アプリケーション構築の手引き

Micro Focus COBOL

この節では、以下のトピックについて記載します。

コンパイラーの使用

組み込み SQL および DB2 API 呼び出しを含むアプリケーションを開発しており、 Micro Focus COBOL コンパイラーを使用している場合には、以下の点に留意してください。

DB2 API と組み込み SQL アプリケーション

sqllib/samples/cobol_mf にあるスクリプト・ファイル bldapp には、 DB2 アプリケーション・プログラムを作成するためのコマンドが含まれています。

第 1 パラメーター $1 には、ソース・ファイルの名前を指定します。 これは組み込み SQL を含まないプログラムに必要な唯一のパラメーターです。 組み込み SQL プログラムを作成するためにはデータベースへの接続が必要なため、 3 つのパラメーターがオプションとして用意されています。 2 番目のパラメーターは $2 で、 接続するデータベースの名前を指定します。 3 番目のパラメーターは $3 で、 データベースのユーザー ID を指定します。 そしてもう 1 つが $4 で、 データベースのパスワードを指定します。

組み込み SQL プログラムの場合、bldapp は、 プリコンパイルおよびバインドのファイル embprep にパラメーターを渡します。 データベース名を指定しない場合は、 デフォルトの sample データベースを使用します。なお、ユーザー ID とパスワードのパラメーターは、 プログラムを構築するインスタンスとデータベースのあるインスタンスが異なる場合にのみ必要になります。

#! /bin/ksh
# bldapp script file -- Solaris
# Builds a Micro Focus COBOL application program
# Usage: bldapp [ <db_name> [ <userid> <password> ]] 
# Set DB2PATH to where DB2 will be accessed.
# The default is the standard instance path.
DB2PATH=$HOME/sqllib
# If an embedded SQL program, precompile and bind it.
if [[ -f $1".sqb" ]]
then
  embprep $1 $2 $3 $4
fi
# Set COBCPY to include the DB2 COPY files directory.
export COBCPY=$DB2PATH/include/cobol_mf:$COBCPY
  
# Compile the checkerr.cbl error-checking utility.
cob -cx checkerr.cbl
  
# Compile the program.
cob -cx $1.cbl
  
# Link the program.
cob -x $1.o checkerr.o -L$DB2PATH/lib -ldb2 -ldb2gmf


bldapp のコンパイルおよびリンク・オプション

コンパイル・オプション

cob
Micro Focus COBOL コンパイラー。

-cx
オブジェクト・モジュールにコンパイルします。

リンク・オプション

cob
コンパイラーをリンカーのフロントエンドとして使用します。

-x
実行可能プログラムを指定します。

$1.o
プログラム・オブジェクト・ファイルを組み込みます。

checkerr.o
エラー検査用のユーティリティー・オブジェクト・ファイルを組み込みます。

-L$DB2PATH/lib
リンク時の DB2 静的ライブラリーおよび共用ライブラリーのロケーションを指定します。 たとえば、 $HOME/sqllib/lib

-ldb2
DB2 ライブラリーとリンクします。

-ldb2gmf
Micro Focus COBOL 用 DB2 例外ハンドラー・ライブラリーとリンクします。

他のコンパイラー・オプションについては、 コンパイラーの資料をご覧ください。

ソース・ファイル client.cbl から組み込み SQL を含まないサンプル・プログラム client を作成するには、 次のように入力します。

   bldapp client

結果として、実行可能ファイル client ができます。 sample データベースに対してこの実行可能ファイルを実行するには、 次のように入力します。

   client

組み込み SQL アプリケーションの構築および実行

ソース・ファイル updat.sqb から組み込み SQL アプリケーション updat を構築する方法には、 次の 3 つがあります。

  1. 同じインスタンスにあるサンプル・データベースに接続している場合は、 次のように入力します。
       bldapp updat
    
  2. 同じインスタンスにある他のデータベースに接続している場合は、 さらにデータベース名も入力します。
       bldapp updat database
    
  3. 他のインスタンスにあるデータベースに接続している場合は、 さらにそのデータベース・インスタンスのユーザー ID とパスワードも入力します。
       bldapp updat database userid password
    

結果として、実行可能ファイル updat が作成されます。

この組み込み SQL アプリケーションを実行する方法には次の 3 つがあります。

  1. 同じインスタンスにある sample データベースにアクセスする場合は、 ただ実行可能ファイルの名前を入力します。
       updat
    
  2. 同じインスタンスにある他のデータベースにアクセスする場合は、 実行可能ファイル名とデータベース名を入力します。
       updat database
    
  3. 他のインスタンスにあるデータベースにアクセスする場合は、 実行可能ファイル名、データベース名、 およびそのデータベース・インスタンスのユーザー ID とパスワードを入力します。
       updat database userid password
    

組み込み SQL ストアード・プロシージャー

注:

  1. Solaris 上で Micro Focus ストアード・プロシージャーを作成する前に、 以下のコマンドを実行してください。

       db2stop
       db2set DB2LIBPATH=$LD_LIBRARY_PATH
       db2set DB2ENVLIST="COBDIR LD_LIBRARY_PATH"
       db2set
       db2start
    
    db2stop がデータベースを停止するようにしてください。 最後の db2set コマンドが設定値を検査するために出されます。 DB2LIBPATH および DB2ENVLIST が正しく設定されるようにしてください。

  2. Solaris 上で使用される Micro Focus COBOL コンパイラーの最近のバージョンの中には、 静的にリンクされたストアード・プロシージャーを作成するのに使えないものもあります。 makefile とスクリプト・ファイルの bldsrv 自体は、 動的にリンクされたストアード・プロシージャーを作成できるように変更されています。

    この動的にリンクされたストアード・プロシージャーをリモート・クライアント・アプリケーションが正常に呼び出すためには、 ストアード・プロシージャーが実行される直前にそのストアード・プロシージャーが常駐するサーバーで呼び出すために Micro Focus COBOL ルーチンの cobinit() が必要です。 makefile またはスクリプト・ファイル bldsrv の実行中に、 これを成し遂げるラッパー・プログラムが作成されます。 次に、 ラッパー・プログラムはストアード・プロシージャー・コードとリンクしてストアード・プロシージャーの共用ライブラリーを形成します。 このラッパー・プログラムを使用するために、 クライアント・アプリケーションが x という名前のストアード・プロシージャーを呼び出すには、 x の代わりに x_wrap を呼び出さなければなりません。

    ラッパー・プログラムの詳細については、この節で後述します。

sqllib/samples/cobol_mf にあるスクリプト・ファイル bldsrv には、 ストアード・プロシージャーを作成するためのコマンドが含まれています。 スクリプト・ファイルは、 ストアード・プロシージャーを共用ライブラリーの中にコンパイルしますが、 それはクライアント・アプリケーションから呼び出すことができます。

第 1 パラメーター $1 には、ソース・ファイルの名前を指定します。 第 2 パラメーター $2 には、 接続先のデータベースの名前を指定します。 ストアード・プロシージャーは、 必ずデータベースが常駐するインスタンスに構築される必要があるため、 ユーザー ID やパスワードを指定するパラメーターはありません。

最初のパラメーター (ソース・ファイル名) だけが、必須です。 データベース名は任意で指定します。 データベース名を指定しない場合、 プログラムはデフォルトの sample データベースを使用します。

スクリプト・ファイルは、ソース・ファイル名 $1 を共用ライブラリー名として使います。

#! /bin/ksh 
# bldsrv script file -- Solaris
# Builds a Micro Focus COBOL stored procedure
# Usage: bldsrv <prog_name> [ <db_name> ] 
# Set DB2PATH to where DB2 will be accessed.
# The default is the standard instance path.
DB2PATH=$HOME/sqllib
# Precompile and bind the program.
embprep $1 $2
# Set COBCPY to include the DB2 COPY files directory.
export COBCPY=$DB2PATH/include/cobol_mf:$COBCPY
  
# Compile the program.
cob -cx $1.cbl
# Create the wrapper program for the stored procedure.
wrapsrv $1
 
# Link the program creating shared library $1 with main entry point ${1}_wrap
cob -x -o $1 ${1}_wrap.c $1.o -Q -G -L$DB2PATH/lib -ldb2 -ldb2gmf
# Copy the shared library to the sqllib/function subdirectory.
# The user must have write permission to this directory.
rm -f $DB2PATH/function/$1
cp $1 $DB2PATH/function


bldsrv のコンパイルおよびリンク・オプション

コンパイル・オプション

cob
COBOL コンパイラー。

-cx
オブジェクト・モジュールにコンパイルします。

リンク・オプション

cob
リンク編集をするコンパイラーを使用します。

-x
実行可能プログラムを作成します。

-o $1
実行可能プログラムを指定します。

${1}_wrap.c
ラッパー・プログラムを指定します。

$1.o
プログラム・オブジェクト・ファイルを指定します。

-Q

-G

-L$DB2PATH/lib
DB2 実行時共用ライブラリーのロケーションを指定します。 たとえば、 $HOME/sqllib/lib-L オプションを指定しないと、 コンパイラーは次のパスを想定します。 /usr/lib:/lib

-ldb2
DB2 ライブラリーとリンクします。

-ldb2gmf
Micro Focus COBOL 用 DB2 例外ハンドラー・ライブラリーとリンクします。

他のコンパイラー・オプションについては、 コンパイラーの資料をご覧ください。

ラッパー・プログラム wrapsrv は、 ストアード・プロシージャーが実行される直前に、 Micro Focus COBOL のルーチン cobinit() が呼び出される原因になります。 その内容は以下のとおりです。



#! /bin/ksh 
# wrapsrv script file
# Creates the wrapper program for Micro Focus COBOL stored procedures
# Usage: wrapsrv <stored_proc>
# Note: The client program calls "<stored_proc>_wrap" not "<stored_proc>"
                           
# Create the wrapper program for the stored procedure.
cat << WRAPPER_CODE > ${1}_wrap.c
#include <stdio.h>
void cobinit(void);
int $1(void *p0, void *p1, void *p2, void *p3);
int main(void)
{
  return 0;
}
int ${1}_wrap(void *p0, void *p1, void *p2, void *p3)
{
  cobinit();
  return $1(p0, p1, p2, p3);
}
WRAPPER_CODE

サンプル・データベースに接続している場合、 ソース・ファイル outsrv.sqb からサンプル・プログラム outsrv を作成するには、 次のように入力します。

   bldsrv outsrv

他のデータベースに接続しているときは、 さらにデータベース名も入力します。

   bldsrv outsrv database

このスクリプト・ファイルは、 パス sqllib/function 内のサーバーにストアード・プロシージャーをコピーします。

必要であれば、ストアード・プロシージャーにファイル・モードを設定して、 クライアント・アプリケーションからアクセスできるようにします。

ストアード・プロシージャー outsrv を構築してしまえば、 そのストアード・プロシージャーを呼び出すクライアント・アプリケーション outcli を構築できます。 outcli は、 スクリプト・ファイル bldapp を使用して構築することができます。 詳細については、 "DB2 API と組み込み SQL アプリケーション"を参照してください。

ストアード・プロシージャーを呼び出すためには、 次のように入力してサンプル・クライアント・アプリケーションを実行します。

   outcli database userid password

ここで、それぞれは次のものを表します。

データベース
接続先のデータベースの名前です。 名前は、sample かその別名、またはその他のデータベース名にすることができます。

userid
有効なユーザー ID です。

password
有効なパスワードです。

クライアント・アプリケーションはストアード・プロシージャー・ライブラリー outsrv にアクセスし、 ストアード・プロシージャー関数をサーバー・データベース上で実行します。 この出力は、クライアント・アプリケーションに戻されます。

ストアード・プロシージャーの終了

ストアード・プロシージャーを開発したならば、 次のステートメントを使って、それを終了します。

   move SQLZ-HOLD-PROC to return-code.

このステートメントで、 ストアード・プロシージャーはクライアント・アプリケーションに正しく戻ります。 ストアード・プロシージャーが、 ローカル COBOL クライアント・アプリケーションによって呼び出された場合、 これは特に重要です。


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