使用者の手引き

パフォーマンスの概念とツール

パフォーマンスは、コンピューター・システムが与えられた特定の作業負荷に対して作用する仕方です。 それは、利用可能なリソースと、それらがどのように使用され分配されるかによって影響を受けます。 パフォーマンスを改善しようとする場合は、 まず最初にパフォーマンスの具体的意味を決定しなければなりません。 各種のパフォーマンス・メトリック を選ぶことができますが、 その一部には次のものが含まれます。

応答時間
アプリケーションがデータベース要求を送信した時からアプリケーションが応答を受信する時までの時間間隔。

トランザクション・スループット
時間単位ごとに完了できる作業単位の数。 作業単位は、行の取り出しや更新のように単純なものから、 数百の SQL ステートメントが関係するような複雑なものまであります。

データ転送速度
時間単位ごとに DB2 コネクト・アプリケーションとホストまたは AS/400 データベースとの間で転送されるデータのバイト数。

パフォーマンスは、利用可能なハードウェアおよびソフトウェア・リソースによって限定されます。 CPU、メモリー、およびネットワーク・アダプターは、ハードウェア・リソースの例です。 通信サブシステム、ページング・サブシステム、mbuf (AIX 用)、 および link (SNA 用) は、ソフトウェア・リソースの例です。

データ・フロー

図 7 は、 ホストまたは AS/400 データベース・サーバーとワークステーションの間を DB2 コネクトを介して流れるデータの経路を示しています。

図 7. DB2 コネクト内のデータ・フロー


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ボトルネック

トランザクション・スループットは、システム内の最も遅い構成要素に依存します。 パフォーマンスのボトルネックを識別できた場合は、構成パラメーターを変更したり、 問題の構成要素にもっとリソースを割り振ったり、構成要素を更新したり、 仕事の一部の負荷を軽減するため新規の構成要素を追加したりして、 多くの場合問題を軽減することができます。

各種のツールを利用して、各構成要素の照会時間がどれだけかかったかを判別することができます。 このようにして、 パフォーマンスを改善するにはどの構成要素を調整またはアップグレードしたらよいかについて構想が得られます。たとえば、ある照会がその時間の 60%を DB2 コネクト・マシン内で使ったと判別した場合、おそらく DB2 コネクトを調整するか、 または (リモート・クライアントがある場合は) ネットワークにもう 1 つ別の DB2 コネクト・マシンを追加することができます。

パフォーマンス・ツールの詳細については、パフォーマンス・ツールを参照してください。

ベンチマーク

ベンチマークとは、 1 つの環境におけるパフォーマンスを別の環境におけるパフォーマンスと比較する仕方をいいます。

ベンチマークは、通常の環境でテスト・アプリケーションを実行することから始めることができます。 パフォーマンスの問題点が絞り込まれるにつれて、特殊化されたテスト・ケースが開発され、 テストして観測する機能の範囲を限定していくことができます。

ベンチマークは、複雑にする必要はありません。 特殊化されたテスト・ケースは、有効な情報を入手するために、 必ずしもアプリケーション全体をエミュレートする必要はありません。 単純な計測から始めて、保証が得られる場合だけ複雑性を増すようにします。

良いベンチマークの特性

パフォーマンス・ツール

次の表は、システム・パフォーマンスを計測するのに役立つツールのいくつかをリストしています。 これらのツールは、それ自体がシステムのリソースを使用しますので、 それらを常時活動状態にしておくことは望ましいことではありません。

表 7. パフォーマンス・ツール
システム ツール 説明
CPU およびメモリーの使用状況
AIX vmstat、time、ps、tprof DB2 コネクト ワークステーションおよびリモート・クライアントでの CPU またはメモリーの競合問題についての情報を提供します。
HP-UX vmstat、time、ps、monitor および glance (利用可能な場合)
OS/2 SPM/2、THESEUS/2、pstat
Win NT および Windows 2000 MS パフォーマンス・モニター
データベースの活動
すべて データベース・モニター 問題がデータベースから発しているかどうかを判別します。
MVS または OS/390 DB2PM (IBM)、OMEGAMON/DB2 (Candle)、TMON (Landmark)、 INSIGHT (Goal Systems)、および DB2AM (BMC)
Win NT および Windows 2000 MS パフォーマンス・モニター
ネットワークの活動
AIX netpmon 低水準のネットワーク統計を報告します。 それには秒当りに受信するパケットまたはフレームの数のような TCP/IP および SNA 統計が含まれます。
DOS または OS/2 トークンリング・ネットワーク 16/4 トレースおよびパフォーマンス・プログラム 大部分のネットワーク・モニターはプラットフォームに従属します。 このツールはトークンリング専用です。
ネットワーク制御装置、たとえば 3745 NetView パフォーマンス・モニター 通信制御および VTAM の使用効率を報告します。
OS/2 DatagLANce パフォーマンスに関係するデータをユーザーへ図形的に示すトレース・ツールです。
UNIX 系 netstat TCP/IP の通信量を取り扱います。


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