WebSphere Real Time パースペクティブのカスタマイズ

WebSphere® Real Time パースペクティブには、クラス・ロードや JIT コンパイルなどの事前定義ビューが用意されています。独自のカスタム・ビューを作成、編集、および削除することも可能です。これにより WebSphere Real Time JVM のその他のデータを分析することができます。特定のメソッド用のビューや選択したトレース・ポイント用のビューを作成することもできますし、2 つのビューを 1 つに結合することもできます。

このタスクについて

ビューは、カスタム・ビュー定義ファイルで定義されます。 このファイルの場所は、パースペクティブ設定で設定されます。この設定について詳しくは、 WebSphere Real Time パースペクティブの設定を参照してください。

カスタム・ビューは、以下の方法で作成することができます。
Java™ メソッド記述子を使用する

このオプションは、特定のメソッドのトレース情報からビューを作成する場合に使用します。このタイプのビューは、確定的な動作をするビジネス・メソッドをモニターする場合に役立ちます。このビューは、メソッドの呼び出し時に作成される入り口メソッド・トレースと出口メソッド・トレースに基づいています。

J9TraceFormat.dat ファイルからトレース・ポイントを選択する
J9TraceFormat.dat ファイルには、アプリケーションのデバッグに使用されるトレース・ポイント (関数の入り口点と出口点など) が含まれています。Health Center の標準的なビューは、こうしたトレース・ポイントに基づいています。異なるトレース・ポイントを分析する場合は、このオプションを使用してカスタム・ビューを作成してください。例えば、J9TraceFormat.dat ファイルの以下のトレース・ポイントを使用することで、ソケット書き込みの確定的な動作をモニターできます。
j9prt  564  Entry  Trc_PRT_sock_j9sock_write_Entry
j9prt  565  Exit   Trc_PRT_sock_j9sock_write_Exit

通常は、Entry トレース・ポイントと Exit トレース・ポイントを使用してデータをプロットします。ただし、トレース・ポイントのイベント・タイプを Entry または Exit に変更することで、Info タイプのトレース・ポイントを使用することもできます。

入り口および出口の時間は、マウスをデータ・ポイント上に移動すると、吹き出し情報としてグラフに表示されます。一部の Info トレース・ポイントには、操作に関係するクラスやスタックの名前などのパラメーターが含まれています。 グラフに表示される吹き出し情報を生成するためにこれらのトレース・ポイントを使用するように、指定することができます。

J9TraceFormat.dat ファイルについて詳しくは、ご使用のバージョンの IBM® SDK and Runtime Environment Java Technology Edition の資料を参照してください。 例: トレース・ポイントのトレース・ポイント ID の決定 (バージョン 7 の資料)。

既存の 2 つのビューを結合する

このオプションは、複数のコンポーネントのスレッドのアクティビティーを同時に調べる場合に使用します。例えば、ご使用のアプリケーションに Method1 というメソッドがあり、このメソッドが別のメソッド Method2 を呼び出すとします。 各メソッドの異常値イベントを個別のビューで分析することは可能ですが、Method1 のビューに表示される異常値が Method2 が原因となっている可能性があります。両方のビューを同時に表示できれば、異常値の原因が見つかりやすくなります。

ビューの作成時に、1 次ビューと 2 次ビューを選択します。「プロット」タブには、1 次ビューと 2 次ビューの両方のグラフが表示されます。1 次ビューのグラフには、2 次ビューのイベントによって発生した異常値イベントが、番号付きの円の形式で表示されます。X 軸は両方のビューで同じですが、Y 軸は異なる場合があります。

「要約」「ヒストグラム」、および「分析および推奨事項」の各タブは、1 次ビューにのみ適用されます。「分析および推奨事項」タブには、同じスレッドが両方のビューで同時にイベントを処理しているトレース・ポイントのパーセンテージが含まれています。

手順

  1. オプション: トレース・ポイントを使用してカスタム・ビューを作成する場合は、それらのトレース・ポイントに関する情報が収集されるようにしてください。 「モニター対象 JVM」メニューで「トレース設定...」をクリックすることで、トレース・ポイントを実行時に有効にできます。詳しくは、バイナリー JVM トレース・データの収集と保存 (Java アプリケーションのみ)を参照してください。
  2. WebSphere Real Time パースペクティブで、「カスタム・ビューの追加」をクリックします。 「WebSphere Real Time: カスタム・ビュー管理」ウィザードが開きます。
  3. WebSphere Real Time の設定でカスタム・ビュー定義ファイルを指定していない場合は、このウィザードの最初のページで指定してから「次へ」をクリックします。 カスタム・ビューがこのファイルに定義されるため、Health Center を再始動しても引き続き使用できるようになります。
  4. 作成するカスタム・ビューのタイプを選択して、「次へ」をクリックします。
  5. オプション: 「Java メソッド記述子を使用してビューを作成する」を選択した場合は、以下の手順を実行します。
    1. ビューの名前と説明を追加します。
    2. Java メソッド記述子を追加します。 以下のフォーマットを使用します。
      package/subpackage/class.method[*]
      例えば、java/util/LinkedList.add のようになります。

      複数のメソッドを一致させるには、ワイルドカード文字としてアスタリスク (*) を使用します。例えば、java/util/LinkedList.* のようになります。

    3. 「完了」をクリックして、ビューを作成します。
  6. オプション: 「J9TraceFormat.dat ファイルからトレース・ポイントを選択してビューを作成する」を選択した場合は、以下の手順を実行します。
    1. 「参照」をクリックして、J9TraceFormat.dat ファイルを選択します。 J9TraceFormat.dat ファイルは、ご使用の Java インストール済み環境の jre/lib ディレクトリーにあります。 ファイルのトレース・ポイントが表示されます。
    2. リストから複数のトレース・ポイントを選択して (Ctrl キーを押しながら選択)、「次へ」をクリックします。
    3. 「ビューの定義 (Define view)」ページで、ビューの名前と説明を追加します。
    4. 「ビューの定義 (Define view)」ページには、先ほど選択したトレース・ポイントもリストされます。各トレース・ポイントの詳細には、タイプ、パラメーター数、プロット・グラフの吹き出しテキストの生成に使用されるパラメーターなどが含まれます。 必要に応じて、トレース・ポイントを選択して以下のフィールドを使用し、そのトレース・ポイントの表示される詳細を更新してください。
      テキストの書式設定

      このフィールドには、J9TraceFormat.dat ファイルのフォーマット・テキスト・テンプレートが表示されます。 Java トレース・フォーマット設定ツールは、このテンプレートを使用して、トレース・ポイントを読み取り可能な形式に設定します。 例えば、j9vm Trc_VM_terminateRemainingThreads_Daemon トレース・ポイントのテキスト・テンプレートは、" Daemon thread still running: %p" です。 このフィールドのテキストを使用して、直前の例にある %p などの情報パラメーター (グラフに吹き出し情報を追加するために使用可能) があるかどうかを確認します。

      イベント・タイプ
      Entry トレース・ポイントと Exit トレース・ポイントは、グラフにデータをプロットするために使用されます。Info タイプのトレース・ポイントを使用してデータをプロットする場合は、このフィールドを使用して、イベント・タイプを Info から Entry または Exit に変更してください。 トレース・ポイントのリストを更新するには、イベント・タイプを選択して、「項目の更新」をクリックします。例えば、以下の Info トレース・ポイントを使用して、最初のトレース・ポイントのタイプを Entry に変更し、2 番目のトレース・ポイントのタイプを Exit に変更することで、オブジェクト・モニターがインフレート (作成) される時期とデフレートされる時期をプロットすることができます。
      j9vm 435 Info 4 NONE Trc_VM_objectMonitorInflated
      j9vm 436 Info 4 NONE Trc_VM_objectMonitorDeflated
      情報パラメーター

      一部のトレース・ポイントでは、自身のフォーマット・テキスト内にパラメーターが含まれています。これらのパラメーターを使用して、このビューのプロット・グラフに吹き出し情報を生成できます。パラメーターを設定するには、パラメーターを選択し、「項目の更新」をクリックします。情報パラメーターを選択しないと、選択したトレース・ポイントの入り口および出口の時間が吹き出し情報として表示されます。

      例えば、J9TraceFormat.dat ファイルの j9vm Trc_freeStacks トレース・ポイントを選択するとします。 ウィザードの「ビューの定義 (Define view)」ページには、以下のように Entry トレース・ポイント、Exit トレース・ポイント、および 2 つのパラメーターを持つ Info トレース・ポイントがあることが表示されます。
      j9vm  64  Entry  0  NONE  Trc_VM_freeStacks_Entry	
      j9vm  65  Info   2  NONE  Trc_VM_freeStacks_Free
      j9vm  66  Exit   0  NONE  Trc_VM_freeStacks_Exit
      Info トレース・ポイントを選択すると、「テキストの書式設定」フィールドには、以下のようにそのトレース・ポイントのフォーマット・テキスト・テンプレート (2 つのパラメーター %p と %zu を含む) が表示されます。
      " Freeing stack %p (size %zu)"
      情報パラメーターとして 0 (%p) を設定すると、プロット上の吹き出し情報には解放されているスタックが表示されます。
    5. 「完了」をクリックして、ビューを作成します。
  7. オプション: 「同じグラフに 2 つのプロットを表示するビューを作成する」を選択した場合は、以下の手順を実行します。
    1. ビューの名前と説明を追加します。
    2. 提供されたリストから 1 次ビューを選択し、それとは異なる 2 次ビューを選択してから、「完了」をクリックします。

タスクの結果

ウィザードが完了すると、ビューがパースペクティブに追加され、すぐに使用できるようになります。
注: ターゲット JVM に対して必要なトレース設定が指定された場合にのみ、ビューにデータが表示されます。

次のタスク

既存のカスタム・ビューを編集したり削除したりすることができます。

カスタム・ビューを編集するには、「ビューの選択」リストでビューを選択し、「ビューの編集」をクリックしてウィザードを開始します。必要に応じてフィールドを変更してください。ビューの名前は、 変更できません。

カスタム・ビューを削除するには、「ビューの選択」リストでビューを選択し、「ビューの削除」をクリックします。ビューが削除されます。ビューに関連付けられているデータも削除されます。

「ビューの編集」ボタンと「ビューの削除」ボタンは、「ビューの選択」リストでカスタム・ビューが選択されている場合にのみ使用可能です。



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