CICS Explorer のインストールの計画

CICS Explorer® は、CICS® Transaction Server の一部として提供されるシステム管理ツールです。 これを使用すると、1 つ以上の CICS システムを簡単な方法で管理できます。 Eclipse プラットフォームがベースになっていて、CICS Transaction Server のいくつかの CICSPlex® SM 機能のビューと、CICS ツール統合のためのプラットフォームを提供します。

CICS Explorer をインストールする前に、組織でこれを実行する方法を決定しておく必要があります。

CICS Explorer 製品は、ホスト接続および z/OS® 機能を提供する IBM® Explorer for z/OS (z/OS Explorer) と、CICS 機能を提供する CICS Explorer という 2 つの Explorer 製品を組み合わせたものです。 CICS Explorer は、次の 3 つのフィーチャーで構成されています。
  • CICS Explorer - CICS リソースおよびリソース定義の管理に使用します。
  • CICS SDK for Java™ - すべてのサポート対象リリースの CICS で実行できるように、JCICS API を使用した Java アプリケーションの開発をサポートします。 これは、CICS Explorer に含まれています。
  • CICS SDK for Java EE and Liberty - CICS TS for z/OS バージョン 5.1 以降の場合に Liberty プロファイル・サーバーで実行できる Web アプリケーションの開発をサポートします。この SDK には WebSphere® Developer Tools のサブセットが含まれています。このサブセットにより、Liberty アプリケーション開発がサポートされ、OSGi アプリケーション・プロジェクトの EBA 形式でのエクスポートが可能になります。 CICS SDK for Java EE and Liberty は別個のフィーチャーとして提供され、CICS Explorer と一緒にインストールすることも、後で追加することもできます。

CICS Explorer をインストールする前に、CICS Explorer リリース・ノートで、制限事項や制約事項を含め、CICS Explorer に関する最新情報を必ずお読みください。 リリース・ノートは CICS Explorer Web ページでご覧になれます。

CICS Explorer をインストールする場合は、可能であれば、IBM Installation Manager を使用することをお勧めします。直接ダウンロードすることも、 Eclipse p2 更新サイトを使用することもできます。これらのインストール・シナリオおよびダウンロードについては、「Download Eclipse Tools」Web ページ、および CICS Explorer Web ページから利用できる製品ダウンロード・サイトに示されています。

アップグレードに関する考慮事項

以下の側面を考慮してアップグレードを計画してください。
どのバージョンの CICS Explorer が必要か
  • CICS Explorer のバージョンは、それが管理する必要がある CICS 領域のバージョンと同じかそれ以降でなければなりません。
  • CICS Explorer バージョン 5.4 を使用するには、以前のバージョンからアップグレードするのではなく、CICS Explorer の新規コピーをインストールする必要があります。CICS Explorer V5.4 は異なるバージョンの Eclipse に基づいているためです。
以前のワークスペースが必要かどうか
以前のバージョンの CICS Explorer のワークスペースを再使用するには、CICS Explorer ワークスペースのバックアップを取るの説明に従って、まず CICS Explorer ワークスペースをバックアップします。

あるいは、新しいバージョンの CICS Explorer 用に以前のワークスペースのコピーを作成して名前を変更することにより、そのワークスペースを保持することもできます。 新しいワークスペースの場所に変更するには、CICS Explorer ワークスペースの場所の変更を参照してください。

CICS Explorer の前提条件

CICS Explorer をインストールして使用するには、ワークステーション上に適切なオペレーティング・システムがあり、適切なサービスが CICS システムに適用されていて、CICS 管理クライアント・インターフェースを使用するように CICS または CICSPlex SM が構成されている必要があります。

CICS Explorer の前提条件については、CICS Explorer Web ページのシステム要件を参照してください。

システム接続を正常に確立するためには、CICS Explorer が CICSPlex トポロジーを判別できなければなりません。 トポロジーを判別するために、CICS Explorer には、以下の CICSPlex リソース・テーブルに対して最低でも READ アクセス権限が必要です。
  • CMAS リソース・テーブル
  • CICSplex 構成定義リソース・テーブル
  • CICS 領域データ操作リソース・テーブル
セキュリティー・マネージャー構成で、CICS Explorer を使用するすべてのユーザー ID に、機能とタイプの組み合わせ (CONFIG.DEF、TOPOLOGY.DEF、OPERATE.REGION) に対するこの最低レベルのアクセス権限を付与する必要があります。

CICS Explorer が機能するためには、WUI のデフォルト CMAS コンテキストが設定されていることも必要です。 このコンテキストは、WUI パラメーター DEFAULTCMASCTXT で設定します。 コンテキストを正しく設定しないと、IZE0106E error with INVALIDPARM CONTEXT while connecting CICS Explorer というエラーになります。

CICS または CICSPlex SM の構成

CICS Explorer を使用して CICSPlex SM または CICS 領域に接続するためには、その前にそれらを構成する必要があります。

以下の接続を使用して、CICS Explorer を CICS システムに接続できます。
CICS 管理クライアント・インターフェース (CMCI) 接続

定義の読み取り、更新、作成、インストールを行ったり、インストール済みのリソースに対してアクションを実行したりする機能を備えています。

CICS Explorer を CICSPlex SM WUI サーバーに接続できます。接続すると、CICSplex や単一の CICS 領域 (SMSS) に接続できるようになります。CMCI 接続のセットアップ方法の詳細については、CICS TS V5.4.0製品資料の『CICS Explorer に対するアクセスのセットアップ』を参照してください。

注: CICS TS for VSE/ESA 1.1.1 システムに接続している場合は、CMCI 接続では読み取り専用機能を使用できるようになります。
CICSPlex SM WUI サーバーへの SM データ接続
定義とインストール済みのリソースに対する読み取り専用アクセス権があります。

CICS Explorer ワークスペース

CICS Explorer の初回起動時に、ワークスペース・ディレクトリーが作成されます。 このワークスペースには以下の情報が格納されます。
  • CICS システムまたは CICSPlex SM WUI サーバーに接続するための接続詳細
  • CICS システムまたは CICSPlex SM にアクセスするためのユーザー ID
  • ユーザー・カスタマイズ・ビューおよびパースペクティブ情報
  • ユーザー・ファイル (例えば、CICS Explorer のリソース・パースペクティブで作成したバンドル・プロジェクトやテキスト・ファイル)

このように、ユーザー・ファイルとほとんどのユーザー設定がワークスペース・ディレクトリーに格納されるため、アップグレードや災害復旧に備えて、CICS Explorer ワークスペースをバックアップすることが重要です。

デフォルトでは、ワークスペースはローカル・ワークステーション上のディレクトリーに保存されます。起動オプションを使用して、CICS Explorer のワークスペースに別の場所を使用するように指定できます。例えば、別のローカル・ディレクトリーや、取り外し可能なストレージ、リモート・ネットワーク・ドライブを使用できます。

CICS Explorer で複数のワークスペースを使用できます。 例えば、システム管理者が、2 つの異なるクライアントのシステムを管理していて、それらの接続とバンドル・セットを分けておく必要がある場合などがあります。 また、アプリケーション開発者が、複数のリリースの CICS 用に複数のアプリケーションを開発していて、リリースごとに作業を行うことが必要な場合があります。

CICS Explorer コードの場所

次の表は、CICS Explorer コードをインストールできる場所と、各オプションの利点と欠点の概要をまとめたものです。

表 1. Explorer コードのインストールのオプションおよび影響
Explorer コードの
場所
ワークスペースの
場所
更新方式 利点 欠点

ローカル (ユーザーのワークステーション上)

  • ローカル (取り外し可能なストレージを含む)
  • リモート・ネットワーク・ドライブ

ユーザーがそれぞれのソフトウェアを更新する必要がある。

  • すぐに開始。
  • すぐに実行。
  • リモート・ネットワーク・ドライブが不要。
  • ユーザーが定期的な更新を取得してインストールする必要がある。そうしないと、古いレベルのソフトウェアに関する問題が発生する場合がある。

リモート (ネットワーク・ドライブ上)

  • ローカル (取り外し可能なストレージを含む)
  • リモート・ネットワーク・ドライブ

ソフトウェアが中央で更新される。

  • ネットワークを介してアクセスできる任意のワークステーションから、CICS Explorer を実行できる。
  • ソフトウェアが中央で管理されるので、すべてのユーザーが同じレベルになる。
  • すぐに実行。
  • 開始が遅くなる。コードは実行前にユーザーのワークステーションにダウンロードされる。
  • ネットワーク障害が発生すると、ユーザーは CICS Explorer の自分の構成を保存できなくなる。
  • ネットワーク・ドライブに障害が発生すると、全ユーザーが CICS Explorer を使用できなくなる。

インストールにネットワーク・ドライブを使用する方法について詳しくは、IBM Redpaper: Managing Enterprise-wide Deployment of IBM Explorer for z/OS or CICS Explorerを参照してください。

CICS Explorer をインストールする場所、ユーザーのワークスペースを管理する方法、使用するインストール方式を決定したら、インストールを開始できます。