データベース設計の最初の段階は、 データベースの表に格納するデータの種類を決めることです。 データベースには、組織や事業の中のエンティティー、またそれらの相互の関係を含めます。 リレーショナル・データベースの場合、 エンティティー は表 として表されます。
エンティティー とは、格納する情報の基にな る人、物、または概念のことです。 サンプル表に示されているエンティティーには、 従業員、部署、プロジェクトなどがあります。 (サンプル・データベースについては、 SQL 解説書 を参照してください。)
サンプルの従業員表の場合、「従業員」というエンティティーには、従業員 番号、名前、所属部署、給与といった属性、または特性が含まれています。 こうした特性は、EMPNO、FIRSTNME、LASTNAME、WORKDEPT、 および SALARY などの列 で表します。
「従業員」というエンティティーのオカレンス は、一従業員に関するすべての列の値で成っています。
各従業員には固有の従業員番号 (EMPNO) が付けられています。これは、
「従業員」というエンティティーの各オカレンスを識別するためのものです。
表の各行は、エンティティーまたは関係の各オカレンスを表します。
たとえば、次の表の最初の行の値は、Haas という名前の従業員を表します。
EMPNO | FIRSTNME | LASTNAME | WORKDEPT | JOB |
---|---|---|---|---|
000010 | Christine | Haas | A00 | President |
000020 | Michael | Thompson | B01 | Manager |
000120 | Sean | O'Connell | A00 | Clerk |
000130 | Dolores | Quintana | C01 | Analyst |
000030 | Sally | Kwan | C01 | Manager |
000140 | Heather | Nicholls | C01 | Analyst |
000170 | Masatoshi | Yoshimura | D11 | Designer |
マルチメディアなど、 従来なかったデータベース・アプリケーションをサポートする必要性が高まりつつあります。 このため、文書、ビデオまたは混合メディア、イメージ、 音声などのマルチメディア・オブジェクトをサポートする属性について考慮しておくとよいでしょう。
表の中で、ある行の各列はその行の他のすべての列と何らかの関連がありま す。 サンプル表の中での関係には、次のものがあります。
「従業員」と「部署」はエンティティー、 Sally Kwan は「従業員」のオカレンスの 1 つ、 C01 は「部署」のオカレンスの 1 つです。 表の各行の同じ列には同じ関係が適用されます。 たとえば、表のある行は Sally Kwan が C01 部を管理する関係を表し、 別の行は、Sean O'Connell が A00 部の事務員 (clerk) である関係を表しています。
表にどんな情報が入れられるかは、表記される関係、必要とされる柔軟性、 および必要とされるデータ検索速度によって異なります。
企業内に存在するエンティティー関係の識別に加えて、 データに適用する業務規則など、 他のタイプの情報も識別する必要があります。