コマンドを発行する。
       db2 restore db mydb replace existing redirect
    

    ステップ 1 が正常終了した後でステップ 3 が完了する前に、 次を発行して復元を打ち切ることができる。

       db2 restore db mydb abort
    
  2. 再定義する必要があるコンテナーを持つ表スペースごとに、 SET TABLESPACE CONTAINERS コマンドを発行する。 たとえば、OS/2 では次のようにします。
       db2 set tablespace containers for 5 using
          (file 'f:\ts3con1' 20000, file 'f:\ts3con2' 20000)
    

    復元したデータベースのコンテナーが、 このステップで指定したものであることを検査するために、 LIST TABLESPACE CONTAINERS コマンドを発行する。

  3. ステップ 1 および 2 が正常終了した後、次を発行する。
       db2 restore db mydb continue
    

    これはリダイレクトした復元の最終ステップです。

  4. ステップ 3 が失敗した場合、または復元を打ち切った場合、 リダイレクトした復元はステップ 1 から再始動できる。

使用上の注意

データベースおよび表スペースの両方の復元で、 復元ユーティリティーは、複数の表スペースから同時に読み取り、 複数の場所にある装置に同時に書き込むことができます。

データベース・レベルの復元

既存のデータベースに復元する場合、現行データベースの構成ファイルは、 その構成ファイルが破壊されない限り、バックアップ・コピーで置換されません。

WITHOUT ROLLING FORWARD が指定されず、データベースがバックアップされた時点で、 ロールフォワード回復が使用可能であった場合には、 データベースは正常に復元された後で、 ロールフォワード保留状態になります。

データベースの状態を検査するには、 GET DATABASE CONFIGURATIONを使用してください。 データベースがロールフォワード保留状態にある場合には、 使用できるようになる前に、 データベースに対して ROLLFORWARD DATABASEを発行しなければなりません。

BACKUP および RESTORE は、別のファイル・システムまたはノードに、 データベースをコピーするのに使用することもできます。

復元されたバックアップ・ファイルが、オンライン・バックアップ中に作成された場合には、 順方向回復が、必ず復元の完了時に呼び出されます。 順方向回復 (ROLLFORWARD DATABASE を使用する) により、 バックアップ操作の途中で発生したすべての変更がキャプチャーされ、 データベースを安定状態にすることが確認されます。

オフラインの復元の場合、このユーティリティーは、排他モードでデータベースに接続します。 呼び出しアプリケーションを含む、どんなアプリケーションでも、 復元されるデータベースにすでに接続していると、そのユーティリティーは失敗します。

復元中に割り込みが発生すると、正常な復元が完了するまで、 データベースに正常に接続することが不可能になります。

バックアップ・イメージは、 BACKUP DATABASE コマンドによって作成されたイメージでなければならず、 ディスク、ディスケット (OS/2 または Windows オペレーティング・システムの場合)、 テープ、TSM ユーティリティー、またはベンダーの他の製品管理媒体に存在します。 テープは OS/2 ではサポートされていません。

データベース・バックアップが既存のデータベースに復元される際、 データベースは既存データベースの別名とデータベース名を継承します。 存在しないデータベースに復元される場合は、新規データベースが、 target-database-alias パラメーターで指定された別名とデータベース名を用いて作成されます。 宛先データベースの別名が指定されないと、そのデータベースは、 バックアップ・データベースの別名とデータベース名を継承します。

リモート・クライアントが復元を開始しても構いませんが、 ソースおよびターゲットは、常にサーバーに存在するエンティティーを参照します。

データベースの復元には、この解説書で扱う範囲を超える、 前提条件の要件と制約がある可能性があります。 これらの条件の詳細については、管理の手引き を参照してください。

表スペース・レベルの復元

復元した表スペースが、他のデータベースと同期化されていることを確認するには、 ログの最後まで (または表スペースを最後に使用したところまで) 表スペースの下方ロールを行わなければなりません。 このため、表スペース・レベルのバックアップおよび復元が行えるのは、 ロールフォワード回復が可能な場合のみです。 表スペース・レベル・バックアップを実行した後に、 ロールフォワード回復が行えない場合、バックアップから復元することができないため、 早めに現時点まで表スペースの下方ロールを行ってください。 この場合、 その時点より前に取った表スペース・レベルのバックアップはすべて復元できなくなります。 そのようなバックアップを復元しようとすると、復元操作は失敗します。 バックアップが無効であるかどうかを判別できない場合 (たとえば、 データベースが復元およびロールフォワードされており、 それによって新しいログ順序列が作成されている場合)、 復元は成功することがあり、ロールフォワード回復処理中に、 壊れた復元セットが検出されることになります。

表のそれぞれの構成要素は、同じ表の他の構成要素からは独立させて、 常駐している表スペースでバックアップを取り、復元させることが可能です。

表スペース・レベルのバックアップと復元は、同時に実行することはできません。

バックアップを実行した後に名前変更した表スペースを復元する場合、 復元コマンドでは、変更後の新しい表スペース名を使用する必要があります。 以前の表スペース名を使用しても、それは見つかりません。

DB2 データ・リンク・マネージャーに関する考慮事項

バックアップ・イメージと異なるデータベース名または別名への復元を行うとき、 DATALINK 列のある表は DRNP 状態に置かれます。

WITHOUT DATALINK オプションを指定せず、 かつ DATALINK データを含む DB2 ファイル・マネージャーが使用できなくなった場合、 復元操作は失敗します。 このオプションを指定していた場合で、 DATALINK データを含む DB2 ファイル・マネージャーが使用できなくなったときは、 使用できなくなったサーバーで DATALINK 値を持っていた表を含むすべての表スペースが、 復元保留状態になります。

DB2 データ・リンク・マネージャーとデータベース回復の詳細については、管理の手引き を参照してください。

以下も参照

db2move - データベース移動ツール

BACKUP DATABASE

GET DATABASE CONFIGURATION

MIGRATE DATABASE

ROLLFORWARD DATABASE


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