パフォーマンス・モニターは、DB2 ユニバーサル・データベース、 およびそれが制御するデータの状態についての情報を提供します。 これは、データベース環境に合わせてカスタマイズ可能なグラフィカル・ユーティリティーです。 パフォーマンス・モニターが収集する値が受け入れ可能な範囲内にない場合に、 警告またはアラームの引き金となる限界値またはゾーンを定義することができます。
オブジェクト・ツリー・ペインまたはコンテンツ・ペインでオブジェクトを選択し、 右マウス・ボタンをクリックすることによって、インスタンス、データベース、表、 表スペース、および接続などの DB2 オブジェクトをモニターできます。 ここから、モニター活動の開始を選択できます。
オブジェクトがモニター中の場合、アイコンは緑、黄色、 赤で表示され、モニターの状況を示します。 色は、すでに設定した限界値によって定義されたとおり、問題の重大度を表します。 緑は、モニターが実行中で、すべて正常であることを表します。 黄色は警告で、モニターが設定された限界値に達しつつあることを示します。 赤はアラームで、モニターが限界値に達したことを示します。 DB2 に含まれる事前定義モニターを使用するか、または独自のモニターを作成することができます。
パフォーマンス・モニターが収集している情報を表示するには、 オブジェクトで右マウス・ボタンをクリックし、ポップアップ・ウィンドウの 「モニター活動の表示 (Show Monitor Activity)」を選択します。
パフォーマンス・モニターからの情報は、以下の目的で使用します。
パフォーマンス・モニターを使用すると、ディスク活動、バッファー・プール使用状況、 事前取り出しの量、ロックの使用状況、および特定の間隔でのレコード・ブロックなど、 データベース情報のビジュアルな表示を作成することによって、傾向を分析することができます。
既存の問題のモニターが必要なとき、またはシステムのパフォーマンスを監視したい場合、 このツールを使用します。 これによってデータベース活動のスナップショット、 および指定時刻でのパフォーマンス・データをとることができます。 これらのスナップショットは、時系列の比較に使用されます。 グラフのそれぞれの点は、データ値を表します。 スナップショットをとるためのステップは、一時点でのパフォーマンスのモニターで説明されています。 この情報は、潜在的な問題を識別および分析したり、 設定した限界値に基づく例外条件を識別したりするのに役立ちます。 データベース・マネージャーとそのデータベース・アプリケーションのパフォーマンスを、 一時点について、また時系列的に傾向を調査する必要がある場合に、 パフォーマンス・ツールを使用します。 また、アラーム状態にある要素の概要を得るためにも使用します。 これは、調整の必要なパラメーターを識別するのに役立ちます。 その後、その要素に設定されていたパラメーターを詳しく調査し、 パフォーマンスを改善するために変更することができます。
一時点のスナップショットをとるのとは対照的に、 イベント・モニターはある一定の期間でのデータベース活動について情報を収集します。 この収集された情報は、特定のデータベース・イベント、 たとえばデータベース接続や SQL ステートメントの活動記録の分かりやすい要約を提供します。 イベント・モニターは、特定のイベントが発生したときにデータベースの状態を記録します。 これを使って、データベースの活動記録のトレースを獲得できます。 イベント・モニターのレコードは保管され、データが取り込まれた後で分析されます。 イベント・モニターは、トランザクションにかかる時間や、 たとえば SQL ステートメントが CPU をどれだけ使ったかなどを知る必要がある場合に使用します。 その後、イベント・アナライザーを使って、イベント・モニターから記録されたデータを読み取ります。
各データベース接続ごとに、1 つのイベント・レコードが作成されます。 その接続で実行されるステートメントごとに、ステートメント・レコードが作成されます。 各接続イベント・レコードは、 イベント・アナライザーの「接続ビュー (Connections View)」ウィンドウの 1 行に対応します。 このウィンドウは、モニターされた期間中に接続された、 各アプリケーションごとの情報を表示するもので、以下の情報が含まれます。
各ステートメント・イベント・レコードは、イベント・アナライザーの 「ステートメント・ビュー (Statements View)」ウィンドウの 1 行に対応します。
パフォーマンス・モニターおよびイベント・アナライザーには、以下の利点があります。
図 47 は、各種のモニターが協働する様子を示しています。
図 47. 比較: スナップショットの入手とイベントのモニター. (イベント・モニター、イベント・アナライザー)
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データベースのモニターおよび調整を開始する前に、以下のことを実行してください。
見える影響には、たとえば次のようなものがあります。
次の節では、スナップショットの取り方、 およびアラート・センターを使ってパフォーマンス関連の問題を追跡する方法を説明します。
複雑なデータ・コレクションを実行し、 データを分析して潜在的な問題の位置を正確に示したい場合、 パフォーマンス・モニターを使用してシステムのスナップショットを取り、 パフォーマンス・データの変化を、ある時間にわたって監視します。
このツールで以下のことを実行できます。
次のタイプの情報が取り込まれます。
事前定義された間隔でスナップショットを取ると、 データベース・マネージャーおよびそのアプリケーションにおける活動の現在の状態のピクチャーが提供されます。 この情報は、以下の目的で使用されます。
パフォーマンス情報は、以下のデータベース・オブジェクトで使用可能です。
それぞれの情報ごとに、さまざまなパフォーマンス変数がモニターできます。 どのスナップショット・モニターのウィンドウにもある、 「ヘルプ (Help)」メニューから使用できる、 パフォーマンス変数参照ヘルプは、すべてのパフォーマンス変数を説明しています。 これらの変数は、カテゴリーごとに編成されます。 デフォルトでは、すべてのパフォーマンス変数がモニターされますが、 管理ツールを使ってカテゴリーごとにオンにしたりオフにしたりすることができます。 以下のカテゴリーがデフォルトで設定されています。
コントロール・センターでは、データベース・マネージャーの 1 つのインスタンスから、 一度に 1 つしかスナップショットを取り込むことはできません。 つまり、スナップショット情報を入手するのに使用される API は、 データベース・マネージャー中のすべてのモニターされるデータベース・オブジェクトに対して、 1 回しか発行されません。 これによって、データベース・マネージャーのオーバーヘッドを減らします。
スナップショットの生成に関する詳細は、オンライン・ヘルプを参照してください。
DB2 パフォーマンス・モニターには、事前定義モニターのセットがあり、 そのまま使用するか、または自分の要件に合わせてコピーして修正することができます。 これらは、パフォーマンス計算の包括的なセットを提供します。 IBM 提供のパフォーマンス・モニターの名前、等式、 またはテキスト記述を変更することはできません。 ただし、限界値およびアラート・アクションは変更できます。 事前定義モニターを使用して、パフォーマンス・モニターについて学び、 事前定義モニターをコピーしたり、 自分のコピーからパフォーマンス変数を追加または除去したりすることによって、 独自のモニターを作成します。
DB2 が備えている事前定義モニターは次のとおりです。
事前定義モニターの使用法の例については、 パフォーマンス・モニターに提供されるオンライン・ヘルプを参照してください。
コントロール・センターから、使用可能なモニターのリストを表示するには、 「システム (Systems)」フォルダーで右マウス・ボタンをクリックし、 ポップアップ・メニューから「モニターのリスト (List Monitors)」を選択します。 「モニターのリスト (List Monitors)」ウィンドウがオープンします。 ここには、現在接続中の JDBC サーバーに保管されているモニターがリストされます。 各モニターごとに、モニターの名前、説明、状況、 デフォルト・モニターかどうか、およびモニターの作成者が表示されます。 モニターの状況は、ローカル・システム上のモニター状況を示します。 JDBC サーバー上の状況ではありません。 各レベルのデフォルトは、インスタンス、データベース、表、表スペース、 または接続レベルでのデフォルト・モニターを示します。 事前定義モニターについては、 「作成 (Created by)」列に NULLID が含まれます。 ウィンドウの右側には、モニター上のさまざまなタスクを実行するための押しボタンがあります。 JDBC サーバーについて詳しくは、コントロール・センターを Java アプレットとして実行するを参照してください。
オブジェクトのデフォルト・モニターとして、開始するモニターを選択することができます。
パフォーマンス・モニターを開始すると、 ツールバーの「アラート・センター (Alert Center)」ボタンをクリックして、モニター中で、 限界値のいずれかに達したためにアラート状態であるオブジェクトの状況を表示できます。 これらは、限界値を超えた期間だけ表示されます。
モニターされているオブジェクトを細かく監視したい場合、 アラート・センターをオープンしたままにしておくか、 または「モニターの表示 (Show Monitor)」ウィンドウを要約ページでオープンしたままにしておき、 赤または黄色の警告がないかどうか監視することができます。 また、コントロール・センターの設定を修正して、 新しい警告またはアラームが追加された場合に自動的にアラート・センターがオープンするように修正することもできます。 アラート・センターから、モニターが続行している間、 一時的にアラートを延期することもできます。
アラート・センターを自動的にオープンするように設定し、 アラームまたは警告の状態にある (つまり、限界値を超えた)、 モニターされたオブジェクトがあれば表示することができます。 このデフォルトの変更は、「ツール設定 (Tools Settings)」ウィンドウから行えます。
アラート・センターにオブジェクトが表示されたら、 そのオブジェクトで右マウス・ボタンをクリックし、 「パフォーマンス・モニター -> モニターの表示 (Performance Monitor ---> Show Monitor)」を選択して、 そのデータベース・オブジェクトのパフォーマンスの詳細を表示します。
データの分析方法については、パフォーマンス・モニターのウィンドウで、 「ヘルプ (Help)」メニューから、 使用可能なオンライン・ヘルプを参照してください。
イベント・アナライザーは、別の DB2 パフォーマンス・ツールです。 このツールは、発生したイベントの診断情報が必要な場合に使用します。 イベント・アナライザーは、イベント・モニターと組み合わせて使用します。 たとえば、イベント・モニターを使って、データベースがアクティブな間に、接続、 トランザクション、ステートメント、およびデッドロックなどのデータベース活動を追跡できます。 また、イベント・モニターは、データベースからアプリケーションが切断されたときにログに記録される、 累積パフォーマンス・データを記録することもできます。 イベント・モニターがイベント・モニター・ファイルを作成した後、 イベント・アナライザーを使用してパフォーマンス情報を見ることができます。
イベント・モニター・ツールによって、以下のことを行えます。
以下のイベント・タイプについてイベント・モニターが生成するデータを、 イベント・アナライザーによって表示できます。
以下のイベント・タイプ用に、イベント・モニターを作成してから、 イベント・アナライザーを使って収集された情報を表示できます。 ただし、db2evmon 実行可能ファイル (コマンド解説書 およびシステム・モニター 手引きおよび解説書 で説明) を使って、 以下のイベント・タイプについて生成されたデータを表示します。
イベント・モニターおよびイベント・アナライザーを使用してイベント・データを解析するには、 以下のステップを実行します。 以下のステップは、接続およびステートメント・イベントについて、 イベント・モニターを作成する方法の一例に過ぎません。 イベント・モニターを作成するには、以下のことを行ってください。
これによってイベント・モニターは強制的にトレース・ファイルに書き込まれます。 モニターがオフになっていないと、情報はバッファーがいっぱいになったとき、 またはすべての接続が終了するときにディスクに書き込まれるだけです。 「イベント・モニター (Event Monitors)」ウィンドウから、 作成したイベント・モニターで右マウス・ボタンをクリックし、 ポップアップ・メニューから「イベント・モニター・ファイルの表示 (View Event Monitor Files)」を選択することによって、 結果のイベント・データを表示することができます。 「モニター期間表示 (Monitored Periods View)」ウィンドウがオープンします。
イベント・アナライザーからイベント・データにアクセスする方法は次のとおりです。
注: | データ・ファイルがリモートに保管される場合、 それらを表示するには、ローカル・マシンに FTP でファイル転送する必要があります。 ファイルのサイズによっては、この転送にはかなり時間がかかる場合があります。 ファイルは、どのローカル・パスにも転送できます。 ファイルが作成されたときに使用されたのと同じパスを選択する必要はありません。 |
イベント・モニターおよびイベント・アナライザーのオンライン・ヘルプでは、 イベント・モニターの作成および結果のイベント・データの表示について詳細に説明しています。