アプリケーション・エラーの診断
プラットフォームにデプロイされたアプリケーション・バージョンが予期した状況ではない場合、以下のトラブルシューティングの手順に従って、適切なアクションを実行します。
始める前に
手順
- アプリケーション・バージョンの状況が FAILED である場合、CICSPlex® SM 出力ログ (EYULOG) を調べて、 アプリケーションのインストール中または破棄中に発生した問題の詳細を確認してください。 CMAS の CICSPlex SM データ・リポジトリーがフルになっている可能性があり、 その場合にはそのサイズを拡大する必要があります。 データ・リポジトリーを拡張するには、IDCAMS ユーティリティーの REPRO 機能を使用します。 そのための JCL の例が、CICSTS51.CPSM.SEYUSAMP ライブラリーの EYUJXDRP メンバーの中に含まれています。 その JCL 内の RECORDS(xx,yy) ステートメントで、実際の環境に対して適切な 1 次 (xx) および 2 次 (yy) の値を指定します。 初期値は 500 と 3000 です。
- アプリケーション・バージョンの状況が DISABLED または SOMEDISABLED である場合、アプリケーション全体を使用可能にしてみることができます。
- 「クラウド・エクスプローラー」ビューで、アプリケーション・バージョンを右クリックし、「使用可能」を選択します。 アプリケーション・バージョンがオンライン・アプリケーション・エディターで開かれている場合、 「概要」タブの「使用可能」ボタンを使用します。 CICSPlex SM は、すべての CICS 領域で、アプリケーション・バージョンのすべての CICS バンドルを使用可能にするように試行します。
- 新しい状況を確認し、アプリケーション・バージョンが使用可能になっているかどうかを確かめます。 アプリケーション・バージョンが使用可能ではない場合、各管理パートで指定されている個々の CICS バンドルを調べます。 「クラウド・エクスプローラー」ビューで、「階層の切り替え」
ドロップダウン・リストを使用して、アプリケーション階層に切り替えます。 アプリケーション階層に関する操作で、アプリケーションの下に表示されている各領域タイプを展開して、その領域タイプの「バンドル」リストを表示してください。 各「バンドル」リストを展開すると、アプリケーションの管理パートが表示されます。
- 管理パートの状況が DISABLED または SOMEDISABLED である場合には、個々の CICS バンドルを、そのインストール場所である各 CICS 領域で使用可能にしてみてください。
- 管理パートをダブルクリックして、「CICS バンドル (CICS Bundles)」ビューを開きます。このビューはインストール済みの CICS バンドルを表示します。 または、管理パートを右クリックして「インストールされたバンドルの表示 (Show Installed Bundles)」をクリックします。
- 「CICS バンドル (CICS Bundles)」ビューで、バンドルを使用可能にする CICS 領域の CICS バンドルのレコードを選択し、右クリックして「使用可能」を選択します。
- CICS バンドルが使用不可のままである場合、その定義を確認し、CICS 領域に存在しないリソースのインポートに依存していないかどうかを確かめます。
ヒント: アプリケーションの専用 LIBRARY リソースの定義を格納する CICS バンドルが使用不可になっている場合、CICS は、アプリケーションの他の専用 LIBRARY 連結からも、一括検索順序での公用 LIBRARY 連結からも、プログラム・モジュール・ロードを試行しません。 代わりに、「見つかりません (not found)」という応答がタスクに返されます。 このアクションにより、間違ったプログラムがロードされないようにします。 また、ワークロード管理で CICS 領域を経由せずに作業をルーティングできるようにします。 したがって、アプリケーションのプログラム・ロードを実行するために、LIBRARY リソースの定義を格納するすべての CICS バンドルを使用可能にする必要があります。 - アプリケーション・バージョンの状況が INCOMPLETE または EMPTY である場合、各管理パートで指定されている個々の CICS バンドルを調べます。
- 「クラウド・エクスプローラー」ビューで、「階層の切り替え」
ドロップダウン・リストを使用して、アプリケーション階層に切り替えます。 アプリケーション階層に関する操作で、アプリケーションの下に表示されている各領域タイプを展開して、その領域タイプの「バンドル」リストを表示してください。 各「バンドル」リストを展開すると、アプリケーションの管理パートが表示されます。 インストール済みの CICS バンドルを操作するには、管理パートをダブルクリックして「CICS バンドル (CICS Bundles)」ビューを開きます。または、管理パートを右クリックして「インストールされたバンドルの表示 (Show Installed Bundles)」をクリックします。
- 管理パートの状況が INVALIDSCOPE である場合、CICS バンドルの定義を確認し、ターゲット CICS システム・グループが正しく指定されているかどうかを確かめます。
- 管理パートの状況が EMPTY である場合、CICS バンドルがインストールされているはずの CICS 領域がアクティブであり、CMAS に接続されていることを確認します。 CICS 領域がアクティブであるかどうかを確認するには、「階層の切り替え」
ドロップダウン・リストを使用して、「クラウド・エクスプローラー」ビューのプラットフォーム階層に切り替えます。 アプリケーションがインストールされたプラットフォームの場合、領域タイプを展開し、さらに各領域タイプの領域リストを展開して、CICS 領域とその状況を表示します。 CICS 領域が使用可能である場合、CICS バンドルの定義にエラーがないかを確認します。
- 管理パートの状況が INCOMPLETE の場合、バンドルがインストールされなかった理由について詳しくは、影響を受けるバンドルの領域タイプの CICS 領域の CICSMSG ログを確認してください。 CICS バンドルが見つからない場合、zFS セットアップを確認します。
- このエラーは、プラットフォームが同じシスプレックスの異なるシステム (LPAR) にまたがって存在しているときに、zFS ファイル・システムのプラットフォーム・ホーム・ディレクトリーがシスプレックス全体で共用されていない場合に、発生する可能性があります。CMAS を実行している同じ zFS への接続を使用して FTP を使用するか、プラットフォーム・ホーム・ディレクトリーのシスプレックス全体にわたる共用をセットアップする必要があります。
- また、プラットフォーム・ホーム・ディレクトリーが、プラットフォームのインストール場所のシスプレックスとは別のシスプレックス上にある場合にも、このエラーが発生する可能性があります。 プラットフォームがインストールされたシスプレックス上に、プラットフォーム・ホーム・ディレクトリーが存在することを確認してください。
- 「クラウド・エクスプローラー」ビューで、「階層の切り替え」
- アプリケーション・バージョンの CICS 領域にインストールされている専用リソースで問題が発生する場合、個々の専用リソースを調査します。
- Cloud Explorer ビューで、インストールされているアプリケーション・バージョンの名前をダブルクリックしてオンライン・アプリケーション・エディターで開き、「専用リソース」タブを選択します。 専用リソースがインストールされている CICS 領域ごとに専用リソースをフィルターに掛けるには、「構造」ペインで領域の階層を選択します。 あるいは、専用リソースが定義されている CICS バンドルごとに専用リソースをフィルターに掛けるには、「構造」ペインでバンドルの階層を選択します。
- リソース・タイプの該当するタブを選択し、アプリケーション用にインストールされている専用リソースを表示します。 予期される各専用リソースが該当するすべての CICS 領域に存在していることを確認します。また、その専用リソースの状況と詳細に異常がないかどうかも確認してください。 専用リソースを扱うときには、リソース名をダブルクリックし、エディターで開きます。
- アプリケーションに専用 LIBRARY リソースがある場合、「ライブラリー DS 名」タブを選択し、z/OS でデータ・セットの各 LIBRARY 連結に対して生成された DD 名を表示します。 それらのデータ・セットが正しく作成されたことを確認してください。
- 「選択可能にする」アクションを実行して呼び出し元でアプリケーション・バージョンを選択できるようにしたが、選択可能性状況が AVAILABLE と表示されない場合、そのアクションが必要であったのかどうかをまず確認します。
- アプリケーション・バージョンの選択可能性状況がまったく表示されない場合、CICS TS 5.1 に存在する CICS 領域ではそれが正常です。 「選択可能にする」アクションはそれらの領域のアプリケーションには適用されず、ENABLED 状況になるとすぐに呼び出し元で選択できるようになります。
- アプリケーション・バージョンの選択可能性状況が「入り口点はありません (No entry points)」と表示される場合 (状況 NONE)、アプリケーションにアプリケーション入り口点がないため、「選択可能にする」アクションは必要ありません。 アプリケーション入り口点は、マルチバージョン環境でアプリケーション・バージョンへのユーザー・アクセスを制御するために使用されるため、アプリケーションに適した CICS リソース用のアプリケーション入り口点を宣言する必要があります。
- 「選択可能にする」アクションを実行して呼び出し元でアプリケーション・バージョンを選択できるようにし、さらにそのアクションは必要であったが、アプリケーション・バージョンの選択可能性状況が長い期間 UNAVAILABLE または SOMEAVAIL のままである場合、アプリケーション・バージョンの個々の管理パートを調査してください。 アプリケーション階層を操作対象にしている「クラウド・エクスプローラー」ビューで、アプリケーションの下に表示されている各領域タイプを展開して、その領域タイプの「バンドル」リストを表示してください。
各「バンドル」リストを展開すると、アプリケーションの管理パートが表示されます。
- 管理パートの選択可能性状況が「入り口点はありません (No entry points)」(状況 NONE) と表示される場合、CICS バンドルにはアプリケーション入り口点のステートメントが含まれていないため、それを調査する必要はありません。
- 管理パートの選択可能性状況が AVAILABLE と表示される場合、CICS バンドルで宣言されるアプリケーション入り口点を呼び出し元が正常に選択できるようになったため、それを調査する必要はありません。
- 管理パートの選択可能性状況が UNAVAILABLE または SOMEAVAIL と表示される場合、個々の CICS バンドルおよびバンドル・パートの状況を確認します。これらは CICS バンドル用にインストールされているリソースを表します。 インストール済みの CICS バンドルを操作するには、管理パートをダブルクリックして「CICS バンドル (CICS Bundles)」ビューを開きます。または、管理パートを右クリックして「インストールされたバンドルの表示 (Show Installed Bundles)」をクリックします。CICS バンドル用にインストールされた個々のリソースのバンドル・パーツを表示するには、「バンドル」ビューで CICS バンドル名を右クリックし、「バンドル・パートの表示」をクリックします。 以下の状況のいずれかが当てはまるかどうか確認してください。
- アプリケーション入り口点が CICS バンドルで宣言されており、そのオペレーション名がアプリケーション内のいずれかの場所で使用されているオペレーション名と重複している。 この状態を回避するには、アプリケーション内でオペレーション名が固有になるようにしてください。 オペレーション名は大/小文字が区別されます。 そのため、大/小文字のみが異なるオペレーション名を使用することもできます (例えば「browse」と「Browse」など)。
- CICS バンドルでアプリケーション入り口点として宣言されている URIMAP リソースが存在しない、または別のアプリケーションのアプリケーション入り口点として既に予約されている。 この状態を回避するには、ご使用の環境で URIMAP リソースを固有の名前で定義してください。
- CICS バンドルでアプリケーション入り口点として宣言されているプログラムは、特定のアプリケーション・バージョンでデプロイされている CICS バンドルの 1 つで定義されている専用プログラムである。 しかし、その名前のプログラムは CICS 領域で既に公用プログラムとしてインストールされている。 アプリケーション入り口点として宣言されるプログラムには、使用環境内で固有の PROGRAM リソース名が必要です。 この状態を回避するには、そのリソース定義およびアプリケーション入り口点の宣言で専用プログラムの名前を変更して、その名前が固有になるようにしてください。 アプリケーション入り口点として定義されている同じ専用 PROGRAM リソースの複数のバージョンを、同じアプリケーションの複数のバージョンでインストールすることができます。これは、アプリケーションの各バージョンにおける、専用から公用の状況への PROGRAM リソースのプロモーションを CICS が管理しているためです。
- アプリケーション入り口点として宣言されている旧バージョンのアプリケーションは、そのアプリケーション・バージョンでデプロイされている CICS バンドルの 1 つで定義されていないプログラムであり、既に公用プログラムとしてインストールされている。 アプリケーション・バージョンを使用可能にしたときに、CICS によってインストール済み公用プログラムがアプリケーション入り口点として予約された。 しかし、CICS は、アプリケーションの新しいバージョンのアプリケーション入り口点を自動的に管理することができなくなりました。アプリケーションの前にインストールされていた公用プログラムを専用プログラムにすることはできないからです。 アプリケーションを新しいバージョンに更新するには、既存のバージョンを使用不可にして破棄する必要があります。 この状態を回避するには、公用プログラムがアプリケーションのインストール・プロセスで自動インストールされるように調整するという方法があります。そうすれば、そのプログラムは専用プログラムにすることができるため、将来のアプリケーション・バージョンも同時にインストールできるようになります。 別の方法として、アプリケーション・バージョンと一緒にデプロイされる CICS バンドルの 1 つの中でプログラムを定義し、専用プログラムにするために固有の名前を持つようにするという方法もあります。
- アプリケーション・バージョンを使用不可にすることができない場合、必要なアプリケーション・バージョンで「選択不可にする」アクションが実行済みであることを確認します。
- CICS TS 5.2 以降の CICS 領域では、アプリケーション・バージョンの選択可能性状況が AVAILABLE として表示される場合、「選択不可にする」アクションを実行して、アプリケーション・バージョンを呼び出し元が選択できないようにした後に使用不可にする必要があります。
- CICS TS 5.1 の CICS 領域がプラットフォームに含まれている場合、「選択不可にする」アクションはその領域のアプリケーションに適用されません。 それらの選択可能性状況は表示されません。
- アプリケーションにアプリケーション入り口点が存在しない場合、それらのアプリケーションでは「選択不可にする」アクションは必要ありません。 それらの選択可能性状況は、「入り口点はありません (No entry points)」と表示されます。
- 必要なところでアプリケーションが選択不可になっており、「使用不可」アクションを実行したものの、アプリケーション・バージョンが DISABLING 状態のままになっている場合、各管理パートで指定されている個々の CICS バンドルを調査します。
- アプリケーション階層を操作対象にしている「クラウド・エクスプローラー」ビューで、アプリケーションの下に表示されている各領域タイプを展開して、その領域タイプの「バンドル」リストを表示してください。 各「バンドル」リストを展開すると、アプリケーションの管理パートが表示されます。 インストール済みの CICS バンドルを操作するには、管理パートをダブルクリックして「CICS バンドル (CICS Bundles)」ビューを開きます。または、管理パートを右クリックして「インストールされたバンドルの表示 (Show Installed Bundles)」をクリックします。
- 「CICS バンドル」ビューで、まだ使用不可になっていない CICS バンドルを見つけます。 まだ使用不可になっていない CICS 領域の CICS バンドルのレコードを選択し、右クリックして「使用不可」を選択します。
- CICS バンドルがまだ使用不可になっていない場合、「バンドル・パーツ」ビューにあるそのバンドル・パーツを表示して、CICS バンドル用にインストールされている個々のリソースの状況を識別し、確認します。 バンドル・パートを表示するには、「バンドル」ビューで CICS バンドル名を右クリックし、 「バンドル・パートの表示」をクリックします。
- CICS バンドルで LIBRARY リソースまたは PROGRAM リソースが定義されていれば、その状況を確認します。 LIBRARY リソースに関連付けられている BUNDLEPART リソースは、動的プログラム LIBRARY 連結およびそこからロードされるすべてのプログラムの使用回数がゼロになるまで、DISABLED の状況を報告しません。 PROGRAM リソースの場合、インストール元から CICS バンドルに対して使用不可操作が実行されるときに CICS はプログラムを使用不可にしますが、 プログラムの使用回数がゼロに達するまで、関連付けられた BUNDLEPART リソースは使用可能のままになります。 道理にかなった間隔を空けても使用回数がゼロにならない場合は、バンドル使用不可化プロセスを完了させるために CICS から作業をパージしなければならない場合があります。
- CICS バンドルで JVMSERVER リソースまたは TCPIPSERVICE リソースが定義されていれば、その状況を確認します。 デフォルトでは、これらのリソースは、それらを使用している現行タスクがすべて完了してからでないと無効にされません。
- JVMSERVER リソースで JVM サーバーを即時に使用不可にし、そこで実行されているタスクをパージする場合、 CICS 領域の動的生成リソースで SET JVMSERVER PURGE、FORCEPURGE、または KILL コマンドを使用します。 このアクションは、CICS Explorer® で実行できます。
- TCPIPSERVICE リソースでサービスを即時に使用不可にし、すべての接続を閉じる場合、CICS 領域の動的生成リソースで SET TCPIPSERVICE IMMCLOSE コマンドを使用します。 このアクションは、CICS Explorer で実行できます。
- CICS バンドルで FILE リソースが定義されていれば、その状況を確認します。また、メッセージ DFHFC6043 の CICS メッセージ・ログも確認します。 CICS は CICS バンドルで定義されているファイルの使用不能化試行時にこのメッセージを発行しますが、ファイルがまだ使用されているか、保持されたロックがファイルにあります。
- ファイルが DISABLED 状態にあり、CICS がメッセージ DFHFC6043 を発行した場合、リカバリー可能ファイルで、保持されたロックを確認し、解決します。 リカバリー不能ファイルの場合、ファイルを使用しているタスクを確認し、タスクをパージするか、時間を与えて完了を待ちます。 該当するプロセスが完了した後、CICS バンドルは DISABLED 状態に移行します。
- ファイルが DISABLING 状態にある場合、以下のいずれかのコマンドを発行し、ファイルを使用しているタスクをパージし、ファイルを使用不可にします。
- EXEC CICS SET FILE DISABLED FORCE
- EXEC CICS SET FILE CLOSED FORCE
- CEMT SET FILE FORCECLOSE
親トピック: アプリケーションの作業