管理の手引き


セットアップ

このセクションを読む前に、 必ず SC2.2 ソフトウェアに精通しておいてください。 このセクションでは、 読者が SC2.2 と HA-NFS のセットアップ方法を理解しており、 ボリューム・マネージャーの使用方法を理解しているものと想定しています。 DB2 で必要な他のパッチに加えて、 HA エージェントでは以下のパッチが必要です。

   Solaris 2.6:
      105210-17 (またはそれ以降)
      105786-05 (またはそれ以降)
注:Solaris 7 (Solaris 2.7) ではパッチは必要ありません。

一般的なインストール・ステップ

  1. SC2.2 をクラスター内の全マシンにインストールする。 インストール時に、 SC2.2 はインストールするエージェントを尋ねてきます。 DB2 は SC2.2 に付属していないので、 これはエージェントのリストにはありません。 DB2 のエージェントは DB2 とともにインストールされ、 hadb2_reg コマンドによって登録されます。
  2. 論理ホストをディスク・グループおよび論理 IP アドレスと共に構成する。

DB2 UDB エンタープライズ・エディションでのセットアップ

  1. 論理ホストの論理ホスト・ファイル・システムの下に、 インスタンスのホーム・ディレクトリーを作成する。
  2. DB2 をクラスター内の全マシンにインストールする。
  3. インスタンスのホーム・ディレクトリーが現在あるクラスター内のマシンに、 インスタンスを作成する。
  4. クラスター内の別のマシンにインスタンスのユーザーを追加し、 数値ユーザー ID が同じであることを確認する。
  5. hadb2_reg コマンドを使用して、 hadb2 サービスを登録する。
  6. hadb2_setup コマンドを実行して、 インスタンスの HA をセットアップする。

DB2 UDB エンタープライズ拡張エディションでのセットアップ

  1. HA インスタンス所有者のホーム・ディレクトリーを作成する。

    1. ホット・スタンドバイの場合、 論理ホストの論理ホスト・ファイル・システムの下に、 インスタンスのホーム・ディレクトリーを作成する。
    2. 相互引き受けの場合、 HA-NFS を構成し、 論理ホストの 1 つからホーム・ディレクトリーをエクスポートする。 マシンの 1 つで、 選択したマウント・ポイントの下に HA-NFS ディレクトリーをマウントする。
  2. DB2 をクラスター内の全マシンにインストールする。
  3. HA-NFS ファイル・システムをマウントしたマシンに、 インスタンスを作成する。
  4. クラスター内の別のマシンにインスタンスのユーザーを追加し、 数値ユーザー ID が同じであることを確認する。
  5. hadb2_reg コマンドを使用して、 hadb2 サービスを登録する。
  6. hadb2_setup コマンドを実行して、 インスタンスの HA をセットアップする。
注:NIS を使用して HA インスタンスの情報を定義することはお勧めしません。 これは、NIS によって単一の障害ポイントが生じる可能性があるためです。

hadb2_setup コマンド

hadb2_setup コマンドは、 DB2 HA エージェントに付属するプログラムの中心をなすものです。 これを使用すると、 インスタンスのセットアップ、 修正、または削除を行えます。 また、 hadb2_setup サービスのオン / オフも行えます。 このコマンドを使用すれば、 hadb2tab ファイルを手作業で編集する必要はありません。
注:hadb2_setup コマンドは、 実行されるマシン上でのみ、アクションを実行します。 1 つのマシンに対して与えられる変更は、 クラスター内の別のマシンにも行われます。

以下の引き数がサポートされています。

EE インスタンスを追加する場合:
---------------------
   hadb2_setup -a -i <instance> -f [on|off] -h <logical_host> -p [DATA|ADMIN] -t EE
 
   たとえば、以下のようになります。
      hadb2_setup -a -i db2ee -f off -h log1 -p DATA -t EE
 
 
 
EEE インスタンスを追加する場合:
----------------------
   hadb2_setup -a -i <instance> -f [on|off] -h <nfs_host> -l <mount_point> \
      -r <ha-nfs_dir> -p [DATA|ADMIN] -t EEE -n "<node_info>"
 
   たとえば、以下のようになります。
      hadb2_setup -a -i db2eee -f off -h ha-sun1 -l /export/ha_home \
         -r /log0/home -p DATA -t EEE -n "log0[0,10,20],log1[30,40,50]"
 
 
 
インスタンスを削除する場合:
---------------------
   hadb2_setup -d -i <instance>
 
インスタンスを修正する場合:
---------------------
   hadb2_setup -m -i <instance> [-f [on|off] | -l <mount_point> | \
      -h <host> | -p [DATA|ADMIN] | -r <ha-nfs_dir> | -t [EE|EEE] ]
 
 
 
他のオプション:
-------------
   -s   <on|off>             (すべての HA インスタンスで) hadb2 のオン / オフを行う
   -y                        安全チェックで「はい (yes)」を想定する

hadb2 サービスをオンまたはオフにするには、 -s スイッチを指定してください。 これは、-n および -y スイッチを指定して hareg コマンドを実行し、 hadb2 サービスを指定することに相当します。 hareg(1m) コマンドについての詳細は、 Sun Cluster の資料を参照してください。

インスタンスの障害モニターは、 -f スイッチを使用してオフにすることができます。 これは、ローカル・マシン上にあるインスタンスの障害モニターを停止させる効果と、 hadb2tab ファイルを修正して障害モニターが停止したことを反映させる効果があります。

EE インスタンスの場合、 インスタンスがフェールオーバーされるときに全マシンの障害モニターをオフにすることをお勧めします。 EEE インスタンスの場合は、 手作業でシャットダウンする前に、 インスタンスのデータベース区画をホストしている全マシン上で障害モニターをオフにしなければなりません。

インスタンスを削除するには、 -d スイッチを使用します。 これは、 hadb2tab ファイルからインスタンスを除去するだけです。 他のファイルやディレクトリーを除去したり修正したりすることはありません。 hadb2tab ファイルは HA-DB2 エージェントの主な構成ファイルなので、 このファイルからインスタンスを除去すると、 制御メソッドはその存在を認識しなくなります。

インスタンスを修正するには、 -m スイッチを使用します。 これは、 hadb2tab ファイルの情報を変更するだけです。 他のファイルやディレクトリーを除去したり修正したりすることはありません。 -m スイッチは、 hadb2tab ファイルにある情報に関する任意のスイッチと共に使用することができます。 db2nodes.cfg ファイルおよび hadb2-eee.cfg ファイルは、 最初のセットアップの後に手作業で変更しなければなりません。 これは、hadb2_setup コマンドがこれらのファイルの修正をサポートしていないためです。

インスタンスの追加には、 さらに多くのことが関係しています。

EE インスタンスの場合、 以下の引き数が必要です。

   hadb2_setup -a -i <instance> -f <fm> -h <logical_host> -t <EEE_or_EE> -p <purpose>

instance は追加されるインスタンスの名前です。 fm は障害モニターを最初にオンにするかオフにするかを指定します。 logical_host は関連する論理ホストです。 EEE_or_EEEE に設定されます。 purposeDATA または ADMIN のいずれかになります。

EEE インスタンスの場合、 以下の引き数が必要です。

   hadb2_setup -a -i <instance> -f <fm> -h <nfs_host> -t <EEE_or_EE> -p
      <purpose> -l <mount_point> -r <HA-NFS_directory> -n <node_info>

instance は追加されるインスタンスの名前です。 fm は障害モニターを最初にオンにするかオフにするかを指定します。 nfs_host は HA-NFS ファイル・システムをエクスポートする論理ホストのホスト名です。 EEE_or_EEEEE に設定されます。 purposeDATA または ADMIN のいずれかになります。 mount_point は HA-NFS ディレクトリーのローカル・マウント・ポイントです。 HA-NFS_directory は HA-NFS ディレクトリーです。 node_info はデータベース区画と論理ホストを関連させる情報です。 たとえば、以下のようになります。

   hadb2_setup -a -i db2eee -f on -h jolt -l /export/ha_home -p DATA -t EEE -r
      /log1/home -n "log0[0,1],log1[2,3]"

EEE インスタンスを追加するとき、 ノード情報は引用符で閉じる必要があります。 この例では、 インスタンス「db2eee」は 2 つの論理ホスト「log0」および「log1」と関連付けられます。 「db2eee」インスタンスのデータベース区画「0」および「1」は論理ホスト「log0」と関連付けられ、 データベース区画「2」および「3」は論理ホスト「log1」と関連付けられます。

hadb2_setup コマンドを使用すると、 インスタンスをクラスター内の全マシンに追加できます。 インスタンスはその後、 強制的にクラスターの再構成を行うか、 または hadb2 サービスをオフにしてからオンにすることによって始動させることができます。 これを行うには、hareg コマンドを実行するか、 -s スイッチを指定して hadb2_setup コマンドを実行します。 インスタンスが始動しない場合は、 トラブルシューティングを参照してください。

hadb2_setup コマンドで EEE インスタンスを追加すると、 以下のアクションが透過的に実行されます。

構成エラーを防止し、 HA インスタンスを hadb2_setup コマンドの実行後に始動できるようにするために、 コマンドは新規インスタンスが追加される前にかなりの量のテストを実行します。

db2nodes.cfg ファイルが作成され、 現行のクラスターの状態に対応する情報が入れられます。 たとえば、 論理ホスト「log0」がマシン「crackle」によってホストされている場合、 「log0」に関連したデータベース区画の項目には、 マシン名「crackle」および「crackle」の高速内部接続が含まれます。

   scadmin@crackle(193)# cat db2nodes.cfg
   0 crackle 0 204.152.65.33
   1 crackle 1 204.152.65.33
   2 thrash 0 204.152.65.34
   3 thrash 1 204.152.65.34

hadb2-eee.cfg ファイルは、 コマンドで指定したノード情報のみに基づいて作成されます。 データベース区画ごとに 1 つの行があります。

   sphere % cat hadb2-eee.cfg
   NODE:log0 0
   NODE:log0 1
   NODE:log1 2
   NODE:log1 3

.rhost ファイルは DB2 UDB EEE で必要とされ、 このファイルにはクラスター内の各マシンの全ホスト名 (または IP アドレス) が含まれていなければなりません。 たとえば、以下の通りです。

   crackle db2eee
   204.152.65.1 db2eee
   204.152.65.17 db2eee
   thrash db2eee
   204.152.65.2 db2eee
   204.152.65.18 db2eee
   crackle db2eee
   jolt db2eee
   bump db2eee
   thrash.torolab.ibm.com db2eee
   crackle.torolab.ibm.com db2eee

SMS 表スペースのファイル・システム・レイアウトに従い、 hadb2_setup コマンドは複数のディレクトリーやシンボリック・リンクをセットアップします。 これには以下のものが含まれます。


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