管理の手引き


地勢を表すデータ

このセクションでは、 空間情報を取得するために生成、保管、および操作するデータの概要を提供します。 以下のトピックが扱われています。

データが地勢を表す方法

Spatial Extenderでは、地勢は表または視点の行、またはそのような行の一部によって表すことができます。 たとえば、2 つの地勢、オフィスビルと住宅について考えてみます。 図 31 では、 BRANCHES 表の各行は、銀行の支店を表しています。 このバリエーションとして、 CUSTOMERS 表の各行は全体として銀行の顧客を表しています。 しかし、各行の各部分 (特に顧客の住所を含むセル) は、 顧客の住宅を表しているものとして表示できます。

図 31. 地勢を表している表行、住所データが地勢を表している表行. BRANCHES 表のデータ行は、銀行の支店を表しています。 CUSTOMERS 表の住所データのセルは、顧客の住所を表しています。


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これらの表には、 銀行の支店と顧客を識別するデータが含まれています。 これらのデータは属性データ と呼ばれています。

属性データのサブセット (支店および顧客アドレスを表す値) は、空間情報のもとになる値に変換できます。 たとえば、 図に示されているように、 ある支店の住所は 92467 Airzone Blvd., San Jose CA 95141 です。 顧客の住所は 9 Concourt Circle, San Jose CA 95141 です。 Spatial Extenderはこれらの住所を、 周囲の環境に対して支店と顧客の家が存在する位置を示す値に変換できます。 図 32 は、 そのような値を含む新しい行のある BRANCHES 表および CUSTOMERS 表を示します。

図 32. 空間情報列が追加されている表. 各表で、LOCATION 列には、住所に対応する座標を含まれます。


グラフィック・イメージ

住所およびそれと同様の識別子を空間情報の開始点として使用するとき、 これらはソース・データ と呼ばれます。 これらから引き出された値が空間情報のもとになるため、 これらの引き出された値は空間データ と呼ばれます。 次のセクションでは、空間データについて説明し、 さらにそれと関連するデータ・タイプを紹介します。

空間データの特性

多くの空間データは座標によって構成されています。 座標 とは、 参照点に対する相対的な位置を示す数値です。 たとえば、緯度は赤道に対する相対的な位置を示す座標です。 経度はグリニッジ子午線に対する相対的な位置を示す座標です。 したがって、 Yellow Stone National Park の位置は、 その緯度 (北緯 44.45 度) と経度 (西経 110.40 度) によって定義されます。

緯度、経度、それらの参照点、および他の関連しているパラメーターは、 まとめて座標系 と呼ばれています。 緯度と経度以外の値に基づいた座標系も存在します。 これらの座標系それぞれには、独自の位置の尺度、参照点、および区別するための付加的なパラメーターがあります。

最も単純な空間データ項目は、 単一の地勢の位置を定義する 2 つの座標によって構成されています。 データ項目 という用語は、 リレーショナル表のセルを占有する値を指しています。 さらに広範囲な空間データ項目は、 道または川などの線形経路を定義する複数の座標から構成されます。 3 番目の種類のものは、 区域の周辺 (たとえば、1 区画の土地や氾濫 (はんらん) 原の縁) を定義する座標によって構成されます。

それぞれの空間データ項目は、空間データ・タイプのインスタンスです。 位置を示す 2 つの座標のデータ・タイプは ST_Point です。 線形経路を定義する座標のデータ・タイプは ST_LineString であり、 周辺を定義する座標のデータ・タイプは ST_Polygon です。 これらのタイプは、空間データ用の他のデータ・タイプと共に、 単一の階層に属する構造型となっています。

空間データの取得方法

空間データを得る方法は、次のとおりです。

属性データのソース・データとしての使用

空間データを属性データ (住所など) から導出することをジオコーディング と言います。 図 32 は、 空間データ用に指定されている 2 つの列 (1 つは BRANCHES 表にあり、もう 1 つは CUSTOMERS 表にある) を示しています。 Spatial Extenderはこれらの表にある住所をジオコーディングし、 結果出力 (住所に対応する座標) を列に入れることができます。 図 33 は、その結果を図示したものです。

図 33. ソース・データから導出された空間データを含む表. CUSTOMERS 表の LOCATION 列 には、 ジオコーダーが ADDRESS、CITY、STATE、および ZIP 列にある住所から導出した座標が含まれます。 同様にBRANCHES 表の LOCATION 列 には、ジオコーダーが ADDRESS、 CITY、 STATE、および ZIP 列にある住所から導出した座標が含まれます。


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Spatial Extenderはジオコーダー と呼ばれる機能を使用して、 属性データをジオコーディングし、結果の空間データを列に配置します。

他の空間データのソース・データとしての使用

空間データは属性データからだけでなく、他の空間データからも生成できます。 たとえば、 BRANCHES 表に支店が定義されている銀行が、 各支店から 5 マイル以内にどれだけの顧客がいるかを知りたいとします。 この情報をデータベースから得る前に、 データベースに、各支店から半径 5 マイルの地域に関する定義を提供しなければなりません。 Spatial Extenderの ST_Buffer 関数により、このような定義を作成できます。 各支店の座標を入力として使用して、 この関数は、望みの地域の境界線を区別する座標を生成します。 図 34 は、ST_Buffer によって提供された情報を含む BRANCHES 表を示しています。

図 34. 既存の空間データから導出された新しい空間データを含む表. SALES_AREA 列の座標は、ST_Buffer 関数によって LOCATION 列の座標から導出されます。


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ST_Buffer に加えて、 Spatial Extenderは既存の空間的データから新しい空間的データを導出する他のいくつかの関数を備えています。

空間データのインポート

空間データを取得する 3 番目の方法は、 Spatial Extenderがサポートしている形式になっているファイルからインポートすることです。 これらのファイルには、通常は地図で提供されるデータ、たとえば、 人口調査トラック、氾濫 (はんらん) 原、地震障害などが含まれます。 これらのデータを、生成した空間データと組み合わせて使用することにより、 利用可能な地理情報を増大させることができます。 たとえば、公共の作業部署で、自治体が影響を受けやすい災害を判別する必要がある場合は、 ST_Buffer を使用して自治体を囲む地域を定義し、 氾濫 (はんらん) 原および地震災害のデータをインポートすることにより、 これらの問題区域が地域と重なり合っているかどうかを調べることができます。


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