管理の手引き


ホット・スタンドバイ

ホット・スタンドバイ 機能を使用すると、単一区画データベースのインスタンス全体または区分データベース構成の 1 つの区画をフェールオーバーすることができます。 あるプロセッサーが故障すると、そのクラスターにある別のプロセッサーが、 自動的にインスタンスを転送することによって、 故障したプロセッサーと置き換わることができます。 データベース・インスタンスと実際のデータベースが、 1 次およびフェールオーバーの両方のプロセッサーからアクセスできなければなりません。

実際のインストール要件およびインスタンスの作成に関する詳細については、 HACMP for AIX, Version 4.2: Installation Guide (SC23-1940) を参照してください。

以下の例ではそれぞれ、サンプル・スクリプトが、(DB2 (AIX 版) のインストールの) sqllib/samples/hacmp の中に格納されています。

インスタンスのフェールオーバー

次に示すホット・スタンドバイのフェールオーバーのシナリオは、 単一区画のデータベースのインスタンスを実行する、 2 つのプロセッサーからなる HACMP クラスターから構成されます (図 44)。 HACMP クラスターの構成に関する詳細は、リソースを参照してください。

図 44. ホット・スタンドバイ・フェールオーバー構成の例

ホット・スタンドバイ・フェールオーバー構成の例

どちらのプロセッサーも、インストール・ディレクトリー、 インスタンス・ディレクトリー、およびデータベース・ディレクトリーにアクセスできます。 データベース・インスタンス "db2inst" は、プロセッサー 1 で活発に実行されています。 プロセッサー 2 は活動状態でなく、ホット・スタンドバイとして使用されています。 プロセッサー 1 で故障が起こり、インスタンスはプロセッサー 2 が引き受けます。 フェールオーバーが完了すると、リモートおよびローカルの両方のアプリケーションが、 インスタンス "db2inst" の中のデータベースにアクセスできるようになります。 データベースは、手作業で再始動する必要があります。 そうしない場合、AUTORESTART がオンであれば、 データベースに最初に接続するときに再始動操作が開始されます。 提供されているサンプル・スクリプトでは、AUTORESTART はオフで、 フェールオーバー・スクリプトがデータベースの再始動を行うという想定になっています。 AUTORESTART の詳細については、 回復とは何か を参照してください。

サンプル・スクリプト:

   hacmp-s1.sh

区画フェールオーバー

次に示すホット・スタンドバイ・フェールオーバー・シナリオでは、 インスタンス全体の代わりにインスタンス区画を使用します。 このシナリオでは、前の例と同様に、2 つのプロセッサーからなる HACMP クラスターを含みますが、 マシンは、区分データベース・サーバーの 1 つの区画を表します。 プロセッサー 1 は、構成全体のうちの 1 つの区画を実行し、 プロセッサー 2 は、フェールオーバー・プロセッサーとして使用されます。 プロセッサー 1 が故障すると、2 番目のプロセッサーで区画が再始動されます。 フェールオーバーは db2nodes.cfg ファイルを更新し、 プロセッサー 2 のホスト名とネット名を指し示すようにし、 新しいプロセッサーで区画を再始動させます。

以下に、フェールオーバーの前と後の db2nodes.cfg ファイルの一部を示します。 この例では、ノード番号 2 が HACMP マシンのプロセッサー 1 で実行されています。 このマシンはホスト名とネット名の両方が "node201" です。 フェールオーバーのあと、ノード番号 2 が HACMP マシンのプロセッサー 2 で実行されています。 このマシンはホスト名とネット名の両方が "node202" です。

前:
        1 node101 0 node101
        2 node201 0 node201    <= HACMP
        3 node301 0 node301
   db2start nodenum 2 restart hostname node202 port 0 netname node202
後:
        1 node101 0 node101
        2 node202 0 node202    <= HACMP
        3 node301 0 node301

サンプル・スクリプト:

   hacmp-s2.sh

複数の論理ノードのフェールオーバー

前述の例をさらに複雑にした例は、あるプロセッサーから別のプロセッサーへの、 複数の論理ノードのフェールオーバーにかかわるものです。 ここでも、前の例と同様、 2 つのプロセッサーからなる HACMP クラスター構成を使用しています。 しかし、このシナリオでは、プロセッサー 1 は、3 つの論理区画を実行しています。 このセットアップは、単純な区画フェールオーバーのシナリオの場合と同じですが、 このケースでは、プロセッサー 1 が故障すると、 論理区画はそれぞれプロセッサー 2 で開始する必要があります。 各論理区画は、db2nodes.cfg ファイルで定義されている順序で開始する必要があります。 ポート番号 0 の論理区画を常に最初に開始する必要があります。

以下に、フェールオーバーの前と後の db2nodes.cfg ファイルの一部を示します。 この例では、 2 つのプロセッサーからなる HACMP クラスターのプロセッサー 1 で定義されている論理区画が 3 つあります。

前:
        1 node101 0 node101
        2 node201 0 node201    <= HACMP
        3 node201 1 node201    <= HACMP
        4 node201 2 node201    <= HACMP
        5 node301 0 node301
   db2start nodenum 2 restart hostname node202 port 0 netname node202
   db2start nodenum 3 restart hostname node202 port 1 netname node202
   db2start nodenum 4 restart hostname node202 port 2 netname node202
後:
        1 node101 0 node101
        2 node202 0 node202    <= HACMP
        3 node202 1 node202    <= HACMP
        4 node202 2 node202    <= HACMP
        5 node301 0 node301

サンプル・スクリプト:

   hacmp-s3.sh


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